JP5193584B2 - まつ毛の化粧方法 - Google Patents

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Description

本発明は、まつ毛の化粧方法に関する。
まつ毛用化粧料としては、マスカラ剤が最も一般的に知られている。マスカラ剤を、例えばまつ毛(上まつ毛)の下側から塗布することにより、まつ毛をより太く、長く、カールアップさせて、目元をより強調することが可能である。特にまつ毛を上向きにカールアップさせることが、目元を強調するのに効果的である。
一方、通常のマスカラ剤は、これを塗布するだけではまつ毛を充分にカールアップさせることが困難である。このため、カールアップ効果を向上させたマスカラ剤が開発されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のマスカラ剤は、ケラチン繊維に接着可能で1%を超える収縮を起こす皮膜形成ポリマーと、高硬度のワックスとの組合せによって、優れたカールアップ効果が得られるようになっている。
特開平11−255619号公報
しかしながら、マスカラ剤は、まつ毛全体に塗布して用いられるため、乾燥することによって収縮を起こす成分を含んでいても、その収縮機能がカールアップ効果に効率良く寄与していないのが現状である。特に、まつ毛の毛先の部分においては、毛の太さが細くなっているため、マスカラ剤が全周にわたって塗布されやすく、皮膜の収縮によって起こるカールアップ効果が相殺されて、先端部分まで行き届いたカールアップ効果を得ることが難しい。
また、マスカラ剤を塗布する方法以外のカールアップ効果を得るための方法として、ビューラーと呼ばれるまつ毛を挟んで上向きに折り曲げる化粧用具によって、まつ毛を上向きに癖付けする方法が知られている。しかしビューラーを用いた方法では、まつ毛の中でも太い根元の部分を上向きに癖付けすることは可能であるが、まつ毛の中でも細い毛先の部分を上向きに癖付けしようとすると、毛の太さが細くなっているため、癖が付きにくい。また目視しにくい部分であるために操作が困難である。その結果、まつ毛が根元から折れ曲がった不自然なカール形状となりやすかった。
本発明は、乾燥することによって収縮する物性を備えるまつ毛用化粧料の収縮機能を効率良く発揮させ、毛先の部分も含めたまつ毛の全体を効果的にカールアップすることを可能にして、仕上がりの美しいまつ毛を形成することのできるまつ毛の化粧方法を提供することを目的とする。
本発明は、乾燥することによって収縮する物性を備えるまつ毛用化粧料を上まつ毛の上側から塗布する塗布工程と、上まつ毛を持ち上げる持ち上げ工程とを含み、前記塗布工程の後に前記持ち上げ工程を行うまつ毛の化粧方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
本発明のまつ毛の化粧方法によれば、乾燥することによって収縮する物性を備えるまつ毛用化粧料の収縮機能を効率良く発揮させ、毛先の部分も含めたまつ毛の全体を効果的にカールアップすることを可能にして、仕上がりの美しいまつ毛を形成することができる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1(a),(b)には、本実施形態に係るまつ毛の化粧方法における塗布工程が例示されている。図2(a)〜(c)には、本実施形態に係るまつ毛の化粧方法における持ち上げ工程が例示されている。
そして、本実施形態のまつ毛の化粧方法は、まつ毛(上まつ毛)の毛先の部分を効果的にカールップするための化粧方法であって、乾燥することによって収縮する物性を備えるまつ毛用化粧料をまつ毛(上まつ毛)の上側から塗布する塗布工程と、まつ毛(上まつ毛)を持ち上げる持ち上げ工程とを含んでいる。
塗布工程では、図1(a),(b)に示すように、乾燥することによって収縮する物性を備えるまつ毛用化粧料をまつ毛10の上側から、好ましくは塗布されたまつ毛用化粧料がまつ毛10の下側に極力行きわたらない状態で塗布する。これによって、まつ毛用化粧料は、まつ毛10の上側に偏在することになり、まつ毛用化粧料の収縮機能によってまつ毛10が上側に反るように湾曲し易くなり、優れたカールアップ効果が得られることになる。
ここで、まつ毛用化粧料をまつ毛10の上側から塗布する作業は、例えば円柱状の把持棒11の一端面に多数の毛材12を植設してなる専用の塗布具13を用いて行うことができる(図1(a)参照)。また、例えば熱可塑性樹脂からなる複数のブラシ繊維束を、二条の金属芯線材によって挟持しながら、これらをらせん状に捻回することによって得られるマスカラブラシを塗布具として用いることもできる。さらに、例えばフロッキーチップ(図6参照)、樹脂成形ブラシ、コーム及びコイル状塗布具、綿棒等に含浸させて、又は指やヘラ状の塗布具を用いてまつ毛用化粧料をまつ毛10の上側から塗布することもできる。
なお、まつ毛用化粧料は、塗布具13に多量に保持されていると、まつ毛10の上側から塗布する際に、まつ毛10の下側に回りこみやすくなることから、塗布具13に少量保持された状態で、まつ毛10に塗布されることが好ましい。このため、例えばまつ毛用化粧料を収容する容器に設けられたしごきを通過させることにより、塗布具13に保持されるまつ毛用化粧料が少量となるように抑制しつつ塗布作業を行うことが好ましい。
