JP2006291013A - 二液硬化型接着剤、及びそれを用いた接着方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 空気に接している部分を含めて室温で可能であると共に、低温から高温に亘る広い環境温度条件下においても優れた接着性能を有し、且つ、使用前の保存安定性が高い二液硬化型接着剤、及び該接着剤を用いた接着方法を提供する。さらに、接着剤中に含有される重合開始剤の活性の有無を容易に視認しうる二液硬化型接着剤、及び該接着剤を用いた接着方法を提供する。
【解決手段】 第一の液体と第二の液体とに分離された二液硬化型接着剤であって、前記第一の液体にSOMO(半占軌道)を有する電子受容性化合物を含有し、前記第二の液体に前記電子受容性化合物と接触することにより開始ラジカルを発生するアート錯体を含有し、かつ、前記第一の液体及び/又は第二の液体に、前記開始ラジカルにより重合可能な不飽和結合性化合物を含有することを特徴とする二液硬化型接着剤、及び該二液硬化型接着剤を用いた接着方法である。
【選択図】 なし
【解決手段】 第一の液体と第二の液体とに分離された二液硬化型接着剤であって、前記第一の液体にSOMO(半占軌道)を有する電子受容性化合物を含有し、前記第二の液体に前記電子受容性化合物と接触することにより開始ラジカルを発生するアート錯体を含有し、かつ、前記第一の液体及び/又は第二の液体に、前記開始ラジカルにより重合可能な不飽和結合性化合物を含有することを特徴とする二液硬化型接着剤、及び該二液硬化型接着剤を用いた接着方法である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、新規な二液硬化型接着剤に関し、詳細には、空気に接している部分を含めて室温で硬化し、且つ低温から高温に至る広い環境温度条件下で優れた接着性能を有するアクリル系の常温硬化型の二液硬化型接着剤に関する。
常温で短時間で硬化する接着剤の要求は、省力化、省資源、省エネルギーが叫ばれてい昨今、年々増大する傾向にある。従来、常温速硬化型接着剤としては、二液速硬化型エポキシ系接着剤、嫌気性接着剤、非嫌気性アクリル系接着剤、瞬間接着剤等が知られている。
二液速硬化型エポキシ系接着剤は、主剤と硬化剤を計量、混合し被着材に塗布し、主剤と硬化剤の主成分が反応することにより硬化させるものであり、計量、混合が不充分であると著しい強度の低下を起す恐れがあり、また、計量、混合を充分行なった場合に於いても、剥離、衝撃強度が低いという欠点がある。
シアノアクリレートを主成分とする瞬間接着剤は、優れた作業性を有する反面、剥離、衝撃強度が低く、又耐湿性、耐水性が劣るため、使用範囲が著しく限定される不利がある。
アクリル系モノマーを使用する接着剤としては、嫌気性接着剤が知られている。ポリアクリルモノマー及び嫌気性モノマーを使用した嫌気性接着剤は、被着材である金属に塗布し、接着させる材料間で空気を遮断することにより硬化させるか、或いは、硬化促進剤を塗布した接着面と接触することにより硬化させる。いずれの場合も空気に接する接着剤のハミ出し部は硬化しないため接着後ハミ出し部分を溶剤などで拭きとる等の面倒な作業が必要であり、この操作をしない場合には手や衣服に接着剤が付着したり、ホコリがハミ出し部に付着するなど環境衛生上、或は製品外観上に支障を生じる。また、被着材によっては空気に触れ易い場合、例えば、接着間隙の広い場合や、紙や布、又は木材の断面等の多孔質材料を接着する場合には、硬化しないか、或いは著しく接着強度が低下し接着不良を生じるなどの欠点を有するため、被着材の範囲が著しく限定されるという不利をする。
シアノアクリレートを主成分とする瞬間接着剤は、優れた作業性を有する反面、剥離、衝撃強度が低く、又耐湿性、耐水性が劣るため、使用範囲が著しく限定される不利がある。
アクリル系モノマーを使用する接着剤としては、嫌気性接着剤が知られている。ポリアクリルモノマー及び嫌気性モノマーを使用した嫌気性接着剤は、被着材である金属に塗布し、接着させる材料間で空気を遮断することにより硬化させるか、或いは、硬化促進剤を塗布した接着面と接触することにより硬化させる。いずれの場合も空気に接する接着剤のハミ出し部は硬化しないため接着後ハミ出し部分を溶剤などで拭きとる等の面倒な作業が必要であり、この操作をしない場合には手や衣服に接着剤が付着したり、ホコリがハミ出し部に付着するなど環境衛生上、或は製品外観上に支障を生じる。また、被着材によっては空気に触れ易い場合、例えば、接着間隙の広い場合や、紙や布、又は木材の断面等の多孔質材料を接着する場合には、硬化しないか、或いは著しく接着強度が低下し接着不良を生じるなどの欠点を有するため、被着材の範囲が著しく限定されるという不利をする。
前記のように接着剤が嫌気性を示すことは実用上不利な点が多いため、種々の非嫌気性接着剤(非嫌気性のアクリル系接着剤)が考案、実用化されるようになってきた。
非嫌気性接着剤としては、嫌気性の強くないモノマーと必要な剥離、衝撃強度を得るためにエラスマーとを組合せたものが知られている。
例えば、下記特許文献1に記載される接着剤組成物では、クロロスルフォン化ポリエチレン又は塩化スルフォニルと塩素化ポリエチレンとの混合物をアクリレート系モノマーに溶解し更に有機過酸化物を加えた溶液を使用直前にアルデヒドーアミン縮合物などの硬化促進剤と接触させることにより硬化させている。また、下記特許文献2に記載される速硬化性アクリル系接着剤では、嫌気性の強くないメタクリル酸アルキルエステルと嫌気性の強い2−ヒドロキシアルキルメタクリレートとを併用し、これにブタジエン系エラストマー、ハイドロパーオキサイド等を加えた溶液をエチレンチオ尿素等のレドックス触媒の還元成分と接触又は混合して硬化させている。
これらの接着剤組成物は、一般に第二世代のアクリル系接着剤(SGA)と呼ばれ、二液性であるが二液の正確な計量、充分な混合を必要とせず、きわめてラフな計量、混合(時には二液の接触のみ)で、常温で短時間のうちに硬化するという優れた作業性を有し、しかも高い剥離性、衝撃強度を有し、ハミ出し部分の硬化も良好であるため、近年、例えば、スピーカー部品の接着、エレベーターのパネルと補強材の接着等の用途で広く用いられるようになってきた。
非嫌気性接着剤としては、嫌気性の強くないモノマーと必要な剥離、衝撃強度を得るためにエラスマーとを組合せたものが知られている。
例えば、下記特許文献1に記載される接着剤組成物では、クロロスルフォン化ポリエチレン又は塩化スルフォニルと塩素化ポリエチレンとの混合物をアクリレート系モノマーに溶解し更に有機過酸化物を加えた溶液を使用直前にアルデヒドーアミン縮合物などの硬化促進剤と接触させることにより硬化させている。また、下記特許文献2に記載される速硬化性アクリル系接着剤では、嫌気性の強くないメタクリル酸アルキルエステルと嫌気性の強い2−ヒドロキシアルキルメタクリレートとを併用し、これにブタジエン系エラストマー、ハイドロパーオキサイド等を加えた溶液をエチレンチオ尿素等のレドックス触媒の還元成分と接触又は混合して硬化させている。
これらの接着剤組成物は、一般に第二世代のアクリル系接着剤(SGA)と呼ばれ、二液性であるが二液の正確な計量、充分な混合を必要とせず、きわめてラフな計量、混合(時には二液の接触のみ)で、常温で短時間のうちに硬化するという優れた作業性を有し、しかも高い剥離性、衝撃強度を有し、ハミ出し部分の硬化も良好であるため、近年、例えば、スピーカー部品の接着、エレベーターのパネルと補強材の接着等の用途で広く用いられるようになってきた。
しかしながら、近年、需要の多様化に伴い接着剤の性能もより過酷な環境条件での使用に耐え得るものが要求されるようになってきており、その意味で前記のアクリル系接着剤でも未だ充分でない場合が多い。例えば、下記特許文献1に開示された組成物では、被着体が、高温或いは高湿度条件下に長時間曝された場合、接着強度の低下が大きく、また、下記特許文献2に開示された組成物では、接着強度の温度依存性が大きく、低温に於ける剥離強度、衝撃強度或いは高温に於ける剪断、剥離、衝撃の各強度が充分でないなどの欠点を有するため、それぞれ接着剤の使用範囲を限定される不利がある。
このような問題についても改良がなされており、例えば、下記特許文献3では、低温から高温に至る広い環境温度条件下で優れた接着性能を有する非嫌気性のアクリル系接着剤組成物が提供されている。
このような問題についても改良がなされており、例えば、下記特許文献3では、低温から高温に至る広い環境温度条件下で優れた接着性能を有する非嫌気性のアクリル系接着剤組成物が提供されている。
ところで、上記した問題とは別に、二液型接着剤では使用前の保存期間が長いものが要求される。即ち、例えば、購入して一部を使用後に保存した場合において、接着機能が弱まったり、或いは接着しなくなるという問題である。このような問題は、長期保存後に薬剤が反応性を失っていることが原因で生じる。薬剤が反応性を失なう原因は主として(1)重合性モノマーが重合している、(2)重合開始剤が失活しているという二つの原因がある。特に、ラジカル重合開始剤として過酸化物を用いたレドックス重合触媒を使用する場合には、過酸化物の安定性が低く、通常は過酸化物だけを別に冷蔵保管しておき、使用する直前に調液しプライマーとして使用する方法が取られる。
本来の二液型の意義を考えると、既に調製されている二液を単に混ぜるだけで使用する形態が最も好ましい。しかしながら、重合開始剤の安定性が低いためにそのような使い方ができないのが現状である。また、仮にそのような使い方をした場合に、肝心の重合開始剤がその活性を失っているかどうかが判らないと、混ぜてみて接着するかどうかを事前に調べないと使えないということになり、二液型の利便性を損なってしまう。
