JP2006279317A - スイッチ回路装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 HBTは、HEMTより低オン抵抗を得ることができる。しかし各単位素子において動作上の微小なアンバランスから二次降伏による破壊を起こすため、信頼性が低い問題があった。
【解決手段】 単位HBTのベースにバラスト抵抗を接続した単位素子を複数並列接続し、スイッチング素子を構成する。これによりある単位素子において温度上昇によりベース電流、コレクタ電流が増加する正帰還が発生し始めても、増加したベース電流はバラスト抵抗両端の電圧ドロップを増加させ、結果としてベース電流が減少し、コレクタ電流も減少する。従って、HBTによるスイッチ回路装置において二次降伏による破壊を回避し、信頼性を大幅に向上させることができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ヘテロ接合型バイポーラトランジスタをスイッチング素子として用いた高周波用途のスイッチ回路装置に関する。
ヘテロ接合型バイポーラトランジスタ(Heterojunction Bipolar Transistor:以下HBT)は、通常のホモ接合型バイポーラトランジスタに比べエミッタ効率が高く電流増幅率hFEが高いためベース濃度を大幅に上げることができ、ベース全体に渡ってトランジスタ動作を均一にできる。その結果GaAs MESFET(Metal Semiconductor Field Effect Transistor)、GaAs JFET(Junction FET)、HEMT(High Electron Mobility Transistor)と比較して電流密度が高く低オン抵抗のため、効率性、利得性、歪特性が優れており、チップサイズを小型にできる。
携帯電話等の移動体用通信機器では、GHz帯のマイクロ波を使用している場合が多い。そのため、アンテナの送受信信号を受信側回路に接続する場合と送信側回路に接続する場合とを切り替える為の切り替え回路用途等で、高効率、小型の高周波スイッチング素子が不可欠となる。
そこで、図14のごとく、双方向のヘテロ接合型バイポーラトランジスタをスイッチング素子としてスイッチ回路を構成したものが知られている。
図14は、HBT素子をスイッチング素子として使用した、スイッチ回路の一例を示している。この回路は、エミッタがアンテナANTに接続される第1のスイッチトランジスタ120と、コレクタがアンテナANTに接続される第2のスイッチトランジスタ121とを具備し、第1のスイッチトランジスタ120のコレクタが発信用側回路Txに接続され、第2のスイッチトランジスタ121のエミッタが受信側回路Rxに接続され、トランジスタ120、121の各ベースが抵抗122を介して発信用制御端子CtrlTxと受信用制御端子CtrlRxに各々接続された構成を具備している。受信用制御端子CtrlRxの信号と発信用制御端子CtrlTxの信号とは互いに相補の信号であり、受信用制御端子CtrlRxがHレベル(例えば3V)の時は発信用制御端子CtrlTxがLレベル(例えば、0V)になる。今、受信用制御端子CtrlRxがHレベルである時、第2のスイッチトランジスタ121がオン、第1のスイッチトランジスタ120がオフとなり、アンテナANTで受信した高周波信号を受信側回路Rxに接続する。他方、送信用制御端子CtrlTxがHレベルである時、第1のスイッチトランジスタ120がオン、第2のスイッチトランジスタ121がオフとなり、送信側回路TxからアンテナANTに高周波信号を接続する。
特開2000−260782号公報
HBTは、エミッタ効率が高く電流増幅率hFEが高いためベース濃度を大幅に上げることができる。つまり、ベース全体に渡ってトランジスタ動作を均一化でき、HEMTより低オン抵抗を得ることができる。しかし、HBTでは一般的にエミッタ、ベース、コレクタを櫛状に形成し、複数のバイポーラトランジスタ(単位HBT)を並列接続している。このため、ベースバイアスを各単位HBTに対して完全には均一に印加できず、ある1つの単位HBTでコレクタ電流Iが微量に増加すると微小な温度上昇が発生してしまう。HBTのベース電圧―ベース電流特性は温度に対して正の特性を持っているため、その温度上昇した単位HBTにおいて正帰還が起こり結果として非常に大きなコレクタ電流Iが流れ、最後は二次降伏に至る。つまり各単位HBTにおいて動作上の微小なアンバランスから二次降伏による破壊を起こすため、信頼性が低い問題があった。
本発明は上述した諸々の事情に鑑み成されたもので、ヘテロ接合型バイポーラトランジスタのベースにバラスト抵抗を接続した単位素子と、並列接続された前記単位素子を有するスイッチング素子と、前記スイッチング素子のコレクタおよびエミッタにそれぞれ接続する第1RFポートおよび第2RFポートと、を具備し、前記スイッチング素子のベースに印加される制御信号により前記第1および第2RFポート間に信号経路を形成することにより解決するものである。
本実施形態によれば、単位HBTのベースにバラスト抵抗を接続した単位素子を複数並列接続し、スイッチング素子を構成する。これによりある単位素子において温度上昇によりベース電流、コレクタ電流が増加する正帰還が発生し始めても、増加したベース電流はバラスト抵抗両端の電圧ドロップを増加させる。この結果ベース電流が減少し、コレクタ電流も減少する。従って、HBTによるスイッチ回路装置において二次降伏による破壊を回避し、信頼性を大幅に向上させることができる。またベースに高周波信号が入力されることはないためベースにバラスト抵抗を接続しても、直接的にはスイッチ回路装置の高周波特性には影響しない。
以下に図1から図13を用いて、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
まず、図1を参照し、本実施形態で用いる順方向と逆方向の双方向に対称に動作可能な対称型HBTについて説明する。図1(A)は対称型HBTの一例を示す断面図であり、図1(B)(C)は、対称型HBTの特性図である。
HBTは、エミッタ/ベース接合に、AlGaAs又はInGaP/GaAs等の異材質の接合を用いることにより、エミッタのバンドギャップがベースのバンドギャップより大きいことからエミッタ効率が高く取れる分ベース濃度を大幅に上げることができる。その結果、電流密度を大幅に上げることができ、HEMTと比較して低いオン抵抗が容易に得られる素子である。
図1(A)を参照して、半絶縁性のGaAs基板10上にn+GaAsのサブコレクタ層11が形成され、サブコレクタ層11上にn型InGaPのコレクタ層12、p型GaAsのベース層13、n型InGaPのエミッタ層14、n+GaAsのエミッタコンタクト層15等がメサ型に積層されて構成されている。
サブコレクタ層11は、基板10上にエピタキシャル成長法によって形成され、3〜6E18cm−3の比較的高不純物濃度にシリコン(Si)ドープされたn型のGaAs層である。その膜厚は数千Åである。コレクタ層12は、サブコレクタ層11の一部領域上に形成され、シリコンドープによって1〜5E17cm−3程度に不純物濃度にドープされたn型のInGaP層である。膜厚は1000〜5000Åである。ベース層13は、コレクタ層12の上に形成され、カーボン(C)ドープによって1〜50E18cm−3程度の不純物濃度にドープされたp型のGaAs層である。膜厚は数百〜2000Åである。エミッタ層14は、ベース層13の一部領域上に形成され、シリコンドープによって1〜5E17cm−3程度の不純物濃度にドープされたn型のInGaP層である。膜厚は1000〜5000Åである。エミッタコンタクト層15は、エミッタ層14の上に形成され、シリコンドープによって3〜6E18cm−3程度の不純物濃度にドープされたn+GaAs層で、膜厚は数千Åである。尚、コレクタ層12およびエミッタ層14はInGaP層に代えてAlGaAs層であってもよい。
サブコレクタ層11の表面には、コレクタ層12を挟む位置に、AuGe/Ni/Au層からなるコレクタ電極16が配置される。ベース層13の表面には、エミッタ層14を挟む位置に、Pt/Ti/Pt/Au層からなるベース電極17が配置される。エミッタコンタクト層15の上部にはAuGe/Ni/Au層からなるエミッタ電極18が配置される。