また、本実施形態では、まつ毛10の下側から例えば塗布台14を押し当てた状態で、まつ毛用化粧料をまつ毛10の上側から塗布することが好ましい(図1(b)参照)。これによって、まつ毛10の上側から塗布されたまつ毛用化粧料がまつ毛10の下側に回りこむのを効果的に防止することが可能になる。また表面が吸収性材料からなる塗布台14を用いることでまつ毛10の下側に回りこもうとするまつ毛用化粧料を吸収して、塗布されたまつ毛用化粧料が、まつ毛10の上側にのみ偏在するように容易に調整することが可能になる。
これらによって、塗布工程おいて、まつ毛10の根元部分から毛先の部分の全長に亘って、まつ毛用化粧料をまつ毛10の下側に極力行きわたらないようにして、まつ毛10の上側に偏在させた状態で容易に塗布することが可能になる。また必要に応じて、まつ毛10の毛先の部分にのみ、まつ毛用化粧料をまつ毛10の上側に偏在させた状態で塗布することも可能になる。
持ち上げ工程では、図2(a)〜(c)に示すように、乾燥することによって収縮する物性を備えるまつ毛用化粧料が上側から塗布されたまつ毛10を、上に向けて持ち上げる。まつ毛10を持ち上げる作業は、まつ毛10を下から押し上げたり、まつ毛10を上から摘んで持ち上げたり、まつ毛10を上下から挟んで持ち上げたりすることによって行うことができる。またまつ毛10を持ち上げる作業は、コームや綿棒、手指によって直接行うこともできるし、通常のマスカラを下から塗布して持ち上げてもよいが、まつ毛10を下から持ち上げる機能を有する化粧用具として、専用の持ち上げ具15を用いて行うことが好ましい。
ここで、専用の持ち上げ具15としては、例えば長手方向に沿って内側に湾曲したアーチ形状の凹面16を備える板状の基台17を、支持軸18に取り付けたものを用いることができる。基台17や支持軸18は、特に特定されないが、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマー樹脂などの軽量素材から構成することができる。基台17は、その長手方向の長さが10〜40mm、特に15〜30mmであることが、目元での作業性の点から好ましい。基台17の凹面16の長手方向のアーチ形状は、曲率半径が15mm以上、特に25mm以上となっていることが、瞼の湾曲に合わせてまつ毛10を確実に持ち上げることができる点から好ましい。
また、基台17の押し上げ面となる凹面16には、例えば毛材を、まつ毛10に押し当てたときに毛材間にまつ毛10が容易に入り込み難い程度の高密度で密植させておくことができる。さらに、基台17の凹面16は、図3に示すように、長手方向と垂直な方向にも内側に湾曲するように形成することができる。凹面16に凹凸19を設けることもできる。
凹面16に設けられる凹凸19は、長手方向と垂直な方向に平行に延設する多数の突条や溝を長手方向に連設配置したり、フロッキー加工やエンボス加工等を施すことによって、容易に形成することができる。また、凹面16をサンドペーパーで擦って粗面としたり、多数のスポンジの小片を不連続に貼り付けることによって、凹凸19を形成することもできる。
凹凸19は、凹面16の全体に亘って設けることができる他、凹面16の長手方向の中央部分を挟んだ両側にのみ設けたり(図3参照)、凹面16の長手方向の中央部分にのみ設けることもできる。また凹面16の長手方向と垂直な方向に間欠的に配置された複数の列として設けることもできる。
なお、基台17を厚板状に形成したり、例えば三角形や四角形の断面形状を備えるように形成して、複数の面に凹面16を備えるものとして、専用の持ち上げ具15を形成することもできる。
そして、持ち上げ工程では、好ましくは図2(a)〜(c)に示すように、専用の持ち上げ具15を用いて、例えば凹面16を下側からまつ毛10に押し当てると共に、押し当てた凹面16を、まつ毛10の毛先側にスライドさせながら、まつ毛10を反らせるようにして回転させつつ所望のカールアップ形状に沿うように上方に移動させる(図2(a)参照)。また凹面16が瞼と対向するようになったら、まつ毛10の毛先の部分を凹面16によって瞼側に押し付け、押し付けた状態を例えば5秒間程度保持する(図2(b)参照)。このような操作を、例えば目尻から目頭にかけて数回行うことにより、まつ毛用化粧料の乾燥による収縮機能と相まって、まつ毛10の根元部分から毛先の部分の全長に亘って、まつ毛10が上方に向けてカールされた、綺麗なカールアップ形状が得られることになる。また特に、まつ毛10の毛先の部分を容易且つ効果的にカールアップすることが可能になる(図2(c)参照)。
本実施形態では、持ち上げ工程は、まつ毛用化粧料をまつ毛10の上側から塗布する塗布工程の後に、塗布したまつ毛用化粧料が乾燥するのに先立って行うことが好ましい。これによって、まつ毛用化粧料を塗布してから持ち上げ工程までの間に、僅かではあるが塗布したまつ毛用化粧料が乾燥し、持ち上げ工程の際に乾燥による収縮効果が発揮されやすくなる。
また、本実施形態では、持ち上げ工程は、例えば両手を使って、まつ毛用化粧料をまつ毛10の上側から塗布する塗布工程と同時に行うこともできる。これによって、化粧行為の時間短縮が可能になる。
さらに、本実施形態では、乾燥することによって収縮する物性を備えるまつ毛用化粧料の塗布工程と持ち上げ工程は、マスカラ剤やトップコート、マスカラ下地等の通常用いられるまつ毛用化粧料と、どのような使用順序でも組み合わせて使用することができるが、特にマスカラ剤をまつ毛10に塗布した後に行うことが好ましい。例えばマスカラ剤をまつ毛10に塗布してこれが乾燥すると、まつ毛10の1本1本が太くなり、また複数本にまとまった状態になりやすいので、しかる後に上述の塗布工程と持ち上げ工程を行うことにより、まつ毛用化粧料がまつ毛10の下側に行きわたりにくくなる。その結果、まつ毛10の上側に偏在させることが容易になり、これによって仕上り性がさらに優れたカールアップ効果を得ることが可能になる。また、マスカラ剤として、収縮機能を有する例えばメタクリル酸及び/又はその塩を構成単位とする皮膜形成性ポリマーを含むものを使用すれば、マスカラ剤による収縮機能と相俟って、カールアップ効果をより安定した状態でキープすることが可能になる。なお、乾燥することによって収縮する物性とは、図7に示すとおり、長方形のポリエチレンテレフタレート製フィルムFにおける長手方向中央部の位置に、まつ毛用化粧料を塗布し、温度23℃、湿度50%RHの環境下で12時間放置した際に、フィルムFが屈曲するものを言う。
