JP2006273786A - グループbソヤサポニン類を含む組成物およびその組成物の経口摂取による糖尿病治療・予防方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】大豆に含まれる糖尿病の治療・予防に効果のある成分を、探索し特定する事と、インスリン非依存性糖病に対する薬物療法でしばしば見られる低血糖による昏睡状態の危険のない薬物成分を提供する。
【解決手段】糖尿病を治療・予防するためのグループBソヤサポニン類を有効成分として含有する組成物、並びに、インスリン非依存性糖尿病に対する薬物療法でしばしば見られる低血糖を起こさないグループBソヤサポニン類の経口摂取にによる血糖低下法および健康食品。さらに、グループBソヤサポニン類は肝臓β酸化遺伝子発現促進作用、肝臓脂肪酸合成酵素遺伝子発現抑制作用、SREBP−1c遺伝子発現抑制作用、脂肪細胞レプチン遺伝子発現促進作用、血中レプチン分泌促進作用および脂肪細胞アディポネクチン遺伝子発現促進作用を有する。
【選択図】図12
【解決手段】糖尿病を治療・予防するためのグループBソヤサポニン類を有効成分として含有する組成物、並びに、インスリン非依存性糖尿病に対する薬物療法でしばしば見られる低血糖を起こさないグループBソヤサポニン類の経口摂取にによる血糖低下法および健康食品。さらに、グループBソヤサポニン類は肝臓β酸化遺伝子発現促進作用、肝臓脂肪酸合成酵素遺伝子発現抑制作用、SREBP−1c遺伝子発現抑制作用、脂肪細胞レプチン遺伝子発現促進作用、血中レプチン分泌促進作用および脂肪細胞アディポネクチン遺伝子発現促進作用を有する。
【選択図】図12
Description
本発明は、通常の生活を営みながら高血糖を予防または改善し得るグループBソヤサポニン類を含む組成物およびそれの経口摂取による使用により糖尿病を治療・予防する方法に関する。
糖尿病は、膵臓のインスリンを作り出す細胞(β細胞)が破壊されてしまい、インスリン分泌がほぼゼロになってしまうI型糖尿病(インスリン依存性)とインスリン分泌が低下はしているもののゼロではなく、インスリン抵抗性(細胞のインスリン感受性が低下した状態)により、作用が不足しているII型糖尿病(インスリン非依存型)がある。インスリン抵抗性物質にはTNF−α、脂質および遊離脂肪酸等がある。
肝臓ではインスリン受容体にインスリンが結合すると、受容体と共役しているinsulin receptor substrate 2(IRS−2)が刺激され、さらにPI3キナーゼの活性化が起こりglucose transporter 4(GULU 4)が膜面に移動し、グルコースを細胞内へ運ぶ。筑波大学の山田信博教授らは肝臓において、sterol regulatory element binding proteins(SREBP−1c)がIRS−2の転写を阻害する事実を発見した。つまり、SREBP−1cが増加すると、IRS−2の発現が抑制されることによりインスリンシグナルの伝達阻害が起こり、インスリン抵抗性となる。本来、SREBP−1cはコレステロールや中性脂肪を増加させ高脂血症を誘発する物質であるが、インスリン感受性にも関与することが明らかにされた。したがって、SREBP−1cは高脂血症に関わるだけでなく、インスリン抵抗性も誘発するのでSREBP−1cの減少がインスリン抵抗性を改善すると考えられる(非特許文献1)。
現在、食事の過剰摂取、運動不足による余剰カロリーにより肥満者が増加する傾向にあり、肥満は体脂肪の過剰な蓄積状態と定義され、糖尿病、高血圧症、高脂血症を伴うことよりメタボリック症候群(メタボリックシンドローム)発症の基盤病態と考えられている。最近の研究により、単なるエネルギー貯蔵臓器としてとらえられてきた脂肪組織から、ホルモン、サイトカインなどの種々の生理活性物質(アディポサイトカイン)が分泌されていることが明らかとなり、最大の内分泌臓器として認識されるようになった。
レプチンは主に脂肪細胞より分泌されるホルモンであり、視床下部を介して強力な摂食抑制およびエネルギー消費亢進をもたらし、肥満を抑制する(非特許文献2)。
