JP2006287501A - アレーアンテナ用rf回路伝送特性調整装置およびその方法 - Google Patents

アレーアンテナ用rf回路伝送特性調整装置およびその方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 アレーアンテナへ伝送される送信信号の伝送特性を周波数特性を考慮して調整することを可能とする。
【解決手段】 アンテナ素子22に供給される送信信号をRF回路経由後に抽出するカプラ22と、該抽出された信号を周波数領域の信号に変換するDFT13と、乗算器45出力後の信号を時間領域の信号に変換するIDFT11と、IDFT出力後の信号に対してRF回路経由後に抽出された信号に時間的に合わせる遅延を付加する遅延ユニット53と、遅延付加後の信号を周波数領域の信号に変換するDFT12と、DFT12およびDFT13からの各々の出力信号を比較して振幅差および位相差を検出するレベル・位相検出器14と、この検出結果に応じて、アンテナ素子ごとの送信信号の振幅および位相を補正するレベル・位相制御器15および乗算器16とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アレーアンテナ用RF回路伝送特性調整装置およびその方法に関する。
従来、複数のアンテナ素子から構成されるアレーアンテナを用い、各アンテナ素子に入力される、アンテナ素子数分だけ配分された送信信号の振幅、位相を操作して放射パターンを制御するビーム制御技術がある。ビーム制御技術は、従前の無線通信で用いられている時間および周波数領域の技術とは独立した空間を用いた技術であり、空間分割多元接続(SDMA;Space Division Multiple Access)を可能とし、無線通信システムの通信容量を増大させることができるものとして期待されている。
上記したビーム制御技術を無線通信システムの基地局装置に適用する場合、基地局装置は、アレーアンテナとビーム制御装置を有する。ビーム制御装置は、アンテナ素子数分の送信信号のレベル(振幅)および位相を操作する。一般的に、アレーアンテナは屋外に、ビーム制御装置は屋内にそれぞれ設置される。そのアレーアンテナとビーム制御装置間は、アンテナ素子毎の給電線およびアンプ(以下、纏めて「RF回路」と称する)で接続されている。アンテナ素子毎の各RF回路の伝送特性は、製造誤差および時間的な温度変化等の影響の差があるために常に同一ではない。このため、伝送される各送信信号の振幅および位相は、RF回路によりそれぞれ独立に変動し、ビーム制御技術に影響を与える。
上記した問題を解決するため、各RF回路間の伝送特性差を等化するアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整装置が必要となる。このため、従来は、キャリブレーション専用信号源を用いてキャリブレーション信号を送信信号に多重させ、各RF回路を伝送させた後、それぞれについてキャリブレーション用信号を検出(復調)し、相対振幅、相対位相差を、ある所定の設定キャリブレーション値になるように制御している(例えば非特許文献1参照)。
「W−CDMA下りリンク適応アンテナアレイ送信ダイバーシチにおけるRF送受信回路のキャリブレーションの検討」 原田 篤、田中晋也、安達文幸著、信学技報、P103−110、1999年8月発行
しかしながら、上記した従来技術によれば、キャリブレーション専用信号源および復調器が必要となるだけではなく、キャリブレーション専用信号が送信信号と多重されて送信されるため、送信信号に対する干渉源となってしまう。
ところで、広帯域を用いて高速伝送を実現する周波数領域の一変復調技術として、周波数領域で複数のサブキャリア(マルチキャリア)に送信データを展開して伝送する直交周波数分割多重(OFDM;Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式が知られており、ビーム制御技術とOFDM方式を組合せて大容量且つ高速な無線通信システムを実現することが検討されている。ビーム制御技術と広帯域のOFDM方式を用いた無線通信システムでは、各RF回路間の周波数特性の差が無視できなくなるので、それも考慮したアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整装置が要求される。
