JP2006272795A - 平版印刷版 - Google Patents

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Abstract

【課題】平版印刷版の製版技術において、熱による直接描画方法に対応して製版が可能であり、その際に廃液の発生がなく明室下での作業性に極めて優れ、印刷する上で特に耐刷性に優れた平版印刷原版を提供することが可能となる。
【解決手段】支持体上に熱により疎水性へ変換できる層及び最表層として親水性層を設けてなる平版印刷版において、疎水性へ変換できる層中にガラス転移点が20℃以上の有機高分子化合物を含有する平版印刷原版。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高い解像性を有する画像を得ることが可能で、かつ明室下での取り扱い及び処理液を必要とせず、また、特に製造コストが安価である平版印刷に用いられる印刷版に関する。
平版印刷版は、油脂性のインキを受理する親油性の画像部分と、インキを受理しない撥油性の非画像部分からなり、一般に非画像部分は水を受け付ける親水性部分から構成されている。通常の平版印刷では、水とインキの両方を版面に供給し、画像部はインキを、非画像部は水を選択的に受け入れ、画像部上のインキを例えば紙等の被印刷体に転写させる事によって印刷がなされる。
現在、平版印刷版は表面を親水化処理したアルミニウム板、亜鉛板、紙等の基材上に親油性のインク受理層を設けることにより製造される。これらの中では、PS版と呼ばれる表面を親水性処理した金属製支持体上にジアゾ化合物やフォトポリマー等の感光材料を用いたものや、紙やプラスチック支持体上にハロゲン化銀を感光材料として銀錯塩拡散転写法(DTR法)を利用し画像形成するものなどが一般的である。
ジアゾ化合物やフォトポリマーによってインク受理層(以降画像層という)を形成する方法は、まず金属板、紙、積層板、絶縁性基板等の基材上にジアゾ化合物やフォトポリマー等の感光材料を塗布する。次いで、光を照射して感光材料に化学変化を生じさせて、現像液に対する溶解性を変化させる。感光材料は化学変化の種類によって二つに分類される。光が照射された部分が重合・硬化して、現像液に対して不溶性になるネガ型と、逆に光が照射された部分の官能基が変化して、現像液に対する溶解性を有するようになるポジ型である。何れの場合にも、現像液による処理後に基材上に残存する、現像液に不溶の感光材料が画像層となる。
一方、DTR法を用いた平版印刷版、特にハロゲン化銀乳剤層の上に物理現像核層を有する平版印刷版は、例えば、米国特許第3,728,114号(特許文献1)等に記載されており、露光されたハロゲン化銀結晶は、DTR現像により化学現像を生起し黒色の銀となり親水性の非画像部を形成し、一方、未露光のハロゲン化銀結晶は現像液中の錯化剤により銀塩錯体になって表面の物理現像核層まで拡散し、核の存在により物理現像を生起してインキ受容性の物理現像銀を主体とする画像部を形成する。
上記のような感光材料を用いて画像層を形成する場合に、露光方法が解像性を決定する重要な因子の一つとなっている。従来は、露光用フィルムを作製し、次いで紫外光または白色光を使用した密着露光方法を行うのが主流であった。しかし、コンピュータの進歩に伴って、コンピュータ情報からのディジタル信号を露光装置へと送信(コンピュータ・ツゥ・プレート)し、レーザを用いて直接感光材料を露光するレーザ直接描画方法が行われるようになっている。レーザ直接描画方法は、コストが安い、速度が速い、多品種少ロット品での生産性が高い等の利点がある。
このレーザ直接描画方法に対応するためには、感光材料の光学感度を高くしなければならない。ジアゾ化合物やフォトポリマーでは、光化学反応を伴うために、光学感度は低く、数〜数百mJ/cm2である。そのため、レーザ出力装置が 高出力でなければならず、装置が大きくなったり、コストが高くなるなどの問題があった。
また、ハロゲン化銀を用いたDTR法により画像形成するものでは、感度は数μJ/cm2であり簡便な半導体レーザなどでも十分露光可能であるが、逆に、 露光工程を行う前までの保存、基材への塗布工程等を、暗中もしくはセーフティライト下で行わなければならないという、製造及び製版作業の効率を著しく悪くする欠点があった。また、ジアゾ化合物やフォトポリマーにおいても、室内光や太陽光下でも反応が進行するし、高温下でも反応性に変化が生じる。さらに、酸素が存在すると、反応の阻害剤となる。したがって、露光及び現像前までは同様に暗室処置や低酸素状態化での保存が必要となっていた。さらに、上述の画像形成方法では、現像液を用いる等の液体処理を行うことが一般的であり、廃液の処理が環境問題となっているという欠点があった。
