JP2006283178A - 耐滑り性に優れた異形溶融めっき線及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 異形溶融めっき線の表面の凹凸形状を適正形状に制御することで、耐滑り性及び耐食性に優れた異形溶融めっき線及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の異形溶融めっき線は、表面に凹凸が形成された鋼材からなる異形線に溶融めっきが施された異形溶融めっき線であって、前記凹凸の高さhが0.3〜0.8mmであり、この凹凸の傾斜部の前記異形線の軸に対する傾斜角αが100〜140度であることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の異形溶融めっき線は、表面に凹凸が形成された鋼材からなる異形線に溶融めっきが施された異形溶融めっき線であって、前記凹凸の高さhが0.3〜0.8mmであり、この凹凸の傾斜部の前記異形線の軸に対する傾斜角αが100〜140度であることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、フェンス、金網等に好適に用いられ、表面に凹凸が形成された異形形状の鋼材からなる耐滑り性に優れた異形溶融めっき線及びその製造方法に関するものである。
従来より、鋼材の表面に溶融めっきが施された溶融めっき線が様々な分野で利用されている。この溶融めっき線の用途の一つとして、法面緑化工法がある。この工法は、斜面に溶融めっき線で製造した金網を敷設後、金網上に人工的な植生基盤を形成するために基盤材、植物種子、肥料等を厚さ3〜10cm程度吹き付ける施工方法である。
この溶融めっき線としては、鋼材からなる丸線の表面に溶融めっきを施したものが一般的である(特許文献1参照)。
特開平11−323524号公報
この溶融めっき線としては、鋼材からなる丸線の表面に溶融めっきを施したものが一般的である(特許文献1参照)。
ところで、従来の法面緑化工法では、金網を構成している溶融めっき線が、単に丸線の表面に溶融めっきを施したものであるために、金網の敷設時あるいは基盤材の吹き付け作業時に、作業者が急な斜面の上を移動して行う際に、金網の表面が滑り易く、作業性が著しく低下するとともに重大な事故が発生する虞があるという問題点があった。
そこで、安全性、作業性改善を目的とした耐滑り性に優れた溶融めっき線として、日本工業規格JIS G 3112「鉄筋コンクリート用棒鋼」に規定されている表面に凹凸を有する鉄筋コンクリート用棒鋼の表面に溶融めっきを施すことが考えられるが、この溶融めっき線では、鉄筋コンクリート用棒鋼の表面の凹部のめっき層が厚くなる一方、凸部のめっき層が非常に薄くなるために、鉄筋コンクリート用棒鋼の表面の凹凸が消失してしまい、耐滑り性を高めることができないという問題点があった。
そこで、安全性、作業性改善を目的とした耐滑り性に優れた溶融めっき線として、日本工業規格JIS G 3112「鉄筋コンクリート用棒鋼」に規定されている表面に凹凸を有する鉄筋コンクリート用棒鋼の表面に溶融めっきを施すことが考えられるが、この溶融めっき線では、鉄筋コンクリート用棒鋼の表面の凹部のめっき層が厚くなる一方、凸部のめっき層が非常に薄くなるために、鉄筋コンクリート用棒鋼の表面の凹凸が消失してしまい、耐滑り性を高めることができないという問題点があった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、異形溶融めっき線の表面の凹凸形状を適正形状に制御することで、溶融めっき後においてもその表面の凹凸に沿っためっき層が形成され、しかもこの凹凸部分におけるめっき層の厚みの差が小さく、かつ耐食性を確保するためのめっき層の厚みが比較的均一な耐滑り性に優れた異形溶融めっき線及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、異形線の凹凸形状と溶融めっきの付着状況、および凹凸形状におけるめっき厚みの分布について