JP2006270012A - 光増幅装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
サブミリ波から可視光域までの広い波長範囲で大きな増幅率で、レーザーのような量子力学的遷移による動作を用いずに、雑音を抑えることができる光増幅装置を提供することにある。
【解決手段】
サブミリ波から可視光域までの光の波長と同程度の厚みの半導体薄膜と、半導体薄膜の一端から平面方向に光を導入させる光入力部と、半導体薄膜の他端から導入された光を取り出す光出力部とを備え、光の進行方向に半導体薄膜内のキャリアをドリフトさせる半導体薄膜に加速電界を加えるための電極を設けたこと、及び又は光進行方向と直交するx、y方向に磁界を加えたことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、光エレクトロニクス工学技術の分野に属し、特に半導体を用いた光増幅装置に関する。
従来、特定のコヒーレントな光を発生させたり、増幅したりするための素子、装置としては、レーザー、半導体レーザーなどがある。しかし、従来のレーザーは大型の装置であり、半導体レーザーはその波長が可視域付近にとどまり、サブミリ波、遠赤外から赤外までの範囲で自由に波長を選択できない。また、レーザーは本質的には発振器であって、一般的に光を増幅する能力をもつ素子ではない。この分野の着想発明は、本発明者が発表した下記の特許文献、非特許文献が最初のものであり、本願発明は、これら文献による経験の上に、それらを改良して完成されたものである。その他に本願発明に関連する過去の一般的な技術や、公知文献はない。
特開2001−154047号公報 特開2001−091914号公報 特開平11−271828号公報 特開平08−056059号公報 J. Appl. Phys. 75(5), 1 March 1994, P.2348, American Institute of Physics. J. Appl. Phys. 76(4), 15 August 1994, P.2479, American Institute of Physics. J. Appl. Phys. 77(1), 1 January 1995, P.218, American Institute of Physics. Jpn. J. Appl. Phys. Vol.37(7B), 1998, L876, The Japan Society of Applied Physics. Jpn. J. Appl. Phys. Vol.39(11), 2000, P.6248, The Japan Society of Applied Physics.
従来のレーザーはすべて物質の固有エネルギーギャップないし分子の固有のエネルギーで決まる特定の狭い波長でしか動作しないことから、自由に波長を選択できない。また、2端子素子であるから入出力の単一方向性がないので、増幅器として使いにくく、低周波や無線周波などでのトランジスターの3端子増幅器としての自由な操作自由度とは比較にならない。さらに、従来のレーザーは、戻り光雑音、モードホッピング雑音、自然放出雑音、量子雑音、周波数雑音などの雑音も大きい。
尚、気体レーザーは、上記欠点の他にも、大型であり、限られた周波数でのみ動作するものであり、任意に周波数を選べるものではない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、サブミリ波から可視光域までの広い波長範囲で大きな増幅率を持ち、かつレーザーのような量子力学的遷移による動作ではないので、雑音を抑えることができる光増幅装置を提供することにある。
請求項1記載の光増幅装置は、サブミリ波から可視光域までの光の波長と同程度の厚みの半導体薄膜と、半導体薄膜の一端から平面方向に光源からの光をレンズで集束照射する部品等により、光を導入させる光入力部と、半導体薄膜の他端から光を取り出す光出力部とを備え、光の進行方向に半導体薄膜内のキャリア(多くの場合は電子)をドリフトさせる半導体薄膜に加速電界を加えるための電極を設けたことを特徴とする。