一方、処理液を使用せずにレーザーにより加熱させるだけで平版印刷版を製版する方法も知られている。アブレーションタイプとして、例えば、特開平8−507727号(特許文献2)、特開平6−186750号(特許文献3)がある。ただし、アブレートした表層の飛散物による露光装置内部の汚染が問題となるため、最上層に水溶性の保護層を設けてアブレートした表層の飛散を防止し、印刷機上で保護層と共にアブレートした表層を除去する方法も提案されている。
アブレーションタイプ以外のプロセスレス印刷版としては、熱融着画像層機上現像タイプがあり、例えば特開2004−42531号(特許文献4)に記載されている。また、熱可塑性微粒子ポリマーと熱反応性基を有する化合物を用いたレーザーによる画像形成が可能な機上現像タイプとして、例えば特開2001−293971号(特許文献5)がある。何れの方式も印刷機上で非画像部が剥離されるため、インキローラー等への剥離物の堆積が問題となる。
更に、レーザービームプリンタ等の静電転写方式のプリンタを用いて、コンピュータのデータ等を直接版材に出力する方式があり、例えば特開2001−187489号(特許文献6)に記載されている。本方式では、非画像部へトナーが付着することで印刷時の地汚れになり易いという欠点があった。また、インクリボンを用いた熱溶融転写記録法による製版方式として特開2002−67523号(特許文献7)があり、製版装置はレーザータイプに比べ非常に安価であるものの使用済みのリボンの廃棄が問題となる。
また、その他プロセスレス印刷版としては特許第3522450号(特許文献8)があるが、このタイプで製版し印刷する上では耐刷性が劣る等の不都合があった。
米国特許第3,728,114号 特開平8−507727号 特開平6−186750号 特開2004−42531 特開2001−293971 特開2001−187489 特開2002−67523 特許第3522450号
本発明の目的は、平版印刷版において、熱による直接描画方法に対応して製版が可能であり、その際に廃液の発生がなく明室下での作業性に極めて優れ、印刷する上で特に耐刷性に優れた平版印刷原版を提供することにある。
本発明の上記目的は鋭意検討した結果、以下の発明によって基本的に達成された。
1)支持体上に熱により疎水性へ変換できる層及び最表層として親水性層を設けてなる平版印刷版において、疎水性へ変換できる層中にガラス転移点が20℃以上の有機高分子化合物を含有する平版印刷原版。
2)前記平版印刷版の少なくとも一つの層に光熱変換剤を含有する1)記載の平版印刷原版。
本発明によれば、平版印刷版の製版技術において、熱による直接描画方法に対応して製版が可能であり、その際に廃液の発生がなく明室下での作業性に極めて優れ、印刷する上で特に耐刷性に優れた平版印刷原版を提供することが可能となる。
本発明に係わる平版印刷原版の一例として、支持体の表面上に熱により疎水性へ変換する層さらにその上に最表層として親水性層が設けられている。一方、裏面はカールバランスを調整するために裏面層が設けられている。本発明の熱による疎水性へ変換する層とは、熱が与えられない場合は親水性を維持するが、熱が加わるとその部位の層は溶融し、疎水性へと変換するものである。一方、その上層に設けられた親水性層については、熱の与えられた部位の下層(熱による疎水性へ変換する層)が熱により溶融される際にその親水性層が下層に取り込まれることで疎水性になる、若しくはアブレーションなどで親水性層が破壊された際、熱によって溶融した下層は疎水性へと変換し表面へ露出する。従って、本方式では、熱が与えられた部分が疎水性へと変換するために印刷時にインキを受理することが可能となる。本発明の上記一例に示した原理の平版印刷版を製版する方法としては、平版印刷用原版にサーマル印字ヘッドによる接触やレーザー照射等がある。一方、熱が照射されていない部位は下層(熱による疎水性へ変換する層)及び上層(親水性層)共に親水性を維持している。この後に、平版印刷機に装着すれば、熱がかかり疎水性へ変換した部分にはインキが、また熱がかかっていない部分には水がそれぞれ受理され印刷が可能となる。