詳細な実験、解析を行った結果、凹凸の高さとその傾斜面の傾斜角を適正な範囲とすることにより、溶融めっき後においても、凹部と凸部とのめっき厚さの差が小さく、かつ均一なめっきが可能となり、したがって、溶融めっき線の表面の凹凸を残存させることができ、溶融めっき線の表面の耐滑り性が確保できることを見出し、さらに、めっき前の異形線の表面に形成された酸化物を効率よく確実に除去するために、熱間圧延後の異形線の表面に歪を付与することにより、この異形線の表面の酸化物を除去し、次いで、この異形線を酸性溶液に浸漬し、機械的な歪の付与と化学的な方法を組み合わせて異形線の表面に残留する酸化物を除去することにより、連続的に効率よく異形溶融めっき線を製造できることを見出し、本発明を完成するに至ったものであり、本発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1) 表面に凹凸が形成された鋼材からなる異形線に溶融めっきが施された異形溶融めっき線であって、前記凹凸の高さhが0.3〜0.8mmであり、この凹凸の傾斜部の前記異形線の軸に対する傾斜角αが100〜140度であることを特徴とする耐滑り性に優れた異形溶融めっき線。
(2) 前記凹凸は、前記表面の全面に亘りかつ一定間隔にて形成されていることを特徴とする上記(1)に記載の耐滑り性に優れた異形溶融めっき線。
(3) 前記溶融めっきの付着量は、前記異形線の公称直径から求められる表面積1m2あたり150g以上であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の耐滑り性に優れた異形溶融めっき線。
(4) 前記溶融めっきの最大厚みtMAXと最小厚みtMINとの比tMAX/tMINは、3.5以下であることを特徴とする上記(1)、(2)または(3)に記載の耐滑り性に優れた異形溶融めっき線。
(5) (1)ないし(4)のいずれかに記載の異形線を熱間圧延により製造し、次いで、この異形線に直接溶融めっきを施す異形溶融めっき線の製造方法であって、熱間圧延後の異形線の表面に歪を付与することにより該異形線の表面の酸化物を80質量%以上除去し、次いで、該異形線を酸性溶液に浸漬し、その表面に残留する酸化物を除去することを特徴とする耐滑り性に優れた異形溶融めっき線の製造方法。
本発明の耐滑り性に優れた異形溶融めっき線によれば、異形線の表面の凹凸の高さhを0.3〜0.8mmとし、この凹凸の傾斜部の前記異形線の軸に対する傾斜角αを100〜140度としたので、めっき厚さの部位による差が小さく、しかも表面の凹凸部分のめっき厚を均一化することができると共に表面に凹凸を残存させることができ、耐滑り性に優れたものとすることができる。
したがって、法面緑化工法を施工する際に、この耐滑り性に優れた異形溶融めっき線を用いて金網を作製し、この金網を斜面に敷設すれば、法面等斜面における設置作業時および基盤材の吹き付け作業時の滑りを抑制することができ、作業性を大幅に改善することができる。
したがって、法面緑化工法を施工する際に、この耐滑り性に優れた異形溶融めっき線を用いて金網を作製し、この金網を斜面に敷設すれば、法面等斜面における設置作業時および基盤材の吹き付け作業時の滑りを抑制することができ、作業性を大幅に改善することができる。
本発明の耐滑り性に優れた異形溶融めっき線の製造方法によれば、熱間圧延後の異形線の表面に歪を付与することにより該異形線の表面の酸化物を80質量%以上除去し、次いで、該異形線を酸性溶液に浸漬し、その表面に残留する酸化物を除去するので、異形線の表面上の酸化物を完全に取り除くことができ、この異形線の表面の凹凸部分に直接めっきを施すことができる。したがって、めっき厚さの部位による差が小さく、しかも表面の凹凸部分のめっき厚を均一化することができる耐滑り性に優れた異形溶融めっき線を容易に作製することができる。
本発明の耐滑り性に優れた異形溶融めっき線及びその製造方法の最良の形態について説明する。
