JP2006286457A - 燃料電池セパレータの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 炭素層の化学的安定性を向上させることができる燃料電池用セパレータの製造方法を提供する。
【解決手段】 燃料電池セパレータの製造方法は、不活性ガス雰囲気下において、セパレータ基板(1)に負高電圧を印加しつつ、セパレータ基板(1)表面に乾式成膜法により炭素系原料を用いて炭素層(4)を形成することを特徴とする。この場合、不活性ガスのプラスイオンがセパレータ基板(1)に衝突しつつ炭素層(4)が形成される。この場合、炭素層(4)の内部まで確実にグラファイト化することができる。それにより、燃料電池セパレータ(100)の耐食性および導電性が向上する。
【選択図】 図2
【解決手段】 燃料電池セパレータの製造方法は、不活性ガス雰囲気下において、セパレータ基板(1)に負高電圧を印加しつつ、セパレータ基板(1)表面に乾式成膜法により炭素系原料を用いて炭素層(4)を形成することを特徴とする。この場合、不活性ガスのプラスイオンがセパレータ基板(1)に衝突しつつ炭素層(4)が形成される。この場合、炭素層(4)の内部まで確実にグラファイト化することができる。それにより、燃料電池セパレータ(100)の耐食性および導電性が向上する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、燃料電池セパレータの製造方法に関する。
燃料電池は、一般的には水素及び酸素を燃料として電気エネルギーを得る装置である。この燃料電池は、環境面において優れかつ高いエネルギー効率が実現できることから、今後のエネルギー供給システムとして広く開発が進められてきている。
一般的に、アノードおよびカソードに電解質が挟まれた発電部がセパレータに挟まれることによってセルが形成され、そのセルが複数積層されることによって燃料電池となる。このセパレータは、アノードに燃料ガスを供給する燃料ガス流路およびカソードに酸化剤ガスを供給するための酸化剤ガス流路が形成されるとともに、隣接するセル間の電子の通路を構成している。
セパレータは、導電性を有する必要性があることから、金属、炭素、導電性樹脂等から構成される。カーボンセパレータおよび導電性樹脂セパレータは、化学的に安定していることから、長期間安定して導電性を維持することができる。しかしながら、カーボンセパレータおよび導電性セパレータは流路を形成した際に流路底面に強度上必要な厚さを有していなければならないことから、カーボンセパレータおよび導電性セパレータを用いる燃料電池においてはスタック長が長くなるという問題がある。
メタルセパレータは、強度が大きいことから、流路底面の厚さが小さくても一定の強度を保つことができる。しかしながら、腐食による導電性低下、出力低下が問題になる。したがって、メタルセパレータを用いる場合には、メタルセパレータに導電性と耐食性を持たせることが課題となる。
そこで、プラズマCVDによってメタルセパレータ表面に炭素層を形成し、その炭素層をグラファイト化する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、高導電性と高耐食性を長期間安定して維持することができる。
しかしながら、特許文献1の技術では、炭素層形成後に基材に高電圧正パルスを印加して炭素層表面に電子を照射することによって炭素層をグラファイト化している。この場合、炭素層形成とグラファイト化を2段階で行っていることから、炭素層の内部までグラファイト化されないおそれがある。
本発明は、炭素層の化学的安定性を向上させることができる燃料電池用セパレータの製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池セパレータの製造方法は、不活性ガス雰囲気下において、セパレータ基板に負高電圧を印加しつつ、セパレータ基板表面に乾式成膜法により炭素系原料を用いて炭素層を形成することを特徴とするものである。本発明に係る燃料電池セパレータの製造方法においては、セパレータ基板に負高電圧が印加されることによって、不活性ガスのプラスイオンがセパレータ基板に衝突しつつ炭素層が形成される。この場合、炭素層の内部まで確実にグラファイト化することができる。それにより、炭素層の化学的安定性が向上する。その結果、本発明に係る燃料電池セパレータの耐食性および導電性が向上する。
本発明に係る燃料電池セパレータの他の製造方法は、不活性ガス雰囲気下において、セパレータ基板表面に乾式成膜法により不飽和炭化水素およびフッ化炭素の少なくともいずれか一方を含む炭素系原料を用いて炭素層を形成することを特徴とするものである。本発明に係る燃料電池セパレータの他の製造方法においては、不飽和炭化水素の2重結合または3重結合により炭素層を内部まで確実にグラファイト化することができる。また、フッ化炭素中のフッ素が炭素層中においてC−F結合を形成することによって、炭素層の化学的安定性を向上させることができる。それにより、本発明に係る燃料電池セパレータの耐食性および導電性が向上する。
本発明に係る燃料電池セパレータのさらに他の製造方法は、不活性ガス雰囲気下において、セパレータ基板に負高電圧を印加しつつ、セパレータ基板表面に乾式成膜法により不飽和炭化水素およびフッ化炭素の少なくともいずれか一方を含む炭素系原料を用いて炭素層を形成することを特徴とするものである。本発明に係る燃料電池セパレータのさらに他の製造方法においては、セパレータ基板に負高電圧が印加されることによって、不活性ガスのプラスイオンがセパレータ基板に衝突しつつ炭素層が形成される。この場合、炭素層の内部まで確実にグラファイト化することができる。また、不飽和炭化水素の2重結合または3重結合により炭素層の内部まで確実にグラファイト化することができる。さらに、フッ化炭素中のフッ素が炭素層中においてC−F結合を形成することによって、炭素層の化学的安定性を向上させることができる。それにより、本発明に係る燃料電池セパレータの耐食性および導電性がより向上する。