請求項2記載の光増幅装置は、半導体薄膜の厚さが、基本TMモードの基本波長又はその高次波長に対応するように選ばれることを特徴とする。
請求項3記載の光増幅装置は、半導体薄膜の光導波路構造として、半導体薄膜の両側面に光閉じ込めのための屈折率が低いクラッド層が付着されていることを特徴とする。また、請求項4記載の光増幅装置のように、光導波クラッド構造の別の例として、該半導体薄膜相当部分の側面を微細周期構造をもつフォトニック結晶とすることで、半導体薄膜相当部分に光導波特性をもたせるごとく構成しても良い。
請求項5記載の光増幅装置は、光の進行方向と直交する方向に静磁界を加える装置を備えることを特徴とし、この場合、請求項6記載の光増幅装置のように、前記直交する方向が、光の進行方向(z方向)に対するx方向とy方向の少なくとも一方であることを特徴とする。
請求項7記載の光増幅装置は、半導体薄膜中のキャリア濃度を変えることでプラズマ周波数、すなわち増幅周波数帯を変化させることができる。このためには、外部からキャリア注入又は電界制御等の制御電極を設ければよい。すなわち、本発明は、このような動作周波数帯を調整するための制御入力手段を備えることを特徴とする。また、別に、加速電界、静磁界の値、偏波面の方向等や各進行方向ベクトル方向等を変化させるなど各種の制御信号入力手段を備えることを特徴とする。
請求項8記載の光増幅装置は、取り出された光を入力側へフィードバックするための帰還装置を備えることで、光発振装置として動作させることを特徴とする。
請求項9記載の光増幅装置は、光増幅効果の非線形性を利用する付加装置を備えることで、非線形装置として動作させることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、サブミリ波から可視光域までの広い波長範囲で大きな増幅率を得ることができる。また、レーザーのような量子力学的遷移による動作ではないので、雑音を抑えることができる。
請求項2の発明によれば、半導体薄膜の厚さを基本TMモードの基本波長又はその高次波長に対応するように選ぶことにより、半導体薄膜を基板上に容易に成長させることができる。
請求項3の発明によれば、半導体薄膜以外の部分を、上下に半導体薄膜層よりも光学的屈折率の低い層を付加する光閉じ込めクラッド層を採用しているため、光を進行方向に積極的に閉じ込めることができる。この場合のクラッド層は、無駄な電流が流れるのを防ぐために、電気的絶縁物であることが望ましい。これにより、電子の流れについての電気的な閉じ込めもできる。
請求項4の発明によれば、フォトニック結晶構造を採用しているため、半導体薄膜に相当する導波路部分はそのままで、クラッド相当部分に周期的な微細な空隙や欠陥の配列等の微細工作を施すことより、エネルギーバンド的に導波路部分は通過域、欠陥の部分は禁止域となるので、光を薄膜相当部分のみ走行させることができる。
請求項5の発明によれば、光の進行方向と直交する方向に静磁界を加えることで、増幅度を変えることができる。さらに請求項6の発明によれば、静磁界を加える方向に光の進行方向(z方向)と直交する方向であるy方向成分が含まれているため、順方向および逆方向の2種の光波伝播方向が得ることができる。この場合、半導体薄膜の両端に若干の反射率を有する反射鏡を設け、往復した光の総合増幅率が1を超えるようになされることで、発振装置として動作させることができる。
請求項7の発明によれば、加速電界、静磁界の値、偏波面の方向等や各進行方向ベクトル方向等を変化させる制御信号入力手段を備えることで、等価的に三端子素子として動作させることができる。そして、増幅度、波長の調整が可能であるため、制御信号による光変調ないし制御を可能とし、さらに論理演算装置その他の種々の装置が実現できる。
請求項8の発明によれば、単一方向性増幅度を有する半導体薄膜から取り出された光を半導体薄膜の入力側へフィードバックするための帰還装置を備えることで、光発振装置が実現できる。
