JP2006269417A - 非水電解質二次電池およびその負極活物質の被膜形成方法 - Google Patents

非水電解質二次電池およびその負極活物質の被膜形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】負極活物質の体積変動の度合に関わらず、破壊されることなく負極活物質上に存在し続ける被膜を形成し、非水電解質二次電池の諸特性を向上させる。
【解決手段】リチウムの吸蔵・放出が可能な活物質を有する正極および負極と、正負極間に介在するセパレータと、非水電解液とを具備しており、負極活物質がエラスティシティーを有する被膜に覆われていることを特徴とする。エラスティシティーに富んだ被膜が負極活物質の体積変動に追従するため、破壊されずに所望の機能を発揮する。
【選択図】なし

Description

本発明は高容量タイプの非水電解質二次電池に関する。より詳しくは、本発明は、充放電サイクル特性および高率放電特性の向上を鑑みた、非水電解質二次電池の負極の改良に関する。
現在、非水電解質二次電池については、高電圧および高エネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池の研究が盛んである。リチウム二次電池に用いられる正極活物質としては、例えばLiCoO2などのリチウム含有遷移金属酸化物が一般的であり、リチウム二次電池に用いられる負極活物質としては、例えば炭素材料が一般的である。また、非水電解質二次電池に用いられる非水電解液としては、非水溶媒に溶質を溶解させて得られる非水電解液が一般的である。また、非水溶媒としては、例えば環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステルおよび環状カルボン酸エステルなどが用いられ、溶質としては、例えば六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)および四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)などが用いられる。
ここで電池特性を向上させる目的で、正極活物質、負極活物質および電解液に、種々の添加剤を混合することが試みられている。例えば、特許文献1および2においては、充放電サイクル特性を向上させることを意図して、電解液と負極活物質との副反応を抑制すべく、ビニレンカーボネート(VC)やビニルエチレンカーボネート(VEC)を電解液に添加し、VCやVECを負極上で分解させて保護被膜を形成することが提案されている。
また、特許文献3においては、リチウム二次電池のサイクル信頼性および貯蔵安定性を向上させることを意図して、1,5−シクロオクタジエンなどがリチウムイオンを溶媒和した状態で負極炭素層間にコインターカレートできるように、1,5−シクロオクタジエンなどの不飽和環状炭化水素化合物を電解液に含有させることが提案されている。
さらに、特許文献4においては、正極活物質の熱的な安定性の低下を抑制するとともに過充電安全性を向上させることを意図して、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンが過充電時に正極上で電解重合できるように、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンを電解液に含有させることが提案されている。
特開2003−151621号公報 特開2003−031259号公報 特開平09−035746号公報 特開2001−015158号公報
しかしながら、例えば元素としてSiやSnなどを含む物質などの、充放電に伴って大きく体積が変動する系を主体とする物質を負極活物質として使用した場合、上記特許文献1〜4で提案されているいずれの技術を用いても、負極活物質の表面に形成された被膜が破壊されてしまう。そのため、上記のように特許文献1〜4において意図する効果が充分には得られないという問題があった。
そこで、本発明は、上記のような従来の問題を解決するためになされたものであり、負極活物質の体積変動の度合に関わらず、破壊されることなく負極活物質の表面に存在し続ける被膜を形成し、非水電解質二次電池の諸特性を向上させることを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、リチウムの吸蔵・放出が可能な正極活物質を有する正極と、リチウムの吸蔵・放出が可能な負極活物質を有する負極と、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータと、非水電解液と、を具備する非水電解質二次電池であって、
前記負極活物質が、
式(1):
Figure 2006269417
(式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキル基または水素原子を示し、R1、R2、R3、R4、R5およびR6のうちの少なくとも1つは非共有電子対を有する原子を含んでもよい。)で示される化合物の重合体で構成された被膜に覆われていること、
を特徴とする非水電解質二次電池を提供する。
