JP2006277778A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】 CuAu型あるいはCu3Au型強磁性規則合金相からなる粒径7〜12nmの合金ナノ粒子を含む磁気記録媒体であって、次の条件式(1)を満足することを特徴とする磁気記録媒体である。
1004.8<V・Mr/Hc<2763.2 …条件式(1)
(条件式(1)中、Vは粒子体積(nm3)を示し、Mrは残留磁化(kA/m)を示し、Hcは保磁力(kA/m)を示す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、高保磁力を有する合金ナノ粒子を含む磁気記録媒体に関し、より詳しくは、変態温度が低く、かつ凝集しにくい、平滑な高保磁力の磁性層を形成することができる合金ナノ粒子を含む磁気記録媒体に関する。
磁性層に含有される磁性体の粒子サイズを小さくすることは、磁気記録密度を高くする上で重要である。例えば、ビデオテープ、コンピュータテープ、ディスク等として広く用いられている磁気記録媒体では、強磁性体の質量が同じ場合、粒子サイズがより小さい方がノイズを低く抑えることができる。
近年、磁気記録密度を高める有望な素材として、CuAu型またはCu3Au型の強磁性規則合金が開発されている。CuAu型およびCu3Au型合金は、いずれも規則化時に発生する歪みのため、結晶磁気異方性が大きく、粒子サイズを小さくし、いわゆるナノ粒子といわれる状態にしても良好な強磁性を示す。
CuAu型で最も結晶磁気異方性が高い物質はFePtである。FePtは粒径4nm以下ではCuAu型構造を取らないこと、及び粒径5nm付近の粒子が得られやすいことから粒径5nm程度の粒子での検討が行われている(例えば、非特許文献1参照。)。そして、粒径5nm程度の合金ナノ粒子を含む磁気記録媒体で検討した結果、媒体の保磁力の割に、記録ヘッドで記録しづらいという欠点を有することが明らかとなった。
一方、粒径7nm以上の粒子はポリオール還元法では種晶法、逆ミセル法では界面活性剤/水を小さくすることで得ることができる(例えば、非特許文献2参照。)。前者では再核発生、後者ではミセルの安定性が課題となり単純には粒径を大きくすることができず、粒径分布が多分散となったり、粒子毎の組成がばらついたりしやすいという課題があった。
以上のことから、合金ナノ粒子にそれぞれの問題があり、優れた電磁変換特性を有する磁気記録媒体を得ることができなかった。
Trans. Magn. Svc. Japan,4,85-88(2004) 富士フイルム研究報告 No.49−2004
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を提供することにある。
前記課題を解決する手段は以下の通りである。即ち、
<1> CuAu型あるいはCu3Au型強磁性規則合金相からなる粒径7〜12nmの合金ナノ粒子を含む磁気記録媒体であって、次の条件式(1)を満足することを特徴としている。
1004.8<V・Mr/Hc<2763.2 …条件式(1)
(条件式(1)中、Vは粒子体積(nm3)を示し、Mrは残留磁化(kA/m)を示し、Hcは保磁力(kA/m)を示す。)
<2> 前記ナノ粒子の粒径および組成の変動係数が20%以下であることを特徴とする前記<1>に記載の磁気記録媒体である。
<3> 平均表面粗さRaが2nm以下であることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の磁気記録媒体である。
本発明によれば、電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を提供することができる。
以下に、本発明の磁気記録媒体についてさらに詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。以下、先ず、本発明の磁気記録媒体に含まれる合金ナノ粒子について説明する。
<合金ナノ粒子>
本発明の磁気記録媒体に含まれる合金ナノ粒子は、CuAu型あるいはCu3Au型強磁性規則合金相からなる粒径7〜12nmの合金ナノ粒子である。
本発明に係る合金ナノ粒子を形成する金属は、特に限定されるものではないが、短周期表のVIII族から選択される少なくとも2種の金属と、短周期表のI族、III族、IV族およびV族から選択される少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。
短周期表のVIII族で構成される2元系または3元系の合金としては、例えば、FePt、FePd、FeNi、FeRh、CoNi、CoPt、CoPd、CoRh、FeNiPt、FeCoPt、CoNiPt、FeCoPd、FeNiPdなどが挙げられる。また、短周期表のI族、III族、IV族およびV族から選ばれる他の金属は、特に、Cu、Ag、B、In、Sn、Pb、P、Sb、Biなどから選ばれることが好ましい。本発明の合金ナノ粒子は、3元系以上の合金であることが好ましい。3元系以上の合金としては、例えば、FePtCu、FePtIn、FePtPb、FePtBi、FePtAg、CoPtCu、FePdCu、FeCoPtCu、FeNiPtCu、FePtCuAg、FeNiPdCuなどが挙げられる。
本発明の合金ナノ粒子を形成する各金属の含有率は、構成される金属の種類に応じて適宜決定することができる。好ましくは、短周期表のI族、III族、IV族およびV族から選択される少なくとも1種の金属の含有率が0〜35原子%であることが適当であり、10〜35原子%であることが好ましく、15〜30原子%であることがさらに好ましい。上記金属の含有率が35原子%以下であれば、アニール処理後においても合金ナノ粒子の結晶構造が強磁性を示す規則相を形成することができる。