本発明に係わる平版印刷原版の熱で疎水性へ変換する層としては、ガラス転移点が20℃以上の有機高分子化合物を含有する構成が必要である。好ましくはガラス転移点が30℃以上の有機高分子化合物が好ましい。有機高分子化合物として好ましくは熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が挙げられるが、特に熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂は熱融着性微粒子であることが好ましく、また自己架橋するタイプが好ましい。本発明に係わる熱融着性微粒子の自己架橋タイプとは、架橋剤の存在無しでも熱により三次元網状化する事が可能であり、本発明に係わる有機高分子化合物を作製する際に、共重合成分として、カルボキシル基、水酸基、メチロールアミド基、エポキシ基、カルボニル基、アミノ基などの反応性官能基を存在させることにより得ることができる。
本発明で用いられる熱融着性微粒子のガラス転移点は、重合度の調整、共重合させる構成単位を選択、あるいは適切な架橋剤を添加して架橋度を調整するなどの手段により変更することも可能であるが、一般に工業製品として市販されている熱融着性微粒子を使用することが製造コスト的にも好ましい。
本発明で用いられる熱融着性微粒子の平均粒径は、0.005μm〜2.0μmが好ましい。さらに好ましいのは、0.01μm〜1.5μmである。平均粒径が大きすぎると解像度が劣り、小さすぎると経時安定性が悪くなる。
本発明に係わる有機高分子化合物の具体例としては下記の化合物が挙げられる。例えば、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレン−ブタジエン共重合体等のジエン(共)重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、メチルアクリレート−(N−メチロールアクリルアミド)共重合体、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル(共)重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等及びそれらの共重合体が挙げられる。これらのうち、好ましくは(メタ)アクリル酸−エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ゴム類が挙げられる。これらの樹脂は粉末物を用いることは可能であるが、水分散タイプが製造上特に好ましい。また、製造する上で必要に応じて2種以上混合して使用することができ、また複数の層としても良い。
本発明に係わる平版印刷原版の熱で疎水性へ変換する層へは、ガラス転移点が20℃以上の有機高分子化合物と共に熱により架橋反応させることができる架橋剤を用いることもできる。例えば、架橋反応に用いられる化合物としては、架橋性を有する公知の多官能性化合物が挙げられ、ポリエポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリ(メタ)アクリル化合物、ポリアルデヒド化合物、ポリメルカプト化合物、ポリアルコキシ化合物、多価金属塩化合物、ポリアミン化合物、ポリビニル化合物、ヒドラジンなどが挙げられる。
本発明に係わる平版印刷原版の熱で疎水性へ変換する層に含有するガラス転移点が20℃以上の有機高分子化合物は0.1〜60g/m2の範囲で有れば良く、好ましくは5〜40g/m2である。さらに好ましくは10〜30g/m2である。
本発明に係わる平版印刷原版の熱で疎水性へ変換する層は、前述したガラス転移点が20℃以上の有機高分子化合物単独で層を構成しても良いが、支持体への塗布にあたっては、親水性バインダーを含有することが好ましく、ガラス転移点が20℃以上の有機高分子化合物の含有量に対して100質量%以下の範囲であれば良い。好ましくは80質量%以下であり、さらに好ましくは50質量%以下である。100質量%を越えると熱で疎水性への変換効率が悪くなり、耐刷性に劣る。下記に親水性バインダーの代表例を挙げるが、これらに限定されない。
天然物では、澱粉類、海藻マンナン、寒天およびアルギン酸ナトリウム等の藻類から得られるもの、マンナン、ペクチン、トラガントガム、カラヤガム、キサンチンガム、グアービンガム、ローカストビンガム、アラビアガム等の植物性粘質物、デキストラン、グルカン、キサンタンガム、およびレバンなどのホモ多糖類、サクシノグルカン、プルラン、カードラン、およびザンタンガムなどのヘテロ多糖等の微生物粘質物、にかわ、ゼラチン、カゼインおよびコラーゲン等のタンパク質、キチンおよびその誘導体等が挙げられる。また、半天然物(半合成物)類としては、セルロース誘導体、カルボキシメチルグアーガム等の変性ガム、並びにデキストリン等の培焼澱粉類、酸化澱粉類、エステル化澱粉類等の加工澱粉等が挙げられる。
