JP2006272122A - シックナー - Google Patents

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Abstract

【課題】 矩形状の沈殿槽でありながら、底の隅へのスラッジの堆積を防止することができるシックナーを提供する。
【解決手段】 シックナー100は矩形状の沈殿槽1aを有し、沈殿槽1aの一方の側壁3aの上端から未処理水が流入し、沈殿槽1aにおいて未処理水に混在していた混在物が沈殿し、混在物が沈殿した後の既処理水が他方の側壁5aの上縁41aから流出する。そして、沈殿槽1aの底2aの隅に底2aに近づく程拡大する略三角形の表面を形成する隅部材51a、52aが設置されている。また隅部材51a、52aの表面が略円筒または略円錐の一部であって、鋼板またはステンレス板によって形成される。さらに、端の一方の側壁3aに沿って未処理水の供給溝12aが形成され、沈殿槽1aの底2aの四隅のうち供給溝12aの未処理水の供給側に相当する隅を除く三隅に隅部材が設置される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、シックナー、特に、略立方体または略直方体のシックナーに関する。
シックナーは、流入した被処理水(以下「未処理水」と称す)が沈殿槽内に滞在する間に混在していた固定物等の混在物を沈殿させ、沈殿した混在物(以下「スラッジ」と称す)を底中央にかき集めて外部に排出すると共に、混在物が沈殿した後の被処理水(以下「既処理水」と称す)を沈殿槽外に流出させるものである。
たとえば、円筒状の沈殿槽の中央から未処理水を流入させ、混在物が沈殿した後の既処理水を沈殿槽の上端の全周から周囲に流出するものである(例えば、特許文献1参照)。
実開昭62−114604号公報(第5−6頁、第1図)
しかしながら、特許文献1に開示された考案は、円筒状の沈殿槽であるため、未処理水が中心部に流入して既処理水が外周から流出するため、該円筒の半径に相当する距離を移動する間に沈殿が実行される。一方、矩形状の沈殿槽を仮定すると、未処理水は上端の一方の辺の全長から流入し、上端の他方の辺の全長から流入するため、該矩形の対峙する辺同士の距離を移動する間に沈殿が実行される。
したがって、同一広さの敷地内に設置された場合、円筒状の沈殿槽に比較して、矩形状の沈殿槽の方が沈殿時間が長くなり沈殿効率が高くなるところ、矩形状の沈殿槽では、底の隅にスラッジが堆積するため、該スラッジを定期的に除去する作業、通常、水抜きをした後の沈殿槽内における人力による除去作業が必要になり、シックナーの稼働率の低下や保全コスト(作業コストが加算される)の上昇を招くという問題があった。
すなわち、スラッジがある程度堆積すると、一度に多量のスラッジが塊となって崩れ落ちる現象が発生し、スラッジの排出手段(たとえば、レーキ等)の過負荷や運転不能、あるいは、スラッジの排出管の摩耗穴明き等を誘発するため、これを防止する必要があった。
本発明は上記課題を解決するためのものであり、矩形状の沈殿槽でありながら、底の隅へのスラッジの堆積を防止することができるシックナーを提供することを目的とする。
(1)本発明のシックナーは、上端の一方の辺から未処理水が流入し、該未処理水に混在していた混在物が沈殿し、該混在物が沈殿した後の既処理水が上端の他方の辺から流出する、略立方体または略直方体の沈殿槽と、該沈殿槽の底の隅に設置されて該底に近づく程拡大する略三角形の表面を形成する隅部材と、該沈殿槽の底に設置されて前記沈殿した混在物を排出する排出手段と、を有し、
該隅部材の表面によって前記沈殿した混在物が前記排出手段寄りに案内されることを特徴とする。
(2)また、前記隅部材の表面が略円筒または略円錐の一部であることを特徴とする。
(3)また、前記隅部材が鋼板またはステンレス板によって形成されることを特徴とする。
(4)さらに、上端の一方の辺に沿って形成された未処理水の供給溝を有し、
前記沈殿槽の底の四隅のうち、前記供給溝の未処理水の供給側に相当する前記沈殿槽の隅部を除く三隅に、前記隅部材が設置されることを特徴とする
したがって、本発明に係るシックナーは、矩形の沈殿槽であるから、沈殿時間が長くなり沈殿効率が高くなるとともに、沈殿槽の底の隅に隅部材が設置されるから、スラッジの堆積が防止される。よって、装置の小型化、稼働率の向上や保全コストの低減が可能になる。さらに、隅部材は既設のシックナーの沈殿槽に容易に設置されるものであるから、短期間の工事によって既設のシックナーを改造することができる。