FePt、CoPt、FePdなどの変態温度は、通常550℃以上と高い。このような高い変態温度では、ポリマー支持体に使用することはできないことはもちろんのこと、さらにガラス支持体の場合にも歪みを生ずる危険性がある。この歪みは、ヘッドを10nm以下の浮上で記録再生するハードディスクにおいて、ヘッドを破壊する場合があり、それ故、従来より変態温度の低下が望まれていた。
本発明の合金ナノ粒子は、変態温度を550℃よりも低くすることができる。特に本発明の、短周期表のVIII族から選択される少なくとも2種の金属と、短周期表のI族、III族、IV族およびV族から選択される少なくとも1種の金属とを含み、前記I族、III族、IV族およびV族から選択される少なくとも1種の金属の含有率が全体の0〜35原子%である合金ナノ粒子は、変態温度を400℃以下に低下させることができる。その結果、本発明の合金ナノ粒子を用いることにより、平滑性の高い磁気記録媒体を作製することができるほか、ポリマー支持体を使用することもできる。
また、合金ナノ粒子は実質的に球形であることが好ましい。これは針状、板状粒子に対し球形粒子の方が充填率を上げやすいからである。磁性体の充填度を上げることが出力的に有利となる。これには、球形の粒子を合成し、強磁性体を得るためアニール時に粒子を融着させないことが重要であり、異なる結晶方位の粒子が融合した多結晶粒子はノイズの原因となり本発明に好ましくない。
粒子の融合を防止するためには、非磁性の金属酸化物マトリックスは、シリカ、チタニアおよびポリシロキサンから選ばれる少なくとも1種のマトリックス剤からなることが好ましく、オルガノシリカゾル、オルガノチタニアゾルおよびシリコーン樹脂から選ばれる少なくとも1種のマトリックスを添加することが好ましい。なお、上記マトリックス剤が主成分となっていれば、これらのほかに種々の公知の添加剤を併用添加してもよい。
本発明においては、合金ナノ粒子の粒径および組成の変動係数が20%以下であることが好ましい。変動係数が20%以下であれば、保磁力の変動が小さく、磁気記録再生における出力低下やノイズの上昇が少ない。前記合金ナノ粒子の粒径および組成の変動係数は、好ましくは15%以下(2〜15%)であり、より好ましくは、10%以下(2〜10%)である。
本明細書において「粒径の変動係数」とは、円相当径での粒径分布の標準偏差を求め、これを平均粒径で除したものを意味する。また「組成の変動係数」とは、粒径の変動係数と同様に、合金ナノ粒子の組成分布の標準偏差を求め、これを平均組成で除したものを意味する。本発明においては、これらの値を100倍して%表示とする。
粒径の変動係数は、カーボン膜を貼り付けたCu200メッシュに希釈した合金ナノ粒子を載せて乾燥させ、TEM(日本電子製1200EX)で10万倍で撮影したネガを粒径測定器(カールツァイス製KS−300)で測定される算術平均粒径から算出することができる。
一方、組成の変動係数は、カーボン膜を貼り付けたNi300メッシュに希釈した合金ナノ粒子を載せて乾燥させ、FE−TEM(日立製HF−2210)で50万倍で観察しながら、FE−TEM/EDSで組成分析(粒子領域を30秒間積算し、得られたスペクトルから、EDS内蔵ソフトの Filter Fit 法を用いて、各金属の組成を原子%で算出)することにより、組成比と共に算出することができる。
<合金ナノ粒子の製造方法>
次に本発明に係る合金ナノ粒子の製造方法を説明する。
本発明に係る合金ナノ粒子は、好ましくは下記の製造方法により製造することができる。
(1)少なくとも1種の金属化合物を含有する逆ミセル溶液(I)と還元剤を含有する逆ミセル溶液(II)とを混合して還元処理を施す還元工程と、前記還元処理後に熟成処理を施す熟成工程とを有する合金ナノ粒子の製造方法。
(2)前記金属化合物に含まれる金属が、VIII族、I族、III族、IV族およびV族からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属である(1)に記載の製造方法。
(3)前記還元工程の温度が−5〜30℃である(1)または(2)に記載の製造方法。
(4)前記熟成工程の温度が30〜90℃であり、かつ前記還元の温度よりも高い温度である(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)アニール処理工程を有する(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6)前記アニール処理工程の温度が合金ナノ粒子を形成する合金の変態温度より高い温度である(5)に記載の製造方法。
本発明に係る合金ナノ粒子は、1種以上の金属化合物を含む逆ミセル溶液(I)と還元剤を含む逆ミセル溶液(II)とを混合して還元処理を施す還元工程と、前記還元処理後に熟成処理を施す熟成工程とにより製造できる。かかる製造方法により、多元系合金からなるナノ粒子が製造される。以下、各工程について説明する。
(還元工程)
まず、界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と1種以上の金属化合物を含む水溶液とを混合した逆ミセル溶液(I)を調製する。逆ミセル溶液(I)は、多元系合金を形成するのに用いられる複数種の金属塩が含有されていてもよく、また、それぞれ別々に含有させた逆ミセル溶液((I’)、(I’’)等)を調製して、それぞれを逆ミセル溶液としてもよい。例えば、VIII族の中から選択される金属を含有する逆ミセル溶液(I)とし、さらにこれとは別にI族、III族、IV族およびV族の中から選択される金属を含有する逆ミセル溶液(I’)を別々に調製しておき、適宜これらを混合して逆ミセル溶液としてもよい。