そして、本実施形態では、乾燥することによって収縮する物性を備えるまつ毛用化粧料として、好ましくは、下記成分(1)及び(2)を含む化粧料を用いることができる。
(1)メタクリル酸及び/又はその塩を構成単位とする皮膜形成性ポリマー(A)、及び/又はスチレンスルホン酸及び/又はその塩を構成単位とする皮膜形成性ポリマー(B)
(2)水
また、本実施形態では、前記皮膜形成性ポリマー(A)が、メタクリル酸及び/又はその塩(以下、モノマー(a)という)と、20℃の水100gへの溶解度が2g以下である少なくとも一種のモノマー(以下、モノマー(b)という)とを構成単位とし、ガラス転移温度(Tg)が80℃以上であることが好ましい。
このようなまつ毛用化粧料としては、例えば特開2006−312623に記載の、まつ毛に良好なカールアップ効果を与え、なおかつ、使用中のカール保持効果が高く、仕上がりが美しいまつ毛用化粧料を用いることができる。
ここで、皮膜形成性ポリマー(A)は、ポリマーの水溶液又は水分散液をシャーレに広げて乾燥させた場合、皮膜を形成する性質を有している。ただし、乾燥に伴い割れが生じてもよく、一枚の膜として得られる必要もない。皮膜形成性ポリマー(A)は、重量平均分子量(GPCにより測定。ポリスチレン換算)が5000〜1000000が好ましく、8000〜500000がさらに好ましい。重量平均分子量が5000以上であれば、良好なカールアップ効果を得ることができ、1000000以下であれば塗布しやすい。また、皮膜形成性ポリマー(A)の形態が水溶液、水/アルコール混合溶液系、もしくはエマルジョン系などであっても、その形態にかかわらず、使用することができる。さらに、皮膜形成性ポリマー(A)は、カールアップ効果向上の観点から、80℃以上のガラス転移温度(Tg)を有していることが好ましい。
なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)により測定された値をいう。具体的には、下記の連続する温度プログラム1〜4の条件で測定を行った場合、温度プログラム3で測定される値をガラス転移温度とする。
温度プログラム:
1.30 〜250℃:昇温速度 30℃/min,保持時間 1min
2.250〜−50℃:冷却速度200℃/min,保持時間10min
3.−50〜250℃:昇温速度 10℃/min,保持時間 1min
4.250〜 30℃:冷却速度 30℃/min,保持時間 2min
また、皮膜形成性ポリマー(A)に含まれるカルボキシル基は、中和されていなくても良いが、水溶性の点、カールアップ効果とカール保持効果の点から、カルボニル基の全部、又は一部が中和されることが好ましい。中和度としては、0.01〜0.6が好ましく、さらに0.02〜0.3が好ましい。中和剤としては無機塩基、有機塩基を用いることができる。無機塩基としては、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられ、有機塩基としては、L−アルギニン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−1−メチル−1,3−プロパンジオール、トリエタノールアミン及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等が挙げられる。中和剤は一種以上の塩基化合物を用いることができるが、高いカールアップ効果とカール保持効果を得るために、無機塩基を用いることが好ましく、特にアンモニアを用いることが好ましい。また、化粧持続性を得るためには、有機塩基を用いることが好ましく、特に2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールを用いることが好ましい。
皮膜形成性ポリマー(A)に含まれるモノマー(a)の含有率は、11〜98質量%が好ましく、十分なカールアップ効果を得るために、20〜98質量%が好ましく、20〜90質量%がより好ましい。また、美しい仕上がりを得るためにメタクリル酸として11〜60質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましい。構成される塩は、ポリマー(A)の中和剤として使用されるものと同様の塩基を用いることができ、無機塩基としては、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが挙げられ、有機塩基としては、L−アルギニン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−1−メチル−1,3−プロパンジオール、トリエタノールアミン及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンが挙げられる。中和剤は一種以上の塩基化合物を用いることができるが、高いカールアップ効果とカール保持効果を得るために、無機塩基を用いることが好ましく、特にアンモニアを用いることが好ましい。また、化粧持続性を得るためには、有機塩基を用いることが好ましく、特に2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールを用いることが好ましい。
