以下、添付図面を参照して、本発明をその好適な実施の形態に基づき詳細に説明する。各図面において、同一又は類似の構成要素には共通の参照符号を付す。
図面を参照すると、図1は本発明の第1の関連技術によるキースイッチ10の分解斜視図、図2はキースイッチ10の組立時の断面図、及び図3はキースイッチ10の異なる箇所での組立時の断面図である。キースイッチ10は、オペレータの手指で打鍵される操作面12aを有したキートップ12と、キートップ12の下方に配置される矩形枠状のベース14と、キートップ12をベース14の主表面14a上で昇降方向へ案内支持する一対のリンク部材16、18と、ベース14の下方に配置され、メンブレンスイッチ20を有するメンブレンシート22とを備える。
キートップ12は、略矩形平面形状を有した皿状の部材であり、操作面12aの反対側の内面12bに、一対の枢着部24と一対の摺動係着部26とが互いに離間して形成される(図は各1つの枢着部24及び摺動係着部26を示す)。一対の枢着部24は、キートップ12の後端側(図2で右端側)で互いに離間して配置され、一対の摺動係着部26は、キートップ12の前端側(図2で左端側)で互いに離間して配置される。以下、キースイッチ10の前後方向を便宜的に上記のように定義して説明するが、実際の使用時における前後方向がこの定義に限定されないことは言うまでもない。
各枢着部24は、キートップ12の内面12bから直立状に突設される板状片からなり、板厚方向へ貫通する軸受穴24aと、内面12bに略直交する方向へ延びて軸受穴24aに連通する切欠き24bとを備える。それら枢着部24は、各々の軸受穴24aがその貫通方向へ互いに整列するように、キートップ12の内面12b上で位置決めされる。各摺動係着部26は、キートップ12の内面12bに直立状に突設される板状片からなり、板厚方向へ貫通するとともに、内面12bに略平行な方向へ延びて枢着部24から離れた前側で開放される軸受溝26aを備える。それら摺動係着部26は、各々の軸受溝26aがその貫通方向へ互いに整列するように、キートップ12の内面12b上で位置決めされる。さらに、対応する各枢着部24と各摺動係着部26とは、キートップ12の内面12b上で前後方向へ実質的に整列配置される。
ベース14は、略矩形平面形状を有した枠状の部材であり、キートップ12によって遮蔽される略矩形の中心開口部15を備える。ベース14には、中心開口部15を画成する対向する内縁部分14bに沿って、一対の枢着部28と一対の摺動係着部30とが前後方向へ互いに離間して形成される。さらに特定すれば、一対の枢着部28は、ベース14の後端側で互いに離間して配置され、一対の摺動係着部30は、ベース14の前端側で互いに離間して配置される。
各枢着部28は、ベース14の主表面14aから突出する部分を有した板状片からなり、板厚方向へ貫通する軸受穴28aと、主表面14aに略直交する方向へ延びて軸受穴28aに連通する切欠き28bとを備える。それら枢着部28は、各々の軸受穴28aがその貫通方向へ互いに整列するように、ベース14の各内縁部分14b上で位置決めされる。各摺動係着部30は、ベース14の主表面14a及び内縁部分14bから突出するL字状の壁部分を有し、この壁部分の内側に、主表面14aに略平行に延びる軸受溝30aが形成される。これら軸受溝30aは、枢着部28から離れた前側及びベース14の底面側で開放される。それら摺動係着部30は、各々の軸受溝30aがその深さ方向へ互いに整列するように、ベース14の各内縁部分14b上で位置決めされる。さらに、対応する各枢着部28と各摺動係着部30とは、ベース14の内縁部分14bに沿って前後方向へ実質的に整列配置される。
一対のリンク部材16、18は、側面視X字状に互いに連結される実質的同一形状の第1リンク部材16及び第2リンク部材18からなる。各リンク部材16、18は、互いに平行に延びる2個のアーム32と、それらアーム32の一端を互いに連結するバー34とを一体に備える。両アーム32の一端には、バー34の反対側にそれぞれ支軸36が互いに同軸状に突設され、両アーム32の他端には、各支軸36と同一側にそれぞれ支軸38が互いに同軸状に突設される。第1リンク部材16と第2リンク部材18とは、それぞれの一対のアーム32の長手方向略中央で、枢軸40により互いに回動可能に連結される。
第1リンク部材16は、各アーム32の一端に設けた支軸36を、ベース14の各摺動係着部30の軸受溝30aに摺動自在に嵌入し、かつ各アーム32の他端に設けた支軸38を、キートップ12の各枢着部24の軸受穴24aに回動自在に嵌入して、キートップ12とベース14との間に支軸38を中心として揺動自在に配置される。第2リンク部材18は、各アーム32の一端に設けた支軸36を、ベース14の各枢着部28の軸受穴28aに回動自在に嵌入し、かつ各アーム32の他端に設けた支軸38を、キートップ12の各摺動係着部26の軸受溝26aに摺動自在に嵌入して、キートップ12とベース14との間に支軸36を中心として揺動自在に配置される。したがってこの実施形態では、第1リンク部材16の支軸36及び第2リンク部材18の支軸38が、それらリンク部材16、18の摺動部分を構成する。第1及び第2リンク部材16、18は枢軸40を介して互いに連動し、同期して揺動するので、キートップ12は、ベース14の主表面14aに対し実質的鉛直方向へ、操作面12aを主表面14aに略平行に配置した所定の姿勢を保持しつつ平行移動できる。
メンブレンシート22は、スペーサを介して積層された2枚のフィルム状回路基板を備え、それら回路基板の対向位置に形成された導通接点がメンブレンスイッチ20を構成する。メンブレンシート22は、ベース14の下方で支持プレート42上に固定的に支持され、メンブレンスイッチ20をベース14の中心開口部15の略中央に配置する。他方、キートップ12は図3に示すように、その内面12bの略中央、メンブレンシート22のメンブレンスイッチ20に高さ方向へ実質的に整列する位置に突起44を備え、突起44に圧縮コイルばね46が装着される。圧縮コイルばね46は、キートップ12の昇降動作に対応してメンブレンスイッチ20を開閉する開閉手段、すなわち作動部材として作用する。
メンブレンスイッチ20は、通常は接点が開いた状態にある。そして打鍵操作によりキートップ12が第1及び第2リンク部材16、18の案内の下で押下げられると、所定の押下げ位置で圧縮コイルばね46の自由端がベース14の中心開口部15に進入してメンブレンシート22に当接され、圧縮コイルばね46を介した弾性的な押圧によりメンブレンスイッチ20が閉じられる。キートップ12の押下げ力が解除されると、後述するようにキートップ12が初期位置へ復帰し、圧縮コイルばね46がメンブレンシート22から脱離してメンブレンスイッチ20が開かれる。なお、メンブレンスイッチ20の開閉手段として、圧縮コイルばね46の代わりに柱状ゴム等の他の弾性部材を使用することもできる。いずれの場合も、キートップ12を押下げたときの衝撃を緩和するために、メンブレンスイッチ20の閉鎖が困難にならない程度の弾性を有することが好ましい。
キースイッチ10はさらに、キートップ12をベース14から離れる上方へ弾性的に付勢する付勢手段として、ベース14と第1リンク部材16との間に配置された弾性部材である板ばね48を備える。図2に模式図的に示すように、板ばね48はその一端で、摺動係着部30の軸受溝30aに対向するベース14の前側の内縁部分14cに一体的に連結され、他端の自由端側で、第1リンク部材16のバー34に接触する。板ばね48は、ベース14の内縁部分14cと第1リンク部材16のバー34との間で圧縮ばねとして作用する。
板ばね48は、キートップ12に外力が加わらないときには、第1リンク部材16のバー34をベース14の内縁部分14cから離れた後方位置に付勢支持するとともに、第1リンク部材16及びそれに連動する第2リンク部材18を介して、キートップ12をベース14から鉛直上方へ離れた初期位置に付勢支持する(図2参照)。また、打鍵操作によりキートップ12が押下げられると、第1リンク部材16の各支軸36がベース14の各摺動係着部30の軸受溝30aに沿って前方へ移動すると同時に、バー34がベース14の内縁部分14cに接近する方向へ移動する。このとき板ばね48は、キートップ12の押下げ方向に略直交する方向への付勢力(弾性回復力)を第1リンク部材16のバー34(すなわち負荷部分)に及ぼしつつ変形する。キートップ12への押下げ力が解除されると、板ばね48が弾性的に復元し、第1リンク部材16及び第2リンク部材18を介してキートップ12を初期位置へ復帰させる。ここで、板ばね48は単純形状の線形特性ばねであり、バー34の変位量に線形対応する付勢力をバー34に及ぼすようになっている。
キースイッチ10によれば、このような線形特性を有した板ばね48を使用して、従来のキースイッチにおけるドーム状の弾性作動部材と同様の非線形的な打鍵操作特性を得ることができる。これは、板ばね48が、キートップ12の押下げ方向に略直交する方向への付勢力を第1リンク部材16に負荷することに起因したものであり、その動作原理を、図4を参照して説明する。
図4(a)は、長さLのリンク(第1リンク部材16)を斜めに配置し、その下端(バー34)に圧縮ばね(板ばね48)を連結するとともに、上端(支軸38)を鉛直下方へ押下げる構成を模式図的に示す。この構成では、リンク上端に加わる鉛直下方への押下げ力Fに対応して、リンク下端に圧縮ばねの反力fが水平方向へ負荷される。ここで、F=f・tanθ(θはリンク角度)、f=k・x(kはばね定数、xはリンク下端の水平方向変位量)の関係が成立する。また、X=L(sinθ0−sinθ)(Xはリンク上端の鉛直方向変位量、θ0はfが零のときのリンク角度)、x=−L(cosθ0−cosθ)である。
本出願の発明者らは、上記した原理に則し、θ0=45°、L=5mm、k=120gf/mm(1.176N/mm)と仮定して、パラメータθ=45°〜0°に関して数値解析を行い、リンク上端の鉛直方向変位量と押下げ力との関係を求めた。その結果は、図4(b)に示すように、リンク上端の鉛直方向変位量Xが所定値を超えたときに、それまで徐々に増加していた押下げ力Fが反対に減少する特性が得られた。したがってキースイッチ10によれば、キートップ12の押下げ量が所定値を超えたときに、それまで徐々に増加していた付勢力が急に減少するような、つまりドーム状の弾性作動部材を使用した従来のキースイッチと同様の打鍵操作特性が得られることになる。なお実際は、キートップ12の所定の押下げ位置からは、メンブレンスイッチ20の作動部材である前述した圧縮コイルばね46による反力Rが加わるので、図4(c)に実線で示す合成特性となる。
このように、キースイッチ10では、従来のキースイッチにおけるドーム状の弾性作動部材が有するキートップ付勢機能とメンブレンスイッチ作動機能とを、それぞれ板ばね48と圧縮コイルばね46とに分担させることにより、ドーム状の弾性作動部材を排除した。板ばね48は、従来のドーム状の弾性作動部材とは異なり、キースイッチ10の高さ方向においてキートップ12とメンブレンシート22との間に介在しないので、キースイッチ10の非操作時及び押下げ操作時の全高をさらに低減することが可能となる。なお圧縮コイルばね46は、キートップ12を所定位置まで押下げたときにメンブレンスイッチ20に接触できればよいので、圧縮コイルばね46の存在がキースイッチ10の高さに影響を及ぼすことは殆どない。しかも板ばね48は、単純な線形特性ばねであるにも関わらず、その配置に起因して上記したように従来のドーム状の弾性作動部材と同様の非線形的な打鍵操作特性を発揮できるので、操作感覚を損なわずにキースイッチ10の製造コストを削減することができる。
上記関連技術では、板ばね48は、ベース14の中心開口部15を画成する内縁部分14cに一体的に連結される構成としたが、図5に変形形態として示すように、第1リンク部材16に一体的に連結された板ばね50を採用することもできる。この場合、板ばね50は、その一端で第1リンク部材16のバー34の近傍に一体的に連結され、他端の自由端側でベース14の内縁部分14cに当接される。このような構成によっても、図1の関連技術と同様の効果が得られることは理解されよう。
板ばね48は、例えば樹脂材料からなるベース14に同一樹脂材料で一体成形することができる。また、金属材料からなるベース14に同一金属材料で一体成形することもできる。或いは、樹脂材料からなるベース14に金属製の板ばね48をインサート成形工程により一体的に連結することもできる。同様に板ばね50は、例えば樹脂材料からなる第1リンク部材16に同一樹脂材料で一体成形することができる。また、金属材料からなる第1リンク部材16に同一金属材料で一体成形することもできる。或いは、樹脂材料からなる第1リンク部材16に金属製の板ばね50をインサート成形工程により一体的に連結することもできる。図5には、第1リンク部材16にインサート成形された板ばね50の連結部分50aが破線で示されている。
また、板ばね48、50の代わりに、圧縮コイルばね、引張コイルばね等の他の線形特性弾性部材を使用することもできる。さらに上記実施形態では、ベース14と第1リンク部材16の負荷部分(バー34)との間に板ばね48、50を配置したが、それに加えて、或いはその代わりに、キートップ12と第2リンク部材18の例えば摺動部分(支軸38)との間に、板ばね等の線形特性弾性部材を配置することもできる。
図6及び図7は、本発明の第2の関連技術によるキースイッチ60を示す。キースイッチ60は、オペレータの手指で打鍵される操作面62aを有したキートップ62と、キートップ62の下方に配置される矩形枠状のベース64と、キートップ62をベース64の主表面64a上で昇降方向へ案内支持する一対のリンク部材66、68と、ベース64の下方に配置され、メンブレンスイッチ20を有するメンブレンシート22と、メンブレンシート22を支持する支持プレート42とを備える。メンブレンスイッチ20、メンブレンシート22及び支持プレート42は、第1関連技術のキースイッチ10におけるものと同様の構成を有するので、説明を省略する。
キートップ62は、略矩形平面形状を有した皿状の部材であり、操作面62aの反対側の内面62bに、二対の枢着部70が互いに離間して形成される(図は2つの枢着部70を示す)。各対の枢着部70は、キートップ62の前端側(図7で左端側)及び後端側(図7で右端側)で互いに離間して配置される。以下、キースイッチ60の前後方向を便宜的に上記のように定義して説明するが、実際の使用時における前後方向がこの定義に限定されないことは言うまでもない。