図1および図2は本発明の実施形態に係るシックナーの構成を模式的に示すもので、図1は平面図、図2は側面視の断面図である。図1および図2において、シックナー100は、第1沈殿槽1aと第2沈殿槽1bとを有している。なお、第1沈殿槽1aと第2沈殿槽1bとにおいて共通する内容については添え字「a、b」を省略して説明する。
沈殿槽1は略直方体の容器であって、一方の側壁3(図1および図2において左側)に沿って未処理水が流入する流入部20が、他方の側壁5(図1および図2において右側)に沿って既処理水が流出する流出部40が、底にはスラッジを排出する排出手段30が、それぞれ設けられている。また、流入部20に沿って、未処理水をシックナー100の外部から受け入れて流入部20に供給する供給部10が設けられ、流出部40には既処理水をシックナー100の外部に払い出す図示しない流出ゲートが設けられている。
供給部10は、流入部20に沿って形成された溝状の供給溝12であって、流入部20側の側壁14で供給溝12の底面に近い範囲がスリット状に開口して供給スリット13が形成されている。そして、供給スリット13には、上下に作動する流入ゲート11が設置されている。
また、供給溝12bの一方の端寄りにシックナー100の外部(図示しないダストセパレータ)に接続する供給樋15が配置されている。なお、供給溝12の底面は一部に斜面ないし凹部(図示しない)が設けられているから、ここにおいて未処理水に混在していた固定物の一部は沈殿することになる。
流入部20は、供給部10に供給溝12を経由して連通する溝状の流入溝22であって、流入溝22の底面には複数の貫通する流入孔23が設けられている。また、供給部10の側壁14に対峙する側壁24の高さが、側壁14の高さより低くなっている。
したがって、供給樋15から供給された未処理水は供給溝12の一方から他方に向かって流れながら、流入ゲート11が上昇している供給スリット13を通過して流入溝22に流れ込む。そして、流入溝22に流れ込んだ未処理水は流入孔23を経由して沈殿槽1に流入すると共に、流入溝22に過剰に流れ込んだ溢れた未処理水は、側壁24の上縁部から溢れ出して沈殿槽1に流入する。すなわち、沈殿槽1に流入する未処理水の量が、流入ゲート11の上昇量によって調整される。
排出手段30は、沈殿槽1の底2(中央に向かった傾斜した略すり鉢状を呈する)に沿って鉛直方向(図2において上下方向)を回転軸方向として回転するレーキ(スクレーパに同じ)31と、レーキ31を回転駆動する図示しない駆動手段と、底2の略中央部で貫通するスラッジ排出孔32と、スラッジ排出孔32を経由して排出されたスラッジを所定の場所に搬送する図示しない配管やポンプ等とを有している。
また、側壁3と側壁4と底2とがなす隅に隅部材51が、側壁4と側壁5と底2とがなす隅に隅部材52が、側壁5と側壁6と底2とがなす隅に隅部材53が、それぞれ設置されている(以下三隅には隅部材51、52、53をまとめて「隅部材50」と称する場合がある)。
図3は本発明の実施形態に係るシックナーにおける隅部材の一例を示す模式図であって、(a)が側面視の断面図、(b)は平面視の断面図、(c)は斜視図である。なお、隅部材52、53は隅部材51に同様であるから、隅部材51について説明する。
図3において、隅部材51は、略円錐の一部に相当する曲面を有する略三角形の三次元形状であって、ステンレス板を成形したものである。すなわち、直線状の斜辺503、504と、円弧状の底辺502とを有し、底辺502の円弧の曲率半径は頂点500に向かってなめらかに小さくなっている。そして、底辺502が沈殿槽1の底2に、一方の斜辺503が沈殿槽1の側壁3に、他方の斜辺504が沈殿槽1の側壁4に、それぞれ接合される(たとえば、アンカーボルト接合)。
なお、図3では、隅部材51が、略三角形状の部材511と略五角形状の部材512と略三角形状の部材513とを接合したものを示しているが、相互に接合される部材の形状や枚数は、これに限定するものではない。また、接合することなく一枚の板材から形成してもよい。
再び、図1および図2を参考にして隅部材50の作用について説明する。隅部材50は隅部を覆っているため、レーキ31の届かない範囲あるいはレーキ31の回転による流れが淀む範囲、いわゆるデッドスペースがなくなる。このため、沈殿したスラッジは隅部材50の表面を滑ってレーキ31の届く範囲(走査範囲に同じ)内に導かれ、やがて、スラッジ排出孔32を経由して排出される。