なお、この最良の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために詳細に説明するものであるから、特に指定の無い限り、本発明を限定するものではない。
なお、この最良の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために詳細に説明するものであるから、特に指定の無い限り、本発明を限定するものではない。
本発明の耐滑り性に優れた異形溶融めっき線は、表面に凹凸が形成された鋼材からなる異形線に溶融めっきが施された異形溶融めっき線であり、前記凹凸の高さhが0.3〜0.8mmであり、この凹凸の傾斜部の前記異形線の軸に対する傾斜角αが100〜140度であるものである。
図1は、本実施形態の耐滑り性に優れた異形溶融めっき線の表面の軸線に沿う断面形状を示す断面図であり、(a)は凸部の断面形状を、(b)は凹部の断面形状を、それぞれ示している。
図1(a)中、hは凸部の高さを示し、0.3〜0.8mmの範囲である。また、αは凸部の傾斜部における異形線の軸に対する傾斜角を示し、100〜140度の範囲である。
また、図1(b)中、hは凹凸の高さ、すなわち凹部の深さを示し、0.3〜0.8mmの範囲である。また、αは凹部の傾斜部における異形線の軸に対する傾斜角を示し、100〜140度の範囲である。
図1(a)中、hは凸部の高さを示し、0.3〜0.8mmの範囲である。また、αは凸部の傾斜部における異形線の軸に対する傾斜角を示し、100〜140度の範囲である。
また、図1(b)中、hは凹凸の高さ、すなわち凹部の深さを示し、0.3〜0.8mmの範囲である。また、αは凹部の傾斜部における異形線の軸に対する傾斜角を示し、100〜140度の範囲である。
前記凹凸は、前記表面の全面に亘りかつ一定間隔にて形成されていることが好ましい。
前記溶融めっきの付着量は、前記異形線の公称直径から求められる表面積1m2あたり150g以上であることが好ましい。
前記溶融めっきの最大厚みtMAXと最小厚みtMINとの比tMAX/tMINは、3.5以下であることが好ましい。
前記溶融めっきの付着量は、前記異形線の公称直径から求められる表面積1m2あたり150g以上であることが好ましい。
前記溶融めっきの最大厚みtMAXと最小厚みtMINとの比tMAX/tMINは、3.5以下であることが好ましい。
ここで、凹凸の高さh、傾斜角α、溶融めっきの付着量及び比tMAX/tMINを上記の様に限定した理由について説明する。
(1)凹凸の高さh
異形溶融めっき線の凹凸の高さhが0.3mm未満の場合では、凹部が溶融金属の層により覆われてしまい、溶融めっき後に表面の凹凸が無くなり、耐滑り性が著しく低下することから、凹凸の高さhを0.3mm以上とした。一方、凹凸の高さが0.8mmを越えると、傾斜部分の表面を溶融金属により完全に覆うことができず、異形線の表面が露出し、腐食が進行し易くなることから、凹凸の高さhの上限を0.8mmとした。
(1)凹凸の高さh
異形溶融めっき線の凹凸の高さhが0.3mm未満の場合では、凹部が溶融金属の層により覆われてしまい、溶融めっき後に表面の凹凸が無くなり、耐滑り性が著しく低下することから、凹凸の高さhを0.3mm以上とした。一方、凹凸の高さが0.8mmを越えると、傾斜部分の表面を溶融金属により完全に覆うことができず、異形線の表面が露出し、腐食が進行し易くなることから、凹凸の高さhの上限を0.8mmとした。
(2)傾斜角α
凹部の底部から斜め上方に向かう傾斜部と異形線の軸とのなす傾斜角αが140度より大きい場合は、凹部から凸部まで比較的均一に溶融めっき層が形成されるものの、表面が平滑になるために引っ掛かりが小さくなり、耐滑り性が低下することから、140度を上限とした。また、傾斜角αが100度より小さい場合には、凹部内のコーナー部に溶融金属が入り込めず、めっき層が形成されない不めっきが発生することから、100度を下限とした。
凹部の底部から斜め上方に向かう傾斜部と異形線の軸とのなす傾斜角αが140度より大きい場合は、凹部から凸部まで比較的均一に溶融めっき層が形成されるものの、表面が平滑になるために引っ掛かりが小さくなり、耐滑り性が低下することから、140度を上限とした。また、傾斜角αが100度より小さい場合には、凹部内のコーナー部に溶融金属が入り込めず、めっき層が形成されない不めっきが発生することから、100度を下限とした。