上記本発明の非水電解質二次電池においては、上記負極活物質を覆う被膜が、エラスティシティーを有することを特徴とする。上記被膜は、上記化合物の重合体で構成され、上記化合物は、共役した炭素−炭素不飽和結合を2つ以上有する。
したがって、本発明においていう「エラスティシティー」とは、上記被膜を構成する上記化合物が共役した炭素−炭素不飽和結合を2つ以上有する場合に、上記被膜が発現する柔軟性および伸縮性を意味する。
本発明においては、黒鉛からなる負極活物質だけでなく、Siおよび/またはSnを含み充放電にともなう体積変動の大きい負極活物質を用いた場合であっても、負極活物質を覆う「エラスティシティー」を有する上記被膜が、負極活物質の体積変動に応じて伸縮自在に変形する。そのため、上記被膜は、破壊を免れるとともに、非水電解液と負極活物質との副反応をより確実に抑制することができ、本発明の非水電解質二次電池は、優れた充放電サイクル特性および高率放電特性を発揮することができる。
したがって、本発明の効果は、充放電にともなう体積変動の大きい負極活物質、例えば構成元素としてSiおよび/またはSnを含む化合物を主体とする負極活物質を用いる場合に、より顕著に現れる。
また、本発明においては、上記化合物がイソプレンであることが好ましく、上記非共有電子対を有する原子は窒素原子または酸素原子であることが好ましい。
また、前記式(1)におけるR1、R2、R3、R4、R5およびR6のうちの少なくとも1つが、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アミノアルキル基またはペルフルオロアルコキシ基であることがさらに望ましい。
さらに、本発明の非水電解質二次電池は、前記化合物に対して、式(2):
X(CH2nCH3
(式(2)中、nは1〜5の整数、XはCl、BrまたはI。)で示される有機ハロゲン化物を0.1〜10モル%含むことが好ましい。かかる有機ハロゲン化物としては、炭素数2〜6の1級脂肪族ハロゲン化物であるのが好ましい。
なお、前記有機ハロゲン化物は、本発明の非水電解質二次電池において負極付近に存在し得るように、当該非水電解質二次電池の内部に含ませればよい。
また、本発明は、リチウムの吸蔵・放出が可能な正極活物質を有する正極と、リチウムの吸蔵・放出が可能な負極活物質を有する負極と、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータと、非水電解液と、を具備する非水電解質二次電池における非水電解質二次電池用負極活物質の被膜形成方法であって、
式(1):
Figure 2006269417
(式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキル基または水素原子を示し、R1、R2、R3、R4、R5およびR6のうちの少なくとも1つは非共有電子対を有する元素を含んでもよい。)で示される化合物を、上記非水電解質二次電池に添加する第1の工程と、
前記非水電解質二次電池の内部で前記化合物を重合させて、前記負極活物質を被覆する被膜を形成する第2の工程と、を含むこと、を特徴とする非水電解質二次電池用負極活物質の被膜形成方法を提供する。
本発明の被膜形成方法によれば、充放電にともなう体積変動の大きい負極活物質を用いた場合であっても、負極活物質を覆いかつ負極活物質の体積変動に応じて伸縮自在に変形する「エラスティシティー」を有する被膜を容易に形成することができ、非水電解液と負極活物質との副反応をより確実に抑制して、優れた充放電サイクル特性および高率放電特性を有する非水電解質二次電池をより確実に得ることができる。
前記第1の工程においては、前記化合物を前記非水電解液に溶解して前記非水電解質二次電池に添加することが好ましい。
また、前記第1の工程においては、前記化合物の前記非水電解液への溶解量が、前記非水電解液に対して0.1〜10重量%であることが好ましい。
さらに、前記第1の工程において、前記化合物に対して、式(2):
X(CH2nCH3
(式(2)中、nは1〜5の整数、XはCl、BrまたはI。)で示される有機ハロゲン化物を0.1〜10モル%前記非水電解質二次電池に添加することが好ましい。
なお、上記被膜が形成されていることは、非水電解質二次電池を分解して検証することもできるが、より容易には、モデル実験において上記重合体を合成した後、得られた重合体を1H NMR解析することにより確認することができる。具体的には、例えば、1,2−重合体と1,4−重合体との比およびcis重合体とtrans重合体との比を求め、1,4−cis重合体の量を規定することにより、確認することができる。
本発明によれば、充放電にともなう体積変動の大きい負極活物質を用いた場合にも、安定して当該負極活物質の表面を覆う被膜を形成することができ、非水電解液と負極との副反応に起因する非水電解質二次電池の充放電サイクル特性の劣化を効果的に防止し、優れた充放電サイクル特性および高率放電特性を有する非水電解質二次電池をより確実に提供することができる。
1.非水電解質二次電池
本発明の非水電解質二次電池は、リチウムの吸蔵・放出が可能な正極活物質を有する正極と、リチウムの吸蔵・放出が可能な負極活物質を有する負極と、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータと、非水電解液と、を具備し、前記負極活物質が、上記化合物の重合体で構成された被膜に覆われていることを特徴とする。