セパレータ基板は、金属からなっていてもよい。この場合、本発明に係る燃料電池セパレータの強度が向上する。その結果、燃料電池セパレータを薄膜化することが可能である。
セパレータ基板上に金属層を形成し、金属層上に炭素層を形成してもよい。この場合、セパレータ基板と炭素層との密着性が向上する。また、セパレータ基板上に金属層を形成し、金属層上に金属層を構成する金属と炭素とからなる炭化物層を形成し、炭化物層上に炭素層を形成してもよい。この場合、セパレータ基板と炭素層との密着性がより向上する。
乾式成膜法は、PVD法であってもよい。この場合、固体炭素が成膜源であることから、炭化水素を成膜源とするCVD法に比較して炭素層の含有水素量を低減させることができる。したがって、炭素層の接触抵抗を低減させることができる。また、乾式成膜法は、スパッタリングであってもよい。
本発明によれば、炭素層の化学的安定性を向上させることができる。その結果、燃料電池セパレータの耐食性および導電性が向上する。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係るセパレータ100の模式的断面図である。図1に示すように、セパレータ100は、基板1上に金属層2、傾斜層3および炭素層4が順に積層された構造を有する。基板1は、チタン、アルミニウム、ステンレス、高耐食金属ガラス等の高耐食材料から構成される。
図1は、第1の実施の形態に係るセパレータ100の模式的断面図である。図1に示すように、セパレータ100は、基板1上に金属層2、傾斜層3および炭素層4が順に積層された構造を有する。基板1は、チタン、アルミニウム、ステンレス、高耐食金属ガラス等の高耐食材料から構成される。
金属層2は、Ti,Zr,Hf等の4A族金属、V,Nb,Ta等の5A族金属、Cr,Mo,W等の6A族金属、Si等の炭化物形成能が高くかつ高耐食性を有する材料等から構成される。金属層2の膜厚は、0.1nm〜1000nm程度であることが好ましく、10nm〜100nm程度であることがより好ましい。本実施の形態に係る金属層2の膜厚は、例えば、50nm程度である。
傾斜層3は、炭素と金属層2を構成する金属とを含む層である。傾斜層3の膜厚は、0.1nm〜1000nm程度であることが好ましく、10nm〜100nm程度であることがより好ましい。本実施の形態に係る傾斜層3の膜厚は、例えば、50nm程度である。傾斜層3において、金属層2側では金属層2を構成する金属の濃度が炭素の濃度よりも大きく、炭素層4に近づくにつれて炭素濃度が大きくなり、炭素層4側では炭素の濃度が金属層2を構成する金属の濃度よりも大きくなる。以上のことから、金属層2と傾斜層3との間の境界および傾斜層3と炭素層4との間の境界における界面形成が抑制される。したがって、金属層2、傾斜層3および炭素層4の密着性が向上する。
炭素層4は、炭素から構成される層である。炭素層4の膜厚は、0.1nm〜1000nm程度であることが好ましく、10nm〜100nm程度であることがより好ましい。本実施の形態に係る炭素層2の膜厚は、例えば、50nm程度である。後述するように、本実施の形態に係る炭素層4は、グラファイトから構成されている。それにより、炭素層4は、高い耐食性を維持しつつ高い導電性を維持する。なお、炭素層4の少なくとも上面側にグラファイトが形成されていれば本発明の効果が得られる。
本実施の形態においては金属層2と炭素層4との間に傾斜層3が設けられているが、それに限られない。例えば、金属層2上に傾斜層3を介さずに直接炭素層4が設けられていてもよい。この場合においても、金属層2と炭素層4との間に十分な密着性が得られるからである。
続いて、セパレータ100の製造方法について説明する。図2は、セパレータ100の製造方法について説明するためのフロー図である。まず、図2(a)に示すように、アルゴンによるエッチング処理が表面に施された基板1を用意し、その基板1に負のバイアス電圧を連続的に印加する。次に、図2(b)に示すように、基板1上に金属層2を形成する。次いで、図2(c)に示すように、金属層2上に傾斜層3を形成する。次に、図2(d)に示すように、傾斜層3上に炭素層4を形成する。
金属層2、傾斜層3および炭素層4は、不活性ガス雰囲気下(0.1Pa〜10PaのAr、例えば、Ar流量120sccm)でPVD法(例えば、スパッタリング)、CVD法等により形成する。負のバイアス電圧は、−200V〜−20kVの所定の負高電圧を用いることができ、例えば、−200V、−400V、−600V、−800V、−1000V、−2000V程度である。また、金属層2を形成する際のスパッタ装置の出力は例えば1.25kW程度であり、炭素層4を形成する際のスパッタ装置の出力は例えば4.5kW程度である。
本実施の形態においては基板1に負の高バイアス電圧が印加された状態で炭素層4が形成されていることから、アルゴン等の不活性ガスのプラスイオンが炭素層4に衝突する。この際の衝突エネルギにより不安定な結合状態の炭素がグラファイト化する。詳細は後述する。また、本実施の形態においてはPVD法により炭素層4を形成していることから、CVD法を用いる場合に比較して炭素層4に含有される水素量を低減させることができる。CVD法は成膜源として炭化水素を用いるのに対して、PVD法は固体炭素を成膜源とするからである。したがって、炭素層4の接触抵抗を低減させることができる。詳細は後述する。
なお、上記負の高バイアス電圧は、炭素層4を形成する際に印加されていればよく、金属層2および傾斜層3の形成の際には印加されていなくてもよい。また、上記負の高バイアス電圧は、−200V以下であることが好ましい。また、上記バイアス電圧は、−200V以下−20kV以上であることがより好ましく、−200V以下−1000V以上であることがさらに好ましい。さらに、金属層2および傾斜層3を形成する際に−50V程度のバイアス電圧を印加し、炭素層4を形成する際にバイアス電圧を−50V以下の負高電圧にしてもよい。また、上記負の高バイアス電圧は、炭素層4を形成する際に基板1に常に連続的に印加されている必要はなく、部分的にパルス電圧になっていても構わない。
