JP2006289437A - 高エネルギビームによる異種金属の接合方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】接合界面における高融点材料から低融点材料への伝熱を確保することができ、しかも両被接合材の接合界面にガスが発生したとしても、欠陥のない健全な異材重ね接合が可能な異種金属の接合装置を提供する。
【解決手段】融点が互いに異なる高融点材料2と低融点材料3を重ね合わせ、高融点材料側の表面にデフォーカスされた高エネルギビーム1をスポット状に照射することによってこれら材料同士を重ね接合するに際して、加圧手段である圧子9によって、高エネルギビーム1の照射面と反対側の面から、接合部位を局部的に加圧すると共に、高融点材料2の接合部位にあらかじめ貫通孔2aを形成しておき、接合界面に発生したガスを当該貫通孔2aから排除する。
【選択図】図1
【解決手段】融点が互いに異なる高融点材料2と低融点材料3を重ね合わせ、高融点材料側の表面にデフォーカスされた高エネルギビーム1をスポット状に照射することによってこれら材料同士を重ね接合するに際して、加圧手段である圧子9によって、高エネルギビーム1の照射面と反対側の面から、接合部位を局部的に加圧すると共に、高融点材料2の接合部位にあらかじめ貫通孔2aを形成しておき、接合界面に発生したガスを当該貫通孔2aから排除する。
【選択図】図1
Description
本発明は、異種金属、例えばスチール材とアルミニウム合金材のように、互いに異なる融点を有する異種材料同士の接合技術に係わり、電子ビームやレーザビームのような高エネルギビームをデフォーカスさせた状態で重ね合わせた高融点材料と低融点材料の高融点側の材料表面にスポット状に照射することによって、両材料を接合する異種金属の重ね接合方法と、このような重ね接合に好適に用いることができる接合装置に関するものである。
従来、電子ビームやレーザビームなどのような高エネルギビームを用いた異種材料の重ね接合においては、脆い金属間化合物の生成を抑制するために高融点材料側からデフォーカスさせた高エネルギビームを照射し、高融点材料からの伝熱で低融点材料を溶融させて接合する方法がとられていた(例えば、非特許文献1参照)。
「溶接学会全国大会講演概要」、社団法人日本溶接学会、2003年4月、第72集、p.152
「溶接学会全国大会講演概要」、社団法人日本溶接学会、2003年4月、第72集、p.152
このような場合、溶接条件をコントロールし、接合界面において片側の材料(低融点材料)のみを溶融させ、材料の拡散を利用して接合することで、金属間化合物層の成長を抑え、その厚さを薄くすることによって、材料を両方溶融させたときよりも接合部の単位面積当たりの強度を高くすることができると考えられていた。
高エネルギビーム用いた接合では、例えばレーザビームを材料表面に照射するため、図6(a)及び(b)に示すように、ビーム1を照射する側には、ビーム1と干渉しないような逃げを作った押さえプレート5を用いて高融点材料2と低融点材料3の重ね部位を挟み込むことによって、これら被接合材2及び3をベースプレート6上に固定した状態で接合するようにしていた。
なお、図6(b)において、符号4は押さえプレート5を被接合材2及び3と共にベースプレート6に固定するためのボルトである。
なお、図6(b)において、符号4は押さえプレート5を被接合材2及び3と共にベースプレート6に固定するためのボルトである。
この場合、材料の拡散を利用したこのような接合においては、キーホール溶接とは違って、接合界面における高融点材料2から低融点材料3への伝熱が極めて重要なものとなるため、特願2004−373408号において発明者らが提案しているように、例えばエアシリンダ8を用いた加圧手段を用いて、ビーム1の照射面と反対側から低融点材料3に圧子9を押圧させ、両材料2及び3が密着する方向に接合部位を局部的に直接加圧しながら接合することも行われていた。