請求項9の発明によれば、光増幅効果に伴う非線形性を利用する付加装置、例えば入力と出力とがそれぞれ異なる周波数で動作する入出力装置を備えることで、種々の非線形パラメトリックデバイスが実現できる。
本実施の形態の光増幅装置は、サブミリ波から可視光域までの光の増幅が可能なものである。図1は、本発明に係る光増幅装置の実施例を示す構成図である。尚、図1において、3次元座標xyz方向を図示のように決める。図において、光増幅装置1は、半導体薄膜6と、半導体薄膜6の一端から平面方向に光を導入させるための光源やレンズ等の光集束部品等の光入力部15と、半導体薄膜6の他端から導入された光を取り出す光出力部16とで構成されている。半導体薄膜6は、例えば単結晶サファイア等からなる基板5の上に設けられている。半導体薄膜6は、例えばGaNのエピタキシャル薄膜である。また、矢印7は、必要によってこれに加える静磁界の方向であり(磁界装置は図示せず)、矢印8は光と同一方向に自由キャリヤ(電子)を加速させるために、これに加える静電界の方向(電源装置は図示せず)であり、電極10,11がそのために設けられている。
半導体薄膜6は薄板でもよいが、通常は基板5の上にエピタキシャル成長されたもので、その厚み方向をx方向とする。具体的材料例としては、好ましくは、サファイア基板上に成長されたN型GaNなどである。
z方向に光が走行し、さらに加速電界を加えて、これによる同じ方向に走行するドリフト電子流が存在する。この磁界装置は、通常公知の電磁石などの手段で加えることが出来る。
さらに、光の方向と直交するx方向に半導体薄膜6は厚みを限定した構造上の配慮を施している。これは、この半導体薄膜6はxz平面を含みz方向に伸びた薄膜平板導波路とみなして、x方向の厚みを半波長の整数倍の程度に薄く選ぶことにより、進行する光の伝播モードとしてTMモードを励起することが出来る。基本モードはTMであり、そのいわゆる管内波長がほぼ厚みに相当する。ただしその高次モードであっても、基本的には生起する現象は変わらないので、それぞれの高次波長を厚み相当とすればよい。光としては、遠赤外、赤外、可視波長を対象とするので、それぞれの波長に対応したμm程度の薄膜を想定することになり、この厚みは、適当な単結晶基板上に成長させるエピタキシャル成長薄膜に丁度適している厚みである。このように、半導体薄膜6の厚さを光の基本TMモードの基本波長又はその高次波長に対応するように選ぶことにより、所定の厚みの半導体薄膜6を基板5上に容易に成長させることができる。
また、この薄膜は平板導波路として構成されていれば条件を満たすので、図1のように基板を片面を接する形状でなくともよい。例えば、光が遠赤外波長で半導体薄膜6が比較的厚く自己支持可能な場合など、支持する基板5が必要でなければ、これは省略してもよい。また、これとは逆に、この薄膜をサンドイッチ状に挟む如く、薄膜の両端を他の物質で挟む図2に示すような光閉じ込めクラッド層構造も有効である。さらにまた、半導体物質中で幾何学的構造をつくりつけることによって、この薄膜状平板導波路が構成されていればよい。この例は、図3に示すフォトニック結晶構造によって作ることができる。
光閉じ込めクラッド層では図2に示すのように、半導体薄膜6aの上下を異種物質層5a、5bで挟み込む。この場合、異種物質層5a、5bは薄膜6aよりも光学的屈折率の低い材質であり、この条件が満たされていれば、異種物質層5a、5bとがそれぞれ異なる材質であってもよい。異種物質層5a、5bの材質としてはZnOなどが絶縁物でもあり、結晶成長のために格子常数の親和性などから好ましい。また、異種物質層5aが基板5であり、異種物質層5bが空気層である場合は、図1の構成に相当しており、この範囲に含まれる。
さらに、図3に示すように、フォトニック構造では半導体薄膜6cと同種材質に微細構造を作り込むことによって同じ目的を達成することができる。上下のクラッド相当部分5c、5dには、周期的な配列的した空孔5ca、5da(スポンジ状)の工作を施す。この微細構造の単位の寸法は波長以下であり、そのフォトニック層の全体の厚みは、波長の数倍以上あればよい。この他、周期的な欠陥は空孔5ca、5daに限定されず、1次元的な長さを持つ欠陥すなわち細長いトンネルなど、空洞でなくとも酸化物などの異種物質で詰まっていても良く、誘電率の異なる層を工作することで通過域を禁止域で挟む層構造である条件を満たしていれば良い。