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、キャリブレーション専用信号源および復調器を用いることなく、アレーアンテナへ伝送される送信信号の伝送特性の周波数特性を考慮して調整することのできる、アレーアンテナ用RF回路伝送特性調整装置およびその方法を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明に係るアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整装置は、複数のアンテナ素子から成るアレーアンテナの前記アンテナ素子ごとに送信信号の振幅および位相を操作するとともに、所定複数のサブキャリアに送信データを展開して周波数分割多重する無線装置におけるアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整装置であって、前記周波数分割多重後に時間領域に変換されRF回路を経由して前記アンテナ素子に供給される送信信号を、前記RF回路経由後に抽出する信号抽出手段と、前記抽出された信号を周波数領域の信号に変換する第1の離散フーリエ変換手段と、前記アンテナ素子ごとの送信信号の振幅および位相の操作後であって前記周波数分割多重時の周波数領域の送信信号を、時間領域の信号に変換する逆離散フーリエ変換手段と、前記逆離散フーリエ変換手段出力後の信号に対して、前記抽出された信号に時間的に合わせる遅延を付加する遅延付加手段と、前記遅延付加手段出力後の信号を周波数領域の信号に変換する第2の離散フーリエ変換手段と、前記第1および第2の離散フーリエ変換手段からの各々の出力信号を比較して振幅差および位相差を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に応じて、前記アンテナ素子ごとの送信信号の振幅および位相の操作後であって前記周波数分割多重時の周波数領域の送信信号に対し、前記アンテナ素子ごとの送信信号の振幅および位相を補正する補正手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明に係るアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整装置においては、前記RF回路経由後に抽出された前記アンテナ素子ごとの信号を一系統の信号に切替する第1の信号切替手段と、前記周波数分割多重時の周波数領域の前記アンテナ素子ごとの送信信号を一系統の信号に切替する第2の信号切替手段とを備え、前記第1の離散フーリエ変換手段には、前記第1の信号切替手段で切替後の信号が入力され、前記逆離散フーリエ変換手段には、前記第2の信号切替手段で切替後の信号が入力される、ことを特徴とする。
本発明に係るアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整装置においては、前記アンテナ素子の信号系統ごとに前記振幅差および位相差の検出を行い、該各アンテナ素子の検出結果ごとにレベル差および位相差を所定範囲内にする補正係数を算出するように制御する制御手段、を備えたことを特徴とする。
本発明に係るアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整装置においては、一の前記アンテナ素子のみの送信信号を前記第2の信号切替手段で選択し、前記アンテナ素子の信号系統ごとに前記振幅差および位相差の検出を行い、該各アンテナ素子の検出結果に基づき、アンテナ素子の信号系統間のレベル差および位相差を所定範囲内にする補正係数を算出するように制御する制御手段、を備えたことを特徴とする。
本発明に係るアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整装置においては、前記補正手段は、前記アンテナ素子の信号系統ごとに検出したレベル差および位相差に基づき、アンテナ素子の信号系統間の相対的なレベル差および位相差を求め、アンテナ素子の信号系統間の相対的なレベル差および位相差を所定範囲内に補正する補正係数を算出する、ことを特徴とする。
本発明に係るアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整方法は、複数のアンテナ素子から成るアレーアンテナの前記アンテナ素子ごとに送信信号の振幅および位相を操作するとともに、所定複数のサブキャリアに送信データを展開して周波数分割多重する無線装置におけるアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整方法であって、前記周波数分割多重後に時間領域に変換されRF回路を経由して前記アンテナ素子に供給される送信信号を、前記RF回路経由後に抽出する信号抽出過程と、前記抽出された信号を周波数領域の信号に変換する第1の離散フーリエ変換過程と、前記アンテナ素子ごとの送信信号の振幅および位相の操作後であって前記周波数分割多重時の周波数領域の送信信号を、時間領域の信号に変換する逆離散フーリエ変換過程と、前記逆離散フーリエ変換後の信号に対して、前記抽出された信号に時間的に合わせる遅延を付加する遅延付加過程と、前記遅延付加後の信号を周波数領域の信号に変換する第2の離散フーリエ変換過程と、前記第1および第2の離散フーリエ変換過程による各々の変換後の信号を比較して振幅差および位相差を検出する検出過程と、前記検出結果に応じて、前記アンテナ素子ごとの送信信号の振幅および位相の操作後であって前記周波数分割多重時の周波数領域の送信信号に対し、前記アンテナ素子ごとの送信信号の振幅および位相を補正する補正過程と、を含むことを特徴とする。