以上の述べたように、空気に接している部分を含めて室温で硬化可能であると共に、低温から高温に至る広い環境温度条件下においても優れた高速接着性能を有し、使用前の保存安定性が高く、含有される重合開始剤の活性についても容易に視認しうる二液硬化型接着剤は、未だ提供されていないのが現状である。
特開昭49−132119号公報
特公昭54−28178号公報
特公平7−74324号公報
本発明は、空気に接している部分を含めて室温で可能であると共に、低温から高温に亘る広い環境温度条件下においても優れた接着性能を有し、且つ、使用前の保存安定性が高い二液硬化型接着剤、及び該二液硬化型接着剤を用いた接着方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、接着剤中に含有される重合開始剤の活性の有無を容易に視認しうる二液硬化型接着剤、及び該二液硬化型接着剤を用いた接着方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、第一の液体と第二の液体とに分離された二液型接着剤において、第一の液体及び第二の液体の各々に、重合開始剤を構成する成分を分離して含有させることにより、接着性能に優れ、且つ、使用前の保存安定性が高い二液硬化型接着剤が得られること、さらに、重合開始剤の活性についても視認しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題は、以下の本発明によって達成される。
即ち、本発明の二液硬化型接着剤は、
<1> 第一の液体と第二の液体とに分離された二液硬化型接着剤であって、前記第一の液体にSOMO(半占軌道)を有する電子受容性化合物を含有し、前記第二の液体に前記電子受容性化合物と接触することにより開始ラジカルを発生するアート錯体を含有し、かつ、前記第一の液体及び/又は第二の液体に、前記開始ラジカルにより重合可能な不飽和結合性化合物を含有することを特徴とする二液硬化型接着剤である。
即ち、本発明の二液硬化型接着剤は、
<1> 第一の液体と第二の液体とに分離された二液硬化型接着剤であって、前記第一の液体にSOMO(半占軌道)を有する電子受容性化合物を含有し、前記第二の液体に前記電子受容性化合物と接触することにより開始ラジカルを発生するアート錯体を含有し、かつ、前記第一の液体及び/又は第二の液体に、前記開始ラジカルにより重合可能な不飽和結合性化合物を含有することを特徴とする二液硬化型接着剤である。
<2> 前記電子受容性化合物のSOMOのエネルギーレベルが、前記アート錯体の基底状態におけるHOMO(最高被占軌道)のエネルギーレベルよりも低いことを特徴とする前記<1>に記載の二液硬化型接着剤である。
<3> 前記アート錯体が、金属−アルキル結合を少なくとも一つ有することを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の二液硬化型接着剤である。
<4> 前記アート錯体と前記電子受容性化合物とを混合することにより、アルキルラジカルが生成することを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の二液硬化型接着剤である。
<5> 前記アート錯体が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の二液硬化型接着剤である。
一般式(1)中、R1はアルキル基を表す。R2、R3及びR4は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環基、又はアミノ基を表し、R2、R3及びR4の中から選ばれる2つの基は互いに連結して環構造を形成していてもよい。Mはアート錯体形成可能な金属を表す。Y+は対カチオンを表す。
<6> 前記電子受容性化合物が、ラジカルカチオン化合物であることを特徴とする前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の二液硬化型接着剤である。
<7> 前記ラジカルカチオン化合物が、下記一般式(2)で表されるアミニウム化合物であることを特徴とする前記<6>に記載の二液硬化型接着剤である。
一般式(2)中、R5、R6、及びR7は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、R5、R6、及びR7の中から選ばれる2つの基は互いに連結して環構造を形成していてもよい。X-は対アニオンを表す。
<8> 前記第一の液体及び/又は第二の液体に含有される不飽和結合性化合物が、重合性ビニルモノマーであり、
更に、前記第一の液体及び/又は第二の液体に、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体エラストマーを、前記第一の液体及び第二の液体に含有される重合性ビニルモノマーの全量100質量部に対して5〜40質量部含有し、且つ、
該アクリロニトリル−ブタジエン共重合体エラストマー中の結合ブタジエン量が75〜95モル%であることを特徴とする前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載の二液硬化型接着剤である。
更に、前記第一の液体及び/又は第二の液体に、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体エラストマーを、前記第一の液体及び第二の液体に含有される重合性ビニルモノマーの全量100質量部に対して5〜40質量部含有し、且つ、
該アクリロニトリル−ブタジエン共重合体エラストマー中の結合ブタジエン量が75〜95モル%であることを特徴とする前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載の二液硬化型接着剤である。
<9> 前記重合性ビニルモノマーのうち、少なくとも70質量%がアクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマーであることを特徴とす前記<8>に記載の二液硬化型接着剤である。
<10> 前記第一の液体及び/又は第二の液体が、更に、酸性リン酸エステルを含有し、該酸性リン酸エステルの含有量が、前記不飽和結合性化合物の全量100質量部に対して0.01〜20質量部であることを特徴とする前記<8>又は<9>に記載の二液硬化型接着剤である。
<11> 前記<1>〜<10>のいずれか1項に記載の二液硬化型接着剤を用いた接着方法であって、該二液硬化型接着を構成する第一の液体及び第二の液体を混合して硬化反応させることを特徴とする接着方法である。
<12> 接着対象物と被接着対象物とに、前記第一の液体と第二の液体とをそれぞれ塗布した後、それぞれの塗布面を接触させて、前記第一の液体及び第二の液体を混合することを特徴とする前記<11>に記載の接着方法である。
本発明によれば、空気に接している部分を含めて室温で硬化可能であると共に、低温から高温に亘る広い環境温度条件下においても優れた接着性能を有し、使用前の保存安定性が高い二液硬化型接着剤、及び該二液硬化型接着剤を用いた接着方法を提供することができる。更に、本発明によれば、接着剤中に含有される重合開始剤の活性を容易に視認しうる二液硬化型接着剤、及び該二液硬化型接着剤を用いた接着方法を提供することができる。
特に、上記特性を有するアクリル系の二液硬化型接着剤を提供することができる。
特に、上記特性を有するアクリル系の二液硬化型接着剤を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[二液硬化型接着剤]
本発明の二液硬化型接着剤は、第一の液体と第二の液体とに分離された二液硬化型接着剤であって、前記第一の液体にSOMO(半占軌道)を有する電子受容性化合物を含有し、前記第二の液体に前記電子受容性化合物と接触することにより開始ラジカルを発生するアート錯体を含有し、かつ、前記第一の液体及び/又は第二の液体に、前記開始ラジカルにより重合する不飽和結合性化合物を含有することを特徴とする。
[二液硬化型接着剤]
本発明の二液硬化型接着剤は、第一の液体と第二の液体とに分離された二液硬化型接着剤であって、前記第一の液体にSOMO(半占軌道)を有する電子受容性化合物を含有し、前記第二の液体に前記電子受容性化合物と接触することにより開始ラジカルを発生するアート錯体を含有し、かつ、前記第一の液体及び/又は第二の液体に、前記開始ラジカルにより重合する不飽和結合性化合物を含有することを特徴とする。
以下、本発明の二液硬化型接着剤における重合反応について詳細に説明する。
本発明の二液硬化型接着剤における重合反応は、第一の液体と第二の液体とが混合されることにより、第一の液体中に含有される電子受容性化合物と、第二の液体中に含有されるアート錯体とが接触し、これにより発生したラジカルが不飽和結合性化合物の重合を開始する反応系である。
ラジカルを発生させるためには、前記第一の液体中に含有される電子受容性化合物が有するSOMOのエネルギーレベルが、前記第二の液体中に含有されるアート錯体の基底状態におけるHOMO(最高被占軌道)のエネルギーレベルよりも低いことが必要条件となる。
本発明の二液硬化型接着剤における重合反応は、第一の液体と第二の液体とが混合されることにより、第一の液体中に含有される電子受容性化合物と、第二の液体中に含有されるアート錯体とが接触し、これにより発生したラジカルが不飽和結合性化合物の重合を開始する反応系である。
ラジカルを発生させるためには、前記第一の液体中に含有される電子受容性化合物が有するSOMOのエネルギーレベルが、前記第二の液体中に含有されるアート錯体の基底状態におけるHOMO(最高被占軌道)のエネルギーレベルよりも低いことが必要条件となる。
