JP2006287137A - 窒化物半導体レーザ素子およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 窒化物半導体レーザ素子において、リッジストライプからの漏れ光の多重反射による電流−光出力特性の雑音を防ぐ。
【解決手段】 窒化物半導体レーザ素子10の出射端面16近傍のリッジストライプ13が設けられていない部分に、出射端面16と接するように凹部18を設ける。凹部18の側面は、窒化物半導体層12の上面と比べて粗い面である。リッジストライプ13からの漏れ光は凹部18の側面では反射しないため高反射面17との間で多重反射せず、電流−光出力特性の雑音を防ぐことができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、窒化物半導体レーザ素子に関する。
光学式情報記録装置等においては、情報記録速度の高速化の要請に伴い、高出力かつ安定したレーザ光を発生させる半導体レーザが熱望されており、さらに、記録媒体における情報記録密度の高密度化の要請に伴い、レーザ波長の短いレーザ光を射出する半導体レーザ素子が熱望されている。
波長の短いレーザ光を射出する半導体レーザ素子としては、GaN、InN、AlNおよびそれらの混晶半導体に代表される窒化物系半導体材料を活性層に用いて青色領域から紫外領域のレーザ光を射出する窒化物系半導体レーザ素子が挙げられ、近年、その試作も行われるようになってきた。波長の短いレーザ光は、波長の長いレーザ光より小さく絞ること(スポット径を小さくすること)ができるため、窒化物系半導体レーザ素子を光源として用いた光学式情報記録装置は、記録媒体への記録密度を従来に比べて高密度化できる次世代高密度情報記録装置として注目されている。
図13は、従来型の典型的な窒化物半導体レーザ素子の斜視図である。窒化物半導体レーザ素子110はn型GaNから成る基板111に窒化物半導体層112が形成されている。
窒化物半導体層112は、基板111側から順に、n型AlGaNクラッド層、n型GaN光ガイド層、InGaNからなる井戸層と障壁層の交互繰り返し構造による量子井戸構造を有する活性層、p型AlGaNからなるキャリアストップ層、p型GaN光ガイド層、p型AlGaNクラッド層、p型GaNコンタクト層で構成されている。ここで、n型AlGaNクラッド層とp型AlGaNクラッド層は、n型光ガイド層からp型光ガイド層までの連続した層内の垂直方向に光を閉じ込める役割を有している。窒化物半導体層112表面には、ストライプ状の突出部であるリッジストライプ113を有し、その断面形状は凸形の台形状である。このリッジストライプ113は、窒化物半導体層112を成長させた後に、フォトリソグラフィー技術とエッチング技術を用いて形成される。リッジストライプ113の形成後に電極114が窒化物半導体層112の上面の概略全面に形成されている。ここで、リッジストライプ113は光をリッジストライプ構造内の水平方向(リッジストライプ113に垂直かつ窒化物半導体層112の層厚方向に垂直な方向)に光を閉じ込める役割を有している。窒化物半導体レーザ素子110では、活性層で発光した光は、このリッジストライプ113の構成する導波路領域に閉じ込められて、レーザ発振動作を生ずる。
しかし、上記窒化物半導体レーザ素子の構造においては、ファーフィールドパターン(FFP)に凹凸(リップル)が発生し、非ガウシアン分布になってしまうという問題があった。窒化物半導体レーザ素子を光ディスク等への書き込み等を目的とした実用化には非ガウシアン分布となるレーザでは、光ディスクへの書き込み等が不適切なものとなるため、リップルがFFPに乗らないガウス分布となる窒化物半導体レーザ素子が必要である。
このような問題を生じる原因として、発明者らが調査したところ、リッジストライプ113の導波路領域から水平方向に漏れた漏れ光に起因していることが判明した。
この漏れ光を防止し、良好なFFPが得られる半導体レーザ素子として、例えば特許文献1で提案されているものが挙げられる。図14は特許文献1にかかる半導体レーザ素子の斜視図である。半導体レーザ素子210には、電極214と出射端面216との間に凹部218が形成されており、これによってリッジストライプ213の導波路領域内を導波されるレーザ光はそのまま出射され、漏れ光は凹部218における半導体と空気との界面の屈折率差により大半が反射されるため、導波路領域からの漏れ光が導波路領域から出射される主ビームと重なるのを防ぐことができるとされている。
特開2002−324947号公報(第5頁、図1)
しかしながら、従来の技術で挙げた特許文献1にかかる窒化物半導体レーザ素子を本発明者らが作製したところ、多くの素子が図15に示すように、電流−光出力特性(以下、I−L特性)に雑音による非線形領域を生じた。本発明者らが調査したところ、リッジストライプ213からの漏れ光が凹部218で反射して窒化物半導体レーザ素子210内で共振し、これが雑音の原因となっていることが判明した。即ち、凹部218の側面の内、出射端面216に平行な側面と、高反射面217の間で漏れ光が多重反射することにより干渉し、これがレーザ発振光に影響してI−L特性に影響を与えたものと考えられる。このようなI−L特性を有する窒化物半導体レーザ素子は、実用上好ましくない。
