JP2006278698A - シリコンウエハのクラック検出方法及びその検出装置 - Google Patents

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Abstract


【課題】 シリコンウエハにダメージを与えること無く、短時間で精度良くシリコンウエハのクラックの有無を検査できる検出方法及び検出装置を提供することである。
【解決手段】 本発明に係るシリコンウエハ10のクラック検出装置および検出装置では、振動体1をシリコンウエハ10に接触させることにより前記シリコンウエハ10に振動を与え、前記振動体11の周波数特性と前記シリコンウエハ11の周波数特性から伝達関数を求め、これを予め求めておいた伝達関数と比較することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明はシリコンウエハのクラック検出方法、特にシリコンウエハに振動を加えることにより、シリコンウエハのクラックの有無を検出するクラック検出方法に関するものである。
単結晶や多結晶の結晶系太陽電池素子の基板などとして用いられるシリコンウエハは、コストダウンやシリコン材料の削減等の理由によりその大型化、薄型化が進められている。このためシリコンウエハを製造する工程やデバイス工程においてクラックが発生しやすくなっている。
例えば太陽電池素子では、太陽電池素子を直・並列に組みモジュール化した場合、このようなクラックのある太陽電池素子が1枚でもあると、そのモジュールの出力電力を大きく低下させてしまう。このため太陽電池素子をモジュール化する前にクラックの有無検査し、クラックの有るものを精度良く検出し、取り除くことが重要である。
このようなシリコンウエハのクラックの検出方法としては、シリコンウエハに衝撃を加え振動を発生させ、このシリコンウエハの振動周波数をマイクロフォンを介して電気信号に変換して、この振動周波数のパワースペクトルの積分値を算出し、さらにあらかじめ求めておいた振動周波数のパワースペクトルの積分値と比較する方法が本出願人より提案されている。(特許文献1参照)
図4は上記のクラック検出方法に係る装置の構成の一例を示す図である。
図4において1はシリコンウエハ、2は障害物、3はマイクロフォン、4はアナライザー、5はコンピューターを示す。シリコンウエハ1は、通常一辺が100〜200mm程度の正方形または長方形か直径50〜200mmの円形であることが多い。障害物2は直径3cm程度の球状であることが望ましく、これに直径1cm程度の穴を開け、これにアルミ等の長さ10〜20cm程度の棒と台座を付けたものである。
このようなシリコンウエハ1の一辺を作業者が指で持って保持し、1〜5cmの高さから落下させるような状態で障害物2に当て、シリコンウエハ1に衝撃を加え、シリコンウエハ1から振動を発生させる。この振動を近傍に配置したマイクロフォン3で集音して、電気信号に変換する。これをFFT(高速フーリエ変換)アナライザー4及びコンピューター5で分析し、さらにパワースペクトルの積分値を算出する。
この算出したパワースペクトルの積分値を、予め求めておいたクラックがありかつクラックの大きさを測定してあるシリコンウエハの振動周波数のパワースペクトルの積分値と比較することにより、検査するシリコンウエハ1におけるクラックの有無及びクラックのあった場合のそのクラックの大きさが解る。
特開2004−28859号公報
上述のようにシリコンウエハに衝撃を加え振動を発生させ、このシリコンウエハの振動周波数を、マイクロフォンを介して電気信号に変換して、この振動周波数のパワースペクトルの積分値を算出し、さらにあらかじめ求めておいた振動周波数のパワースペクトルの積分値と比較する方法では、検出精度を上げるためには1枚のシリコンウエハについて数カ所、上述のようなシリコンウエハを障害物に当てる必要がある。例えばシリコンウエハが150mm角程度のものであれば、4カ所について障害物に当てる必要がある。このように1枚のシリコンウエハについて数カ所、障害物に当てる必要があるとクラック検査に時間がかかり、シリコンウエハのコストを上げる要因になるという問題があった。
さらにシリコンウエハに衝撃を加え振動を発生させることにより、該シリコンウエハにダメージを与えることになり、特に上記のような薄型のシリコンウエハでは新たなクラックを発生させる要因となる可能性もある。