前記界面活性剤としては、油溶性界面活性剤が用いられる。具体的には、スルホン酸塩型(例えば、エーロゾルOT(和光純薬製))、4級アンモニウム塩型(例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド)、エーテル型(例えば、ペンタエチレングリコールドデシルエーテル)などが挙げられる。
前記界面活性剤を溶解する非水溶性有機溶媒として好ましいものは、アルカンおよびエーテルである。アルカンは、炭素数7〜12のアルカン類であることが好ましい。具体的には、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカンが挙げられる。一方、エーテルは、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテルが好ましい。
非水溶性有機溶媒中の界面活性剤の添加量は、20〜200g/リットルであることが好ましい。
金属化合物の水溶液に含有される金属化合物としては、硝酸塩、硫酸塩、塩酸塩、酢酸塩、塩素イオンを配位子とする金属錯体の水素酸、塩素イオンを配位子とする金属錯体のカリウム塩、塩素イオンを配位子とする金属錯体のナトリウム塩、シュウ酸イオンを配位子とする金属錯体のアンモニウム塩などが挙げられ、本発明の製造方法では、これらを任意に選択して使用することができる。
各々の金属化合物水溶液中の金属化合物としての濃度は、0.1〜2000μモル/mlであることが好ましく、1〜500μモル/mlであることがより好ましい。
得られる粒子が均一な組成を有するよう、金属化合物水溶液中にキレート剤を添加することが好ましい。具体的には、DHEG(二ヒドロキシエチルグリシン)、IDA(イミノ二酢酸)、NTP(ニトリロ三プロピオン酸)、HIDA(二ヒドロキシエチルイミノ二酢酸)、EDDP(エチレンジアミン二プロピオン酸二塩酸塩)、BAPTA(二アミノフェニルエチレングリコール四酢酸四カリウム塩水和物)などをキレート剤として使用することが好ましい。また、キレート安定度定数(logK)は、10以下であることが好ましい。
キレート剤の添加量は、金属化合物1モル当たり、0.1〜10モルであることが好ましく、0.3〜3モルであることがより好ましい。
次に、還元剤を含む逆ミセル溶液(II)を調製する。逆ミセル溶液(II)は、界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と還元剤水溶液とを混合させて調製することができる。2種以上の還元剤を用いる場合、これらを一緒に混合して逆ミセル溶液(II)としてもよいが、溶液の安定性や作業性等を考慮して、それぞれ別々に非水溶性有機溶媒に混合して、別々の逆ミセル溶液((II’)、(II’’)等)として調製し、これらを適宜混合等して使用することが好ましい。
還元剤水溶液は、例えば、アルコール類;ポリアルコール類;H2;HCHO、S26 2-、H2PO2 -、BH4 -、N25 +、H2PO3 -等と水とからなり、これらの還元剤を単独または2種以上を併用することが好ましい。水溶液中の還元剤量は、金属塩1モルに対して、3〜50モルであることが好ましい。
逆ミセル溶液(II)で用いられる界面活性剤及び非水性有機溶媒としては、逆ミセル溶液(I)で用いたものを挙げることができる。
逆ミセル溶液(I)および(II)のそれぞれに含有される水および界面活性剤の質量比(水/界面活性剤)は、20以下とすることが好ましい。質量比が20以下であれば、沈殿が発生しにくく、かつ均一の粒子を得ることができる。粒径7〜12nmの粒子を得るためには、質量比は、15以下であることがより好ましく、0.5〜10であることがさらに好ましい。
逆ミセル溶液(I)と(II)の水および界面活性剤の質量比は同一でも異なっていてもかまわないが、系を均一にするために質量比は同一であることが好ましい。
以上のようにして調製した逆ミセル溶液(I)と(II)とを混合する。混合方法は特に限定されるものではないが、還元の均一性を考慮して、逆ミセル溶液(I)を撹拌しながら、逆ミセル溶液(II)を添加して混合することが好ましい。混合終了後、還元反応を進行させることになるが、その際の温度は−5〜30℃の範囲で一定の温度とする。還元温度が−5℃以上であれば、水相が凝結することもなく還元反応を均一にすることができ、また30℃以下であれば、凝集または沈殿が起こりにくく、系を安定化させることができる。好ましい還元温度は0〜25℃であり、さらに好ましくは5〜25℃である。
ここで、前記「一定温度」とは、設定温度をT(℃)とした場合、温度がT±3℃の範囲にあることをいう。なお、このようにした場合であっても、当該Tの上限および下限は、上記還元温度(−5〜30℃)の範囲にあるものとする。
還元反応の時間は、逆ミセル溶液(I)および(II)の量等により適宜設定する必要があるが、1〜30分とすることが好ましく、5〜20分とすることがより好ましい。
還元反応は、合金の粒径分布の単分散性に大きな影響を与えるため、できるだけ高速攪拌(例えば約3000rpm以上)しながら行うことが好ましい。
好ましい攪拌装置は高剪断力を有する攪拌装置であり、詳しくは攪拌羽根が基本的にタービン型あるいはパドル型の構造を有し、さらに、その羽根の端または羽根と接する位置に鋭い刃を付けた構造であり、羽根をモーターで回転させる攪拌装置である。具体的には、ディゾルバー(特殊機化工業製)、オムニミキサー(ヤマト科学製)、ホモジナイザー(SMT製)などの装置が有用である。これらの装置を用いることにより、単分散なナノ粒子を安定な分散液として合成することができる。