本実施形態のHBTは、エミッタ層14とベース層13とで、InGaP/GaAsへテロ接合を形成しているのに加え、コレクタ層12とベース層13とでもInGaP/GaAsへテロ接合を形成している。そして、エミッタ層14をエミッタとして動作する順方向のトランジスタ動作時(以下順トランジスタ動作時)と、エミッタ層14をコレクタとして動作する逆方向のトランジスタ動作時(以下逆トランジスタ動作時)とで、トランジスタ特性がほぼ同じ特性となるように構造上の各パラメータを制御し、コレクターエミッタ間電圧を0V、コレクターエミッタ間電流を0A付近のバイアスで動作させる。本明細書では、このようにベースを基準としてエミッタとコレクタが対称なHBTを対称型HBTと称する。
図1(B)(C)は、対称型HBTの特性図である。図は、所定のベース電流Iにおけるコレクタ−エミッタ電圧VCEとコレクタ電流IcのV−Iカーブを示す。
ある所定のベース電流Iにおいてコレクタ−エミッタ電圧VCEおよびコレクタ電流Icが正(+)値を示すトランジスタを順トランジスタといい、負(−)の値を示すトランジスタを逆トランジスタという。
図1(B)のごとく、本実施形態の対称型HBTは、順トランジスタ動作時のオン抵抗Ron(=ΔVCE/ΔI)と逆トランジスタ動作時のオン抵抗Ron’(=ΔVCE’/ΔI’)がほぼ等しくなるように構成したHBTである。これを実現するために、エミッタ層14とコレクタ層12は基本的に同じ構造とする。例えば、エミッタ層14にInGaP層を使用する場合はコレクタ層12にもInGaP層を使用する。そして、エミッタ層14とコレクタ層12にInGaP層を使用する場合はGaAs層(サブコレクタ層11、ベース層13、およびエミッタコンタクト層15)とそれぞれ格子整合させる。また、エミッタ層14とコレクタ層12にAlGaAs層を使用する場合はAlのモル比率を同じにする。
そして、エミッタ層14の不純物濃度とコレクタ層12の不純物濃度をほぼ同等の値に設定する。これにより、通常のHBTに比べベース−コレクタ耐圧が低下するが、スイッチ回路装置ではベース−コレクタ耐圧は7〜8Vあれば十分である。
対称型HBTはコレクタ−エミッタ間電圧を0Vのバイアスで動作させることにより、基本的にコレクタ−エミッタ間の消費電流を0Aにすることができる。
尚、順トランジスタの立ち上がり電圧(逆トランジスタの立ち上がり電圧と同じ)は図1(B)の如く0Vが望ましい。しかし、図1(C)の如く順トランジスタの立ち上がり電圧が0Vでなく、オフセット電圧VOFFを持つ場合がある。この場合、コレクターエミッタ間電圧VCEを0Vにバイアスしたとき、コレクタ−エミッタ間において若干の消費電流が発生してしまう。
エミッタとコレクタが対称でないHBTにおいてオフセット電圧が発生する原因のひとつにエミッタとコレクタの非対称性がある。しかし、対称型HBTは、エミッタとコレクタを基本的にほぼ同じ構造とする場合が多い。従って対称型HBTは対称型でないHBTに比べオフセット電圧は非常に小さい。しかし、小さいながらもオフセット電圧が有る場合がある。原因の1つはベース−エミッタ間、ベース−コレクタ間のヘテロ接合の伝導帯底におけるバンドスパイクである。このバンドスパイクを無くすためには、例えばエミッタおよびコレクタがAl0.3Ga0.7Asの場合は、図示は省略するが図1(A)のベース−エミッタ間、ベース−コレクタ間にGrading層を挟むと良い。すなわちベース−エミッタ間においてはGaAsからAl0.3Ga0.7Asに徐々に変化するn型のAlGa1−XAs(X=0→0.3)層を配置し、ベース−コレクタ間においては例えばAl0.3Ga0.7AsからGaAsに徐々に変化するn型のAlGa1−XAs(X=0.3→0)層を配置する。また別の手法としてバンドスパイクが発生するヘテロ接合の位置をベース−エミッタ接合、ベース−コレクタ接合の位置からずらすことによりオフセット電圧を小さくできる(不図示)。すなわちエミッタおよびコレクタにおいてべース層と直接接する層として、InGaP層またはAlGaAs層とベース層との間にn型GaAs層をそれぞれ配置する。これらの手法によりオフセット電圧をさらに極めて小さくすることができる。
また、オフセット電圧以外の非対称性としてオン抵抗RonとRon’が多少異なる場合がある。原因は構造上のエミッタ寄生抵抗、コレクタ寄生抵抗の違いである。その場合はエミッタ層14やコレクタ層12さらにはエミッタコンタクト層15やサブコレクタ層11の不純物濃度や厚みを、オン抵抗RonとRon’が等しくなるように調整するとよい。
さらにエミッタ層14とエミッタコンタクト層15の間やコレクタ層12とサブコレクタ層11の間に、バラスト抵抗層を挿入して二次破壊に強くしても良い。バラスト抵抗層は、ノンドープまたは低濃度(1〜70E15cm−3)で数千Åの厚みを持つ、n型のGaAs層、InGaP層またはAlGaAs層である。
本実施形態では上記の対称型HBTを用い、スイッチ回路装置を構成する。すなわち、サブコレクタ層11上に形成したメサ構造のエミッタ層14、ベース層13及びコレクタ層12を1つの単位トランジスタとして、共通のサブコレクタ層11上に多数個配置する。そしてこれらを櫛状に延在させ、コレクタ電極16、エミッタ電極18同士をそれぞれ共通接続する。後に詳述するがベース電極17についてはベースバラスト抵抗を介して共通接続する。そして、コレクタ−エミッタ電圧VCEを0Vにバイアスし、所定のベース電流を印加したときにコレクタ−エミッタ間が導通し、ベース電流を0としたときにコレクタ−エミッタ間が遮断する回路構成とする。
これによりコレクタ−エミッタ間の消費電流が0Aのスイッチ回路が実現する。さらに対称型HBTは順トランジスタ動作時のオン抵抗Ronと逆トランジスタ動作時のオン抵抗Ron’がほぼ等しいため、高周波信号の振幅においてコレクタ−エミッタ電圧VCEが正の部分と、コレクタ−エミッタ電圧VCEが負の部分の切り替え部分において線型性が良いスイッチ回路を得られる。
GaAsMESFETやHEMTによるスイッチ回路は、ドレイン−ソース間のバイアスが0Vのためドレイン−ソース間の消費電流が0Aで、高周波信号の振幅においてドレイン−ソース電圧VDSが正の部分と、ドレイン−ソース電圧VDSが負の部分の切り替え部分において線型性が良い。つまり本実施形態のスイッチ回路は、GaAsMESFETやHEMTのスイッチ回路と同様の長所を有している。さらに、ユニポーラデバイスのFETよりもバイポーラデバイスのHBTの方が圧倒的にオン抵抗が低く、スイッチ回路を形成する場合、高周波特性が大幅に向上し、チップサイズを大幅に小型化できる。
以下の図2から図12を参照して具体的に説明する。本実施形態のスイッチ回路装置は、対称型HBTを有するスイッチング素子の、エミッタおよびコレクタをそれぞれ第1RFポートおよび第2RFポートに接続し、ベースをバラスト抵抗を介して制御端子に接続した構成である。
スイッチング素子は、複数の単位素子を櫛状に並列に共通接続したものである。また単位素子は、最小の要素で構成されるHBTのベースに、バラスト抵抗を接続したものである。尚、以下のHBTは全て対称型HBTとする。また、本実施形態のHBTではエミッタ、コレクタの電気的特性が対称であるので、これらを入れ替えても等価である。
図2は、本発明の第1実施形態として2つのスイッチング素子によりSPDT(Single Pole Double Throw)スイッチMMICを構成した場合を示す。第1実施形態は、GaAs基板にスイッチMMICを形成し、シリコン(Si)基板のCMOSによりロジック回路を構成した場合を示す。
図2(A)の如く、第1スイッチング素子SW1は、複数の単位素子100が並列接続する。各単位素子100は、図1(A)に示す最小の要素で構成されるHBT(以下単位HBTと称する)101のベースにバラスト抵抗102を接続したものである。バラスト抵抗102の抵抗値は数百〜数KΩ程度である。
一般に、HBTは増幅回路や局部発振回路に使用される場合がほとんどである。HBTを使用した増幅回路や局部発振回路においてはベースに高周波信号が入力されるため、ベースにバラスト抵抗を接続すると高周波特性が劣化する。しかしスイッチ回路にHBTを使用する場合においては、ベースに高周波信号が入力されることがないため、ベースにバラスト抵抗を接続しても、直接的にはスイッチ回路装置の高周波特性には影響しない。
バラスト抵抗102の両端の内、単位HBT101のベース側の端と反対側の端を単位素子100のベースとする。バラスト抵抗102は単位素子100毎に機能させて単位素子100の二次降伏を防ぐ必要がある。このため、単位HBT101を並列接続して第1スイッチング素子SW1を形成する場合、単位HBT101のベースは共通接続せず、単位素子100のベースを共通接続する。
単位素子100のコレクタおよびエミッタは、それぞれ単位HBT101のコレクタおよびエミッタである。