各枢着部70は、キートップ62の内面62bから直立状に突設される板状片からなり、板厚方向へ貫通する軸受穴70aと、内面62bに略直交する方向へ延びて軸受穴70aに連通する切欠き70bとを備える。各対を成す2個の枢着部70は、各々の軸受穴70aがその貫通方向へ互いに整列するように、キートップ62の内面62b上で位置決めされる。さらに、各対で対応する枢着部70は、キートップ62の内面62b上で前後方向へ実質的に整列配置される。
図示しないがキートップ62はさらに、その内面62bの略中央、メンブレンシート22のメンブレンスイッチ20に高さ方向へ実質的に整列する位置に、第1関連技術における突起44及び圧縮コイルばね46と同様の突起及び圧縮コイルばねを備える。この圧縮コイルばねは、キートップ62の昇降動作に対応してメンブレンスイッチ20を開閉する弾性作動部材として作用する。
ベース64は、略矩形平面形状を有した枠状の部材であり、キートップ62によって遮蔽される略矩形の中心開口部65を備える。ベース64には、中心開口部65を画成する対向する内縁部分64bに沿って、二対の摺動係着部72が前後方向へ互いに離間して、かつ各対において互いに離間して形成される。
ベース64の前端側に配置される各摺動係着部72は、ベース64の主表面64a及び内縁部分64bから突出するL字状の壁部分を有し、この壁部分の内側に、主表面64aに略平行に延びる軸受溝72aが形成される。この軸受溝72aは、後端側の摺動係着部72から離れた前側及びベース64の底面側で開放される。同様に、ベース64の後端側に配置される各摺動係着部72は、ベース64の主表面64a及び内縁部分64bから突出するL字状の壁部分を有し、この壁部分の内側に、主表面64aに略平行に延びる軸受溝72aが形成される。この軸受溝72aは、前端側の摺動係着部72から離れた後側及びベース64の底面側で開放される。
各対を成す2個の摺動係着部72は、各々の軸受溝72aがその深さ方向へ互いに整列するように、ベース64の一対の内縁部分64b上でそれぞれ位置決めされる。さらに、各対で対応する摺動係着部72は、ベース64の内縁部分64bに沿って前後方向へ実質的に整列配置される。
一対のリンク部材66、68は、側面視X字状に互いに連結される実質的同一形状の第1リンク部材66及び第2リンク部材68からなる。各リンク部材66、68は、互いに平行に延びる2個のアーム74と、それらアーム74の一端を互いに連結するバー76とを一体に備える。両アーム74の一端には、バー76の反対側にそれぞれ支軸78が互いに同軸状に突設され、両アーム74の他端には、両支軸78と同一側にそれぞれ支軸80が互いに同軸状に突設される。第1リンク部材66と第2リンク部材68とは、それぞれの一方のアーム74の長手方向略中央に突設した枢軸82と、それぞれの他方のアーム74の長手方向略中央に穿設した長孔84とが係合することにより、互いに回動可能かつ摺動可能に連結される。
第1リンク部材66は、各アーム74の一端に設けた支軸78を、ベース64の前側の各摺動係着部72の軸受溝72aに摺動自在に嵌入し、かつ各アーム74の他端に設けた支軸80を、キートップ62の後側の各枢着部70の軸受穴70aに回動自在に嵌入して、キートップ62とベース64との間に支軸80を中心として揺動自在に配置される。第2リンク部材68は、各アーム74の一端に設けた支軸78を、ベース64の後側の各摺動係着部72の軸受溝72aに摺動自在に嵌入し、かつ各アーム74の他端に設けた支軸80を、キートップ62の前側の各枢着部70の軸受穴70aに回動自在に嵌入して、キートップ62とベース64との間に支軸80を中心として揺動自在に配置される。したがってこの関連技術では、第1リンク部材66の支軸78及び第2リンク部材68の支軸78が、それらリンク部材66、68の摺動部分を構成する。第1及び第2リンク部材66、68は、枢軸82と長孔84との係合による摺動可能な連結部を介して互いに連動し、同期して揺動するので、キートップ62は、ベース64の主表面64aに対し実質的鉛直方向へ、操作面62aを主表面64aに略平行に配置した所定の姿勢を保持しつつ平行移動できる。
キースイッチ60はさらに、キートップ62をベース64から離れる上方へ弾性的に付勢する付勢手段として、ベース64と第1リンク部材66及び第2リンク部材68との間に配置された弾性部材である一対の板ばね86を備える。図7に模式図的に示すように、一方の板ばね86はその一端で、摺動係着部72の軸受溝72aに対向するベース64の前側の内縁部分64cに一体的に連結され、他端の自由端側で、第1リンク部材66のバー76に接触する。また、他方の板ばね86はその一端で、摺動係着部72の軸受溝72aに対向するベース64の後側の内縁部分64cに一体的に連結され、他端の自由端側で、第2リンク部材68のバー76に接触する。各板ばね86は、ベース64の各内縁部分64cと第1及び第2リンク部材66、68の各々のバー76との間で圧縮ばねとして作用する。
各板ばね86は、キートップ62に外力が加わらないときには、第1及び第2リンク部材66、68の各々のバー76をベース64の各内縁部分64cから離れた後方及び前方位置にそれぞれ付勢支持するとともに、第1及び第2リンク部材66、68を介して、キートップ62をベース64から鉛直上方へ離れた初期位置に付勢支持する(図7参照)。また、打鍵操作によりキートップ62が押下げられると、第1及び第2リンク部材66、68の各々の各支軸78がベース64の各摺動係着部72の軸受溝72aに沿って前方及び後方へそれぞれ移動すると同時に、バー76がベース64の各内縁部分64cに接近する方向へ移動する。このとき各板ばね86は、キートップ62の押下げ方向に略直交する方向への付勢力(弾性回復力)を第1及び第2リンク部材66、68の各々のバー76(すなわち負荷部分)に及ぼしつつ変形する。
キートップ62への押下げ力が解除されると、各板ばね86が弾性的に復元し、第1及び第2リンク部材66、68を介してキートップ62を初期位置へ復帰させる。ここで、各板ばね86は、単純形状の線形特性ばねであり、各バー76の変位量に線形対応する付勢力を各バー76に及ぼすようになっている。なお好ましくは各板ばね86は、互いに同一の形状及び特性を有する。
キースイッチ60によれば、このような線形特性を有した2個の板ばね86を使用して、従来のキースイッチにおけるドーム状の弾性作動部材と同様の非線形的な打鍵操作特性を得ることができる。これは、両板ばね86が、キートップ62の押下げ方向に略直交する方向への付勢力を第1及び第2リンク部材66、68に負荷することに起因したものであり、その動作原理は、第1関連技術で説明した原理と同様である。
このように、キースイッチ60においても、従来のキースイッチにおけるドーム状の弾性作動部材を排除し、その代わりにキートップ付勢手段として、キースイッチ60の高さ方向においてキートップ62とメンブレンシート22との間に介在しない2個の板ばね86を使用したので、キースイッチ60の非操作時及び押下げ操作時の全高をさらに低減することが可能となる。しかも板ばね86は、単純な線形特性ばねであるにも関わらず、その配置に起因して上記したように従来のドーム状の弾性作動部材と同様の非線形的な打鍵操作特性を発揮できるので、操作感覚を損なわずにキースイッチ60の製造コストを削減することができる。さらに、キースイッチ60では、キートップ62に加わる押下げ力を2個の板ばね86で分散的に支持することができるので、1個の板ばね86に加わるストレスを軽減でき、それにより板ばね86の損傷を防止できるとともに設計を容易にすることができる。
上記関連技術では、各板ばね86は、ベース64の中心開口部65を画成する各内縁部分64cに一体的に連結される構成としたが、図8に変形形態として示すように、第1及び第2リンク部材66、68の各々に一体的に連結された板ばね88を採用することもできる。この場合、各板ばね88は、その一端で第1及び第2リンク部材66、68の各々のバー76の近傍に一体的に連結され、他端の自由端側でベース64の各内縁部分64cに当接される。このような構成によっても、図6の関連技術と同様の効果が得られることは理解されよう。なお、この構成によっても、第1及び第2リンク部材66、68を同一形状にすることができるので、部品の種類を増加させることがない。
板ばね86は、例えば樹脂材料からなるベース64に同一樹脂材料で一体成形することができる。また、金属材料からなるベース64に同一金属材料で一体成形することもできる。或いは、樹脂材料からなるベース64に金属製の板ばね86をインサート成形工程により一体的に連結することもできる。同様に板ばね88は、例えば樹脂材料からなる第1及び第2リンク部材66、68に同一樹脂材料で一体成形することができる。また、金属材料からなる第1及び第2リンク部材66、68に同一金属材料で一体成形することもできる。或いは、樹脂材料からなる第1及び第2リンク部材66、68に金属製の板ばね88をインサート成形工程により一体的に連結することもできる。図8には、第1リンク部材66にインサート成形された板ばね88の連結部分88aが破線で示されている。また図9は、樹脂材料から一体成形された板ばね88を有する第1及び第2リンク部材66、68を例示する。
また、板ばね86、88の代わりに、圧縮コイルばね、引張コイルばね等の他の線形特性弾性部材を使用することもできる。さらに上記関連技術では、ベース64と第1及び第2リンク部材66、68の各負荷部分(バー76)との間のそれぞれに1個ずつ板ばね86、88を配置したが、その代わりに、ベース64と第1及び第2リンク部材66、68の各負荷部分(バー76)との間のいずれか一方のみに板ばね等の線形特性弾性部材を配置することもできる。さらに、ベース64に連結される板ばね86と、第1又は第2リンク部材66、68に連結される板ばね88とを、併せて使用することもできる。
図10及び図11は、本発明の第3の関連技術によるキースイッチ90を示す。キースイッチ90は、オペレータの手指で打鍵される操作面92aを有したキートップ92と、キートップ92の下方に配置される矩形枠状のベース94と、キートップ92をベース94の主表面94a上で昇降方向へ案内支持する一対のリンク部材96、98と、ベース94の下方に配置され、メンブレンスイッチ20を有するメンブレンシート22と、メンブレンシート22を支持する支持プレート42とを備える。メンブレンスイッチ20、メンブレンシート22及び支持プレート42は、第1関連技術のキースイッチ10におけるものと同様の構成を有するので、説明を省略する。
キートップ92は、略矩形平面形状を有した皿状の部材であり、操作面92aの反対側の内面92bに、二対の枢着部100が互いに前後方向(図11で左右方向)に並置して形成される(図は2つの枢着部100を示す)。各対の枢着部100は、キートップ92の略中央で互いに離間して配置される。以下、キースイッチ90の前後方向を便宜的に上記のように定義して説明するが、実際の使用時における前後方向がこの定義に限定されないことは言うまでもない。
各枢着部100は、キートップ92の内面92bから直立状に突設される板状片からなり、板厚方向へ貫通する軸受穴100aと、内面92bに略直交する方向へ延びて軸受穴100aに連通する切欠き100bとを備える。各対を成す2個の枢着部100は、各々の軸受穴100aがその貫通方向へ互いに整列するように、キートップ92の内面92b上で位置決めされる。さらに、各対で対応する枢着部100は、キートップ92の内面92b上で前後方向へ実質的に整列配置される。
図示しないがキートップ92はさらに、その内面92bの略中央、メンブレンシート22のメンブレンスイッチ20に高さ方向へ実質的に整列する位置に、第1実施形態における突起44及び圧縮コイルばね46と同様の突起及び圧縮コイルばねを備える。この圧縮コイルばねは、キートップ92の昇降動作に対応してメンブレンスイッチ20を開閉する弾性作動部材として作用する。
ベース94は、略矩形平面形状を有した枠状の部材であり、キートップ92によって遮蔽される略矩形の中心開口部95を備える。ベース94には、中心開口部95を画成する対向する内縁部分94bに沿って、二対の摺動係着部102が前後方向へ互いに離間して、かつ各対において互いに離間して形成される。
ベース94の前端側に配置される各摺動係着部102は、ベース94の主表面94a及び内縁部分94bから突出するL字状の壁部分を有し、この壁部分の内側に、主表面94aに略平行に延びる軸受溝102aが形成される。この軸受溝102aは、後端側の摺動係着部102から離れた前側及びベース94の底面側で開放される。同様に、ベース94の後端側に配置される各摺動係着部102は、ベース94の主表面94a及び内縁部分94bから突出するL字状の壁部分を有し、この壁部分の内側に、主表面94aに略平行に延びる軸受溝102aが形成される。この軸受溝102aは、前端側の摺動係着部102から離れた後側及びベース94の底面側で開放される。
各対を成す2個の摺動係着部102は、各々の軸受溝102aがその深さ方向へ互いに整列するように、ベース94の一対の内縁部分94b上でそれぞれ位置決めされる。さらに、各対で対応する摺動係着部102は、ベース94の内縁部分94bに沿って前後方向へ実質的に整列配置される。
一対のリンク部材96、98は、側面視逆V字状に互いに連結される実質的同一形状の第1リンク部材96及び第2リンク部材98からなる。各リンク部材96、98は、互いに平行に延びる2個のアーム104と、それらアーム104の一端を互いに連結するバー106とを一体に備える。両アーム104の一端には、バー106の反対側にそれぞれ支軸108が互いに同軸状に突設され、両アーム104の他端には、両支軸108と同一側にそれぞれ支軸110が互いに同軸状に突設される。第1リンク部材96と第2リンク部材98とは、それぞれの一方のアーム104の支軸110側の先端に突設した1枚の歯112と、それぞれの他方のアーム104の支軸110側の先端に突設した2枚の歯114とが噛み合うことにより、互いに回動可能に連結される。
第1リンク部材96は、各アーム104の一端に設けた支軸108を、ベース94の前側の各摺動係着部102の軸受溝102aに摺動自在に嵌入し、かつ各アーム104の他端に設けた支軸110を、キートップ92の前側の各枢着部100の軸受穴100aに回動自在に嵌入して、キートップ92とベース94との間に支軸110を中心として揺動自在に配置される。第2リンク部材98は、各アーム104の一端に設けた支軸108を、ベース94の後側の各摺動係着部102の軸受溝102aに摺動自在に嵌入し、かつ各アーム104の他端に設けた支軸110を、キートップ92の後側の各枢着部100の軸受穴100aに回動自在に嵌入して、キートップ92とベース94との間に支軸110を中心として揺動自在に配置される。したがってこの関連技術では、第1リンク部材96の支軸108及び第2リンク部材98の支軸108が、それらリンク部材96、98の摺動部分を構成する。第1及び第2リンク部材96、98は、1枚の歯112と2枚の歯114との噛合部を介して互いに連動し、同期して揺動するので、キートップ92は、ベース94の主表面94aに対し実質的鉛直方向へ、操作面92aを主表面94aに略平行に配置した所定の姿勢を保持しつつ平行移動できる。