また、上記平板導波路の構造は、そのものが半導体薄膜であってもよく、別途、半導体薄膜と異種物質との層で構成されていてもよい。この他、すべて薄膜としての平板導波路の条件を満たす構造は、本発明でいう半導体薄膜の範囲に含まれる。
適用される光の波長の長波長側の限界は、遠赤外域においては、電子の散乱緩和が増幅波の位相を乱すので、これに妨害されないことが必要であるため、周波数が散乱緩和時間の逆数よりも十分に大きいことから定まる。それは室温において、毎秒1013以上であること、すなわち波長が200μmより短いこと、すなわちこれが長波長限界である。この条件は、材料にほとんどよらずすべての半導体で共通である。
また、短波長限界の赤外ないし可視域においては、半導体薄膜6の電子密度で決まるプラズマ周波数の高いことが必要である。電子密度は、単位体積(cm)当たり1020程度が通常可能で、これは波長にしてμmの程度であるが、1021程度に達することも可能である。また有効質量が小さいことも有利である。この点では、GaN、GaP、InNなどが好ましい。またZnO、CdO、InSnOなどの酸化物も適用可能である。このプラズマ周波数は可視域に達するが、これが短波長限界に相当する。従って、この限界は、材料によって決まる。
また、増幅利得には電子の走行速度が速いことが必要であるから、飽和ドリフト速度の高い材料が望ましい。この点では、GaN、SiCなどが望ましい。また電子の有効質量が小さいことが望ましい。従って、半導体薄膜6には種々の半導体材料が適用できるが、増幅度の大きい良い例としての半導体薄膜6は、サファイア結晶上に成長したGaNである。GaNは、電子移動度が大きく、熱伝導度が大きく、N型の電子密度を大きく取れるから、電子加速電界を高くするための高い印加電圧による電流密度と発熱に耐えるからである。またGaNは可視域まで透明で光損失が少なく、この点でも優れている。これらの点を勘案して、半導体薄膜6に適用される半導体は、シリコン、ゲルマニウムなどの単体半導体のほか、GaN、InN、InP、GaP、GaAs、SiC,ZnOどの2元化合物半導体またはそれらの多元化合物が望ましい。尚、光の方向と垂直方向に磁界を加える配置は、いわゆるVoigt配置といわれている。
このような光増幅装置1の場合に、半導体薄膜6内部で伝播する光のモードに関する決定方程式は、以下のようになる。z方向に進行する波動を
exp{j(ωt-kz)}
と表現する。kは波数、ωは角周波数、tは時間である。
このkのうち、実数は伝播位相推移を、虚数は増幅度をあらわす。すなわち、波数が複素数になっている場合に、進行波増幅解などの特殊な不安定解が存在することを示す。
上記の条件で、マクスウエルの方程式を解き、TMモードの場合について方程式を解けば、kを未知数とする電界Eのx成分Eとz成分Eについて数1に示す永年方程式が得られる。
Figure 2006270012
ここに、q、V、ω、cはそれぞれ電子電荷、電子のドリフト速度直流分、光の角周波数、半導体薄膜6中での光速である。またωはプラズマ周波数、ωはサイクロトロン周波数、Kは半導体膜厚Tで制限される基本モードの波数である。ここにN、ε、μ、m、Bはそれぞれ電子密度、誘電率、透磁率、電子有効質量、印加直流磁束密度である。これらにより数2〜数6が表される。
Figure 2006270012
Figure 2006270012
Figure 2006270012
Figure 2006270012
Figure 2006270012