また、第1スイッチング素子SW1のコレクタ、ベースおよびエミッタはそれぞれ単位素子100のコレクタ、ベースおよびエミッタを共通接続したものである。各単位HBT101のエミッタおよびコレクタには等しい電位のバイアスポイントBPが接続され、所定のベース−エミッタ間電圧バイアスおよびベース−コレクタ間電圧バイアスを与えると共に、ベース電流の引き込みを行っている。尚、第2スイッチング素子SW2も複数の単位素子100が並列接続して構成される。
第1スイッチング素子SW1、第2スイッチング素子SW2を構成する各単位素子100のコレクタが共通で、第1RFポートに接続する。第1RFポートは、共通入力端子INである。
また、第1スイッチング素子SW1を構成する各単位素子100のエミッタ、および第2スイッチング素子SW2を構成する各単位素子100のエミッタがそれぞれ第2RFポートに接続される。第2RFポートは、第1出力端子OUT1と、第2出力端子OUT2である。
第1および第2スイッチング素子SW1、SW2を構成する各単位素子100のベースは、ロジック回路が無い場合、それぞれ分離素子30を介して第1制御端子Ctl1および第2制御端子Ctl2に接続する。分離素子30は抵抗であり、交流接地となる制御端子Ctl1およびCtl2の直流電位に対して、ベースを介して高周波信号が漏出することを防止する目的で配置されている。分離素子30の抵抗値は5KΩ〜10KΩ程度である。
すなわちロジック回路が無い場合、第1および第2の制御端子として2つの制御端子が必要となる。しかしSPDTの場合、制御端子には相補信号を印加すればよい場合がほとんどである。つまり、第1実施形態ではインバータ回路29を用いることにより、1つの制御端子で第1および第2スイッチング素子SW1、SW2を制御することができる。
ロジック回路29はシリコンCMOSトランジスタのインバータ回路である。すなわち、pチャネル型MOSFET291のドレインとnチャネル型MOSFET292のドレインを接続点CPにて直列に接続し、接続点CPと、例えば第2スイッチング素子SW2を構成する単位素子100のベースとを、分離素子30を介して接続する。また、pチャネル型MOSFET291とnチャネル型MOSFET292のゲートを共通で、1つの制御端子Ctlに接続する。更に、pチャネル型MOSFET291のソースを電源端子VDDに接続し、nチャネル型MOSFET292のソースをGND端子に接続する。
1つの制御端子Ctlに印加された制御信号は、第1スイッチング素子SW1を構成する各単位素子100のベースおよび第2スイッチング素子SW2を構成する各単位素子100のベースにそれぞれ印加される。例えば、制御端子CtlがHレベルのとき、第1スイッチング素子SW1がオンする。そのときインバータ回路29のゲートにもHレベルの信号が印加され、反転されたLレベルの信号が、第2スイッチング素子SW2のベースに印加される。よって、第2スイッチング素子SW2はオフとなる。従って、共通入力端子IN−第1出力端子OUT1間に1つの信号経路が形成され、共通入力端子INに入力された高周波アナログ信号が第1出力端子OUT1より出力される。
このように、インバータ回路29を接続することにより、SPDTスイッチ回路装置で制御端子数を1つにすることができる。
第1および第2スイッチング素子SW1、SW2のエミッタおよびコレクタにはバイアスポイントBPをそれぞれ接続する。バイアスポイントBPは、第1スイッチング素子SW1および第2スイッチング素子SW2のエミッタおよびコレクタに等しいバイアス電位(例えばGND電位)を印加する。
そして、第1および第2スイッチング素子SW1、SW2のエミッタとバイアスポイントBP間、および第1および第2スイッチング素子SW1、SW2のコレクタとバイアスポイントBP間にそれぞれ高周波信号の分離素子30を接続する。分離素子30は、例えば抵抗値5KΩから10KΩの抵抗であり、バイアス電位(GND電位)に対して高周波信号が漏れることを防止する。
以下、図2(A)の回路動作について、説明する。単位HBT101のオン電圧(ベース−エミッタ間電圧)VBEは例えば1.6Vとする。単位HBT101は、ベースの電位がエミッタおよびコレクタの電位より、1.6V以上高くなった時点でオンする。ここでは単位HBT101のエミッタおよびコレクタの電位はGND電位(0V)としている。
制御端子Ctlに3Vが印加されると、オン側のスイッチング素子(例えば第1スイッチング素子SW1)では、制御端子Ctlと、単位HBT101のエミッタおよびコレクタの電位との電位差は3V(=3V−0V)となる。これは、第1スイッチング素子SW1の単位HBT101がオンする電位(1.6V)より十分高い。
バイアスポイントBPに接続する分離素子30である抵抗の抵抗値は5〜10KΩ程度である。この抵抗を流れるベース電流によって電圧ドロップが発生するが、それを考慮しても制御端子Ctlより印加される電位によって第1スイッチング素子SW1の単位HBT101は十分オンし、エミッタ−コレクタ間が導通する。
一方オフ側(第2スイッチング素子SW2)は単位HBT101のエミッタおよびコレクタの電位0V(GND)に対して、ベースの電位は0Vである。制御端子Ctlの電位が単位HBT101のエミッタおよびコレクタの電位より1.6V以上高くなった時点で第2スイッチング素子SW2の単位HBT101がオンするため、オフ側の単位HBT101は1.6Vの振幅のパワーに耐えることができる。1.6Vの振幅は20.1dBmのパワーに対応し、無線LANやBluetoothに用途に十分使用できる。
またここではRFポートである共通入力端子IN、第1出力端子OUT1、第2出力端子OUT2をGND電位としている。FETをスイッチング素子とするスイッチ回路装置はRFポートがGND電位にできないため、RFポートに外付けで容量を接続する必要がある。しかし、第1実施形態ではその必要がなく、FETをスイッチング素子とするスイッチ回路装置に比べ実装面積を減らすことができる。
一般に、HBTはHEMTに比べ潜在的に非常に高い電流密度を得られ、非常に低いオン抵抗Ronを得ることができる。しかしHBTは温度による正帰還作用により電流が1つの単位HBTに集中して二次降伏により破壊するという問題をはらんでいる。すなわちHBTのベース−エミッタ間電圧−ベース電流の特性は温度に対して正の係数を持つ。このため、何らかの設計上の不均一要因により、単位HBT101素子が他の単位HBT101に対してベース−エミッタ間電圧バイアスが少し大きく印加される場合がある。その結果ベース電流、コレクタ電流が多く流れ、温度が上がってさらに多くのベース電流、コレクタ電流が流れ、最後に破壊に至る。これが通常の二次降伏のプロセスである。このため、実際のところ十分に電流密度を上げることができない。
しかし、本実施形態の単位素子100は二次降伏のプロセスが実際に開始されることはない。単位素子100は、単位HBT101にバラスト抵抗102を接続した構成である。これによりある単位素子100において温度上昇によりベース電流、コレクタ電流が増加する正帰還が発生し始めても、増加したベース電流はバラスト抵抗両端の電圧ドロップを増加させる。その結果ベース電流が減少し、コレクタ電流も減少する。従って、単位HBT101の発熱は単位HBT101のコレクタ電流を低減させ、逆に単位HBT101が冷却する方向となる。つまり、結果として二次降伏の発生を防ぐことができる。またベースは高周波信号が入出力されることはないためベースにバラスト抵抗を接続しても、直接的にはスイッチ回路装置の高周波特性には影響しない。
つまり、本実施形態によればHBTにより構成されるスイッチ回路装置であっても二次降伏の発生を防ぐことができるため、従来よりHBTの電流密度を大幅に上げることができる。その結果、第1および第2スイッチング素子SW1、SW2のオン抵抗Ronを非常に小さくすることができ、スイッチMMICのインサーションロスを非常に小さくできる。
スイッチMMICに一般的に使用されているHEMTはユニポーラデバイスであるのに比べHBTはバイポーラデバイスであるため、圧倒的に電流密度を上げることができ、オン抵抗Ronを非常に小さくできる。また単位HBT101は対称型HBTであるため、コレクタ−エミッタ間消費電流を0とするため省エネルギー動作が可能となる。理由はHEMTでドレイン−ソース間電圧を0Vにバイアスするのと同様に対称型HBT101でコレクタ−エミッタ間電圧を0Vにバイアスできるからである。
図2(B)は、分離素子30としてインダクタを採用した第2実施形態としてのスイッチMMICである。他の構成要素は、図2(A)に示すスイッチMMICと同様であるので、説明は省略し、動作について説明する。