(第2の実施の形態)
続いて、本発明の第2の実施の形態に係るセパレータ100aの製造方法について説明する。セパレータ100aの構成は、図1のセパレータ100の構成と同様である。図3は、セパレータ100aの製造方法について説明するためのフロー図である。
続いて、本発明の第2の実施の形態に係るセパレータ100aの製造方法について説明する。セパレータ100aの構成は、図1のセパレータ100の構成と同様である。図3は、セパレータ100aの製造方法について説明するためのフロー図である。
まず、図3(a)に示すように、アルゴンによるエッチング処理が表面に施された基板1を用意する。次に、図3(b)に示すように、基板1上に金属層2を形成する。次いで、図3(c)に示すように、金属層2上に傾斜層3を形成する。次に、図3(d)に示すように、傾斜層3上に炭素層4を形成する。金属層2、傾斜層3および炭素層4は、不活性ガス雰囲気下(0.1Pa〜10PaのAr、例えば、Ar流量120sccm)でPVD法(例えば、スパッタリング)、CVD法等により形成する。
炭素層4を形成する際、アセチレンガス等の不飽和炭化水素ガスまたはC2F6,CF4,C6F6等のフッ化炭素ガスを不活性雰囲気に流入させる。不飽和炭化水素ガスまたはフッ化炭素ガスの流量は3sccm〜12sccm程度である。不飽和炭化水素ガスを流入させると、不飽和炭化水素ガスの2重結合または3重結合により、炭素層4における不安定な結合状態の炭素がグラファイト化する。また、C2F6等のフッ化炭素ガスを流入させると、フッ化炭素ガス中のフッ素は、炭素層4内に混入し、炭素層4においてC−F結合をなし、炭素層4の化学的安定性を向上させる。なお、炭素層4を形成する際に、不飽和炭化水素ガスおよびフッ化炭素ガスの両方を添加しても炭素層4をグラファイト化させることができる。
以上のことから、本実施の形態に係るセパレータ100aの炭素層4はグラファイト結合を主体としたC原子から構成される。したがって、セパレータ100aは、高い耐食性を維持しつつ高い導電性を維持する。
(第3の実施の形態)
続いて、本発明の第3の実施の形態に係るセパレータ100bの製造方法について説明する。セパレータ100bの構成は、図1のセパレータ100の構成と同様である。図4は、セパレータ100bの製造方法について説明するためのフロー図である。
続いて、本発明の第3の実施の形態に係るセパレータ100bの製造方法について説明する。セパレータ100bの構成は、図1のセパレータ100の構成と同様である。図4は、セパレータ100bの製造方法について説明するためのフロー図である。
まず、図4(a)に示すように、アルゴンによるエッチング処理が表面に施された基板1を用意し、その基板1に負のバイアス電圧を連続的に印加する。次に、図4(b)に示すように、基板1上に金属層2を形成する。次いで、図4(c)に示すように、金属層2上に傾斜層3を形成する。次に、図4(d)に示すように、傾斜層3上に炭素層4を形成する。炭素層4を形成する際、アセチレンガス等の不飽和炭化水素ガスまたはC2F6,CF4,C6F6等のフッ化炭素ガスを不活性雰囲気に流入させる。
金属層2、傾斜層3および炭素層4は、不活性ガス雰囲気下(0.1Pa〜10PaのAr、例えば、Ar流量120sccm)でPVD法(例えば、スパッタリング)、CVD法等により形成する。基板1に印加する負のバイアス電圧は、、−200V〜−20kVの所定の負高電圧を用いることができ、例えば、−200V、−400V、−600V、−800V、−1000V、−2000V程度である。また、金属層2を形成する際のスパッタ装置の出力は例えば1.25kW程度であり、炭素層4を形成する際のスパッタ装置の出力は例えば4.5kW程度である。炭素層4を形成する際の不飽和炭化水素ガスまたはフッ化炭素ガスの流量は6sccm〜12sccm程度である。
本実施の形態においては基板1に負の高バイアス電圧が印加された状態で炭素層4が形成されていることから、アルゴン等の不活性ガスのプラスイオンが炭素層4に衝突する。この際の衝突エネルギにより炭素層4中の不安定な結合状態の炭素がグラファイト化する。また、不飽和炭化水素の2重結合または3重結合により、炭素層4中の不安定な結合状態の炭素がグラファイト化する。さらに、C2F6等のフッ化炭素中のフッ素は、炭素層4内に混入し、炭素層4においてC−F結合をなし、炭素層4の化学的安定性を向上させる。
以上のことから、本実施の形態に係るセパレータ100bの炭素層4はグラファイトから構成される。したがって、セパレータ100bは、高い耐食性を維持しつつ高い導電性を維持する。
(第4の実施の形態)
図5は、第4の実施の形態に係る燃料電池200の模式的断面図である。図5に示すように、燃料電池200は、アノード20およびカソード40により電解質層30が挟まれた発電部が2枚のセパレータ10により挟まれた構造を有する。セパレータ10として、上記セパレータ100,100a,100bを用いることができる。アノード20に接するセパレータ10においては、炭素層4はアノード20側に設けられている。また、カソード40に接するセパレータ10においては、炭素層4はカソード40側に設けられている。
図5は、第4の実施の形態に係る燃料電池200の模式的断面図である。図5に示すように、燃料電池200は、アノード20およびカソード40により電解質層30が挟まれた発電部が2枚のセパレータ10により挟まれた構造を有する。セパレータ10として、上記セパレータ100,100a,100bを用いることができる。アノード20に接するセパレータ10においては、炭素層4はアノード20側に設けられている。また、カソード40に接するセパレータ10においては、炭素層4はカソード40側に設けられている。