本発明は、上記問題を解決し、FFPが良好であり、かつ雑音のないI−L特性を備えた窒化物半導体レーザ素子を提供するものである。
(1)上記目的を達成するために本発明は、基板と、この基板上に形成され、リッジストライプを有する窒化物半導体層と、この窒化物半導体層上に形成された電極と、前記リッジストライプの長手方向に垂直な出射端面とを備えた窒化物半導体レーザ素子において、少なくとも前記窒化物半導体層の上面における前記出射端面近傍の前記リッジストライプが設けられていない部分に開口部が形成され、前記基板を底面とする凹部を備え、この凹部の前記底面を除く面は前記窒化物半導体層の上面に比べて粗い面であることを特徴とする。
(2)また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記凹部の前記底面を除く面が、前記窒化物半導体層の上面と比べて100Å以上の表面粗さであることを特徴とする。
(3)また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記凹部と前記リッジストライプとの間隔を0.5μm以上100μm以下とすることを特徴とする。
(4)また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記電極が前記出射端面から所定の間隔を開けて設けられていることを特徴とする。
(5)また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記凹部と前記電極との間隔を0.1μm以上200μm以下とすることを特徴とする。
(6)また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記凹部の前記窒化物半導体層上の開口部の前記リッジストライプの長手方向に対して平行な方向の幅が、前記凹部の前記リッジストライプ側の縁から5μm以内の範囲で2μm以上であることを特徴とする。
(7)また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記凹部が前記出射端面に接して設けられていることを特徴とする。
(8)また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記凹部が前記出射端面と前記電極との間にあることを特徴とする。
(9)また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記基板および/または前記窒化物半導体層が欠陥集中領域を有し、この欠陥集中領域と前記リッジストライプとの間に、前記基板まで達した、前記リッジストライプの長手方向と平行な溝を有していることを特徴とする。
(10)また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記基板の結晶主軸が、前記基板表面の法線方向から前記リッジストライプの長手方向に平行な方向に0.05度以上0.2度以下傾斜していることを特徴とする。
(11)また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記凹部の底面を除く面に、発振光に対して1000cm-1以上の吸収係数を有する吸収物質が形成されていることを特徴とする。
(12)また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記吸収物質が、Ni,Cr,Ti,Cu,Fe,Zr,Hf,Nb,W,Rh,Ru,Mg,Si,Al,Sc,Y,Mo,Ta,Co,Pd,Ag,Au,Pt,Inのいずれか一種を含むことを特徴とする。
(13)また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記吸収物質が、前記活性層よりバンドギャップの狭い半導体であることを特徴とする。
(14)また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記吸収物質は、凹部側面における側面の法線方向の層厚が100Å以上であることを特徴とする。
(15)また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記基板上に前記凹部を形成する第1の工程と、前記第1の工程で前記凹部を形成した前記基板上に前記窒化物半導体層を形成する第2の工程と、前記第2の工程で形成した前記窒化物半導体層上に前記電極を形成する工程と備えることを特徴とする。
本発明によると、窒化物半導体レーザ素子においてリッジストライプからの漏れ光が粗い面となっている凹部の側面では反射せず多重反射が生じないため、雑音のないI−L特性を備えた、FFPが良好な窒化物半導体レーザ素子を得ることができる。
また、本発明の窒化物半導体レーザ素子の製造方法によると、凹部の側面を粗い面に加工する工程を設けなくても凹部の側面を粗い面とすることができるため、容易に雑音のないI−L特性を備えた、FFPが良好な窒化物半導体レーザ素子を得ることができる。