本発明に係るアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整方法においては、前記RF回路経由後に抽出された前記アンテナ素子ごとの信号を一系統の信号に切替する第1の信号切替過程と、前記周波数分割多重時の周波数領域の前記アンテナ素子ごとの送信信号を一系統の信号に切替する第2の信号切替過程とをさらに有し、前記第1の離散フーリエ変換過程には、前記第1の信号切替過程で切替後の信号が入力され、前記逆離散フーリエ変換過程には、前記第2の信号切替過程で切替後の信号が入力される、ことを特徴とする。
本発明に係るアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整方法においては、前記アンテナ素子の信号系統ごとに前記振幅差および位相差の検出を行い、該各アンテナ素子の検出結果ごとにレベル差および位相差を所定範囲内にする補正係数を算出するように制御する制御過程、をさらに有することを特徴とする。
本発明に係るアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整方法においては、一の前記アンテナ素子のみの送信信号を前記第2の信号切替過程で選択し、前記アンテナ素子の信号系統ごとに前記振幅差および位相差の検出を行い、該各アンテナ素子の検出結果に基づき、アンテナ素子の信号系統間のレベル差および位相差を所定範囲内にする補正係数を算出するように制御する制御過程、をさらに有することを特徴とする。
本発明に係るアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整方法においては、前記補正過程において、前記アンテナ素子の信号系統ごとに検出したレベル差および位相差に基づき、アンテナ素子の信号系統間の相対的なレベル差および位相差を求め、アンテナ素子の信号系統間の相対的なレベル差および位相差を所定範囲内に補正する補正係数を算出する、ことを特徴とする。
本発明によれば、キャリブレーション専用信号源および復調器を用いることなく、アレーアンテナへ伝送される送信信号の伝送特性を調整できるとともに、周波数特性を考慮した調整を行うことが可能となる。
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整装置1を備えた無線装置100の構成を示すブロック図である。図1においてアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整装置1に係る部分は破線で囲まれている。なお、図1には無線装置100の送信機能に係るブロックのみを示している。無線装置100は、OFDM方式およびSDMA方式を用いた無線通信システムの例えば基地局装置として利用することができる。
図2には、OFDM方式を用いた無線通信システムの概略構成が示されている。図2において、送信局100aは、送信するシリアルデータをOFDM方式のサブキャリア数分(L個)のデータからなるパラレルデータに変換し、そのパラレルデータを逆離散フーリエ変換器(IDFT)により周波数領域から時間領域の信号に変換して無線送信する。受信局100bは、無線受信した信号を離散フーリエ変換器(DFT)により時間領域から周波数領域の信号(OFDM方式のサブキャリア数分(L個)のデータからなるパラレルデータ)に変換し、そのパラレルデータをシリアルデータに変換して受信データを得る。
OFDM方式およびSDMA方式を用いた無線通信システムでは、OFDM方式により、サブキャリア数分(L個)の周波数多重数を実現できる。さらにビーム制御技術を用いたSDMA方式により、アレーアンテナのアンテナ素子数分(N個)の空間多重数を実現できる。
図1において、無線装置100は、アレーアンテナユニット20、副ユニット30、主ユニット40および遅延ユニット50を有する。アレーアンテナユニット20と副ユニット30は屋外に設置される。副ユニット30はアレーアンテナユニット20のできる限り近傍に配置する。主ユニット40は屋内に設置される。遅延ユニット50は、屋内或いは屋外に設置される。
アレーアンテナユニット20は、N個のアンテナ素子21から構成されるアレーアンテナ、各アンテナ素子21の入力直前の信号を抽出する方向性結合器(DC;以下、カプラという)22、およびカプラ21出力後の信号を合成出力する合成器(CMB)23を有する。
副ユニット30は、N個のアンテナ素子21の各々に対応して設けられ各アンテナ素子21の入力信号を抽出するカプラ31、各カプラ31出力後の信号からモニタするアンテナ素子21の信号を選択するスイッチ(SW2)と、SW2又は合成器23のいずれかの出力信号を選択するスイッチ(SW3)を有する。
主ユニット40は、OFDM処理部分とビーム制御部分とアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整装置部分とを有する。
