JP2006284337A - 放射性同位元素製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 この放射性同位元素製造装置(10)は、加速したイオンビーム(R)が照射するターゲット(20)において、真空領域(U)及び原料(23)の境界を形成する透過膜(22)と、この透過膜(22)を支持するとともに、イオンビーム(R)が通過する複数の通過口(27)が設けられている第1止め具(21)と、を備え、この第1止め具(21)の材質は、アルミナ分散強化銅であることを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
このため核種は、保存がきかないので、PET検査を実施する直前に、充分な分量を確保するために、短期間のうちに大量に製造する必要がある。
このような事態を回避するために、気泡等のボイドが生成しないように、イオンビームの照射により昇温した原料を加圧するとともに冷却を行うことが行われている。
「PET通信1998WINTER No.25」,第15頁〜第17頁,先端医療技術研究所
また、原料に高い圧力をかけても、この止め具は、高温における機械的強度(ヤング率,降伏応力)が高いので変形することが少ない。このため、ターゲットに収容する原料に付加する圧力を高めることが可能となり、原料が高温となっても内部で気泡等のボイドが発生するのを抑制することができ、核種の収率を高めることができる。
次に、本発明の第1実施形態に係る放射性同位元素製造装置について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の放射性同位元素製造装置10は、イオン源11、高周波四重極型線形加速器(Radio Frequency Quadrupole、以下、RFQと称す)12a、ドリフトチューブ型線形加速器(Drift Tube Linac、以下、DTLと称す)12bおよびターゲット20を有する。なお、このRFQ12aとDTL12bとの組み合わせにより本発明における加速器12が形成されている。
なお、イオン源11には、熱陰極方式のデュオプラズマトロン型イオン源またはPIG型イオン源を使用することができる。また、長寿命で大電流を発生することのできるマイクロ波放電型イオン源を使用することもできる。
なお、ここで使用されるRFQ12aに替えて、六極以上の偶数の磁極を持つ多重電極型の高周波加速器を用いてもよく、これら以外の高周波加速器を用いることもできる。
このようなRFQ12aおよびDTL12bは、組み合わされて、最終的に10MeV程度の高エネルギーのイオンビームRを生成する線形加速器(加速器)12として機能する。なお、本発明で用いられる加速器は、このような線形加速器に限定されるものではなく、サイクロトロンが用いられる場合もある。
図2(a)に示すようにターゲット20は、第1止め具21a(21)と、薄膜状の透過膜22と、基盤24と、この基盤24に穿設して設けられた冷却路25と、核種の原料23を保持する容器26と、第1止め具を保持する保持器28と、この保持器28及び第1止め具21aを冷却する冷却路29とから構成される。なお容器26と基盤24とは、一体化して形成することもある。図2(b)に示すように、第1止め具21aには、複数の通過口27a,27a…が設けられている。
まず、図3(a)を参照して、従来においてターゲット20の材質として用いられてきた銅(Cu)、及びステンレススティール(SUS)の物性値を対比してみる。すると、Cuは、降伏応力、及びヤング率で示される機械的特性が、SUSに劣るが、熱伝導率は優れていることを示している。従って、Cu及びSUSは、いずれも熱伝達特性と機械的特性のうちいずれか一方については優れるが他方が大きく劣るので、前記選定基準を充分に満足させるものでないので、止め具の材質として適切とはいえない。
これらに示されるデータベースによれば、DS Copper(アルミナ分散強化銅)は、熱伝導率が約350W/mK、降伏応力が260−320MPa(200−300℃)、ヤング率が110−120GPa(200−300℃)である。
TZM (チタン(Titanium)・ジルコニウム(Zirconium)添加モリブデン(Molybdenum)合金)は、熱伝導率が約100W/mK、降伏応力が680−700MPa(200−300℃)、ヤング率が280−295GPa(200−300℃)である。
Mo−5%Re(レニウム(Rhenium)添加モリブデン合金)は、熱伝導率が約110W/mK、降伏応力が450−500MPa(200−300℃)、である。
ここで、従来用いられているCuとSUSを張り合わせた複合材の剛性は、CuとSUSの厚さを1とすれば、次式(1)のように示される。
一方、前記した材質のうちDS Copper(アルミナ分散強化銅)を用いる場合について代表して検討すると、CuとSUSの厚さを合計して、その厚さは2となり、次式(2)のように示される。式(1),(2)よりDS Copper(アルミナ分散強化銅)の方が、剛性が、Cu/SUSより、約3倍大きくなることが示される。
EDSCu × MDSCu = 110 × 23 = 880 (2)
なかでも熱伝導、降伏応力及びヤング率がバランスよく高い値を示すDS Copper(アルミナ分散強化銅)が放射性薬剤に用いる放射性核種を生成するターゲット20の第1止め具21の材質として優れているといえる。
図示しない作動スイッチを操作すると、RFQ12a、DTL12bに対して、所定の高周波電力がそれぞれ供給され、各RFQ12a、DTL12bに電界が形成される。その後、イオン源11に所定の電力を供給する。これにより、イオン源11のイオンビーム発生部(図示せず)から出射されたイオンビームRがRFQ12aによって所定のエネルギーまで加速される。加速されたイオンビームRは、RFQ12aから出射されて後段のDTL12bに入射され、DTL12bでさらに加速される。
このようにして加速されて高エネルギーとなったイオンビームRは、ターゲット20内の原料23、すなわち18O濃縮水に照射される。そして、イオンビームRが18Oに照射すると、核反応により18Fが生成される。