上述のごとく、本発明におけるアート錯体及び電子受容性化合物は、これらが混合されることにより重合開始剤として機能する。その具体的な反応機構としては、アート錯体と電子受容性化合物とを混合することで、アート錯体から電子受容性化合物に一電子移動が起こり、それにより開始ラジカル(フリーラジカル中間体)が発生するものと推測される。以下、本発明におけるアート錯体及び電子受容性化合物を、適宜、本発明における「重合開始剤」と称し、これらについて詳細に説明する。
(アート錯体)
本発明におけるアート錯体について説明する。
アート錯体の定義は、「有機合成化学協会誌」,1987年,p487に記載される通りである。アート錯体は、命名上、語尾にアート(ate)を付けることから一般名としてアート錯体(ate−complex)と呼ばれる錯体であり、電子受容性の強い金属原子(MA)とアニオン性基を持つ金属化合物(MB)との反応により生成させることができる。この錯体形成により、元の電子受容性の強い金属原子(MA)は配位数が増え塩基性となる。
本発明におけるアート錯体について説明する。
アート錯体の定義は、「有機合成化学協会誌」,1987年,p487に記載される通りである。アート錯体は、命名上、語尾にアート(ate)を付けることから一般名としてアート錯体(ate−complex)と呼ばれる錯体であり、電子受容性の強い金属原子(MA)とアニオン性基を持つ金属化合物(MB)との反応により生成させることができる。この錯体形成により、元の電子受容性の強い金属原子(MA)は配位数が増え塩基性となる。
本発明におけるアート錯体としては、金属−アルキル結合を少なくとも1つ有するものが好ましい。該金属−アルキル結合における金属としては、例えば、マグネシウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、亜鉛、銅等の高周期典型元素に含まれる金属が挙げられる。これらの金属の中でも、アート錯体の取り扱い性や安定性の点からは、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、及びケイ素が好ましい。
また、該金属−アルキル結合におけるアルキル部分としては、例えば、炭素数1〜20のアルキル部分が好ましい。
また、該金属−アルキル結合におけるアルキル部分としては、例えば、炭素数1〜20のアルキル部分が好ましい。
本発明における重合開始剤は、アート錯体と電子受容性化合物とを混合することにより、アルキルラジカルが生成するものであることが好ましい。本発明においては、上記の如くアート錯体が金属−アルキル結合を少なくとも1つ有することで、該アート錯体と電子受容性化合物とを混合することにより、アルキルラジカルが生成させることができる。
本発明におけるアート錯体としては、下記一般式(1)で表される化合物であることが特に好ましい。
一般式(1)中、R1はアルキル基を表す。R2、R3、及びR4は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環基、又はアミノ基を表し、R2、R3、及びR4の中から選ばれる2つの基は互いに連結して環構造を形成していてもよい。Mはアート錯体を形成可能な金属を表す。Y+は対カチオンを表す。
一般式(1)中、R1はアルキル基を表し、炭素原子数1〜20(より好ましくは炭素原子数1〜12、さらに好ましくは炭素原子数1〜8)のアルキル基であることが好ましい。
R1で表されるアルキル基は、直鎖であっても分岐していてもよく、アルキル鎖中に複数の不飽和結合を有していてもよい。R1で表されるアルキル基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、ハロゲン原子、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリールオキシ基、炭素原子数1〜12のアルキルチオ基、炭素原子数6〜12のアリールチオ基、炭素原子数2〜18のアシルオキシ基、炭素原子数2〜18のアシルアミノ基、炭素原子数2〜18のアルコキシカルボニル基、炭素原子数1〜18のカルバモイル基、シアノ基、又はニトロ基が挙げられる。前記アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基は、更に置換基を有していてもよい。
R1で表されるアルキル基は、直鎖であっても分岐していてもよく、アルキル鎖中に複数の不飽和結合を有していてもよい。R1で表されるアルキル基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、ハロゲン原子、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリールオキシ基、炭素原子数1〜12のアルキルチオ基、炭素原子数6〜12のアリールチオ基、炭素原子数2〜18のアシルオキシ基、炭素原子数2〜18のアシルアミノ基、炭素原子数2〜18のアルコキシカルボニル基、炭素原子数1〜18のカルバモイル基、シアノ基、又はニトロ基が挙げられる。前記アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基は、更に置換基を有していてもよい。
一般式(1)中、R1で表されるアルキル基としては、具体的には下記のものが好ましい。
一般式(1)中、R2、R3、及びR4は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環基、又はアミノ基を表し、R2、R3、及びR4の中から選ばれる2つの基は互いに連結して環構造を形成していてもよい。
上記、R2、R3、及びR4は、置換基を導入可能な場合には、更に置換基を有していてもよい。
上記、R2、R3、及びR4は、置換基を導入可能な場合には、更に置換基を有していてもよい。
一般式(1)中、R2、R3、及びR4がハロゲン原子を表す場合、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が挙げられる。特に、フッ素原子、又は塩素原子が好ましい。
一般式(1)中、R2、R3、及びR4がアルキル基を表す場合、該アルキル基は、前記R1で表されるアルキル基と同義である。
一般式(1)中、R2、R3、及びR4がアリール基を表す場合、該アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスラニル基が好ましく、フェニル基が特に好ましい。該アリール基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、前記R1で表されるアルキル基と同義のアルキル基、ハロゲン原子、フェニル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリールオキシ基、炭素原子数1〜12アルキルチオ基、炭素原子数6〜12のアリールチオ基、炭素原子数2〜18のアシルオキシ基、炭素原子数2〜18のアシルアミノ基、炭素原子数2〜18のアルコキシカルボニル基、炭素原子数1〜18のカルバモイル基、炭素原子数1〜18のアルキルスルホニル基、炭素原子数6〜12のアリールスルホニル基、炭素原子数1〜18のアルキルスルホネート基、炭素原子数1〜18のパーフルオロアルキル基、シアノ基、又はニトロ基が挙げられる。
一般式(1)中、R2、R3、及びR4で表されるアリール基としては、具体的には下記のものが好ましい。
一般式(1)中、R2、R3、及びR4がアルコキシ基を表す場合、該アルコキシ基としては、炭素原子数1〜20のアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基中のアルキル部分、すなわちアルキルオキシ基のアルキル部分は、前記R1で表されるアルキル基と同義である。
一般式(1)中、R2、R3、及びR4がアリールオキシ基を表す場合、該アリールオキシ基は、炭素原子数6〜12のアリールオキシ基が好ましい。アリールオキシ基中のアリール部分は、前記R2、R3、及びR4で表されるアリール基と同義である。
一般式(1)中、R2、R3、及びR4がアルキルチオ基を表す場合、該アルキルチオ基は、炭素原子数1〜20のアルキルチオ基が好ましい。アルキルチオ基中のアルキル部分は、前記R1で表されるアルキル基と同義である。
一般式(1)中、R2、R3、及びR4がアリールチオ基を表す場合、該アリールチオ基としては、炭素原子数6〜12のアリールチオ基が好ましい。アリールオチオ基中のアリール部分は、前記R2、R3、及びR4で表されるアリール基と同義である。
一般式(1)中、R2、R3、及びR4がヘテロ環基を表す場合、該ヘテロ環基としては、5員環又は6員環のヘテロ環基が好ましく、具体的には、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、トリアジン環、インドール環、ベンズオキサゾリン環、ベンズチアゾリン環、及びキノリン環が挙げられる。これらのヘテロ環は、環上にアルキル基、ハロゲン原子、フェニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、又はニトロ基などの置換基を有していてもよい。
一般式(1)中、R2、R3、及びR4で表されるヘテロ環基としては、具体的には下記のものが好ましい。
一般式(1)中、R2、R3、及びR4がアミノ基を表す場合、該アミノ基としては、アルキル基、アリール基、又はアシル基で置換されていてもよい。また、環状のアミノ基であってもよい。