キースイッチ90はさらに、キートップ92をベース94から離れる上方へ弾性的に付勢する付勢手段として、ベース94と第1リンク部材96及び第2リンク部材98との間に配置された弾性部材である一対の板ばね116を備える。図11に模式図的に示すように、一方の板ばね116はその一端で、摺動係着部102の軸受溝102aに対向するベース94の前側の内縁部分94cに一体的に連結され、他端の自由端側で、第1リンク部材96のバー106に接触する。また、他方の板ばね116はその一端で、摺動係着部102の軸受溝102aに対向するベース94の後側の内縁部分94cに一体的に連結され、他端の自由端側で、第2リンク部材98のバー106に接触する。各板ばね116は、ベース94の各内縁部分94cと第1及び第2リンク部材96、98の各々のバー106との間で圧縮ばねとして作用する。
各板ばね116は、キートップ92に外力が加わらないときには、第1及び第2リンク部材96、98の各々のバー106をベース94の各内縁部分94cから離れた後方及び前方位置にそれぞれ付勢支持するとともに、第1及び第2リンク部材96、98を介して、キートップ92をベース94から鉛直上方へ離れた初期位置に付勢支持する(図11参照)。また、打鍵操作によりキートップ92が押下げられると、第1及び第2リンク部材96、98の各々の各支軸108がベース94の各摺動係着部102の軸受溝102aに沿って前方及び後方へそれぞれ移動すると同時に、バー106がベース94の各内縁部分94cに接近する方向へ移動する。このとき各板ばね116は、キートップ92の押下げ方向に略直交する方向への付勢力(弾性回復力)を第1及び第2リンク部材96、98の各々のバー106(すなわち負荷部分)に及ぼしつつ変形する。
キートップ92への押下げ力が解除されると、各板ばね116が弾性的に復元し、第1及び第2リンク部材96、98を介してキートップ92を初期位置へ復帰させる。ここで、各板ばね116は、単純形状の線形特性ばねであり、各バー106の変位量に線形対応する付勢力を各バー106に及ぼすようになっている。なお好ましくは各板ばね116は、互いに同一の形状及び特性を有する。
キースイッチ90によれば、このような線形特性を有した2個の板ばね116を使用して、従来のキースイッチにおけるドーム状の弾性作動部材と同様の非線形的な打鍵操作特性を得ることができる。これは、両板ばね116が、キートップ92の押下げ方向に略直交する方向への付勢力を第1及び第2リンク部材96、98に負荷することに起因したものであり、その動作原理は、第1関連技術で説明した原理と同様である。
このように、キースイッチ90においても、従来のキースイッチにおけるドーム状の弾性作動部材を排除し、その代わりにキートップ付勢手段として、キースイッチ90の高さ方向においてキートップ92とメンブレンシート22との間に介在しない2個の板ばね116を使用したので、キースイッチ90の非操作時及び押下げ操作時の全高をさらに低減することが可能となる。しかも板ばね116は、単純な線形特性ばねであるにも関わらず、その配置に起因して上記したように従来のドーム状の弾性作動部材と同様の非線形的な打鍵操作特性を発揮できるので、操作感覚を損なわずにキースイッチ90の製造コストを削減することができる。さらに、キースイッチ90では、キートップ92に加わる押下げ力を2個の板ばね116で分散的に支持することができるので、1個の板ばね116に加わるストレスを軽減でき、それにより板ばね116の損傷を防止できるとともに設計を容易にすることができる。
上記関連技術では、各板ばね116は、ベース94の中心開口部95を画成する各内縁部分94cに一体的に連結される構成としたが、図12に変形形態として示すように、第1及び第2リンク部材96、98に一体的に連結された板ばね118を採用することもできる。この場合、各板ばね118は、その一端で第1及び第2リンク部材96、98の各々のバー106の近傍に一体的に連結され、他端の自由端側でベース94の各内縁部分94cに当接される。このような構成によっても、図10の関連技術と同様の効果が得られることは理解されよう。なお、この構成によっても、第1及び第2リンク部材96、98を同一形状にすることができるので、部品の種類を増加させることがない。
板ばね116は、例えば樹脂材料からなるベース94に同一樹脂材料で一体成形することができる。また、金属材料からなるベース94に同一金属材料で一体成形することもできる。或いは、樹脂材料からなるベース94に金属製の板ばね116をインサート成形工程により一体的に連結することもできる。同様に板ばね118は、例えば樹脂材料からなる第1及び第2リンク部材96、98に同一樹脂材料で一体成形することができる。また、金属材料からなる第1及び第2リンク部材96、98に同一金属材料で一体成形することができる。或いは、樹脂材料からなる第1及び第2リンク部材96、98に金属製の板ばね118をインサート成形工程により一体的に連結することもできる。
また、板ばね116、118の代わりに、圧縮コイルばね、引張コイルばね等の他の線形特性弾性部材を使用することもできる。さらに上記関連技術では、ベース94と第1及び第2リンク部材96、98の各負荷部分(バー106)との間のそれぞれに1個づつ板ばね116、118を配置したが、その代わりに、ベース94と第1及び第2リンク部材96、98の各負荷部分(バー106)との間のいずれか一方のみに板ばね等の線形特性弾性部材を配置することもできる。さらに、ベース94に連結される板ばね116と、第1又は第2リンク部材96、98に連結される板ばね118とを、併せて使用することもできる。
図13は、本発明の第4の関連技術によるキースイッチ120を示す。キースイッチ120は、キーボード使用時にはキートップを打鍵操作可能な突出位置(初期位置)に保持し、キーボード不使用時(例えば携帯時)にはキートップを突出位置よりも低い引込位置に積極的に変位させることにより、携帯性を向上させるようにした低背型のキーボードに好適に使用できるものである。
キースイッチ120は、オペレータの手指で打鍵される操作面62aを有したキートップ62と、キートップ62の下方に配置される矩形枠状の固定ベース122(以下、単にベース122と称する)と、キートップ62をベース122の主表面122a上で昇降方向へ案内支持する一対のリンク部材66、68と、ベース122の下方に配置される矩形枠状の可動支持プレート124と、可動支持プレート124の下方に配置され、メンブレンスイッチ20を有するメンブレンシート22と、メンブレンシート22を支持する支持プレート42とを備える。キートップ62、一対のリンク部材66、68、メンブレンスイッチ20、メンブレンシート22及び支持プレート42は、図6に示した第2関連技術のキースイッチ60におけるものと同様の構成を有するので、説明を省略する。
ベース122は、略矩形平面形状を有した枠状の部材であり、キートップ62によって遮蔽される略矩形の中心開口部126を備える。ベース122には、中心開口部126を画成する対向する内縁部分122bに沿って、二対の摺動係着部128が前後方向へ互いに離間して、かつ各対において互いに離間して形成される。
ベース122の前端側に配置される各摺動係着部128は、ベース122の主表面122a及び内縁部分122bから突出するL字状の壁部分を有し、この壁部分の内側に、主表面122aに略平行に延びる軸受溝128aが形成される。この軸受溝128aは、後端側の摺動係着部128から離れた前側及びベース122の底面側で開放される。同様に、ベース122の後端側に配置される各摺動係着部128は、ベース122の主表面122a及び内縁部分122bから突出するL字状の壁部分を有し、この壁部分の内側に、主表面122aに略平行に延びる軸受溝128aが形成される。この軸受溝128aは、前端側の摺動係着部128から離れた後側及びベース122の底面側で開放される。
各対を成す2個の摺動係着部128は、各々の軸受溝128aがその深さ方向へ互いに整列するように、ベース122の一対の内縁部分122b上でそれぞれ位置決めされる。さらに、各対で対応する摺動係着部128は、ベース122の内縁部分122bに沿って前後方向へ実質的に整列配置される。
可動支持プレート124は、ベース122(固定ベース)と協働して本発明のベースを構成する略矩形平面形状を有した枠状の部材であり、ベース122の中心開口部126に実質的に整合する略矩形の中心開口部130を備える。可動支持プレート124は、ベース122とメンブレンシート22との間でキースイッチ120の前後方向(図示矢印A方向)へ移動できるようになっている。
キースイッチ120はさらに、キートップ62をベース122から離れる上方へ弾性的に付勢する付勢手段として、ベース122と第1リンク部材66及び第2リンク部材68との間に配置された弾性部材である一対の板ばね132、134を備える。一方の板ばね132はその一端で、摺動係着部128の軸受溝128aに対向するベース122の後側の内縁部分122cに一体的に連結され、他端の自由端側で、第2リンク部材68のバー76に接触する。また、他方の板ばね134はその一端で、可動支持プレート124の中心開口部130を画成する内縁部130aに一体的に連結され、他端の自由端側で、ベース122の中心開口部126を貫通して第1リンク部材66のバー76に接触する。可動支持プレート124に連結された板ばね134は、摺動係着部128の軸受溝128aに対向するベース122の前側の内縁部分122cに近接して配置される。各板ばね132、134は、ベース122の各内縁部分122cと第1及び第2リンク部材66、68の各々のバー76との間で圧縮ばねとして作用する。
このように本関連技術では、図6の第2関連技術によるキースイッチ60と異なり、キースイッチ120の前側に配置される板ばね134が、ベース122に対し可動支持プレート124と一体的に前後方向へ移動可能になっている。それによりキースイッチ120では、一対の板ばね132、134の間隔を変更することができ、その結果、後述するようにキートップ62の突出位置(初期位置)と引込位置との間の変位が可能になる。
まず、可動支持プレート124がその移動範囲の後端位置にあるときに、各板ばね132、134は、図7に示す各板ばね86と同様に作用して、キースイッチ120を打鍵操作可能状態に保持する。すなわち、キートップ62に外力が加わらなければ、第1及び第2リンク部材66、68の各々のバー76をベース122の各内縁部分122cから離れた後方及び前方位置にそれぞれ付勢支持するとともに、第1及び第2リンク部材66、68を介して、キートップ62をベース122から鉛直上方へ離れた初期位置に付勢支持する。また、打鍵操作によりキートップ62が押下げられると、第1及び第2リンク部材66、68の各々の各支軸78がベース122の各摺動係着部128の軸受溝128aに沿って前方及び後方へそれぞれ移動すると同時に、バー76がベース122の各内縁部分122cに接近する方向へ移動する。このとき各板ばね132、134は、キートップ62の押下げ方向に略直交する方向への付勢力(弾性回復力)を第1及び第2リンク部材66、68の各々のバー76(すなわち負荷部分)に及ぼしつつ変形する。
キートップ62への押下げ力が解除されると、各板ばね132、134が弾性的に復元し、第1及び第2リンク部材66、68を介してキートップ62を初期位置へ復帰させる。ここで、各板ばね132、134は、単純形状の線形特性ばねであり、各バー76の変位量に線形対応する付勢力を各バー76に及ぼすようになっている。なお好ましくは各板ばね132、134は、互いに同一の形状及び特性を有する。
キースイッチ120によれば、このような線形特性を有した2個の板ばね132、134を使用して、従来のキースイッチにおけるドーム状の弾性作動部材と同様の非線形的な打鍵操作特性を得ることができる。これは、両板ばね132、134が、キートップ62の押下げ方向に略直交する方向への付勢力を第1及び第2リンク部材66、68に負荷することに起因したものであり、その動作原理は、第1関連技術で説明した原理と同様である。
次に、図示しない作動機構を介して、板ばね134を可動支持プレート124と一体的に前方へ移動させ、その移動範囲の前端位置に配置する。板ばね134が前方へ移動すると、第1リンク部材66に対する支えが無くなるので、第1及び第2リンク部材66、68はそれら及びキートップ62の重量により自動的に畳み込まれる。その結果、キートップ62は初期位置よりも低い引込位置に配置される。このとき、一対の板ばね132、134はいずれも弾性変形の無い状態にある。
キートップ62の引込位置における高さは、板ばね134すなわち可動支持プレート124の移動範囲の前端位置によって決まる。したがって、キートップ62の引込位置における高さを十分に低くするためには、可動支持プレート124がその移動範囲の後端位置にあるときに、板ばね134とベース122の前側の内縁部分122cとの間に十分な間隔が形成されるように、各部材を寸法設定することが好ましい。或いは、ベース122の前側の内縁部分122cを除去することにより、板ばね134すなわち可動支持プレート124の移動範囲を前方へ拡大することもできる。また、キートップ62が引込位置にあるときに、キートップ62の内面62bに設置したメンブレンスイッチ作動部材としての圧縮コイルばねは、メンブレンシート22をまだ押圧しない位置にあることが好ましい。
このように、キースイッチ120によれば、従来のキースイッチにおけるドーム状の弾性作動部材を排除し、その代わりにキートップ付勢手段として、キースイッチ120の高さ方向においてキートップ62とメンブレンシート22との間に介在しない2個の板ばね132、134を使用したので、キースイッチ120の非操作時及び押下げ操作時の全高をさらに低減することが可能となる。しかも板ばね132、134は、単純な線形特性ばねであるにも関わらず、その配置に起因して上記したように従来のドーム状の弾性作動部材と同様の非線形的な打鍵操作特性を発揮できるので、操作感覚を損なわずにキースイッチ120の製造コストを削減することができる。さらに、キースイッチ120では、キートップ62に加わる押下げ力を2個の板ばね132、134で分散的に支持することができるので、各板ばね132、134に加わるストレスを軽減でき、それにより板ばね132、134の損傷を防止できるとともに設計を容易にすることができる。