燃料電池200においては、セパレータ10とアノード20との間に水素を含有する燃料ガスが供給される。また、セパレータ10とカソード40との間に酸素を含有する酸化剤ガスが供給される。それにより、電解質層30を水素イオンまたは酸素イオンが伝導し、発電が行われる。
この場合、炭素層4が高電導性を有することから、燃料電池200の発電効率が向上する。また、炭素層4によりセパレータ10の腐食が抑制される。それにより、燃料電池200の発電率低下が抑制される。したがって、セパレータ100,100a,100bを用いた燃料電池においては、発電効率が向上するとともに発電効率低下が抑制される。
以下、セパレータ100,100a,100bを作製し、その特性について調べた。
(実施例1)
実施例1においては、図1のセパレータ100(サンプル1−1〜1−6)を作製し、その特性について調べた。その作製条件を表1に示す。表1に示すように、サンプル1−1〜1−6のいずれも、チタン基板からなる基板1上に膜厚が50nmのチタン層からなる金属層2が形成され、金属層2上に膜厚が50nmの炭素層からなる炭素層4が形成されている。金属層2および炭素層4は、スパッタリングにより形成した。実施例1においては、傾斜層3を設けなかった。
実施例1においては、図1のセパレータ100(サンプル1−1〜1−6)を作製し、その特性について調べた。その作製条件を表1に示す。表1に示すように、サンプル1−1〜1−6のいずれも、チタン基板からなる基板1上に膜厚が50nmのチタン層からなる金属層2が形成され、金属層2上に膜厚が50nmの炭素層からなる炭素層4が形成されている。金属層2および炭素層4は、スパッタリングにより形成した。実施例1においては、傾斜層3を設けなかった。
また、サンプル1−1を作製する際のバイアス電圧は−200Vであり、サンプル1−2〜1−4を作製する際のバイアス電圧は−400Vであり、サンプル1−5を作製する際のバイアス電圧は−600Vであり、サンプル1−6を作製する際のバイアス電圧は−1000Vに設定した。
さらに、比較例として、比較サンプル1を作製した。比較サンプル1の作製条件を表1に示す。比較サンプル1は、図1のセパレータ100と同様の方法により作製したが、比較サンプル1を作製する際のバイアス電圧を−50Vとした。
続いて、サンプル1−1〜1−6および比較サンプル1を作製した際の他の条件について説明する。金属層2を形成する際においては、原料としてチタンを用い、バイアス電圧を−50Vに設定し、アルゴンの流量を120sccmとし、スパッタ装置の出力を1.25kWとし、形成時間を20分とした。
炭素層4を形成する際においては、ターゲット材として炭素を用い、アルゴンの流量を120sccmとし、スパッタ装置の出力を4.5kWとし、形成時間を24分とした。炭素層4の形成を始めると同時にバイアス電圧を−1000Vで一定に保持した。
比較サンプル1においては、炭素層4の形成の際のバイアス電圧を−50Vで一定に保持した。サンプル1−1〜1−5においては、炭素層4の形成を始めると同時に所定のバイアス電圧で一定に保持した。
(分析)
次に、サンプル1−1〜1−6および比較サンプル1の特性の評価方法について説明する。図6は、サンプル1−1〜1−6および比較サンプル1の評価方法について説明する図である。図6(a)は接触抵抗試験の方法を示し、図6(b)は定電位腐食試験の方法を示す。
次に、サンプル1−1〜1−6および比較サンプル1の特性の評価方法について説明する。図6は、サンプル1−1〜1−6および比較サンプル1の評価方法について説明する図である。図6(a)は接触抵抗試験の方法を示し、図6(b)は定電位腐食試験の方法を示す。
まず、接触抵抗試験について説明する。図6(a)に示すように、各サンプルの炭素層4上にカーボンペーパを載せ、各サンプルおよびカーボンペーパを一定荷重(1MPa)で挟んだ。この状態で、各サンプルに1Aの電流を流しつつ各サンプルに印加される電圧を測定することにより各サンプルの接触抵抗を調べた。図6(a)の接触抵抗試験は、図6(b)の定電位腐食試験の前後において1回ずつ行った。接触抵抗試験における各サンプルの評価面積は4cm2(2cm×2cm)である。
次に、定電位腐食試験について説明する。図6(b)に示すように、各サンプルを硫酸溶液(300ml、pH4、80℃)に浸す。この状態で、白金板からなる対極と各サンプルとを電気的に接続することにより対極と各サンプルとの電位差を生じさせ、各サンプルを腐食させる。なお、参照極によって各サンプルの電位を一定に保持してある。また、定電位腐食試験における各サンプルの評価面積は16cm2(4cm×4cm)であり、試験時間は50時間程度である。各サンプルの接触抵抗試験および定電位腐食試験の結果を図7および表2に示す。
図7および表2は、サンプル1−1〜1−6および比較サンプル1の定電位腐食試験および接触抵抗試験の結果を示す。図7および表2における規格化平均腐食電流は比較サンプル1の平均腐食電流に基づいて規格化した値を示し、規格化接触抵抗は定電位腐食試験前における比較サンプル1の接触抵抗に基づいて規格化した値を示す。すなわち、規格化平均腐食電流は比較サンプル1の平均腐食電流に対する比を表し、規格化接触抵抗は定電位腐食試験前における比較サンプル1の接触抵抗に対する比を表している。
図7(a)はサンプル1−1〜1−6および比較サンプル1の定電位腐食試験の結果を示し、図7(b)はサンプル1−1〜1−6および比較サンプル1の接触抵抗試験の結果を示す。図7(a)および図7(b)の横軸はバイアス電圧を示し、図7(a)の縦軸は比較サンプル1の平均腐食電流に基づいて規格化した値を示し、図7(b)の縦軸は比較サンプル1の接触抵抗に基づいて規格化した値を示す。