前記逆ミセル溶液(I)および(II)の反応後に、アミノ基またはカルボキシ基を1〜3個有する少なくとも1種の分散剤を、作製しようとする合金ナノ粒子1モル当たりに0.001〜10モル添加することが好ましい。分散剤の添加量は、0.001〜10モルであれば、合金ナノ粒子の単分散性をより向上させることができ、かつ凝集も起こらない。
前記分散剤としては、合金ナノ粒子表面に吸着する基を有する有機化合物が好ましい。具体的には、アミノ基、カルボキシ基、スルホン酸基またはスルフィン酸基を1〜3個有するものであり、これらを単独または併用して用いることができる。
構造式としては、R−NH2、H2N−R−NH2、H2N−R(NH2)−NH2、R−COOH、HOCO−R−COOH、HOCO−R(COOH)−COOH、R−SO3H、HOSO2−R−SO3H、HOSO2−R(SO3H)−SO3H、R−SO2H、HOSO−R−SO2H、HOSO−R(SO2H)−SO2Hで表される化合物であり、式中のRは直鎖、分岐または環状の飽和または不飽和の炭化水素残基である。
分散剤として特に好ましい化合物はオレイン酸である。オレイン酸はコロイドの安定化において周知の界面活性剤であり、鉄ナノ粒子を保護するのに用いられてきた。オレイン酸の比較的長い鎖は粒子間の強い磁気相互作用を打ち消す重要な立体障害を与える(オレイン酸は18炭素鎖を有し、長さは2nm程度(20オングストローム程度)であり、二重結合を1つ有する)。オレイン酸は、例えばオリーブ油などから容易に入手できる安価な天然資源であるため好ましい。また、オレイン酸から誘導されるオレイルアミンもオレイン酸同様有用な分散剤である。
その他、エルカ酸やリノール酸など類似の長鎖カルボン酸もオレイン酸と同様に用いることができる(例えば、8〜22の炭素原子を有する長鎖有機酸を単独または組み合わせて用いることができる。)。
分散剤の添加時期は、特に限定されるものではないが、還元反応直後から下記の熟成工程開始までの間であることが好ましい。かかる分散剤を添加することで、より単分散で、凝集のない合金ナノ粒子を得ることができる。
(熟成工程)
前記還元反応が終了した後、さらに反応後の溶液を熟成温度まで昇温させる。
熟成温度は、30〜90℃の間で一定の温度とすることが好ましく、その温度は、前記還元反応の温度より高くすることが適当である。また、熟成時間は、5〜180分とすることが好ましい。熟成温度および熟成時間が上記範囲内であれば、凝集や沈殿が起こり難く、かつ反応を完結させ、組成を一定にすることができる。より好ましい熟成温度および熟成時間は40〜80℃、10〜150分であり、さらに好ましい熟成温度および熟成時間は40〜70℃、20〜120分である。
ここで、前記「一定温度」とは、還元反応の温度の場合と同義(但し、この場合、「還元温度」は「熟成温度」となる)であるが、特に、上記熟成温度の範囲(30〜90℃)内で、前記還元反応の温度より5℃以上高いことが好ましく、10℃以上高いことがより好ましい。当該温度を5℃以上高くすることにより、処方通りの組成を得ることができる。
以上のような熟成工程では、還元工程で還元析出した卑金属上に貴金属が析出する。すなわち、卑金属上でのみ貴金属の還元が起こり、卑金属と貴金属とが別々に析出することがないため、CuAu型またはCu3Au型強磁性規則合金を形成し得るナノ粒子を所望の組成どおりに、効率よく、かつ高収率で作製することができる。また、熟成時の温度で撹拌速度を適宜調整することにより、所望の粒径を有する合金ナノ粒子を作製することができる。
前記熟成を行った後は、水と1級アルコールとの混合溶液で前記熟成後の溶液を洗浄し、その後、1級アルコールで沈殿化処理を施して沈殿物を生成させ、該沈殿物を有機溶媒で分散させる洗浄・分散工程を設けることが好ましい。かかる洗浄・分散工程を設けることにより、不純物が除去され、磁気記録媒体の磁性層形成時の塗布性をより向上させることができる。
上記洗浄および分散は、少なくともそれぞれ1回、好ましくは、それぞれ2回以上行う。
洗浄で用いられる1級アルコールは、特に限定されるものではないが、メタノール、エタノール等が好ましい。水と1級アルコールの体積混合比(水/1級アルコール)は、10/1〜2/1の範囲にあることが好ましく、5/1〜3/1の範囲にあることがより好ましい。水の比率が高いと、界面活性剤が除去されにくくなることがあり、逆に1級アルコールの比率が高いと、凝集を起こしてしまうことがある。
以上のようにして、溶液中に分散した合金ナノ粒子が得られる。当該合金ナノ粒子は、単分散であるため、支持体に塗布しても、これらが凝集することなく均一に分散した状態を保つことができる。したがって、合金ナノ粒子をアニール処理を施しても、それぞれのナノ粒子が凝集することがないため、効率よく強磁性化することができ、塗布適性に優れる。
本発明においては、アニール前の合金ナノ粒子の粒径は7〜12nmであることが好ましい。磁気記録媒体として用いる場合には、合金ナノ粒子を最密充填することが記録容量を高くする上で好ましい。
合金ナノ粒子の粒径が小さすぎると、熱揺らぎのため超常磁性となり好ましくない。構成元素によって最小安定粒径が異なるが、必要な粒径を得るために、H2O/界面活性剤の質量比を変化させて合成することが有効である。