単位HBT101は、ベースの電位がエミッタおよびコレクタの電位より、1.6V以上高くなった時点でオンする。制御端子Ctlに3Vが印加されると、オン側のスイッチング素子(例えば第1スイッチング素子SW1)では、制御端子Ctlと、単位HBT101のエミッタおよびコレクタの電位との電位差は3V(=3V−0V)となる。これは、第1スイッチング素子SW1の単位HBT101がオンする電位(1.6V)より十分高い。
第2実施形態では、分離素子30としてインダクタを採用しており、インダクタを流れるベース電流による電圧ドロップは0Vである。つまり単位HBT101は十分オンし、エミッタ−コレクタ間が導通する。
一方オフ側(第2スイッチング素子SW2)の単位HBT101は、第1実施形態と同様に1.6Vの振幅のパワーに耐えることができる。
高周波信号をカットする分離素子30として、インダクタを採用すると、単位HBT101の電流増幅率hFEが低い場合も対応できる。すなわち単位HBT101のベースに大きな電流を流し込む必要がある場合にも十分対応できる。インダクタは基板パターンに作り込むことができ、その場合はコストはほとんど係らない。尚図2(B)において、単位HBT101のエミッタおよびコレクタのGNDバイアス用の分離素子30と、制御端子とベース間の分離素子30として、共にインダクタを採用しているが、どちらか一方が抵抗であってもよい。
本実施形態のスイッチ回路装置は、上述の如く単位HBT101のベースにバラスト抵抗102を接続して単位素子100を構成し、単位素子100を複数並列接続してスイッチング素子を構成する。以下このスイッチング素子を採用した他のスイッチ回路装置について、図を参照して説明する。
図3は第3の実施形態を示す。第3の実施形態は、GaAs基板にSPDTスイッチMMICを構成したものである。第1スイッチング素子SW1を構成する単位素子100のベースが第1制御端子Ctl1に接続し、第2スイッチング素子SW2を構成する単位素子100のベースが第2制御端子Ctl2に接続する。
第1制御端子Ctl1および第2制御端子Ctl2に印加される制御信号が相補信号の場合を説明する。その場合、第1制御端子Ctl1の信号がHレベル(例えば3V)の時は第2制御端子Ctl2の信号がLレベル(例えば、0V)になる。そして、Hレベルが印加された側のスイッチング素子が導通し、第1RFポートおよび第2RFポート間に信号経路を形成する。
例えば、第1制御端子Ctl1にHレベルの信号が印加されると、第1スイッチング素子SW1の単位HBT101のベース−エミッタ間電圧がHBT101のオン電圧VBEを上まわり、単位HBT101がオンする。
このとき、第2制御端子Ctl2はLレベルの信号が印可されるので、第2スイッチング素子SW2は動作しない。これにより、共通入力端子IN−第1出力端子OUT1間に1つの信号経路が形成され、例えば共通入力端子INに入力された高周波アナログ信号が第1出力端子OUT1より出力される。
一方第2制御端子Ctl2にHレベルの信号が印可されると、共通入力端子IN−第2出力端子OUT2間に1つの信号経路が形成される。
他の構成要素および回路動作は、第1実施形態と同様であるので説明は省略する。
以上、第3の実施形態のスイッチング回路装置の動作として、第1制御端子Ctl1および第2制御端子Ctl2に印加される制御信号が相補信号であって、第1スイッチング素子SW1および第2スイッチング素子SW2のどちらかが導通する場合を示した。
しかし第1制御端子Ctl1および第2制御端子Ctl2に印加される制御信号が両方Lレベルの場合もある。両方LレベルのときはSW1およびSW2が両方遮断する。
図4を参照し、第4実施形態を説明する。
第4実施形態は、第3実施形態の回路に同一GaAs基板に集積化できるロジック回路を接続し、第1スイッチング素子SW1および第2スイッチング素子SW2のいずれかのみをオンさせるスイッチ回路として、制御端子数を1としたものである。
図4は、ロジック回路として抵抗負荷のインバータ回路31を接続した場合である。すなわち、抵抗負荷311と、GaAs MESFET312(エンハンスメント型)を接続点CPにて直列接続し、接続点CPと、例えば第2スイッチング素子SW2のベースとを接続する。また、MESFET312のゲートは、1つの制御端子Ctlに接続する。制御端子Ctlに例えばHレベルの信号が印加されると、第1スイッチング素子SW1がオンする。一方、インバータ回路31により反転されたLレベルの信号が印加される第2スイッチング素子SW2はオフする。他の構成要素および回路動作は、第1実施形態と同様であるので説明は省略する。
また、ロジック回路としてエンハンスメント型/ディプレッション型DCFL(Direct Coupled FET Logic)のインバータ回路を接続してもよい。
インバータ回路31を接続することにより、SPDTスイッチMMICで制御端子を1つにできる。更に、インバータ回路31は、抵抗及び/又はMESFETで形成できる。つまりロジック回路を内蔵したスイッチMMICを、GaAs基板の1チップに全て集積化することができる。
図5を参照し、第5実施形態を説明する。第5実施形態は、SP3T(Single Pole Three Throw)スイッチMMICである。
SP3Tは、第1スイッチング素子群S1、第2スイッチング素子群S2、第3スイッチング素子群S3からなる。そして、第1スイッチング素子群S1の一端のコレクタ、第2スイッチング素子群S2の一端のコレクタ、および第3スイッチング素子群S3の一端のコレクタが共通入力端子INに接続する。
第1スイッチング素子群S1は、単位素子100を並列接続したスイッチング素子HBT1−1、HBT1−2、HBT1−3を直列に3段接続したものである。1段目のスイッチング素子HBT1−1のベースには第1駆動トランジスタ251が接続する。第1駆動トランジスタ251は、例えばエンハンスメント型のGaAsMESFETであり、ソースがスイッチング素子HBT1−1のベースに接続し、ドレインが分離素子(インダクタ)30を介して電源端子VDDに接続する。そして第1駆動トランジスタのゲートが分離素子(抵抗)30を介して、第1制御端子Ctl1に接続する。
2段目のスイッチング素子HBT1−2、3段目のスイッチング素子HBT1−3も同様に、それぞれに第1駆動トランジスタ251が接続し、第1駆動トランジスタ251のゲートが分離素子(抵抗)30を介して第1制御端子Ctl1に接続する。
尚、第2スイッチング素子群S2、第3スイッチング素子群S3も、それぞれ各段のスイッチング素子が第2駆動トランジスタ252、第3駆動トランジスタ253を介して第2制御端子Ctl2、第3制御端子Ctl3に接続するが、これらは第1スイッチング素子群S1と同様であるので説明は省略する。
更に、第1スイッチング素子群S1、第2スイッチング素子群S2、第3スイッチング素子群S3の他端の各エミッタが、それぞれ第1出力端子OUT1、第2出力端子OUT2、第3出力端子OUT3に接続する。
第1、第2および第3制御端子Ctl1、Ctl2、Ctl3に印加される制御信号はいずれか1つがHレベルでその他がLレベル、またはすべてLレベルのケースがあり、Hレベルの信号が印加された駆動トランジスタがオンして対応するスイッチング素子群のベースに電流を供給する。これにより、ベース電流が供給されたスイッチング素子群がオンして1つの信号経路を形成し、共通入力端子INに入力された高周波アナログ信号をいずれかの出力端子に伝達するようになっている。また第1、第2および第3制御端子Ctl1、Ctl2、Ctl3すべてがLレベルの場合は第1スイッチング素子群S1、第2スイッチング素子群S2、第3スイッチング素子群S3のすべてが遮断される。第1〜第3駆動トランジスタ251、252、253のゲートに接続する分離素子(抵抗)30は、交流接地となる第1、第2および第3制御端子Ctl1、Ctl2、Ctl3の直流電位に対してゲート電極を介して高周波信号が漏出することを防止する目的で配置されている。
第1スイッチング素子群S1、第2スイッチング素子群S2、第3スイッチング素子群S3のエミッタおよびコレクタに接続する分離素子30は、インダクタを採用している。
また、第1、第2、第3駆動トランジスタ251、252、253と電源端子VDD間にも高周波信号の漏出を防止する分離素子(インダクタ)30を接続する。
尚、第1〜第3駆動トランジスタ251、252、253を構成するFETは、GaAs JFET、HEMTであっても適用できる。
スイッチング素子HBT1−1は、単位HBT101にバラスト抵抗102を接続した単位素子100を複数並列してなる。
