JP2006290884A - まつ毛用化粧料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(1)メタクリル酸及び/又はその塩(a)由来の構成単位と、20℃の水100gに対する溶解度が2g以下のモノマー(b)由来の構成単位を含み、ガラス転移温度が80℃以上である皮膜形成性ポリマー(A)を含有するまつ毛用化粧料、及び(2)皮膜形成性ポリマー(A)をアミノ基含有有機化合物で中和した後、得られた中和物を他の成分と配合する、まつげ用化粧料の製造方法である。
【選択図】なし
Description
しかし、カールアップ効果が高いマスカラは、ビューラー(まつ毛矯正器)でまつ毛をカールさせた後、カールしたまつ毛が重力で下に下がってくる前に、マスカラ液をまつ毛に塗布し、マスカラ皮膜でまつ毛をカールした状態で固めるという特徴を有している。このため、マスカラ液の速乾性が高く、塗布時にダマが発生しやすく、時間がかかる割に仕上がりの美しさが損なわれることが多かった。
特許文献2には、ケラチン繊維に接着可能なポリマーと固体粒子等との組み合わせにより、特許文献3には、角質層の1%を越える収縮を起こす皮膜を形成できるポリマーとワックス型エマルジョンの組み合わせにより、まつ毛にカールアップ効果とまつ毛を濃くする効果を与えるマスカラ組成物が開示されている。しかしながら、特許文献2及び3のマスカラ組成物は、使用時にダマが発生しやすく仕上がりが十分ではなく、また、耐湿性が低いため、カールしたまつ毛が主に湿度に起因して時間の経過とともに下を向いてきてしまうという問題があった。
さらに、これらのマスカラは、使用中にマスカラ皮膜の一部がまつ毛から剥落し、下まぶたに付着して化粧崩れを起こす場合があった。
すなわち、本発明は、
(1)メタクリル酸及び/又はその塩(a)由来の構成単位と、20℃の水100gに対する溶解度が2g以下のモノマー(b)由来の構成単位を含み、ガラス転移温度が80℃以上である皮膜形成性ポリマー(A)を含有するまつ毛用化粧料、及び
(2)皮膜形成性ポリマー(A)をアミノ基含有有機化合物で中和した後、得られた中和物を他の成分と配合する、上記(1)のまつげ用化粧料の製造方法、
を提供する。
また、本発明の製造方法によれば、まつ毛用化粧料を効率的に製造することができる。
本発明に係る皮膜形成性ポリマー(A)は、メタクリル酸及び/又はその塩(a)由来の構成単位と、20℃の水100gに対する溶解度が2g以下のモノマー(b)由来の構成単位を含み、ガラス転移温度が80℃以上であるポリマーである。
この皮膜形成性ポリマー(A)は、乾燥後に堅実な皮膜形成性を有するポリマーであり、また高収縮性を有しているため、皮膜化する際にカール性を発現する性質を有する。ここで、皮膜形成性とは、ポリマーの水溶液又は水分散液をシャーレに広げて25℃で乾燥させた後、皮膜を形成する性質を有することをいう。ただし、乾燥に伴い割れが生じてもよく、一枚の膜として得られる必要もない。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)により測定された値をいう。具体的には、下記の連続する温度プログラム1〜4の条件で測定を行った場合、温度プログラム3で測定される値をガラス転移温度とする。
温度プログラム:
1. 30〜250℃:昇温速度 30℃/min,保持時間 1min
2.250〜−50℃:冷却速度200℃/min,保持時間10min
3.−50〜250℃:昇温速度 10℃/min,保持時間 1min
4.250〜 30℃:冷却速度 30℃/min,保持時間 2min
また、皮膜形成性ポリマー(A)の形態は、溶液、水/アルコール混合溶液系、もしくはラテックス系等であっても、その形態にかかわらず、使用することができる。
皮膜形成性ポリマー(A)に含まれるカルボキシ基は、皮膜形成性ポリマー(A)をまつ毛用化粧料として使用する観点から、中和されることが好ましい。中和度としては、0.01〜0.6が好ましく、0.02〜0.55がより好ましく、0.02〜0.3がさらに好ましい。
特に、中和剤としてアミノ基含有有機化合物を用いることで高い柔軟性が得られ、これにより、水分の存在下においてもポリマーの割れが起きにくく、従って塗布されたまつ毛用化粧料がまつ毛から下まぶたに剥落する化粧崩れが起きにくい、高い柔軟性を有するまつ毛用化粧料を提供することができる。