まず、本明細書における窒化物半導体について説明する。通常、窒化物系半導体とは、AlpInqGa1-p-qN(0≦p≦1、0≦q≦1、0≦p+q≦1)からなる結晶を意味するが、本明細書における窒化物系半導体とは、AlpInqGa1-p-qNのみからなる結晶ばかりでなく、III族原子(Al、In、Ga)の一部(20原子数%以下)を、B、Cr、V、Ti、Nb、Ta、Zr、Sc、Tl、Gd、Laで置換した結晶や、VI族原子であるN原子の一部(20原子数%以下)を、P、As、Sbで置換した結晶や、それらの結晶に不純物としてB、Al、In、Tl、P、As、Sb、Be、Mg、Cd、Zn、C、Si、Ge、Sn、O、S、Se、Te、H、Sc、Cu、Fe、Ti、V、Cr、Y、Zr、Nb、ランタノイド等が添加されていてもよい。また、本明細書において、n型窒化物系半導体およびp型窒化物系半導体とは、窒化物系半導体にそれぞれの導電型を規定する不純物を含有していることを意味する。
次に本発明の理解に必要な語句について説明する。本明細書において、リッジストライプ」およびその「幅」とは、リッジストライプの長手方向に対して垂直な断面における概略台形形状において、上辺と下辺の平均値を表す。共振器方向にリッジストライプ形状の幅が変化している場合は、全共振器長に渡る上辺の平均値と、全共振器長に渡る下辺の平均値との平均値を指すものとする。
また、「垂直方向」とは、半導体層の層厚方向を指し、「水平方向」とは、共振器面に平行でかつ、半導体層の層厚方向に対し垂直な方向を指す。「表面粗さ」とは、試料表面を段差計で100μm長に渡って走査し、求まった段差の標準偏差値を表すものとする。「凹部側面」「凹部の側面」とは、凹部の底面を除く側面のことを指すものとする。
<第1の実施形態>
続いて本発明の第1の実施形態にかかる窒化物半導体レーザ素子について、図1を用いて説明する。図1は、第1の実施形態にかかる窒化物半導体レーザ素子の一例の斜視図である。図1においては、説明に不要な部分は簡略化のため省略して書いてある。
図1に示す窒化物半導体レーザ素子10の構成は次の通りである。凹部18が形成されたn型GaNから成る基板11上に、多層構造から成りリッジストライプ13が形成された窒化物半導体層12を備え、窒化物半導体層12上の一部に正電極14を備え、リッジストライプ13に垂直な出射端面16および高反射面17が形成されている。リッジストライプ13は水平方向に光を閉じ込める役割を成しており、導波路領域を構成している。また、正電極14は高反射面17から所定の間隔を開けて設けられている。この基板11は、n型GaNに限らず、その他の半導体から成るものであっても、ガラスから成るものであってもよい。
基板11に形成された凹部18は、窒化物半導体層12を形成した後もその形状を概略継承しているが、凹部18の側面は、窒化物半導体の堆積物により、窒化物半導体層12の上面の平坦面よりも粗い面となっており、窒化物半導体層12上面の凹部18周囲は、窒化物半導体層12の上面の平坦面とは同一面内にない粗面領域19となっている。凹部18の側面は、窒化物半導体層12の上面と比べて100Å以上の表面粗さである。また凹部18は、出射端面16に接するように位置している。
窒化物半導体層12の側面も含めた凹部18の側面が粗い面であることから、この面では光が反射せず、凹部18の側面のうち出射端面16に平行な面と、高反射面17との間で生じる多重反射を防ぐことができるため、本発明にかかる窒化物半導体レーザ素子10ではI−L特性における雑音を除去することが可能となっている。また、窒化物半導体層12を形成する前に凹部18を基板11上に設けておくことにより、凹部18側面の粗い面を形成する工程を必要とせずに凹部18側面の粗い面を容易に形成することが可能となる。
次に、第1の実施形態にかかる窒化物半導体レーザ素子の製造方法を、図2〜図5を用いて説明する。図2は凹部を設けた基板の斜視図、図3は表面に窒化物半導体層を成長させた基板の斜視図、図4は窒化物半導体層にリッジストライプを設けた基板の斜視図、図5はウェハーの斜視図である。
まず図2に示すように、n型GaNからなる基板11の表面に、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて凹部18を形成する。凹部18の形状は、基板11の劈開面に平行方向に細長い略直方体形状となっている。これは、図1に示す窒化物半導体レーザ素子10において、リッジストライプ13からの水平方向の漏れ光が出射端面16から出射されないように、凹部18で漏れ光をカットするためである。但し凹部18は窒化物半導体層12を成長させた後、リッジストライプ13との間隔(図1に示すa)が0.5μm以上100μm以下となるように設計される。これは、リッジストライプ13の構成する導波路領域からの光を出射端面16から損失無く取り出すためであり、間隔aは2μm以上20μm以下が特に望ましい。
凹部18のリッジストライプ13の長手方向に平行な方向の幅(図1および図2に示すb)は、窒化物半導体層12を成長させた後、2μm以上となるように設計される。2μm以上とする理由は、基板11上に窒化物半導体層12を成長したとき、凹部18が窒化物半導体材料の堆積物で埋まり切ってしまうのを防ぐためである。なお、幅bは、凹部18のリッジストライプ13に近い側から5μm以内の領域に渡って、2μm以上に維持されていればよく、凹部18のそれ以外の領域において2μm未満になっていても本発明の効果は維持される。幅bは、3μm以上50μm以下が望ましく、10μm以上30μm以下がさらに望ましい。