しかしながら、上記のような接合装置(治具)を用いて、例えば亜鉛めっき鋼板(高融点材料)とアルミニウム合金板(低融点材料)をデフォーカスさせたスポット状の高エネルギビームを照射して重ね接合した場合、接合界面において亜鉛めっき鋼板表面に存在する低融点の亜鉛が加熱されてガス化したり、あるいはアルミニウム合金中に含まれる水素がガス化したりする。
このとき、接合界面の周囲は、図7(a)に示すように、押さえプレート5及びベースプレート6によって固定されており、さらに接合界面は、ビーム照射面の反対側からエアシリンダ8に連結され、図7(b)に示すように上端面が平面状の圧子9よって加圧されていることから、接合界面において発生したガスの逃げ場がなくなり、接合界面にブローホールが生成したり、上部側が押さえプレート5によって押さえられていない上側材料(亜鉛めっき鋼板)が発生したガスの圧力により押し上げられたりする結果、接合欠陥が発生することがないとは言えず、このような場合には接合強度が低化してしまうという問題点があった。
このとき、接合界面の周囲は、図7(a)に示すように、押さえプレート5及びベースプレート6によって固定されており、さらに接合界面は、ビーム照射面の反対側からエアシリンダ8に連結され、図7(b)に示すように上端面が平面状の圧子9よって加圧されていることから、接合界面において発生したガスの逃げ場がなくなり、接合界面にブローホールが生成したり、上部側が押さえプレート5によって押さえられていない上側材料(亜鉛めっき鋼板)が発生したガスの圧力により押し上げられたりする結果、接合欠陥が発生することがないとは言えず、このような場合には接合強度が低化してしまうという問題点があった。
本発明は、デフォーカスさせた高エネルギビームを高融点材料側の表面に照射し、高融点材料からの伝熱により低融点材料を溶融させて接合する従来の異材重ね接合における上記課題に鑑みてなされたものであって、接合界面における高融点材料から低融点材料への伝熱を確保することができ、しかも両被接合材の接合界面にガスが発生したとしても、欠陥のない健全な異材重ね接合が可能な異種金属の接合方法と、このような接合に用いる接合装置を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、高エネルギビームの照射条件や照射位置等と共に、被接合材の固定方法などについて、鋭意検討した結果、被接合材にガス抜き用の孔が形成されるようにし、接合界面に発生したガスを積極的に排出するようになすことによって、安定な伝熱状態と維持しながら、欠陥発生を防止できることを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明は上記知見に基づくものであって、高エネルギビームを用いた本発明の異種金属の接合方法においては、融点が互いに異なる高融点材料と低融点材料を重ね合わせ、高融点材料側の表面にデフォーカスされた高エネルギビームをスポット状に照射して、これら材料同士を重ね接合するに際して、例えばエアシリンダのような加圧手段を用いて、高エネルギビームの照射面と反対側の面から両材料の接合部位を局部的に加圧しつつ、接合界面において発生したガスを重ね合わされた両材料の少なくとも一方を貫通させて排除しながら接合するようにしている。
また、高エネルギビームによる本発明の異種金属の接合装置は、上記した異種金属の重ね接合に好適に用いることができ、上記両材料を重ね合わせた状態に固定する材料固定手段と、高エネルギビームの照射面と反対側の面から上記両材料の接合部位を局部的に加圧する圧子を有する加圧手段を備え、上記圧子が材料との当接面に開口して外部に連通するガス抜き路を備え、望ましくは当該圧子が上記当接面に突起を備え、上記ガス抜き路が上記突起の先端に開口している構成とし、異種金属接合装置におけるこのような構成を上記課題を解決するための手段としたことを特徴としている。