R2、R3、及びR4で表されるアミノ基が、置換基として有するアルキル基又はアリール基は、前記R2、R3、及びR4が、それぞれアルキル基又はアリール基を表す場合と同義である。アミノ基が置換基を有する場合のアシル基としては、炭素原子数2〜20のアシル基が好ましく、該アシル基は、さらに、アルキル基、ハロゲン原子、フェニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、又はニトロ基などの置換基を有していてもよい。
R2、R3、及びR4で表されるアミノ基が、置換基として有するアルキル基又はアリール基は、前記R2、R3、及びR4が、それぞれアルキル基又はアリール基を表す場合と同義である。アミノ基が置換基を有する場合のアシル基としては、炭素原子数2〜20のアシル基が好ましく、該アシル基は、さらに、アルキル基、ハロゲン原子、フェニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、又はニトロ基などの置換基を有していてもよい。
一般式(1)中、R2、R3、及びR4で表されるアミノ基としては、具体的には下記のものが好ましい。
一般式(1)中、R2、R3、及びR4の中から選ばれる2つの基は互いに連結して環構造を形成していてもよく、この場合に形成される環構造としては、具体的には下記のものが好ましい。
一般式(1)中、Mはアート錯体を形成可能な金属を表し、該金属として具体的には、ホウ素、アルミニウム、及びガリウムが挙げられる。
一般式(1)中、Y+は対カチオンを表し、該対カチオンとしては、一価から多価のカチオンが挙げられる。中でも、Li+、Na+、K+、及び4級アンモニウムカチオンなどの一価のカチオンが好ましく、溶解度を任意に変えることができるという点からは、4級アンモニウムカチオンであることがより好ましい。
上記4級アンモニウムカチオンとしては、炭素原子数3〜90までの4級アンモニウムカチオンが好ましく、アルキル基を3つ以上有するものが好ましい。
Y+で表される4級アンモニウムカチオンとして、具体的には下記一般式(3)で表される4級アンモニウムカチオンが好ましい。
上記4級アンモニウムカチオンとしては、炭素原子数3〜90までの4級アンモニウムカチオンが好ましく、アルキル基を3つ以上有するものが好ましい。
Y+で表される4級アンモニウムカチオンとして、具体的には下記一般式(3)で表される4級アンモニウムカチオンが好ましい。
一般式(3)中、R8、R9、R10、及びR11は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、R8、R9、R10、及びR11中から選ばれる2つの基は互いに連結して環構造を形成していてもよい。
また、、R8、R9、R10、及びR11は、置換基を導入可能な場合には、さらに置換基を有していてもよい。
また、、R8、R9、R10、及びR11は、置換基を導入可能な場合には、さらに置換基を有していてもよい。
一般式(3)中、R8、R9、R10、及びR11がアルキル基を表す場合、該アルキル基は、前記一般式(1)においてR1で表されるアルキル基と同義である。
一般式(3)中、R8、R9、R10、及びR11がアリール基を表す場合、該アリール基は、前記一般式(1)においてR2、R3、及びR4で表されるアリール基と同義である。
一般式(3)中、R8、R9、R10、及びR11ががヘテロ環基を表す場合、該ヘテロ環基は、前記一般式(1)においてR2、R3、及びR4で表されるヘテロ環基と同義である。
一般式(3)で表される4級アンモニウムカチオンとしては、具体的には下記のものが好適に挙げられる。
一般式(1)におけるR2、R3、及びR4が、アルキル基又はアリール基である場合、アート錯体の安定性の点からは、電子吸引性基で置換されていることが好ましい。
以下に、一般式(1)で表される化合物(本発明におけるアート錯体)の具体的な化合物例〔例示化合物(A−1)〜(A−20)〕を示すが、本発明におけるアート錯体は、これらに限定されるものではない。
(電子受容性化合物)
本発明における電子受容性化合物について説明する。
本発明において、電子受容性化合物とは、電子供与体であるアート錯体との間に電子移動力を生じて電子受容体として機能しうる化合物である。
本発明における電子受容性化合物は、基底状態においてSOMO(半占軌道)を有し、且つ、該SOMOのエネルギーレベルが、該アート錯体の基底状態におけるHOMO(最高被占軌道)のエネルギーレベルよりも低いことが必要である。電子受容性化合物が有するSOMOのエネルギーレベルとしては、ラジカル重合の起きやすさの観点から、−12.00eV以下であることが好ましい。保存安定性の点からは−15.00eV以上であることが好ましい。
本発明における電子受容性化合物について説明する。
本発明において、電子受容性化合物とは、電子供与体であるアート錯体との間に電子移動力を生じて電子受容体として機能しうる化合物である。
本発明における電子受容性化合物は、基底状態においてSOMO(半占軌道)を有し、且つ、該SOMOのエネルギーレベルが、該アート錯体の基底状態におけるHOMO(最高被占軌道)のエネルギーレベルよりも低いことが必要である。電子受容性化合物が有するSOMOのエネルギーレベルとしては、ラジカル重合の起きやすさの観点から、−12.00eV以下であることが好ましい。保存安定性の点からは−15.00eV以上であることが好ましい。
本発明における電子受容性化合物としては、ラジカルカチオン化合物であることが好ましい。該ラジカルカチオン化合物としてはアミニウム化合物であることが好ましい。
アミニウム化合物はラジカルカチオン構造に由来する可視吸収を有しており、溶液に溶解した状態で青〜緑色に見える。従って、アート錯体との接触により電子移動が起きるとアート錯体からラジカルが発生すると同時に、アミニウム化合物のラジカルカチオン構造が失われ可視吸収をが失われる。つまり、アミニウム化合物が色を持っているということは、該アート錯体と接触してラジカルを発生する能力を有していることを示すことになる。
このため、本発明の二液硬化型接着剤において、第二の液体がアミニウム化合物を含有する場合には、当該第二の液体が呈する色から、本発明の重合開始剤の活性の有無を容易に視認することができる。
アミニウム化合物はラジカルカチオン構造に由来する可視吸収を有しており、溶液に溶解した状態で青〜緑色に見える。従って、アート錯体との接触により電子移動が起きるとアート錯体からラジカルが発生すると同時に、アミニウム化合物のラジカルカチオン構造が失われ可視吸収をが失われる。つまり、アミニウム化合物が色を持っているということは、該アート錯体と接触してラジカルを発生する能力を有していることを示すことになる。
このため、本発明の二液硬化型接着剤において、第二の液体がアミニウム化合物を含有する場合には、当該第二の液体が呈する色から、本発明の重合開始剤の活性の有無を容易に視認することができる。
本発明におけるアミニウム化合物としては、下記一般式(2)で表されるアミニウム化合物であることが特に好ましい。
一般式(2)中、R5、R6、及びR7は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、R5、R6、及びR7の中から選ばれる2つの基は互いに連結して環構造を形成していてもよい。X-は対アニオンを表す。
上記R5、R6、及びR7は、置換基を導入可能な場合には、更に置換基を有していてもよい。
上記R5、R6、及びR7は、置換基を導入可能な場合には、更に置換基を有していてもよい。
一般式(2)中、R5、R6、及びR7がアルキル基を表す場合、該アルキル基は、前記一般式(1)においてR1で表されるアルキル基と同義である。
但し、ラジカルカチオンを安定化するために、ラジカルカチオン構造をとる窒素原子はR5、R6、及びR7で立体的に保護されていることが好ましい。
また、R5、R6、及びR7は、HOMOのエネルギーレベルを調整する目的で、電子吸引性基を有することが好ましい場合もある。
但し、ラジカルカチオンを安定化するために、ラジカルカチオン構造をとる窒素原子はR5、R6、及びR7で立体的に保護されていることが好ましい。
また、R5、R6、及びR7は、HOMOのエネルギーレベルを調整する目的で、電子吸引性基を有することが好ましい場合もある。
一般式(2)中、R5、R6、及びR7で表されるアルキル基としては、具体的には次のものが好ましい。
一般式(2)中、R5、R6、及びR7がアリール基を表す場合、該アリール基は、前記一般式(1)においてR2、R3、及びR4で表されるアリール基と同義である。R5、R6、及びR7表される基がアリール基である場合は、2つのアリール基が互いに連結して環構造を形成していてもよい。
但し、ラジカルカチオンを安定化するために、アリール基は核上に置換基を有していることが好ましく、置換位置としては、窒素原子に対してパラ位、又はオルト位が好ましい。あるいは、メタ位に嵩高い置換基を導入して、パラ位、及びオルト位を立体的に保護することも有効である。置換位置としてより好ましくはパラ位である。また、置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アシル基、及びパーフルオロアルキル基が好ましい。
また、HOMOのエネルギーレベルを調整する目的で、電子吸引性基を有することが好ましい場合もある。
但し、ラジカルカチオンを安定化するために、アリール基は核上に置換基を有していることが好ましく、置換位置としては、窒素原子に対してパラ位、又はオルト位が好ましい。あるいは、メタ位に嵩高い置換基を導入して、パラ位、及びオルト位を立体的に保護することも有効である。置換位置としてより好ましくはパラ位である。また、置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アシル基、及びパーフルオロアルキル基が好ましい。
