JP2006278973A - 放熱用部材の製造方法 - Google Patents

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Kiyoshi Tachikawa
清 立川
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Abstract

【課題】 熱伝導率が高く熱の放散性に優れる放熱用部材を比較的容易に、安定して得ることができる製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、方向を揃えた炭素繊維が該炭素繊維を横切るように配置した樹脂繊維により固定されてシート状をなす炭素繊維シートに銅メッキを施し、次いでシート同士の炭素繊維の方向が実質的に一致するように積層し、放電プラズマ焼結法等により加圧焼結するパワーデバイス半導体等に用いられる放熱用部材の製造方法である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高速駆動する半導体や、あるいはパワーデバイス半導体や電子機器部品の駆動時に発生する熱を効率良く放熱し、半導体や電子機器部品を正常に稼動させるための部品となる放熱用部材の製造方法に関する。
最近の半導体については高速化が著しく、また一方でパワーデバイス半導体のように大電力対応でいずれも半導体自身の発熱量が非常に多くなっている。また、電子機器の中には例えばコンパクト化されたプロジェクターなどのように光源のような発熱源に近い場所に半導体が設置されるなどしている。これらの熱は半導体及び電子機器の正常駆動を妨げる原因となるために、放熱部品によって発生した熱を放散させる必要性がさらに大きくなってきている。
放熱特性を確保するためには、放熱部品として、伝熱特性の良い材料を配置する必要がある。一般的に伝熱特性の良い材料としては、金属材料があり、特に低価格であるという実用上の観点から、アルミニウムやさらに熱伝導性の高い銅が用いられている。
しかし、上述した、放熱特性に対する更なる向上要求に対しては、アルミニウムはもちろん、銅であっても十分とは言えない状態になってきている。
これを解決する手法として、熱伝導特性に優れた炭素繊維を利用する試みがある。
たとえば、特許文献1では炭素繊維を銅メッキ後、束ねて繊維束とし、金型内に配置しSnの溶湯を加圧鋳造して複合体とする方法が開示されている。さらに、特許文献2ではNi,Cu、Ag、Auの少なくとも1つを含む金属を被覆し、この繊維束をプレス成形する方法、銅箔と交互に積層して製造するプラズマ焼結が開示されている。また、特許文献3では炭素繊維織布に電気泳動でAl粉末を付着させ、これを積層させプレスする方法が開示されている。
また、たとえば特許文献4や特許文献5に記載されるように炭素繊維を銅メッキした後、編みこみ、これを加圧・加熱して複合材料とすることで、炭素繊維の低熱膨張特性を利用して、銅マトリックスを拘束し、低熱膨張と伝熱特性を満足しようという試みもある。
特開2003−183792号公報 特開2003−46038号公報 特開2001−131795号公報 特公昭63−9665号公報 特開昭58−164287公報
炭素繊維で銅よりも高い熱伝導特性を得ようとする場合に、問題となるのは、炭素繊維の有する熱伝導率の方向依存性である。そのために、特許文献1ないし3においては、伝熱方向に炭素繊維の方向を合わせている。
しかし、量産する炭素繊維自体がねじれを有する場合が多いこと、複合化時において繊維が倒れてしまうという問題がある。
また、特許文献4ないし5に記載の炭素繊維を銅メッキした後、編みこみを行う方法、あるいは炭素繊維を編み込んだものを使用する方法もあるが、炭素繊維を編み込むということは、炭素繊維を大きく湾曲させ、熱伝導を劣化するという問題とともに、伝熱方向を横切る炭素繊維は、熱伝導を大きく阻害する原因にもなり、熱伝導率の観点からは好ましくない。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、生産性に優れる放熱用部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、炭素繊維を編み込むのではなく、製造時に炭素繊維の方向を揃えて固定するために樹脂繊維を利用することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、方向を揃えた炭素繊維が該炭素繊維を横切るように配置した樹脂繊維により固定されてシート状をなす炭素繊維シートに銅メッキを施し、次いでシート同士の炭素繊維の方向が実質的に一致するように積層し、加圧焼結する放熱用部材の製造方法である。
また、本発明における加圧焼結としては、ホットプレス法、熱間静水圧プレス法、あるいは放電プラズマ焼結法といった方法を適用することができる。なお、これらの方法の内、生産性の点から放電プラズマ焼結法が最も好ましい。
本発明によれば、熱伝導率が高く熱の放散性に優れる放熱用部材を比較的容易に、安定して得ることができる製造方法を提供することができる。
本発明の重要な特徴の一つは、上述した通り、炭素繊維の方向を揃えて固定するために樹脂繊維を利用したことにある。
樹脂繊維は、加圧焼結時の加熱により、気相に拡散し、殆ど消失し、残留するとしても微少な炭素となる。したがって、樹脂繊維の使用しても、熱伝導への悪影響は少ない。