かかるアミノ基含有有機化合物は、水溶性であるものが好ましく、アルカノールアミンがより好ましい。かかるアミノ基含有有機化合物の好適例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2-アミノ−2−メチル-1-プロパノール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシエチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。これらの中では、2-アミノ−2−メチル-1-プロパノールが特に好ましい。
中和の段階に特に制限はなく、重合前のメタクリル酸モノマーの段階、又は重合後のいずれの段階でも行うことができるが、アミノ基含有有機化合物を用いる場合は、その添加前に中和を行うことで、上述の柔軟性が効果的に発現する。
本発明においてはメタクリル酸及び/又はその塩(a)を用いる。メタクリル酸の塩としては、例えば上記中和剤の塩や、メタクリル酸アンモニウム塩等が挙げられる。メタクリル酸とその塩の質量比に特に制限はなく、メタクリル酸単独で、又はメタクリル酸の塩単独で使用してもよい。
皮膜形成性ポリマー(A)に含まれるメタクリル酸及び/又はその塩(a)の含有率は、10〜98質量%が好ましい。十分なカールアップ効果を得るためには、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。また、98質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましく、70質量%以下が特に好ましい。
本発明に係るモノマー(b)は、20℃の水100gに対する溶解度が2g以下、すなわち水不溶性であることを要する。モノマー(b)の溶解度が低くなるほど、塗布時にダマが発生しにくくなり、まつ毛用化粧料の耐湿性が向上し、高い耐湿性を得ることができるので好ましい。また、モノマー(b)は、該モノマー(b)を重合してホモポリマーとしたときのガラス転移温度が、カールアップ効果の観点から、80℃以上が好ましく、100℃以上がさらに好ましい。
皮膜形成性ポリマー(A)に含まれるモノマー(b)の含有率は、2〜90質量%が好ましい。十分な耐湿性を得るために、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましい。また、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下が特に好ましい。
上記のモノマー(b)のうち、メタクリル酸メチル、メタクリル酸tert-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル(下記一般式(1))、アクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル(下記一般式(2))、スチレン、tert-ブチルアクリルアミド、tert-ブチルメタクリルアミドがカールアップ効果の観点から好ましく、メタクリル酸メチル、tert-ブチルアクリルアミドがさらに好ましい。
なお、モノマー(b)は一種を単独で用いても、また二種以上を用いてもよい。
本発明のまつ毛用化粧料は、皮膜形成性ポリマー(A)を含有する。本発明のまつ毛用化粧料において、皮膜形成性ポリマー(A)の含有量は、良好なカールを与える観点から2質量%以上で、粘度の面で使用しやすい点から50質量%以下が好ましく、以上の観点からさらに3.5〜40質量%が好ましい。
針入度が8以上のワックスは、まつ毛用化粧料中に、0.1〜20質量%の範囲で含有することが好ましい。0.1質量%以上含有することで、まつ毛の十分なカールアップ効果を得ることができ、20質量%以下とすることで、良好な仕上がりを期待することができる。
本発明のまつ毛用化粧料への1価又は多価アルコールの配合量は、1〜12質量%が好ましく、2〜10質量%が更に好ましい。その配合量が1質量%以上であれば、ケラチン繊維への付着性向上し、12質量%以下であればカールアップ効果を維持することができる。なお、本発明のこれらの1価又は多価アルコールは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。
本発明のまつ毛用化粧料中の増粘剤の配合量は、まつ毛への付着性向上の観点から、0.01〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%が更に好ましい。
まつ毛への付着性の点から、該繊維は、太さが0.1〜20T、長さが0.1〜5mmのものが好ましい。この繊維の含有量は、十分なロングラッシュ効果を得られる点から、化粧料全量に対して0.1〜6質量%であることが好ましい。