アディポネクチンは、脂肪細胞に高発現し、脂肪組織特異的な30kDaの分泌タンパク質である。血清中タンパク質濃度は肥満糖尿病マウスや肥満や2型糖尿病の患者において減少しており、これらの病態に関与していることが示唆されている(非特許文献3、4)。実際にマウスに対してアディポネクチンを皮下投与した場合、血糖降下作用、血清脂質低下作用が認められることが報告されている他、グロビュラーアディポネクチンを高発現させたob/obマウスでは、非トランスジェニックob/obマウスと比較して、空腹時血糖ならびに糖負荷後の血糖値が共に有意に低下しており、グロビュラーアディポネクチンが抗糖尿病作用、血清脂質低下作用を有することが示されている(非特許文献5、6)。
インスリン非依存性糖尿病に対して以下の薬物療法が用いられている。
1)糖質の吸収阻害:炭水化物の加水分解を阻害し、消化管でのグルコース、フルクトースへの分解を抑制することで糖質吸収を直接阻害する。例…α−グルコシダーゼ阻害薬(ボグリボース等)。
2)インスリンの分泌不良改善:すい臓ランゲルハウス島β−細胞からのインスリンの分泌を促す。例…SU剤(トルブタマイド)。
3)インスリン抵抗性の改善:細胞のグルコース取り込みを改善する。例…ビグアナイド剤(ジメチルビグアナイド)、インスリン抵抗性改善薬(トログリタゾン)。
糖尿病治療薬は、低血糖症状を招くことがあり、用量・用法を正しく守ることが重要である。
大豆の経口摂取による糖尿病治療・予防効果に関して、その有効成分としてトリプシンインヒビターが推定されており、さらに、大豆イソフラボン(特願2003−211、特願2003−196)およびピニトール(特開2001−261554、特表平11−502223)が報告されている。
ソヤサポニンの生理学的効果については、過酸化脂質上昇抑制作用、肝臓障害発生抑制作用、血清脂質改善作用が報告されている。しかしながら、ソヤサポニンが糖尿病に対し有効であることについては知られていない。本発明は、この新知見に基づき完成したものである。
Nature Cell Biology 6:351−357,2004 Nature 395:763-770,1996 J.Biol.Chem.271:10697−10703,1996 Biochem.Biophys.Res.Commun.257:79−83,1999 Nat.Med.7:941−946,2001 J.Biol.Chem.278:2461−2468,2003
Nature Cell Biology 6:351−357,2004 Nature 395:763-770,1996 J.Biol.Chem.271:10697−10703,1996 Biochem.Biophys.Res.Commun.257:79−83,1999 Nat.Med.7:941−946,2001 J.Biol.Chem.278:2461−2468,2003
本発明が解決しようとする課題は、大豆に含まれる糖尿病の治療・予防に効果のある成分を、探索し特定することと、インスリン非依存性糖尿病に対する薬物療法でしばしば見られる低血糖による昏睡状態の危険のない薬物成分を、大豆成分の中から探索して特定することにある。
本発明においては、上述の課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の請求項1〜請求項9に記載したように、
哺乳動物において高血糖状態を予防または処置することに効果的な用量のグループBソヤサポニン類を含む組成物。
請求項1のグループBソヤサポニン類を含む組成物を経口摂取することを特徴とする血糖値低下法。
グループBソヤサポニン類を配合した糖尿病の治療・予防用の健康食品。
請求項1のグループBソヤサポニン類を含む組成物からなる肝臓β酸化遺伝子発現促進剤。
請求項1のグループBソヤサポニン類を含む組成物からなる肝臓脂肪酸合成酵素遺伝子発現抑制剤。
請求項1のグループBソヤサポニン類を含む組成物からなる肝臓sterol regulatory element binding proteins(SREBP−1c)遺伝子発現抑制剤。
請求項1のグループBソヤサポニン類を含む組成物からなる脂肪細胞レプチン遺伝子発現促進剤。
請求項1のグループBソヤサポニン類を含む組成物からなる血中レプチン分泌促進剤。
請求項1のグループBソヤサポニン類を含む組成物からなる脂肪細胞アディポネクチン遺伝子発現促進剤。
の手段を提起するものである。
哺乳動物において高血糖状態を予防または処置することに効果的な用量のグループBソヤサポニン類を含む組成物。
請求項1のグループBソヤサポニン類を含む組成物を経口摂取することを特徴とする血糖値低下法。
グループBソヤサポニン類を配合した糖尿病の治療・予防用の健康食品。