以下、本発明の非水電解質二次電池の各構成要素について説明する。
本発明の非水電解質二次電池における正極は、少なくともリチウムの吸蔵・放出が可能な正極活物質と、正極用結着剤と、正極用集電体と、を含み、必要に応じて導電材も含む。
上記正極活物質には、非水電解質二次電池において従来から用いられるものを用いることができ、例えばLixCoO2、LixNiO2、LixMnO2、LixCoyNi1-y2、LixCoy1-yz、LixNi1-yyz、LixMn24、LixMn2-yy4(M=Na、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、SbおよびBのうちの少なくとも一種、x=0〜1.2、y=0〜0.9、z=2.0〜2.3)などを用いることができる。上記x値は、充放電開始前の値であり、充放電により増減する。
正極用結着剤には、従来公知のものを用いることができ、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)およびフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などを用いることができる。
また、正極用集電体には、従来公知のものを用いることができ、例えばステンレス鋼、アルミニウムおよびチタンなどで構成されたシートおよび箔を用いることができる。正極用集電体の厚さは特に限定されないが、例えば1〜500μmであればよい。
必要に応じて正極に含ませる導電材には、従来公知のものを用いることができ、例えば黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラックおよびサーマルブラックなどのカーボンブラック、ならびに炭素繊維および金属繊維などを用いることができる。
一方、本発明の非水電解質二次電池における負極は、リチウムの吸蔵・放出が可能な負極活物質と、負極用集電体と、を含む。また、必要に応じて負極用結着剤や導電材を含んでいてもよい。
本発明における負極活物質としては、非水電解質二次電池において従来から用いられるものを用いることができ、例えば天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)および人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラックおよびサーマルブラックなどのカーボンブラック、ならびに炭素繊維および金属繊維などを用いることができる。
なかでも、構成元素としてSiおよび/またはSnを含む負極活物質(SiO、SiOx、Siおよび/またはSnと遷移金属との合金)は、大きい理論容量を有することから好ましい。
また、当該負極活物質は、充放電において大きな体積変動をともなうが、上記被膜が「エラスティシティー」を有していることから、従来のような非水電解液と負極との副反応も効果的に抑制することができる。したがって、元素としてSiおよび/またはSnを含む負極活物質を使用する場合に、本発明の改善効果をより好ましく得ることができる。
負極極用結着剤には、上述した正極用結着剤と同様のものを用いることができる。
また、負極用集電体には、従来公知のものを用いることができ、例えばステンレス鋼、ニッケルおよび銅などで構成されたシートおよび箔を用いることができる。負極用集電体の厚さは特に限定されないが、例えば1〜500μmであればよい。
負極に含ませる導電材としては、上述した正極に含ませる導電材と同様のものを用いることができる。ただし、上記負極活物質および導電材として同一の材料を用いることも可能である。
非水電解液には、非水溶媒に溶質を溶解させた従来のものを用いることができる。非水溶媒には、例えば環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状カルボン酸エステルなどを用いることができる。
ここで、環状炭酸エステルとしては、例えばプロピレンカーボネート(PC)およびエチレンカーボネート(EC)などが挙げられ、鎖状炭酸エステルとしては、例えばジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジメチルカーボネート(DMC)などが挙げられる。また、環状カルボン酸エステルとしては、例えばγ−ブチロラクトン(GBL)およびγ−バレロラクトン(GVL)などが挙げられる。