この方程式は数値計算により解くことができ、根のうちで、ωの付近に複素の解を持つkが1組あることがわかる。このうち、負の実数部と負の虚数部とを持つ解が増幅波に相当し、以下にその解のみに注目する。同時に減衰解も存在するが、これはすぐに消えてしまうから無視できる。実数部分が負であることは、マイクロ波の進行波増幅管と同じく後進波を意味する。負の虚数部分は、単位長あたりの増幅率を示す。この現象を物理的に説明すれば、半導体中の電子は進行するプラズマ波を励起し、並行して走行する光波と結合できる。結合波は電子流の運動エネルギーを受けて、振幅を増大させることとなる。また、入力がインコヒーレント波であるとき、増幅利得のあるモードでコヒーレントな成分のみ抽出増大するので、光出力はコヒーレント化する。すなわち、入力光はランダムであってもよく、この場合は、モードフィルターとしても動作する。
図4〜図6は、本発明に係る光増幅装置の動作例を示すグラフである。各グラフの縦軸はk、横軸はωである。図4〜図6のグラフでは、見やすくするためにkの実部虚部ともに符号を変換して正方向に描いた。
図4のグラフは、取り扱う波長が長波長側の190μmの場合の例を示す。プラズマ周波数もその値に等しく選ばれた場合で、磁界は1テスラの場合である。ここで、縦軸横軸共に規格化されていて、縦軸の単位と、横軸の単位とはそれぞれ8×10−1
、8×1012−1である。実数部においてピークが存在し、増幅波を示す。波の増幅率は虚数部分で表され、概略の目安として、長さmmあたり20dB弱の程度である。もし加える磁界が超伝導磁石などにより1テスラ以上を加えることができれば、ピークは広くなり、増幅度はさらに向上することが確認されている。同時に、増幅特性の非線形性はさらに増加する。
図5のグラフは、取り扱う波長が短波長側の4.5μmの場合の例を示す。プラズマ周波数もその値であり、磁界は1テスラの場合である。ここで、縦軸の単位と、横軸の単位とはそれぞれ3.5×10−1、3.5×1014−1である。実数部においてピークが存在し、増幅波の存在を示す。波数の実数部分は、1000倍して示した。この数値は単位長あたりのものなので小さいようだが、周波数が高いので波長あたりの増幅度は小さくない。管内波長は図2の場合よりもやや長い程度であることを示す。すなわち波の増幅率は、概略の目安として、長さmmあたり20dBの程度である。
図6のグラフは、図5と同じ条件で、磁界だけを除いたものである。磁界がなくても増幅することがわかるが、近赤外の場合は、単位長あたりの増幅率は弱くなっている。すなわち磁界の存在は好ましい。しかし、磁界は不可欠ではなく、磁界がないと増幅率は若干低下する程度である。したがって磁界は必要によって加えればよい。但し、遠赤外域の場合は磁界を加えたほうが有効で、磁界がないと増幅率は大きく低下する。このように、磁界装置の付加について計算の結果判明したことは、一般に磁界を付加すると増幅は容易となるが、これは波長が長いほど著しい。一方可視域に近い短波長域では、磁界の付加効果はそれほど大きくないので、磁界を省略することでき、そのほうが構成上有利な場合がある。
本実施の形態では、光増幅だけを説明しているが、本質的に単一方向性増幅効果を有しているので、単純な増幅だけでなく、そのままで増幅変調器、単一方向性アイソレーター、偏波面回転器などに拡張応用できるのは明らかであり、本願発明の増幅器にはこれらを含むものとする。増幅率は、静磁界やドリフト速度によって制御ないし増強される。したがって、静磁界強度、印加電圧あるいは偏波面を回転、制御するなどの方法により増幅度を変えることができる。また、本実施例は独立制御信号入力が可能で、等価的に三端子素子であることから、これらの制御信号入力によって出力を変調することができる。従って、制御信号入力による組合せ論理演算装置とすることもできる。
尚、本実施例のような電子プラズマの動作に対して、損失を起こす因子が存在することが知られている。走行する電子は、フォノン(格子振動)と衝突して位相を乱され、電磁波との相互作用を失う。これはマイクロ波や低周波で顕著であり、半導体を使った進行波増幅器が出来なかった理由であった。しかし、光増幅装置1では、マイクロ波などとは逆に、ωτ>>1なので、その制約をまぬかれる。ここで、τは電子に対する衝突散乱の緩和時間である。この式の意味は、衝突して電子波が位相の記憶を失うよりも早く光の相互作用周期を完了するということで、衝突緩和を無視できる条件を満たしている。