さらに、キースイッチ120を多数用いてキーボードを構成すれば、キーボードの使用時には、板ばね134を可動支持プレート124と共に後端位置へ配置して、第1及び第2リンク部材66、68を介してキートップ62を打鍵操作可能な状態に支持し、キーボードの不使用時には板ばね134を可動支持プレート124と共に前端位置へ配置して、キートップ62を打鍵操作不能な引込位置に自動的に変位させることができる。キートップ62が引込位置にあるときには、キートップ62の内側には一対のリンク部材66、68及び圧縮コイルばね46が収容されるだけなので、従来のドーム状の弾性作動部材を用いたキースイッチに比べて、キートップ62の特に高さ方向の寸法を削減できる。したがってキースイッチ120によれば、キーボードの一層の低背化及び携帯性の向上が実現される。
上記関連技術において、板ばね132は、例えば樹脂材料からなるベース122に同一の樹脂材料から一体成形することができる。また、金属材料からなるベース122に同一の金属材料から一体成形することもできる。或いは、樹脂材料からなるベース122に金属製の板ばね132をインサート成形工程により一体的に連結することもできる。また板ばね134は、例えば板金製の可動支持プレート124に打抜き及び曲げ工程を経て形成できる。或いは、板ばね132、134の代わりに、圧縮コイルばね、引張コイルばね等の他の線形特性弾性部材を使用することもできる。
また上記関連技術では、ベース122と第1及び第2リンク部材66、68の各負荷部分(バー76)との間のそれぞれに1個づつ板ばね132、134を配置したが、その代わりに、ベース122と第1及び第2リンク部材66、68の各負荷部分(バー76)との間のいずれか一方のみに板ばね等の線形特性弾性部材を配置することもできる。例えば板ばね132のみを使用する場合には、板ばね134の代わりに、第1リンク部材66のバー76を支持可能な直立壁を可動支持プレート124に一体的に形成すればよい。さらに、上記関連技術とは反対に、後側の板ばね132を可動支持プレート124に連結し、前側の板ばね134をベース122に連結することもできる。
図14は、キーボード不使用時にキートップを引込位置に配置できる本発明の第5関連技術によるキースイッチ140を示す。キースイッチ140は、オペレータの手指で打鍵される操作面62aを有したキートップ62と、キートップ62の下方に配置される一辺を除去した矩形枠状の固定ベース142(以下、単にベース142と称する)と、キートップ62をベース142の主表面142a上で昇降方向へ案内支持する一対のリンク部材66、68と、ベース142の下方に配置される矩形枠状の可動支持プレート144と、可動支持プレート144の下方に配置され、メンブレンスイッチ20を有するメンブレンシート22と、メンブレンシート22を支持する支持プレート42とを備える。キートップ62、一対のリンク部材66、68、メンブレンスイッチ20、メンブレンシート22及び支持プレート42は、図8に示した第2関連技術の変形形態におけるものと同様の構成を有する(つまり、各リンク部材66、68に板ばね88が連結されている)ので、説明を省略する。
ベース142は、キースイッチ140の前側の一辺に相当する部分を除去した略矩形平面形状を有する枠状の部材であり、キートップ62によって遮蔽される略矩形の中心開口部146を備える。ベース142には、中心開口部146を画成する対向する内縁部分142bに沿って、二対の摺動係着部148が前後方向へ互いに離間して、かつ各対において互いに離間して形成される。
ベース142の前端側に配置される各摺動係着部148は、ベース142の主表面142a及び内縁部分142bから突出するL字状の壁部分を有し、この壁部分の内側に、主表面142aに略平行に延びる軸受溝148aが形成される。この軸受溝148aは、後端側の摺動係着部148から離れた前側及びベース142の底面側で開放される。同様に、ベース142の後端側に配置される各摺動係着部148は、ベース142の主表面142a及び内縁部分142bから突出するL字状の壁部分を有し、この壁部分の内側に、主表面142aに略平行に延びる軸受溝148aが形成される。この軸受溝148aは、前端側の摺動係着部148から離れた後側及びベース142の底面側で開放される。
各対を成す2個の摺動係着部148は、各々の軸受溝148aがその深さ方向へ互いに整列するように、ベース142の一対の内縁部分142b上でそれぞれ位置決めされる。さらに、各対で対応する摺動係着部148は、ベース142の内縁部分142bに沿って前後方向へ実質的に整列配置される。
可動支持プレート144は、ベース142(固定ベース)と協働して本発明のベースを構成する略矩形平面形状を有した枠状の部材であり、ベース142の中心開口部146に実質的に整合する略矩形の中心開口部150を備える。さらに可動支持プレート144は、中心開口部150を画成する内縁部150aに一体的に連結され、ベース142の後側の内縁部分142cに対向してベース142の前側でその中心開口部146内に配置される直立壁152を備える。
可動支持プレート144は、ベース142とメンブレンシート22との間で、直立壁152と一体的にキースイッチ140の前後方向(図示矢印A方向)へ移動できるようになっている。第1及び第2リンク部材66、68のバー76に連結した一対の板ばね88は、可動支持プレート144の直立壁152と第1リンク部材66のバー76との間、及びベース142の後側の内縁部分142cと第2リンク部材68のバー76との間で、それぞれ圧縮ばねとして作用する。
このように本関連技術では、図8の変形形態によるキースイッチ60と異なり、キースイッチ140の前側に配置される板ばね88が、ベース142に対し可動支持プレート144と一体的に前後方向へ移動可能な直立壁152に接触するようになっている。それによりキースイッチ140では、一対の板ばね88を当接支持する前後壁面の間隔を変更することができ、その結果、後述するようにキートップ62の突出位置(初期位置)と引込位置との間の変位が可能になる。
まず、可動支持プレート144と共に直立壁152がその移動範囲の後端位置にあるときに、各板ばね88は、図7に示す各板ばね86と同様に作用して、キースイッチ140を打鍵操作可能状態に保持する。すなわち、キートップ62に外力が加わらなければ、第1及び第2リンク部材66、68のバー76を可動支持プレート144の直立壁152及びベース142の内縁部分142cから離れた後方及び前方位置にそれぞれ付勢支持するとともに、第1及び第2リンク部材66、68を介して、キートップ62をベース142から鉛直上方へ離れた初期位置に付勢支持する。また、打鍵操作によりキートップ62が押下げられると、第1及び第2リンク部材66、68の各々の各支軸78がベース142の各摺動係着部148の軸受溝148aに沿って前方及び後方へそれぞれ移動すると同時に、バー76が可動支持プレート144の直立壁152及びベース142の内縁部分142cに接近する方向へ移動する。このとき各板ばね88は、キートップ62の押下げ方向に略直交する方向への付勢力(弾性回復力)を第1及び第2リンク部材66、68の各々のバー76(すなわち負荷部分)に及ぼしつつ変形する。
キートップ62への押下げ力が解除されると、各板ばね88が弾性的に復元し、第1及び第2リンク部材66、68を介してキートップ62を初期位置へ復帰させる。ここで、各板ばね88は、単純形状の線形特性ばねであり、各バー76の変位量に線形対応する付勢力を各バー76に及ぼすようになっている。なお好ましくは各板ばね88は、互いに同一の形状及び特性を有する。
キースイッチ140によれば、このような線形特性を有した2個の板ばね88を使用して、従来のキースイッチにおけるドーム状の弾性作動部材と同様の非線形的な打鍵操作特性を得ることができる。これは、両板ばね88が、キートップ62の押下げ方向に略直交する方向への付勢力を第1及び第2リンク部材66、68に負荷することに起因したものであり、その動作原理は、第1関連技術で説明した原理と同様である。
次に、図示しない作動機構を介して、直立壁152を可動支持プレート144と一体的に前方へ移動させ、その移動範囲の前端位置に配置する。直立壁152が前方へ移動すると、第1リンク部材66に連結した板ばね88に対する支えが無くなるので、第1及び第2リンク部材66、68はそれら及びキートップ62の重量により自動的に畳み込まれる。その結果、キートップ62は初期位置よりも低い引込位置に配置される。このとき、一対の板ばね88はいずれも弾性変形の無い状態にある。
キートップ62の引込位置における高さは、直立壁152すなわち可動支持プレート144の移動範囲の前端位置によって決まる。或いは、ベース142の前側に内縁部分142cを有するベース部分を追加形成することにより、直立壁152すなわち可動支持プレート144の移動範囲の前端位置を規制することもできる。また、キートップ62が引込位置にあるときに、キートップ62の内面62bに設置したメンブレンスイッチ作動部材としての圧縮コイルばねは、メンブレンシート22をまだ押圧しない位置にあることが好ましい。
このように、キースイッチ140によれば、従来のキースイッチにおけるドーム状の弾性作動部材を排除し、その代わりにキートップ付勢手段として、キースイッチ140の高さ方向においてキートップ62とメンブレンシート22との間に介在しない2個の板ばね88を使用したので、キースイッチ140の非操作時及び押下げ操作時の全高をさらに低減することが可能となる。しかも板ばね88は、単純な線形特性ばねであるにも関わらず、その配置に起因して上記したように従来のドーム状の弾性作動部材と同様の非線形的な打鍵操作特性を発揮できるので、操作感覚を損なわずにキースイッチ140の製造コストを削減することができる。さらに、キースイッチ140では、キートップ62に加わる押下げ力を2個の板ばね88で分散的に支持することができるので、各板ばね88に加わるストレスを軽減でき、それにより板ばね88の損傷を防止できるとともに設計を容易にすることができる。
さらに、キースイッチ140を多数用いてキーボードを構成すれば、キーボードの使用時には、直立壁152を可動支持プレート144と共に後端位置へ配置して、第1及び第2リンク部材66、68を介してキートップ62を打鍵操作可能な状態に支持し、キーボードの不使用時には直立壁152を可動支持プレート144と共に前端位置へ配置して、キートップ62を打鍵操作不能な引込位置に自動的に変位させることができる。キートップ62が引込位置にあるときには、キートップ62の内側には一対のリンク部材66、68が収容されるだけなので、従来のドーム状の弾性作動部材を用いたキースイッチに比べて、キートップ62の特に高さ方向の寸法を削減できる。したがってキースイッチ140によれば、キーボードの一層の低背化及び携帯性の向上が実現される。
図15は、キースイッチ140を多数備えた本発明の一関連技術による低背型のキーボード160を示す。キーボード160は、様々な形状のキートップ62を有した多数のキースイッチ140を所定の配列で備える。各キースイッチ140のベース142は、キーボード160の全体に拡張されて多数のキースイッチ140に共通化されており、キーボード160の筐体の上部カバーとして作用する。同様に、各キースイッチ140の可動支持プレート144、メンブレンシート22及び支持プレート42も、キーボード160の全体に拡張されて多数のキースイッチ140に共通化されている。そして各キースイッチ140に対応する箇所に、ベース142の開口部146、可動支持プレート144の開口部150及び直立壁152、並びにメンブレンスイッチ20が配置される。
可動支持プレート144には、その後端上面に2個の突起162が互いに離隔して設けられ、ベース142にはその後端に、突起162に対応して2個の開口部164が形成される。各突起162は各開口部164に、前後方向(図示矢印A方向)のみへの移動できるように受容される。したがって、各突起162を各開口部164内で前後方向へ移動させることにより、可動支持プレート144が全ての直立壁152を伴って前後方向へ移動する。それにより、全てのキースイッチ140が、前述したようにして打鍵操作可能な突出位置と打鍵操作不能な引込位置との間で変位する。
可動支持プレート144の突起162の操作は、オペレータの手作業で行うことができる。或いは、キーボード160を例えばノート型パーソナルコンピュータ等のディスプレイを備えた携帯機器に組み込んだときには、ディスプレイをキーボード160に対し開閉する動作に連動して突起162を自動的に操作する構成とすることもできる。この場合、ディスプレイの開閉動作に伴う軸回転運動を、可動支持プレート144の前後移動つまり直線運動に変換する周知の運動伝達機構を使用すればよい。
図13及び図14に示す各関連技術では、キートップ62及び一対のリンク部材66、68を付勢支持する一方の板ばね(板ばね134)や、一方の板ばねが当接される一方の支持壁面(直立壁152)を、キースイッチ120、140の前後方向、つまり一対の板ばね又は一対の支持壁面の間隔を拡縮する方向へ移動させることにより、キートップ62を突出位置と引込位置との間で変位させるようにした。このような構成では、キートップ62を突出位置に支持するキースイッチ使用時に、板ばね134又は直立壁152を常に所定の後端位置(つまり作用位置)に正確に位置決めできるように、可動支持プレート124、144を操作することが肝要である。キートップ62を突出位置と引込位置との間で変位させる度に、板ばね134又は直立壁152が所定の作用位置から幾分ずれた位置に配置されると、キースイッチ120、140の打鍵操作特性がその都度微妙に変化し、オペレータに違和感を与えることになるからである。
これに対し、板ばね134や直立壁152を、キースイッチ120、140の左右方向、つまり一対の板ばね又は一対の支持壁面が間隔を保持しつつ互いにずれる方向へ移動させることにより、キートップ62を突出位置と引込位置との間で変位させる構成とすれば、板ばね134又は直立壁152を常に所定の作用位置に正確に位置決めできるので、上記問題点を解決することができる。図16は、そのような構成を有したキースイッチの一部分を、図14のキースイッチ140の変形形態として示す。
この変形形態では、ベース142は、略矩形平面形状を有する枠状の部材であり、略矩形の中心開口部146が、その一方の内縁部分142bに形成された各摺動係着部148の軸受溝148aに隣接する2箇所で、各摺動係着部148の外側に拡張されて、一対の凹部154が形成されている。他方、可動支持プレート144には、その中心開口部150を画成する内縁部150aに、ベース142の前後の内縁部分142cに近接してその中心開口部146内に配置される一対の直立壁156が一体的に連結されている。そして可動支持プレート144は、ベース142とメンブレンシート22(図14)との間で、一対の直立壁156と一体的にキースイッチ140の左右方向(図示矢印B方向)へ移動できるようになっている。
