JP2006289711A - 積層ゲル - Google Patents
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Abstract
【課題】接合因子を用いずに容易に製造することができ、接合強度に優れた積層ゲルを提供することである。
【解決手段】複数のゲルが積層された積層ゲルにおいて、隣接するゲル同士の組合せが、寒天、カラギナン、ファーセレラン、アルギン酸、アルギン酸塩、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、カシアガム、タマリンドガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、トラガントガム、ペクチン、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、カードラン、プルラン、キサンタンガム、デキストラン、アゾトバクタービネランジーガム、グルコマンナン、デンプン、ゼラチン、CMC、CMCの塩類、メチルセルロース、カラヤガム、キチン、キトサン、サイリウムシードガム及び大豆多糖類のうち、いずれか一種又は二種以上の組合せであり、前記隣接するゲル同士の1.5%濃度における貯蔵粘性率変化量が、ストレインスイープ試験(ストレイン100〜101)において35%以下であること特徴とする積層ゲルである。
【選択図】なし
【解決手段】複数のゲルが積層された積層ゲルにおいて、隣接するゲル同士の組合せが、寒天、カラギナン、ファーセレラン、アルギン酸、アルギン酸塩、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、カシアガム、タマリンドガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、トラガントガム、ペクチン、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、カードラン、プルラン、キサンタンガム、デキストラン、アゾトバクタービネランジーガム、グルコマンナン、デンプン、ゼラチン、CMC、CMCの塩類、メチルセルロース、カラヤガム、キチン、キトサン、サイリウムシードガム及び大豆多糖類のうち、いずれか一種又は二種以上の組合せであり、前記隣接するゲル同士の1.5%濃度における貯蔵粘性率変化量が、ストレインスイープ試験(ストレイン100〜101)において35%以下であること特徴とする積層ゲルである。
【選択図】なし
Description
本発明は、複数のゲルが積層された積層ゲルに関する。
従来から、二層又は複層に積層された積層ゲルは、様々な用途で利用されている。例えば、食品、化粧品、医薬品、化成品などに利用されている。従来、食品の分野において、積層ゲルは、比重差、粘度差及びブリックス差などを利用することによって形成されている(特許文献1乃至4)。例えば、比重の異なるハイドロコロイド溶液を型に流し込み、比重差を利用して二層を形成させた後にゲル化させることによって、積層ゲルを形成する。食品分野においては、上下異なる性質や色のものを用いることにより、様々な食感や視覚を与えることができ、食品としてバリエーションを増やすことができる。
また、多くの産業で包装資材として利用されている積層シート・フィルムは、2枚以上の単層シートをホットメルト接合剤や両面テープなどを用いて貼り合わせたり、圧着やヒートシールなどにより張り合わせることなどが行なわれている。これらの分野においては、多層にすることによって、シート強度、シート破断強度、酸素透過性、吸湿性などを単層の場合よりも向上させることができる。
しかしながら、食品分野において、上述のように製造された積層ゲルは、糖度や比重の異なるものであっても、上下層の成分が混ざり合ったり、また製造方法に特別な技術を要するという問題がある。さらに、積層したゲルとゲルの接合が不十分であるため、作業中又は輸送中にくずれたり、ずれを生じたりするという問題がある。