請求項1のグループBソヤサポニン類を含む組成物からなる肝臓β酸化遺伝子発現促進剤。
請求項1のグループBソヤサポニン類を含む組成物からなる肝臓脂肪酸合成酵素遺伝子発現抑制剤。
請求項1のグループBソヤサポニン類を含む組成物からなる肝臓sterol regulatory element binding proteins(SREBP−1c)遺伝子発現抑制剤。
請求項1のグループBソヤサポニン類を含む組成物からなる脂肪細胞レプチン遺伝子発現促進剤。
請求項1のグループBソヤサポニン類を含む組成物からなる血中レプチン分泌促進剤。
請求項1のグループBソヤサポニン類を含む組成物からなる脂肪細胞アディポネクチン遺伝子発現促進剤。
の手段を提起するものである。
以上のことから、グループBソヤサポニンを継続摂取することにより、ヒトにおける空腹時血糖値を低下でき、さらに、耐糖能を改善して食後(糖負荷後)血糖値の上昇を抑制できることがわかった。この効果は、従来大豆の血糖値低下成分として報告されているピニトールまたは大豆イソフラボンとは無関係に発揮されるものであり、さらに、ピニトールまたは大豆イソフラボンよりも優れた効果を発揮する。また、グループBソヤサポニンの継続摂取により、血糖値が極端に下がりすぎることもなく、低血糖状態を招く恐れがないことから、極めて安全に使用できるとういう特徴がある。従って、グループBソヤサポニン画分を含有する組成ものは、糖尿病の治療・予防に有効である。
本発明は、大豆の胚軸部を溶媒抽出および各種クロマトグラフィーを組合せて分画し、その画分について実験動物を用いて血糖値低下作用を確認しながら、血糖値低下成分を特定し、更に、作用機序として、肝臓β酸化遺伝子発現促進、肝臓脂肪酸合成酵素遺伝子発現抑制、肝臓SREBP−1c遺伝子発現抑制、脂肪細胞レプチン遺伝子発現促進、脂肪細胞アディポネクチン遺伝子発現促進、血中レプチン分泌促進を解明し、完成に至ったものである。
ソヤサポニンは、大豆から初めて単離され、その構造が決定された。それらの構造は、化1に示すようにソヤサポゲノールA、ソヤサポゲノールB、ソヤサポゲノールE、DDMP(2,3−ジヒドロ−2,5−ジヒイドロオキシ−6−メチル−4H−ピラン−4−オン)−ソヤサポゲノールBをアグリコンとする多種のソヤサポニンが存在し、アグリコンの種類に基づいて、それぞれグループAソヤサポニン、グループBソヤサポニン、グループEソヤサポニン、DDMPソヤサポニンに分類できる。
本発明の血糖値低下作用を有するソヤサポニン類は、化2に示すようなソヤサポゲノールB、ソヤサポゲノールEまたはDDMP−ソヤサポゲノールBをアグリコンとし、それらのC−3位に化2に示す糖鎖(R1)が結合した配糖体である。
ソヤサポゲノールAをアグリコンとするグループAソヤサポニンが、大豆だけに存在するのに対して、ソヤサポゲノールB、ソヤサポゲノールEまたはDDMP−ソヤサポゲノールBをアグリコンとするソヤサポニン類は、アズキ等のマメ科植物にも存在する。従って、この発明のソヤサポニン類は、大豆由来に限定されるものではない。
以下、本発明の実施の態様を、実施例を挙げてグループBソヤサポニン類の血糖値低下作用について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例だけに限定されるものではない。
大豆種子は、子葉部、胚軸部および種皮部から構成されており、特に胚軸部の配糖体成分含量率が子葉部の10〜20倍高いことが知られている。大豆胚軸部のソヤサポニン含量は0.5〜1.9%、大豆イソフラボン含量は、0.1〜1.5%であり、品種および栽培年度により大きく変動する。胚軸中に存在する血糖値低下作用のある成分を特定するために以下のように胚軸成分を分画して、各画分の効果を調べた。
大豆胚軸に3倍量の50%水溶性メタノールを加え、一晩室温で抽出後、減圧ろ過によりろ液を得た。ろ液をスプレードライヤーで乾燥して粉末化した(50%メタノール抽出画分)。この画分は、全イソフラボン成分としては約3%、全ソヤサポニン成分として5〜10%含まれており、残りのほとんどがピニトールおよび大豆オリゴ糖である。
オクタデシルシリル(ODS)樹脂を充填した分取用カラム(φ50×450mm)を装着したGL Science社製の分取用HPLCシステムを使用した。分取用HPLCシステムのカラムを水で平衡化してから、実施例1の50%メタノール抽出画分50gを水に溶解して300gとした水溶液をカラムに供給した。水で非吸着成分を洗い流してから、90%水溶性メタノール画分(粗イソフラボン画分および粗ソヤサポニン画分)を溶出し含まれる成分は、薄層クロマトグラフィー(TLC)および高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により確認した。