低級アルコールとしては、炭素数1〜4のアルコール類が含まれ、例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール等が挙げられる。揮発性炭化水素油としては、炭素数8〜16の炭化水素油、特に石油由来のイソパラフィン(軽質イソパラフィン)、イソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルへプタン)等が挙げられる。また、揮発性シリコーンとしては、下記一般式(3)又は(4)で表される直鎖又は環状のシリコーンのうち揮発性のもの等が挙げられる。
より具体的には、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
これらの揮発性成分(B)の中では、取り扱いやすさの観点から、炭素数1〜4の低級アルコールが好ましく、特にはエタノールが好ましい。揮発性成分(B)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。
まつ毛用化粧料中の揮発性成分(B)の含有量は好ましくは30質量%以上であるが、特に揮発性成分(B)中に水を含むことが好ましい。さらに、水以外の揮発性成分(B)の含有量は20質量%以下が好ましい。
本発明のまつ毛用化粧料は、まつ毛のメークアップ用として、具体的にはマスカラとして用いられるものである。また、着色顔料を含有したものだけでなく、いわゆるまつ毛用下地剤もしくはトップコートとして使用することもできる。
ガラス製反応容器にエタノール2000gを入れ、室温で窒素バブリングを30分行った後、窒素雰囲気下63℃まで加熱した。アゾ系重合開始剤2,2’-アビゾス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業(株)製、V-65。以下の製造例でも同様である。)5.3gをエタノール30gに溶解した液を添加した後、メタクリル酸230g及びメタクリル酸メチル270g(いずれも三菱ガス化学(株)製。以下の製造例でも同様である。)の混合物を2時間かけて添加した。該混合物の添加終了後、63℃で6時間攪拌し、その後70℃に昇温し、2時間攪拌して重合を行った。
得られたポリマー溶液をメタノール/水=1/2混合溶液に滴下し、再沈殿を行った。沈殿物を回収し、減圧下、70℃で12時間以上乾燥し、ポリ(メタクリル酸−メタクリル酸メチル)を得た。NMRにて測定したポリマー組成はメタクリル酸/メタクリル酸メチル=44/56(質量比)であった。GPCにて測定した重量平均分子量は72000(ポリスチレン換算)であった。
得られたポリ(メタクリル酸−メタクリル酸メチル)80gをエタノール270gに溶解した液に、1N水酸化ナトリウム水溶液を86.7g滴下した。更に水を360g加え、エバポレーターにてエタノールを留去し、半透明のポリ(メタクリル酸−メタクリル酸メチル)ナトリウム塩の水溶液を得た(中和度0.2)。このポリマー水溶液はpH6であり、固形分は20%であった。
また、このポリマーのガラス転移温度(Tg)を示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC6200。以下の製造例でも同様である。)にて測定した結果、193℃であった。なお、メタクリル酸メチルのホモポリマーのTgは105℃である。
ガラス製反応容器にエタノール1900gを入れ、室温で窒素バブリングを30分行った後、窒素雰囲気下63℃まで加熱した。アゾ系重合開始剤2,2’−アビゾス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6.1gをエタノール30gに溶解した液を添加した後、メタクリル酸300g、tert−ブチルアクリルアミド300g、及びエタノール490gからなる混合物を2時間かけて添加した。該混合物の添加終了後、63℃で6時間攪拌し、その後71℃に昇温し、2時間攪拌して重合を行った。
得られたポリマー溶液をヘキサンに滴下し、再沈殿を行った。沈殿物を回収し、減圧下、70℃で12時間以上乾燥し、ポリ(メタクリル酸−tert−ブチルアクリルアミド)を得た。NMRにて測定したポリマー組成はメタクリル酸/tert−ブチルアクリルアミド=56/44(質量比)であった。GPCにて測定した重量平均分子量は66000(ポリスチレン換算)であった。