また、包装材料の分野において、上述のように製造された積層ゲルは、積層したゲルとゲルの接合に接合因子を用いなければならず、形成される積層ゲルの製造工程や層数が増えるという問題がある。
そこで、本発明は、接合因子を用いずに容易に製造することができ、接合強度に優れた積層ゲルを提供することを目的とする。
以上の目的を達成するために、本発明は、複数のゲルが積層された積層ゲルにおいて、隣接するゲル同士の組合せが、寒天、カラギナン、ファーセレラン、アルギン酸、アルギン酸塩、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、カシアガム、タマリンドガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、トラガントガム、ペクチン、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、カードラン、プルラン、キサンタンガム、デキストラン、アゾトバクタービネランジーガム、グルコマンナン、デンプン、ゼラチン、CMC、CMCの塩類、メチルセルロース、カラヤガム、キチン、キトサン、サイリウムシードガム及び大豆多糖類のうち、いずれか一種又は二種以上の組合せであり、前記隣接するゲル同士の1.5%濃度における貯蔵粘性率変化量が、35%以下であること特徴とする積層ゲルである。
以上のように本発明によれば、接合因子を用いずに容易に製造することができ、接合強度に優れた積層ゲルを提供することができる。このように、本発明に係る積層ゲルは、強度に接合しているので、作業中や輸送中にずれが生じたり、壊れることがない。また、作製された積層ゲルは、単層のものに比し、引っ張り強度や破断伸びが非常に向上していてるので、様々な分野への応用が考えられる。
本発明に係る積層ゲルは、前記隣接するゲルのいずれか一方のゲルに他方のゲルをゾル状態で流し込むことによって得られることが好ましい。このように、一方が完全にゲル化された状態で他方のゲルをゾル状態で流し込んでいるので、これらの層が混ざり合うことがほとんどなく、作業を容易かつ迅速に行なうことができ、作業性を向上させることができる。
本発明に係る積層ゲルにおいて、隣接するゲル同士の1.5%濃度における貯蔵粘性率変化量は、ストレインスイープ試験(ストレイン100〜101)によって測定される。
本発明に係る積層ゲルの用途としては、積層ゼリー、フィルム状菓子、可食性包装剤など食品、ソフトカプセル、ハードカプセル、生体用粘着シート、冷却シート、火傷・創傷被覆シートなどの医薬品・医薬補助品、シート状化粧料などの化粧品、包装用フィルムなどの化成品などがある。
積層ゲルのストレインスイープ試験
次に、積層ゲルのストレインスイープ試験を行なった。この試験は、寒天(伊那寒天UT−1、伊那食品工業社製)、κ−カラギナン(イナゲルE−150、伊那食品工業社製)、脱アシル型ジェランガム(CPケルコ社製)、ネイティブ型ジェランガム(CPケルコ社製)、ローカストビーンガム(MRCポリサッカライド社製)、及びキサンタンガム(CPケルコ社製)それぞれの表1に示す各組合せについて、測定を行った。すなわち、これら組合せの1.5重量%のハイドロコロイド溶液を用意し、これらハイドロコロイド溶液それぞれを組み合わせた積層ゲルについて行なった。なお、カラギナンとローカストビーンガム及びキサンタンガムとローカストビーンガムを組み合わせたハイドロコロイド溶液は、それぞれを1:1の割合で混合した。
次に、積層ゲルのストレインスイープ試験を行なった。この試験は、寒天(伊那寒天UT−1、伊那食品工業社製)、κ−カラギナン(イナゲルE−150、伊那食品工業社製)、脱アシル型ジェランガム(CPケルコ社製)、ネイティブ型ジェランガム(CPケルコ社製)、ローカストビーンガム(MRCポリサッカライド社製)、及びキサンタンガム(CPケルコ社製)それぞれの表1に示す各組合せについて、測定を行った。すなわち、これら組合せの1.5重量%のハイドロコロイド溶液を用意し、これらハイドロコロイド溶液それぞれを組み合わせた積層ゲルについて行なった。なお、カラギナンとローカストビーンガム及びキサンタンガムとローカストビーンガムを組み合わせたハイドロコロイド溶液は、それぞれを1:1の割合で混合した。