この異形溶融めっき線の凹凸の長さ、間隔は特に限定はしないが、耐滑り性を改善するためには、少なくとも200mmの長さの間に凹凸が10個以上存在する必要があり、凹部の長さが3mm未満になると溶融金属が表面張力により侵入しなくなるため凹部の長さは3mm以上形成されていることが好ましい。この凹凸は異形溶融めっき線の軸方向に一定間隔で形成されていればよいが、その間隔は必ずしも一定である必要はない。
(3)溶融めっきの付着量
溶融めっきの付着量が150g/m2より少ないと、局部的にめっき厚が薄い部分が存在するため、例えば、法面緑化工法を施工する際に、金網を法面に設置し、基盤材を吹き付け植物等が根付く前に、腐食により金網が破断し易くなり、したがって、基盤材の固定が出来なくなることから、溶融めっきの付着量を150g/m2を下限とした。
溶融めっきの付着量が150g/m2より少ないと、局部的にめっき厚が薄い部分が存在するため、例えば、法面緑化工法を施工する際に、金網を法面に設置し、基盤材を吹き付け植物等が根付く前に、腐食により金網が破断し易くなり、したがって、基盤材の固定が出来なくなることから、溶融めっきの付着量を150g/m2を下限とした。
(4)溶融めっきの最大厚みtMAXと最小厚みtMINとの比tMAX/tMIN
この異形溶融めっき線では、部位によりめっき厚さが異なると、溶融めっきの付着量が150g/m2以上の場合であっても、溶融めっきが薄い部分では、めっき層の腐食の進行により異形線の表面が露出し、破断に至る。特に、形状変化部分に於いては最もめっき厚さの変化が大きくなり、腐食が発生し易くなることから、溶融めっき全体を均一に腐食させ、局部腐食の発生を抑制するために、異形線の円周方向または長手方向(軸方向)における断面での溶融めっきの最大厚みtMAXと最小厚みtMINとの比tMAX/tMINを限定した。
この比tMAX/tMINが3.5を越えると、局部的には表面の一部に薄いめっき層が形成され、局部腐食が発生し易いことから、比tMAX/tMINを3.5以下とした。
この異形溶融めっき線では、部位によりめっき厚さが異なると、溶融めっきの付着量が150g/m2以上の場合であっても、溶融めっきが薄い部分では、めっき層の腐食の進行により異形線の表面が露出し、破断に至る。特に、形状変化部分に於いては最もめっき厚さの変化が大きくなり、腐食が発生し易くなることから、溶融めっき全体を均一に腐食させ、局部腐食の発生を抑制するために、異形線の円周方向または長手方向(軸方向)における断面での溶融めっきの最大厚みtMAXと最小厚みtMINとの比tMAX/tMINを限定した。
この比tMAX/tMINが3.5を越えると、局部的には表面の一部に薄いめっき層が形成され、局部腐食が発生し易いことから、比tMAX/tMINを3.5以下とした。
溶融めっきの組成は特に限定はしないが、純亜鉛あるいは亜鉛の他にアルミニウムあるいは、さらに、微量のマグネシウムを含む組成のいずれも本発明の溶融めっきの組成として好適に使用可能であり、純亜鉛よりも5〜20%のアルミニウムを含む組成、さらには0.1〜5%のマグネシウムを含む組成とすることにより、溶融めっき層の耐食性を高めることが可能である。
本発明の耐滑り性に優れた異形溶融めっき線の製造方法は、表面に上記の凹凸が形成された鋼材からなる異形線を熱間圧延により製造し、次いで、この異形線に直接溶融めっきを施す異形溶融めっき線の製造方法であって、熱間圧延後の異形線の表面に歪を付与することにより該異形線の表面の酸化物を80質量%以上除去し、次いで、該異形線を酸性溶液に浸漬し、その表面に残留する酸化物を除去する方法である。
この異形溶融めっき線は、熱間圧延で製造された異形線から製造する場合、直接溶融めっきラインに導入することにより、何等、冷間圧延を行うことなく直接めっき処理することにより製造されるものである。この場合、被めっき線表面に酸化物が残存していると、この部分が不めっきとなることから、この異形線の表面に形成された酸化物層をめっき前に完全に除去することが必要となる。