OFDM処理部分は、送信するシリアルデータをOFDM方式のサブキャリア数分(L個)のデータからなるパラレルデータに変換するシリアル−パラレル変換器41と、N個のアンテナ素子21の各々に対応して設けられるIDFT42である。N個のIDFT42出力後の信号は、N個のアンテナ素子21の各々に対応するN系統の送信信号である。各系統の送信信号は、各々対応するRF回路を通って副ユニット30に伝送され、各々対応するカプラ31に入力される。本実施形態に係るRF回路は、フィーダケーブル51とアンプ52から構成される。
ビーム制御部分は、パラレルデータ中の一データをアンテナ素子21の数分(N個)に分配する分配器43と、ビーム制御用の重み係数をアンテナ素子21毎に算出するビーム制御器44と、N個のアンテナ素子21の各々に対応して設けられ分配器43の出力信号にビーム制御器44からの重み係数を乗じる乗算器45である。分配器43とビーム制御器44とN個の乗算器45は、OFDM方式のサブキャリアの各々に対応してL個の組が設けられる。
アレーアンテナ用RF回路伝送特性調整装置部分は、スイッチ(SW1)、IDFT11、DFT12、DFT13、レベル(振幅)・位相検出器14、レベル(振幅)・位相制御器15、乗算器16および制御部17である。
SW1は、N個のアンテナ素子21の各々に対応して設けられた乗算器45出力後の信号から、モニタするアンテナ素子21の信号を選択する。IDFT11は、SW1出力後の信号を周波数領域から時間領域に変換する。DFT12は、IDFT11出力後の信号が遅延ユニット53を通った後の信号を時間領域から周波数領域に変換する。
DFT13は、副ユニット30からフィーダケーブル54を通って伝送されるSW3の出力信号を時間領域から周波数領域に変換する。レベル・位相検出器14は、DFT12出力後の信号(参照信号REF)とDFT13出力後の信号(モニタ信号MON)を比較してレベル差および位相差を検出する。レベル・位相制御器15は、レベル・位相検出器14の検出結果の差を補正する補正係数をアンテナ素子21毎に算出する。乗算器16は、N個のアンテナ素子21の各々に対応して設けられ、乗算器45出力後の信号にレベル・位相制御器15からの補正係数を乗じる。
遅延ユニット53は、所定時間だけ、入力信号(IDFT11出力後の信号)を遅延させてDFT12に出力する。該所定の遅延時間は、IDFT42出力後の信号が主ユニット40からRF回路(フィーダケーブル51とアンプ52)、カプラ31、カプラ22、合成器23、SW3およびフィーダケーブル54を経由して主ユニット40に戻ってくるまでの伝送時間に相当する時間、或いは、IDFT42出力後の信号が主ユニット40からRF回路(フィーダケーブル51とアンプ52)、カプラ31、SW2、SW3およびフィーダケーブル54を経由して主ユニット40に戻ってくるまでの伝送時間に相当する時間である。
上記したSW1、レベル・位相検出器14、レベル・位相制御器15およびN個のアンテナ素子ごとの乗算器16からなる調整部は、OFDM方式のL個のサブキャリアの各々に対応してL個の組が設けられる。これにより、サブキャリアごとのレベルおよび位相の調整を行うことができる。
制御部17は、アレーアンテナ用RF回路伝送特性調整装置全体を制御する。主ユニット40のアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整装置部分と副ユニット30は制御ケーブル55を介して接続されており、制御ケーブル55を介して制御部17からの制御信号が副ユニット30に伝達される。
次に、上記図1の無線装置100におけるアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整に係る動作を説明する。
本実施形態に係るアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整方法として、オフラインモードとオンラインモード、そして、オフ−オンラインモードの3つが用意されている。このうち、オフラインモードは立ち上げ時の初期調整を行うモードであり、オンラインモードはシステムを運用しながら調整を行うモードである。図3にオフラインモード、図4にオンラインモードでの調整のための信号伝播経路が示されている。図3、図4とも、図1に示した基本構成に信号の流れを破線の矢印線で明記したものであり、構成や接続関係に変化はない。なお、図3および図4では、アンテナ素子21_#1の信号系統についての信号の流れが破線の矢印線で示されている。
以下、図3、図4を用い、オフラインモードとオンラインモードの動作について、アンテナ素子21_#1の信号系統の調整を例に挙げて説明するが、他のアンテナ素子21_#2〜#Nの信号系統の調整についても同様である。