本発明によれば、高エネルギビームを用いて異種金属を重ね接合するに際して、高エネルギビームの照射面の裏面、すなわち低融点材料の側から、両被接合材料が密着する方向に接合部位を局部的に加圧しながら、デフォーカスされた高エネルギビームを照射すると共に、例えば両被接合材料の少なくとも一方にあらかじめ貫通孔を設けておくことによって、接合界面で発生したガスを重ね合わされた被接合材料を貫通させて排除するようにしていることから、接合部位における高融点材料から低融点材料への伝熱性と、拡散に必要な圧力が確保されると共に、高エネルギビームの熱によって接合界面にガスが発生したとしても、ガス圧が高くなることがなく、ブローホールなどの欠陥発生を防止することができ、健全な異材重ね継手が得られ、接合強度を向上させることができるという極めて優れた効果がもたらされる。
以下、本発明による異種金属の接合方法と共に、これに用いる接合装置などについて、詳細かつ具体的に説明する。
本発明の異種金属の接合方法は、電子ビームやレーザビームのような高エネルギビームを融点の異なる異種材料から成る重ね継手における高融点側材料にデフォーカスした状態で照射することによってこれら両材料を接合するに際して、接合部位における伝熱性を確保すべく、高エネルギビームの反照射面側から接合部位を局部的に直接加圧すると共に、接合界面で発生したガスを重ね合わされた両材料を貫通させて円滑に排除して接合部におけるガス圧の上昇を防止し、もって欠陥発生の防止を可能にするものであるが、発生したガスを被接合材を貫通させて排除するための具体的手段としては、被接合材の一方又は両方に、少なくとも接合時に、被接合材の表面から接合界面に達する貫通孔が開くようにすればよく、これによって接合界面で発生したガスをここから円滑に排除することができるようになる。
例えば、接合界面の裏面側の材料表面、すなわち重ね合わせた両材料の外側面のいずれか又は両面に、接合時の熱やそのときのガス圧によって貫通孔が形成されるに十分な深さの凹部をあらかじめ形成しておくことが考えられる。
すなわち、接合時に高エネルギビームが照射されることによって、熱容量の小さい凹部が優先的に溶融し、接合界面に発生したガスの圧力によって溶融部が押し破られることによって、材料の表面から接合界面まで貫通する孔が開くため、接合界面に発生したガスを貫通穴を通して板外へ排除することができるようになる。
すなわち、接合時に高エネルギビームが照射されることによって、熱容量の小さい凹部が優先的に溶融し、接合界面に発生したガスの圧力によって溶融部が押し破られることによって、材料の表面から接合界面まで貫通する孔が開くため、接合界面に発生したガスを貫通穴を通して板外へ排除することができるようになる。
また、上記両材料の一方又は両方にあらかじめ貫通孔を設けておくことによっても、接合時に発生したガスを貫通穴を通して接合界面から板外へ排除することができ、接合欠陥を防止することができる。
なお、上記のような凹部や貫通孔を高エネルギビームの照射面と反対側の低融点材料の側に形成した場合には、上記両材料の接合部位を加圧する加圧手段の圧子がガス抜きの障害とならないように、上記圧子に、低融点材料との当接面に開口して外部に連通するガス抜き路を形成することによって、接合時に発生したガスを当該ガス抜き路を介して接合界面から外部に排除するようになすことが望ましい。
さらに、被接合材料にあらかじめ凹部や貫通孔を形成することなく、両材料の接合部位に対する加圧を利用して低融点材料に接合界面に達する貫通孔を形成することも考えられる。
すなわち、両材料の接合部位を加圧するための圧子に、突起と共に、この突起の先端に開口し外部に連通するガス抜き路を形成し、加圧時に上記突起を低融点材料に貫通させて接合界面に到達させ、接合界面に発生するガスを上記ガス抜き路を介して排除するようになすこともでき、これによってあらかじめ被接合材料に凹部や貫通孔を形成しておくことなしに、接合界面に発生するガスを排除することができ、上記同様の効果が得られることになる。