一般に、溶融めっき線の製造ラインにおいては、鋼材表面の酸化物の除去は、酸性溶液に浸漬することにより行われるが、熱間圧延により製造された鋼材を直接めっきラインに導入する場合、事前に冷間加工された鉄線に比べて厚い酸化物層が形成されている。このため、短時間の酸洗処理では、異形線の表面に生じた酸化物層を完全に除去することができず、一部が残存し、不めっきが発生し易い。
そこで、本発明では、はじめに機械的な歪を熱間圧延後の異形線に付与して酸化物全量の80質量%以上の酸化物層を除去した後、酸性溶液に浸漬することで、短時間に酸化物層を完全に除去するものである。
ここで、機械的な歪の作用による酸化物層の除去率が80質量%未満の場合、異形線を酸性溶液に浸漬した際に、異形線から剥離した酸化物の堆積量が増大し、この堆積物の処理に多大の労力を必要とするとともに、酸性溶液の劣化が短時間に進行し、酸性溶液の交換頻度が増す。また、多量の酸化物を酸性溶液で除去するために、より長時間の処理が必要となることから、異形線の通線速度を下げる必要があり、生産性の低下を招く。そこで、酸性溶液に浸漬する前の異形線の機械的な歪の除去率を80質量%以上とした。
ここで、機械的な歪の作用による酸化物層の除去率が80質量%未満の場合、異形線を酸性溶液に浸漬した際に、異形線から剥離した酸化物の堆積量が増大し、この堆積物の処理に多大の労力を必要とするとともに、酸性溶液の劣化が短時間に進行し、酸性溶液の交換頻度が増す。また、多量の酸化物を酸性溶液で除去するために、より長時間の処理が必要となることから、異形線の通線速度を下げる必要があり、生産性の低下を招く。そこで、酸性溶液に浸漬する前の異形線の機械的な歪の除去率を80質量%以上とした。
酸化物層が完全に除去された異形線は、溶融金属中を通過させることにより、その表面に溶融めっき層が形成される。
異形溶融めっき線のめっき付着量を調整するためのワイピング方法については特に限定されるものではないが、固体の接触による方法の場合は鋼線表面の凹凸が引っかかり、線の移動がスムーズに行われず、トラブルとなり易い。したがって、ガス圧による吹き飛ばし等による非接触の絞り方法が好ましい。
異形溶融めっき線のめっき付着量を調整するためのワイピング方法については特に限定されるものではないが、固体の接触による方法の場合は鋼線表面の凹凸が引っかかり、線の移動がスムーズに行われず、トラブルとなり易い。したがって、ガス圧による吹き飛ばし等による非接触の絞り方法が好ましい。
次に、本発明の実施例1〜8及び比較例9〜14について説明する。
まず、表1に示すように、表面の凹凸高さh及び傾斜角αが異なる公称直径5mmの異形線を熱間圧延により作製し、実施例1〜8及び比較例9〜14の鋼材とした。次いで、これらの鋼材を10〜40m/minのペイオフ速度で繰り出し、溶融めっきラインに導入する前に、機械的な歪を負荷して全体の84質量%の酸化物層を除去した後、連続して塩酸濃度8.4%、25℃の酸液に20〜80秒浸漬し、引き続き塩化アンモニウムによるフラックス処理を行った。
まず、表1に示すように、表面の凹凸高さh及び傾斜角αが異なる公称直径5mmの異形線を熱間圧延により作製し、実施例1〜8及び比較例9〜14の鋼材とした。次いで、これらの鋼材を10〜40m/minのペイオフ速度で繰り出し、溶融めっきラインに導入する前に、機械的な歪を負荷して全体の84質量%の酸化物層を除去した後、連続して塩酸濃度8.4%、25℃の酸液に20〜80秒浸漬し、引き続き塩化アンモニウムによるフラックス処理を行った。
次いで、溶融亜鉛めっき浴に連続的に浸漬して、鋼材の表面に溶融亜鉛めっき層を形成し、その後、溶融亜鉛めっき浴から引き上げた後、異形溶融めっき線の周囲に窒素ガスを吹き付けて余分な未凝固金属をワイピングし、水冷を行い、実施例1〜8及び比較例9〜12の異形溶融亜鉛めっき線を得た。
なお、めっき付着量はめっき線速を変えることで調整した。