また、上記溶質には、従来公知のリチウム塩を用いることができ、例えばLiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAlClO4、LiSbF6、LiSCN、LiCF3SO3、LiCF3CO2、Li(CF3SO22、LiAsF6、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、ビス(1,2−ベンゼンジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(2,3−ナフタレンジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(2,2’−ビフェニルジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(5−フルオロ−2−オレート−1−ベンゼンスルホン酸−O,O’)ホウ酸リチウム等のホウ酸塩、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドリチウム((CF3SO22NLi)、トリフルオロメタンスルホン酸ノナフルオロブタンスルホン酸イミドリチウム(LiN(CF3SO2)(C49SO2))、ビスペンタフルオロエタンスルホン酸イミドリチウム((C25SO22NLi)などのイミド塩などを挙げることができる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
セパレータには、従来公知の、高いイオン透過度、所定の機械的強度および絶縁性を有する微多孔性薄膜が用いることができる。例えばポリプロピレンもしくはポリエチレンなどのオレフィン系ポリマーまたはガラス繊維などで構成されたシート、不織布または織布などを用いることができる。セパレータの厚さは、特に限定されないが、一般的には10〜300μmである。
ここで、上記負極活物質の表面を覆う被膜は、上記化合物の重合体によって形成されている。上述したように、この重合体で形成された被膜は「エラスティシティー」を有し、本発明の非水電解質二次電池の充放電に伴って上記負極活物質の体積が変動しても、破壊されたり負極活物質の表面から脱落したりしないほどに充分な柔軟性および伸縮性を有する。
上記被膜は、非水電解液と負極活物質との副反応をより確実に抑制するという観点からは、負極活物質粒子の表面全体を覆っているのが好ましいが、負極活物質粒子の表面の一部を覆っているだけでも、本発明の効果が得られる。すなわち、上記被膜が負極活物質粒子の表面の一部を覆っているだけでも、非水電解液と負極活物質との副反応を抑制することができるとともに、負極活物質の体積が変動しても、上記「エラスティシティー」によって、上記被膜は破壊されたり負極活物質の表面から脱落したりしない。
また、上記被膜は、負極活物質粒子が複数個集まって構成された凝集体の表面全体またはその一部を覆っていてもよい。
上記被膜は、上記化合物の重合体で形成されているが、当該重合体は、上記式(1)で示される1種類の化合物の単独重合体、および、上記式(1)で示される2種類以上の化合物の共重合体のいずれで構成されていてもよい。また、上記被膜は、複数種の重合体で構成されていてもよい。
したがって、上記化合物は、上記式(1)で示される1種類の化合物でもよく、上記式(1)で示される2種類以上の化合物の混合物であってもよい。
また、上記被膜は、cis型重合体およびtrans型重合体のいずれで形成されていてもよく、両者によって形成されていてもよい。
なかでも、より柔軟性に優れた被膜を実現するという観点から、上記被膜はcis型重合体で形成されているのが好ましい。上記被膜がcis型重合体およびtrans型重合体の両者によって形成されている場合には、cis型重合体の量がtrans型重合体の量よりも多いのが好ましい。
上記重合体を構成する上記式(1)で示される化合物の具体例としては、例えば以下の第1の化合物および第2の化合物などが挙げられる。
上記第1の化合物は、共役した炭素−炭素不飽和結合を2つ以上有する化合物であり、式(3):
Figure 2006269417
(式(3)中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキル基または水素原子を示す。)で示される。
式(3)(即ち、式(1))において、置換基R1〜R6は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはペンチル基であればよい。
上記第1の化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,4−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ヘキサジエン、2−エチル−1,3−ヘキサジエン、
2−メチル−1,3−ヘプタジエン、2−エチル−1,3−ヘプタジエン、2−メチル−(2E,4E)−ペンタジエン、2−メチル−(2E,4E)−ヘキサジエンおよび2−メチル−(2E,4E)−ヘプタジエンなどが挙げられる。
ただし、R2およびR3が立体的に嵩高い置換基であると、上記第1の化合物の重合体における炭素−炭素二重結合が、ポリマー鎖に対してtrans型に配され易くなる。そのため、より確実に「エラスティシティー」を示す被膜を形成するという観点から、cis型重合体をより確実に形成するためには、R2およびR3が立体的に嵩高くない置換基であるのが好ましい。
また、cis型重合体をより確実に形成するために、R3およびR4の少なくとも一方は、水素原子であるのが好ましい。
以上のことから、上記第1の化合物としてはイソプレンが好ましい。
一方、上記重合体を構成する第2の化合物は、共役した炭素−炭素不飽和結合を2つ以上有し、かつ非共有電子対を有する元素を含有する化合物であり、式(4):