糖尿病モデルマウス(KK−Ay/Ta)を使用して、90%水溶性メタノール画分(粗イソフラボン画分および粗ソヤサポニン画分)の血糖値上昇抑制効果を調べた。飼料は以下の組成を混合し自由に摂取させ定期的に血糖値を測定した。血糖値はMediSenseエキストライージーセンスG3血糖測定電極を用いて測定した。飼料組成:試料1.3重量% カゼイン20 セルロース2.7Mineral Mixture AIN76(オリエンタル酵母工業株式会社製)3.5 Vitamin Mixture AIN76(オリエンタル酵母工業株式会社製)1 DL−メチオニン0.3 重酒石酸コリン0.2 コーンオイル7 シュクロース10 α−ポテト澱粉 54を均一に混合して与えた。対照はセルロース4とした。更に、投与15日後グルコース(1.5g/kg)負荷試験を行い血糖値とインスリンを測定した。インスリン濃度はレビス(登録商標)インスリン−マウスEIAキット(Uタイプ)(シバヤギ(株)製)を用い測定した。
実験の結果、90%水溶性メタノール画分(粗イソフラボン画分および粗ソヤサポニン画分)を1.3%餌に混合した飼料で飼育したマウスで、2日目以降に有意(P<0.05)な血糖値上昇抑制効果が認められた(図1)。この結果は、大豆胚軸の血糖値低下成分として報告されているピニトールよりも90%水溶性メタノール画分(粗イソフラボン画分および粗ソヤサポニン画分)がより血糖値低下活性が高いことを示している。
試験飼料を15日間投与後、グルコース(1.5g/kg)糖負荷試験を行った。その結果(図2)、90%水溶性メタノール画分(粗イソフラボン画分および粗ソヤサポニン画分)を与えたマウスでは、投与後30分および1時間後で対照と比較して血糖値の上昇が有意に(P<0.05)抑制された。投与前のインスリンレベルは同値を示していたが投与1時間後、90%水溶性メタノール画分を与えたマウスで有意(P<0.05)に低値を示した(図3)。従って、対照群よりも低い血糖値およびインスリンレベルであることから、II型糖尿病ラットの耐糖能を是正していると考えられた。
実施例2の90%水溶性メタノール画分(粗イソフラボン画分および粗ソヤサポニン画分)をメタノールに溶解してSephadex LH−20カラム(5×64cm)に供し、100%メタノールで溶出した。溶出液をフラクションコレクターで15gずつ分画した。各分画画分をTLCで調べて、グループAソヤサポニン画分、グループBソヤサポニン画分(グループEソヤサポニンおよびDDMPソヤサポニンを含む)および粗イソフラボン画分をそれぞれ集め、濃縮乾固後、凍結乾燥して粉末とした。その結果、90%水溶性メタノール画分(粗イソフラボン画分および粗ソヤサポニン画分)の約50%がグループAソヤサポニン画分、14%がグループBソヤサポニン画分で粗イソフラボン画分は5%であった。
糖尿病モデルマウス(KK−Ay/Ta)を使用して、グループAソヤサポニン画分およびグループBソヤサポニン画分の血糖値上昇抑制効果を調べた。飼料は以下の組成を混合し自由に摂取させ定期的に血糖値を測定した。飼料組成:試料0.5重量% カゼイン 20 セルロース 3.5 Mineral Mixture AIN76(オリエンタル酵母工業株式会社製)3.5Vitamin Mixture AIN76(オリエンタル酵母工業株式会社製)1 DL−メチオニン0.3 重酒石酸コリン0.2 コーンオイル7 シュクロース10 α−ポテト澱粉 54を均一に混合して与えた。対照はセルロース4とした。更に、投与20日目に空腹時血糖、インスリンおよびレプチンを測定した。血糖値はMediSenseエキストライージーセンスG3血糖測定電極を用いインスリン濃度はレビス(登録商標)インスリン−マウスEIAキット(Uタイプ)(シバヤギ(株)製)を用い血中レプチンはマウスレプチンEIAキット(森永乳業(株)製)を用いて測定した。
その結果、投与5日目以降に有意(P<0.05)に、グループBソヤサポニン画分を投与したマウスで血糖値上昇抑制が確認され、19日目まで血糖値上昇抑制を確認できた(図4)。