オフラインモードでは、図3に示されるように、まずビーム制御器44で設定する重み係数をアンテナ素子21_#1だけを1、その他のアンテナ素子を全て0としてアンテナ素子21_#1からのみ送信信号が送信されるように設定する。さらに、副ユニット30のSW3を制御部17による制御の下でアレーアンテナユニット20の合成器23からの出力信号を選択するように切替える。これにより、図3のルートR1の信号経路が確立される。カプラ22により抽出されたアンテナ素子21_#1に入力直前の信号は、ルートR1上の合成器23、SW3およびフィーダケーブル54を経由して主ユニット40まで伝送されてDFT13に入力され、周波数領域の信号に変換された後にモニタ信号MONとしてレベル・位相検出器14に入力される。
また、主ユニット40のSW1を制御部17による制御の下でアンテナ素子21_#1の信号系統を選択するように切替える。これにより、図3のルートR2の信号経路が確立される。アンテナ素子21_#1に対応して設けられた乗算器45出力後の信号は、ルートR2上のIDFT11および遅延ユニット53を経由してDFT12に入力され、周波数領域の信号に変換された後に参照信号REFとしてレベル・位相検出器14に入力される。つまり、IDFT11で時間領域の信号に変換されてから遅延ユニット53で遅延時間が付加された後に、DFT12で周波数領域の信号に戻されて参照信号REFとなる。なお、オフラインモードでは、遅延ユニット53は、ルートR1経由の遅延時間を付加する。
レベル・位相検出器14は、その入力されたモニタ信号MONと参照信号REFを比較して、レベル差および位相差を検出する。これらのレベル差および位相差は、サブキャリアごとに検出される。次いで、レベル・位相制御器15は、レベル・位相検出器14の検出結果に基づき、レベル差および位相差が、ある所定の設定オフラインキャリブレーション値(計測データに基づきあらかじめ設定されている)になるように、補正係数を算出する。この補正係数はサブキャリアごとに算出される。そして、サブキャリアごとの補正係数がアンテナ素子21_#1に対応する各乗算器16で乗算器45出力後の信号に乗じられることにより、アンテナ素子21_#1の信号系統の周波数領域においてサブキャリアごとに信号のレベルおよび位相が補正される。
上記オフラインモードのキャリブレーション操作については、ビーム制御器44で設定する重み係数およびSW1を連動して切替えて、その他のアンテナ素子21の信号系統についても同様に行う。これにより、全アンテナ素子21の信号系統についての補正を行う。
なお、その他のオフラインモードのキャリブレーション方法として、SW1をあるアンテナ素子21_#nに固定し(つまり参照信号REFは当該アンテナ素子21_#nの信号に固定)、その他のアンテナ素子21について上記と同じ手順によりモニタ信号MONを得る方法がある。この方法では、まず、単一のアンテナ素子21から放射するようにアレーアンテナユニット20に信号を入力した場合の放射信号に対する合成器23の出力信号のレベル差および位相差を、全てのアンテナ素子21にわたって測定する。次いで、それら測定結果を基に、アンテナ素子21の信号系統間の相対的なレベル差および位相差を、設定オフラインキャリブレーション値に補正する補正係数の算出を行う。ここでは、設定オフラインキャリブレーション値として相対的なレベル差および位相差を用いる。これによりオフラインキャリブレーションを実現する。
なお、上述した2通りのオフラインモードでは、アンテナ素子21の信号系統ごとに独立に補正係数を設定しているが、アンテナ素子21の信号系統ごとに検出したレベル差および位相差に基づき、アンテナ素子21の信号系統間の相対的なレベル差および位相差を求め、アンテナ素子21の信号系統間の相対的なレベル差および位相差を所定範囲内に補正する補正係数を算出するようにしてもよい。
一方、オンラインモードでは、図4に示されるように、まず副ユニット30のSW3を制御部17による制御の下で副ユニット30のSW2からの出力信号を選択するように切替える。また、ここではSW2を制御部17による制御の下でアンテナ素子21_#1に対応するカプラ31からの出力信号を選択するように切替える。これにより、図4のルートR3の信号経路が確立される。カプラ31により抽出されたアンテナ素子21_#1への入力信号は、ルートR3上のSW2、SW3およびフィーダケーブル54を経由して主ユニット40まで伝送されてDFT13に入力され、周波数領域の信号に変換された後にモニタ信号MONとしてレベル・位相検出器14に入力される。また、上記オフラインモードと同様にルートR2によって参照信号REFが生成されてレベル・位相検出器14に入力される。これにより、上記オフラインモードと同様にして、モニタ信号MONと参照信号REFに基づいてサブキャリアごとの補正係数が算出されて、アンテナ素子21_#1の信号系統の周波数領域におけるサブキャリアごとの信号のレベルおよび位相の補正が行われる。
上記オンラインモードのキャリブレーション操作については、SW1およびSW2を連動して切替えて、その他のアンテナ素子21の信号系統についても同様に行う。これにより、全アンテナ素子21の信号系統についての補正を行う。