そして、各単位素子100のバラスト抵抗102が共通で、1つの駆動トランジスタ(第1駆動トランジスタ251)のソースに接続する。つまり、1つの段のスイッチング素子HBT1−1に対応して1つの駆動トランジスタ251が接続している。
多段スイッチ回路の場合、オンするポートの各段のスイッチング素子すべてにベース電流を供給するため、トータルの必要ベース電流が大きくなる。規模としては、必要ベース電流が段数倍されるのではなく段数の2乗倍大きくなる。
例えば、多段接続された第1スイッチング素子群S1のトータルのオン抵抗を1段のスイッチング素子(例えば図2のSW1)のオン抵抗と同等にするには、各段のスイッチング素子HBT1−1、HBT1−2、HBT1−3のエミッタサイズを大きくする必要がある。図のように3段の場合、各段のスイッチング素子HBT1−1、HBT1−2、HBT1−3が直列に接続される。つまり、第1スイッチング素子群S1のトータルのオン抵抗を、1段のスイッチング素子(SW1)の場合と等しくするには、各段のスイッチング素子HBT1−1、HBT1−2、HBT1−3のエミッタサイズをそれぞれ3倍にする必要がある。
すなわち3段のスイッチング素子群を駆動するために必要なトータルのベース電流は、1段のスイッチング素子の約10倍(3倍×3段=9倍)となり、携帯電話のベースバンドLSIでは駆動できない。
そこで、各段のスイッチング素子HBT1−1、HBT1−2、HBT1−3のベース電流を第1〜第3駆動トランジスタ251、252、253により供給し、第1〜第3駆動トランジスタ251、252、253には電源端子VDDから電流を供給する回路とする。
第1〜第3スイッチング素子群S1、S2、S3の各単位HBT101のエミッタおよびコレクタには、バイアスポイントBPを接続し、バイアス電位を印加する。またバイアスポイントBPとエミッタ間、バイアスポイントBPとコレクタ間には分離素子30を接続する。また第1〜第3駆動トランジスタ251、252、253と電源端子VDD間にも分離素子30を接続する。
この回路動作について説明する。このスイッチMMICは、各段のスイッチング素子HBT1−1、HBT1−2、HBT1−3(単位HBT101)のオン電圧(ベース−エミッタ間電圧)VBEが例えば1.6Vであり、エミッタおよびコレクタの電位はGND電位(0V)である。駆動トランジスタのピンチオフ電圧Vpはすべて0Vである。つまり、例えば第1制御端子Ctl1の電位が各段のスイッチング素子HBT1−1、HBT1−2、HBT1−3のエミッタおよびコレクタの電位より、1.6(=1.6+0)V以上高くなった時点で第1駆動トランジスタ251および各段のスイッチング素子HBT1−1、HBT1−2、HBT1−3がオンする。
オン側の制御端子Ctl(第1制御端子Ctl1)には3Vが印加される。また分離素子30はインダクタであるためインダクタを流れるベース電流による電圧ドロップは0Vである。つまり、第1駆動トランジスタ251とスイッチング素子HBT1−1、HBT1−2、HBT1−3は十分オンし、第1スイッチング素子群S1のエミッタ−コレクタ間が導通する。
一方オフ側は、1.6Vの振幅のパワーに耐えることができる。このとき、SP3Tは3段構成のため、1.6Vの振幅は29.6dBmのパワーに対応し、CDMA携帯電話用途に十分使用できる。また各単位HBT101のエミッタ、コレクタ両方をGND電位に接続しており、単位HBT101のベース電流の引き込みに使用している。
CDMA携帯電話用スイッチ回路装置などハイパワー用途においてはHBTを駆動するベース電流が大きいため分離素子30としては、ベース電流が流れることによる電圧ドロップが無いインダクタを使用する。インダクタは基板パターンに作り込むことができ、コストがほとんどかからない。
図6を参照し、第6実施形態を説明する。第6実施形態は、駆動トランジスタを接続したSP3Tの他の形態である。
第6実施形態の場合は、1つのスイッチング素子群に対して、1つの駆動トランジスタを対応させる。つまり第1スイッチング素子群S1(スイッチング素子HBT1−1、HBT1−2、HBT1−3)に共通して第1駆動トランジスタ351を接続する。同様に、第2スイッチング素子群S2(スイッチング素子HBT2−1、HBT2−2、HBT2−3)に共通して第2駆動トランジスタ352を接続し、第3スイッチング素子群S3(スイッチング素子HBT3−1、HBT3−2、HBT3−3)に共通して第3駆動トランジスタ353を接続する。
第1〜第3駆動トランジスタ351、352、353は、例えばnチャネル型MOSFETである。尚図において、第1〜第3駆動トランジスタ351、352、353はSi基板に形成され、分離素子(インダクタ)30は実装基板の基板パターンに作り込まれている。それ以外は同一のGaAs基板上に設けられる。
第1スイッチング素子群S1は3段のスイッチング素子HBT1−1、HBT1−2、HBT1−3が直列接続したものである。1段目のスイッチング素子HBT1−1は各単位素子101のバラスト抵抗102が共通接続し、分離素子(インダクタ)30を介して第1駆動トランジスタ351のソースに接続する。2段目、3段目のスイッチング素子HBT1−2、HBT1−3も同様にバラスト抵抗102が共通接続し分離素子30を介して第1駆動トランジスタ351のソースに接続する。
第1駆動トランジスタ351は、各段に共通で1つ設けられる。そしてドレインを電源端子VDDに接続し、ゲートを第1制御端子Ctl1に接続する。
同様に、第2スイッチング素子群S2に対応して1つの第2駆動トランジスタ352が接続し、第3スイッチング素子群S3に対応して1つの第3駆動トランジスタ353が接続する。
第1〜第3スイッチング素子群S1、S2、S3の各単位HBT101のエミッタおよびコレクタには、バイアスポイントBPを接続し、バイアス電位を印加する。またバイアスポイントBPとエミッタ間、バイアスポイントBPとコレクタ間には分離素子30を接続する。
回路動作について説明する。例えば第1スイッチング素子SW1の各段のスイッチング素子HBT1−1、HBT1−2、HBT1−3(単位HBT101)のオン電圧VBEが例えば1.0Vであり、エミッタおよびコレクタの電位はGND電位(0V)としている。駆動トランジスタの閾値電圧Vthが0.6Vである。つまり、例えば第1制御端子Ctl1の電位が各段のスイッチング素子HBT1−1、HBT1−2、HBT1−3のエミッタおよびコレクタの電位より、1.6(=1.0+0.6)V以上高くなった時点で、第1駆動トランジスタ351と各段のスイッチング素子HBT1−1、HBT1−2、HBT1−3がオンする。オン側の制御端子にはこれより十分高い3Vが印加される。また、インダクタを流れるベース電流による電圧ドロップは0Vであるため、第1スイッチング素子SW1がオンし、エミッタ−コレクタ間が導通する。
一方オフ側は、制御端子の電位は各段のスイッチング素子のエミッタおよびコレクタの電位に対して0Vとなる。駆動トランジスタと各段のスイッチング素子がオンする電位は1.6Vであるので、オフ側は1.6Vの振幅のパワーに耐えることができ、第5実施形態と同様の効果が得られる。
図7を参照して、第7実施形態を説明する。第7実施形態は、SPST(Single Pole Single Throw)スイッチMMICである。
SPSTは、1つのスイッチング素子SWを有し、スイッチング素子SWの導通及び遮断により1つの信号経路を形成する。スイッチング素子SWは、ここでは1つの対称型HBT(オン電圧VBE=1.0V)により構成され、スイッチング素子SWのコレクタが第1RFポートである入力端子INに接続し、スイッチング素子SWのエミッタが第2RFポートである出力端子OUTに接続する。
スイッチング素子SWの各単位素子100のバラスト抵抗102が共通接続し、制御端子Ctlに接続する。
スイッチング素子SWのエミッタおよびコレクタにバイアスポイントBPをそれぞれ接続する。エミッタおよびコレクタは、電源端子VDDおよびGND端子間にバイアス抵抗を接続し、そのバイアス抵抗を分割するなどの方法により所定のバイアス電位が印加される。
図は、抵抗分割の場合を示す。バイアス電位は電源端子VDD−接地間を、例えばそれぞれ4KΩ、1KΩの抵抗値を有するバイアス抵抗Rb1、Rb2で分割し、バイアスポイントBPの電位を0.6Vに設定する。これ以外にもダイオードを用いてバイアスポイントBPの電位を所定の電位に設定する方法等がある。
スイッチング素子SWと制御端子Ctl間、スイッチング素子SWのコレクタとバイアスポイントBP間、スイッチング素子SWのエミッタとバイアスポイント間BPにはそれぞれ高周波信号の漏出を防止する分離素子30が接続する。