積層ゲルは、先ず、一方のハイドロコロイド溶液をゲル化させて下層のゲルシートを作製し、そのゲルシート上に他方のハイドロコロイド溶液をゾル状態で流延及び積層した後にゲル化させて上層とすることによって作製した。
ストレインスイープ試験(フレック1Hz)は、20℃の条件下で貯蔵粘性率を測定することによって行った。この試験は、動的粘弾性測定アレス(レオメトリック社製)を用いることによって行った。その結果を表1に示す。
表1に示すように、これらは、いずれもストレイン100〜101における貯蔵粘性率の変化量が35%以下を示し、いずれも積層ゲルが接合していることが確認できた。
実施例1(積層ゼリー)
次に、実施例1として積層ゼリーを作製した。積層ゼリーを作製するに際して、先ず、上層及び下層について、表2に示す配合のハイドロコロイド溶液を用意した。上層のハイドロコロイド溶液は、水にグラニュー糖及び寒天(伊那寒天UT−1、伊那食品工業社製)を加えた後、寒天を沸騰溶解し、下層のハイドロコロイド溶液は、水にグラニュー糖及びネイティブジェランガム(CPケルコ社製)を加えた後、80℃で10分間加熱撹拌溶解し、上層及び下層のハイドロコロイド溶液ともにクエン酸によりpHを3.8に調製した。その後、下層のハイドロコロイド溶液を充填し、4℃で3時間冷却後、85℃に保温しておいた上層のハイドロコロイド溶液を充填し、4℃で一晩静置を行なうことによって、実施例1に係る積層ゼリーを得た。比較例1及び2として、カラギナンを加えたものを下層のハイドロコロイド溶液とし、上層のハイドロコロイド溶液を50℃まで撹拌冷却した後、下層を充填し、その後連続して上層の溶液を充填し、4℃で一晩静置を行うことによって比較例1及び2に係る積層ゼリーを得た。
次に、実施例1として積層ゼリーを作製した。積層ゼリーを作製するに際して、先ず、上層及び下層について、表2に示す配合のハイドロコロイド溶液を用意した。上層のハイドロコロイド溶液は、水にグラニュー糖及び寒天(伊那寒天UT−1、伊那食品工業社製)を加えた後、寒天を沸騰溶解し、下層のハイドロコロイド溶液は、水にグラニュー糖及びネイティブジェランガム(CPケルコ社製)を加えた後、80℃で10分間加熱撹拌溶解し、上層及び下層のハイドロコロイド溶液ともにクエン酸によりpHを3.8に調製した。その後、下層のハイドロコロイド溶液を充填し、4℃で3時間冷却後、85℃に保温しておいた上層のハイドロコロイド溶液を充填し、4℃で一晩静置を行なうことによって、実施例1に係る積層ゼリーを得た。比較例1及び2として、カラギナンを加えたものを下層のハイドロコロイド溶液とし、上層のハイドロコロイド溶液を50℃まで撹拌冷却した後、下層を充填し、その後連続して上層の溶液を充填し、4℃で一晩静置を行うことによって比較例1及び2に係る積層ゼリーを得た。
次に、これら実施例1並びに比較例1及び2に係る積層ゼリーについて、層の形成状態及びゲルとゲルの接合の確認で行った。その結果、比較例1に係る積層ゼリーは、全体が混ざり合い、層の形成が見られなかった。比較例2に係る積層ゼリーは、層の形成は行われていたが、若干混合が見られ、また器からゼリーを出した時に層にずれが生じて完全に剥離した。実施例1に係る積層ゼリーは、これら比較例1及び2に比し、完全に層を形成しており、混合も見られずきれいな接合面を有していた。また、器からゼリーを出した時にもずれを生じることなく、完全に二層が接合していた。
実施例2(ソフトカプセル)
次に、実施例2としてソフトカプセルを作製した。ソフトカプセルを作製するに際して、先ず、上層及び下層について、表3に示す配合のハイドロコロイド溶液を用意した。上層及び下層のハイドロコロイド溶液は、それぞれ寒天(伊那寒天UT−1、伊那食品工業社製)、又はκ−カラギナン(イナゲルE−150、伊那食品工業社製)及びローカストビーンガム(MRCポリサッカライド社製)を溶解タンク中の水に撹拌しながら少量ずつ加え均一に分散させ、その後80〜98℃で撹拌しながら加温し、ダマが生じないように溶解させ、脱泡させた。その後、下層のハイドロコロイド溶液をゲル状シートにし、その後そのシートの上から上層のハイドロコロイド溶液を流延及び積層することにより、2層シートを作製し、ロータリー式ソフトカプセル製造装置を用いて実施例2に係るソフトカプセルを得た。比較例3は、常法によって単層シートを作製し、同様にソフトカプセルを得た。