投与20目に血糖(空腹時)は同じレベルであったが、インスリンはグループBソヤサポニン画分が対照と比べ有意(P<0.01)に低値を示し(図5)、レプチンは有意(P<0.05)に高値を示した(図6)。
以上の結果から、大豆胚軸中の血糖値上昇抑制作用は、グループBソヤサポニン画分(グループEソヤサポニンおよびDDMPソヤサポニンを含む)に活性がありインスリン抵抗性を改善していることが明らかとなった。
実施例5のグループBソヤサポニン画分を投与したマウスの肝臓β酸化遺伝子(acyl−Coenzyme A oxidase 1)発現、肝臓脂肪酸合成酵素遺伝子(fatty acid synthase)発現、肝臓インスリン感受性改善遺伝子(SREBP−1c)発現、脂肪細胞レプチン遺伝子発現および脂肪細胞アディポネクチン遺伝子発現について測定した。
血液の摂取及び遺伝子回折用組織の摂取:飼育開始時から20日後に12時間絶食させたマウスをエーテル麻酔下で直ちに開腹し、腹部大静脈より採血し、肝臓および内臓脂肪(副睾丸脂肪)を採取した。更に遺伝子解析用の肝臓および脂肪組織はRNeasy Mini Kit(Qiagen)を用い総RNAを精製した。得られた総RNAからRT−PCRをおこない、遺伝子発現量(mRNA量)を調べた。肝臓acyl−Coenzyme A oxidase 1(Gene Bank Accession No:NM015729)のRT−PCRのプライマーには、センスプライマー:5‘−CCGCCACCTTCAATCCAGAG−3’、及びアンチセンスプライマー:5‘−TCTGGAGTTCTTGGGACGGG−3’を、肝臓fatty acid synthase(Gene Bank Accession No:NM007988)のプライマーには、センスプライマー:5‘−GAGAACCAGACCCCAGAGC−3’、及びアンチセンスプライマー:5‘−CAGCATTACCACGCCCGCA−3’を、肝臓SREBP−1c(Gene Bank Accession No:NM011480)のプライマーには、センスプライマー:5‘−CGACTACATCCGCTTCTTGC−3’、及びアンチセンスプライマー:5‘−CCATCTCTGCTCTCTGCCTC−3’を、脂肪細胞レプチン(Gene Bank Accession No:NM008493)のプライマーには、センスプライマー:5‘−TTGGATGTTAGCCCTGAATG−3’、及びアンチセンスプライマー:5‘−GGTCTCCAGCACATTTTCCT−3’を、脂肪細胞アディポネクチン(Gene Bank Accession No:NM009605)のプライマーには、センスプライマー:5‘−AAAGGGCTCAGGATGCTACT−3’、及びアンチセンスプライマー:5‘−CAGATGGAGGAGCACAGAGC−3’を用いPCRを行った。RT−PCR産物は2%アガロースゲル電気泳動をおこない、エチジゥムブロマイド染色した後、紫外線照射し目的のバンドのシグナル強度を測定した。同時にGAPDHも測定しグループBソヤサポニン画分/対照とし発現比を求めた。
血液の摂取及び遺伝子回折用組織の摂取:飼育開始時から20日後に12時間絶食させたマウスをエーテル麻酔下で直ちに開腹し、腹部大静脈より採血し、肝臓および内臓脂肪(副睾丸脂肪)を採取した。更に遺伝子解析用の肝臓および脂肪組織はRNeasy Mini Kit(Qiagen)を用い総RNAを精製した。得られた総RNAからRT−PCRをおこない、遺伝子発現量(mRNA量)を調べた。肝臓acyl−Coenzyme A oxidase 1(Gene Bank Accession No:NM015729)のRT−PCRのプライマーには、センスプライマー:5‘−CCGCCACCTTCAATCCAGAG−3’、及びアンチセンスプライマー:5‘−TCTGGAGTTCTTGGGACGGG−3’を、肝臓fatty acid synthase(Gene Bank Accession No:NM007988)のプライマーには、センスプライマー:5‘−GAGAACCAGACCCCAGAGC−3’、及びアンチセンスプライマー:5‘−CAGCATTACCACGCCCGCA−3’を、肝臓SREBP−1c(Gene Bank Accession No:NM011480)のプライマーには、センスプライマー:5‘−CGACTACATCCGCTTCTTGC−3’、及びアンチセンスプライマー:5‘−CCATCTCTGCTCTCTGCCTC−3’を、脂肪細胞レプチン(Gene Bank Accession No:NM008493)のプライマーには、センスプライマー:5‘−TTGGATGTTAGCCCTGAATG−3’、及びアンチセンスプライマー:5‘−GGTCTCCAGCACATTTTCCT−3’を、脂肪細胞アディポネクチン(Gene Bank Accession No:NM009605)のプライマーには、センスプライマー:5‘−AAAGGGCTCAGGATGCTACT−3’、及びアンチセンスプライマー:5‘−CAGATGGAGGAGCACAGAGC−3’を用いPCRを行った。