制御端子Ctlには、Hレベル、Lレベルの2種の信号が印加される。そして、Hレベルが印加されたときにスイッチング素子SWが導通する。そして入力端子IN−出力端子OUT間に1つの信号経路を形成する。
スイッチング素子SWの単位HBT101のオン電圧VBEは、例えば1.0Vである。つまり制御端子Ctlの電位が、スイッチング素子SWのエミッタおよびコレクタの電位より、1V以上高くなった時点で初めてスイッチング素子SWがオンする。
また、スイッチング素子SWのエミッタおよびコレクタの電位は抵抗分割により0.6Vにバイアスされている。オン状態の制御端子Ctlには3Vが印加され、電位差が1Vより十分高い2.4(=3−0.6)Vとなる。分離素子30(抵抗)の抵抗値は5〜10KΩ程度であり、分離素子30によるベース電流の電圧ドロップを考慮してもスイッチング素子SWがオンするには十分である。
一方オフ状態ではスイッチング素子SWのエミッタおよびコレクタの電位0.6Vに対して、制御端子Ctlの電位は0Vである。制御端子Ctlの電位がスイッチング素子SWのエミッタおよびコレクタの電位より1V以上高くなった時点でオンするため、オフ状態では、1.6(=1−(−0.6))Vの振幅のパワーに耐えることができる。
図8および図9には、第8実施形態を示す。第8実施形態は、高周波信号の漏れを防止する分流素子を有するSPDTスイッチMMICである。図8は分流素子としてシャントFETを採用する場合であり、図9は分流素子としてシャントHBTを採用する場合である。
第8実施形態では、第1スイッチング素子SW1の第2RFポートに接続する分流素子33、および第2スイッチング素子の第2RFポートに接続する分流素子34を設ける。これ以外の構成要素は、第3実施形態と同様であるので説明は省略する。
図の如く、この回路では第1スイッチング素子SW1および第2スイッチング素子SW2の第1出力端子OUT1および第2出力端子OUT2と接地間に、それぞれシャントFET33、34を接続する。そして、シャントFET33のゲートは高周波信号漏出防止用の分離素子30(抵抗)を介して第2制御端子Ctl2に接続し、シャントFET34のゲートは高周波信号漏出防止用の分離素子30(抵抗)を介して第1制御端子Ctl1に接続する。シャントFET33、34は例えばピンチオフ電圧Vp=0.2Vのエンハンスメント型MESFETである。
シャントFET33のゲートには第1スイッチング素子SW1に印加される制御信号の相補信号が印加され、シャントFET34のゲートには第2スイッチング素子SW1に印加される制御信号の相補信号が印加される。この結果、第1スイッチング素子SW1がオンのときはシャントFET34がオンし、第2スイッチング素子SW2およびシャントFET33がオフしている。
そして、共通入力端子IN−第1出力端子OUT1の信号経路が形成される場合に、シャントFET34がオンしているので、第2出力端子OUT2への入力信号の漏れは接地された外付けのコンデンサCを介して接地に逃げ、アイソレーションが向上できる。
また、第1および第2スイッチング素子SW1、SW2のエミッタおよびコレクタにバイアスポイントBPをそれぞれ接続する。バイアスポイントBPは、第1スイッチング素子SW1および第2スイッチング素子SW2のエミッタおよびコレクタに等しいバイアス電位を印加する。ここでは、抵抗分割などにより得られる所定の定電位をバイアス電位とする。
図は、抵抗分割の場合であり、電源端子VDD−接地間を例えばそれぞれ4KΩ、3.5KΩの抵抗値を有するバイアス抵抗Rb1、Rb2で分割し、バイアスポイントBPの電位を1.4Vに設定する。
スイッチング素子のオン電圧VBEを0.7Vとすると、制御端子の電位がスイッチング素子のエミッタおよびコレクタの電位より、0.7V以上高くなった時点でスイッチング素子がオンする。ここではスイッチング素子のエミッタおよびコレクタの電位は抵抗分割により1.4Vにバイアスされている。
オン側の制御端子(例えば第1制御端子Ctl1)には3Vが印加されるので、電位差は0.7Vより十分高い1.6(=3−1.4)Vとなる。分離素子30(抵抗)の抵抗値は5〜10KΩであり、これを流れるベース電流による電圧ドロップを考慮しても、第1スイッチング素子SW1は十分オンする。
一方オフ側は、第2スイッチング素子SW2のエミッタおよびコレクタの電位1.4Vに対して、第2制御端子Ctl2の電位は0Vである。従って第2制御端子Ctl2の電位が第2スイッチング素子SW2のエミッタおよびコレクタの電位より0.7V以上高くなった時点でオンするため、オフ側は2.1(=0.7−(−1.4))Vの振幅のパワーに耐えることができる。2.1Vの振幅は22.5dBmのパワーに対応し、無線LANやBluetoothに用途に十分使用できる。
シャントFET33、34のピンチオフ電圧Vpはそれぞれ0.2Vである。オン側シャントFET(例えばシャントFET34)のゲートには3Vが印加され、シャントFET34のソースおよびドレインの電位は1.4Vである。つまり、シャントFET34にはピンチオフ電圧Vpより十分高い1.6(=3−1.4)Vが印加され、十分オンする。
一方オフ側の、シャントFET33はソースおよびドレインの電位1.4Vに対して、ゲートの電位は0Vである。シャントFET33は、ゲートの電位がソースまたはドレインの電位より0.2V以上高くなった時点でオンする。つまりシャントFET33は0.2−(−1.4)=1.6の計算により1.6(=0.2−(−1.4))Vの振幅のパワーに耐えることができる。すなわち1.6Vの振幅は20.1dBmのパワーに対応し、無線LANやBluetoothに用途に十分使用できる。この回路はシャント有りのため、シャント無しに比べて大幅にアイソレーションを向上させることができる。
尚、単位HBT101のオン電圧VBEやシャントFET33、34のピンチオフ電圧Vpがどのような値であっても、バイアスポイントBPの電位を抵抗分割などで、オン電圧VBEやピンチオフ電圧Vpの値に応じた電位に設定することにより、自由にスイッチ回路装置の所定の特性を実現できる。
図9は、分流素子をシャントHBTで構成するものである。つまり、第1スイッチング素子SW1の第1出力端子OUT1にシャントHBT35のコレクタを接続し、第2スイッチング素子SW2の第2出力端子OUT2にシャントHBT36のコレクタを接続する。
シャントHBT35、36は、スイッチング素子と同様に単位素子100を並列に接続して構成される。すなわち単位HBT101のベースにバラスト抵抗102を接続し、バラスト抵抗102を共通接続して第1制御端子Ctl1および第2制御端子Ctl2に接続する。
第1および第2スイッチング素子SW1、SW2およびシャントHBT35、36のオン電圧VBEは、いずれも1.6Vである。他の構成要素は、第3実施形態と同様であるので説明は省略する。
回路動作は、例えば、第1制御端子Ctl1の電位が第1スイッチング素子SW1のエミッタおよびコレクタの電位より1.6V以上高くなった時点で第1スイッチング素子SW1がオンする。つまり、第1制御端子Ctl1に3Vが印加されると、分離素子30(抵抗)による電圧ドロップを考慮しても、第1スイッチング素子SW1は十分オンする。一方オフ側の第2スイッチング素子SW2は、1.6Vの振幅のパワーに耐えることができる。
シャントHBT33、35の動作も第1および第2スイッチング素子SW1、SW2の動作と全く同様であり、その効果は図8のシャントFET33、34と同様である。
図10には、第9実施形態を示す。第9実施形態は、GaAs基板の1チップに集積化したDPDT(Double Pole Double Throw)スイッチMMICである。
DPDTは、第1〜第4スイッチング素子SW1、SW2、SW3、SW4、2つの第1RFポートと2つの第2RFポートを有する。第1および第2スイッチング素子SW1、SW2で構成されるSPDTスイッチと、第3および第4スイッチング素子SW3、SW4で構成される他のSPDTスイッチを、第2RFポートで互いに接続した構成である。
つまり、第1スイッチング素子SW1のエミッタに第3スイッチング素子SW3のコレクタを接続し、第2スイッチング素子SW2のエミッタに第4スイッチング素子SW4のコレクタが接続する。そして、第1および第2スイッチング素子SW1、SW2の共通入力端子IN1と、第3および第4スイッチング素子SW3、SW4の共通入力端子IN2を有し、出力端子はそれぞれのSPDTスイッチに共通で、第1出力端子OUT1、第2出力端子OUT2を有する。
他の構成要素は第3実施形態と同様である。