また凹部18の深さ(図2に示すc)は、0.5μm以上50μm以下とすることが望ましい。これは、深さcが0.5μm未満であると、窒化物半導体層12が成長した際に凹部18がすぐに埋まってしまうため、凹部18の表面平坦性の悪さが伝播してしまい、窒化物半導体層12の表面平坦性を悪化させるためである。また、深さcが50μmより深い場合は、通常素子分割のために基板11を研削、研磨するが、この工程の際に割れ等が発生して歩留まりが落ちるためである。さらに、深さcが20μmより深い場合は、窒化物半導体層12を成長させた後に行うフォトリソグラフィー工程において、レジストをスピンコートによりコーティングする際、レジスト膜が均一に形成できないという問題を生じるため、深さcは1μm以上10μm以下がより望ましい。
次に、基板11を定法により化学的表面処理を実施した後、図3に示すように窒化物半導体層12を成長させる。このとき、成長条件を適正化することにより、基板11に形成した凹部18の形状を概ね踏襲しつつ窒化物半導体層12を成長させることができる。窒化物半導体層12を成長させた後、窒化物半導体層12の上面の凹部18の周囲には、窒化物半導体層12の上面の平坦面とは同一面内にない粗面領域19が形成されており、また凹部18の側面は、窒化物半導体層を構成する材料の堆積により窒化物半導体層12の上面の平坦面よりも粗い面が形成されている。この凹部18の側面に形成された粗面が、本発明の効果を奏している。
次に、図4に示すように、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて、窒化物半導体層12上の然るべき位置にリッジストライプ13を作製し、続いて図5に示すように、窒化物半導体層12上に、フォトリソグラフィーおよび蒸着技術を用いて正電極14をパターニングし、また、基板11の窒化物半導体層12を設けた側と反対側の面に負電極15を形成してウェハー20が完成する。このとき、正電極14は凹部18との間隔(図1および図5に示すf)が0.1μm以上200μm以下となるように形成されることが望ましい。この下限値0.1μmは、凹部18に正電極14がかかってしまうことにより、窒化物半導体レーザ素子10に印加された電流が、窒化物半導体層12を通らずに正電極14を通してリークしてしまうことを避けるためであり、フォトリソグラフィー技術でアイソレート可能な値の最低値を示している。また、上限値200μmは、間隔fが大きくなると、リッジストライプ13の構成する導波路領域において、窒化物半導体レーザ素子10に印加される電流が注入されない領域が増加し、その結果必要な駆動電流が増加しすぎることを避けるためである。なお、間隔fは、生産上の観点から、1μm以上50μm以下がより望ましい。
この後、劈開法またはエッチングによる方法によって、図5に示すウェハー20を図1に示す個々の窒化物半導体レーザ素子10に分割し、出射端面16および高反射面17を作製する。このとき、出射端面16と接して凹部18が配置されるように、出射端面16の位置を決定する。
以上の工程を経て、図1に示す窒化物半導体レーザ素子10が作製できる。第1の実施形態にかかる窒化物半導体レーザ素子は、後述する実施例1で図12に示すように雑音のない線形のI−L特性を示した。
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について図6を用いて説明する。図6は、第2の実施形態にかかる窒化物半導体レーザ素子の斜視図である。第2の実施形態は、凹部の位置が異なる以外は第1の実施形態と共通であり、実質上同一の部分には同一の符号を付してある。
第2の実施形態にかかる窒化物半導体レーザ素子10は、凹部18が出射端面16とで正電極14との間に、出射端面16と一定距離gを隔てて形成されている。距離gは、0.1μm以上200μm以下が望ましい。この下限値0.1μmは、凹部18と出射端面16が重なると、凹部18の底面が粗面であることにより劈開ラインが曲がってしまい、窒化物半導体レーザ素子の特性がばらついてしまうが、これを避けるために設定する。また、上限値200μmは、距離gが大きくなると、窒化物半導体レーザ素子の導波路領域において、窒化物半導体レーザ素子に印加される電流が注入されない領域が増加し、その結果必要な駆動電流が増加しすぎるが、これを避けるために設定する。なお、距離gは、生産上の観点から、1μm以上100μm以下がより望ましい。
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態について図7を用いて説明する。図7は、第3の実施形態にかかる窒化物半導体レーザ素子の斜視図である。第3の実施形態は、基板に欠陥集中領域および低欠陥領域が存在している以外は第1の実施形態と共通であり、実質上同一の部分には同一の符号を付してある。
第3の実施形態にかかる窒化物半導体レーザ素子10においては、GaNからなる基板11に、欠陥集中領域41が存在し、欠陥集中領域41以外の部分は低欠陥領域42となっている。