各直立壁156は、互いに平行に延びる主部分と、主部分の一端から互いに徐々に間隔を拡大するように傾斜してのびる延長部分156aとを備える。ベース142の一方の内縁部分142bに形成した凹部154は、それら延長部分156aを受容できる寸法及び形状を有する。
上記構成において、まず、可動支持プレート144と共に一対の直立壁156がその左右方向移動範囲の一端位置にあるときに、第1及び第2リンク部材66、68に連結した各板ばね88は、各直立壁156の主部分に当接支持される。このとき、各直立壁156の延長部分156aは、ベース142の各凹部154に受容される。この状態で各板ばね88は、図7に示す各板ばね86と同様に作用して、キースイッチ140を打鍵操作可能状態に設定する。すなわち、キートップ62に外力が加わらなければ、第1及び第2リンク部材66、68を介して、キートップ62をベース142から鉛直上方へ離れた初期位置に付勢支持する。また、打鍵操作によりキートップ62が押下げられると、第1及び第2リンク部材66、68の各々のバー76が可動支持プレート144の各直立壁156の主部分に接近する方向へ移動し、各板ばね88は、キートップ62の押下げ方向に略直交する方向への付勢力(弾性回復力)を第1及び第2リンク部材66、68の各々のバー76(すなわち負荷部分)に及ぼしつつ変形する。キートップ62への押下げ力が解除されると、各板ばね88が弾性的に復元し、第1及び第2リンク部材66、68を介してキートップ62を初期位置へ復帰させる。
次に、図示しない作動機構を介して、一対の直立壁156を可動支持プレート144と一体的に移動させ、その左右方向移動範囲の他端位置に配置する。それにより各板ばね88は、各直立壁156の主部分から離脱して延長部分156aに当接支持され、最終的に各板ばね88に対する支えが実質的に無くなる。したがって、第1及び第2リンク部材66、68はそれら及びキートップ62の重量により自動的に畳み込まれ、その結果、キートップ62は初期位置よりも低い引込位置に配置される。
この状態から、一対の直立壁156を可動支持プレート144と一体的に逆方向へ移動させ、その左右方向移動範囲の一端位置に再配置すると、各板ばね88並びに第1及び第2リンク部材66、68を介してキートップ62は初期位置に復帰し、打鍵操作可能な状態に置かれる。このとき、一対の直立壁156の主部分の間隔は一定であり、それら直立壁156を常に所定の作用位置に容易に正確に位置決めできるので、キースイッチ140の打鍵操作特性の変動を効果的に防止できる。
上記した各関連技術によるキースイッチ10、60、90、120、140では、キートップ12、62、92をベース14、64、94、122、142から離れる上方へ付勢する弾性部材である板ばね48、50、86、88、116、118、132、134が、キートップ12、62、92の昇降時に各リンク部材16、66、68、96、98の摺動部分(支軸36、78、108)と実質的同一の変位動作を示す負荷部分(バー34、76、106)に、略水平方向への付勢力を加える構成となっている。これに対し、以下に説明する本発明の種々の実施形態は、キートップをベースから離れる上方へ付勢する弾性部材である板ばねが、キートップの昇降時に各リンク部材の摺動部分とは異なる変位動作を示す各リンク部材の負荷部分に、略水平方向への付勢力を加える構成を有する。
図17及び図18は、そのような構成を有する本発明の第1の実施形態によるキースイッチ170を示す。キースイッチ170は、上記した各リンク部材における負荷部分の位置以外は、第1関連技術によるキースイッチ10と実質的に同一の構造を有するので、同一の構成要素には共通の参照符号を付し、その説明を省略する。すなわちキースイッチ170は、キートップ12と、キートップ12の下方に配置される矩形枠状のベース14と、キートップ12をベース14の主表面14a上で昇降方向へ案内支持する一対のリンク部材172、174と、ベース14の下方に配置され、メンブレンスイッチ20を有するメンブレンシート22と、メンブレンシート22を支持する支持プレート42とを備える。
一対のリンク部材172、174は、側面視X字状に互いに連結される実質的同一形状の第1リンク部材172及び第2リンク部材174からなる。各リンク部材172、174は、互いに平行に延びる2個のアーム176と、それらアーム176の一端近傍を互いに連結するバー178とを一体に備える。両アーム176の一端には、バー178の反対側にそれぞれ支軸180が互いに同軸状に突設され、両アーム176の他端には、両支軸180と同一側にそれぞれ支軸182が互いに同軸状に突設される。第1リンク部材172と第2リンク部材174とは、それぞれの一対のアーム176の長手方向略中央で、枢軸184により互いに回動可能に連結される。
第1リンク部材172は、各アーム176の一端に設けた支軸180を、ベース14の各摺動係着部30の軸受溝30aに摺動自在に嵌入し、かつ各アーム176の他端に設けた支軸182を、キートップ12の各枢着部24の軸受穴24aに回動自在に嵌入して、キートップ12とベース14との間に支軸182を中心として揺動自在に配置される。第2リンク部材174は、各アーム176の一端に設けた支軸180を、ベース14の各枢着部28の軸受穴28aに回動自在に嵌入し、かつ各アーム176の他端に設けた支軸182を、キートップ12の各摺動係着部26の軸受溝26aに摺動自在に嵌入して、キートップ12とベース14との間に支軸180を中心として揺動自在に配置される。
このような第1及び第2リンク部材172、174の構成は、バー178の位置が枢軸184を中心として各支軸180から任意の角度だけずれた位置にある以外は、第1関連技術のキースイッチ10における第1及び第2リンク部材16、18と実質的に同一である。したがってこの実施形態では、第1リンク部材172の支軸180及び第2リンク部材174の支軸182が、それらリンク部材172、174の摺動部分を構成する。第1及び第2リンク部材172、174は枢軸184を介して互いに連動し、同期して揺動するので、キートップ12は、ベース14の主表面14aに対し実質的鉛直方向へ、操作面12aを主表面14aに略平行に配置した所定の姿勢を保持しつつ平行移動できる。
キースイッチ170はさらに、キートップ12をベース14から離れる上方へ弾性的に付勢する付勢手段として、ベース14と第1リンク部材172との間に配置された弾性部材である板ばね186を備える。図18に模式図的に示すように、板ばね186はその一端で、摺動係着部30の軸受溝30aに対向するベース14の前側の内縁部分14cに一体的に連結されて、ベース14の主表面14aの上方に延び、他端の自由端側で、第1リンク部材172のバー178に接触する。板ばね186は、ベース14と第1リンク部材172のバー178との間で圧縮ばねとして作用する。
板ばね186は、キートップ12に外力が加わらないときには、第1リンク部材172のバー178をベース14の内縁部分14cから離れた後方位置に付勢支持するとともに、第1リンク部材172及びそれに連動する第2リンク部材174を介して、キートップ12をベース14から鉛直上方へ離れた初期位置に付勢支持する(図18参照)。また、打鍵操作によりキートップ12が押下げられると、第1リンク部材172の各支軸180がベース14の各摺動係着部30の軸受溝30aに沿って前方へ移動し、それに伴って、バー178がベース14の内縁部分14cに接近する方向へ移動する。このときバー178は、枢軸184を中心として各支軸180から任意の角度だけずれた位置にあるので、各支軸180とは異なる変位動作を示す。そして板ばね186は、キートップ12の押下げ方向に略直交する方向への付勢力(弾性回復力)を第1リンク部材172のバー178(すなわち負荷部分)に及ぼしつつ変形する。キートップ12への押下げ力が解除されると、板ばね186が弾性的に復元し、第1リンク部材172及び第2リンク部材174を介してキートップ12を初期位置へ復帰させる。ここで、板ばね186は単純形状の線形特性ばねであり、バー178の変位量に線形対応する付勢力をバー178に及ぼすようになっている。
キースイッチ170によれば、このような線形特性を有した板ばね186を使用して、従来のキースイッチにおけるドーム状の弾性作動部材と同様の非線形的な打鍵操作特性を得ることができる。これは、板ばね186が、キートップ12の押下げ方向に略直交する方向への付勢力を第1リンク部材172に負荷することに起因したものであり、その動作原理は、図4を参照して説明した第1〜第5関連技術における原理と同様である。ただしキースイッチ170では、第1リンク部材172のバー178(負荷部分)が支軸180(摺動部分)から角度的にずれた位置にあることにより、後述する有利な作用効果を奏する。以下、第1リンク部材172及び板ばね186の動作原理を、図19を参照して説明する。
図19(a)は、長さLのリンク(第1リンク172)を斜めに配置し、その下端近傍の負荷部分(バー178)に圧縮ばね(板ばね186)を連結するとともに、上端(支軸182)を鉛直下方へ押下げる構成を模式図的に示す。この構成では、リンク上端に加わる鉛直下方への押下げ力Fに対応して、リンク下端近傍の負荷部分に圧縮ばねの反力fが水平方向へ負荷される。ここで、F=f・tanθ(θはリンク角度)、f=k・x(kはばね定数、xはリンクの負荷部分の水平方向変位量)の関係が成立する。また、X=L(sinθ0−sinθ)(Xはリンク上端の鉛直方向変位量、θ0はfが零のときのリンク角度)、x=−L(cosθ0−cosθ)である。
キースイッチ170の構造では、第1リンク172の上端の支軸182を、第1リンク172の負荷部分であるバー178よりも低い位置まで下降させることが可能である。そこで、図4における解析結果と比較するため、第1リンク172の上端の支軸182すなわちキートップ12の下降ストロークが、図1のキースイッチ10におけるキートップ12の下降ストロークと実質的に同一になるように、上式においてθ0=40°、L=5mm、k=120gf/mm(1.176N/mm)と仮定し、パラメータθ=40°〜−5°に関して数値解析を行う。それにより求められたリンク上端の鉛直方向変位量Xと押下げ力Fとの関係を、図4(b)に示した曲線(二点鎖線)を併記して、図19(b)に実線で示す。図から判るように、キースイッチ170では、リンク上端に加わる押下げ力Fは、第1〜第5関連技術における押下げ力Fに比べて、リンク上端の鉛直方向変位量Xが少ない位置で最大値に達している。
キートップ12が所定の押下げ位置に達すると、メンブレンスイッチ20の作動部材である前述した圧縮コイルばね46による反力Rが加わるので、図4(c)と同様に、図19(c)に実線で示す合成特性が得られる。ここで、本発明に係るキースイッチを製造する際には、作動部材がメンブレンスイッチに接触するとき(すなわち作動開始時)のキートップの押下げ位置を、キートップの昇降ストロークの物理的最下点よりもできるだけ上方(すなわちリンク上端の鉛直方向変位量が少ない位置)に設定することが、メンブレンスイッチを確実かつ安定的に作動させる観点で重要である。しかし、図4に示す特性では、作動開始位置を図4(c)の位置よりもさらに上方の位置Pに設定すると、図19(c)に示すように、リンク上端に加わる押下げ力Fが最大値に達するピーク位置から作動開始位置までの押下げ力Fの変化量が少なくなり、結果として、ドーム状の弾性作動部材を使用した従来技術と同様の打鍵操作特性を得ることが困難になる。これに対し、図19に示す特性では、同じ位置Pに作動開始位置を設定した場合にも、押下げ力Fのピーク位置から作動開始位置までの押下げ力Fの変化量を十分に確保できるので、ドーム状の弾性作動部材を使用した従来のキースイッチと同様の非線形的な打鍵操作特性を得ることができる。
キースイッチ170はさらに、第1関連技術のキースイッチ10と同等の種々の作用効果を奏する。また図示実施形態では、板ばね186は、ベース14の中心開口部15を画成する内縁部分14cに一体的に連結される構成としたが、図20に変形形態として示すように、第1リンク部材172に一体的に連結された板ばね188を採用することもできる。この変形形態は、図5に示す変形形態に対応するものであるが、特にこの場合、板ばね188は、その一端で第1リンク部材172のバー178の近傍に一体的に連結されるとともに、他端の自由端側で、ベース14の内縁部分14cから上方に延設された壁190に当接される。なお、板ばね186、188の材料、成形方法、配置等は、キースイッチ10の板ばね48、50と同様に、多様に選択できる。
図21は、図6の第2関連技術によるキースイッチ60に対応する本発明の第2の実施形態によるキースイッチ200を示す。キースイッチ200は、各リンク部材における負荷部分の位置以外は、第2関連技術によるキースイッチ60と実質的に同一の構造を有するので、同一の構成要素には共通の参照符号を付し、その説明を省略する。すなわちキースイッチ200は、キートップ62と、キートップ62の下方に配置される矩形枠状のベース64と、キートップ62をベース64の主表面64a上で昇降方向へ案内支持する一対のリンク部材202、204と、ベース64の下方に配置され、メンブレンスイッチ20を有するメンブレンシート22と、メンブレンシート22を支持する支持プレート42とを備える。
一対のリンク部材202、204は、側面視X字状に互いに連結される実質的同一形状の第1リンク部材202及び第2リンク部材204からなる。各リンク部材202、204は、互いに平行に延びる2個のアーム206と、それらアーム206の一端近傍を互いに連結するバー208とを一体に備える。両アーム206の一端には、バー208の反対側にそれぞれ支軸210が互いに同軸状に突設され、両アーム206の他端には、両支軸210と同一側にそれぞれ支軸212が互いに同軸状に突設される。第1リンク部材202と第2リンク部材204とは、それぞれの一方のアーム206の長手方向略中央に突設した枢軸214と、それぞれの他方のアーム206の長手方向略中央に穿設した長孔216とが係合することにより、互いに回動可能かつ摺動可能に連結される。