図7(a)および表2に示すように、バイアス電圧が高電圧になるにつれて平均腐食電流は低下した。サンプル1−1の平均腐食電流は、比較サンプル1の平均腐食電流の約4分の1になった。サンプル1−2〜1−6の平均腐食電流は、比較サンプル1の平均腐食電流の約10分の1になった。以上のことから、負の高バイアス電圧を印加しつつ作製した炭素層4を有するセパレータは、高耐食性を有することが明らかである。このような結果が得られたのは、負の高バイアス電圧を基板1に印加して炭素層4を作製したことにより炭素層4がグラファイト化し、炭素層4の化学的安定性が向上したからであると推定される。
また、図7(b)および表2に示すように、バイアス電圧が高電圧になるにつれて接触抵抗は低下した。定電位腐食試験後においては、比較サンプル1の接触抵抗は大きく増大し、サンプル1−1〜1−5の接触抵抗はわずかに増大し、サンプル1−6の接触抵抗は、定電位腐食試験後においても変化はなかった。以上のことから、負の高バイアス電圧を印加しつつ作製したセパレータは、高導電性を有することが明らかである。このような結果が得られたのは、負の高バイアス電圧を基板1に印加することにより炭素層4がグラファイト化したからであると推定される。
図8は、比較サンプル1およびサンプル1−6の組成比率を示す図である。図8(a)は比較サンプル1の定電位腐食試験前における組成比率を示し、図8(b)は比較サンプルの定電位腐食試験後における組成比率を示し、図8(c)はサンプル1−6の定電位腐食試験前における組成比率を示し、図8(d)はサンプル1−6の定電位腐食試験後における組成比率を示す。図8(a)〜図8(d)の横軸は炭素層4の表面からの深さ(nm)を示し、図8(a)〜図8(d)の縦軸は元素比率(%)を示す。比較サンプル1およびサンプル1−6の組成比率は、AES(Auger Electron Spectroscopy)分析によって調べた。
図8(a)および図8(c)に示すように、定電位腐食試験前においては、比較サンプル1およびサンプル1−6のいずれの炭素層4も、表面から深さ50nm程度まで炭素で構成されていることがわかる。図8(b)に示すように、定電位腐食試験後における比較サンプル1においては、炭素層4における炭素が消耗していた。したがって、比較サンプル1の炭素層4は、化学的に不安定であると推定される。しかしながら、図8(d)に示すように、定電位腐食試験後におけるサンプル1−6においては、炭素層4における炭素の消耗がほとんど見られなかった。以上のことから、基板1に負の高バイアス電圧を印加して炭素層4を作製したことにより、炭素層4の化学的安定性が高まったと推定される。
続いて、バイアス電圧による炭素層4中の炭素の結合状態を調べるために、サンプル1−6および比較サンプル1に対してEELS(Electron Energy Loss Spectroscopy)分析を行った。その結果を図9および表3に示す。図9は、サンプル1−6および比較サンプル1におけるプラズモンロスピークを示す図である。図9の縦軸は正規化電子収率を示し、図9の横軸はプラズモンロスエネルギを示す。図9の太点線はグラファイトのプラズモンロスピークを示し、細点線はダイヤモンドのプラズモンロスピークを示し、細線は比較サンプル1のプラズモンロスピークを示し、太線はサンプル1−6のプラズモンロスピークを示す。
図9および表3から明らかなように、サンプル1−6および比較サンプル1はダイヤモンドよりもグラファイトに近いことがわかる。また、表3に示すプラズモンロスピーク値からわかるように、比較サンプル1よりもサンプル1−6の方がグラファイトに近くなっている。また、比較サンプル1の密度よりもサンプル1−6の密度の方が大きくなっている。このことは、負の高バイアス電圧を基板1に印加して炭素層4を形成することにより、炭素層4における炭素密度が大きくなって炭素層4がグラファイト化したことを示していると考えられる。
続いて、サンプル1−6および比較サンプル1の炭素層4中のsp2結合量を算出した。図10は、サンプル1−6および比較サンプル1の炭素層4中のsp2結合量を示す図である。図10(a)はサンプル1−6および比較サンプル1のELNESスペクトルを示し、図10(b)はサンプル1−6のπ*ピークを分離した図である。図10(a)および図10(b)の横軸はロスエネルギを示し、図10(a)および図10(b)の縦軸は正規化電子収率を示す。
図10(a)において、太線はサンプル1−6のELNESスペクトルを示し、細線は比較サンプル1のELNESスペクトルを示し、太点線はグラファイトのELNESピークを示し、細点線はダイヤモンドのELNESピークを示す。グラファイトのELNESピークからわかるように、π*ピークは、約0.285keVである。そこで、各サンプルにおけるπ*ピークの面積Aを求め、全ピーク面積B(0.28keV〜0.31keVの積分値)との面積比率を計算した。その結果を表4に示す。図10(b)に、一例としてサンプル1−6のπピークの面積Aを示す。
なお、サンプル1−6および比較サンプル1のsp2結合量は、図11に基づいて求めた。図11は、sp2結合量と面積比(A/B)との関係を示す図である。図11の縦軸は面積比(A/B)を示し、図11の横軸はsp2結合量を示す。図11に示すように、グラファイトのsp2結合量を100%としダイヤモンドのsp2結合量を0%として近似式を求めた。サンプル1−6および比較サンプル1のsp2結合量はこの近似式から求めた。
表4に示すように、サンプル1−6のsp2結合量は、比較サンプルのsp2結合量の1.7倍程度になった。したがって、負の高バイアス電圧を基板1に印加しつつ炭素層4を形成することにより、炭素層4中のグラファイト率が向上していることがわかる。
以上のことから、炭素層4を形成する際に負の高バイアス電圧を基板1に印加することにより、炭素層4がグラファイト化することがわかった。また、炭素層4をグラファイト化することにより、セパレータが高耐食性および高導電性を有するようになることがわかった。
(実施例2)