なお、めっき付着量はめっき線速を変えることで調整した。
比較の製造方法として酸化物の除去として機械的な歪を負荷することなく直接酸液に導入して、本発明の方法と同じ酸洗処理時間で酸化物の処理を行った後にめっき処理を行い、比較例13、14の異形溶融亜鉛めっき線を得た。
異形溶融亜鉛めっき線のめっき付着量は、日本工業規格JIS H 0401「溶融亜鉛めっき試験方法」の付着量試験方法に記載の塩化アンチモン液を用いてカットサンプルを溶解して溶解前後の重量変化から求めた。
この時の異形線の直径は公称径の5mmとした。また、部位別のめっき厚さは横断面および縦断面を研磨して光学顕微鏡で観察して最大厚さおよび最小厚さを測定した。めっきが薄く、光学顕微鏡で測定不可能な部分は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてめっき厚さを測定した。
異形溶融亜鉛めっき線のめっき付着量は、日本工業規格JIS H 0401「溶融亜鉛めっき試験方法」の付着量試験方法に記載の塩化アンチモン液を用いてカットサンプルを溶解して溶解前後の重量変化から求めた。
この時の異形線の直径は公称径の5mmとした。また、部位別のめっき厚さは横断面および縦断面を研磨して光学顕微鏡で観察して最大厚さおよび最小厚さを測定した。めっきが薄く、光学顕微鏡で測定不可能な部分は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてめっき厚さを測定した。
耐滑り性の評価は、傾斜角度30度の斜面に異形線を金網加工した後に敷設し、金網表面に散水した後にゴム靴で人が上に乗り、滑り易さを3段階で以下のように評価した。
3:ほとんど滑らず、ゴム靴が引っかかる。
2:少し滑るが、部分的に引っかかる。
1:上に乗っただけで滑る
ここでは、評点2以上を耐滑り性が高いと判断した。
3:ほとんど滑らず、ゴム靴が引っかかる。
2:少し滑るが、部分的に引っかかる。
1:上に乗っただけで滑る
ここでは、評点2以上を耐滑り性が高いと判断した。
腐食状況の評価は、日本工業規格JIS C 0023「塩水噴霧試験方法」により赤錆発生面積が50%となる時間で評価した。
ここでは、200時間以上を良好、100時間以下を不良とした。
実施例1〜8及び比較例9〜14の測定、評価結果を表1に示す。
ここでは、200時間以上を良好、100時間以下を不良とした。
実施例1〜8及び比較例9〜14の測定、評価結果を表1に示す。
また、凹凸の高さhと傾斜角αを変えた場合の耐滑り性、不めっき発生状況を図2に示す。
これらの結果から、本発明の異形溶融亜鉛めっき線は、酸化物の除去が確実に行われ、表面の凹凸形成による滑り性評点は2以上であり、耐滑り性に優れているとともにめっきの薄い部分やめっき不良の部分が無く、良好な耐食性を示していた。また、機械的な歪を付与することで事前に酸化層を84%除去したことにより、酸液中への酸化物の堆積増大や酸液の劣化もなく、線速を低下することもなく、良好な作業性でめっき線を製造することができた。
これらの結果から、本発明の異形溶融亜鉛めっき線は、酸化物の除去が確実に行われ、表面の凹凸形成による滑り性評点は2以上であり、耐滑り性に優れているとともにめっきの薄い部分やめっき不良の部分が無く、良好な耐食性を示していた。また、機械的な歪を付与することで事前に酸化層を84%除去したことにより、酸液中への酸化物の堆積増大や酸液の劣化もなく、線速を低下することもなく、良好な作業性でめっき線を製造することができた。
これに対し、比較例12のように凹凸の深さが本発明の範囲より深い場合は、溝部に厚いめっきが形成されるもののコーナー部にはめっき層が形成されず、耐食性不良となった。逆に、比較例9のように薄い場合は、熱間圧延線材に形成された凹凸が認められず、滑り易くなった。また、比較例11のように凹凸部の傾斜角αが100度未満の場合も凹凸部が引っかかり易く耐滑り性は改善されるものの局部的に不めっきの発生、めっき厚の不均一となり耐食性が悪化した。