すなわち、両材料の接合部位を加圧するための圧子に、突起と共に、この突起の先端に開口し外部に連通するガス抜き路を形成し、加圧時に上記突起を低融点材料に貫通させて接合界面に到達させ、接合界面に発生するガスを上記ガス抜き路を介して排除するようになすこともでき、これによってあらかじめ被接合材料に凹部や貫通孔を形成しておくことなしに、接合界面に発生するガスを排除することができ、上記同様の効果が得られることになる。
なお、上記圧子の突起は、接合時に圧子が接合部位を加圧すると同時に、ほとんど溶融するまでに加熱された低融点材料に差し込まれることになので、さほど大きな加圧力を加えなくても、接合界面まで比較的容易に到達させることができる。
本発明の異種金属の接合装置においては、上記したように、材料固定手段と共に、両材料の接合部位を局部的に加圧する圧子を備えた加圧手段を備え、上記圧子が低融点材料との当接面に開口し外部に連通するガス抜き路を設けることができ、これによって、両材料の反ビーム照射面側、すなわち低融点材料の側に上記凹部や貫通孔を形成した場合においても、接合界面からのガスを円滑に排除することができるようになり、ブローホールなどの欠陥発生を防止して、接合強度を向上させることができる。
そして、上記圧子の低融点材料との当接面には、低融点材料に食い込む突起を設けると共に、上記ガス抜き路を当該突起の先端に開口させることがさらに望ましく、これによって、あらかじめ被接合材料に凹部や貫通孔を形成することなく、接合時に接合界面に到る貫通孔を形成して、接合時に発生するガスを接合界面から排除することができ、接合欠陥を防止して、異材重ね継手の接合強度を向上させることができる。
なお、上記突起の寸法としては、低融点材料の板厚とほぼ同じものとすることが望ましい。
なお、上記突起の寸法としては、低融点材料の板厚とほぼ同じものとすることが望ましい。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳しく説明する。なお、本発明は、これら実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
高融点材料2として、板厚0.55mmの亜鉛めっき鋼板を使用すると共に、低融点材料3として、板厚1.0mmの6000系アルミニウム合金板材を使用し、これらを75mm×20mmの大きさに切断すると共に、亜鉛めっき鋼板2(高融点材料)が上側になるように、長手方向に20mmだけ重ね、図1に示すように、ビーム照射面と反対側からエアシリンダ(加圧手段)8(図6参照)によって、これら被接合材料2,3を加圧する圧子9を備えた接合装置のベースプレート6の上に、レーザビーム1が通る位置に孔を開けた押さえプレート5を介して当該被接合材料2,3を固定した。
なお、当該実施例においては、図中上側に位置する亜鉛めっき鋼板2のレーザビームを照射する位置の中央部に直径0.5mmの貫通孔2aをあらかじめ設けた上で、アルミニウム合金材3に重ね、上記の状態に固定されている。
高融点材料2として、板厚0.55mmの亜鉛めっき鋼板を使用すると共に、低融点材料3として、板厚1.0mmの6000系アルミニウム合金板材を使用し、これらを75mm×20mmの大きさに切断すると共に、亜鉛めっき鋼板2(高融点材料)が上側になるように、長手方向に20mmだけ重ね、図1に示すように、ビーム照射面と反対側からエアシリンダ(加圧手段)8(図6参照)によって、これら被接合材料2,3を加圧する圧子9を備えた接合装置のベースプレート6の上に、レーザビーム1が通る位置に孔を開けた押さえプレート5を介して当該被接合材料2,3を固定した。
なお、当該実施例においては、図中上側に位置する亜鉛めっき鋼板2のレーザビームを照射する位置の中央部に直径0.5mmの貫通孔2aをあらかじめ設けた上で、アルミニウム合金材3に重ね、上記の状態に固定されている。
上記接合装置は、エアシリンダ8の可動部先端に圧子9が取り付けてあり、エアシリンダ8にエアを導入することによって、圧子9が上方に作動し、アルミニウム合金材3(低融点材料)を押し上げることで接合部位をアルミニウム合金材3の側から直接加圧できる構造となっている。