実施例2においては、図3のセパレータ100a(サンプル2−1、2−2)を作製し、その特性について調べた。その作製条件を表5に示す。表5に示すように、サンプル2−1、2−2のいずれも、チタン基板からなる基板1上に膜厚が50nmのチタン層からなる金属層2が形成され、金属層2上に膜厚が50nmの炭素層からなる炭素層4が形成されている。炭素層4を形成する際にはアセチレンを不活性雰囲気中に流入させた。金属層2および炭素層4はスパッタリングにより形成した。実施例2においては、傾斜層3を設けなかった。
実施例2においては、図3のセパレータ100a(サンプル2−1、2−2)を作製し、その特性について調べた。その作製条件を表5に示す。表5に示すように、サンプル2−1、2−2のいずれも、チタン基板からなる基板1上に膜厚が50nmのチタン層からなる金属層2が形成され、金属層2上に膜厚が50nmの炭素層からなる炭素層4が形成されている。炭素層4を形成する際にはアセチレンを不活性雰囲気中に流入させた。金属層2および炭素層4はスパッタリングにより形成した。実施例2においては、傾斜層3を設けなかった。
サンプル2−1の炭素層4を形成する際のアセチレン流量は3sccmであり、サンプル2−2の炭素層4を形成する際のアセチレン流量は6sccmである。また、比較例として、比較サンプル2を作製した。比較サンプル2は、実施例1における比較例1と同じサンプルである。なお、サンプル2−1、2−2および比較サンプル2を作製する際のバイアス電圧は−50Vに設定した。
(分析)
サンプル2−1、2−2および比較サンプル2の定電位腐食試験を行った。定電位腐食試験は、図6で説明した試験方法により行った。図12および表6に定電位腐食試験の結果を示す。図12は、サンプル2−1、2−2および比較サンプル2の定電位腐食試験の結果を示す図である。図12の縦軸は比較サンプル2の平均腐食電流に基づいて規格化した値を示す。
サンプル2−1、2−2および比較サンプル2の定電位腐食試験を行った。定電位腐食試験は、図6で説明した試験方法により行った。図12および表6に定電位腐食試験の結果を示す。図12は、サンプル2−1、2−2および比較サンプル2の定電位腐食試験の結果を示す図である。図12の縦軸は比較サンプル2の平均腐食電流に基づいて規格化した値を示す。
図12および表6に示すように、サンプル2−1、2−2の平均腐食電流は、比較サンプル2の平均腐食電流の20分の1程度になった。以上のことから、アセチレンを不活性雰囲気中に流入させて作製した炭素層4を有するセパレータは、高耐食性を有することが明らかである。このような結果が得られたのは、アセチレンの3重結合によって炭素層4がグラファイト化し、炭素層4の化学的安定性が高まったからであると推定される。
(実施例3)
実施例3においては、図3のセパレータ100a(サンプル3−1、3−2、3−3)を作製し、その特性について調べた。その作製条件を表7に示す。表7に示すように、サンプル3−1〜3−3のいずれも、チタン基板からなる基板1上に膜厚が50nmのチタン層からなる金属層2が形成され、金属層2上に膜厚が50nmの炭素層からなる炭素層4が形成されている。炭素層4を形成する際にはC2F6を不活性雰囲気に流入させた。金属層2および炭素層4はスパッタリングにより形成した。実施例3においては、傾斜層3を設けなかった。
実施例3においては、図3のセパレータ100a(サンプル3−1、3−2、3−3)を作製し、その特性について調べた。その作製条件を表7に示す。表7に示すように、サンプル3−1〜3−3のいずれも、チタン基板からなる基板1上に膜厚が50nmのチタン層からなる金属層2が形成され、金属層2上に膜厚が50nmの炭素層からなる炭素層4が形成されている。炭素層4を形成する際にはC2F6を不活性雰囲気に流入させた。金属層2および炭素層4はスパッタリングにより形成した。実施例3においては、傾斜層3を設けなかった。
サンプル3−1の炭素層4を形成する際のC2F6流量は3sccmであり、サンプル3−2の炭素層4を形成する際のC2F6流量は6sccmであり、サンプル3−3の炭素層4を形成する際のC2F6流量は12sccmである。また、比較例として、比較サンプル3を作製した。比較サンプル3は、実施例1における比較例1と同じサンプルである。なお、サンプル3−1〜3−3および比較サンプル3を作製する際のバイアス電圧は−50Vに設定した。
(分析)
サンプル3−1〜3−3および比較サンプル3の定電位腐食試験および接触抵抗試験を行った。定電位腐食試験および接触抵抗試験は、図6で説明した試験方法により行った。図13および表8に定電位腐食試験および接触抵抗試験の結果を示す。図13および表8における規格化接触抵抗は、定電位腐食試験前における比較サンプル1の接触抵抗に基づいて規格化した値を示す。
サンプル3−1〜3−3および比較サンプル3の定電位腐食試験および接触抵抗試験を行った。定電位腐食試験および接触抵抗試験は、図6で説明した試験方法により行った。図13および表8に定電位腐食試験および接触抵抗試験の結果を示す。図13および表8における規格化接触抵抗は、定電位腐食試験前における比較サンプル1の接触抵抗に基づいて規格化した値を示す。
図13(a)はサンプル3−1〜3−3および比較サンプル3の定電位腐食試験の結果を示す図であり、図13(b)はサンプル3−1〜3−3および比較サンプル3の定電位腐食試験前後における接触抵抗試験の結果を示す図である。図13(a)の縦軸は比較サンプル3の平均腐食電流に基づいて規格化した値を示し、図13(b)の縦軸は比較サンプル3の接触抵抗に基づいて規格化した値を示す。