製造された合金ナノ粒子の粒径評価には透過型電子顕微鏡(TEM)を用いることができる。加熱により強磁性化した合金ナノ粒子の結晶系を決定するにはTEMによる電子線回折でもよいが、精度よく行うためにはX線回折を用いた方がよい。強磁性化した合金ナノ粒子の内部の組成分析には電子線を細く絞ることができるFE−TEM/EDSで評価することが好ましい。強磁性化したナノ粒子の磁気的性質の評価はVSMを用いて行うことができる。
後述するアニール処理を施した後の合金ナノ粒子の保磁力(Hc)は110〜1200kA/m(1382〜15079 Oe)であることが好ましく、160〜800kA/m(2010〜10052 Oe)であることがより好ましい。
合金ナノ粒子を変態温度以上に加熱する方法(アニール処理方法)は特に限定されないが、合金ナノ粒子どうしの融合を避けるために、支持体に塗布した後に加熱することが好ましい。
本発明に係る合金ナノ粒子は、変態温度が低いため、耐熱温度の低い有機支持体にも好適に使用できる。この場合、変態温度に加熱する手段として、例えばパルスレーザなどを挙げることができる。パルスレーザを用いれば、有機支持体の熱による変質や変形をより効率的に防ぐことができる。
本発明に係る合金ナノ粒子は、ビデオテープ、コンピュータテープ、フレキシブルディスク、ハードディスクなどにおいて好適に用いることができる。また、MRAMへの適用も好ましい。
<磁気記録媒体>
次に、以上の合金ナノ粒子を用いた本発明の磁気記録媒体について説明する。
本発明の磁気記録媒体は、CuAu型あるいはCu3Au型強磁性規則合金相からなる粒径7〜12nmの合金ナノ粒子を含む磁気記録媒体であって、次の条件式(1)を満足することを特徴としている。
1004.8<V・Mr/Hc<2763.2 …条件式(1)
(条件式(1)中、Vは粒子体積(nm3)を示し、Mrは残留磁化(kA/m)を示し、Hcは保磁力(kA/m)を示す。)
なお、条件式(1)において、残留磁化の単位をemu/cm3、保磁力の単位をOeで表すと下記条件式(1’)となる。
80<V・Mr/Hc<220 …条件式(1’)
(条件式(1’)中、Vは粒子体積(nm3)を示し、Mrは残留磁化(emu/cm3)を示し、Hcは保磁力(Oe)を示す。)
条件式(1)は、高記録密度を達成するための条件であり、条件式(1)を満足することにより、高出力でノイズが低くなる。条件式(1)の下限を下回ると、出力不足となり、上限を超えると遷移ノイズが増える、あるいは信号の半値幅が狭くなる。条件式(1)の下限、上限は、それぞれ、80、220であることが好ましく、90、180であることがより好ましく、90、150であることがさらに好ましい。
条件式(1)中の、V、Mr、Hcは以下の条件により測定して得られる値である。粒子体積Vは、前記「粒径の変動係数」の説明において示した算術平均粒径から、粒子が球であることと仮定して求めることができる。また、残留磁化Mr及び保磁力Hcは、振動型磁力計(VSM)を用いて測定して得られる値である。
本発明において、条件式(1)を満足させるには、まず、粒子体積Vは、例えば粒子を逆ミセル法で形成する場合は、水/界面活性剤比を変えることにより所望の粒径にすることで、ポリオール法では種晶法を用いることができる。残留磁化Mrは酸化後の還元雰囲気下でのアニールにおいて、還元の程度を変えることで、非磁性部分を残すことにより調整することができる。保磁力Hcはアニール温度、時間で規則結晶の規則化度を変えることで調整することができる。
磁気記録媒体の平均表面粗さは小さいほうが、ノイズが小さくなり好ましい。そこで本発明の磁気記録媒体においては、平均表面粗さ(Ra)は2nm以下が好ましく、1nm以下であることがより好ましい。Raが低すぎるとヘッドと媒体が貼り付く場合があり、0.3nm以上であることが好ましい。
本発明者の検討によれば粒径が大きくなると、媒体表面が粗くなる傾向にあった。本発明に好ましい上記表面性を得るには前期マトリックス剤の添加が有効であり、オレイン酸、オレイルアミンを添加することでも達成可能であった。
本発明の磁気記録媒体は、少なくとも支持体上に既述の合金ナノ粒子を含有する磁性層を有し、さらに必要に応じて他の層を有する。前記磁性層は、既述の合金ナノ粒子を分散した塗布液(合金粒子含有液)を支持体上に塗布し、アニール処理を施して形成される。
すなわち、既述の合金ナノ粒子を用いた磁気記録媒体は、支持体表面に合金ナノ粒子を含有する磁性層を有し、さらに必要に応じて磁性層と支持体の間に非磁性層が設けられたり、ディスクの場合では支持体の反対側の面にも同様に磁性層、必要に応じ磁性層と非磁性層が設けられたりする。テープの場合では、磁性層の反対側の支持体上にはバックコート層が設けられる。
以下、本発明の磁気記録媒体の作製方法を詳細に説明する。
合金ナノ粒子を分散した塗布液は、既述の本発明に係る合金ナノ粒子を含んだ状態の溶液を使用することができる。実際には、この合金ナノ粒子を含有する塗布液に公知の添加剤や種々の溶媒などを加えて、合金ナノ粒子の含有量を所望の濃度(例えば0.01〜0.1mg/ml)とすることが好ましい。
前記塗布液を支持体上に塗布して、下層塗布層あるいは磁性層を形成する。本発明の磁気記録媒体の製造は、例えば、支持体の表面に前記塗布液を、好ましくは磁性層の乾燥後の層厚が5〜200nmの範囲内、より好ましくは5〜100nmの範囲内になるように塗布する。この塗布は、複数の塗布液を逐次あるいは同時に重層塗布してもよい。
塗布液を支持体上に塗布する方法としては、例えば、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコートなどを挙げることができ、中でもスピンコート、ブレードコート、含浸コートが好ましい。