また、HOMOのエネルギーレベルを調整する目的で、電子吸引性基を有することが好ましい場合もある。
一般式(2)中、R5、R6、及びR7がヘテロ環基を表す場合、該ヘテロ環基は、前記一般式(1)においてR2、R3、及びR4で表されるヘテロ環基と同義である。
但し、ラジカルカチオンを安定化するために、ヘテロ環基は核上に置換基を有していることが好ましく、好ましい置換位置は特に限定されない。
但し、ラジカルカチオンを安定化するために、ヘテロ環基は核上に置換基を有していることが好ましく、好ましい置換位置は特に限定されない。
一般式(2)中、X-は対アニオンを表し、該対アニオンとしては、炭素数1〜20のパーフルオロアルキルカルボン酸(例えば、パーフルオロオクタン酸、パーフルオロデカン酸、パーフルオロドデカン酸)、炭素数1〜20のパーフルオロアルキルスルホン酸(例えば、パーフルオロオクタンスルホン酸、パーフルオロデカンスルホン酸、パーフルオロヘキサデカンスルホン酸)、炭素数7〜50の芳香族カルボン酸(例えば、4,4−ジ−t−ブチルサリチル酸、4−t−オクチルオキシ安息香酸、2−n−オクチルオキシ安息香酸、4−t−ヘキサデシル安息香酸、2,4−ビス−n−オクタデシルオキシ安息香酸、4−n−デシルナフトエ酸)、
炭素数6〜50の芳香族スルホン酸(例えば、1,5−ナフタレンジスルホン酸、4−t−オクチルオキシベンゼンスルホン酸、4−n−ドデシルベンゼンスルホン酸)、4,5−ジ−t−ブチル−2−ナフトエ酸、テトラフッ化ホウ酸、テトラフェニルホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、炭素数2〜20のビス(アルキルスルホニル)イミン、炭素数2〜20のビス(パーフルオロメタンスルホニル)イミン等が挙げられる。中でも、炭素数6〜16のパーフルオロアルキルカルボン酸、炭素数10〜40の芳香族カルボン酸、炭素数10〜40の芳香族スルホン酸、テトラフッ化ホウ酸、テトラフェニルホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサクロロアンチモン、炭素数2〜20のビス(パーフルオロメタンスルホニル)イミン等が好ましい。
以下に、一般式(2)で表されるアミニウム化合物の具体的な化合物例〔例示化合物(B−1)〜(B−14)〕を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<アート錯体と電子受容性化合物との組合せ方>
本発明における重合開始剤は、アート錯体と、電子受容性化合物(好ましくは、アミニウム化合物)とが共存すると、アート錯体から電子受容性化合物に一電子移動が起こることにより開始ラジカルを発生するものである。
本発明における重合開始剤により、開始ラジカルが生起するためには、アート錯体の基底状態におけるHOMO(最高被占軌道)から、電子受容性化合物の基底状態におけるSOMO(半占軌道)に対して一電子移動が起らなければならないと考えられ、かかる反応が生起するためには、電子受容性化合物の基底状態におけるSOMOのエネルギーレベルが、アート錯体の基底状態のHOMOのエネルギーレベルに対して低いことが必要となる。
本発明における重合開始剤は、アート錯体と、電子受容性化合物(好ましくは、アミニウム化合物)とが共存すると、アート錯体から電子受容性化合物に一電子移動が起こることにより開始ラジカルを発生するものである。
本発明における重合開始剤により、開始ラジカルが生起するためには、アート錯体の基底状態におけるHOMO(最高被占軌道)から、電子受容性化合物の基底状態におけるSOMO(半占軌道)に対して一電子移動が起らなければならないと考えられ、かかる反応が生起するためには、電子受容性化合物の基底状態におけるSOMOのエネルギーレベルが、アート錯体の基底状態のHOMOのエネルギーレベルに対して低いことが必要となる。
従って、本発明における重合開始剤は、アート錯体の基底状態におけるHOMOのエネルギーレベルと、電子受容性化合物の基底状態におけるSOMOのエネルギーレベルとが、上記の条件を満たすように、アート錯体と電子受容性化合物とが組み合わされる。
上記の条件を満たすように用いられる電子受容性化合物としては、既述のごとく、基底状態におけるSOMOのエネルギーレベルが、−12.00eV以下のであることが好ましい。
ここで、本発明における上記SOMOのエネルギーレベルは、富士通(株)製のWinMOPAC 3を用い、ハミルトニアン AM1、パラメータ設定 UHF(Unrestrict Hertree Flock)で構造最適化及び電位の計算を実施して得た値である。
上記SOMOのエネルギーレベルについて、前記した例示化合物(アミニウム化合物)を例に具体的な値を示せば以下の通りである。
・例示化合物(B−1) −12.75eV
・例示化合物(B−2) −12.90eV
・例示化合物(B−3) −13.17eV
・例示化合物(B−4) −13.34eV
・例示化合物(B−6) −12.98eV
・例示化合物(B−8) −13.84eV
・例示化合物(B−9) −13.17eV
・例示化合物(B−11) −12.89mV
ここで、本発明における上記SOMOのエネルギーレベルは、富士通(株)製のWinMOPAC 3を用い、ハミルトニアン AM1、パラメータ設定 UHF(Unrestrict Hertree Flock)で構造最適化及び電位の計算を実施して得た値である。
上記SOMOのエネルギーレベルについて、前記した例示化合物(アミニウム化合物)を例に具体的な値を示せば以下の通りである。
・例示化合物(B−1) −12.75eV
・例示化合物(B−2) −12.90eV
・例示化合物(B−3) −13.17eV
・例示化合物(B−4) −13.34eV
・例示化合物(B−6) −12.98eV
・例示化合物(B−8) −13.84eV
・例示化合物(B−9) −13.17eV
・例示化合物(B−11) −12.89mV
なお、アート錯体と電子受容性化合物との組合せを見積もるためには、便宜的に、アート錯体と電子受容性化合物の酸化還元電位が用いられる。
アート錯体の酸化電位としては、400mVから1500mVの範囲のものが好ましく、安定性の点からは600mV以上が特に好ましく、一電子移動の効率の点からは1200mV以下が特に好ましい。
この場合のアート錯体の酸化電位は、電解質として0.1モル濃度のテトラエチルアンモニウムパークロレート塩を使用し、試料濃度は5×10-5モル濃度で調整した液を、参照電極をSCEとしPt回転電極で測定したものである。
アート錯体の酸化電位としては、400mVから1500mVの範囲のものが好ましく、安定性の点からは600mV以上が特に好ましく、一電子移動の効率の点からは1200mV以下が特に好ましい。
この場合のアート錯体の酸化電位は、電解質として0.1モル濃度のテトラエチルアンモニウムパークロレート塩を使用し、試料濃度は5×10-5モル濃度で調整した液を、参照電極をSCEとしPt回転電極で測定したものである。
例えば、本発明に係るアート錯体の酸化電位(mV)として、前述したアート錯体の例示化合物における酸化電位(mV)を示せば下記の通りとなる。
・例示化合物(A−1) 909mV
・例示化合物(A−2) 678mV
・例示化合物(A−3) 910mV
・例示化合物(A−4) 910mV
・例示化合物(A−5) 998mV
・例示化合物(A−6) 1131mV
・例示化合物(A−7) 1071mV
・例示化合物(A−8) 563mV
・例示化合物(A−1) 909mV
・例示化合物(A−2) 678mV
・例示化合物(A−3) 910mV
・例示化合物(A−4) 910mV
・例示化合物(A−5) 998mV
・例示化合物(A−6) 1131mV
・例示化合物(A−7) 1071mV
・例示化合物(A−8) 563mV
電子受容性化合物の還元電位(mV)は、900mVから2200mVの範囲のものが好ましく、安定性の点からは1800mV以下が特に好ましく、一電子移動の効率の点からは1100mV以上が特に好ましい。
この場合の電子受容性化合物の還元電位は、「Chemische Berichte」,p2557−2567(1991)のp2563に記載されている方法で測定したものであり、参照電極はNHEである。
この場合の電子受容性化合物の還元電位は、「Chemische Berichte」,p2557−2567(1991)のp2563に記載されている方法で測定したものであり、参照電極はNHEである。
例えば、本発明に係る電子受容性化合物の還元電位(mV)として、前述したアミニウム化合物の例示化合物における還元電位(mV)を示せば下記の通りとなる。
・例示化合物(B−1) 1300mV
・例示化合物(B−2) 1720mV
・例示化合物(B−3) 1500mV
・例示化合物(B−4) 1680mV
・例示化合物(B−5) 1800mV
・例示化合物(B−6) 1450mV
・例示化合物(B−7) 1640mV
・例示化合物(B−8) 1600mV
・例示化合物(B−9) 1850mV
・例示化合物(B−10) 1680mV
・例示化合物(B−1) 1300mV
・例示化合物(B−2) 1720mV
・例示化合物(B−3) 1500mV
・例示化合物(B−4) 1680mV
・例示化合物(B−5) 1800mV
・例示化合物(B−6) 1450mV
・例示化合物(B−7) 1640mV