図13(a)に示すように、サンプル3−1においては平均腐食電流が低下しなかったが、サンプル3−2、3−3においては平均腐食電流が大幅に低下した。サンプル3−2の平均腐食電流は比較サンプル3の平均腐食電流の3分の1程度になり、サンプル3−3の平均腐食電流は比較サンプル3の平均腐食電流の10分の1以下となった。以上のことから、不活性雰囲気に流入させるC2F6の量を多くすることにより、セパレータの耐食性を向上させることは明らかである。このことは、C2F6を不活性雰囲気に流入させることにより、炭素層4に強固なC−F結合が導入され、炭素層4の化学的安定性が高まったからであると推定される。
次に、接触抵抗試験の結果について説明する。図13(b)に示すように、不活性雰囲気に流入させるC2F6の量を増大させるにつれて、定電位腐食試験前の接触抵抗も増大する結果となった。しかしながら、定電位腐食試験後のサンプル3−1、3−2の接触抵抗は、定電位腐食試験後の比較サンプル3の接触抵抗よりも小さくなった。以上のことから、不活性雰囲気にC2F6を適当量流入させることにより、セパレータが高耐食性を有するようになることがわかった。このような結果が得られたのは、炭素層4にC2F6のフッ素によって強固なC−F結合が導入され、炭素層4の化学的安定性が高まったからであると推定される。
(実施例4)
実施例4においては、図3のセパレータ100a(サンプル4−1〜4−5)および図4のセパレータ100b(サンプル4−6〜4−10)を作製し、その特性について調べた。その作製条件を表9に示す。表9に示すように、サンプル4−1〜4−10のいずれも、チタン基板からなる基板1上に膜厚が50nmのチタン層からなる金属層2が形成され、金属層2上に膜厚が50nmの炭素層からなる炭素層4が形成されている。なお、サンプル4−1、4−2は、それぞれサンプル2−1、2−2と同じサンプルであり、サンプル4−3、4−4、4−5は、それぞれサンプル3−1、3−2、3−3と同じサンプルである。また、比較例として、比較サンプル4を作製した。比較サンプル4は、実施例1における比較例1と同じサンプルである。
実施例4においては、図3のセパレータ100a(サンプル4−1〜4−5)および図4のセパレータ100b(サンプル4−6〜4−10)を作製し、その特性について調べた。その作製条件を表9に示す。表9に示すように、サンプル4−1〜4−10のいずれも、チタン基板からなる基板1上に膜厚が50nmのチタン層からなる金属層2が形成され、金属層2上に膜厚が50nmの炭素層からなる炭素層4が形成されている。なお、サンプル4−1、4−2は、それぞれサンプル2−1、2−2と同じサンプルであり、サンプル4−3、4−4、4−5は、それぞれサンプル3−1、3−2、3−3と同じサンプルである。また、比較例として、比較サンプル4を作製した。比較サンプル4は、実施例1における比較例1と同じサンプルである。
サンプル4−1、4−2、4−6、4−7の炭素層4を形成する際にはアセチレンを不活性雰囲気に流入させ、サンプル4−3〜4−5、4−8〜4−10の炭素層4を形成する際にはC2F6を不活性雰囲気に流入させた。
サンプル4−1〜4−5および比較サンプル4の炭素層4を形成する際のバイアス電圧は、−50Vに設定した。また、サンプル4−6〜4−10の炭素層4を形成する際のバイアス電圧は、−1000Vに設定した。金属層2および炭素層4はスパッタリングにより形成した。実施例4においては、傾斜層3を設けなかった。
サンプル4−1、4−6の炭素層4を形成する際のアセチレン流量は3sccmであり、サンプル4−2、4−7の炭素層4を形成する際のアセチレン流量は6sccmであり、サンプル4−3、4−8の炭素層4を形成する際のC2F6流量は3sccmであり、サンプル4−4、4−9の炭素層4を形成する際のC2F6流量は6sccmであり、サンプル4−5、4−10の炭素層4を形成する際のC2F6流量は12sccmである。
(分析)
サンプル4−1〜4−10および比較サンプル4の定電位腐食試験および接触抵抗試験を行った。定電位腐食試験および接触抵抗試験は、図6で説明した試験方法により行った。図14および表10に定電位腐食試験および接触抵抗試験の結果を示す。
サンプル4−1〜4−10および比較サンプル4の定電位腐食試験および接触抵抗試験を行った。定電位腐食試験および接触抵抗試験は、図6で説明した試験方法により行った。図14および表10に定電位腐食試験および接触抵抗試験の結果を示す。
図14(a)はサンプル4−1〜4−10の定電位腐食試験の結果を示す図であり、図14(b)はサンプル4−1〜4−10の接触抵抗試験の結果を示す図である。図14(a)の縦軸は比較サンプル4の平均腐食電流に基づいて規格化した値を示し、図14(b)の縦軸は比較サンプル4の接触抵抗に基づいて規格化した値を示す。図中の「低」は負の低バイアス電圧である−50Vを示し、図中の「高」は負の高バイアス電圧である−1000Vを示す。
図14(a)に示すように、サンプル4−3の平均腐食電流は比較サンプル4の平均腐食電流と同程度であるが、サンプル4−1、4−2、4−4〜4−10の平均腐食電流は比較サンプル4の平均腐食電流に比較して大幅に低下した。以上のことから、不活性雰囲気にアセチレンまたはC2F6を流入させ、負の高バイアス電圧を印加して炭素層4を形成することにより、平均腐食電流が大幅に低下することがわかった。
また、図14(b)に示すように、サンプル4−1、4−2、4−5の接触抵抗は比較サンプル4の接触抵抗に比較して大きくなっているが、サンプル4−3、4−4、4−6、4−10の接触抵抗は比較サンプル4の接触抵抗と同程度である。さらに、サンプル4−8、4−9の接触抵抗は比較サンプル4の接触抵抗に比較して低下している。以上のことから、不活性雰囲気にアセチレンおよびC2F6のいずれを流入させても、負の高バイアス電圧を印加しつつ炭素層4を形成することによって接触抵抗を低減させられることがわかった。
次に、各サンプルの組成比率を調べた。以下、その測定方法と測定結果について説明する。図15は、各サンプルの組成比率の測定方法について説明するための模式図である。図15に示すように、ヘリウムイオンビームを各サンプルに対して照射する。それにより、各サンプルから水素原子が叩き出されるとともに、散乱したヘリウムイオンのエネルギスペクトルが得られる。