また、比較例10のように傾斜角αが140度より大きい場合、滑り性が低下した。また、比較例11,13のように、めっき付着量が150g/m2未満では、製造後、保管中に点錆の発生が認められ、さらにめっき付着量が150g/m2以上の場合でも、比較例12のようにめっき層の最大厚さ最小厚さの比が3.5以上と大きい場合も、薄めっき部分に容易に錆が発生した。
また、比較例13,14のように機械的歪を付与せず直接酸液に浸漬して酸化物層を除去した場合、一部に酸化物が残存し、不めっきとなり、容易に錆が発生し、耐食性が低下すると共に酸液中への堆積量の増加、酸の劣化が促進され、作業負荷が増大した。
以上により、本発明の異形溶融めっき線は、めっき厚さのばらつきが小さく、耐滑り性に優れているとともに耐食性に優れていることが示された。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものでなく、発明の目的を逸脱しない限り任意のものとすることができる。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものでなく、発明の目的を逸脱しない限り任意のものとすることができる。
本発明は、異形線の表面の凹凸の高さhを0.3〜0.8mmとし、この凹凸の傾斜部の前記異形線の軸に対する傾斜角αを100〜140度とすることにより、めっき厚さの部位による差が小さく、しかも表面の凹凸部分のめっき厚を均一化することができ、耐滑り性に優れたものとすることができるものであるから、フェンスや金網はもちろんのこと、それ以外の工業分野においても広く適用可能であり、その産業上の利用価値は極めて大きい。
h 凹凸の高さ
α 凹凸の傾斜部の傾斜角
α 凹凸の傾斜部の傾斜角
Claims (5)
- 表面に凹凸が形成された鋼材からなる異形線に溶融めっきが施された異形溶融めっき線であって、
前記凹凸の高さhが0.3〜0.8mmであり、この凹凸の傾斜部の前記異形線の軸に対する傾斜角αが100〜140度であることを特徴とする耐滑り性に優れた異形溶融めっき線。 - 前記凹凸は、前記表面の全面に亘りかつ一定間隔にて形成されていることを特徴とする請求項1記載の耐滑り性に優れた異形溶融めっき線。
- 前記溶融めっきの付着量は、前記異形線の公称直径から求められる表面積1m2あたり150g以上であることを特徴とする請求項1または2記載の耐滑り性に優れた異形溶融めっき線。
- 前記溶融めっきの最大厚みtMAXと最小厚みtMINとの比tMAX/tMINは、3.5以下であることを特徴とする請求項1、2または3記載の耐滑り性に優れた異形溶融めっき線。
- 請求項1ないし4のいずれか1項記載の異形線を熱間圧延により製造し、次いで、この異形線に直接溶融めっきを施す異形溶融めっき線の製造方法であって、
熱間圧延後の異形線の表面に歪を付与することにより該異形線の表面の酸化物を80質量%以上除去し、次いで、該異形線を酸性溶液に浸漬し、その表面に残留する酸化物を除去することを特徴とする耐滑り性に優れた異形溶融めっき線の製造方法。
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JP2005108540A JP2006283178A (ja) | 2005-04-05 | 2005-04-05 | 耐滑り性に優れた異形溶融めっき線及びその製造方法 |
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Cited By (1)
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JP2020029606A (ja) * | 2018-08-24 | 2020-02-27 | 日亜鋼業株式会社 | 亜鉛めっき異形棒鋼材とその製造方法および製造システム |
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2005
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