・例示化合物(B−8) 1600mV
・例示化合物(B−9) 1850mV
・例示化合物(B−10) 1680mV
アート錯体の使用量としては、後述する不飽和化合物1モルに対して、0.01モル%から50モル%が好ましく、0.1モル%から30モル%が特に好ましい。
アート錯体と電子受容性化合物との混合比としては、通常、モル比で1:3〜3:1であり、好ましくは1:1.5〜1.5:1である。
アート錯体と電子受容性化合物との混合比としては、通常、モル比で1:3〜3:1であり、好ましくは1:1.5〜1.5:1である。
(不飽和結合性化合物)
本発明の二液硬化型接着剤は、第1の液体及び/第2の液体に、上述したアート錯体及び電子受容性化合物の混合により発生した開始ラジカルによって重合可能な不飽和結合性化合物を含有する。
本発明における不飽和結合性化合物とは、炭素−炭素二重結合性基を柚須得る化合物を意味する。本発明における不飽和結合性化合物としては、重合性ビニルモノマーが挙げられる。
本発明の二液硬化型接着剤は、第1の液体及び/第2の液体に、上述したアート錯体及び電子受容性化合物の混合により発生した開始ラジカルによって重合可能な不飽和結合性化合物を含有する。
本発明における不飽和結合性化合物とは、炭素−炭素二重結合性基を柚須得る化合物を意味する。本発明における不飽和結合性化合物としては、重合性ビニルモノマーが挙げられる。
本発明で使用しうる重合性ビニルモノマーとしては、例えば、硬化速度等の面から液状又は固形状のアクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマー(以下、適宜、「(メタ)アクリレート」と総称する。)が好ましい。例として挙げれば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、各種のエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明における不飽和結合性化合物は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明における不飽和結合性化合物は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、必要に応じて、上述の(メタ)アクリレート系モノマー以外の重合性ビニルモノマーを使用することもできるが、重合速度の観点からは、第一の液体及び第二の液体に含有される重合性ビニルモノマーのうち、少なくとも70質量%がアクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマーであることが好ましい。
本発明に適用可能な(メタ)アクリレート系モノマー以外の重合性ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンN−ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、炭素数が6以上のオレフィン系炭化水素等が挙げられる。
本発明に適用可能な(メタ)アクリレート系モノマー以外の重合性ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンN−ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、炭素数が6以上のオレフィン系炭化水素等が挙げられる。
本発明における不飽和結合性化合物は、第1の液体又は第2の液体の何れか一方に含有され、第1の液体及び第2の液体の双方に含有されてもよい。重合反応を効果的に起こす観点からは、第1の液体及び第2の液体の双方に含有されことがより好ましい。
第1の液体又は第2の液体中における不飽和結合性化合物の含有量としては、該液体中における固形分換算で30〜95質量%の範囲が好ましく、40〜90質量%の範囲がより好ましく、50〜85質量%の範囲が更に好ましい
第1の液体又は第2の液体中における不飽和結合性化合物の含有量としては、該液体中における固形分換算で30〜95質量%の範囲が好ましく、40〜90質量%の範囲がより好ましく、50〜85質量%の範囲が更に好ましい
(アクリロニトリルブタジエン共重合体エラストマー)
本発明においては、剥離強度、衝撃強度を向上させる観点から、結合ブタジエン量が75〜95モル%のアクリロニトリルブタジエン共重合体エラストマー(以下「NBR」と略す。)を使用することが好ましい。
結合ブタジエン量が95モル%を越えたNBRやブタジエンのホモポリマー(ポリブタジエン)のみの使用では、前記不飽和結合性化合物として含有される(メタ)アクリレート等のビニルモノマーと相溶しないか又は相溶しても接着強度が低く、一方、結合ブタジエン量が75モル%未満のNBRでは、低温に於ける剥離強度、衝撃強度が低く、それぞれ本発明の効果の向上に寄与しえ得ない。但し、結合ブタジエン量が75〜95モル%のNBRと共に、結合ブタジエン量75%未満のNBRやその他のエラストマー、他のポリマーを使用することは差し支えない。
本発明においては、剥離強度、衝撃強度を向上させる観点から、結合ブタジエン量が75〜95モル%のアクリロニトリルブタジエン共重合体エラストマー(以下「NBR」と略す。)を使用することが好ましい。
結合ブタジエン量が95モル%を越えたNBRやブタジエンのホモポリマー(ポリブタジエン)のみの使用では、前記不飽和結合性化合物として含有される(メタ)アクリレート等のビニルモノマーと相溶しないか又は相溶しても接着強度が低く、一方、結合ブタジエン量が75モル%未満のNBRでは、低温に於ける剥離強度、衝撃強度が低く、それぞれ本発明の効果の向上に寄与しえ得ない。但し、結合ブタジエン量が75〜95モル%のNBRと共に、結合ブタジエン量75%未満のNBRやその他のエラストマー、他のポリマーを使用することは差し支えない。
本発明において、結合ブタジエン量が75〜95モル%のNBRの使用量としては、第一の液体及び第二の液体の双方に含有される重合性ビニルモノマーの全量を100質量部としたときに、5〜40質量%の範囲であることが好ましく、10〜30質量%の範囲であることがより好ましい。結合ブタジエン量が75〜95モル%のNBRの含有量が、上記範囲内である場合に、充分な剥離強度及び衝撃強度が発揮され、接着剤の塗布作業性を損なわない粘度とすることができる。
結合ブタジエン量が75〜95モル%のNBRは、第1の液体又は第2の液体の何れか一方に含有されてもよいし、第1の液体及び第2の液体の双方に含有されてもよい。保存安定性の観点からは、いずれか一方の液体に含有されることがより好ましい。
(酸性リン酸エステル類)
本発明の二液硬化型接着剤において、硬化速度を更に高める必要がある場合は、酸性リン酸エステル類を添加することができる。
本発明に使用しうる酸性リン酸エステルとしては、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルアシッドホスフェート、アリルアシッドホスフェート等が挙げられる。これらのうちでも分子内に不飽和二重結合を有するものは、硬化速度のみならず被着体に対する接着性を著しく向上させ得ることから、被着体が金属やガラスの場合特に好ましい。
上記酸性リン酸エステルは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の二液硬化型接着剤において、硬化速度を更に高める必要がある場合は、酸性リン酸エステル類を添加することができる。
本発明に使用しうる酸性リン酸エステルとしては、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルアシッドホスフェート、アリルアシッドホスフェート等が挙げられる。これらのうちでも分子内に不飽和二重結合を有するものは、硬化速度のみならず被着体に対する接着性を著しく向上させ得ることから、被着体が金属やガラスの場合特に好ましい。
上記酸性リン酸エステルは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明における酸性リン酸エステルの含有量としては、第一の液体及び第二の液体の双方に含有される重合性ビニルモノマーの全量を100質量部としたときに、0.01〜20質量部の範囲であることが好ましく、0.1〜10質量部の範囲であることがより好ましい。酸性リン酸エステルの含有量が、上記の範囲内であると、接着時の耐水性を損なうことなく硬化速度をより一層向上させることができる。
(その他の成分)
本発明においては、被着材への塗布後において、空気に接している部分の硬化を更に迅速にするために、各種のワックス類を加えてもよい。
使用しうるワックス類としては、融点が40℃以上のパラフィンワックス、カンデリラ蝋、蜜蝋、カルナバ蝋などが代表的なものとして挙げられる。ワックス類を使用する場合は、不飽和結合性化合物(モノマー)の種類により、適宜、一種又は二種以上を組合せて使用する。ワックス類の含有量としては、接着強度の観点から、第1の液体及び第二の液体に含有される全固形分に対し2質量%以下であることが好まし。
本発明においては、被着材への塗布後において、空気に接している部分の硬化を更に迅速にするために、各種のワックス類を加えてもよい。
使用しうるワックス類としては、融点が40℃以上のパラフィンワックス、カンデリラ蝋、蜜蝋、カルナバ蝋などが代表的なものとして挙げられる。ワックス類を使用する場合は、不飽和結合性化合物(モノマー)の種類により、適宜、一種又は二種以上を組合せて使用する。ワックス類の含有量としては、接着強度の観点から、第1の液体及び第二の液体に含有される全固形分に対し2質量%以下であることが好まし。