次に、実施例2としてソフトカプセルを作製した。ソフトカプセルを作製するに際して、先ず、上層及び下層について、表3に示す配合のハイドロコロイド溶液を用意した。上層及び下層のハイドロコロイド溶液は、それぞれ寒天(伊那寒天UT−1、伊那食品工業社製)、又はκ−カラギナン(イナゲルE−150、伊那食品工業社製)及びローカストビーンガム(MRCポリサッカライド社製)を溶解タンク中の水に撹拌しながら少量ずつ加え均一に分散させ、その後80〜98℃で撹拌しながら加温し、ダマが生じないように溶解させ、脱泡させた。その後、下層のハイドロコロイド溶液をゲル状シートにし、その後そのシートの上から上層のハイドロコロイド溶液を流延及び積層することにより、2層シートを作製し、ロータリー式ソフトカプセル製造装置を用いて実施例2に係るソフトカプセルを得た。比較例3は、常法によって単層シートを作製し、同様にソフトカプセルを得た。
実施例2に係るソフトカプセルは、比較例に比し、引っ張り強度が優れており、カプセル成型中にシートが切断されることがなく、作業性に有意な差を認めることができた。さらに、実施例2に係るソフトカプセルは、比較例に比し、乾燥後の強度も優れており、液漏れ等は全く見られなかった。比較例に係るソフトカプセルは、乾燥後カプセル表面が吸湿し、カプセル同士の付着が見られたが、実施例に係るソフトカプセルは、上層にコーティングされる事により吸湿性に優れておりカプセル同士の付着は見られなかった。
実施例3(生体用粘着シート)
次に、実施例3として生体用粘着シート(シート状化粧料)を作製した。生体用粘着シートを作製するに際して、先ず、上層及び下層について、表4に示す配合のハイドロコロイド溶液を用意した。上層及び下層のハイドロコロイド溶液は、各成分を混合し、これに精製水を加えて充分に混合し全体を100%とすることによって作製した。なお、下層のハイドロコロイド溶液において、ビタミンCは、溶解液の温度が60℃以下になった時に撹拌混合した。次に、下層のハイドロコロイド溶液を型に1.5mmの厚さで流し込み、完全にゲル化した後、上層のハイドロコロイド溶液をゲル化された下層上に0.5mmの厚さで流し込みゲル化させることによって、実施例3に係る生体用粘着シートを得た。比較例4として、実施例3の下層と同じ溶解液を2mmの厚さで流し込みゲル化された単層の生体用粘着シートを用意した。
次に、実施例3として生体用粘着シート(シート状化粧料)を作製した。生体用粘着シートを作製するに際して、先ず、上層及び下層について、表4に示す配合のハイドロコロイド溶液を用意した。上層及び下層のハイドロコロイド溶液は、各成分を混合し、これに精製水を加えて充分に混合し全体を100%とすることによって作製した。なお、下層のハイドロコロイド溶液において、ビタミンCは、溶解液の温度が60℃以下になった時に撹拌混合した。次に、下層のハイドロコロイド溶液を型に1.5mmの厚さで流し込み、完全にゲル化した後、上層のハイドロコロイド溶液をゲル化された下層上に0.5mmの厚さで流し込みゲル化させることによって、実施例3に係る生体用粘着シートを得た。比較例4として、実施例3の下層と同じ溶解液を2mmの厚さで流し込みゲル化された単層の生体用粘着シートを用意した。
比較例4に係る生体用粘着シートは、シートを皮膚に貼付する際、粘着のためシートが絡み合い、作業が困難であった。これに対し、実施例3に係る生体用粘着シートは、上層に粘着性がないため非常に扱いやすく、シートの絡み合いもなく皮膚に貼付することができた。また、実施例3に係る生体用粘着シートは、比較例に比し、シート強度が高いため、やや乱雑に扱ってもシートの破損は見られなかった。
実施例4(冷却ゲルシート)