この回路は、第1制御端子Ctl1がHレベルで第2制御端子Ctl2がLレベルの時、第1スイッチング素子SW1と第4スイッチング素子SW4が同時にオンする。すなわち、共通入力端子IN1−第1出力端子OUT1間に1つの信号経路が形成される。また同時に共通入力端子IN2−第2出力端子OUT2間に他の信号経路が形成される。
一方、第2制御端子Ctl2がHレベルで第1制御端子Ctl1がLレベルの時、第2スイッチング素子SW2と第3スイッチング素子SW3が同時にオンする。すなわち、共通入力端子IN1−第2出力端子OUT2間に1つの信号経路が形成される。また同時に共通入力端子IN2−第1出力端子OUT1間に他の信号経路が形成される。
第1〜第4スイッチング素子SW1、SW2、SW3。SW4は、オン電圧VBE=1.6Vである。つまり制御端子に3Vが印加された場合オン側のスイッチング素子は十分オンし、オフ側は1.6Vの振幅のパワーに耐えることができる。
図11には、第10実施形態を示す。第10実施形態はスイッチング素子として、HBTとFETが混在する場合である。
この回路は、GaAs基板の1チップに集積化したSPDTスイッチである。単位素子100を並列接続して第1スイッチング素子SW1(オン電圧VBE=0.7V)を構成し、MESFET(ピンチオフ電圧Vp=0.2V:エンハンスメント型)により第2スイッチング素子SW2を構成する。
バイアスポイントBPには抵抗分割により所定の電位(例えば1.4V)が印加される。他の構成要素は第3実施形態と同様であるので説明は省略する。
この回路動作を、まず第1スイッチング素子SW1について説明する。
第1スイッチング素子SW1のオン電圧VBEは0.7Vであり、第1制御端子Ctl1の電位が、第1スイッチング素子SW1のエミッタおよびコレクタの電位より0.7V以上高くなった時点で第1スイッチング素子SW1はオンする。ここではエミッタおよびコレクタの電位は抵抗分割により1.4Vにバイアスされている。
第1制御端子Ctl1に3Vが印加されると、分離素子30(抵抗)による電圧ドロップを考慮しても、電位差は0.7Vより十分高い1.6(=3−1.4)Vとなるので、第1スイッチング素子SW1は十分オンする。
一方第1スイッチング素子SW1がオフの場合はエミッタおよびコレクタの電位1.4Vに対して、第1制御端子Ctl1の電位は0Vである。従って第1制御端子Ctl1の電位はHBTのエミッタおよびコレクタの電位に対して−1.4Vとなる。つまり、オフ時には2.1(=0.7−(−1.4))Vの振幅のパワーに耐えることができる。
次に、第2スイッチング素子SW2について説明する。
第2スイッチング素子SW2のピンチオフ電圧Vpは0.2Vである。第2制御端子Ctl2が3Vのとき第2スイッチング素子SW2のゲートには3Vが印加される。FETのソースおよびドレインの電位は1.4Vであり、第2制御端子Ctl2とソースおよびドレインの電位差1.6(=3V−1.4)Vは0.2Vより十分高い。従って第2スイッチング素子SW2は十分オンする。
一方第2制御端子Ctl2が0Vのとき第2スイッチング素子SW2のゲートの電位はFETのソースおよびドレインの電位に対して−1.4Vとなる。ゲートの電位がFETのソースおよびドレインの電位より0.2V以上高くなった時点で第2スイッチング素子SW2がオンするため、1.6(0.2−(−1.4))Vの振幅のパワーに耐えることができる。
図12には、第11実施形態を示す。第11実施形態は、1つのスイッチング素子群にHBTとFETが混在する場合である。
図12は、GaAs基板の1チップに2段のSPDTスイッチを集積化した回路図を示す。第1および第2スイッチング素子群S4、S5はそれぞれ、1段目のスイッチング素子HBTのエミッタと2段目のスイッチング素子FETのドレインを直列に接続して構成される。
すなわち、第1スイッチング素子群S4の1段目は単位素子100を並列接続したスイッチング素子HBT1(オン電圧VBE=0.7V)であり、バラスト抵抗102が共通接続して第1制御端子Ctl1に接続する。
第1スイッチング素子群S4の2段目はMESFET(ピンチオフ電圧Vp=0.2V:エンハンスメント型)で構成されたスイッチング素子FET1であり、ゲートが第1制御端子Ctl1に接続する。第2スイッチング素子群S5は第1スイッチング素子群S4と同様である。また他の構成要素については上記に説明したとおりであるので、説明は省略する。
以下は回路動作の説明であり、まず1段目について説明する。
第1および第2スイッチング素子群S4、S5の1段目を構成するスイッチング素子HBT1、HBT2のオン電圧VBEが0.7Vで、スイッチング素子HBT1、HBT2のエミッタおよびコレクタの電位は抵抗分割により1.4Vにバイアスされている。オン側の制御端子(例えば第1制御端子Ctl1)には3Vが印加されるため、スイッチング素子HBT1のエミッタおよびコレクタと第1制御端子Ctl1との電位差は1.6(=3−1.4)Vとなり0.7Vより十分高い。従って、分離素子30(抵抗)による電圧ドロップを考慮してもスイッチング素子HBT1は十分オンし、エミッタ−コレクタ間が導通する。
一方オフ側のスイッチング素子HBT2はエミッタおよびコレクタの電位1.4Vに対して、第2制御端子Ctl2の電位は0Vである。従ってオフ側のスイッチング素子HBT2は、2.1(=0.7−(−1.4))Vの振幅のパワーに耐えることができる。
次に2段目について説明する。第1スイッチング素子SW1の2段目を構成するスイッチング素子FET1のピンチオフ電圧Vpは0.2Vである。第1制御端子Ctl1が3VのときFET1のゲートには3Vが印加され、ソースおよびドレインの電位は1.4Vであるので、これらの電位差は1.6(3−1.4)Vとなりスイッチング素子FET1は十分オンする。一方第1制御端子Ctl1が0Vのときスイッチング素子FET1はソースおよびドレインの電位1.4Vに対して、ゲートの電位は0Vである。つまりスイッチング素子FET1は1.6(0.2−(−1.4))Vの振幅のパワーに耐えることができる。第2スイッチング素子群S5(FET2)側も同様である。
このように、オフ側では1段目、2段目とも振幅1.6V以上のパワーに耐えることができるため、スイッチ回路としては26.1dBm以上のパワーに耐えることができる。
以上の実施形態では、単位素子100を並列接続してスイッチング素子(HBT)を構成している。そして、スイッチング素子には駆動トランジスタ(FET)を接続する場合や、シャントFETを接続する場合、またはスイッチング素子にHBTとFETが混在する場合がある。
図13を参照して、HBTとFETが混在する場合について更に説明する。特に電圧配分においてスイッチング素子であるHBTとFETを等価に扱えるよう、HBTのオン電圧VBEとFETのピンチオフ電圧Vpを所定の値に設定することにより、HBTとFETに互換性を持たせることができる。
図13(A)は、スイッチング素子HBTに、駆動トランジスタFETを接続した場合であり、図5に示す第5実施形態の回路の単位となる回路ブロックである。すなわち単位HBT101のベースにバラスト抵抗102が接続した単位素子100があり、その単位素子100が複数並列接続してスイッチング素子HBTを構成しそのベースに駆動トランジスタFETのソースが接続している(図5参照)。
一方、図13(B)は、第8実施形態のシャントFET33、34(図8参照)および、第10実施形態の第2スイッチング素子SW2(図11)に示したような、スイッチング素子FETの回路図である。
図13(A)と、図13(B)の場合において、以下の式が成り立つとき、スイッチング素子HBTと駆動トランジスタFETが接続された回路ブロックと、スイッチング素子FETは電圧的に同じ動作となる。
HBTのオン電圧VBE+FETのピンチオフ電圧Vp1=FETのピンチオフ電圧Vp2
例えば、スイッチング素子HBTのオン電圧VBEを1Vとし、駆動トランジスタFETのピンチオフ電圧Vp1を−1.0Vとして、VBE+Vp1=Vp2=0Vとなる場合について説明する。
スイッチング素子HBTのオン電圧VBEが1Vで、駆動トランジスタFETのピンチオフ電圧Vp1が−1.0Vの場合、制御端子の電位がスイッチング素子HBTのエミッタおよびコレクタの電位より、0(1−1)V以上高くなった時点で初めて駆動トランジスタFETとスイッチング素子HBTがオンする。
一方、スイッチング素子FETのピンチオフ電圧Vp2が0Vであるので、制御端子の電位がスイッチング素子FETのソースおよびドレインの電位より0V以上高くなった時点で初めてスイッチング素子FETがオンする。