有限の温度では、電子はマクスウエル熱分布をしており、このために波動はいわゆるランダウ減衰をおこす。これもマイクロ波におけるプラズマを利用した進行波増幅装置の実現の障害となっていた。しかし本発明の場合では、vph>>vthである。ここでvphは波の位相速度、vthは電子の熱運動速度である。この理由は、本実施例の場合には光の周波数が十分高いので、電子と衝突してその位相記憶を失うよりも早く、光の相互作用周期を完了するので、ランダウ減衰の制約からもまぬかれるのである。
また、エネルギーバンド中における自由電子は、光を吸収できることが知られている。この効果は、フォノンとの相互作用を介する必要があり、この点から、上記と同じく、ωτ>>1の場合にはこの吸収は十分に小さい。
尚、本実施例の光増幅装置1は、プラズマ集団の周波数分散を利用するので、図に示したように、分散による光非線形性が大きい。この強い周波数分散の傾向は図5のグラフにも見られる。非線形性が大きいので、種々の非線形デバイスに応用して新しい装置を作り出す事ができる。たとえば、パラメトリック増幅器、周波数逓倍器、ヘテロダイン受信機、周波数変換器、高調波発生器になどである。例えば、赤外波長の光を周波数逓倍で強い可視光を作りだすことができる。
ところで、上記実施形態においては、静磁界を加える方向を半導体薄膜面に直交するx方向のみの場合について説明したが、光の進行方向z方向と直交するy方向に静磁界を加えても良い。
図7はy方向に静磁界を加えた場合の本発明に係わる光増幅装置の動作例を示すグラフである。図4〜図6のグラフ同様、縦軸はk、横軸はωであり、見やすく(比較しやすく)するためにkの実部虚部ともに符号を変換して描いた。さらに、この実施の数値は、すべて図4と同じでこれに準じており、静磁界方向のみが異なる。横軸の単位は、同じくプラズマ周波数8×1012−1を1と規格化して表示、また横軸の単位は8×1012−1を1と規格化して表示した。サイクロトロン周波数ωは、ω/ω=0.1となる。
この場合も波数はx方向に静磁界を加えた場合の図4と同様に増幅し、同様に増幅度を向上することができることが確認できる。これに加え、y方向の増幅モードは、上記x方向の実施形態と異なり2種類が存在しうる。図7の横軸の上側と下側にある2組であり、それぞれの波数の実部と虚部とが、それぞれ共に負と正であるような2組である。すなわち光波の伝播方向が、電子流に対して逆方向と順方向との2種がある。
図1において、光出力を分岐して入力側に帰還すれば、ループ利得が1を超えれば発振するので、光発振装置となる。その帰還回路の中に、装置自体の増幅度や波長フィルター、偏光面等を選択する装置を付設しておくことが好ましい。図8は、本発明に係る光増幅装置の他の実施例を示す構成図であり、発振器として動作させる装置の基本概念図である。図8において、半導体薄膜6及び基板5は、図1のものと同様である。光発振装置2は、光出力を分岐する分岐モジュール26と、分岐モジュール26で光出力の一部を分けて帰還された光のうち必要により所要の波長や強度、偏光面、また光路長などを選択ないし調整するフィルター21と、反射鏡22と、入力側に光を帰還させる帰還モジュール25と、発振された光の一部を取り出す光出力部20とで構成されている。このように、半導体薄膜6から取り出された光を半導体薄膜6の入力側へフィードバックするための帰還装置を備えることで、光発振装置2が実現できる。
さらに、静磁界を加える方向にy方向成分が含まれていれば、図7において両方向に光増幅するので、両端に若干の反射率を持つ鏡を設けるだけで、フィードバック機構なくとも内部で光が往復するため、発振器ができる。若干の反射率とは、往復して反射率と増幅率との総合増幅率が1を超えればよい。
発振器であるため、この用途のためにはとくに光入力部は必要ないが、発振器のトリガー制御のための光入力を使用するために、光入力部が必要となる場合もあるため、装置の用途に合わせて光入力部を省略することができる。