本発明は上述の問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的はシリコンウエハにダメージを与えること無く、短時間で精度良くシリコンウエハのクラックの有無を検査できる検出方法及び検出装置を提供することである。
本発明のシリコンウエハのクラック検出方法では、シリコンウエハを振動体にシリコンウエハに接触させることにより前記シリコンウエハに振動を与え、前記振動体の周波数特性と前記シリコンウエハの周波数特性から伝達関数を求め、これを予め求めておいた伝達関数と比較することを特徴とする。
また本発明に係るシリコンウエハのクラック検出装置では、シリコンウエハを振動体に接触させることにより前記シリコンウエハに振動を与え、前記振動体の周波数特性と前記シリコンウエハの周波数特性から伝達関数を求め、これを予め求めておいた伝達関数と比較することを特徴とする。
また本発明に係るシリコンウエハのクラック検出装置では、前記振動体の振動が、回転軸に偏芯荷重を具備したプーリーをモーターで回転させることにより与えられることが望ましい。
またさらに本発明に係るシリコンウエハのクラック検出方法では、前記シリコンウエハが太陽電池素子であることが望ましい。
また本発明に係るシリコンウエハのクラック検出装置では、前記シリコンウエハが太陽電池素子であることが望ましい。
シリコンウエハに所定振動体を接触させることにより前記シリコンウエハに振動を与え、前記振動体の周波数特性と前記シリコンウエハの周波数特性から伝達関数を求め、これを予め求めておいた伝達関数と比較することにより、複数ポイントに振動を加える必要が無く、短時間でクラックの有無の検出が可能となる。
さらに上述の方法では、薄いシリコンウエハにおいても衝撃などでダメージを与えることが無いため、新たなクラックを誘発することがない。
また前記振動体の振動が、回転軸に偏芯荷重を具備したプーリーをモーターで回転させることにより、この振動体の振動数を最適なものに簡単確実に変更することができるようになると共に、該振動体を安価なものにすることが可能となる。
また太陽電池素子では、デバイス工程が終わりその後太陽電池モジュール工程へ投入されるために、クラックのあるものを確実に検出し取り除くことが必要であるため全数の検査が必要となる。これに対し本発明に係るクラック検出方法及びクラック検出装置は、短時間で検査ができ、どのような大きさのものにも対応可能で、さらに安価な装置であるため太陽電池素子に特に有効である。
以下、本発明の実施形態を添付図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明に係るシリコンウエハのクラック検出装置の一例を示す図である。図1において10は被検査体であるシリコンウエハ、11は振動体、12は弾性体、13はピックアップセンサー、14は周波数アナライザー、15はコンピューター、17は信号用ランプを示す。
シリコンウエハ10は、単結晶シリコンや多結晶シリコンの正方形、矩形又は円形又は半円形又は一部にオリエンタルフラット部を持った略円形のもので、その大きさは正方形なら100〜200mm角程度、円形なら直径100〜200mm程度で、その厚みは0.1〜0.5mm程度のものである。このシリコンウエハ10は振動体11と弾性体12のみの間で挟持され、他の部分は何にも接しないようにされる。
振動体11は、シリコンウエハ10に振動を与えるものであり、その振動数は0.5〜3MHz程度のもので、シリコンウエハ10の一部に振動部が接するように配置される。この振動体11の周波数特性の情報はケーブルを通じて周波数アナライザー14に送られる。
弾性体12はシリコンウエハ10を保持するために、その一部に接するように配置され、シリコンウエハ10の振動をピックアップセンサー13に効率よく伝えるように、合成ゴムなどの弾性体で作製される。
ピックアップセンサー13は、シリコンウエハ10の振動の状態を検出するもので、加速度センサーなどが用いられる。このピックアップセンサー13の周波数特性の情報はケーブルを通じて周波数アナライザー14に送られる。
周波数アナライザー14は、ピックアップセンサー13からのシリコンウエハ10の周波数特性と振動体の周波数特性の情報を処理、演算し、伝達関数を算出するものである。この算出した伝達関数はコンピューター15に送られる。