Figure 2006269417
(式(4)中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキル基または水素原子を示し、R1、R2、R3、R4、R5およびR6のうちの少なくとも1つは非共有電子対を有する原子を含んでもよい。)で示される。
式(4)(即ち、式(1))において、置換基R1〜R6は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはペンチル基であればよく、上記非共有電子対を有する原子は、窒素原子および酸素原子から選択するのが好ましい。
また、前記式(4)におけるR1、R2、R3、R4、R5およびR6のうちの少なくとも1つがアルコキシ基、アルコキシアルキル基、アミノアルキル基またはペルフルオロアルコキシ基であることがさらに望ましい。
上記式(4)(即ち式(1))において、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基またはペントキシ基などを選択することができる。アルコキシアルキル基としては、例えばメトキシメチル基、2−メトキシ−1−エチル基、3−メトキシ−1−プロピル基または2−(2−エトキシ)−1−エチル基などから選択することができる。アミノアルキル基としては、ジメチルアミノメチル基、2−ジメチルアミノ−1−エチル基、3−ジメチルアミノ−1−プロピル基またはジエチルアミノメチル基などから選択することができる。ペルフルオロアルコキシ基としては、例えばトリフルオロメトキシ基を選択することができる。
上記第2の化合物を用いて得られる重合体で形成された被膜は、C−O−C結合若しくはC−N(−C)−C結合を有しており、当該結合中の酸素原子または窒素原子の非共有電子対が、非水電解液に含まれるリチウムイオンと配位結合する。そのため、高いリチウムイオン導電性が得られる。よって、上記第2の化合物を含む重合体で形成された被膜で被覆された負極活物質は、充放電サイクル特性に優れるとともに、高率放電特性にも優れる。
上記第2の化合物としては、例えば1−メトキシ−1,3−ブタジエン、1−エトキシ−1,3−ブタジエン、1−メトキシ−3−メチル−1,3−ブタジエン、1−メトキシ−2,4−ペンタジエン、2−(メトキシメチル)−1,3−ブタジエン、1−(ジメチルアミノ)−2,4−ペンタジエン、1−(トリフルオロメトキシ)−1,3−ブタジエン、2−(トリフルオロメトキシ)−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。
ただし、上記第1の化合物の場合と同様に、R3およびR4が立体的に嵩高い置換基であると、上記第2の化合物の重合体における炭素−炭素二重結合が、ポリマー鎖に対してtrans型に配され易くなる。そのため、より確実に「エラスティシティー」を示す被膜を形成するという観点から、cis型重合体をより確実に形成するためには、R3およびR4が立体的に嵩高くない置換基であるのが好ましい。
また、cis型重合体をより確実に形成するために、R3およびR4の少なくとも一方は、水素原子であるのが好ましい。
2.非水電解質二次電池用負極活物質の被膜形成方法
つぎに、本発明の非水電解質二次電池用負極活物質の被膜形成方法(換言すると、本発明の非水電解質二次電池の製造方法)について説明する。
本発明の非水電解質二次電池は従来公知の方法で作製することができるが、上記化合物を非水電解質二次電池内に添加することが必要である。すなわち、上記負極活物質の表面を覆う被膜を有する本発明の非水電解質二次電池を得るためには、上記式(1)で示される化合物を、上記非水電解質二次電池に添加する第1の工程と、前記非水電解質二次電池の内部で前記化合物を重合させて、前記負極活物質を被覆する被膜を形成する第2の工程と、を行う。
上記第1の工程においては、上記化合物を上記非水電解質二次電池内に含ませればよい。例えば、正極、負極、セパレータおよび非水電解液に上記化合物を含ませることができる。なかでも、非水電解質二次電池の生産性の観点から、上記非水電解質二次電池に注液する前の非水電解液に添加し、当該添加後の非水電解液を上記非水電解質二次電池内に添加するのが好ましい。
このとき、上記化合物の添加量は、非水電解液に対して0.1〜10重量%であることが望ましい。添加量が0.1重量%以上であると上記被膜をより確実に形成して本発明の効果をより確実に得ることができ、10重量%以下であると電池特性をより適切に維持することができる。
ついで、前記非水電解質二次電池の内部で前記特定化合物を重合させて、前記負極活物質を被覆する被膜を形成する第2の工程を行う。具体的には、上記非水電解質二次電池の充放電を行い、負極の充放電反応により負極表面付近で、上記化合物を重合させて被膜を形成する。
ここで、図1および図2は、それぞれ上記式(1)で示される化合物に含まれる上記第1の化合物(式(3)で示される化合物)および上記第2の化合物(式(4)で示される化合物)の重合反応のうちの、望ましい態様を示す図である。図1および図2に示すように、重合反応によって新たに生成する二重結合がポリマー鎖に対してcis型に配置されることにより、重合体の結晶性が低下してガラス転移温度が低下し、広い温度範囲で「エラスティシティー」を示す被膜を得ることができる。