以上のように、本実施例の光増幅装置1によれば、サブミリ波から可視光域までの広い波長範囲で大きな増幅率を得ることができる。また、レーザーのような量子力学的遷移による動作ではないので、雑音を抑えることができる。また、光の進行方向と直交する方向に静磁界を加えることで、増幅度を変えることができる。さらに、加速電界、静磁界の値、偏波面の方向等や各進行方向ベクトル方向等を変化させる制御信号入力手段を備えることで、光発生装置、光変調装置、光演算装置、パラメトリック装置その他の種々の装置が実現できる。
本発明に係る光増幅装置の実施例を示す構成図である。 本発明に係る半導体薄膜の構成例を示す概略構造図である。 本発明に係る半導体薄膜の他の構成例を示す概略構造図である。 本発明に係る光増幅装置の動作例を示すグラフである。 本発明に係る光増幅装置の他の動作例を示すグラフである。 本発明に係る光増幅装置のさらに他の動作例を示すグラフである。 本発明に係る光増幅装置のさらに他の動作例を示すグラフである。 本発明に係る光増幅装置の他の実施例を示す構成図である。
符号の説明
1・・・・・・・・・光増幅装置
2・・・・・・・・・光発振装置
5・・・・・・・・・基板
5a、5b・・・・・異種物質層
5c、5d・・・・・クラッド相当層
5ca、5da・・・空孔
6・・・・・・・・・半導体薄膜
10,11・・・・・電極
15・・・・・・・・光入力部
16・・・・・・・・光出力部
20・・・・・・・・光出力部
21・・・・・・・・フィルタ
22・・・・・・・・反射鏡
25・・・・・・・・帰還モジュール
26・・・・・・・・光分岐モジュール

Claims (9)

  1. 波長200μm以下のサブミリ波から可視光域までの光の波長と同程度の厚みの半導体薄膜と、
    該半導体薄膜の一端から平面方向に該光を導入させる光入力部と、
    該半導体薄膜の他端から導入された光を取り出す光出力部とを備え、
    該光の進行方向に該半導体薄膜内のキャリアをドリフトさせる該半導体薄膜に加速電界を加えるための電極を設けたことを特徴とする光増幅装置。
  2. 前記半導体薄膜の厚さが、前記光の基本TMモードの基本波長ないしその高次波長に対応するように選ばれた平面導波路であることを特徴とする請求項1記載の光増幅器。
  3. 前記半導体薄膜はその光導波路構造として、該半導体薄膜の両側面に光閉じ込めのための屈折率が低いクラッド層が付着されていることを特徴とする請求項1記載の光増幅装置。
  4. 前記半導体薄膜の光導波路構造として、該半導体薄膜相当部分の側面を微細周期構造をもつフォトニック結晶とすることを特徴とする請求項3記載の光増幅装置。
  5. 前記光の進行方向と直交する方向に静磁界を加える装置を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の光増幅装置。
  6. 前記直交する方向が、光の進行方向(z方向)に対するx方向とy方向の少なくとも一方であることを特徴とする請求項3記載の光増幅装置。
  7. キャリア注入電極装置、加速電界、静磁界の値、偏波面の方向等や各進行方向ベクトル方向等を変化させる制御信号入力手段を備えることで、波長制御装置、光強度制御装置、光信号変調装置、光論理演算装置等として動作させることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の光増幅装置。
  8. 前記半導体薄膜から取り出された光を該半導体薄膜の光入力側へフィードバックするための帰還装置を備えることで、光発振装置として動作させることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の光増幅装置。
  9. 光増幅現象の非線形性を利用する付加装置を備えることで、光パラメトリック装置として動作させることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の光増幅装置。
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