また、樹脂繊維による固定により、炭素繊維の方向は拘束され、かつシート状とすることで、取り扱い性(ハンドリング性)は極めて良好である。なお、本発明において炭素繊維を横切るように配置するというのは、炭素繊維を縦糸とすると、樹脂繊維を横糸とするという意味である。また、本発明においては、樹脂繊維を必ずしも編み込む必要はなく、粘着性のある樹脂繊維であれば粘着力で炭素繊維を保持しても良い。
そして、本発明においては、シート状をなす炭素繊維シートに銅メッキを施す。銅メッキを行うのは、炭素繊維シートの形状を保持するとともに、次工程の加圧焼結時において、炭素繊維が充填されない空間を埋めて熱伝導を補うとともに、炭素繊維同士を結合するためである。銅以外で同様の高い熱伝導性を有する金属に銀があるが、極めて高価であり実用的でない。したがって本発明においては銅を選択している。
次いでシート同士の炭素繊維の方向が実質的に一致するように積層する。ここで炭素繊維の方向を揃えることが熱伝導性を確保する上で重要である。
積層した状態で加圧焼結を行う。本発明では、銅メッキに炭素繊維同士の結合作用を持たせる必要があり、メッキされた銅の流動と拡散を促進するため、加圧焼結をすることが必要である。
本発明において適用する炭素繊維としてはアクリル長繊維から製造されるPAN系と石炭タールや石油ピッチから製造されるピッチ系が一般的に用いられるが、この2種類のうちピッチ系の炭素繊維を用いることが望ましい。ピッチ系の炭素繊維は、高熱伝導特性に優れ、繊維方向では非常に大きく50から1500W/mKという特性を実現できるからである。
また、本発明における接合処理は放電プラズマ焼結法によって行うことが望ましい。放電プラズマ焼結は減圧雰囲気中でプレスによる加圧成形を行いながら、通電からプラズマを発生させて加熱し、焼結を行う方法で、温度管理にすぐれ、より空隙の少ない精度の高い焼結を行うことができるという点で優れた方法であるからである。また、加圧焼結中に減圧雰囲気を適用することは、本発明で適用する樹脂繊維の分解と拡散を促進するという効果も期待できる。
本発明の製造方法を、その一例を示す図1の模式図によって説明すると以下のようになる。
まず、炭素繊維束1を一方向に並べて樹脂繊維2によって編み込んで形成された炭素繊維シート3に銅メッキを施す。銅メッキを施して形成したシートを形成し、銅メッキを施して形成したシートを所定の大きさに切断し、炭素繊維の方向が揃うようにして積層する。ついでシートの面方向から加圧しつつ加熱して焼結用部材となる焼結体4を得る。
このとき、加圧焼結の前に面方向からプレスしておくといった、予備成形処理を行っても良い。
得られた放熱用部材を部品として使用する場合は、たとえば焼結体を炭素繊維の繊維方向に垂直に切断して切断面を発熱部に密着させ、対向面を利用して熱を放散させる形態で使用することができる。
炭素繊維として、公称熱伝導率600W/m/Kで繊維径10μmのピッチ系炭素繊維を6000本の束にしたものを樹脂繊維である熱融着糸からなる横糸を20mm間隔で織り込んだ日本グラファイトファイバー株式会社製のグラノックヤーンUF−XNG90−300を用いた。この炭素繊維シートに無電解メッキにより各炭素繊維表面に1μmの銅メッキを被覆し、銅メッキシートを得た。
この銅メッキシートを20mm角に切断した。このとき、メッキをしない繊維束の切断時のような曲折を生じることなく角形状を維持できる銅メッキシートを得ることができたことを確認した。
切断した銅メッキシートを炭素繊維の方向が揃うように20枚積層し、面方向より加圧して放電プラズマ焼結を行ない、放熱用部材を得た。放電プラズマ焼結の条件は、パルス電圧2.8V、パルス電流1300A、圧力50MPa、加熱温度900℃、焼結時間15分である。
得られた放熱用部材において、内包する炭素繊維が垂直に横切る断面のミクロ組織写真を観察した。
図2にそのミクロ組織写真を示す。図2に示す通り、炭素繊維の周りが銅で充填された組織を得ることができたことが分かる。
また、得られた放熱用部材において、内包する炭素繊維が垂直に横切る面に対して熱伝導率をレーザーフラッシュ法により測定したところ、530W/m/Kと炭素繊維の持つ熱伝導率のほぼ90%を維持していることを確認した。
本発明は、高速駆動する半導体や、あるいはパワーデバイス半導体や電子機器部品の駆動時に発生する熱を効率良く放熱し、半導体や電子機器部品を正常に稼動させるための部品を得る上で極めて有効である。
本発明の工程の一例を示す模式図を示す。 本発明により得られた放熱用部材の一例を示す断面ミクロ組織写真である。
符号の説明
炭素繊維束、2.樹脂繊維、3.炭素繊維シート、4.焼結体

Claims (2)

  1. 方向を揃えた炭素繊維が該炭素繊維を横切るように配置した樹脂繊維により固定されてシート状をなす炭素繊維シートに銅メッキを施し、次いでシート同士の炭素繊維の方向が実質的に一致するように積層し、加圧焼結することを特徴とする放熱用部材の製造方法。
  2. 加圧焼結は放電プラズマ焼結法であることを特徴とする放熱用部材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102825860A (zh) * 2011-06-14 2012-12-19 重庆大学 金属-增强塑料复合材料制件及其成型方法

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