ポリマー(A)に含まれるモノマー(b)の含有率は、2〜89質量%、十分なカール保持効果を得るために、2〜80質量%が好ましく、10〜80質量%がより好ましい。また、美しい仕上がりを得るために40〜89質量%が好ましく、60〜85質量%がより好ましい。
モノマー(b)は、20℃の水100gへの溶解度は2g以下であり、水に溶解しないことが好ましい。また、モノマー(b)のホモポリマーとしてのガラス転移温度は、カールアップ効果の観点から80℃以上が好ましく、さらに好ましくは100℃以上である。また、製造上の制約から250℃以下が好ましい。
モノマー(b)の種類としては、例えば、アルキルアクリレート系モノマー、アルキルメタクリレート系モノマー、スチレン系モノマー、アルキルアクリルアミド系モノマー、アルキルメタクリルアミド系モノマー等が好適に挙げられる。これらのモノマーに含有されるアルキル基としては、直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基のみならず、単環もしくは多環の脂肪族環もしくは芳香環を有する炭化水素基を含み、環にさらに直鎖又は分岐のアルキル基を置換基として有する炭化水素基をも含むものなどが挙げられる。
上記のモノマー(b)のうち、メタクリル酸メチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、スチレン、tert−ブチルアクリルアミド、tert−ブチルメタクリルアミドがカールアップ効果の観点から好ましく、メタクリル酸メチル、tert−ブチルアクリルアミドがさらに好ましい。
なお、モノマー(b)は一種を単独で用いても、また二種以上を用いてもよい。
皮膜形成性ポリマー(B)はポリマーの水溶液又は水分散液をシャーレに広げて乾燥させた場合、皮膜を形成する性質を有している。ただし、乾燥に伴い割れが生じてもよく、一枚の膜として得られる必要もない。皮膜形成性ポリマー(B)は、重量平均分子量(GPCにより測定。ポリスチレン換算)が5000〜1000000が好ましく、8000〜500000がさらに好ましい。重量平均分子量が5000以上であれば、良好なカールアップ効果を得ることができ、1000000以下であれば塗布しやすい。また、皮膜形成性ポリマー(B)の形態が水溶液、水/アルコール混合溶液系、もしくはエマルジョン系などであっても、その形態にかかわらず、使用することができる。
また、皮膜形成性ポリマー(B)に含まれるスルホン基は、中和されていなくても良いが、水溶性の点、カールアップ効果とカール保持効果の点から、スルホン基の全部、又は一部が中和されることが好ましい。中和剤としては無機塩基、有機塩基を用いることができる。水溶性の点からナトリウム塩であることが好ましい。
上述のまつ毛用化粧料において、上記皮膜成形性ポリマーの含有量は、全化粧料中に0.5〜30質量%含有することにより良好なカールアップ効果とその保持効果を発現することができる。カールアップ効果と、重ね塗りをしてもダマが発生しない、美しい仕上がりの点より、特に1〜10質量%の範囲で含有することが好ましい。
本発明のまつ毛用化粧料には、さらに25℃で固形の油性成分(ワックス)を用いることができる。25℃で固形の油性成分(ワックス)としては、動物系のワックス、植物系のワックス、鉱物系のワックス、合成ワックス等から適宜選択して使用することができる。具体的には、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、ミツロウ、極度水添ホホバ油、ラノリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、常温(25℃)で固体のグリセリド、シリコーンワックスなどを挙げることができる。上記のワックスは、1種を単独で用いても、また2種以上を混合して用いてもよい。
本発明のまつ毛用化粧料中の25℃で固形の油性成分(ワックス)の含有量は、0.1〜40質量%が好ましく、5〜35質量%がより好ましく、10〜30質量%がさらに好ましい。0.1質量%以上含有することで、まつ毛の十分なカールアップ効果を得ることができ、40質量%以下とすることで、良好な仕上がりを期待することができる。
本発明には、さらに平均粒径1〜20μmの粉体を含むことができる。該粉体は、平均粒径が1〜20μmの範囲であれば特に制限はなく、無機粉体及び有機粉体のいずれも使用することができる。
該粉体の平均粒径が上記範囲であると、より十分なカールアップ効果が得られる。以上の観点から、該粉体の平均粒径は特に2〜10μmがより好ましい。なお、粉体の平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば(株)堀場製作所社製、LA−920)を用いてレーザ回折法で測定した値(メジアン径)である。
また、粉体の形状は、球状、平板状、粒状、針状、棒状、無定形等のいずれであってもよく、特に球状が好ましい。
本発明で好適に使用し得る無機粉体としては、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン等の板状無機粉体、シリカ、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸マグネシウム等の球状もしくは不定形無機粉体などが挙げられ、また、有機粉体としては、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンとアクリル酸の共重合体、シリコーン樹脂等の有機粉体などが挙げられる。