次に、実施例4として冷却ゲルシートを作製した。冷却ゲルシートを作製するに際して、先ず、上層及び下層について、表5に示す配合のハイドロコロイド溶液を用意した。上層及び下層のハイドロコロイド溶液は、各成分を混合し、これに精製水を加えて充分に混合し全体を100%とすることによって作製した。なお、下層のハイドロコロイド溶液において、L−メントールは溶解液の温度が60℃以下になった時に撹拌混合した。次に、下層のハイドロコロイド溶液を型に1.5mmの厚さで流し込み、完全にゲル化した後、上層のハイドロコロイド溶液をゲル化された下層上に0.5mmの厚さで流し込みゲル化させることによって、実施例4に係る冷却ゲルシートを得た。比較例5として、実施例4の下層と同じ溶解液を2mmの厚さで流し込みゲル化された単層の冷却ゲルシートを用意した。
次に、実施例4として冷却ゲルシートを作製した。冷却ゲルシートを作製するに際して、先ず、上層及び下層について、表5に示す配合のハイドロコロイド溶液を用意した。上層及び下層のハイドロコロイド溶液は、各成分を混合し、これに精製水を加えて充分に混合し全体を100%とすることによって作製した。なお、下層のハイドロコロイド溶液において、L−メントールは溶解液の温度が60℃以下になった時に撹拌混合した。次に、下層のハイドロコロイド溶液を型に1.5mmの厚さで流し込み、完全にゲル化した後、上層のハイドロコロイド溶液をゲル化された下層上に0.5mmの厚さで流し込みゲル化させることによって、実施例4に係る冷却ゲルシートを得た。比較例5として、実施例4の下層と同じ溶解液を2mmの厚さで流し込みゲル化された単層の冷却ゲルシートを用意した。
実施例4及び比較例5に係る冷却ゲルシートは、ともに1.5時間以上冷却時間を持続することができた。実施例4に係る冷却ゲルシートは、シート強度が高く、扱いが乱雑であっても試験に使用した20シートとも破損は見られなかった。比較例5に係る冷却ゲルシートは、20シートの4割(8シート)が取扱い中に切れや破れが見られた。
実施例5(火傷・創傷被覆シート)
次に、実施例5として火傷・創傷被覆シートを作製した。火傷・創傷被覆シートを作製するに際して、先ず、上層及び下層について、表6に示す配合のハイドロコロイド溶液を用意した。上層のハイドロコロイド溶液は、イオン交換水に寒天(伊那寒天UT−1、伊那食品工業社製)を加えて加熱溶解後、グリセリンを添加し、さらに少量の水に加熱溶解したメチルパラペンを加えることによって作製し、下層のハイドロコロイド溶液は、κ−カラギナン(イナゲルE−150、伊那食品工業社製)及びローカストビーンガム(MRCポリサッカライド社製)をイオン交換水に加えて、加熱溶解後、グリセリンを添加し、さらに少量の水に加熱溶解したメチルパラペン、塩化ナトリウム、塩化カリウムを加え、pHを調整後、グリチルリチン酸ジカリウムを十分に溶解させ、さらに水を加えて水分量を調製することによって作製した。次に、下層のハイドロコロイド溶液を型に5mmの厚さで流し込み、完全にゲル化した後、上層のハイドロコロイド溶液をゲル化された下層上に0.5mmの厚さで流し込みゲル化させることによって、実施例5に係る火傷・創傷被覆シートを得た。比較例6として、実施例5の下層と同じ溶解液を5mmの厚さで流し込みゲル化された単層の火傷・創傷被覆シートを用意した。
次に、実施例5として火傷・創傷被覆シートを作製した。火傷・創傷被覆シートを作製するに際して、先ず、上層及び下層について、表6に示す配合のハイドロコロイド溶液を用意した。上層のハイドロコロイド溶液は、イオン交換水に寒天(伊那寒天UT−1、伊那食品工業社製)を加えて加熱溶解後、グリセリンを添加し、さらに少量の水に加熱溶解したメチルパラペンを加えることによって作製し、下層のハイドロコロイド溶液は、κ−カラギナン(イナゲルE−150、伊那食品工業社製)及びローカストビーンガム(MRCポリサッカライド社製)をイオン交換水に加えて、加熱溶解後、グリセリンを添加し、さらに少量の水に加熱溶解したメチルパラペン、塩化ナトリウム、塩化カリウムを加え、pHを調整後、グリチルリチン酸ジカリウムを十分に溶解させ、さらに水を加えて水分量を調製することによって作製した。次に、下層のハイドロコロイド溶液を型に5mmの厚さで流し込み、完全にゲル化した後、上層のハイドロコロイド溶液をゲル化された下層上に0.5mmの厚さで流し込みゲル化させることによって、実施例5に係る火傷・創傷被覆シートを得た。比較例6として、実施例5の下層と同じ溶解液を5mmの厚さで流し込みゲル化された単層の火傷・創傷被覆シートを用意した。