得られたポリ(メタクリル酸−tert−ブチルアクリルアミド)15gをエタノール70gに溶解した液に、1N水酸化ナトリウム水溶液を8.34g滴下した。更に水を70g加え、エバポレーターにてエタノールを留去し、白濁したポリ(メタクリル酸−tert−ブチルアクリルアミド)ナトリウム塩の水懸濁液を得た(中和度0.08)。このポリマー水懸濁液はpH5.8であり、固形分は22%であった。
また、このポリマーのTgを測定した結果、213℃であった。なお、tert−ブチルアクリルアミドのホモポリマーのTgは135℃である。
製造例2で得られたポリ(メタクリル酸−tert−ブチルアクリルアミド)15gをエタノール68gに溶解した液に、1N水酸化ナトリウム水溶液を4.08g滴下した。更に水を68g加え、エバポレーターにてエタノールを留去し、白濁したポリ(メタクリル酸−tert−ブチルアクリルアミド)ナトリウム塩の水懸濁液を得た(中和度0.04)。このポリマー水懸濁液はpH5.0であり、固形分は32%であった。
また、このポリマーのTgを測定した結果、198℃であった。
ガラス製反応容器にエタノール394gを入れ、室温で窒素バブリングを30分行った後、窒素雰囲気下63℃まで加熱した。アゾ系重合開始剤2,2’−アビゾス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.1gをエタノール20gに溶解した液を添加した後、メタクリル酸50g及びメタクリル酸tert−ブチル50g(三菱ガス化学(株)製)の混合物を2時間かけて添加した。該混合物の添加終了後、63℃で6時間攪拌し、その後70℃に昇温し、2時間攪拌して重合を行った。
得られたポリマー溶液をヘキサンに滴下し、再沈殿を行った。沈殿物を回収し、減圧下、70℃で12時間以上乾燥し、ポリ(メタクリル酸−メタクリル酸tert−ブチル)を得た。NMRにて測定したポリマー組成はメタクリル酸/メタクリル酸tert−ブチル=53/47(質量比)であった。GPCにて測定した重量平均分子量は55000(ポリスチレン換算)であった。
得られたポリ(メタクリル酸−メタクリル酸tert−ブチル)50gをエタノール225gに溶解した液に、1N水酸化ナトリウム水溶液を76.8g滴下した。更に水を148g加え、エバポレーターにてエタノールを留去し、半透明のポリ(メタクリル酸−メタクリル酸tert−ブチル)ナトリウム塩の水溶液を得た(中和度0.25)。このポリマー水溶液はpH7.0であり、固形分は19%であった。
また、このポリマーのTgを測定した結果、159℃であった。なお、メタクリル酸tert−ブチルのホモポリマーのTgは105℃である。
ガラス製反応容器にエタノール394gを入れ、室温で窒素バブリングを30分行った後、窒素雰囲気下63℃まで加熱した。アゾ系重合開始剤2,2’−アビゾス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.0gをエタノール20gに溶解した液を添加した後、メタクリル酸70g及びメタクリル酸イソボルニル30g(三菱ガス化学(株)製)の混合物を2時間かけて添加した。該混合物の添加終了後、63℃で6時間攪拌し、その後72℃に昇温し、2時間攪拌して重合を行った。
得られたポリマー溶液をヘキサンに滴下し、再沈殿を行った。沈殿物を回収し、減圧下、70℃で12時間以上乾燥し、ポリ(メタクリル酸−メタクリル酸イソボルニル)を得た。NMRにて測定したポリマー組成はメタクリル酸/メタクリル酸イソボルニル=59/41(質量比)であった。GPCにて測定した重量平均分子量は66000(ポリスチレン換算)であった。
得られたポリ(メタクリル酸−メタクリル酸イソボルニル)50gをエタノール225gに溶解した液に、1N水酸化ナトリウム水溶液を128.7g滴下した。更に水を96g加え、エバポレーターにてエタノールを留去し、半透明のポリ(メタクリル酸−メタクリル酸イソボルニル)ナトリウム塩の水溶液を得た(中和度0.4)。このポリマー水溶液はpH5.6であり、固形分は20%であった。
また、このポリマーのTgを測定した結果、217℃であった。なお、メタクリル酸イソボルニルのホモポリマーのTgは180℃である。
ガラス製反応容器にエタノール394gを入れ、室温で窒素バブリングを30分行った後、窒素雰囲気下63℃まで加熱した。アゾ系重合開始剤2,2’−アビゾス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.8gをエタノール20gに溶解した液を添加した後、メタクリル酸70g及びメタクリル酸ジシクロペンタニル30g(三菱ガス化学(株)製)の混合物を2時間かけて添加した。該混合物の添加終了後、63℃で6時間攪拌し、その後68℃に昇温し、2時間攪拌して重合を行った。