本明細書において、欠陥集中領域とは、基板および/または基板上に作製された窒化物半導体層を硫酸、燐酸の混合酸を250℃に加熱した液に浸してエッチングを行った結果、多数のエッチピットが現れ、欠陥(あるいは転位等)が極めて集中している領域を指す。欠陥集中領域は、10μm程度オーダーの幅で分布する。一方、低欠陥領域とは、EPD(エッチピット密度)104〜105/cm2台の領域を指し、欠陥集中領域のEPDは、これよりも2桁以上大きい。なお、EPDを測定する方法としては、RIE(Reactive Ion Etching)等の気相エッチングを用いても良いし、MOCVD炉中で成長を止めて、高温(1000℃程度)に晒すことによっても測定できる。測定手段としては、AFM(Atomic Force Microscope)、CL(Cathode Luminescence)、顕微PL(Photo Luminescence)等を用いることができる。
第3の実施形態にかかる窒化物半導体レーザ素子10においては、リッジストライプ13と欠陥集中領域41の間に位置するように、凹部18とは異なる溝43が形成されている。溝43は、欠陥集中領域41から例えば30μmの距離hを隔てて形成する。この溝43も、第1の実施形態および第2の実施形態で示した凹部18と同様、窒化物半導体層12を成長させる前に基板11に形成しておく。このように、リッジストライプ13と欠陥集中領域41の間に溝43を設けることにより、窒化物半導体層12の成長方向が均一になり表面平坦性が向上し、ウェハー面内の特性の均一化が図られて歩留まりを向上させることができるという効果を奏する。
なお、図7においては、溝43は欠陥集中領域41と隔てて形成されているが、溝43は欠陥集中領域41と重なるように形成されていてもよく、リッジストライプ13と欠陥集中領域41との間に存在するように形成されていればよい。また、この溝43の幅および深さは、第1の実施形態で述べた凹部18の幅および深さの望ましい範囲内に含まれるように作製されることが望ましい。
また、第3の実施形態において、図8に示すように出射端面16と正電極14とが凹部18を挟むように形成されていてもよい。
また、第3の実施形態において、基板11の結晶主軸が、基板11表面の法線方向からリッジストライプ13の長手方向に平行な方向に0.05度以上0.2度以下傾斜しているものとしてもよい。このように構成することにより、凹部18近傍の粗面領域19からマイグレーションにより窒化物半導体層12の原料となる原子・分子が凹部18に拡散・移動して凹部18が埋まってしまうことを抑制することができるため、表面平坦性が良好な窒化物半導体層12を形成でき、諸特性の良好な窒化物半導体レーザ素子を得ることができる。
<第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態にかかる窒化物半導体レーザ素子は、第1〜第3の実施形態にかかる窒化物半導体レーザ素子において、凹部18の側面の全面に吸収物質が形成されている。これにより、リッジストライプ13から染み出した漏れ光が凹部18の側面をわずかに透過してきた光さえも吸収するため、さらに優れたFFPを得ることができるものである。吸収物質は、発振光に対して1000cm-1以上の吸収係数を有していれば、上記効果を得ることができる。吸収物質の材料としては、Ni,Cr,Ti,Cu,Fe,Zr,Hf,Nb,W,Rh,Ru,Mg,Si,Al,Sc,Y,Mo,Ta,Co,Pd,Ag,Au,Pt,Inなどの金属物質のほか、活性層よりもバンドギャップの狭い半導体や、SiOやTiO2などの一部吸収性を有する絶縁体も候補として挙げられ、例えばSi、Moなどが考えられる。吸収物質は、凹部18の側面における側面の法線方向の層厚が100Å以上あれば上記効果を得ることができる。
以下、本発明の実施例について言及するが、本発明の請求範囲はこれに限定されるものではない。
図1および図9〜図11を用いて実施例1について説明する。実施例1にかかる窒化物半導体レーザ素子の外観は、図1と同様である。
図9は、図1のA−A断面の部分拡大図である。n型GaNからなる基板11(膜厚30〜300μm)、n型AlxGa1-xN(0.05≦x≦0.2)からなるn型クラッド層31(膜厚0.4〜10μm)、n型GaNからなるn側光導波層32(膜厚0〜0.15μm)、InwGa1-wN(w≦0.2)井戸層とn型InvGa1-vN(0≦v<w)障壁層の交互積層構造による多重量子井戸構造からなる活性層33(発振波長370〜430nm、総膜厚5〜60nm)、p型AlzGa1-zNからなるp型キャリアブロック層34(膜厚0〜0.02μm)、p型GaNからなるp側光導波層35(膜厚0.05〜0.15μm)、p型AlyGa1-yN(y<0.2)からなるp型クラッド層36(膜厚0.02〜10μm)、p型GaNからなるp型コンタクト層37(膜厚0.01〜10μm)が形成されており、多層構造の窒化物半導体層12はこれらの窒化物半導体層から成っている。
窒化物半導体層12のp側から、p型クラッド層36、p側光導波層35またはp型キャリアブロック層34に達するまでエッチングを施すことにより、幅1〜2μmのリッジストライプ13が形成されており、窒化物半導体レーザ素子10の導波路部分の水平方向光閉じ込めを行っている。図9では、p型クラッド層36までエッチングした例を示している。さらに、エッチングされた領域のエッチングされた面の上に、SiO2(層厚0.1〜1μm)からなる埋め込み層38が形成されている。埋め込み層38は、図1において、リッジストライプ13の上面を除く、正電極14とほぼ同じ領域に形成されている。コンタクト電極39および正電極14は、p型コンタクト層37の一部露出した面の概略全面を含む、埋め込み層38膜の概略全面上に形成されている。また、負電極15が、基板11の2主面のうち窒化物半導体層12が形成されている側の面と対向する側の面の概略全面に形成されている。