第1リンク部材202は、各アーム206の一端に設けた支軸210を、ベース64の前側の各摺動係着部72の軸受溝72aに摺動自在に嵌入し、かつ各アーム206の他端に設けた支軸212を、キートップ62の後側の各枢着部70の軸受穴70aに回動自在に嵌入して、キートップ62とベース64との間に支軸212を中心として揺動自在に配置される。第2リンク部材204は、各アーム206の一端に設けた支軸210を、ベース64の後側の各摺動係着部72の軸受溝72aに摺動自在に嵌入し、かつ各アーム206の他端に設けた支軸212を、キートップ62の前側の各枢着部70の軸受穴70aに回動自在に嵌入して、キートップ62とベース64との間に支軸212を中心として揺動自在に配置される。
このような第1及び第2リンク部材202、204の構成は、バー208の位置が枢軸214を中心として各支軸210から任意の角度だけずれた位置にある以外は、第2関連技術のキースイッチ60における第1及び第2リンク部材66、68と実質的に同一である。したがってこの実施形態では、第1リンク部材202の支軸210及び第2リンク部材204の支軸210が、それらリンク部材202、204の摺動部分を構成する。第1及び第2リンク部材202、204は、枢軸214と長孔216との係合による摺動可能な連結部を介して互いに連動し、同期して揺動するので、キートップ62は、ベース64の主表面64aに対し実質的鉛直方向へ、操作面62aを主表面64aに略平行に配置した所定の姿勢を保持しつつ平行移動できる。
キースイッチ200はさらに、キートップ62をベース64から離れる上方へ弾性的に付勢する付勢手段として、ベース64と第1リンク部材202及び第2リンク部材204との間に配置された弾性部材である一対の板ばね218を備える。一方の板ばね218はその一端で、摺動係着部72の軸受溝72aに対向するベース64の前側の内縁部分64cに一体的に連結されて、ベース64の主表面64aの上方に延び、他端の自由端側で、第1リンク部材202のバー208に接触する。また、他方の板ばね218はその一端で、摺動係着部72の軸受溝72aに対向するベース64の後側の内縁部分64cに一体的に連結されて、ベース64の主表面64aの上方に延び、他端の自由端側で、第2リンク部材204のバー208に接触する。各板ばね218は、ベース64と第1及び第2リンク部材202、204の各々のバー208との間で圧縮ばねとして作用する。
各板ばね218は、キートップ62に外力が加わらないときには、第1及び第2リンク部材202、204の各々のバー208をベース64の各内縁部分64cから離れた後方及び前方位置にそれぞれ付勢支持するとともに、第1及び第2リンク部材202、204を介して、キートップ62をベース64から鉛直上方へ離れた初期位置に付勢支持する。また、打鍵操作によりキートップ62が押下げられると、第1及び第2リンク部材202、204の各々の各支軸210がベース64の各摺動係着部72の軸受溝72aに沿って前方及び後方へそれぞれ移動し、それに伴って、バー208がベース64の各内縁部分64cに接近する方向へ移動する。このときバー208は、枢軸214を中心として各支軸210から任意の角度だけずれた位置にあるので、各支軸210とは異なる変位動作を示す。そして各板ばね218は、キートップ62の押下げ方向に略直交する方向への付勢力(弾性回復力)を第1及び第2リンク部材202、204の各々のバー208(すなわち負荷部分)に及ぼしつつ変形する。
キートップ62への押下げ力が解除されると、各板ばね218が弾性的に復元し、第1及び第2リンク部材202、204を介してキートップ62を初期位置へ復帰させる。ここで、各板ばね218は単純形状の線形特性ばねであり、各バー208の変位量に線形対応する付勢力を各バー208に及ぼすようになっている。なお好ましくは各板ばね218は、互いに同一の形状及び特性を有する。
キースイッチ200によれば、このような線形特性を有した2個の板ばね218を使用して、従来のキースイッチにおけるドーム状の弾性作動部材と同様の非線形的な打鍵操作特性を得ることができる。これは、両板ばね218が、キートップ62の押下げ方向に略直交する方向への付勢力を第1及び第2リンク部材202、204に負荷することに起因したものであり、その動作原理は、第1実施形態で説明した原理と同様である。特にキースイッチ200では、第1及び第2リンク部材202、204の各々のバー208(負荷部分)が支軸210(摺動部分)から角度的にずれた位置にあるので、ドーム状の弾性作動部材を使用した従来のキースイッチと同様の非線形的な打鍵操作特性を確保しつつ、メンブレンスイッチ20の作動開始時のキートップ62の押下げ位置を、キートップ62の昇降ストロークの物理的最下点よりもできるだけ上方に設定することができる。
キースイッチ200はさらに、第2関連技術のキースイッチ60と同等の種々の作用効果を奏する。また図示実施形態では、各板ばね218は、ベース64の中心開口部65を画成する各内縁部分64cに一体的に連結される構成としたが、図22に変形形態として示すように、第1及び第2リンク部材202、204の各々に一体的に連結された板ばね220を採用することもできる。この変形形態は、図8に示す変形形態に対応するものであるが、特にこの場合、各板ばね220は、その一端で第1及び第2リンク部材202、204の各々のバー208の近傍に一体的に連結されるとともに、他端の自由端側で、ベース64の各内縁部分64cから上方に延設された各壁222に当接される。なお、板ばね218、220の材料、成形方法、配置等は、キースイッチ60の板ばね86、88と同様に、多様に選択できる。
図23は、図10の第3関連技術によるキースイッチ90に対応する本発明の第3の実施形態によるキースイッチ230を示す。キースイッチ230は、各リンク部材における負荷部分の位置以外は、第3関連技術によるキースイッチ90と実質的に同一の構造を有するので、同一の構成要素には共通の参照符号を付し、その説明を省略する。すなわちキースイッチ230は、キートップ92と、キートップ92の下方に配置される矩形枠状のベース94と、キートップ92をベース94の主表面94a上で昇降方向へ案内支持する一対のリンク部材232、234と、ベース94の下方に配置され、メンブレンスイッチ20を有するメンブレンシート22と、メンブレンシート22を支持する支持プレート42とを備える。
一対のリンク部材232、234は、側面視逆V字状に互いに連結される実質的同一形状の第1リンク部材232及び第2リンク部材234からなる。各リンク部材232、234は、互いに平行に延びる2個のアーム236と、それらアーム236の一端近傍を互いに連結するバー238とを一体に備える。両アーム236の一端には、バー238の反対側にそれぞれ支軸240が互いに同軸状に突設され、両アーム236の他端には、両支軸240と同一側にそれぞれ支軸242が互いに同軸状に突設される。第1リンク部材232と第2リンク部材234とは、それぞれの一方のアーム236の支軸242側の先端に突設した1枚の歯244と、それぞれの他方のアーム236の支軸242側の先端に突設した2枚の歯246とが噛み合うことにより、互いに回動可能に連結される。
第1リンク部材232は、各アーム236の一端に設けた支軸240を、ベース94の前側の各摺動係着部102の軸受溝102aに摺動自在に嵌入し、かつ各アーム236の他端に設けた支軸242を、キートップ92の前側の各枢着部100の軸受穴100aに回動自在に嵌入して、キートップ92とベース94との間に支軸242を中心として揺動自在に配置される。第2リンク部材234は、各アーム236の一端に設けた支軸240を、ベース94の後側の各摺動係着部102の軸受溝102aに摺動自在に嵌入し、かつ各アーム236の他端に設けた支軸242を、キートップ92の後側の各枢着部100の軸受穴100aに回動自在に嵌入して、キートップ92とベース94との間に支軸242を中心として揺動自在に配置される。
このような第1及び第2リンク部材232、234の構成は、バー238の位置が歯244、246同士の噛合部を中心として各支軸240から任意の角度だけずれた位置にある以外は、第3関連技術のキースイッチ90における第1及び第2リンク部材96、98と実質的に同一である。したがってこの実施形態では、第1リンク部材232の支軸240及び第2リンク部材234の支軸240が、それらリンク部材232、234の摺動部分を構成する。第1及び第2リンク部材232、234は、1枚の歯244と2枚の歯246との噛合部を介して互いに連動し、同期して揺動するので、キートップ92は、ベース94の主表面94aに対し実質的鉛直方向へ、操作面92aを主表面94aに略平行に配置した所定の姿勢を保持しつつ平行移動できる。
キースイッチ230はさらに、キートップ92をベース94から離れる上方へ弾性的に付勢する付勢手段として、ベース94と第1リンク部材232及び第2リンク部材234との間に配置された弾性部材である一対の板ばね248を備える。一方の板ばね248はその一端で、摺動係着部102の軸受溝102aに対向するベース94の前側の内縁部分94cに一体的に連結されて、ベース94の主表面94aの上方に延び、他端の自由端側で、第1リンク部材232のバー238に接触する。また、他方の板ばね248はその一端で、摺動係着部102の軸受溝102aに対向するベース94の後側の内縁部分94cに一体的に連結されて、ベース94の主表面94aの上方に延び、他端の自由端側で、第2リンク部材234のバー238に接触する。各板ばね248は、ベース94と第1及び第2リンク部材232、234の各々のバー238との間で圧縮ばねとして作用する。
各板ばね248は、キートップ92に外力が加わらないときには、第1及び第2リンク部材232、234の各々のバー238をベース94の各内縁部分94cから離れた後方及び前方位置にそれぞれ付勢支持するとともに、第1及び第2リンク部材232、234を介して、キートップ92をベース94から鉛直上方へ離れた初期位置に付勢支持する。また、打鍵操作によりキートップ92が押下げられると、第1及び第2リンク部材232、234の各々の各支軸240がベース94の各摺動係着部102の軸受溝102aに沿って前方及び後方へそれぞれ移動し、それに伴って、バー238がベース94の各内縁部分94cに接近する方向へ移動する。このときバー238は、歯244、246同士の噛合部を中心として各支軸240から任意の角度だけずれた位置にあるので、各支軸240とは異なる変位動作を示す。そして各板ばね248は、キートップ92の押下げ方向に略直交する方向への付勢力(弾性回復力)を第1及び第2リンク部材232、234の各々のバー238(すなわち負荷部分)に及ぼしつつ変形する。
キートップ92への押下げ力が解除されると、各板ばね248が弾性的に復元し、第1及び第2リンク部材232、234を介してキートップ92を初期位置へ復帰させる。ここで、各板ばね248は単純形状の線形特性ばねであり、各バー238の変位量に線形対応する付勢力を各バー238に及ぼすようになっている。なお好ましくは各板ばね248は、互いに同一の形状及び特性を有する。
キースイッチ230によれば、このような線形特性を有した2個の板ばね248を使用して、従来のキースイッチにおけるドーム状の弾性作動部材と同様の非線形的な打鍵操作特性を得ることができる。これは、両板ばね248が、キートップ92の押下げ方向に略直交する方向への付勢力を第1及び第2リンク部材232、234に負荷することに起因したものであり、その動作原理は、第1実施形態で説明した原理と同様である。特にキースイッチ230では、第1及び第2リンク部材232、234の各々のバー238(負荷部分)が支軸240(摺動部分)から角度的にずれた位置にあるので、ドーム状の弾性作動部材を使用した従来のキースイッチと同様の非線形的な打鍵操作特性を確保しつつ、メンブレンスイッチ20の作動開始時のキートップ92の押下げ位置を、キートップ92の昇降ストロークの物理的最下点よりもできるだけ上方に設定することができる。
キースイッチ230はさらに、第3関連技術のキースイッチ90と同等の種々の作用効果を奏する。また図示実施形態では、各板ばね248は、ベース94の中心開口部95を画成する各内縁部分94cに一体的に連結される構成としたが、図24に変形形態として示すように、第1及び第2リンク部材232、234の各々に一体的に連結された板ばね250を採用することもできる。この変形形態は、図12に示す変形形態に対応するものであるが、特にこの場合、各板ばね250は、その一端で第1及び第2リンク部材232、234の各々のバー238の近傍に一体的に連結されるとともに、他端の自由端側で、ベース94の各内縁部分94cから上方に延設された各壁252に当接される。なお、板ばね248、250の材料、成形方法、配置等は、キースイッチ90の板ばね116、118と同様に、多様に選択できる。
弾性部材からの付勢力を受けるリンク部材の負荷部分を、同リンク部材の摺動部分から角度的にずれた位置に形成する上記構成は、図13〜図16に示すような可動プレートをベースの下に配置する形式のキースイッチにおいても採用できることは言うまでもない。図25は、そのような可動プレートを備えた本発明の第4の実施形態によるキースイッチ260を示す。キースイッチ260は、キーボード使用時にはキートップを打鍵操作可能な突出位置(初期位置)に保持し、キーボード不使用時(例えば携帯時)にはキートップを突出位置よりも低い引込位置に積極的に変位させることにより、携帯性を向上させるようにした低背型のキーボードに好適に使用できるものである。
キースイッチ260は、オペレータの手指で打鍵される操作面12aを有したキートップ12と、キートップ12の下方に配置される矩形枠状の固定ベース14(以下、単にベース14と称する)と、キートップ12をベース14の主表面14a上で昇降方向へ案内支持する一対のリンク部材172、174と、ベース14の下方に配置される矩形枠状の可動支持プレート262と、可動支持プレート262の下方に配置され、メンブレンスイッチ20を有するメンブレンシート22と、メンブレンシート22を支持する支持プレート42とを備える。キートップ12、ベース14、一対のリンク部材172、174、メンブレンスイッチ20、メンブレンシート22及び支持プレート42は、図17に示した第1実施形態のキースイッチ170におけるものと同様の構成を有するので、説明を省略する。
可動支持プレート262は、ベース14(固定ベース)と協働して本発明のベースを構成する略矩形平面形状を有した枠状の部材であり、ベース14の中心開口部15に実質的に整合する略矩形の中心開口部264を備える。可動支持プレート262は、ベース14とメンブレンシート22との間でキースイッチ260の前後方向(図示矢印A方向)へ移動できるようになっている。