得られたポリマー溶液をヘキサンに滴下し、再沈殿を行った。沈殿物を回収し、減圧下、70℃で12時間以上乾燥し、ポリ(メタクリル酸−メタクリル酸ジシクロペンタニル)を得た。NMRにて測定したポリマー組成はメタクリル酸/メタクリル酸ジシクロペンタニル=57/43(質量比)であった。GPCにて測定した重量平均分子量は68000(ポリスチレン換算)であった。
得られたポリ(メタクリル酸−メタクリル酸ジシクロペンタニル)50gをエタノール56gに溶解した液に、1N水酸化ナトリウム水溶液を256g滴下した。更に水を225g加え、エバポレーターにてエタノールを留去し、半透明のポリ(メタクリル酸−メタクリル酸ジシクロペンタニル)ナトリウム塩の水溶液を得た(中和度0.6)。このポリマー水溶液はpH6.5であり、固形分は20%であった。
また、このポリマーのTgを測定した結果、208℃であった。なお、メタクリル酸ジシクロペンタニルのホモポリマーのTgは175℃である。
ガラス製反応容器にエタノール394gを入れ、室温で窒素バブリングを30分行った後、窒素雰囲気下63℃まで加熱した。アゾ系重合開始剤2,2’−アビゾス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.1gをエタノール20gに溶解した液を添加した後、メタクリル酸50g及びスチレン50gの混合物を2時間かけて添加した。該混合物の添加終了後、63℃で6時間攪拌し、その後70℃に昇温し、2時間攪拌して重合を行った。
得られたポリマー溶液をヘキサンに滴下し、再沈殿を行った。沈殿物を回収し、減圧下、70℃で12時間以上乾燥し、ポリ(メタクリル酸−スチレン)を得た。NMRにて測定したポリマー組成はメタクリル酸/スチレン=42/58(質量比)であった。GPCにて測定した重量平均分子量は37000(ポリスチレン換算)であった。
得られたポリ(メタクリル酸−スチレン)27gをエタノール123gに溶解した液に、1N水酸化ナトリウム水溶液を77.3g滴下した。更に水を46g加え、エバポレーターにてエタノールを留去し、半透明のポリ(メタクリル酸−スチレン)ナトリウム塩の水溶液を得た(中和度0.58)。このポリマー水溶液はpH7.4であり、固形分は18%であった。
また、このポリマーのTgを測定した結果、155℃であった。なお、スチレンのホモポリマーのTgは100℃である。
ガラス製反応容器にメタクリル酸600g、エタノール3L、アゾ系重合開始剤2,2’−アビゾス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3.46gを入れ、65℃で4時間重合した。
得られたポリマー溶液をヘキサン40Lに滴下し再沈殿を行った。沈殿物を回収し、減圧下、65℃で12時間以上乾燥した。
得られたポリメタクリル酸300gをガラス製反応容器に入れ、水975gを加え、70℃、12時間攪拌しながら溶解した。その後、30%水酸化ナトリウム水溶液を150g添加した。その後、防腐のため、エタノールを150g加えた。得られたPMAA(Na)水溶液は中和度0.3、pH6.3、固形分濃度は22.6%であった。得られたPMAAのGPCにて測定した重量平均分子量は130000(ポリエチレングリコール換算)であった。また、このポリマーのTgを測定した結果、208℃であった。
ガラス製反応容器にエタノール793gを入れて、室温で窒素バブリングを30分行った後、窒素雰囲気下63℃まで加熱した。アゾ系重合開始剤2,2’−アビゾス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2.07gをエタノール20gに溶解した液を添加した後、メタクリル酸54g及びメタクリル酸メチル146gの混合物を2時間かけて添加した。メタクリル酸及びメタクリル酸メチルの混合物の添加終了後、70℃に昇温、6時間攪拌して重合を行った。得られたポリマー溶液をメタノール/水=3/7混合溶液に滴下し、再沈殿を行った。沈殿物を回収し、減圧下、70℃で12時間以上乾燥し、ポリ(メタクリル酸/メタクリル酸メチル)を得た。NMRにて測定したポリマー組成はメタクリル酸/メタクリル酸メチル=20/80(質量比)であった。GPCにて測定した重量平均分子量は60000(ポリスチレン換算)であった。また、このポリマーのTgを測定した結果、156℃であった。