これらのうち、無機粉体が好ましく、特に球状無機粉体が好ましい。より具体的にはシリカ、特に球状シリカを用いることが好ましい。なお、有機粉体においては、親水処理することにより好ましい形態となる。
上記粉体は、1種を単独で用いても、また2種以上を混合して用いてもよく、美しい仕上がりを得て、高いカールアップ効果を得るとの観点から、まつ毛用化粧料全体に対して0.1〜20質量%含有することが好ましく、さらに1〜15質量%の範囲で含有することが好ましい。
上記粉体の使用形態としては、水分散液として用いてもよく、水溶性高分子や界面活性剤を用いて水中に分散させた状態で用いることもできる。具体的には、ポリエチレンディスパージョン、シリコーン樹脂ディスパージョン、ポリスチレン樹脂ディスパージョン、ウレタンディスパージョン、ナイロンディスパージョン等が挙げられる。
本発明のまつ毛用化粧料は、顔料を含むこともできる。顔料は、通常化粧料に用いられるものであれば、特に制限されず、例えば無機顔料、有機顔料などが挙げられる。
具体例としては、無機顔料として、酸化チタン、黒酸化チタン、亜鉛華、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄等が挙げられ、有機顔料として、タール色素等が挙げられる。
顔料は、まつ毛用化粧料全体に対して0.1〜20質量%含有することが好ましく、さらに1〜10質量%の範囲で含有することが好ましい。
上記粉体及び顔料は、表面処理されていてもよく、例えばシリカ処理、アルミナ処理、シリカ−アルミナ処理、ポリアクリル酸処理等の親水化表面処理、シリコーン処理、フッ素化合物処理、金属せっけん処理、レシチン処理、油脂処理等の疎水化表面処理を施したものを使用できる。
特に、親水的な処理を施した粉体及び顔料は、ポリマー(A)との親和性が高く、特にポリアクリル酸処理された粉体及び顔料はカールアップ効果、仕上がりの点でより好ましい。
本発明のまつ毛用化粧料は、粉体及び顔料の分散剤又は系の安定化剤として水溶性の高分子をさらに含有することができる。具体的には、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、カルボキシビニルポリマー、ビニルピロリドン・ビニルアルコール共重合体、ポリメチルビニルエーテル、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、変性コーンスターチ、デンプン、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。これらのうち、粉体及び顔料の分散性とカールアップ効果の観点から、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アラビアガム、キサンタンガムが特に好ましい。これらは、本発明のまつ毛用化粧料中に0.1〜20質量%、さらには、1〜5質量%含むことができる。
本発明のまつ毛用化粧料には、ロングラッシュ効果を高めるために繊維を含有させることができる。繊維としては、木綿、絹、麻等の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、ポリアミド、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリオレフィン等の合成繊維のいずれを使用しても良いが、強度の点からナイロンなどのポリアミド繊維が好ましい。さらに必要に応じて表面処理を施した繊維を用いても良い。例えばシリカ処理、ポリアクリル酸処理、シリコーン処理、フッ素化合物処理、金属せっけん処理、油脂処理等の表面処理を施したものを使用できる。
まつ毛への付着性の点から、該繊維は、太さが0.1〜20T、長さが0.1〜5mmのものが好ましい。この繊維の含有量は、十分なロングラッシュ効果を得られる点から、化粧料全量に対して0.1〜6質量%であることが好ましい。
本発明において、その他の成分として、25℃で液体の不揮発性油性成分、ポリオール類及び界面活性剤を含有することができる。
ここで、25℃で液体の不揮発性油性成分としては、流動イソパラフィン、流動パラフィン、重質流動イソパラフィンなどの炭化水素系オイル;リンゴ酸ジイソステアリル、イソノナン酸イソトリデシル、ジミリスチン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸・イソステアリン酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ひまし油、マカデミアンナッツオイル、ホホバ油等のエステルやトリグリセライド類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油等が挙げられる。これらは、美しい仕上がりを得る観点から、本発明のまつ毛化粧料中0.01〜10質量%含むことができる。
次に、ポリオール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。これらのうち、使いやすさの観点から、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールが好ましく、美しい仕上がりを得る観点から、1,3−ブチレングリコールが特に好ましい。これらは、本発明のまつ毛用化粧料中0.01〜10質量%含むことができる。