磁気記録媒体で用いられる支持体は、無機物および有機物のいずれをも使用することができる。無機物の支持体としては、Al、Al−Mg合金、Mg−Al−ZnなどのMg合金、ガラス、石英、カーボン、シリコン、セラミックスなどを用いることができる。これらの支持体は、耐衝撃性に優れ、また薄型化や高速回転に適した剛性を有する。また、有機物支持体と比べて熱に強い特徴を有している。
有機物の支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルロ−ストリアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド(脂肪族ポリアミドやアラミド等の芳香族ポリアミドを含む)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、ポリベンゾオキサゾールなどを用いることができる。
アニール処理前の本発明の合金ナノ粒子は不規則相であるため、強磁性を発現させるためには、アニール処理して規則相とする必要がある。アニール処理としては、合金ナノ粒子の融着防止のため塗布後に基板を加熱することが好ましい。アニール処理における加熱温度は、示差熱分析(DTA)を用いて、合金ナノ粒子を構成する合金の規則−不規則変態温度を求め、その温度より高い温度とすることが必要である。
有機物の支持体を用いる場合、アニール処理は、既述したパルスレーザによる磁性層のみを加熱する方法が有効である。パルスレーザを用いる場合、レーザ波長は紫外から赤外まで用いることができるが、有機物の支持体は紫外域に吸収を持つことから、可視から赤外域のレーザ光を用いることが好ましい。
パルスレーザのレーザ出力は、塗布膜を短時間で加熱するため、0.1W以上が好ましく、0.3W以上がより好ましい。出力が高すぎると有機物支持体も熱の影響を受けることがあるため、3W以下が好ましい。
パルスレーザのレーザ波長及びレーザ出力の観点から、好ましく用いられるパルスレーザとしては、Arイオンレーザ、Cu蒸気レーザ、HF化学レーザ、色素レーザ、ルビーレーザ、YAGレーザ、ガラスレーザ、チタンサファイアレーザ、アレキサンドライトレーザ、GaAlAsアレイ半導体レーザなどが挙げられる。
レーザ光を走査する際の線速度は、アニールが十分に起こり、かつアブレーションを起こさないという効果を得るため、1〜10m/秒であることが好ましく、2〜5m/秒であることがより好ましい。
磁気記録媒体において、前記磁性層上に非常に薄い保護層を形成して耐磨耗性を改善し、さらにその上に潤滑剤を塗布して滑り性を高めることによって、十分な信頼性を確保することが有効である。
前記保護層としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化コバルト、酸化ニッケルなどの酸化物;窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒化物;炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素等の炭化物;グラファイト、無定型カーボンなどの炭素からなる保護層が挙げられるが、好ましくは、炭素からなるカーボン保護層である。また、カーボン保護層でも、一般にダイヤモンドライクカーボンと呼ばれる硬質の非晶質カーボンが特に好ましい。
前記カーボン保護層の製造方法として、ハードディスクの場合、スパッタ法が一般的であるが、ビデオテープ等の連続成膜を行う必要のある製品ではより成膜速度の高いプラズマCVDを用いる方法が多数提案されている。中でもプラズマインジェクションCVD(PI−CVD)法は成膜速度が非常に高く、得られるカーボン保護層も硬質かつピンホールが少ない良質な保護層が得られると報告されている(例えば、特開昭61−130487号公報、特開昭63−279426号公報、特開平3−113824号公報等)。
前記カーボン保護層は、ビッカース硬度で1000kg/mm2以上、好ましくは2000kg/mm2以上の硬質のカーボン膜である。また、その結晶構造はアモルファス構造であり、かつ非導電性である。そして、カーボン保護層として、ダイヤモンド状炭素膜を使用した場合、その構造をラマン光分光分析によって測定した場合には、1520〜1560cm-1にピークが検出されることによって確認することができる。層の構造がダイヤモンド状構造からずれてくるとラマン光分光分析により検出されるピークが上記範囲からずれるとともに、膜の硬度も低下する。
前記カーボン保護層を作製するための原料としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン等のアルカン;エチレン、プロピレン等のアルケン;アセチレン等のアルキンをはじめとした炭素含有化合物を用いることができる。また、必要に応じてアルゴンなどのキャリアガスや膜質改善のための水素や窒素などの添加ガスを加えることができる。
前記カーボン保護層の層厚が厚いと、電磁変換特性の悪化や磁性層に対する密着性の低下が生じ、層厚が薄いと耐磨耗性が不足する。このため、カーボン保護層の膜厚は、2.5〜20nmであることが好ましく、5〜10nmであることがより好ましい。また、このカーボン保護層と支持体となる強磁性金属薄膜の密着性を改善するために、あらかじめ強磁性金属薄膜表面を不活性ガスでエッチングしたり、酸素などの反応性ガスプラズマにさらして表面改質したりすることもできる。
磁性層は電磁変換特性を改善するため重層構成としてもよい。また、非磁性下地層や中間層を有していてもよい。