なお、流入ゲート11(供給スリット13に同じ)に近い隅、側壁3と側壁6と底2とからなる隅に隅部材50を設置していない理由は以下である。すなわち、流入ゲート11に近い範囲は流入ゲート11から遠い範囲に比較して、沈殿槽1に流入する未処理水に混在する固形物等が大きくかつ多い傾向にあり、このような大きい固形物等は時として、集中して流入する場合がある。かかる場合に、隅部材50を設置しておくと、沈殿した大きな固形物が多量にレーキ31の走査範囲内に導かれ、レーキ31を回転駆動する動力が急増して、作動不能を生じるおそれがある。そこで、当該隅では、隅部材50の設置をやめて大きな固形物を堆積させ、かかるおそれの発生を未然に防止している。
したがって、このような大きな固形物の多量流入がないことが明らかな未処理水を処理するシックナーでは、隅部材50を四隅に設置してもよい。
さらに、混在した固形物等が沈殿した後の既処理水は、側壁5の上縁41を乗り越えて、流出部40に流れ込む。流出部40は側壁5に沿って形成された溝状の流出溝42であって、流出溝42の一部に、既処理水をシックナー100の外部に搬出するための図示しない流出ゲートが配置されている。
以上より、未処理水は、沈殿槽1の側壁3の広い範囲(流入部20の複数の流入孔23や側壁24の全長に相当する)から沈殿槽1に流入し、沈殿槽1の側壁5の広い範囲(流出部40の上縁41の全長に相当する)から沈殿槽1の外に流出するため、比較的均一な流入および流出が可能になると共に、固形物が沈殿する十分な時間が保証され、より清浄な既処理水を高い処理能率で得ることが可能になる。
さらに、沈殿槽1の底の隅には隅部材が設置されているため、隅へのスラッジの堆積が防止されるから、堆積したスラッジを除去する作業が不要もしくはこれを除去する作業の頻度が減少し、シックナーの稼働率の向上や保全コスト(除去作業コスト、排出管の摩耗穴明き等による補修コスト等)の低減が可能になる。
以上のように本発明のシックナーは、高い処理能率および稼働率を可能にすると共に、保全コストを低減するから、様々な固形物が混在した未処理水を処理する各種シックナーとして広く利用することができる。
本発明の実施形態に係るシックナーの構成を模式的に示す平面図。 本発明の実施形態に係るシックナーの構成を模式的に示す側面視の断面図。 本発明の実施形態に係るシックナーにおける隅部材の一例を示す模式図。
符号の説明
1 沈殿槽
2 底
3 側壁(沈殿槽)
4 側壁(沈殿槽)
5 側壁(沈殿槽)
6 側壁(沈殿槽)
10 供給部
11 流入ゲート
12 供給溝
13 供給スリット
14 側壁
15 供給樋
20 流入部
22 流入溝
23 流入孔
24 側壁(流入部)
30 排出手段
31 レーキ
32 スラッジ排出孔
40 流出部
41 上縁(流出部)
42 流出溝(流出部)
50 隅部材
51 隅部材
52 隅部材
53 隅部材
100 シックナー
500 頂点(隅部材)
502 底辺(隅部材)
503 斜辺(隅部材)
504 斜辺(隅部材)
511 部材(隅部材)
512 部材(隅部材)
513 部材(隅部材)

Claims (4)

  1. 上端の一方の辺から未処理水が流入し、該未処理水に混在していた混在物が沈殿し、該混在物が沈殿した後の既処理水が上端の他方の辺から流出する、略立方体または略直方体の沈殿槽と、該沈殿槽の底の隅に設置されて該底に近づく程拡大する略三角形の表面を形成する隅部材と、該沈殿槽の底に設置されて前記沈殿した混在物を排出する排出手段と、を有し、
    該隅部材の表面によって前記沈殿した混在物が前記排出手段寄りに案内されることを特徴とするシックナー。
  2. 前記隅部材の表面が略円筒または略円錐の一部であることを特徴とする請求項1記載のシックナー。
  3. 前記隅部材が鋼板またはステンレス板によって形成されることを特徴とする請求項1または2記載のシックナー。
  4. 上端の一方の辺に沿って形成された未処理水の供給溝を有し、
    前記沈殿槽の底の四隅のうち、前記供給溝の未処理水の供給側に相当する前記沈殿槽の隅部を除く三隅に、前記隅部材が設置されることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のシックナー。
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