なお、上述したオンラインモードでは、アンテナ素子21の信号系統ごとに独立に補正係数を設定しているが、アンテナ素子21の信号系統ごとに検出したレベル差および位相差に基づき、アンテナ素子21の信号系統間の相対的なレベル差および位相差を所定範囲内に補正する補正係数を算出するようにしてもよい。
最後に、オフ−オンラインモードとは、まずオフラインモードでキャリブレーションを行い、レベル・位相検出器14での検出値と、設定オフラインキャリブレーション値との誤差が、ある所定の許容条件を満たす場合にオンラインモードに切替え、切替え直後の検出値を上記した設定オンラインキャリブレーション値として設定し、オンラインキャリブレーションを実行するモードである。
上述したように本実施形態によれば、キャリブレーション専用信号源および復調器を用いることなく、送信信号のみにより、アレーアンテナへ伝送される送信信号の伝送特性を調整するものであり、このことによりコスト削減、ならびに調整が伝送品質に影響を与えないといった利点を持つ。また、初期調整は勿論のこと、運用中にも調整が可能となるため、メンテナンスに柔軟性を持たせることができる。
さらに、図1に示されるようにSW1、レベル・位相検出器14、レベル・位相制御器15およびN個のアンテナ素子ごとの乗算器16からなる調整部は、OFDM方式のL個のサブキャリアの各々に対応してL個の組が設けられる。これにより、サブキャリアごとのレベルおよび位相の調整を行うことができる。
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
本発明の一実施形態に係るアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整装置1を備えた無線装置100の構成を示すブロック図である。 OFDM方式を用いた無線通信システムの概略構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係るオフラインモードでの調整の際の信号伝播経路を説明するために引用した図である。 本発明の一実施形態に係るオンラインモードでの調整の際の信号伝播経路を説明するために引用した図である。
符号の説明
1…アレーアンテナ用RF回路伝送特性調整装置、11,42…逆離散フーリエ変換器(IDFT)、12,13…離散フーリエ変換器(DFT)、14…レベル・位相検出器、15…レベル・位相制御器、16,45…乗算器、17…制御部、20…アレーアンテナユニット、21…アンテナ素子、22,31…方向性結合器(カプラ)、23…合成器、30…副ユニット、40…主ユニット、41…シリアル−パラレル変換器、43…分配器、44…ビーム制御器、51,54…フィーダケーブル、52…アンプ、53…遅延ユニット、100…無線装置、SW1,SW2,SW3…スイッチ


Claims (10)

  1. 複数のアンテナ素子から成るアレーアンテナの前記アンテナ素子ごとに送信信号の振幅および位相を操作するとともに、所定複数のサブキャリアに送信データを展開して周波数分割多重する無線装置におけるアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整装置であって、
    前記周波数分割多重後に時間領域に変換されRF回路を経由して前記アンテナ素子に供給される送信信号を、前記RF回路経由後に抽出する信号抽出手段と、
    前記抽出された信号を周波数領域の信号に変換する第1の離散フーリエ変換手段と、
    前記アンテナ素子ごとの送信信号の振幅および位相の操作後であって前記周波数分割多重時の周波数領域の送信信号を、時間領域の信号に変換する逆離散フーリエ変換手段と、
    前記逆離散フーリエ変換手段出力後の信号に対して、前記抽出された信号に時間的に合わせる遅延を付加する遅延付加手段と、
    前記遅延付加手段出力後の信号を周波数領域の信号に変換する第2の離散フーリエ変換手段と、
    前記第1および第2の離散フーリエ変換手段からの各々の出力信号を比較して振幅差および位相差を検出する検出手段と、
    前記検出手段の検出結果に応じて、前記アンテナ素子ごとの送信信号の振幅および位相の操作後であって前記周波数分割多重時の周波数領域の送信信号に対し、前記アンテナ素子ごとの送信信号の振幅および位相を補正する補正手段と、
    を備えたことを特徴とするアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整装置。
  2. 前記RF回路経由後に抽出された前記アンテナ素子ごとの信号を一系統の信号に切替する第1の信号切替手段と、
    前記周波数分割多重時の周波数領域の前記アンテナ素子ごとの送信信号を一系統の信号に切替する第2の信号切替手段とを備え、
    前記第1の離散フーリエ変換手段には、前記第1の信号切替手段で切替後の信号が入力され、
    前記逆離散フーリエ変換手段には、前記第2の信号切替手段で切替後の信号が入力される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整装置。