合成品には、ポリビニルアルコール、部分アセタール化ポリビニルアルコール、アリル変性ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等の変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸エステル部分けん化物、ポリメタクリル酸塩、及びポリアクリルアマイド等のポリアクリル酸誘導体及びポリメタクリル酸誘導体、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合物、カルボキシビニル重合物、スチレン/マレイン酸共重合物、スチレン/クロトン酸共重合物等が挙げられる。これらの中でも、特にゼラチン、変性及び無変性のポリビニルアルコール、及びセルロース誘導体が有利に使用できる。
また、本発明に係わる平版印刷原版の熱で疎水性へ変換する層は、出力機の搬送性改善や感熱ヘッドに対する滑り性改善のためにシリカなどのマット剤を添加することができる。この場合、粒子の種類は特に限定されないが、平均粒子径は10ミクロン以下が好ましい。
本発明は平版印刷原版において耐汚れ性を向上させるために親水性層を設けることが必要である。特に熱により疎水性へ変換できる層の上層に設ける。次に本発明の親水性層に含有することが好ましい耐汚れ性の改善に必要なポリマーを例示するが、これらに限定されるものではない。なお、式中の数字はすべて共重合体組成中の各繰り返し単位の重量%を示す。
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P−1〜P−24に示される耐汚れ性を改善出来る親水性ポリマーは、特開平8−211614の記載内容に準じて合成することができる。また、上述したポリマーの含有量は、固形分で0.001〜3g/m2が適当であり、好ましくは0.01〜2g/m2の量になるように塗布される。より好ましくは0.1〜1g/m2の範囲である。
本発明に係わる平版印刷原版の親水性層は、上述した耐汚れ性を改善出来る親水性ポリマー以外に皮膜形成能を持ったバインダー的要素を有する親水性ポリマーを併用しても良く、少なくとも最表層が親水性層となるように塗設される。使用量は上述した耐汚れ性を改善出来るポリマーに対して200質量%以下である。好ましくは、100質量%以下であり更に好ましくは10質量%以下である。200質量%を越えると耐汚れ性を改善する効果が少なくなる。また、親水性層を塗布する際は、熱により疎水性へ変換する層と同時塗布でも良く、または一旦熱により疎水性へ変換する層を塗布した後に行っても良い。
本発明の親水性層に併用することができるバインダー的要素を有する親水性ポリマーとしては、以下の例が挙げられる。
天然物では、澱粉類、海藻マンナン、寒天およびアルギン酸ナトリウム等の藻類から得られるもの、マンナン、ペクチン、トラガントガム、カラヤガム、キサンチンガム、グアービンガム、ローカストビンガム、アラビアガム等の植物性粘質物、デキストラン、グルカン、キサンタンガム、およびレバンなどのホモ多糖類、サクシノグルカン、プルラン、カードラン、およびザンタンガムなどのヘテロ多糖等の微生物粘質物、にかわ、ゼラチン、カゼインおよびコラーゲン等のタンパク質、キチンおよびその誘導体等が挙げられる。
また、半天然物(半合成物)類としては、セルロース誘導体、カルボキシメチルグアーガム等の変性ガム、並びにデキストリン等の培焼澱粉類、酸化澱粉類、エステル化澱粉類等の加工澱粉等が挙げられる。
合成品には、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、部分アセタール化ポリビニルアルコール、アリル変性ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等の変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸エステル部分けん化物、ポリメタクリル酸塩、及びポリアクリルアマイド等のポリアクリル酸誘導体及びポリメタクリル酸誘導体、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合物、カルボキシビニル重合物、スチレン/マレイン酸共重合物、スチレン/クロトン酸共重合物等が挙げられる。
これらの中でも、特にゼラチン、変性あるいは未変性のポリビニルアルコール、及びセルロース誘導体が有利に使用できる。