また、界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両親媒性界面活性剤等を単独若しくは組合せて用いることができる。
さらに本発明のまつ毛用化粧料には、揮発性の油剤を含むことができる。揮発性の油剤としては、炭素数8〜16の炭化水素油、下記一般式(式1)若しくは(式2)の直鎖又は環状シリコーンのうち揮発性のものが挙げられる。
Figure 0005193584
(式中、tは0〜3の整数を表す)
Figure 0005193584
(式中、uは3〜5の整数を表す)
炭素数8〜16の炭化水素油としては、石油由来のイソパラフィン(軽質イソパラフィン)、イソドデカン(2,2,4,4,6−ペンタメチルへプタン)等が挙げられる。また、一般式(式1)若しくは(式2)の直鎖又は環状シリコーンとしては、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
これらの揮発性の油剤は、本発明のまつ毛用化粧料の乾燥速度をコントロールすることができ、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。配合量はまつ毛用化粧料全体に対して0.5〜20質量%が好ましい。
さらに本発明のまつ毛用化粧料には、水及び炭素数1〜4の低級アルコールを含むことができる。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられるが、取り扱いやすさの観点から、エタノールを用いることが好ましい。炭素数1〜4の低級アルコールは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。水及び炭素数1〜4の低級アルコールは、ポリマーの溶媒及びまつ毛用化粧料の乾燥速度をコントロールする観点から、まつ毛用化粧料中1〜80質量%、さらには10〜50質量%含有することが好ましい。また、本発明のまつ毛用化粧料中低級アルコールの含有量は、0.5〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
また、本発明のまつ毛用化粧料には、上記の成分に加えて、目的に応じて本発明の効果をそこなわない範囲において、化粧効果を付与するために通常化粧品に配合される成分、例えば増粘剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、保湿剤、酸化防止剤、香料、防腐剤等を1種又は2種以上配合することができる。
本発明のまつ毛用化粧料は、水中油型乳化組成物(O/W)、油中水型乳化組成物(W/O)、また揮発性成分として水以外の液状成分のみを用いたもののいずれをも包含するものである。これらのうち、カールアップ効果を向上させる観点から、水を含有させた系、特には水及び炭素数1〜4の低級アルコールを含有させた水中油型乳化組成物(O/W)が最も好ましい。
また、本実施形態では、上述のまつ毛の化粧方法を実施するための商品形態として、乾燥することによって収縮する物性を備えるまつ毛用化粧料を収容した容器と、塗布具13と、持ち上げ具15とを組み合わせた組合せ物品として製造、販売することができる。
例えば、図4に示すように、持ち上げ具15の支持軸18の基端部を肩カバー20に装着係止して肩カバー20から立設させた状態で、持上げ具15を覆って例えば透明なオーバーキャップ21を装着して、持ち上げ具収納体22を形成する。この持ち上げ具収納体22を、図5に示すように、円筒状の化粧料収容部23を供える本体容器24の把持部25に接着固定することにより、組合せ物品26が形成される。この組合せ物品26では、本体容器24の把持部25は、化粧料収容部23に対して着脱可能に取り付けられている。また把持部25の持上げ具収納体22とは反対側の部分には、把持棒11を介して塗布具13が突出して取り付けられており、塗布具13の毛材12は、化粧料収容部23に収容されたまつ毛用化粧料に浸漬された状態となっている。
このような組合せ物品26では、例えば持ち上げ具15を、非使用時に、洗浄液や、他のまつ毛用化粧料の中に浸漬された状態としておくこともできる。また、この組合せ物品26に、さらにマスカラ剤やマスカラ塗布具を組み合わせて組合せ物品とすることにより、当該組合せ物品による、まつ毛化粧用の化粧用品としての利便性を向上させることが可能になる。
さらに、組合せ物品には、持ち上げ具15の洗浄用の液剤の入った補助容器を加えることもできる。持ち上げ具15の非使用時に、持ち上げ具15を補助容器の内部の液剤に浸漬しておくことにより、持ち上げ具15に付着したマスカラ剤等を洗浄することが可能になると共に、持ち上げ具15の防腐性を向上させることが可能になる。持ち上げ具15の洗浄用の液剤は、持ち上げ具15による仕上がりやカールキープ効果を考慮すると、まつ毛用化粧料と類似の処方で、収縮機能の強くない又は収縮機能のない液剤を用いることが好ましい。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、乾燥することによって収縮する物性を備えるまつ毛用化粧料として、上述の化粧料以外の化粧料を用いることもできる。また、上述の塗布具や持ち上げ具以外のものを用いて、本発明のまつ毛の化粧方法を実施することもできる。例えば、塗布具として、図6に示すような、把持棒の先端に先端部分を斜めにカットしたタイプのフロッキーチップが取り付けられたものを用いることもできる。
以下、実施例及び比較例により、本発明のまつ毛の化粧方法をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1、実施例2、及び比較例1のまつ毛用化粧料の製造〕