このようなcis型の幾何異性体を優先的に生成させる方法としては、上述のように上記第1の化合物および上記第2の化合物の種類(構造)を適宜選択する方法もあるが、例えばアルキルリチウムを重合開始剤として用いる方法も挙げられる。
本発明においては、上記第1の工程において、式(2):
X(CH2nCH3
(式(2)中、nは1〜5の整数、XはCl、BrまたはI。)で示される有機ハロゲン化物を上記非水電解質二次電池内に添加し、負極表面付近でハロゲン−リチウム交換によりアルキルリチウム化合物を発生させ、これを用いて図1または図2に示すような重合反応を起こさせ、広い温度範囲において「エラスティシティー」を示す被膜を負極活物質表面に形成することが好ましい。
ここで、上記有機ハロゲン化物の添加量は、いわゆる触媒相当量であればよいが、より具体的には、上記特定化合物に対して、0.1〜10モル%であることが望ましい。添加量が0.1モル%以上であると上記化合物をより確実に重合させることが可能となり、10モル%以下であると非水電解液の劣化をより確実に抑制することができる。
上記式(2)で示される有機ハロゲン化物は、炭素数が2〜6の1級脂肪族ハロゲン化物である。炭素数が2以上であると沸点が低くなり過ぎず、炭素数が6以下を超えるとハロゲン−リチウムの交換反応が遅くなり過ぎず、取扱いが容易である。なお、2級または3級の脂肪族ハロゲン化物は、リチウム化合物と非常に反応し易いため、非水電解液との副反応を起こして電池特性が劣化するおそれがある。
以上、本発明の非水電解質二次電池および非水電解質二次電池用負極活物質の被膜形成方法について説明したが、さらに本発明には種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、上記非水電解液には、過充電時に分解して電極上に被膜を形成し、電池を不活性化する従来からよく知られているベンゼン誘導体をさらに含有させてもよい。
前記ベンゼン誘導体は、フェニル基および前記フェニル基に隣接する環状化合物基を含むのが好ましい。前記環状化合物基としては、例えばフェニル基、環状エーテル基、環状エステル基、シクロアルキル基およびフェノキシ基などが好ましい。
上記ベンゼン誘導体の具体例としては、例えばシクロヘキシルベンゼン、ビフェニルおよびジフェニルエーテルなどが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ただし、上記ベンゼン誘導体の含有率は、非水溶媒に対して10重量%以下であることが好ましい。
以下において、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
《実施例1》
(i)非水電解液の調製
ECとEMCとの混合溶媒(体積比1:4)に、1.0mol/Lの濃度でLiPF6を溶解し、非水電解液を得た。得られた非水電解液に対し、式(1)で示される化合物のうちの第1の化合物(式(3)で示される化合物)として1,3−ブタジエンまたはイソプレンを2重量%添加した。
(ii)正極板の作製
コバルト酸リチウム粉末85重量部に対し、導電剤のアセチレンブラック10重量部と、結着剤のPVDF樹脂5重量部とを混合し、これらを脱水N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」という。)に分散させてスラリー状の正極合剤を調製した。この正極合剤をアルミニウム箔製の正極集電体上に塗布し、乾燥後、圧延して、正極板を得た。
(iii)負極板の作製
非晶質酸化珪素粉末(SiOx;x=1.02)75重量部に対し、導電剤であるアセチレンブラック20重量部と、結着剤のPVDF樹脂5重量部とを混合し、これらを脱水NMPに分散させてスラリー状の負極合剤を調製した。この負極合剤を銅箔製の負極集電体上に塗布し、乾燥後、圧延して、負極板を得た。
(iv)円筒型電池の製造
上記のようにして作製した非水電解液、正極板および負極板を用い、図3に示す構造を有する円筒型電池を作製した。図3は、本実施例において作製した円筒型電池の構造を示す概略断面図である。
正極板11および負極板12とを、ポリエチレン製のセパレータ13を介して渦巻状に捲回して、極板群を作製し、この極板群を、ニッケルメッキした鉄製電池ケース18内に収納した。
正極板11からはアルミニウム製正極リード14を引き出して、正極端子20に導通した封口板19の裏面に接続し、負極板12からはニッケル製負極リード15を引き出して、電池ケース18の底部に接続した。
極板群の上部には絶縁板16を、下部には絶縁板17をそれぞれ設けた。
そして、上記非水電解液を電池ケース18内に注液し、封口板19を用いて電池ケース18の開口部を密封し、図3に示す構造を有する円筒型電池(理論容量2300mAh)を作製した。
この後、初充放電を行い、上記化合物を重合させ、負極活物質の表面を覆う被覆を形成し、本発明の非水電解質二次電池を得た。
《比較例1》
非水電解液中に上記化合物を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