亜鉛めっき鋼板2(高融点材料)の側から被接合材料2,3のラップ中央部にNd:YAGレーザビームを移動させることなく、一点に照射することにより亜鉛メッキ鋼板2とアルミニウム合金材3を接合した。
このとき、YAGレーザの照射条件は、亜鉛メッキ鋼板2側が溶融することなく、アルミニウム合金材3のみが溶融するような温度分布となるようにレーザの亜鉛メッキ鋼板2上でのスポット径、レーザ出力、照射時間を設定した。具体的には、最大出力3kWのYAGレーザ発振器、焦点距離100mmのレンズを用い、亜鉛めっき鋼板2の表面上におけるスポット径が7mmとなるようにビームをデフォーカスし、レーザ出力1.5kW、照射時間1.4秒とした。また、レーザ照射中には、レーザビームと同軸のノズルからアルゴンガスを20L/minの流量で流して、接合部位を大気からシールドするようにした。
このとき、YAGレーザの照射条件は、亜鉛メッキ鋼板2側が溶融することなく、アルミニウム合金材3のみが溶融するような温度分布となるようにレーザの亜鉛メッキ鋼板2上でのスポット径、レーザ出力、照射時間を設定した。具体的には、最大出力3kWのYAGレーザ発振器、焦点距離100mmのレンズを用い、亜鉛めっき鋼板2の表面上におけるスポット径が7mmとなるようにビームをデフォーカスし、レーザ出力1.5kW、照射時間1.4秒とした。また、レーザ照射中には、レーザビームと同軸のノズルからアルゴンガスを20L/minの流量で流して、接合部位を大気からシールドするようにした。
また、エアシリンダ8については、約80kgfの力でアルミニウム合金材3の側から接合部を加圧できるように、エアの圧力を調整し、ビーム照射する前に加圧を始め、ビーム照射終了後にエアを抜いて加圧力を解除するようにした。
図7に示したように、ビーム照射位置に貫通孔2aを設けていない亜鉛めっき鋼板2を用いて接合を行った場合には、接合界面において亜鉛めっき鋼板2上に存在する亜鉛がガス化したり、アルミ合金中の水素がガス化したりすることによって発生したガスが接合界面から排除されないために、接合後に接合界面に残存してブローホールとなったり、部分的に亜鉛めっき鋼板2の中央部が局部的に溶融した時には、溶融部から亜鉛めっき鋼板2の表面に、溶融した材料とともにガスが噴出することによって接合欠陥となったりすることがあり、いずれの場合にも有効な接合面積が減少することから、接合強度が低下してしまう。
これに対して、本発明の接合方法においては、材料にあらかじめ微小な貫通孔2aを設けておいたことによって、材料接合界面に発生したガスが貫通孔2aを通って接合界面から外部へ排出される。
したがって、接合後には、接合界面に亜鉛や水素のガスは残存せず、ブローホールなどの接合欠陥が発生することがなくなって、有効な接合面積を広くすることができ、接合強度を高くすることができる。
(実施例2)
この実施例においては、図2に示すように、亜鉛めっき鋼板2に代えて、アルミニウム合金材3のレーザビーム照射位置中央部に直径0.5mmの貫通孔3aをあらかじめ設けたこと以外は、上記実施例1と同様の条件で亜鉛メッキ鋼板2とアルミニウム合金材3を接合した。
なお、この場合には、接合部位を加圧する圧子9の板材との圧接面に、外部に連通するガス抜き路9aを形成しておくことが必要となる。
この実施例においては、図2に示すように、亜鉛めっき鋼板2に代えて、アルミニウム合金材3のレーザビーム照射位置中央部に直径0.5mmの貫通孔3aをあらかじめ設けたこと以外は、上記実施例1と同様の条件で亜鉛メッキ鋼板2とアルミニウム合金材3を接合した。
なお、この場合には、接合部位を加圧する圧子9の板材との圧接面に、外部に連通するガス抜き路9aを形成しておくことが必要となる。