更に、第1の液体及び/又は第二の液体には、貯蔵安定性を改良する目的で各種の重合禁止剤や酸化防止剤を加えてもよい。重合禁止剤又は酸化防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジターシヤリ−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシヤリ−ブチルフェノール)、トリフェルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト,フェノチアジン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。重合禁止剤又は酸化防止剤の使用量としては、硬化性の観点から、第1の液体又は第二の液体に含有される不飽和結合性化合物(モノマー)の全量に対して3質量%以下であることが好ましい。
−第一の液体、第二の液体の調製−
第一の液体、及び第二の液体は常法により調製できる。具体的には、容器中に、調製する液体の組成成分を全て加えた後、攪拌機を用いて撹拌し、成分を均一に混合することにより調製できる。なお、必要に応じて、加熱してもよいが、内温50℃以下を保つことが好ましい。攪拌機の回転数としては、10rpm〜3000rpmが好ましく、特に、100rpm〜1000rpmが好ましい。
第一の液体、及び第二の液体は常法により調製できる。具体的には、容器中に、調製する液体の組成成分を全て加えた後、攪拌機を用いて撹拌し、成分を均一に混合することにより調製できる。なお、必要に応じて、加熱してもよいが、内温50℃以下を保つことが好ましい。攪拌機の回転数としては、10rpm〜3000rpmが好ましく、特に、100rpm〜1000rpmが好ましい。
本発明の二液硬化型接着剤を適用しうる被着材としては、例えば、ガラス板、金属板、プラスチック、木、等が挙げられる。特に、ガラス板、金属板が好ましい。プラスチックに適用する場合は、本発明の二液硬化型接着剤により溶解しないものに限り使用できる。金属の種類としては、アルミニウム、鉄(ステンレスを含む)、銅、金、チタン、ニッケル、亜鉛、ゲルマニウム、白金、等が挙げられる。これらの中でも、アルミニウム、鉄、銅が特に好ましい。
[接着方法]
本発明の接着方法は、上述した本発明の二液硬化型接着剤を用いた接着方法であって、該二液硬化型接着を構成する第一の液体及び第二の液体を混合して硬化反応させることを特徴とする。
本発明の接着方法の具体的な態様としては、(1)第一の液体と第二の液体とを混合してから、一方の若しくは両方の被着体(接着対象物及び被接着対象物)に塗布して接着する方法、(2)接着対象物と被接着対象物とに、第一の液体と第二の液体とをそれぞれ塗布した後、それぞれの塗布面を接触させて、第一の液体及び第二の液体を混合して接着する態様が挙げられる。本発明の接着方法としては上記(2)の態様が好ましい。
本発明の接着方法は、上述した本発明の二液硬化型接着剤を用いた接着方法であって、該二液硬化型接着を構成する第一の液体及び第二の液体を混合して硬化反応させることを特徴とする。
本発明の接着方法の具体的な態様としては、(1)第一の液体と第二の液体とを混合してから、一方の若しくは両方の被着体(接着対象物及び被接着対象物)に塗布して接着する方法、(2)接着対象物と被接着対象物とに、第一の液体と第二の液体とをそれぞれ塗布した後、それぞれの塗布面を接触させて、第一の液体及び第二の液体を混合して接着する態様が挙げられる。本発明の接着方法としては上記(2)の態様が好ましい。
以下、実施例により本発明を説明するが、明細書中の部、又は%はいずれも質量基準で示す。
(実施例1)
<A液の調整>
アート錯体〔例示化合物(A−4)〕8gとハイドロキノンモノメチルエーテル0.02gとを、メチルメタクリレート(MMA)30g及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)30gの混合液に加え、室温で約3時間撹拌、溶解させA液(本発明に係る第一の液体)を得た。
(実施例1)
<A液の調整>
アート錯体〔例示化合物(A−4)〕8gとハイドロキノンモノメチルエーテル0.02gとを、メチルメタクリレート(MMA)30g及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)30gの混合液に加え、室温で約3時間撹拌、溶解させA液(本発明に係る第一の液体)を得た。
<B液の調整>
電子受容性化合物〔例示化合物(B−1)〕2.5gとハイドロキノンモノメチルエーテル0.02gとを、メチルメタクリレート(MMA)50gに加え、更に、エラストマーとしてNBR(NipolDN401、日本ゼオン(株)製)を20g加え、室温で約3時間撹拌、溶解させB液(本発明に係る第二の液体)を得た。B液は目視により濃青色溶液であることを確認した。
以上により得られたA液及びB液が、本発明の二液硬化型接着剤である。
電子受容性化合物〔例示化合物(B−1)〕2.5gとハイドロキノンモノメチルエーテル0.02gとを、メチルメタクリレート(MMA)50gに加え、更に、エラストマーとしてNBR(NipolDN401、日本ゼオン(株)製)を20g加え、室温で約3時間撹拌、溶解させB液(本発明に係る第二の液体)を得た。B液は目視により濃青色溶液であることを確認した。
以上により得られたA液及びB液が、本発明の二液硬化型接着剤である。
<接着性試験>
接着の様子を観察する目的の基板として、厚さ1.0mmのガラス板2枚を用いた。A液及びB液のそれぞれを、別々に2枚のガラス板の被着面に塗布した。B液を塗布したガラス板は青色を呈した。両者を貼合せクリップで固定したところ、B液を塗布したガラス板に起因する青色は速やかに消色するとともに、ガラス板の接着が始まった。そのまま室温で24時間放置した。2枚のガラス板は強固に接着し、手で剥がすことができなかった。
接着の様子を観察する目的の基板として、厚さ1.0mmのガラス板2枚を用いた。A液及びB液のそれぞれを、別々に2枚のガラス板の被着面に塗布した。B液を塗布したガラス板は青色を呈した。両者を貼合せクリップで固定したところ、B液を塗布したガラス板に起因する青色は速やかに消色するとともに、ガラス板の接着が始まった。そのまま室温で24時間放置した。2枚のガラス板は強固に接着し、手で剥がすことができなかった。
<剥離強度試験>
接着させる基板として、厚さ0.6mm及び1.6mmのサンドブラスト処理したアルミニウム板を用いた。A液を上記厚さ0.6mmのアルミニウム板の被着面に、B液を上記厚さ1.6mmのアルミニウム板の被着面にそれぞれ塗布した後、両者を貼合せクリップで固定したまま室温で24時間放置し硬化させた。
このようにして接着した2枚のアルミニウム板の各温度雰囲気(−40℃、−20℃、0℃、25℃、50℃、80℃)中に於ける剥離強度をISO接着規格DIS4578に規定された方法に準拠して測定した。評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
−評価基準−
A: 剥離強度 15kg/25mm以上
B: 剥離強度 10〜15kg/25mm
C: 剥離強度 5〜10kg/25mm
D: 剥離強度 1〜5kg/25mm
E: 剥離強度 1kg/25mm以下
接着させる基板として、厚さ0.6mm及び1.6mmのサンドブラスト処理したアルミニウム板を用いた。A液を上記厚さ0.6mmのアルミニウム板の被着面に、B液を上記厚さ1.6mmのアルミニウム板の被着面にそれぞれ塗布した後、両者を貼合せクリップで固定したまま室温で24時間放置し硬化させた。
このようにして接着した2枚のアルミニウム板の各温度雰囲気(−40℃、−20℃、0℃、25℃、50℃、80℃)中に於ける剥離強度をISO接着規格DIS4578に規定された方法に準拠して測定した。評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
−評価基準−
A: 剥離強度 15kg/25mm以上
B: 剥離強度 10〜15kg/25mm
C: 剥離強度 5〜10kg/25mm
D: 剥離強度 1〜5kg/25mm
E: 剥離強度 1kg/25mm以下
なお、剥離強度の測定に際しては、接着剤のハミ出し部はナイフで切除してから行なった。この時、指触によりハミ出し部の硬化性の判定を行なったところ、ハミ出し部の硬化性は良好であった。
<保存安定性>
得られたA液及びB液を、褐色ガラス瓶内でドライエアー下に12時間曝したあと、スクリュー栓で蓋をして、温度条件40℃で、30日間、及び60日間保存した。
保存後に、A液及びB液を取り出した。B液は濃青色を呈していた。
保存後のA液及びB液を用いて、保存前と同様にして接着性試験を行ったところ、30日間及び60日間保存したものの何れについても、保存前と同様の強固な接着性が確認された。
さらに、剥離強度試験を保存前と同様にして行い評価した。結果を表1に示す。なお、ハミ出し部の硬化性は良好であった。
得られたA液及びB液を、褐色ガラス瓶内でドライエアー下に12時間曝したあと、スクリュー栓で蓋をして、温度条件40℃で、30日間、及び60日間保存した。
保存後に、A液及びB液を取り出した。B液は濃青色を呈していた。
保存後のA液及びB液を用いて、保存前と同様にして接着性試験を行ったところ、30日間及び60日間保存したものの何れについても、保存前と同様の強固な接着性が確認された。
さらに、剥離強度試験を保存前と同様にして行い評価した。結果を表1に示す。なお、ハミ出し部の硬化性は良好であった。
(実施例2〜4)