本発明の磁気記録媒体において、走行耐久性および耐食性を改善するため、上記磁性層もしくは保護層上に潤滑剤や防錆剤を付与することが好ましい。添加する潤滑剤としては公知の炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、極圧添加剤などが用いられる。
炭化水素系潤滑剤としては、ステアリン酸、オレイン酸等のカルボン酸類;ステアリン酸ブチル等のエステル類;オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸類;リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類;ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール類;ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類;ステアリルアミン等のアミン類などが挙げられる。
フッ素系潤滑剤としては、上記炭化水素系潤滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤滑剤が挙げられる。
パーフルオロポリエーテル基としては、パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピレンオキシド重合体(CF2CF2CF2O)n、パーフルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF3)CF2O)nまたはこれらの共重合体等が挙げられる。また、末端や分子内に水酸基、エステル基、カルボキシル基などの極性官能基を有する化合物が摩擦力を低減する効果が高く好適である。この分子量は500〜5000であることが好ましく、1000〜3000であることがより好ましい。分子量が500以上であれば、揮発性が高くなり、潤滑性が低くなることがないため好ましい。また、分子量が5000以下であれば、適度の粘度が得られ、スライダーとディスクが吸着し、走行停止やヘッドクラッシュなどが発生することもない。
前記パーフルオロポリエーテルで置換した潤滑剤の具体例としては、例えば、アウジモンド社からFOMBLIN、デュポン社からKRYTOXなどの商品名で市販されているものを挙げることができる。
極圧添加剤としては、リン酸トリラウリル等のリン酸エステル類、亜リン酸トリラウリル等の亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸トリラウリル等のチオ亜リン酸エステルやチオリン酸エステル類、二硫化ジベンジル等の硫黄系極圧剤などが挙げられる。
上記潤滑剤は単独もしくは複数を併用して使用される。これらの潤滑剤を磁性層もしくは保護層上に付与する方法としては、潤滑剤を有機溶剤に溶解し、ワイヤーバー法、グラビア法、スピンコート法、ディップコート法等で塗布するか、真空蒸着法によって付着させればよい。
防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、プリン、ピリミジン等の窒素含有複素環類およびこれらの母核にアルキル側鎖等を導入した誘導体、ベンゾチアゾール、2−メルカプトンベンゾチアゾール、テトラザインデン環化合物、チオウラシル化合物等の窒素および硫黄含有複素環類およびこの誘導体等が挙げられる。
本発明で用いられる支持体の磁性層が形成されていない面にバックコート層(バッキング層)が設ける場合の当該バックコート層は、支持体の磁性層が形成されていない面に、研磨材、帯電防止剤などの粒状成分と結合剤とを有機溶剤に分散したバックコート層形成塗料を塗布して設けることができる。
粒状成分としては、各種の無機顔料やカーボンブラックを使用することができ、また結合剤としてはニトロセルロース、フェノキシ樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン等の樹脂を単独またはこれらを混合して使用することができる。
なお、支持体のナノ粒子の分散液およびバックコート層形成塗料の塗布面に接着剤層が設けられていてもよい。
以上のような磁気記録媒体は、表面の中心線平均粗さが、カットオフ値0.25mmにおいて0.1〜5nm、好ましくは1〜4nmの範囲という極めて優れた平滑性を有する表面であることが高密度記録用の磁気記録媒体として好ましい。このような表面とするためには、磁性層を塗布した後にカレンダー処理を施すことが好ましい。また、バーニッシュ処理を施してもよい。
また、得られた磁気記録媒体は、打ち抜き機で打ち抜くまたは裁断機などを使用して所望の大きさに裁断して使用することができる。
本発明を以下に示す実施例を基に、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔磁性体1〜6の作製〕
高純度N2ガス中で下記の操作を行った。
三シュウ酸三アンモニウム鉄(Fe(NH43(C243)(和光純薬製)0.35gと塩化白金酸カリウム(K2PtCl4)(和光純薬製)0.35gとをH2O(脱酸素処理済み)24mlに溶解した金属塩水溶液に、それぞれ、表1記載の量のエーロゾルOTをデカン80mlに溶解したアルカン溶液を添加、混合して逆ミセル溶液(I)を調製した。
NaBH4(和光純薬製)0.57gをH2O(脱酸素処理済み)12mlに溶解した還元剤水溶液に、それぞれ表1記載の量のエーロゾルOT(和光純薬製)をデカン(和光純薬製)40mlに溶解したアルカン溶液を添加、混合して逆ミセル溶液(II)を調製した。