コンピューター15は、周波数アナライザー14により算出された被検査体でのシリコンウエハ10に関する伝達関数と予め定められた伝達関数を較べることにより、シリコンウエハ10のクラックの有無を判定し、もしシリコンウエハ10にクラックがあった場合、信号機17に所定の電気信号を出力するものである。
信号機17はクラック有り、無しの結果をランプを点滅させることにより、作業者に知らしめるものであり、さらにブザーなどを併用しても良い。
ここにおいて、まず予めクラックの無いシリコンウエハを10〜30枚程度準備しておき、このクラックのないシリコンウエハを上述の本発明に係るクラック検出装置において、一枚ずつ振動体11と弾性体12の間で挟持して振動体11により振動を加え、周波数アナライザー14により、その振動体11の周波数特性と該シリコンウエハの周波数特性から伝達関数を算出する。この用意したそれぞれのクラックの無いシリコンウエハの伝達関数のデーターから、被検査シリコンウエハにおいてクラックが無いと判断できる伝達関数の値を決定し、この決定したクラックが無いと判断できる伝達関数の値をコンピューター15に入力する。
次に被検査シリコンウエハを同様に一枚ずつ本発明に係る検出装置にセットし、振動体11により振動を加え、周波数アナライザー14により振動体11の周波数特性と被検査シリコンウエハの周波数特性から伝達関数を算出する。さらにこの算出した被検査シリコンウエハにおける伝達関数の値をコンピューター15に送り、コンピューター15において、先に入力したクラックが無いと判断できる伝達関数の値と被検査シリコンウエハの伝達関数の値とを較べ、被検査シリコンウエハの伝達関数の値がクラックが無いと判断できる伝達関数の値以下であれば、被検査シリコンウエハにはクラックが無いと判定し、被検査シリコンウエハの伝達関数の値がクラックが無いと判断できる伝達関数の値より大きい場合であれば、被検査シリコンウエハにはクラックが有ると判定する。被検査シリコンウエハにはクラックが有ると判定された場合は、信号機17に信号を出力し、信号機17のランプを点滅させることにより、被検査シリコンウエハにクラックが有ることを作業者に知らせる。
このように振動体11をシリコンウエハ10に接触させることによりこのシリコンウエハ10に振動を与え、振動体11の周波数特性とシリコンウエハ10の周波数特性から伝達関数を求め、これを予め求めておいた伝達関数と比較することにより、従来のように複数ポイントに振動を加える必要が無いため、薄いシリコンウエハにおいても与えるダメージが小さいため、新たなクラックを誘発することがない。
さらに本発明のシリコンウエハのクラック検出方法によると、一枚のシリコンウエハについて1回の検査で良いため、障害物にシリコンウエハの数カ所を当てて、この時の音を高速フーリエ変換アナライザー等で分析するものに較べ半分以下の検査時間で済むという大きな効果が得られる。
さらに高価な高速フーリエ変換アナライザーを必要としないため、検査装置も安価なものとなり、上記の効果と合わせシリコンウエハのコストダウンを図ることができる。
また本発明に係るシリコンウエハのクラック検出装置に使用する振動体11は、被検査体のシリコンウエハの厚みや大きさなどによりその振動数を最適なものに設定する必要がある。よってこのような振動体11の内部には、振動数の変更が容易な圧電素子を具備したものが使用可能である。
しかしながら圧電素子を使用した振動体11は高価なものになってしまい、シリコンウエハのクラック検査のように、その全数を対象に行う検査においてはその検出装置も多数必要となるため、安価な装置であることが望まれる。
このため本発明に係るシリコンウエハのクラック検出装置に使用する振動体11の別の実施例では、その回転が回転軸に偏芯加重を具備したプーリーをモーターにより回転させることにより得られることを特徴としている。これによりこのプーリーの直径を変更することにより振動体の振動を自在に変更することが可能となると共に高価な圧電素子を使用することがないため、振動体が安価なものとなる。
図2及び図3は本発明に係るシリコンウエハのクラック検出装置に使用する振動体11の内部の構造の一例を模式的に示したものである。この図2は振動体11の内部の平面図、図3は側面図を示す。図2、図3において20は振動体11の本体、21はモーター、22はモーターの回転軸に備えられたプーリー(以下このプーリーを一次側プーリーという)、23はモーターのリード線、24は偏芯加重、25は偏芯加重と同じ回転軸のプーリー(以下、このプーリーを二次側プーリーという)、26はベルト、27はモーターの台座部分、28は二次側プーリーの回転軸、29は二次側プーリーの回転軸の取り付け部分を示す。