実施例1のB液の調製において用いたNBR(NipolDN401、日本ゼオン(株)製)を、表1に記載の各エラストマーに換えた他は、実施例1と同様にA液及びB液の調製行って、実施例2〜4の二液硬化型接着剤を得た。得られた各接着剤を用いて接着した2枚のアルミニウム板の接着性試験を行ったところ、青色の消色が視認されると共に、何れの接着剤についても強固な接着性が確認された。また、剥離強度試験についても実施例1と同様にして行い評価した。結果を表1に示す。
更に、得られた二液硬化型接着剤について、実施例1と同様にして保存安定性を評価した。
保存後の接着性試験については、30日間及び60日間保存したものの何れについても、保存前と同様の強固な接着性が確認された。
さらに、剥離強度試験を保存前と同様にして行い評価した。結果を表1に示す。
なお、ハミ出し部の硬化性は良好であった。
結果を表1に示す。
実施例1のB液の調製において用いたNBR(NipolDN401、日本ゼオン(株)製)を、表1に記載の各エラストマーに換えた他は、実施例1と同様にA液及びB液の調製行って、実施例2〜4の二液硬化型接着剤を得た。得られた各接着剤を用いて接着した2枚のアルミニウム板の接着性試験を行ったところ、青色の消色が視認されると共に、何れの接着剤についても強固な接着性が確認された。また、剥離強度試験についても実施例1と同様にして行い評価した。結果を表1に示す。
更に、得られた二液硬化型接着剤について、実施例1と同様にして保存安定性を評価した。
保存後の接着性試験については、30日間及び60日間保存したものの何れについても、保存前と同様の強固な接着性が確認された。
さらに、剥離強度試験を保存前と同様にして行い評価した。結果を表1に示す。
なお、ハミ出し部の硬化性は良好であった。
結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1のA液の調製において、メチルメタクリレート(MMA)30gを20gに変更し、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)30gを29.5gに変更し、更に、ブチルアシッドホスフェートを1g添加した他は、実施例1と同様にして、実施例5の二液硬化型接着剤を得た。
得られた接着剤を用いて、実施例1と同様にして評価した。実施例5の接着剤は、室温に12時間放置することで、実施例1の接着剤と同様の接着性及び剥離強度を示し、酸性リン酸エステルであるブチルアシッドホスフェートの添加により、硬化速度が高まったことが確認された。更に、実施例1と同様にして保存安定性を評価したところ、実施例1と同様の結果が得られた。結果を表1に示す。
実施例1のA液の調製において、メチルメタクリレート(MMA)30gを20gに変更し、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)30gを29.5gに変更し、更に、ブチルアシッドホスフェートを1g添加した他は、実施例1と同様にして、実施例5の二液硬化型接着剤を得た。
得られた接着剤を用いて、実施例1と同様にして評価した。実施例5の接着剤は、室温に12時間放置することで、実施例1の接着剤と同様の接着性及び剥離強度を示し、酸性リン酸エステルであるブチルアシッドホスフェートの添加により、硬化速度が高まったことが確認された。更に、実施例1と同様にして保存安定性を評価したところ、実施例1と同様の結果が得られた。結果を表1に示す。
表1に示すように、本発明の二液硬化型接着剤は、保存前及び保存後ともに、低温から高温に亘る広い温度範囲で高い剥離強度を有していることが判る。
(比較例1)
実施例1のA液の調製において、アート錯体〔例示化合物(A−4)〕を使用しなかった他は実施例1と同様にA液及びB液の調製し比較例の接着剤を得た。これを用いて接着性試験を行ったが、ガラス板、アルミニウム板ともに接着しなかった。
実施例1のA液の調製において、アート錯体〔例示化合物(A−4)〕を使用しなかった他は実施例1と同様にA液及びB液の調製し比較例の接着剤を得た。これを用いて接着性試験を行ったが、ガラス板、アルミニウム板ともに接着しなかった。
(比較例2)
実施例1のB液の調整において、電子受容性化合物〔例示化合物(B−1)〕を使用しなかった他は、実施例1と同様にA液及びB液の調製して比較例の接着剤を得た。これを用いて接着性試験を行ったが、ガラス板、アルミニウム板ともに接着しなかった。
実施例1のB液の調整において、電子受容性化合物〔例示化合物(B−1)〕を使用しなかった他は、実施例1と同様にA液及びB液の調製して比較例の接着剤を得た。これを用いて接着性試験を行ったが、ガラス板、アルミニウム板ともに接着しなかった。
以上のように、本発明の二液硬化型接着剤は、従来のSGAと呼ばれる接着剤が有していた優れた性能、即ち、優れた作業性、室温付近での高い接着強度、ハミ出し部分の硬化性等を些かも損なうことなく、しかも低温から高温に至る広い環境条件下で優れた接着性能を有する。従って、従来、接着剤の使用が困難とされていた低温部、高温部、更には被着物が激しい温度変化を受ける箇所への適用が可能となり、きわめて有用なものである。
Claims (12)
- 第一の液体と第二の液体とに分離された二液硬化型接着剤であって、前記第一の液体にSOMO(半占軌道)を有する電子受容性化合物を含有し、前記第二の液体に前記電子受容性化合物と接触することにより開始ラジカルを発生するアート錯体を含有し、かつ、前記第一の液体及び/又は第二の液体に、前記開始ラジカルにより重合可能な不飽和結合性化合物を含有することを特徴とする二液硬化型接着剤。
- 前記電子受容性化合物のSOMOのエネルギーレベルが、前記アート錯体の基底状態におけるHOMO(最高被占軌道)のエネルギーレベルよりも低いことを特徴とする請求項1に記載の二液硬化型接着剤。
- 前記アート錯体が、金属−アルキル結合を少なくとも一つ有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の二液硬化型接着剤。
- 前記アート錯体と前記電子受容性化合物とを混合することにより、アルキルラジカルが生成することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の二液硬化型接着剤。
- 前記電子受容性化合物が、ラジカルカチオン化合物であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の二液硬化型接着剤。
- 前記第一の液体及び/又は第二の液体に含有される不飽和結合性化合物が、重合性ビニルモノマーであり、
更に、前記第一の液体及び/又は第二の液体に、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体エラストマーを、前記第一の液体及び第二の液体に含有される重合性ビニルモノマーの全量100質量部に対して5〜40質量部含有し、且つ、該アクリロニトリル−ブタジエン共重合体エラストマー中の結合ブタジエン量が75〜95モル%であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の二液硬化型接着剤。 - 前記重合性ビニルモノマーのうち、少なくとも70質量%がアクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマーであることを特徴とする請求項8に記載の二液硬化型接着剤。
- 前記第一の液体及び/又は第二の液体が、更に、酸性リン酸エステルを含有し、該酸性リン酸エステルの含有量が、前記不飽和結合性化合物の全量100質量部に対して0.01〜20質量部であることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の二液硬化型接着剤。
- 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の二液硬化型接着剤を用いた接着方法であって、該二液硬化型接着を構成する第一の液体及び第二の液体を混合して硬化反応させることを特徴とする接着方法。
- 接着対象物と被接着対象物とに、前記第一の液体と第二の液体とをそれぞれ塗布した後、それぞれの塗布面を接触させて、前記第一の液体及び第二の液体を混合することを特徴とする請求項11に記載の接着方法。
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Cited By (3)
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WO2013051552A1 (ja) * | 2011-10-06 | 2013-04-11 | 株式会社カネカ | Fpdの製造方法、貼り合わせの方法、およびfpd貼り合わせ用光硬化性組成物 |
JP2013087081A (ja) * | 2011-10-18 | 2013-05-13 | Hitachi Chemical Co Ltd | 電子受容性化合物及びその製造方法、該化合物を含む重合開始剤、有機エレクトロニクス材料及びこれらを用いた有機薄膜、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、照明装置、並びに表示装置 |
JP2017031264A (ja) * | 2015-07-30 | 2017-02-09 | デンカ株式会社 | 組成物 |
-
2005
- 2005-04-08 JP JP2005112620A patent/JP2006291013A/ja active Pending
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