本発明の平版印刷用原版に係わる親水性層に用いるゼラチンとしては、動物のコラーゲンを原料としたゼラチンであれば全て使用できるが、豚皮、牛皮、及び牛骨から得られるコラーゲンを原料としたゼラチンが好ましい。また、ゼラチンの種類も特に制限はないが、石灰処理ゼラチン及び酸処理ゼラチンの他、特公昭38−4854号、特公昭39−5514号、特公昭40−12237号、及び特公昭42−26345号公報、米国特許第2,525,753号、米国特許第2,594,293号、米国特許第2,614,928号、米国特許第2,763,639号、米国特許第3,118,766号、米国特許第3,132,945号、米国特許第3,186,846号、米国特許第3,312,553号明細書、英国特許第1,033,189号明細書等に記載のゼラチン誘導体等が挙げられ、これらは1種または2種以上を組合わせて用いることができる。
ゼラチンを親水性層に用いる場合には、ゼラチン硬膜剤で硬化することができる。ゼラチン硬膜剤としては、例えば、クロム明ばんのような無機化合物、ホルマリン、グリオキサール、マレアルデヒド、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド類、尿素やエチレン尿素等のN−メチラール化合物、ムコクロル酸、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサンのようなアルデヒド類縁化合物、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジン塩や、2,4−ジヒドロキシ−6−クロロ−S−トリアジン塩のような活性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、ジビニルケトンやN,N,N−トリアクリロイルヘキサヒドロトリアジン、活性な三員環であるエチレンイミノ基やエポキシ基を分子中に二個以上有する化合物類、高分子硬膜剤としてのジアルデヒド澱粉等の種々の化合物の1種もしくは2種以上を用いることができる。
本発明に係わる平版印刷原版の親水性層には、印刷地汚れ性を防止する目的で酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機物を含有させることができる。含有させる割合は、印刷に用いる印刷インキや湿し水等や印刷速度や印刷圧など各種条件により適宜所望の範囲で決められる。
また、本発明に係わる平版印刷原版の親水性層を塗設するために、助剤としてアニオン系、カチオン系もしくはノニオン系界面活性剤のいくつかを用いても良いし、マット剤、増粘剤、帯電防止剤等を用いることもできる。
本発明に係わる平版印刷用原版の支持体としては、樹脂被覆紙、合成紙、ポリエチレンテレフタレートなどの合成もしくは半合成高分子フィルム、アルミニウムや鉄等の金属板で、平版印刷に耐えるものであれば良い。また、これらの支持体の表面は、上層として塗設される層との接着を良くするために表面処理を行うことや、レーザ光吸収性を向上させるため染色処理をすることも可能である。本発明において、好ましい支持体は樹脂被覆紙、合成紙、ポリエチレンテレフタレートなどである。
本発明の平版印刷版の製版方法である熱による直接描画方法としては、例えば、サーマルプリントヘッド、レーザーとして炭酸ガスレーザ、窒素レーザ、Arレーザ、He/Neレーザ、He/Cdレーザ、Krレーザ等の気体レーザ、液体(色素)レーザ、ルビーレーザ、Nd/YAGレーザ等の固体レーザ、GaAs/GaAlAs、InGaAsレーザ等の半導体レーザ、KrFレーザ、XeClレーザ、XeFレーザ、Ar2等のエキシマレーザ等を挙げることができるが上記に限定されない。
本発明の平版印刷版の製版方法においてレーザー光等の光源を熱に変換し、描画効率(即ち本発明の方法における平版印刷原版の疎水性変換効率と画像形成効率)を向上させるために熱で疎水性へ変換する層、親水性層の何れかに光熱変換剤を含有させることが好ましい。
光熱変換剤としては一般的に染料または顔料であれば良く、例えばカーボンブラック、シアニン、無金属または金属フタロシアニン、金属ジチオレン、アントラキノン等を挙げることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、無論この記述により本発明が制限されるものではない。尚、特にことわりのない限り、%は質量%を表す。
実施例1
135g/m2の両面ポリエチレン被覆紙(RC紙)をコロナ放電加工した後、次に示す処方からなる層(熱で疎水性へ変換する層)、その上に親水性層を塗設した。
(熱で疎水性へ変換する層の塗液処方)
ゼラチン 35g