実施例5及び比較例6に係る火傷・創傷被覆シートは、ともに使用後のツッパリ感は見られず、また剥がす際に皮膚への付着は認められなかった。実施例に係る火傷・創傷被覆シートは、シート強度が高く、扱いが乱雑であっても破損は見られなかった。比較例に係る火傷・創傷被覆シートは、取り扱い中に切れや破れが見られた。
実施例6(ハードカプセル)
次に、実施例6としてハードカプセルを作製した。ハードカプセルを作製するに際して、先ず、上層及び下層について、表7に示す配合のハイドロコロイド溶液を用意した。これらハイドロコロイド溶液は、それぞれ寒天(伊那寒天UP−37、伊那食品工業社製)又はネイティブジェランガム(CPケルコ社製)をその他のデキストリンなどとともに溶解タンク中の水に撹拌しながら少量ずつ加えて均一に分散させ、その後80℃〜98℃で撹拌しながら加温し、ダマが生じないように溶解させ、脱泡させることによって得た。その後、下層のハイドロコロイド溶液にピンをディップした後に、すぐに上層のハイドロコロイド溶液にディップを行い、その後乾燥することによって、実施例6に係るハードカプセルを得た。表7に示す配合で常法により作製したハードカプセルを比較例4として用意した。
次に、実施例6としてハードカプセルを作製した。ハードカプセルを作製するに際して、先ず、上層及び下層について、表7に示す配合のハイドロコロイド溶液を用意した。これらハイドロコロイド溶液は、それぞれ寒天(伊那寒天UP−37、伊那食品工業社製)又はネイティブジェランガム(CPケルコ社製)をその他のデキストリンなどとともに溶解タンク中の水に撹拌しながら少量ずつ加えて均一に分散させ、その後80℃〜98℃で撹拌しながら加温し、ダマが生じないように溶解させ、脱泡させることによって得た。その後、下層のハイドロコロイド溶液にピンをディップした後に、すぐに上層のハイドロコロイド溶液にディップを行い、その後乾燥することによって、実施例6に係るハードカプセルを得た。表7に示す配合で常法により作製したハードカプセルを比較例4として用意した。
その結果、比較例に比し実施例は乾燥時のカプセルの割れも少なく、柔軟性にも優れていた。実施例は若干黄色がかっているが、透明度は高く強度にも優れていた。
Claims (2)
- 複数のゲルが積層された積層ゲルにおいて、隣接するゲル同士の組合せが、寒天、カラギナン、ファーセレラン、アルギン酸、アルギン酸塩、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、カシアガム、タマリンドガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、トラガントガム、ペクチン、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、カードラン、プルラン、キサンタンガム、デキストラン、アゾトバクタービネランジーガム、グルコマンナン、デンプン、ゼラチン、CMC、CMCの塩類、メチルセルロース、カラヤガム、キチン、キトサン、サイリウムシードガム及び大豆多糖類のうち、いずれか一種又は二種以上の組合せであり、前記隣接するゲル同士の1.5%濃度における貯蔵粘性率変化量が、35%以下であること特徴とする積層ゲル。
- 前記隣接するゲルのいずれか一方のゲルに他方のゲルをゾル状態で流し込むことによって得られることを特徴とする請求項1記載の積層ゲル。
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2005
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