表1に示す処方の、乾燥することによって収縮する物性を備える実施例1及び実施例2のまつ毛用化粧料と、収縮する物性を備えていない比較例1のまつ毛用化粧料を製造した。製造方法としては、水溶性ポリマー、防腐剤、水性溶剤、顔料、水等を混合し、溶解、均一に分散させた水相を95℃で撹拌した。一方、油相を95℃で撹拌溶融し、この油相を水相に添加し、更に撹拌しつつ45℃まで冷却した。ここで実施例1についてはポリマー(A)及びポリマーエマルションを添加し、均一に混合した。また実施例2及び比較例1についてはポリマーエマルションを添加し、均一に混合した。更に撹拌しつつ室温まで冷却した後、脱気することにより各まつ毛用化粧料を製造した。
Figure 0005193584
ここで、表1におけるポリマー(A)((ポリ(メタクリル酸−メタクリル酸メチル)2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール塩水溶液(PMAA/MMA(AMP))は、以下の製造例1に従って製造した。
〔製造例1〕
ガラス製反応容器にエタノール793gを入れ、室温で窒素バブリングを30分行った後、窒素雰囲気下63℃まで加熱した。アゾ系重合開始剤2,2’−アビゾス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業(株)製、V−65)2.07gをエタノール20gに溶解した液を添加した後、メタクリル酸54g及びメタクリル酸メチル146g(いずれも三菱ガス化学(株)製)の混合物を2時間かけて添加した。該混合物の添加終了後、65℃で4時間攪拌し、その後70℃に昇温し、2時間攪拌して重合を行った。得られたポリマー溶液をメタノール/水=3/7混合溶液に滴下し、再沈殿を行った。沈殿物を回収し、減圧下、70℃で12時間以上乾燥し、ポリ(メタクリル酸−メタクリル酸メチル)を得た。
NMRにて測定したポリマー組成はメタクリル酸/メタクリル酸メチル=20/80(質量比)であった。GPCにて測定した重量平均分子量は59700(ポリスチレン換算)であった。また、このポリマーのガラス転移点(Tg)を示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC6200)にて測定した結果、156℃であった。得られたポリ(メタクリル酸−メタクリル酸メチル)34.7gをエタノール105g、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール10%水溶液を30.8g及び水177gの混合溶液に60℃に加熱し溶解させた。その後、エバポレーターにてエタノールを留去し、ポリ(メタクリル酸−メタクリル酸メチル)2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール塩水溶液を得た(中和度0.42)。
このポリマー水溶液はpH6.0であり、固形分は20%であった。また、このポリマーのガラス転移温度(Tg)を示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC6200)にて測定した結果、172℃であった。
また、表1におけるポリマーエマルションは、以下の製造例2に従って製造した。
〔製造例2〕
ガラス製反応容器にN-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウム(日光ケミカル社製、ニッコールSMT)0.6g、イオン交換水875gを入れて、攪拌しながら窒素置換を行った後、内温70℃まで加熱した。過硫酸アンモニウム2.5gをイオン交換水25gに溶解させた液を添加した後、攪拌下、メタクリル酸メチル200g、アクリル酸ブチル285g、アクリル酸15gを混合した液を3時間かけて滴下した。滴下終了後70℃で1時間反応させた後、75℃に昇温し、さらに3時間反応を行った後、冷却を行い、1N水酸化ナトリウム水溶液73gを加えた。エバポレーターを用いて濃縮を行い、ポリマーラテックスを得た。粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA-920)にて測定を行ったところポリマーラテックスの粒径は0.1μmであった。また、このポリマーラテックスのpHは6.5であり、固形分は50質量%であった。
また、このポリマーエマルションを構成するポリマーのガラス転移温度(Tg3)を示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC6200)にて測定した結果、5℃であった。
製造された実施例1、実施例2、及び比較例1のまつ毛用化粧料について、以下の測定方法に従って、湾曲角度を測定した。湾曲角度の測定結果を表1の最下欄に示す。
〔湾曲角度の測定方法〕
図7(a)に示すように、幅2cm、長さ5cm、厚さ75μmの矩形状のポリエチレンテレフタレート製フィルムF(帝人デュポン(株)製、メチネックスS)における長手方向中央部の位置に、図7(b)に示すように、幅方向にわたって固形分20重量%の実施例1、実施例2、又は比較例1のまつ毛用化粧料を、幅5mmにてスペーサー500μmのコーターで塗布し塗膜Mを形成する。乾燥後の塗布厚は例えば250μmとなる。塗膜Mを温度23℃、湿度50%RHの環境下で12時間放置する。図7(c)に示すように、乾燥によって塗膜Mは収縮する。12時間経過後、図7(d)に示すように、フィルムFの曲がり角度θを測定し、その値を湾曲角度とする。
〔実施例3、実施例4、及び比較例2〜4のまつ毛の化粧方法〕