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンナトリウム 5g
熱融着性微粒子 (40%分散液) 400g
活性剤(塗布助剤) 10g
水を加えて全量を 500gとした。熱融着性微粒子については表1に示したものを使用した。上記により得た塗液を50g/m2(湿分塗布量)で塗布を行った。その後、更に下記親水性層を塗布した。
(親水性層の塗液処方)
親水性ポリマー(P8:固形分として) 5g
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンナトリウム 2g
活性剤(塗布助剤) 10g
水を加えて全量を 2000gとした。
上記により得た塗液を15g/m2(湿分塗布量)で塗布を行ない、平版印刷版を作製した。(本発明の試料1〜6)
比較例としては、表1に記載の熱融着性微粒子を使用し、それ以外は同条件で平版印刷版を作製した。(本発明の比較1、2)
実施例1および比較例1で作製した平版印刷版の熱で疎水性へ変換する層が設けられている方の面に、抵抗値1645Ωのサーマルヘッドを装着した大倉電気株式会社製感熱ファクシミリ印字試験装置を用いてドット密度8ドット/mm、印加電圧21V、パルス幅1.2msの条件で印字し、疎水性表面を露出させて印刷版を得た。この印刷版を用いて、オフセット印刷機(リョービイマジクス(株)製3200CD)にて印刷を行った。
耐刷性、及び印刷物の汚れ状態を評価するために使用した給湿液及びインキを以下に示す。
<耐刷性の評価>
1:給湿液
三菱製紙(株)SLM−OD30 3%(上水道を使用し3%にする。)
2:インキ
大日本インキ化学工業(株)社製ニューチャンピオン 墨85H
<汚れ状態の評価>
1:給湿液
日研化学(株)アストロマークIII 1%(上水道を使用し1%にする。)
2:インキ
大日本インキ化学工業(株)社製ニューチャンピオン 紫68N
印刷物の耐刷性と耐汚れ性を以下の基準で評価した。
<印刷物の耐刷状態の評価>
1:全く印刷画像の劣化がない。
2:ほとんど印刷画像は劣化しないが、やや細線画像が細る。
3:やや画像部のインキ濃度が低下する。
4:画像部のインキ濃度低下、細線部が細る。
<印刷物の汚れ状態の評価>
1:全く汚れない。
2:部分的に薄く汚れる。
3:全面が薄く汚れる。
4:全面が汚れる。
耐刷性は10000枚印刷した後の印刷物の細線画像部(50ミクロン細線)の細りと画像部の濃度低下の状態で評価した。汚れ状態の評価は、2000枚目の地汚れ状態で評価。これらの結果を表2に示す。
Figure 2006272795
Figure 2006272795
上記の結果から明らかなように、本発明の平版印刷版は耐刷性について改善している印刷物を得ることが出来た。
実施例2
厚さ175μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムの片面に実施例1の本発明の試料1〜6及び比較1、2の熱で疎水性へ変換する層の塗液にカーボンブラック30gを添加する以外は同様の条件で塗液を作製した。その後実施例1と同様に塗布及び乾燥後平版印刷版を作製した。(本発明の試料7〜12、本発明の比較3、4)
次いで、半導体レーザ照射装置(830nm)で画像部に相当する部分のレーザ照射を上記原版(熱で疎水性へ変換する層を有する側)に行い、疎水性表面を露出させて、印刷版を得た。この印刷版を用いて、オフセット印刷機(リョービイマジクス(株)製3200CD)にて印刷を行った。
印刷評価項目及び条件については実施例1と同様である。これらの評価結果を表3に示す。
Figure 2006272795
上記の結果から明らかなように、本発明の平版印刷版は耐刷性について改善している印刷物を得ることが出来るのみでなく、従来のジアゾ化合物やフォトポリマー、銀塩を用いた平版印刷版とは異なり、明室下でも作業が行え、かつ現像液を使用することがないので環境にも非常に良好である。また、感熱プリンターや低出力のレーザーを用いての直接描画方法に対応することができ、高解像性も優れた低コストで実現可能な印刷版を得ることが出来る。

Claims (2)

  1. 支持体上に熱により疎水性へ変換できる層及び最表層として親水性層を設けてなる平版印刷版において、疎水性へ変換できる層中にガラス転移点が20℃以上の有機高分子化合物を含有する平版印刷原版。
  2. 前記平版印刷版の少なくとも一つの層に光熱変換剤を含有する請求項1記載の平版印刷原版。
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