この場合も、接合界面に亜鉛や水素のガス発生したとしても、このガスがアルミニウム合金材3に設けた貫通孔3aと、圧子9に形成されたガス抜き孔9aを通って接合界面から外部へ排出されることから、実施例1と同様に、接合欠陥の発生はなく、接合強度を高くすることができる。
(実施例3)
この実施例においては、図3に示すように、図中上側に位置する亜鉛めっき鋼板2のレーザビームを照射する位置の中央部に、上記貫通孔2aに代えて、直径1〜2mm、深さ0.3mmの凹部2bをあらかじめ設けた上で、アルミニウム合金材3の上に重ね、上記接合装置に固定したこと以外は、上記実施例1と同様の条件で亜鉛メッキ鋼板2とアルミニウム合金材3を接合した。
この実施例においては、図3に示すように、図中上側に位置する亜鉛めっき鋼板2のレーザビームを照射する位置の中央部に、上記貫通孔2aに代えて、直径1〜2mm、深さ0.3mmの凹部2bをあらかじめ設けた上で、アルミニウム合金材3の上に重ね、上記接合装置に固定したこと以外は、上記実施例1と同様の条件で亜鉛メッキ鋼板2とアルミニウム合金材3を接合した。
この実施例においては、亜鉛めっき鋼板2に凹部2bをあらかじめ設けておくことによって、熱容量の小さい凹部2bが優先的に溶融し、ガス自体の圧力で溶融部が押上げられることによって、あらかじめ貫通孔を設けておいた場合と同様に、接合界面で発生したガスが接合界面から外部へ排出されることになり、同様に接合欠陥の発生のない、高強度の異材継手が得られることになる。
(実施例4)
図4に示すように、亜鉛めっき鋼板2に代えて、アルミニウム合金材3のレーザビーム照射位置中央部に直径1〜2mm、深さ0.3mmの凹部3bをあらかじめ設けたこと以外は、上記実施例1と同様の条件で亜鉛メッキ鋼板2とアルミニウム合金材3を接合した。
図4に示すように、亜鉛めっき鋼板2に代えて、アルミニウム合金材3のレーザビーム照射位置中央部に直径1〜2mm、深さ0.3mmの凹部3bをあらかじめ設けたこと以外は、上記実施例1と同様の条件で亜鉛メッキ鋼板2とアルミニウム合金材3を接合した。
この実施例においては、アルミニウム合金材3に凹部3bをあらかじめ設けておくことによって、熱容量の小さい凹部3bが優先的に溶融し、発生したガス自体の圧力によって溶融部が突き破られることによって、接合界面で発生したガスが当該部分に留まることなく、圧子9に形成されたガス抜き路9aを通って外部へ排出されることになり、同様に接合欠陥の発生がなくなり、接合強度を向上させることができる。
(実施例5)
図5は、本発明の第5の実施例を説明するためのものであって、当該実施例においては、被接合材2,3にあらかじめ加工を施すことなく、接合部位を加圧するための圧子として、被接合材に貫通孔を形成するための突起と、これに連通するガス抜き孔を備えた圧子を使用するようにしている。
図5は、本発明の第5の実施例を説明するためのものであって、当該実施例においては、被接合材2,3にあらかじめ加工を施すことなく、接合部位を加圧するための圧子として、被接合材に貫通孔を形成するための突起と、これに連通するガス抜き孔を備えた圧子を使用するようにしている。
すなわち、図に示す加圧手段の圧子9は、図中下側に位置するアルミニウム合金材3(低融点材料)との圧接面に突起9bが形成されており、エアシリンダ8(図6参照)の作動によって、これら被接合材料2,3を加圧すると同時に、当該突起9bがアルミニウム合金材3に食い込むことによって、アルミニウム合金材3に接合界面に達する貫通孔を開けることができるようになっている。
また、上記突起9bの先端には、微小な開口が形成してあり、圧子9の本体に設けたガス抜き路9aを介して外部に通じるようになっている。
また、上記突起9bの先端には、微小な開口が形成してあり、圧子9の本体に設けたガス抜き路9aを介して外部に通じるようになっている。
このような接合装置に、上記亜鉛めっき鋼板2とアルミニウム合金材3を同様に固定し、図5に示すように、圧子9によって接合部位を加圧しながら、上記各実施例と同様の条件で亜鉛メッキ鋼板2とアルミニウム合金材3を接合した。