表2に示すように、マスカラ剤をまつ毛に塗布した後に、実施例1のまつ毛用化粧料をまつ毛の上側から塗布し、まつ毛を下側から持ち上げることよる化粧方法を実施例3のまつ毛の化粧方法とした。
マスカラ剤をまつ毛に塗布した後に、実施例2のまつ毛用化粧料をまつ毛の上側から塗布し、まつ毛を下側から持ち上げることよる化粧方法を実施例4のまつ毛の化粧方法とした。
マスカラ剤をまつ毛に塗布した後に、比較例1のまつ毛用化粧料をまつ毛の上側から塗布し、まつ毛を下側から持ち上げることよる化粧方法を比較例2のまつ毛の化粧方法とした。
マスカラ剤をまつ毛に塗布した後に、実施例1のまつ毛用化粧料をまつ毛の下側から塗布し、まつ毛を下側から持ち上げることよる化粧方法を比較例3のまつ毛の化粧方法とした。
一般的な化粧方法であるビューラーとマスカラを組み合わせた化粧方法を比較例4のまつ毛の化粧方法とした。
Figure 0005193584
なお、実施例3、実施例4、及び比較例2〜4のまつ毛の化粧方法において、マスカラ剤として、AUBEダブルプロデュースマスカラBK931(商品名)を使用した。また、まつ毛用化粧料の塗布具として、図6に示すフロッキーチップを使用し、持ち上げ具として、図3に示すものを使用した。
実施例3、実施例4、及び比較例2〜4のまつ毛の化粧方法について、以下の評価方法により、「毛先のカールアップ効果」及び「仕上がり」を評価した。評価結果を表2に示す。
〔毛先のカールアップ効果の評価〕
10名の女性に実施例3、実施例4、及び比較例2〜4のまつ毛の化粧方法を行ってもらい、毛先のカールアップ効果について以下のように評価した。
◎:10人中9人以上が毛先のカールアップ効果が良いと評価
○:10人中6〜8人が毛先のカールアップ効果が良いと評価
△:10人中3〜5人が毛先のカールアップ効果が良いと評価
×:10人中2人以下が毛先のカールアップ効果が良いと評価
〔仕上がりの評価〕
10名の女性に実施例3、実施例4、及び比較例2〜4のまつ毛の化粧方法を行ってもらい、仕上がりの良さについて以下のように評価した。
◎:10人中9人以上が仕上がりが良いと評価
○:10人中6〜8人が仕上がりが良いと評価
△:10人中3〜5人が仕上がりが良いと評価
×:10人中2人以下が仕上がりが良いと評価
表2の評価結果より、本発明のまつ毛の化粧方法である実施例3及び4については、毛先のカールアップ効果及び仕上がりに優れたものであった。これに対し、収縮機能のないまつ毛用化粧料を用いた比較例2は、仕上がりには優れるが、毛先のカールアップ効果が不足していた。また皮膜形成性ポリマー(A)を含有する、乾燥することによって収縮する物性を備えるまつ毛用化粧料を下側から塗布した比較例3は、毛先のカールアップ効果、仕上がり共に悪かった。また一般的な化粧方法であるビューラーとマスカラを組み合わせた比較例4は、仕上がりには優れるが、毛先のカールアップ効果が不足していた。
(a),(b)は、本発明の好ましい一実施形態に係るまつ毛の化粧方法の塗布工程を説明する略示斜視図である。 (a)〜(c)は、本発明の好ましい一実施形態に係るまつ毛の化粧方法の持ち上げ工程を説明する略示斜視図である。 持ち上げ具の好ましい形態を例示する斜視図である。 持ち上げ具収納体の好ましい形態を例示する斜視図である。 本発明の好ましい一実施形態に係るまつ毛の化粧方法を実施するための組合せ物品の好ましい形態を例示する斜視図である。 塗布具の好ましい他の形態を例示する要部側面図である。 (a)〜(d)は、湾曲角度の測定方法の説明図である。
符号の説明
10 まつ毛
11 把持棒
12 毛材
13 塗布具
14 塗布台
15 持ち上げ具
16 凹面
17 基台
18 支持軸
19 凹凸
20 肩カバー
21 オーバーキャップ
22 持ち上げ具収納体
23 化粧料収容部
24 本体容器
25 把持部
26 組合せ物品

Claims (7)

  1. 乾燥することによって収縮する物性を備えるまつ毛用化粧料を上まつ毛の上側から塗布する塗布工程と、上まつ毛を持ち上げる持ち上げ工程とを含み、前記塗布工程の後に前記持ち上げ工程を行うまつ毛の化粧方法。
  2. 前記収縮する物性を備えるまつ毛用化粧料が、下記成分(1)及び(2)を含む化粧料である請求項1記載のまつ毛の化粧方法。
    (1)メタクリル酸及び/又はその塩を構成単位とする皮膜形成性ポリマー(A)、及び/又はスチレンスルホン酸及び/又はその塩を構成単位とする皮膜形成性ポリマー(B)
    (2)水
  3. 前記皮膜形成性ポリマー(A)が、メタクリル酸及び/又はその塩(モノマー(a))と、20℃の水100gへの溶解度が2g以下である少なくとも一種のモノマー(モノマー(b))とを構成単位とし、ガラス転移温度(Tg)が80℃以上である請求項2記載のまつ毛の化粧方法。
  4. 前記持ち上げ工程を、上まつ毛を下から持ち上げる機能を有する化粧用具を用いて、前記まつ毛用化粧料が塗布された上まつ毛を持ち上げることにより行う請求項1〜3のいずれか1項に記載のまつ毛の化粧方法。
  5. マスカラ剤を上まつ毛に塗布した後に、前記まつ毛用化粧料について前記塗布工程と持ち上げ工程とを行う請求項1〜4のいずれか1項に記載のまつ毛の化粧方法。
  6. 前記化粧用具が、長手方向に沿って内側に湾曲したアーチ形状の凹面を備える板状の基台を、支持軸に取り付けた持ち上げ具である請求項4又は5に記載のまつ毛の化粧方法。
  7. 前記基台の凹面の長手方向のアーチ形状は、曲率半径が15mm以上のアーチ形状となっている請求項6記載のまつ毛の化粧方法。
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