これにおいてモーター21は直流用のマイクロモーターであり、台座部分27により本体20にビスなどにより固定されている。またモーター21の回転軸には一次側プーリー22が嵌め込まれている。二次側プーリーの回転軸28は、二次側プーリーの回転軸の取り付け部分29に回転自在に取り付けられ、この二次側プーリーの回転軸の取り付け部分29は本体29に固定されている。さらに二次側プーリーの回転軸28の一次側プーリー22とほぼ同じ高さには二次側プーリーが嵌め込まれており、一次側プ−リー22が回転すると二次側プーリーも回転するようにベルト26により結ばれている。また偏芯加重24は先端部におもりを備えたもので、二次側プーリーの回転軸28の上部に二次側プーリーの回転軸28が回転すると偏芯加重24も回転するようにネジなどで取り付けられている。
これにおいてモーター21が回転するとそれに合わせ一次側プーリー22が回転し、その回転はベルト26により二次側プーリー25に伝えられる。さらに二次側プーリー25の回転に合わせ偏芯加重24も回転し、偏芯加重24の回転により振動が発生する。さらにこの偏芯加重24による振動周波数は、偏芯加重24の回転数により決定されるため、一次側プーリー22と二次側プーリー25の直径を変更することによりその減速比は自在に変更することが可能となり、振動体11の振動数は簡単に変更することができ、これにより被検査体のシリコンウエハの厚みや大きさなどによりその振動数を最適なものに設定することが可能となる。
以上のような本発明に係るクラック検出方法及びクラック検出装置は、ウエハ処理工程、例えば、ドープ処理工程、電極処理工程、被膜形成工程などに投入前でも、これらのウエハ処理工程途中のものでも、ウエハ処理工程後のものでも対応可能である。特に太陽電池素子では、ウエハ処理工程が終わり、その後太陽電池モジュール工程へ投入されるが、太陽電池素子の基板であるウエハにクラックのあるものを確実に検出し取り除くことが必要であるため全数の検査が必要となる。これに対して本発明に係るクラック検出方法及びクラック検出装置は、短時間で検査ができ、どのような大きさのものにも対応可能で、さらに安価な装置であるため太陽電池素子に特に有効である。
本発明に係るシリコンウエハのクラック検出装置の一例を示す図である。 本発明に係る振動体の内部の構造の一例を模式的に示したものである。 本発明に係る振動体の内部の構造の一例を模式的に示したものである。 従来のクラック検出方法に係る装置の構成の一例を示す図である。
符号の説明
1、10:シリコンウエハ
2:障害物
3:マイクロフォン
4:アナライザー
5、15:コンピューター
11:振動体
12:弾性体
13:ピックアップセンサー
14:周波数アナライザー
17:信号用ランプ
20:振動体の本体
21:モーター
22:一次側プーリー
23:モーターのリード線
24:偏芯加重
25:二次側プーリー
26:ベルト
27:モーターの台座部分
28:二次側プーリーの回転軸
29:二次側プーリーの回転軸の取り付け部分

Claims (5)

  1. シリコンウエハに振動体を接触させることにより前記シリコンウエハに振動を与え、前記振動体の周波数特性と前記シリコンウエハの周波数特性から伝達関数を求め、これを予め求めておいた伝達関数と比較することを特徴とするシリコンウエハのクラック検出方法。
  2. シリコンウエハに振動体を接触させることにより前記シリコンウエハに振動を与え、前記振動体の周波数特性と前記シリコンウエハの周波数特性から伝達関数を求め、これを予め求めておいた伝達関数と比較することを特徴とするシリコンウエハのクラック検出装置。
  3. 前記振動体の振動が、回転軸に偏芯荷重を具備したプーリーをモーターで回転させることにより与えられることを特徴とする請求項2記載のシリコンウエハのクラック検出装置。
  4. 前記シリコンウエハが太陽電池素子であることを特徴とする請求項1記載のシリコンウエハのクラック検出方法。
  5. 前記シリコンウエハが太陽電池素子であることを特徴とする請求項2及び3記載のシリコンウエハのクラック検出装置。
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