《比較例2〜4》
非水電解液中に、上記化合物の代わりにビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)または1,5−シクロオクタジエンを添加した以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
[評価試験]
実施例1および比較例1〜4で作製した非水電解質二次電池に対して、以下の評価試験を行った。結果を表1に示す。
(1)サイクル後の容量維持率
45℃環境下で充放電サイクルを繰り返し、3サイクル目の放電容量を100%として、200サイクルを経過した電池の容量維持率を算出し、サイクル後の容量維持率を評価した。なお、充放電においては、最大電流1050mA、上限電圧4.2Vで2時間30分の定電流・定電圧充電を行った後、放電電流1500mA、放電終止電圧3.0Vで定電流放電を行った。
(2)高率放電特性
20℃環境下にて、最大電流1050mA、上限電圧4.2Vで2時間30分の定電流・定電圧で充電した後、放電電流を150mAあるいは3000mAとして、放電終止電圧3.0Vで定電流放電を行った。ここで、放電電流150mAでの放電容量に対する放電電流3000mAでの放電容量の割合を算出し、高率放電特性とした。
Figure 2006269417
表1より、実施例1および2の本発明の非水電解質二次電池は、比較例1〜4の非水電解質二次電池に比べ、200サイクル後の容量維持率が大幅に改善されていることがわかる。これは、実施例では負極活物質表面に「エラスティシティー」を有する被膜が形成され、充放電による活物質の体積変動に追随して伸縮し、被膜が破壊されず、非水電解液と負極活物質との副反応が抑制されたためであると考えられる。
一方、上記化合物なしの比較例1では、非水電解液と負極活物質との副反応のため、容量低下が大きい。また、負極活物質上に被膜形成させる添加剤としてVC、VEC、1,5−シクロオクタジエンをそれぞれ添加した比較例2〜4については、比較例1と比べると若干の改善は見られる。しかし、比較例2〜4においても、Siを主とする負極活物質では充放電にともなう活物質の体積変動が大きいため、充放電サイクルにより負極活物質上に形成された被膜が活物質から脱離し、その被膜の効果が発揮されなかったため、充放電サイクルによる容量低下が大きいものと考えられる。
また、実施例1および2では、80%程度の高率放電特性が得られたのに対し、比較例1〜4ではいずれも高率放電特性が低下していることは明らかである。比較例1では負極活物質表面が非水電解液および溶質の分解生成物であるLi2CO3、LiF、LiORなどで被覆されていると考えられるが、これら被覆物は、本発明における被膜に比べてリチウムイオン導電性が低いために、高率放電特性が低下したものと考えられる。また比較例2〜4においては、それぞれの添加剤が負極活物質表面に被膜を形成すると考えられるが、その被膜は充放電による活物質の体積変化により破壊されて、負極活物質表面での副反応を許し、高率放電特性が低下したものと考えられる。
さらに、表1の結果から、特定化合物としてイソプレンを選択した場合が、電池特性バランスが最も良好であることがわかる。
《実施例3〜8》
非水電解液中に、上記化合物としてイソプレンを添加し、その添加量を表2に示す量に設定した以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
また、ここでは、上記評価試験のうち、サイクル後の容量維持率のみを評価した。結果を表2に示す。
Figure 2006269417
表2から、上記化合物の添加量として、非水電解液に対して0.1〜10重量%が適当であることがわかる。
《実施例9〜15》
非水電解液中に、上記化合物としてイソプレンを添加し、さらに、表3に示す有機ハロゲン化物(式(2)で示される化合物)をイソプレンに対して5モル%添加した以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
また、ここでは、上記評価試験のうち、サイクル後の容量維持率のみを評価した。結果を表3に示す。
Figure 2006269417
ここで、図4は、有機ハロゲン化物(式(2)で示される化合物)がアルキルリチウム化合物へと変化する反応を示す図であり、図5は、アルキルリチウム化合物を介在して、上記式(1)で示される化合物が重合する反応を示す図である。
表3から、上記有機ハロゲン化物を添加した系は、無添加であった実施例1および2よりも200サイクル後の容量維持率が向上していることがわかる。この理由として、負極が充電される際、添加した有機ハロゲン化物がアルキルリチウム化合物へと変化し(図4参照)、さらにこの化合物が重合開始剤となってイソプレンが重合し(図5参照)、結果としてポリマー鎖に対してcis型の幾何異性体の割合が多くなり、負極活物質を被覆する被膜の「エラスティシティー」が向上したため、充放電サイクルにおける負極活物質の体積変動に影響されることなく有効に機能したものと考えられる。
これらのなかで、1−ブロモ−1,1−ジメチルエタンを用いた場合、ハロゲン−リチウム交換により生成するtert−ブチルリチウムが不安定で反応性に富むため、電解液の分解を引き起こして電池特性が若干悪化したものと考えられる。