キースイッチ260はさらに、キートップ12をベース14から離れる上方へ弾性的に付勢する付勢手段として、可動支持プレート262と第1リンク部材172との間に配置された弾性部材である板ばね266を備える。板ばね266は、その一端で可動支持プレート262の中心開口部264を画成する内縁部264aに一体的に連結され、摺動係着部30の軸受溝30aに対向するベース14の前側の内縁部分14cに近接して配置されるとともに、他端の自由端側で、ベース14の中心開口部15を貫通して主表面14aの上方へ突出し、第1リンク部材172のバー178に接触する。可動支持プレート262に連結された板ばね266は、ベース14に対し可動支持プレート262と一体的に前後方向へ移動可能であり、その移動位置に応じて、ベース(ベース14及び可動支持プレート262)と第1リンク部材172のバー178との間で選択的に圧縮ばねとして作用する。したがってキースイッチ260では、下記のように板ばね266とベース14の後側の内縁部分14cとの間隔を変更することにより、キートップ12を突出位置(初期位置)と引込位置との間で変位させることができる。
可動支持プレート262がその移動範囲の後端位置にあるときに、板ばね266は、図17に示す板ばね186と同様に作用して、キースイッチ260を打鍵操作可能状態に保持する。ここで板ばね266は、単純形状の線形特性ばねであり、第1リンク部材172のバー178の変位量に線形対応する付勢力をバー178に及ぼすようになっている。他方、図示しない作動機構を介して、板ばね266を可動支持プレート262と一体的に、その移動範囲の前端位置まで前方へ移動させると、第1リンク部材172に対する支えが無くなるので、第1及び第2リンク部材172、174はそれら及びキートップ12の重量により自動的に畳み込まれる。その結果、キートップ12は初期位置よりも低い引込位置に配置される。このとき板ばね266は、弾性変形の無い状態にある。
キートップ12の引込位置における高さは、板ばね266すなわち可動支持プレート262の移動範囲の前端位置によって決まる。したがって、キートップ12の引込位置における高さを十分に低くするためには、可動支持プレート262がその移動範囲の後端位置にあるときに、板ばね266とベース14の前側の内縁部分14cとの間に十分な間隔が形成されるように、各部材を寸法設定することが好ましい。或いは、ベース14の前側の内縁部分14cを除去することにより、板ばね266すなわち可動支持プレート262の移動範囲を前方へ拡大することもできる。
キースイッチ260は、メンブレンスイッチ20の作動部材として、図17のキースイッチ170でキートップ12の内面12bに設置した圧縮コイルばねの代わりに、第1リンク部材172に一体的に設けられる第2の板ばねからなる作動部材268を備える。作動部材268はその一端で、第1リンク部材172の一方のアーム176の長手方向略中央に固定的に連結され、他端の自由端側で、第1リンク部材172のバー178の近傍まで延びて下に凸に湾曲する。作動部材268の自由端には、湾曲部分から折曲されて略平坦に延びる舌片268aが設けられる。キートップ12が打鍵操作の初期位置(最も高い位置)にあるときには、作動部材268はその自由端をベース14の中心開口部15の上方に配置する。そしてキートップ12が所定位置まで下降すると、作動部材268の自由端がベース14の中心開口部15に進入して、湾曲部分の外面でメンブレンスイッチ20を弾性的に押圧する。
他方、可動支持プレート262には、板ばね266を連結した中心開口部264の内縁部264aのさらに前方の内縁部264bに、L字状の補助部材270が一体的に形成される。補助部材270はその一端で、可動支持プレート262の内縁部264bに固定的に連結され、他端の自由端側で、ベース14の中心開口部15を貫通して主表面14aの上方へ突出し、板ばね266に向かって後方へ延びる。可動支持プレート262に連結された補助部材270は、ベース14に対し可動支持プレート262及び板ばね266と一体的に前後方向へ移動可能である。それにより補助部材270は、キートップ12が所定位置まで下降したときに、作動部材268の舌片268aに係合する第1の位置と、舌片268aから前方に離れる第2の位置との間で移動できる。
キースイッチ260が打鍵操作可能状態にあるとき、すなわち可動支持プレート262がその移動範囲の後端位置にあるときに、補助部材270は上記した第1の位置に配置される。ここでキートップ12に外力が加わらなければ、板ばね266は第1及び第2リンク部材172、174を介して、キートップ12をベース14から鉛直上方へ離れた初期位置に付勢支持する。このとき、作動部材268の自由端はベース14及び可動支持プレート262の中心開口部15、264の上方で、メンブレンシート22とは非接触に配置される。またメンブレンスイッチ20は、図26(a)、(b)に示すように、可動支持プレート262に連結された補助部材270の自由端の下方に配置される。
打鍵操作によりキートップ12が押下げられると、板ばね266は、キートップ12の押下げ方向に略直交する方向への付勢力(弾性回復力)を第1リンク部材172のバー178(すなわち負荷部分)に及ぼしつつ変形する。そしてキートップ12が所定位置まで下降すると、図26(a)に示すように、作動部材268の自由端がベース14及び可動支持プレート262の中心開口部15、264に進入して、湾曲部分の外面でメンブレンシート22の表面に当接される。さらにキートップ12を押下げると、図26(b)に示すように、作動部材268の舌片268aが、可動支持プレート262に連結された補助部材270に係合する。そしてキートップ12を継続して押下げることにより、作動部材268は第1リンク部材172と補助部材270との間で弾性変形して、湾曲部分でメンブレンスイッチ20を弾性的に押圧する。
これに対し、可動支持プレート262がその移動範囲の前端位置に移動すると、前述したように第1及び第2リンク部材172、174が自動的にキートップ12の内側に畳み込まれ、キートップ12は引込位置に配置されて打鍵操作不能になる。このとき、図26(c)に示すように、補助部材270は可動支持プレート262と共に前方へ移動し、上記した第2の位置に配置される。したがって、補助部材270は作動部材268の舌片268aに係合せず、キートップ12が下降しても作動部材268の弾性変形は生じない。しかも第1リンク部材172の畳み込みに伴い、作動部材268の舌片268aはメンブレンスイッチ20の上方へ離脱して配置され、メンブレンスイッチ20に当接されない。その結果、キートップ12は、作動部材268がメンブレンスイッチ20を閉じることなく、自重により円滑に引込位置に配置される。
上記構成を有するキースイッチ260は、第1実施形態のキースイッチ170と本質的に同等の種々の作用効果を奏する。さらに、キースイッチ260を多数用いてキーボードを構成すれば、キーボードの使用時には、板ばね266及び補助部材270を可動支持プレート262と共に後端位置へ配置して、第1及び第2リンク部材172、174を介してキートップ12を打鍵操作可能な状態に支持し、キーボードの不使用時には板ばね266及び補助部材270を可動支持プレート262と共に前端位置へ配置して、キートップ12を打鍵操作不能な引込位置に円滑に変位させることができる。キートップ12が引込位置にあるときには、キートップ12の内側に一対のリンク部材172、174及び作動部材268が畳み込まれて収容されるので、従来のドーム状の弾性作動部材を用いたキースイッチに比べて、キートップ12の特に高さ方向の寸法を削減できる。したがってキースイッチ260によれば、キーボードの一層の低背化及び携帯性の向上が実現される。
上記実施形態において、板ばね266及び補助部材270は、例えば板金製の可動支持プレート262に打抜き及び曲げ工程を経て形成できる。或いは、板ばね266の代わりに、圧縮コイルばね、引張コイルばね等の他の線形特性弾性部材を使用することもできる。また作動部材268は、例えば樹脂材料又は金属材料からなる第1リンク部材172に同一の樹脂材料又は金属材料から一体成形することができる。或いは、樹脂材料からなる第1リンク部材172に金属製の作動部材268をインサート成形工程により一体的に連結することもできる。
図27は、キーボード不使用時(例えば携帯時)にキートップを引込位置に配置できる本発明の第5の実施形態によるキースイッチ280を示す。キースイッチ280は、メンブレンスイッチの作動部材と、キートップ引込時に作動部材を機能しなくする手段とを除いて、第4実施形態のキースイッチ260と実質的に同一の構成を有するので、同一の構成要素には共通の参照符号を付し、その説明を省略する。すなわちキースイッチ280は、キートップ12と、固定ベース14(以下、単にベース14と称する)と、一対のリンク部材172、174と、可動支持プレート262と、メンブレンスイッチ20を有するメンブレンシート22と、支持プレート42とを備える。なお可動支持プレート262は、弾性部材である板ばね266を一体的に備えるが、キースイッチ260における補助部材270は有しない。
キースイッチ280はさらに、メンブレンスイッチ20の作動部材として、キースイッチ260の作動部材268と同様に、第1リンク部材172に一体的に設けられる第2の板ばねからなる作動部材282を備える。作動部材282はその一端で、第1リンク部材172の一方のアーム176の長手方向略中央に固定的に連結され、他端の自由端側で、第1リンク部材172のバー178の近傍まで延びて下に凸に湾曲する。ただし作動部材282の自由端には、作動部材268の舌片268aのような延長部分は設けられない。キートップ12が打鍵操作の初期位置(最も高い位置)にあるときには、作動部材282はその自由端をベース14の中心開口部15の上方に配置する。そしてキートップ12が所定位置まで下降すると、作動部材282の自由端がベース14の中心開口部15に進入して、湾曲部分の外面でメンブレンスイッチ20を弾性的に押圧する。なお作動部材282は、例えば樹脂材料又は金属材料からなる第1リンク部材172に同一の樹脂材料又は金属材料から一体成形することができる。或いは、樹脂材料からなる第1リンク部材172に金属製の作動部材282をインサート成形工程により一体的に連結することもできる。
キースイッチ280では、キートップ引込時に作動部材282を作動不能にするために、メンブレンシート22が、可動支持プレート262と共にキースイッチ260の前後方向(図示矢印A方向)へ移動できるようになっている。それによりメンブレンスイッチ20は、キートップ12が所定位置まで下降したときに、作動部材282の自由端に押圧されて接点を閉じる第1の位置と、作動部材282の自由端から前方に離れて接点を開状態に維持する第2の位置との間で移動できる。さらにメンブレンシート22には、メンブレンスイッチ20の後方位置に、作動部材282の自由端を受容可能な開口部284が貫通形成される。同様に支持プレート42には、上記した第1の位置にあるメンブレンスイッチ20の下方位置に、作動部材282の自由端を受容可能な開口部286が形成される。
キースイッチ280が打鍵操作可能状態にあるとき、すなわち可動支持プレート262がその移動範囲の後端位置にあるときに、キートップ12に外力が加わらなければ、板ばね266は第1及び第2リンク部材172、174を介して、キートップ12をベース14から鉛直上方へ離れた初期位置に付勢支持する。このとき、図28(a)に実線で示すように、作動部材282の自由端はベース及び可動支持プレート262の中心開口部15、264の上方で、メンブレンシート22とは非接触に配置される。またメンブレンスイッチ20は、上記した第1の位置に配置される。
打鍵操作によりキートップ12が押下げられると、板ばね266は、キートップ12の押下げ方向に略直交する方向への付勢力(弾性回復力)を第1リンク部材172のバー178(すなわち負荷部分)に及ぼしつつ変形する。そしてキートップ12が所定位置まで下降すると、図28(a)に破線で示すように、作動部材282の自由端がベース14及び可動支持プレート262の中心開口部15、264に進入して、湾曲部分の外面でメンブレンシート22の表面に当接され、メンブレンスイッチ20を弾性的に押圧する。
これに対し、可動支持プレート262及びメンブレンシート22がその移動範囲の前端位置に移動すると、板ばね266による支えが無くなるので第1及び第2リンク部材172、174が自動的にキートップ12の内側に畳み込まれ、キートップ12は引込位置に配置されて打鍵操作不能になる。このとき、図28(b)に示すように、メンブレンスイッチ20は上記した第2の位置に配置され、メンブレンシート22及び支持プレート42にそれぞれ形成した開口部284、286は、互いに整合するとともに、可動支持プレート262の中心開口部264に整合して配置される。それにより、作動部材282の自由端は、キートップ12が下降してもメンブレンスイッチ20に当接されず、中心開口部264、開口部284、286に受容されることになる。その結果、キートップ12は、作動部材282がメンブレンスイッチ20を閉じることなく、自重により円滑に引込位置に配置される。
上記構成を有するキースイッチ280は、第1実施形態のキースイッチ170と本質的に同等の種々の作用効果を奏する。さらに、キースイッチ280を多数用いてキーボードを構成すれば、キーボードの使用時には、板ばね266を可動支持プレート262と共に後端位置へ配置し、かつメンブレンスイッチ20を第1の位置に配置して、第1及び第2リンク部材172、174を介してキートップ12を打鍵操作可能な状態に支持し、キーボードの不使用時には板ばね266を可動支持プレート262と共に前端位置へ配置し、かつメンブレンスイッチ20を第2の位置に配置して、キートップ12を打鍵操作不能な引込位置に円滑に変位させることができる。キートップ12が引込位置にあるときには、キートップ12の内側に一対のリンク部材172、174及び作動部材282が畳み込まれて収容されるので、従来のドーム状の弾性作動部材を用いたキースイッチに比べて、キートップ12の特に高さ方向の寸法を削減できる。したがってキースイッチ280によれば、キースイッチ260と同様に、キーボードの一層の低背化及び携帯性の向上が実現される。
図29は、キーボード不使用時(例えば携帯時)にキートップを引込位置に配置できる本発明の第6の実施形態によるキースイッチ290を示す。キースイッチ290は、オペレータの手指で打鍵される操作面292aを有したキートップ292と、キートップ292の下方に配置される矩形枠状の固定ベース294(以下、単にベース294と称する)と、キートップ292をベース294の主表面294a上で昇降方向へ案内支持する一対のリンク部材296、298と、ベース294の下方に配置され、ベース294(固定ベース)と協働して本発明のベースを構成する可動支持プレート300と、可動支持プレート300の下方に配置され、メンブレンスイッチ20を有するメンブレンシート22と、メンブレンシート22を支持する支持プレート42とを備える。メンブレンスイッチ20、メンブレンシート22及び支持プレート42は、図1に示した第1関連技術のキースイッチ10におけるものと同様の構成を有するので、説明を省略する。