  3. 前記アンテナ素子の信号系統ごとに前記振幅差および位相差の検出を行い、該各アンテナ素子の検出結果ごとにレベル差および位相差を所定範囲内にする補正係数を算出するように制御する制御手段、
    を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整装置。
  4. 一の前記アンテナ素子のみの送信信号を前記第2の信号切替手段で選択し、前記アンテナ素子の信号系統ごとに前記振幅差および位相差の検出を行い、該各アンテナ素子の検出結果に基づき、アンテナ素子の信号系統間のレベル差および位相差を所定範囲内にする補正係数を算出するように制御する制御手段、
    を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整装置。
  5. 前記補正手段は、前記アンテナ素子の信号系統ごとに検出したレベル差および位相差に基づき、アンテナ素子の信号系統間の相対的なレベル差および位相差を求め、アンテナ素子の信号系統間の相対的なレベル差および位相差を所定範囲内に補正する補正係数を算出する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整装置。
  6. 複数のアンテナ素子から成るアレーアンテナの前記アンテナ素子ごとに送信信号の振幅および位相を操作するとともに、所定複数のサブキャリアに送信データを展開して周波数分割多重する無線装置におけるアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整方法であって、
    前記周波数分割多重後に時間領域に変換されRF回路を経由して前記アンテナ素子に供給される送信信号を、前記RF回路経由後に抽出する信号抽出過程と、
    前記抽出された信号を周波数領域の信号に変換する第1の離散フーリエ変換過程と、
    前記アンテナ素子ごとの送信信号の振幅および位相の操作後であって前記周波数分割多重時の周波数領域の送信信号を、時間領域の信号に変換する逆離散フーリエ変換過程と、
    前記逆離散フーリエ変換後の信号に対して、前記抽出された信号に時間的に合わせる遅延を付加する遅延付加過程と、
    前記遅延付加後の信号を周波数領域の信号に変換する第2の離散フーリエ変換過程と、
    前記第1および第2の離散フーリエ変換過程による各々の変換後の信号を比較して振幅差および位相差を検出する検出過程と、
    前記検出結果に応じて、前記アンテナ素子ごとの送信信号の振幅および位相の操作後であって前記周波数分割多重時の周波数領域の送信信号に対し、前記アンテナ素子ごとの送信信号の振幅および位相を補正する補正過程と、
    を含むことを特徴とするアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整方法。
  7. 前記RF回路経由後に抽出された前記アンテナ素子ごとの信号を一系統の信号に切替する第1の信号切替過程と、
    前記周波数分割多重時の周波数領域の前記アンテナ素子ごとの送信信号を一系統の信号に切替する第2の信号切替過程とをさらに有し、
    前記第1の離散フーリエ変換過程には、前記第1の信号切替過程で切替後の信号が入力され、
    前記逆離散フーリエ変換過程には、前記第2の信号切替過程で切替後の信号が入力される、
    ことを特徴とする請求項6に記載のアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整方法。
  8. 前記アンテナ素子の信号系統ごとに前記振幅差および位相差の検出を行い、該各アンテナ素子の検出結果ごとにレベル差および位相差を所定範囲内にする補正係数を算出するように制御する制御過程、
    をさらに有することを特徴とする請求項6又は7に記載のアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整方法。
  9. 一の前記アンテナ素子のみの送信信号を前記第2の信号切替過程で選択し、前記アンテナ素子の信号系統ごとに前記振幅差および位相差の検出を行い、該各アンテナ素子の検出結果に基づき、アンテナ素子の信号系統間のレベル差および位相差を所定範囲内にする補正係数を算出するように制御する制御過程、
    をさらに有することを特徴とする請求項6又は7に記載のアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整方法。
  10. 前記補正過程において、前記アンテナ素子の信号系統ごとに検出したレベル差および位相差に基づき、アンテナ素子の信号系統間の相対的なレベル差および位相差を求め、アンテナ素子の信号系統間の相対的なレベル差および位相差を所定範囲内に補正する補正係数を算出する、
    ことを特徴とする請求項6又は7に記載のアレーアンテナ用RF回路伝送特性調整方法。

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