当該実施例においては、圧子9が接合界面を加圧すると同時に、当該圧紙の突起9bが溶融した低融点材料3に差し込まれ、接合界面に達することから、接合界面に発生したガスをガス抜き路9aを通して外部へ排出することができるため、接合欠陥を防止することができ、接合面積が増加するので、接合強度を向上させることができる。
当該実施例においては、圧子9が接合界面を加圧すると同時に、当該圧紙の突起9bが溶融した低融点材料3に差し込まれ、接合界面に達することから、接合界面に発生したガスをガス抜き路9aを通して外部へ排出することができるため、接合欠陥を防止することができ、接合面積が増加するので、接合強度を向上させることができる。
1 高エネルギビーム
2 高融点材料
2a 貫通孔
2b 凹部
3 低融点材料
3a 貫通孔
3b 凹部
5 押さえプレート(材料固定手段)
6 ベースプレート(材料固定手段)
8 エアシリンダ(加圧手段)
9 圧子
9a ガス抜き路
9b 突起
2 高融点材料
2a 貫通孔
2b 凹部
3 低融点材料
3a 貫通孔
3b 凹部
5 押さえプレート(材料固定手段)
6 ベースプレート(材料固定手段)
8 エアシリンダ(加圧手段)
9 圧子
9a ガス抜き路
9b 突起
Claims (9)
- 互いに融点の異なる高融点材料と低融点材料を重ね合わせた状態でデフォーカスされた高エネルギビームを高融点材料表面にスポット状に照射して、上記材料同士を重ね接合する異種金属接合において、高エネルギビームの照射面と反対側の面から上記両材料の接合部位を局部的に加圧すると共に、接合界面に発生するガスを重ね合わされた両材料の少なくとも一方を貫通させて排除することを特徴とする異種金属の接合方法。
- 少なくとも接合時に、上記両材料の一方又は両方に、材料表面から接合界面に到る貫通孔を開けることを特徴とする請求項1に記載の異種金属の接合方法。
- 接合界面の裏面側の材料表面に、接合時に貫通孔となる凹部をあらかじめ設けておくことを特徴とする請求項2に記載の異種金属の接合方法。
- 上記凹部を低融点材料に設けると共に、両材料の接合部位を局部的に加圧する圧子に上記材料との当接面に開口し外部に連通するガス抜き路を形成し、接合界面に発生するガスを当該ガス抜き路を介して排除することを特徴とする請求項3に記載の異種金属の接合方法。
- 上記両材料の一方又は両方に貫通孔をあらかじめ設けておくことを特徴とする請求項2に記載の異種金属の接合方法。
- 上記貫通孔を低融点材料に設けると共に、両材料の接合部位を局部的に加圧する圧子に上記材料との当接面に開口し外部に連通するガス抜き路を形成し、接合界面に発生するガスを当該ガス抜き路を介して排除することを特徴とする請求項5に記載の異種金属の接合方法。
- 上記両材料の接合部位を局部的に加圧する圧子に突起と、該突起の先端に開口し外部に連通するガス抜き路を形成し、接合部位の加圧時に上記突起を低融点材料に貫通させて接合界面に到達させ、接合界面に発生するガスを上記ガス抜き路を介して排除することを特徴とする請求項2に記載の異種金属の接合方法。
- 互いに融点の異なる高融点材料と低融点材料を重ね合わせた状態でデフォーカスされた高エネルギビームを高融点材料表面にスポット状に照射して、上記材料同士を重ね接合する異種金属の接合装置であって、
上記両材料を重ね合わせた状態に固定する材料固定手段と、高エネルギビームの照射面と反対側の面に当接して上記両材料の接合部位を局部的に加圧する圧子を備えた加圧手段を有し、上記圧子が上記材料との当接面に開口し外部に連通するガス抜き路を備えていることを特徴とする異種金属の接合装置。 - 上記圧子が上記材料との当接面に突起を備え、上記ガス抜き路が当該突起の先端に開口していることを特徴とする請求項8に記載の異種金属の接合装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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