キートップ292は、略矩形平面形状を有した皿状の部材であり、操作面292aの反対側の内面292bに、二対の枢着部302が互いにキートップ292の前後方向(図31で左右方向)略中央に隣接して形成される(図は2つの枢着部302を示す)。一対の枢着部302は、キートップ292の後端側(図31で右端側)で互いに離間して配置され、他の一対の枢着部302は、キートップ292の前端側(図31で左端側)で互いに近接して配置される。以下、キースイッチ290の前後方向を便宜的に上記のように定義して説明するが、実際の使用時における前後方向がこの定義に限定されないことは言うまでもない。
各枢着部302は、キートップ292の内面292bから直立状に突設される板状片からなり、板厚方向へ貫通する軸受穴302aと、内面292bに略直交する方向へ延びて軸受穴302aに連通する切欠き302bとを備える。各対を成す2個の枢着部302は、各々の軸受穴302aがその貫通方向へ互いに整列するように、キートップ292の内面292b上で位置決めされる。
ベース294は、略矩形平面形状を有した枠状の部材であり、キートップ292によって遮蔽される略矩形の中心開口部304を備える。ベース294には、中心開口部304を画成する対向する内縁部分294bに沿って、二対の摺動係着部306、308が前後方向へ互いに離間して、かつ各対において互いに離間して形成される。
ベース294の前端側に配置される各摺動係着部306は、ベース294の前端側の内縁部分294cに隣接して主表面294a及び内縁部分294bから突出する逆U字状の壁部分を有し、この壁部分の内側に、主表面294aに略平行に延びる軸受溝306aが形成される。ベース294の後端側に配置される各摺動係着部308は、ベース294の後端側の内縁部分294cに隣接して主表面294a及び内縁部分294bから突出する逆U字状の壁部分を有し、この壁部分の内側に、主表面294aに略平行に延びる軸受溝308aが形成される。これら軸受溝306a、308aは、ベース294の底面側で開放される。各対の摺動係着部306、308は、ベース294の各内縁部分294b上で対応する位置に配置される。
一対のリンク部材296、298は、側面視X字状に互いに連結される第1リンク部材296及び第2リンク部材298からなる。第1リンク部材296は、互いに平行に延びる2個のアーム310と、それらアーム310の一端近傍を互いに連結する連結部312とを一体に備える。両アーム310の一端には、連結部312の反対側にそれぞれ支軸314が互いに同軸状に突設され、両アーム310の他端には、両支軸314と同一側にそれぞれ支軸316が互いに同軸状に突設される。第2リンク部材298は、互いに平行に延びる2個のアーム318と、それらアーム318を互いに連結する連結部320とを一体に備える。連結部320の一端には、連結部320の反対側にそれぞれ支軸322が互いに同軸状に突設され、連結部320に関して支軸322の反対側の両アーム318の他端には、互いに対向する側にそれぞれ支軸324が互いに同軸状に突設される。
第1リンク部材296の一対のアーム310の各々は、支軸316の反対側に、連結部312に向かって延びる1枚の歯326を備え、第2リンク部材298の一対のアーム318の各々は、支軸324の反対側に、支軸322に向かって延びる2枚の歯328を備える。第1リンク部材296と第2リンク部材298とは、それぞれの対応するアーム310、318の歯326、328同士が噛み合うことにより、互いに回動可能に連結される。
第1リンク部材296は、各アーム310の一端に設けた支軸314を、ベース294の前側の各摺動係着部306の軸受溝306aに摺動自在に嵌入し、かつ各アーム310の他端に設けた支軸316を、キートップ292の後側の各枢着部302の軸受穴302aに回動自在に嵌入して、キートップ292とベース294との間に支軸316を中心として揺動自在に配置される。第2リンク部材298は、連結部320の一端に設けた支軸322を、ベース294の後側の各摺動係着部308の軸受溝308aに摺動自在に嵌入し、かつ各アーム318の他端に設けた支軸324を、キートップ292の前側の各枢着部302の軸受穴302aに回動自在に嵌入して、キートップ292とベース294との間に支軸324を中心として揺動自在に配置される。
このような第1及び第2リンク部材296、298の構成は、互いにX字状に交差配置されること以外は、第3実施形態のキースイッチ230の変形形態(図24)における第1及び第2リンク部材232、234の構成と実質的に同一である。したがってこの実施形態では、第1リンク部材296の支軸314及び第2リンク部材298の支軸322が、それらリンク部材296、298の摺動部分を構成する。第1及び第2リンク部材296、298は、1枚の歯326と2枚の歯328との噛合部を介して互いに連動し、同期して揺動するので、キートップ292は、ベース294の主表面294aに対し実質的鉛直方向へ、操作面292aを主表面294aに略平行に配置した所定の姿勢を保持しつつ平行移動できる。
キースイッチ290はさらに、キートップ292をベース294から離れる上方へ弾性的に付勢する付勢手段として、ベース294及び可動支持プレート300と第1リンク部材296及び第2リンク部材298との間に配置された弾性部材である一対の板ばね330、332を備える。板ばね330は、その一端で第1リンク部材296の一方の支軸314に隣接する一方のアーム310の一端に一体的に連結され、他端の自由端側で、連結部312に近接して配置されるとともに、ベース294の前側の内縁部分294cに近接して配置される。板ばね332は、その一端で第2リンク部材298の一方の支軸322に隣接する連結部320の一端に一体的に連結され、他端の自由端側で、連結部320に近接して配置されるとともに、ベース294の後側の内縁部分294cに近接して配置される。
他方、ベース294には、その後方の内縁部分294cに沿って、主表面294aから上方に壁334が延設され、壁334に、第2リンク部材298に連結した板ばね332の自由端に接触可能な突起336が突設される。また可動支持プレート300には、ベース294の中心開口部304を貫通して主表面294aの上方へ突出する壁338が立設される。壁338は、その一端で可動支持プレート300に固定的に連結され、他端の自由端側が、第1リンク部材296に連結した板ばね330の自由端に接触可能に配置される。
可動支持プレート300は、ベース294とメンブレンシート22との間でキースイッチ290の前後方向(図示矢印A方向)へ移動できるようになっている。したがって、可動支持プレート300に連結された壁338は、ベース294に対し可動支持プレート300と一体的に前後方向へ移動可能である。第1リンク部材296に連結した板ばね330は、壁338の移動位置に応じて、第1リンク部材296と可動支持プレート300との間で選択的に圧縮ばねとして作用する。同様に、第2リンク部材298に連結した板ばね332は、壁338の移動位置に応じて、第2リンク部材298とベース294との間で選択的に圧縮ばねとして作用する。このような構成を有するキースイッチ290では、下記のように、ベース294の前側に配置される壁338とベース294の後側に配置される突起336との間隔を変更することにより、キートップ292を突出位置(初期位置)と引込位置との間で変位させることができる。
可動支持プレート300がその移動範囲の後端位置にあるときに、板ばね330及び板ばね332は、それぞれ壁338及び突起336と協働して、図24に示す板ばね250と同様に作用し、キースイッチ290を打鍵操作可能状態に保持する。すなわち第1及び第2リンク部材296、298は、図30(a)及び(b)に示すように、キートップ292に連結されるそれぞれの支軸316、318が、板ばね330、332の負荷を受ける両リンク部材296、298の負荷部分よりも低い位置まで下降できるので、図19を参照して説明した動作原理に従って動作することになる。ここで各板ばね330、332は、単純形状の線形特性ばねであり、第1及び第2リンク部材296、298の連結部312、320の変位量に線形対応する付勢力を第1及び第2リンク部材296、298に及ぼすようになっている。
図示しない作動機構を介して、壁338を可動支持プレート300と一体的に、その移動範囲の前端位置まで前方へ移動させると、第1及び第2リンク部材296、298に対する支えが無くなり、第1及び第2リンク部材296、298はそれら及びキートップ292の重量により、キートップ292の内側に自動的に畳み込まれる。その結果、キートップ292は初期位置よりも低い引込位置に配置される。このとき各板ばね330、332は、弾性変形の無い状態にある。
キースイッチ290は、メンブレンスイッチ20の作動部材として、図17のキースイッチ170でキートップ12の内面12bに設置した圧縮コイルばねの代わりに、可動支持プレート300に一体的に設けられる第2の板ばねからなる作動部材340を備える。作動部材340はその一端で、可動支持プレート300の略中央に形成された開口部342の内縁に固定的に連結され、他端の自由端側で、第2リンク部材298の連結部320の下方まで延長される。作動部材340の自由端には、メンブレンシート22上のメンブレンスイッチ20に対向する突起340a(図31)が設けられる。このように作動部材340は、可動支持プレート300と共にキースイッチ290の前後方向へ移動できる。
図31に示すように、キースイッチ290が打鍵操作可能状態にあるとき、すなわち可動支持プレート300がその移動範囲の後端位置にあるときに、作動部材340は、第2リンク部材298の連結部320の下側に突設した隆起部320aの下方の第1の位置に配置される。ここでキートップ292に外力が加わらなければ、図31(a)に示すように、両板ばね330、332は第1及び第2リンク部材296、298を介して、キートップ292をベース294から鉛直上方へ離れた初期位置に付勢支持する。このとき、作動部材340の自由端の突起340aはベース294の中心開口部304内で、メンブレンシート22とは非接触に配置される。
打鍵操作によりキートップ292が押下げられると、板ばね330及び板ばね332はそれぞれ壁338及び突起336と協働して、キートップ292の押下げ方向に略直交する方向への付勢力(弾性回復力)を、第1及び第2リンク部材296、298の連結部312、320の近傍部分(すなわち負荷部分)に及ぼしつつ変形する。そしてキートップ292が所定位置まで下降すると、第2リンク部材298の連結部320に突設した隆起部320aがベース294の中心開口部304に進入して作動部材340に接触する。さらにキートップ292を押下げると、図31(b)に示すように、作動部材340が隆起部320aに押圧されて弾性変形し、自由端の突起340aがメンブレンスイッチ20を押圧して接点を閉じる。
図31(c)に示すように、壁338が可動支持プレート300と共にその移動範囲の前端位置に移動すると、前述したように第1及び第2リンク部材296、298が自動的にキートップ292の内側に畳み込まれ、キートップ292は引込位置に配置されて打鍵操作不能になる。このとき、作動部材340は可動支持プレート300と共に前方へ移動して、第2リンク部材298の隆起部320aから前方に離れる第2の位置に配置される。したがって、キートップ292が下降しても作動部材340は弾性変形せず、その突起340aはメンブレンスイッチ20に当接されない。その結果、キートップ292は、作動部材340がメンブレンスイッチ20を閉じることなく、自重により円滑に引込位置に配置される。
キースイッチ290はさらに、第1及び第2リンク部材296、298の少なくとも一方の支軸314、322(摺動部分)を、ベース294及び可動支持プレート300に対して選択的に固定する固定手段として、可動支持プレート300に一体的に設けられる一対の係止壁344を備える。それら係止壁344の各々は、その一端で可動支持プレート300に固定的に連結され、他端の自由端側で、ベース294の各摺動係着部306の軸受溝306a内に延設されて、第1リンク部材296の各支軸314の後方に配置される。両係止壁344は、可動支持プレート300に伴って、ベース294の両軸受溝306a内でキースイッチ290の前後方向へ移動できる。
図31(a)、(b)及び図32に示すように、可動支持プレート300がその移動範囲の後端位置にあるときに、各係止壁344はベース294の各軸受溝306a内で、第1リンク部材296の各支軸314の変位動作を妨げない位置に配置される。また図31(c)及び図33に示すように、可動支持プレート300がその移動範囲の前端位置に移動すると、各係止壁344はベース294の各軸受溝306a内で前方へ移動し、第1リンク部材296の各支軸314を各摺動係着部306の壁との間に挟持する。それにより、第1リンク部材296及び連動する第2リンク部材298が、キートップ292内に畳み込んだ状態に固定的に保持され、キートップ292が前述した引込位置に固定される。
上記構成を有するキースイッチ290は、第3実施形態のキースイッチ230と本質的に同等の種々の作用効果を奏する。さらに、キースイッチ290を多数用いてキーボードを構成すれば、キーボードの使用時には、壁338を可動支持プレート300と共に後端位置へ配置し、かつ作動部材340を第1の位置に配置して、第1及び第2リンク部材296、298を介してキートップ292を打鍵操作可能な状態に支持し、キーボードの不使用時には壁338を可動支持プレート300と共に前端位置へ配置し、かつ作動部材340を第2の位置に配置して、キートップ292を打鍵操作不能な引込位置に円滑に変位させることができる。キートップ292が引込位置にあるときには、キートップ292の内側に一対のリンク部材296、298が畳み込まれて収容されるので、従来のドーム状の弾性作動部材を用いたキースイッチに比べて、キートップ292の特に高さ方向の寸法を削減できる。したがってキースイッチ290によれば、キースイッチ260と同様に、キーボードの一層の低背化及び携帯性の向上が実現される。さらにキースイッチ290では、キーボードの携帯時にキートップ292を引込位置に固定できるので、キートップ292のがたつきによる損傷や雑音を効果的に排除することができる。