このように、スイッチング素子HBTと駆動トランジスタFETによる回路ブロック、およびスイッチング素子FETの何れも、制御端子の電位がスイッチング素子のRF信号が通過する2端子の電位より0V以上高くなった時点でオンする。すなわち、上式が成り立つときは駆動トランジスタFETを接続したスイッチング素子HBTと、スイッチング素子FETとを入れ替えても電圧的な動作は全く変わらず、電圧的に互換性を持たせることが可能である。
また、図13(C)は、駆動トランジスタFETを接続しないスイッチング素子HBTの回路図である。
図13(B)と図13(C)において、次式が成り立つ場合にスイッチング素子HBTとスイッチング素子FETは計算上は電圧的に同じ動作となる。
HBTのオン電圧VBE=FETのピンチオフ電圧Vp2
しかし、実際はスイッチング素子HBTとスイッチング素子FETのそれぞれのデバイスの性質としてスイッチング素子HBTのオン電圧VBEとスイッチング素子FETのピンチオフ電圧Vp2を一致させることは難しい。従って駆動トランジスタFETが無いときにスイッチング素子HBTおよびFETの電圧的動作を完全に同じにはできない。従って両者が近い動作をするためには、スイッチング素子HBTのオン電圧VBEとスイッチング素子FETのピンチオフ電圧Vp2のそれぞれの値を近い値にすると良い。
その例として第10実施形態が挙げられる。第10実施形態の場合はスイッチング素子HBTの電圧的動作とスイッチング素子FETの電圧的動作は近い動作とした方が望ましいため、第1スイッチング素子SW1(HBT)のオン電圧VBEは0.7Vとした。これはHBTとしては比較的低い電圧である。また、第2スイッチング素子SW2(FET)のピンチオフ電圧Vpは0.2Vとした。これは、FETとして比較的高い電圧である。これらの差は0.5V(0.7−0.2=0.5)であるが、第10実施形態の説明にあるように、実際上の動作としては0.5V程度の差は問題無い範囲である。
HBTとFETに互換性を持たせる方法は第8実施形態の図8と図9の関係のようなシャント用の場合についても全く同じである。従って図8の場合の第1および第2スイッチング素子SW1、SW2(HBT)のオン電圧VBEの値とシャントFET33、34のピンチオフ電圧Vpの値は第10実施形態の場合と同じとした。
尚、電圧的な動作とはオフ時の動作であり、オフ時に同じパワーに耐えられることを意味する。但し、スイッチ回路装置においてスイッチング素子HBTとスイッチング素子FETsを混在させるとき、必ずしも、上のいずれかの式を成立させるかまたは左辺と右辺の値を近い値にする必要がない場合がある。つまり、オフ時に耐える必要のあるパワーと必要なインサーションロスに応じて、各素子の特性や回路を設計すれば良い。
尚、上記の実施形態のGaAs MESFETは全て、GaAs JFETまたはHEMTであっても同様に実施できる。またエンハンスメント型、ディプレッション型のいずれであってもよい。
また、スイッチ回路の種類、分離素子、バイアス電位の印加方法、ロジック回路の有無、駆動トランジスタの基板(SiあるいはGaAs)、分流素子の有無、スイッチング素子においてHBTとFETが混在するか否か、の各要素については上記の構成に限らず、各々独立して選択が可能である。

本発明を説明するための(A)断面図、(B)特性図、(C)特性図である。 本発明を説明するための回路図である。 本発明を説明するための回路図である。 本発明を説明するための回路図である。 本発明を説明するための回路図である。 本発明を説明するための回路図である。 本発明を説明するための回路図である。 本発明を説明するための回路図である。 本発明を説明するための回路図である。 本発明を説明するための回路図である。 本発明を説明するための回路図である。 本発明を説明するための回路図である。 本発明を説明するための回路図である。 従来技術を説明するための回路図である。
符号の説明
10 GaAs基板
11 サブコレクタ層
12 コレクタ層
13 ベース層
14 エミッタ層
15 エミッタコンタクト層
16 コレクタ電極
17 ベース電極
18 エミッタ電極
100 単位素子
101 単位HBT
102 バラスト抵抗
SW スイッチング素子
SW1 第1スイッチング素子
SW2 第2スイッチング素子
SW3 第3スイッチング素子
SW4 第4スイッチング素子
S1、S4 第1スイッチング素子群
S2、S5 第2スイッチング素子群
S3 第3スイッチング素子群
251 351 第1駆動トランジスタ
252 352 第2駆動トランジスタ
253 353 第3駆動トランジスタ
29、31 ロジック回路
291 pチャネル型MOSFET
292 nチャネル型MOSFET
30 分離素子
311 負荷抵抗
312 E型MESFET
33、34 分流素子(シャントFET)
35、36 分流素子(シャントHBT)
BP バイアスポイント
CP 接続点
Rb1、Rb2 バイアス抵抗
120 第1のスイッチトランジスタ
121 第2のスイッチトランジスタ
122 抵抗

Claims (13)

  1. ヘテロ接合型バイポーラトランジスタのベースにバラスト抵抗を接続した単位素子と、
    並列接続された前記単位素子を有するスイッチング素子と、
    前記スイッチング素子のコレクタおよびエミッタにそれぞれ接続する第1RFポートおよび第2RFポートと、
    を具備し、
    前記スイッチング素子のベースに印加される制御信号により前記第1および第2RFポート間に信号経路を形成することを特徴とするスイッチ回路装置。
  2. 前記ヘテロ接合型バイポーラトランジスタは、エミッタおよびベース間とベースおよびコレクタ間にヘテロ接合を有し、順トランジスタ動作時のオン抵抗値と逆トランジスタ動作時のオン抵抗値が、一つのベース電流値においてほぼ等しいことを特徴とする請求項1に記載のスイッチ回路装置。
  3. 前記スイッチング素子のエミッタおよびコレクタにバイアスポイントをそれぞれ接続し、前記スイッチング素子のエミッタおよびコレクタに等しいバイアス電位を与えることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ回路装置。
  4. 前記スイッチング素子のエミッタと前記バイアスポイント間、および前記スイッチング素子のコレクタと前記バイアスポイント間にそれぞれ高周波信号の分離素子を接続することを特徴とする請求項3に記載のスイッチ回路装置。
  5. ソースが前記スイッチング素子のベースに接続し、ドレインが電源端子に接続し、ゲートが制御端子に接続する駆動トランジスタを有することを特徴とする請求項1に記載のスイッチ回路装置。
  6. 複数の前記駆動トランジスタのゲートにそれぞれ制御端子が接続することを特徴とする請求項5に記載のスイッチ回路装置。
  7. 複数の前記スイッチング素子と、少なくとも1つの制御端子に接続するロジック回路を有し、該1つの制御端子から各前記スイッチング素子のベースにそれぞれ制御信号を印加することを特徴とする請求項1に記載のスイッチ回路装置。
  8. 複数の前記スイッチング素子の、コレクタまたはエミッタを共通で前記第1RFポートに接続し、前記複数のスイッチング素子のエミッタまたはコレクタを複数の前記第2RFポートにそれぞれ接続することを特徴とする請求項1に記載のスイッチ回路装置。
  9. 前記複数の第2RFポートに一端が接続し、他端が共通で他の前記第1RFポートに接続する他のスイッチング素子を設け、他の信号経路を形成することを特徴とする請求項8に記載のスイッチ回路装置。
  10. 前記スイッチング素子は1つのスイッチング素子と他のスイッチング素子を直列に多段接続してなるスイッチング素子群であることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ回路装置。
  11. 前記第2RFポートに接続し、前記1つの信号経路の高周波信号の漏れを遮断する分流素子を設けることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ回路装置。
  12. 前記第1および第2RFポート間に高周波アナログ信号の信号経路を形成することを特徴とする請求項1に記載のスイッチ回路装置。
  13. 複数の前記スイッチング素子のベースにそれぞれ制御信号が印加されることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ回路装置。
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