図10は、図1のB−B断面の部分拡大図である。リッジストライプ13上面には、コンタクト電極39が形成されており、正電極14が形成されている領域から出射端面16までの領域においてリッジストライプ13に電流が注入されるようになっている。また、窒化物半導体層12の上面には、凹部18近傍において粗面領域19が形成されている。また凹部18の側面および底面には、窒化物半導体層12の堆積物45、46が付着している。図10において、リッジストライプ13の底面と、凹部18と窒化物半導体層12上面の平坦面との交線との距離aは、先に述べた理由により、0.5μm以上100μm以下となるように形成されている。ここで、図10のリッジストライプ13の左右において、距離aは必ずしも一致する必要はないが、両者共に上記範囲を満たす必要がある。
図11は、図1のC−C断面の部分拡大図である。図11においては、リッジストライプ13形成のためp型クラッド層36までエッチングした例を示しているので、窒化物半導体層12にはp型コンタクト層37が記載されていない。窒化物半導体層12の上面には、凹部18近傍において粗面領域19が形成されている。また凹部18の側面および底面には、窒化物半導体層を成長させる際に堆積した堆積物45、46が付着している。
窒化物半導体レーザ素子10を、図9に示す断面が観察できるように分割し、一般的な走査型電子顕微鏡で6万倍で観察し、堆積物45の部分について堆積物45の近似面に沿って1000Åの範囲に渡る領域の表面粗さの標準偏差を求めると、100Å以上の値になっている。また図11において凹部18と正電極14の間隔fは、先に述べた理由により、0.1μm以上200μm以下の距離を隔てて形成されている。
次に、本実施例にかかる窒化物半導体レーザ素子の製造方法について説明する。
初めに、(0001)C面を結晶成長用面とするn型GaNからなる基板11(厚さ100〜500μm)を洗浄する。この基板11の全面にSiO2等を膜厚400nmでEB蒸着し、その後、一般的なフォトリソグラフィー工程により、レジストで図2に示す凹部18の開口部に対応するストライプ形状のウィンドウを形成する。その後ICP、もしくはRIEにより、SiO2および基板11をエッチングする。基板11のエッチング深さは本実施例では4μmとする。その後、HFなどのエッチャントによりSiO2を除去して窒化物半導体層を成長させる前の基板処理を終了する。このようにして得られた基板11は図2のようになる。本明細書においてエッチング方法は、気相エッチングを用いても良いし、液相のエッチャントを用いて行ってもよい。その後、基板11を洗浄後、MOCVD装置内に導入し、H2雰囲気の中で、約1100℃の高温でクリーニングを行う。
その後、降温して、キャリアガスとして水素(H2)を10l/min流しながら、SiH4を10nmol/min導入して、600℃でNH3とトリメチルガリウム(TMG)をそれぞれ5l/min、20mol/min導入して、0〜10μm以下(本実施例では100nm)の厚みのn型GaNからなる低温成長バッファ層を成長させる。ここでは、n型GaNからなる低温成長バッファ層の製法について説明したが、n型GaNに限らず、SiH4の導入量を0mol/minとしたGaNでもよく、さらにAlやInを含むAlGaInNを少なくとも含む膜を用いても何ら問題はない。Alを含むときは、トリメチルアルミニウム(TMA)を成膜時に適量導入し、Inを含む時は、トリメチルインジウム(TMI)を成膜時に適量導入すれば良い。なお、低温成長バッファ層は必ずしも必要ではないため、図9〜図11には記載していないが、本実施例では基板11とn型クラッド層31の間に配置する。
次に、N2とNH3をそれぞれ5l/min流しながら約1050℃まで昇温する。温度が上がれば、キャリアガスをN2からH2に替えて、TMGを100μmol/min、SiH4を10nmol/min導入して、n型GaN層を0.1〜10μm(本実施例では約4μm)の厚さに成長させる。なお、n型GaN層は必ずしも必要ではないため、図9〜図11には記載していないが、本実施例では基板11とn型クラッド層31の間に配置する。
次に、TMGおよびSiH4の供給を停止して、キャリアガスをH2からN2に変えて、約800℃まで降温後、TMGを15μmol/minに調整し、SiH4を10nmol/min導入して、TMIを一定量流しながら、n型InrGa1−rN(本実施例ではr=0.07)からなるn型バッファ層を0〜200nm成長させる。なお、n型バッファ層は必ずしも必要ではないため、図9〜図11には記載していないが、本実施例では基板11とn型クラッド層31の間に配置する。
続いて、TMI,TMG,およびSiH4の供給を停止して、再び1050℃まで昇温し、キャリアガスを再びN2からH2に替えて、TMGの流量を50μmol/minに調整し、TMAを一定量導入して、SiH4を10nmol/min流しながら、n型AlxGa1-xN(本実施例ではx=0.1)からなるn型クラッド層31を0.4μm以上(本実施例では1μm)の厚さに成長させる。