得られたポリ(メタクリル酸/メタクリル酸メチル)34.7gをエタノール105gに溶解した液に、10%の2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール水溶液を30.79g滴下した。更に水を177g加え、エバポレーターにてエタノールを留去し、半透明のポリ(メタクリル酸/メタクリル酸メチル)2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール塩の水溶液を得た(中和度0.42)。このポリマー水溶液はpH6.3であり、固形分は20%であった。また、このポリマーのTgを測定した結果、172℃であった。
ガラス製反応容器にエタノール2510gを入れ、室温で窒素バブリングを30分行った後、窒素雰囲気下63℃まで加熱した。アゾ系重合開始剤2,2’−アビゾス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5.3gをエタノール30gに溶解した液を添加した後、メタクリル酸230g及びメタクリル酸メチル270gの混合物を2時間かけて添加した。該混合物の添加終了後、63℃で6時間攪拌し、その後70℃に昇温し、2時間攪拌して重合を行った。
得られたポリマー溶液をメタノール/水=1/2混合溶液に滴下し、再沈殿を行った。沈殿物を回収し、減圧下、70℃で12時間以上乾燥し、ポリ(メタクリル酸/メタクリル酸メチル)を得た。NMRにて測定したポリマー組成はメタクリル酸/メタクリル酸メチル=43/57(質量比)であった。GPCにて測定した重量平均分子量は70000(ポリスチレン換算)であった。また、このポリマーのTgを測定した結果、158℃であった。
得られたポリ(メタクリル酸/メタクリル酸メチル)20gをエタノール60gに溶解した液に、10%の2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール水溶液を17.7g滴下した。更に水を120g加え、エバポレーターにてエタノールを留去し、半透明のポリ(メタクリル酸/メタクリル酸メチル)2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール塩の水溶液を得た(中和度0.2)。このポリマー水溶液はpH6であり、固形分は20%であった。
また、このポリマーのTgを測定した結果、188℃であった。
ガラス製反応容器にN−ステアロイル−N−メチルタウリンナトリウム(日光ケミカル社製、ニッコールSMT)0.6g、イオン交換水875gを入れて、攪拌しながら窒素置換を行った後、内温70℃まで加熱した。過硫酸アンモニウム2.5gをイオン交換水25gに溶解させた液を添加した後、メタクリル酸メチル200g、アクリル酸ブチル285g、アクリル酸15gを混合した液を3時間かけて滴下した。滴下終了後70℃で1時間反応させた後、75℃に昇温し、更に3時間反応を行った後、冷却を行い、1N水酸化ナトリウム水溶液73gを加えた。エバポレーターを用いて濃縮を行い、ポリマーラテックスを得た。粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−920)にて測定を行ったところポリマーラテックスの粒径は0.1μmであった。また、このポリマーラテックスのpHは6.5であり、固形分は50%であった。
長さ1〜1.5cmの毛髪を3本とり、水平に固定する。この毛髪に第1表及び第2表のマスカラ組成物を23℃、相対湿度60%で10回塗布し、水平面からの毛髪の反り角度を測定した。測定は3回行い、平均値を反り角度として下記基準で評価した。
スライドガラスにテープで片面を固定した2×5cmのPETフィルム(帝人デュポン(株)製、メリネックスS、フィルム厚さ75μm)の中心に、4mm幅で帯状にケラチン繊維付着用化粧料を0.04g塗布し、23℃、60%RHの条件下で乾燥し、3時間後のフィルムの湾曲角度を測定する。角度測定は分度器にて行い、1サンプルにつき3点測定し、その平均値を湾曲角度とした。
上記の方法でマスカラを塗布した毛髪について、専門パネラーによりダマ発生状態を目視し、下記判定を行った。
◎:ダマができない
○:ダマが僅かにできるが仕上がりに大きな影響はない
△:ダマが僅かにできて仕上がりに影響がある
×:ダマができる
75μmのPETフィルム(帝人(株)製、メリネックスS)上に、200μmの膜厚の皮膜を作り、第3表の化粧料組成物を塗布し、12時間乾燥後、90°折り曲げて皮膜にひびが入るまでの回数を測定した。測定は3回行い、平均値を柔軟性として評価した。
第3表のマスカラ組成物をまつ毛に塗り、7時間後の下まぶたの状態を、専門パネラー9人が下の基準で目視評価した。最も指示する人数が多かった評価を、化粧崩れの評価とした。