また、仮に、このような気泡等のボイドの発生が懸念されても、導入口26aから導入されるアルゴンガス(Ar)の圧力を高めて、原料23をさらに加圧することで発生を抑制できる。このように、原料23に付加する圧力を高めても、第1止め具21が高い機械的特性を有していることにより、繰り返し使用しても変形することが少ない。
次に図5を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態において、第1止め具21b(21)以外についての構成は、すべて第1実施形態におけるものと同一であるので説明を省略する。この第1止め具21bは、図5(b)に示すように、イオンビームRが照射する面に設けられている複数の通過口27bのうち、ビーム強度の最大の部分に通過口27bを設けていないものである。
ここで、ビーム強度の最大の部分とは、通常、イオンビームRの電流分布は図5(c)のようにガウス分布を示すことから、止め具21の中心部において強度が最大になっている。このため、止め具21の中心部に近い程、原料23に注入されるパワーが大きくなるので、原料23の温度も上昇し、中心部が最大温度となるものである。
次に図6を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態において、第1止め具21c以外についての構成は、すべて第1実施形態におけるものと同一であるので説明を省略する。第1止め具21c(21)は、図6に示すように、イオンビームRが照射する面に設けられている複数の通過口27cは数密度は一様であるが、ビーム強度の大きさに応じて、穴径を変化させている。このようにして、イオンビームRの強度が大きい部位に位置する通過口27cの開口面積は、その強度が小さい部位に位置する通過口27cに対して相対的に小さく形成されている。
なお図6では、第1止め具21cの中心部の通過口27cの穴径が最小である例が示されているが、これに限定されることなく、本実施形態の止め具21cはイオンビームRの最大強度の位置に応じて、対応する位置の通過口27bの穴径が最小となる構成を有するものである。
次に図7を用いて、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態において、ターゲット20´以外についての構成は、すべて第1実施形態におけるものと同一であるので説明を省略する。
第4実施形態に用いられるターゲット20´は、第1実施形態のターゲット20と対比して、イオンビームRの照射に伴う発熱を吸収する冷媒が循環する冷却路35と、透過膜22に対峙して、原料23に接して設けられる放熱膜31と、この放熱膜31を支持するとともに循環する冷媒が放熱膜31に接するように設けられさらに複数の冷却口37を有する第2止め具21d(21)と、を備える点において相違する。
以上のように発明が構成されることにより、ターゲット20,20´において熱伝導性の向上と、高温における機械的特性の向上とを両立させることが可能となり、気泡体積を減少させて、生成しようとする核種の収量が上がる効果が得られる。また、適用する材質をアルミナ分散強化銅に替え、チタン・ジルコニウム添加モリブデン合金、レニウム添加モリブデン合金、ランタン添加モリブデン合金の群から選択された少なくとも一つの物質を適用させても同様の効果が得られる。
11 イオン源
12 加速器
20,20´ ターゲット
21(21a,21b,21c) 第1止め具
21(21d) 第2止め具
22 透過膜
23 原料
25,35 冷却路
27(27a,27b,27c) 通過口
31 放熱膜
R イオンビーム
Claims (6)
- イオンビームを出射するイオン源と、
前記イオン源から出射された前記イオンビームが加速される真空領域を有する加速器と、
加速した前記イオンビームが照射されると放射性同位元素を生成する原料が収容されるターゲットと、
前記ターゲットにおいて、前記真空領域及び前記原料の境界を形成するとともに前記イオンビームが透過する透過膜と、
前記透過膜を支持するとともに、前記イオンビームが通過する複数の通過口が設けられている第1止め具と、を備え、
前記第1止め具の材質は、アルミナ分散強化銅であることを特徴とする放射性同位元素製造装置。 - 前記第1止め具に照射する前記イオンビームの強度が最大の部分には前記通過口が設けられていないことを特徴とする請求項1に記載の放射性同位元素製造装置。
- 前記第1止め具に設けられる前記通過口の数密度は一様であるとともに、
前記イオンビームの強度が大きい部位に位置する前記通過口の開口面積は、その強度が小さい部位に位置する通過口に対して相対的に小さく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の放射性同位元素製造装置。 - 前記イオンビームの照射に伴う発熱を吸収する冷媒が循環する冷却路と、
前記透過膜に対峙して、前記原料に接して設けられる放熱膜と、
前記放熱膜を支持するとともに、循環する前記冷媒が前記放熱膜に接するように設けられる複数の冷却口を有する第2止め具と、をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の放射性同位元素製造装置。 - 前記ターゲットを構成する部材は、アルミナ分散強化銅の材質からなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の放射性同位元素製造装置。
- イオンビームを出射するイオン源と、
前記イオン源から出射された前記イオンビームが加速される真空領域を有する加速器と、
加速した前記イオンビームが照射されると放射性同位元素を生成する原料が収容されるターゲットと、
前記ターゲットにおいて、前記真空領域及び前記原料の境界を形成するとともに前記イオンビームが透過する透過膜と、
前記透過膜を支持するとともに、前記イオンビームが通過する複数の通過口が設けられている第1止め具と、を備え、
前記第1止め具の材質は、チタン・ジルコニウム添加モリブデン合金、レニウム添加モリブデン合金、ランタン添加モリブデン合金の群から選択された少なくとも一つの物質によりなることを特徴とする放射性同位元素製造装置。
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