n型クラッド層31の成長が終了すると、TMAの供給を停止し、TMGを100μmol/minに調整して、n側光導波層32を0〜0.15μm(本実施例では100nm)の厚さに成長させる。なお、n側光導波層32は、ノンドープ光導波層でも良い。
その後、TMGの供給を停止して、キャリアガスをH2からN2に再び替えて、700℃まで降温し、インジウム原料であるトリメチルインジウム(TMI)を一定量、TMGを15μmol/min導入し、InvGa1-vN(本実施例ではv=0.023)よりなる障壁層を成長させる。その後、TMIの供給をある一定量にまで増加し、InwGa1-wN(本実施例ではw=0.070)よりなる井戸層を成長させる。このInGaN障壁層とInGaN井戸層との交互多層構造(障壁層/井戸層/・・・/井戸層/障壁層)からなる多重量子井戸活性層33を成長させる。障壁層および井戸層を形成するInGaNの混晶比および膜厚は、発光波長が370〜430nmの範囲になるように設計し、成長時に導入するTMIの流量は、その設計値に等しいIn組成の膜が得られるように調節する。井戸層の層数は、2〜6が望ましく、特に2〜3が望ましい。なお、井戸層および障壁層は、双方ともがノンドープでもSiなどのドーパントを含むn型でも良く、井戸層または障壁層のどちらか一方のみがノンドープで他方はドープされていても良い。
活性層33の成長が終了すると、TMIおよびTMGの供給を停止して、再び1050℃まで昇温し、キャリアガスを再びN2からH2に替えて、TMGを50μmol/min、TMAを適量、p型ドーピング原料であるビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を10nmol/min流し、0〜20nm厚のp−AlzGa1-zN(本実施例ではz=0.2)からなるp型キャリアブロック層(蒸発防止層)34を成長させる。なお、p型キャリアブロック層34は、ノンドープキャリアブロック層でもよい。
p型キャリアブロック層34の成長が終了すると、TMAの供給を停止し、TMGの供給量を100μmol/minに調整して、p型GaNからなるp側光導波層35を0.05〜0.15μm(本実施例では0.1μm)の厚さに成長させる。なお、p側光導波層35は、ノンドープ光導波層でも良い。
その後、TMGの供給を50μm/minに調整し、TMAを一定量導入し、p型AlyGa1-yN(本実施例ではy=0.07)からなるp型クラッド層36を、0.02〜10μm(本実施例では0.5μm)の厚さに成長させる。
最後に、TMGの供給を100μmol/minに調整して、TMAの供給を停止し、0.01〜10μm厚(本実施例では0.1μm厚)のp型GaNからなるp型コンタクト層37を成長させ、発光素子構造すなわち多層構造の窒化物半導体層12の成長を終了する。窒化物半導体層12の成長が終了すると、TMGおよびCp2Mgの供給を停止して降温し、室温でMOCVD装置より取り出す。
その後、フォトリソグラフィー技術および反応性イオンエッチング技術を用い、p型コンタクト層37を断面が台形形状のストライプ状(幅1〜4μm、本実施例では2μm)に残して、p型クラッド層36までエッチングを行い、導波路領域を構成するリッジストライプ13を形成する。この時、エッチングされた領域における、p型クラッド層36の残し膜厚は、水平方向FFPの半値全角Θ‖に大きな影響を与え、残し膜厚が大きくなるほど小さくなるので、Θ‖=7〜12度の範囲内(本実施例では9.5度)となるように、調節する。その後、フォトリソグラフィー技術を用いて、p型コンタクト層37の上面のコンタクト電極39と接触する部分を除いて埋め込み層38を形成する。
その後、p型コンタクト層37の上面にコンタクト電極39を形成し、埋め込み層38およびコンタクト電極39上の概略全面に正電極14を形成すると、ウェハーが完成する。正電極14の材料としては、例えばAu/Ni,Au/Pd,Au/Mo/Pdを用いれば良い。また、基板11の裏面の概略全面に、負電極15を形成する。負電極15の材料としては、例えばAl/TiあるいはAu/Wを用いれば良い。
次に、このウェハーを劈開して、共振器ミラーとなる出射端面16および高反射面17を作製する。本実施例では、出射端面16は、凹部18と重なるように作製する。以上の工程を経て、図1に示す構成の窒化物半導体レーザ素子10が完成する。
このようにして作成した本実施例にかかる窒化物半導体レーザ素子は、図12に示すようにレーザ発振を示し、雑音のない直線的なI−L特性を示した。これは本発明の効果に他ならない。
なお、本実施例において、正電極14は図1に示す位置に形成するが、フォトリソグラフィー技術を用いて、窒化物半導体層12と接触するコンタクト電極39(上記の候補においては、Ni,Pdがそれに相当する)がリッジストライプ13の概略全面に形成されるように形成し、電極パッドのみは図1の正電極14の位置に形成するようにしても良い。
本発明は、出射端面と高反射面との共振を利用する窒化物半導体レーザ素子一般に用いることができる。