◎:マスカラ皮膜がほとんど剥落していない
○:マスカラ皮膜がやや剥落しているがあまり目立たない
×:マスカラ皮膜の剥落が目立つ
第1表に示す組成の化粧料を調製した。
実施例1〜3及び比較例1〜4の化粧料をまつ毛下地剤として使用したときの評価を、カールアップ効果の評価法(毛髪試験)、耐湿性の評価法、仕上がりの評価法を用いて行った。その結果を第1表に示す。
表1の注は、下記のとおりである。
(*1)ポリアクリル酸25%水溶液(PAA)(和光純薬工業(株)製)、粘度8000〜12000cP
(*2)N−(3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド(PDMAPAAm)
(*3)ジグリコール/シクロヘキサンジメタノール/イソフタレート/スルホンイソフタレートポリマー;「AQTM55S」(Eastman Chemical Company製)
第2表に示す組成のマスカラ組成物を調製した。
実施例4〜10及び比較例5〜8のマスカラ組成物の評価を、カールアップ効果の評価法(フィルム試験)、耐湿性の評価法、仕上がりの評価法を用いて行った。その結果を第2表に示す。
表2の注は、下記のとおりである。
(*4)カルナウバロウ;「精製カルナウバワックスNo.1」((株)セラリカ野田)、針入度1以下
(*5)ミツロウ;「BEES WAX−S」(クローダジャパン(株))、針入度18
(*6)ステアリン酸;「精製ステアリン酸700V」(花王(株)製)
第3表に示す組成の各成分を均一攪拌混合することにより、マスカラ組成物を調製した。各組成物の粘度は、いずれも25℃において100〜2000Pa・sの範囲であった。
実施例11〜13の化粧料組成物について、カールアップ効果(フィルム試験)、耐湿性、仕上がり、柔軟性、化粧崩れの評価を上記の方法に従って実施した。その結果を第3表に示す。
表3の注は、下記のとおりである。
(*7)極度水添ホホバ油(香栄興行(株))
(*8)パラフィンワックス「HNP−9」(日本精鑞(株))
(*9)ポリビニルアルコール「ゴーセノールEG−30」(日本合成化学(株))
(*10)製造例11のポリマーラテックス
(*11)ナイロン繊維 長さ:2mm、太さ:6.7T(ユニチカ(株))
Claims (11)
- メタクリル酸及び/又はその塩(a)由来の構成単位と、20℃の水100gに対する溶解度が2g以下のモノマー(b)由来の構成単位を含み、ガラス転移温度が80℃以上である皮膜形成性ポリマー(A)を含有するまつ毛用化粧料。
- 皮膜形成性ポリマー(A)に含まれるメタクリル酸及び/又はその塩(a)由来の構成単位の割合が10〜98質量%である請求項1に記載のまつ毛用化粧料。
- 皮膜形成性ポリマー(A)の重量平均分子量が5,000〜1,000,000である請求項1又は2に記載のまつ毛用化粧料。
- 皮膜形成性ポリマー(A)に含まれるカルボキシ基の全部又は一部が中和されている請求項1〜3のいずれかに記載のまつ毛用化粧料。
- 中和に用いる塩基性化合物がアミノ基含有有機化合物である、請求項4に記載のまつ毛用化粧料。
- アミノ基含有有機化合物が2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールである、請求項5に記載のまつ毛用化粧料。
- モノマー(b)が、該モノマー(b)を重合してホモポリマーとしたときのガラス転移温度が80℃以上である、請求項1〜6のいずれかに記載のまつ毛用化粧料。
- モノマー(b)が、アルキルアクリレート系モノマー、アルキルメタクリレート系モノマー、スチレン系モノマー、アルキルアクリルアミド系モノマー、及びアルキルメタクリルアミド系モノマーから選ばれる1種以上である、請求項1〜7いずれかに記載のまつ毛用化粧料。
- モノマー(b)がメタクリル酸メチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、スチレン、tert−ブチルアクリルアミド、及びtert−ブチルメタクリルアミドから選ばれる1種以上である、請求項1〜8いずれかに記載のまつ毛用化粧料。
- 皮膜形成性ポリマー(A)の含有量が0.5〜60質量%、請求項1〜9のいずれかに記載のまつ毛用化粧料。
- 皮膜形成性ポリマー(A)をアミノ基含有有機化合物で中和した後、得られた中和物を他の成分と配合する、請求項1〜10いずれかに記載のまつげ用化粧料の製造方法。
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