この際に、各サンプルから叩き出された水素原子をERDA(Elastic Recoil Detection Analysis)により測定し、その測定結果から各サンプル中の水素濃度を求める。また、各サンプルから散乱したヘリウムイオンのエネルギスペクトルをRBS(Rutherford Backscattering Spectrometry)により測定し、その測定結果から各サンプル中の水素およびヘリウム以外の元素の濃度を求める。なお、各サンプル中のフッ素はRBSでの定量が困難であることから、AESによるフッ素定量の結果をRBSに反映させて解析した。
図16は、サンプル4−2、4−5、4−7、4−10および比較サンプル4の組成比率を示す図である。図16(a)は比較サンプル4の組成比率を示し、図16(b)はサンプル4−2の組成比率を示し、図16(c)はサンプル4−7の組成比率を示し、図16(d)はサンプル4−5の組成比率を示し、図16(e)はサンプル4−10の組成比率を示す。図16(a)〜図16(e)の縦軸は元素比率(%)を示し、図16(a)〜図16(e)の横軸は炭素層4の表面からの深さ(nm)を示す。
図16(a)に示すように、比較サンプル4においては、炭素層4中に含まれる水素比率は約10%である。これに対し、図16(b)に示すように、サンプル4−2においては、炭素層4中に含まれる水素比率は約20%まで増大している。これは、アセチレンの成分元素である水素が炭素層4中に混入するからであると推定される。しかしながら、図16(c)に示すように、サンプル4−7においては、炭素層4中に含まれる水素比率は約10%まで低下している。これは、負の高バイアス電圧を印加しつつ炭素層4を形成する過程において、水素が除去されるからであると推定される。
また、図16(d)および図16(e)に示すように、サンプル4−5、4−10においては、炭素層4中に水素がほとんど含まれていない。したがって、不活性雰囲気にC2F6を流入させて炭素層4中にC−F結合を生じさせることにより、炭素層4中の水素が除去されると推定される。なお、サンプル4−5においては炭素層4中にフッ素が含まれるが、サンプル4−10においては炭素層4中にフッ素がほとんど含まれない。これは、負の高バイアス電圧を印加しつつ炭素層4を形成する過程において、フッ素が除去されるからであると推定される。
以上のことから、不活性雰囲気にアセチレンを流入させる場合においても、負の高バイアス電圧を印加しつつ炭素層4を形成することにより、炭素層4中の水素を除去することができることがわかった。また、不活性雰囲気にC2F6を流入させて炭素層4を形成することにより、炭素層4中の水素を除去することができることがわかった。
続いて、炭素層4中の水素濃度とセパレータの接触抵抗との関係について説明する。サンプル4−2、4−5、4−7、4−10および比較サンプル4の接触抵抗を表11に示す。表11における接触抵抗は、比較サンプル4の接触抵抗に基づいて規格化した値を示す。
表11に示すように、炭素層4中の水素濃度が高いほど、接触抵抗も大きくなっている。特に、サンプル4−2のように炭素層4中の水素濃度が22%である場合、比較サンプル4の接触抵抗の400倍程度まで増大している。以上のことから、炭素層4から水素をできるだけ除去することが望ましいことがわかった。
以上の実施例により、負の高バイアス電圧を基板1に印加しつつ炭素層4を形成することによって、または、不活性雰囲気にアセチレンもしくはフッ化炭素を流入させることによって、平均腐食電流を低減させることができるとともに接触抵抗を低減させることがわかった。さらに、不活性雰囲気にアセチレンもしくはフッ化炭素を流入させかつ負の高バイアス電圧を基板1に印加しつつ炭素層4を形成することによって、平均腐食電流および接触抵抗をより効果的に低減させられることがわかった。
1 基板
2 金属層
3 傾斜層
4 炭素層
100,100a,100b セパレータ
200 燃料電池
2 金属層
3 傾斜層
4 炭素層
100,100a,100b セパレータ
200 燃料電池
Claims (8)
- 不活性ガス雰囲気下において、セパレータ基板に負高電圧を印加しつつ、前記セパレータ基板表面に乾式成膜法により炭素系原料を用いて炭素層を形成することを特徴とする燃料電池セパレータの製造方法。
- 不活性ガス雰囲気下において、セパレータ基板表面に乾式成膜法により不飽和炭化水素およびフッ化炭素の少なくともいずれか一方を含む炭素系原料を用いて炭素層を形成することを特徴とする燃料電池セパレータの製造方法。
- 不活性ガス雰囲気下において、セパレータ基板に負高電圧を印加しつつ、前記セパレータ基板表面に乾式成膜法により不飽和炭化水素およびフッ化炭素の少なくともいずれか一方を含む炭素系原料を用いて炭素層を形成することを特徴とする燃料電池セパレータの製造方法。
- 前記セパレータ基板は、金属からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池セパレータの製造方法。
- 前記セパレータ基板上に金属層を形成し、前記金属層上に前記炭素層を形成することを特徴とする請求項4記載の燃料電池セパレータの製造方法。
- 前記セパレータ基板上に金属層を形成し、前記金属層上に前記金属層を構成する金属と炭素とからなる炭化物層を形成し、前記炭化物層上に前記炭素層を形成することを特徴とする請求項4記載の燃料電池セパレータの製造方法。
- 前記乾式成膜法は、PVD法であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の燃料電池セパレータの製造方法。
- 前記乾式成膜法は、スパッタリングであることを特徴とする請求項7記載の燃料電池セパレータの製造方法。
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