第1の実施形態にかかる窒化物半導体レーザ素子の斜視図 第1の実施形態にかかる凹部を設けた基板の斜視図 第1の実施形態にかかる表面に窒化物半導体層を成長させた基板の斜視図 第1の実施形態にかかる窒化物半導体層にリッジストライプを設けた基板の斜視図 第1の実施形態にかかるウェハーの斜視図 第2の実施形態にかかる窒化物半導体レーザ素子の斜視図 第3の実施形態にかかる窒化物半導体レーザ素子の斜視図 第3の実施形態の別の態様にかかる窒化物半導体レーザ素子の斜視図 図1のA−A断面の部分拡大図 図1のB−B断面の部分拡大図 図1のC−C断面の部分拡大図 第1の実施例にかかる窒化物半導体レーザ素子のI−L特性のグラフ 従来型の典型的な窒化物半導体レーザ素子の斜視図 特許文献1にかかる窒化物半導体レーザ素子の斜視図 特許文献1にかかる窒化物半導体レーザ素子のI−L特性のグラフ
符号の説明
10 窒化物半導体レーザ素子
11 基板
12 窒化物半導体層
13 リッジストライプ
14 正電極
16 出射端面
18 凹部
41 欠陥集中領域
43 溝

Claims (15)

  1. 基板と、この基板上に形成され、リッジストライプを有する窒化物半導体層と、この窒化物半導体層上に形成された電極と、前記リッジストライプの長手方向に垂直な出射端面とを備えた窒化物半導体レーザ素子において、
    少なくとも前記窒化物半導体層の上面における前記出射端面近傍の前記リッジストライプが設けられていない部分に開口部が形成され、前記基板を底面とする凹部を備え、この凹部の前記底面を除く面は前記窒化物半導体層の上面に比べて粗い面であることを特徴とする窒化物半導体レーザ素子。
  2. 前記凹部の前記底面を除く面が、前記窒化物半導体層の上面と比べて100Å以上の表面粗さであることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  3. 前記凹部と前記リッジストライプとの間隔を0.5μm以上100μm以下とすることを特徴とする請求項1または2に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  4. 前記電極が前記出射端面から所定の間隔を開けて設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  5. 前記凹部と前記電極との間隔を0.1μm以上200μm以下とすることを特徴とする請求項1または2に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  6. 前記凹部の前記窒化物半導体層上の開口部の前記リッジストライプの長手方向に対して平行な方向の幅が、前記凹部の前記リッジストライプ側の縁から5μm以内の範囲で2μm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  7. 前記凹部が前記出射端面に接して設けられていることを特徴とする請求項1〜6に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  8. 前記凹部が前記出射端面と前記電極との間にあることを特徴とする請求項1〜6に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  9. 前記基板および/または前記窒化物半導体層が欠陥集中領域を有し、この欠陥集中領域と前記リッジストライプとの間に、前記基板まで達した、前記リッジストライプの長手方向と平行な溝を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  10. 前記基板の結晶主軸が、前記基板表面の法線方向から前記リッジストライプの長手方向に平行な方向に0.05度以上0.2度以下傾斜していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  11. 前記凹部の底面を除く面に、発振光に対して1000cm-1以上の吸収係数を有する吸収物質が形成されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  12. 前記吸収物質が、Ni,Cr,Ti,Cu,Fe,Zr,Hf,Nb,W,Rh,Ru,Mg,Si,Al,Sc,Y,Mo,Ta,Co,Pd,Ag,Au,Pt,Inのいずれか一種を含むことを特徴とする請求項7に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  13. 前記吸収物質が、前記活性層よりバンドギャップの狭い半導体であることを特徴とする請求項7に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  14. 前記吸収物質は、凹部側面における側面の法線方向の層厚が100Å以上であることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  15. 請求項1〜10のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子を製造するための、窒化物半導体レーザ素子の製造方法であって、
    前記基板上に前記凹部を形成する第1の工程と、
    前記第1の工程で前記凹部を形成した前記基板上に前記窒化物半導体層を形成する第2の工程と、
    前記第2の工程で形成した前記窒化物半導体層上に前記電極を形成する工程と備えることを特徴とする窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
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