逆ミセル溶液(II)を22℃の温度でオムニミキサー(ヤマト科学製)で高速攪拌しながら、逆ミセル溶液(I)を瞬時に添加した。添加終了5分後に、マグネチックスターラー攪拌に変更して、40℃に昇温した後、120分間熟成した。室温に冷却後、オレイン酸(和光純薬製)2mlを添加、混合して、大気中に取出した。逆ミセルを破壊するために、H2O200mlとメタノール200mlとの混合液を添加して水相と油相とに分離した。油相側に金属ナノ粒子が分散した状態が得られた。油相側をH2O600ml+メタノール200mlで5回洗浄した。その後、メタノールを1300ml添加して合金ナノ粒子にフロキュレーションを起こさせて沈降させた。上澄み液を除去して、ヘプタン(和光純薬製)20mlを添加して再分散した後、メタノール100ml添加で沈降させた。これを2回繰り返して、最後にヘプタン(和光純薬製)5mlとオレイン酸100μlとオレイルアミン100μlを添加して表1に示す粒径および組成を有するFePtナノ粒子分散液(磁性体1〜6)を得た。
〔磁性体7〕
磁性体2、4の作製において、逆ミセル溶液(II)を室温(25℃)でマグネチックスターラー攪拌しながら、逆ミセル溶液(I)を瞬時に添加して還元反応を起こさせ、そのままの温度で120分熟成した以外は同様にして、それぞれ、 表1に示す粒径および組成を有するFePtナノ粒子分散液(磁性体7)を作製した。
Figure 2006277778
次いで、真空脱気を行って、調製した合金粒子含有液を濃縮し、デカンを加え希釈し4質量%とした。その後、マトリックス剤として東レ製トレフィルR910をデカン溶液に溶解し1質量%とした液を、合金粒子含有液1mlあたり162μl加えた攪拌した後、クリーンルーム内でフィルターろ過を行い塗布液とした。
[実施例1〜9、比較例1〜5]
次いで、以下の基板を準備し、それぞれ表2に示すように、磁性体、アニール温度などを異ならせて、実施例1〜9、比較例1〜5の磁気記録媒体を作製した。なお、表2において、条件式(1)におけるMrの単位をemu/cm3、HcをOeとした場合の値を〔〕内に示す。
(基板)
HD用ガラス基板(東洋鋼鈑製65/20−0.635tガラス・ポリッシュ・サブスト)を純水で洗浄した後、40℃で乾燥した。
(合金粒子含有液の塗布)
前記HD用ガラス基板に対し、合金粒子含有液をスピンコータで塗布し、200℃25分乾燥した。この時、塗膜の厚みは50nmであった。
(アニール処理)
塗布後、昇温速度を50℃/minとし5%H2+95%Ar雰囲気下の赤外線イメージ炉で表2記載のアニール温度で30分間加熱し、50℃/minで室温まで降温してアニール処理を施し、合金ナノ粒子を含有する磁性層(膜厚:50nm)を形成し、磁気記録媒体を作製した。
(保護層)
アニール後、400WのRfスパッタでカーボン保護層を形成した。この時の層厚は10nmであった。
(バーニッシュ処理)
下記のバーニッシュヘッドを用い、磁気記録媒体を7200rpmで回転させながらバーニッシュ処理を行った。
バーニッシュヘッド仕様(グライドシグナス社)
スライダー :24pads
荷重 :5g
サスペンション :Type 2030
Z−height :29mil(0.7366mm)
(潤滑剤層)
磁気記録媒体表面をフロリナート FC72(住友スリーエム社製)で洗浄後乾燥した。フォンブリンZゾル(アウジモント社製)を溶媒 フロリナート FC72で1質量%とした後、磁気記録媒体をディップコータで10mm/minで引き上げながら塗布した。
以上の工程により、実施例1〜9、比較例1〜5の磁気記録媒体を作製した。
[評価]
(粒径評価)
磁気記録媒体の磁性層から、スパチェラにより磁性粒子を掻き落して、体積平均粒径評価を行った。結果を下記表2に示した。TEM(JEM−2000FX JEOL製)を用い、測定した。
(磁気特性)
磁気特性は、磁性層を基板ごと測定した。東英工業製の高感度磁化ベクトル測定機と同社製DATA処理装置を使用し、印加磁場790kA/m(10kOe)の条件で行った。
(表面性)
表面性の評価はAFM(NanoScope III DigitalInstruments製)を用い、平均表面粗さ(Ra)を測定して行った。
(電磁変換特性)
電磁変換特性は協同電子社製スピンスタンドLS90、及びリングヘッドを用い磁気記録媒体の半径25mmの位置で記録再生を行った。書き込み電流は10mAであった。磁気記録媒体の回転数は7200rpmとした。
出力、SNRは実施例1を1とした相対値で表した。
なお、比較例4、5は表面性が粗く、スピンスタンドでの測定を行うことができなかった。
Figure 2006277778
表2より、実施例1〜9の磁気記録媒体は、出力及びSNRとも同等であったのに対し、比較例1〜5の磁気記録媒体は、実施例よりも劣っていたことが分かる。

Claims (3)

  1. CuAu型あるいはCu3Au型強磁性規則合金相からなる粒径7〜12nmの合金ナノ粒子を含む磁気記録媒体であって、次の条件式(1)を満足することを特徴とする磁気記録媒体。
    1004.8<V・Mr/Hc<2763.2 …条件式(1)
    (条件式(1)中、Vは粒子体積(nm3)を示し、Mrは残留磁化(kA/m)を示し、Hcは保磁力(kA/m)を示す。)
  2. 前記合金ナノ粒子の粒径および組成の変動係数が20%以下であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 平均表面粗さRaが2nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
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