RT−PCR産物は2%アガロースゲル電気泳動をおこない、エチジゥムブロマイド染色した後、紫外線照射し目的のバンドのシグナル強度を測定した。同時にGAPDHも測定しグループBソヤサポニン画分/対照とし発現比を求めた。
その結果、肝臓acyl−Coenzyme A oxidase 1の発現比は対照と比較し1.5倍であった(図7)。肝臓fatty acid synthaseは対照と比較し0.4倍であった(図8)。肝臓SREBP−1cは対照と比較し0.3倍であった(図9)脂肪細胞レプチンは対照と比較し2.2倍であった(図10)。脂肪細胞アディポネクチンは対照と比較し1.6倍であった(図11)。
以上の結果から、グループBソヤサポニン画分(グループEソヤサポニンおよびDDMPソヤサポニンを含む)がインスリン抵抗性改善をしていることが明らかとなった。
90%水溶性メタノール画分(粗イソフラボン画分および粗ソヤサポニン画分)の100mgをカプセルに詰め、6名の被験者(空腹時血糖値111mg/dl以上)に一日3カプセルを12週間摂取させた。4週間ごとに、空腹時血糖値を測定した。更に投与前、投与12週間後および投与終了4週目に糖負荷による耐糖能試験を行った。
糖負荷試験は空腹時血糖値を測定後、トレーランG75(清水製薬株式会社製、1瓶当りブドウ糖換算で75g含有)を一瓶飲用する。その後、30分、60分、90分および120分後に血糖値を測定することにより、耐糖能を評価した。
その結果(図12)、グループBソヤサポニンの摂取を継続すると、投与12週間後に空腹時血糖値が有意(P<0.01)に低下し、グループBソヤサポニンの摂取を停止後4週目には、摂取以前のレベルに戻った。グループBソヤサポニンの摂取を停止したことで、空腹時血糖値が摂取開始時のレベルに戻ったことは、空腹時血糖値の低下にグループBソヤサポニンが強く関与していることを示している。糖負荷試験の結果は、グループBソヤサポニン投与前と12週間後を比較すると耐糖能が是正され、糖負荷による血糖値の上昇が抑制されることを示した。またグループBソヤサポニンの摂取を停止後4週目には、摂取以前のレベルに戻った(図13)。
Claims (9)
- 哺乳動物において高血糖状態を予防または処置することに効果的な用量のグループBソヤサポニン類を含む組成物。
- 請求項1のグループBソヤサポニン類を含む組成物を経口摂取することを特徴とする血糖値低下法。
- グループBソヤサポニン類を配合した糖尿病の治療・予防用の健康食品。
- 請求項1のグループBソヤサポニン類を含む組成物からなる肝臓β酸化遺伝子発現促進剤。
- 請求項1のグループBソヤサポニン類を含む組成物からなる肝臓脂肪酸合成酵素遺伝子発現抑制剤。
- 請求項1のグループBソヤサポニン類を含む組成物からなる肝臓sterol regulatory element binding proteins(SREBP−1c)遺伝子発現抑制剤。
- 請求項1のグループBソヤサポニン類を含む組成物からなる脂肪細胞レプチン遺伝子発現促進剤。
- 請求項1のグループBソヤサポニン類を含む組成物からなる血中レプチン分泌促進剤。
- 請求項1のグループBソヤサポニン類を含む組成物からなる脂肪細胞アディポネクチン遺伝子発現促進剤。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2020017568A1 (ja) * | 2018-07-19 | 2020-01-23 | 国立大学法人大阪大学 | アディポネクチン分泌促進剤 |
JPWO2020017568A1 (ja) * | 2018-07-19 | 2021-08-02 | 国立大学法人大阪大学 | アディポネクチン分泌促進剤 |
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