また、炭素数が10の1−クロロデカンを用いた場合、置換基が長い鎖状であるため生成するデシルリチウムの求核性が低下し、図5に示す重合反応が十分に進行しなかったと考えられる。ブロモベンゼンを用いた場合も、生成すると考えられるフェニルリチウムの求核力が弱く、図5に示す重合反応が十分に進行しなかったと考えられる。
《実施例16〜20》
非水電解液中に、上記化合物としてイソプレンを添加し、さらに、有機ハロゲン化物(式(2)で示される化合物)として1−クロロブタンを、イソプレンに対して表4に示す添加量(0.05〜15モル%)で添加した以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
また、ここでは、上記評価試験のうち、サイクル後の容量維持率のみを評価した。結果を表4に示す。
Figure 2006269417
表4から、1−クロロブタンの添加量が0.05モル%の場合、表1に示す無添加の場合と有意差がなくなり、添加量が15モル%の場合、電池特性が若干悪化することがわかる。以上の結果から、有機ハロゲン化物の添加量は、上記特定化合物に対して0.1〜10モル%が適当であることがわかる。
《実施例21〜23》
非水電解液中に、上記化合物として第2の化合物(式(4)で示される化合物)である1−(トリフルオロメトキシ)−1,3−ブタジエン、2−(トリフルオロメトキシ)−1,3−ブタジエンまたは1−メトキシ−3−メチル−1,3−ブタジエンを添加した以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。また、実施例1と同様にして上記評価試験を行った。結果を表5に示す。
Figure 2006269417
表5より、実施例21〜23は、200サイクル後の容量維持率が実施例1および2とほぼ同等であることがわかる。一方、実施例21〜23では、いずれの化合物を用いても85%程度の高率放電特性が得られており、実施例1および2よりも特性が向上していることがわかる。
この理由として、実施例21〜23の化合物から得られる重合体で形成された被膜は、実施例1および2に比べて、リチウムイオン導電性が高く、高率放電特性が向上したものと考えられる。また、上記式(4)で示される化合物のうち2−(トリフルオロメトキシ)−1,3−ブタジエンを選択した場合が、電池特性バランスが最も良好であることがわかる。
《実施例24〜29》
非水電解液中に、上記化合物として1−(トリフルオロメトキシ)−1,3−ブタジエンを、表6に示す添加量(0.05〜15重量%)で添加した以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
また、ここでは、上記評価試験のうち、サイクル後の容量維持率のみを評価した。結果を表6に示す。
Figure 2006269417
表6から、式(4)で示される化合物の添加量として、非水電解液に対して0.1〜10重量%が適当であることがわかる。
《実施例30〜36》
非水電解液中に、上記化合物として1−(トリフルオロメトキシ)−1,3−ブタジエンを添加し、さらに、表7に示す有機ハロゲン化物(式(2)で示される化合物)を1−(トリフルオロメトキシ)−1,3−ブタジエンに対して5モル%添加した以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
また、ここでは、上記評価試験のうち、サイクル後の容量維持率のみを評価した。結果を表7に示す。
Figure 2006269417
表7から、本発明の式(4)で示される化合物を添加した系は、無添加であった実施例21〜23よりも200サイクル後の容量維持率が向上していることがわかる。
この理由として、負極が充電される際、添加したハロゲン化物がアルキルリチウム化合物へと変化し(図4参照)、さらにこの化合物が重合開始剤となって1−エトキシ−1,3−ブタジエンが重合し(図6参照)、結果としてポリマー鎖に対してcis型の幾何異性体の割合が多くなり、負極活物質を被覆する被膜の「エラスティシティー」が向上したため、充放電サイクルにおける負極活物質の体積変動に影響されることなく有効に機能したものと考えられる。
《実施例37〜41》
非水電解液中に、上記化合物として2−(トリフルオロメトキシ)−1,3−ブタジエンを添加し、さらに、有機ハロゲン化物(式(2)で示される化合物)として1−クロロブタンを、2−(トリフルオロメトキシ)−1,3−ブタジエンに対して表8に示す添加量(0.05〜15モル%)で添加した以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
また、ここでは、上記評価試験のうち、サイクル後の容量維持率のみを評価した。結果を表8に示す。
Figure 2006269417
表8から、1−クロロブタンの添加量が0.05モル%の場合、表5に示す無添加の場合と有意差がなくなり、添加量が15モル%の場合、電池特性が若干悪化することがわかる。以上の結果から、有機ハロゲン化物の添加量は、上記化合物に対して0.1〜10モル%が適当であることがわかる。
《実施例42および43》
実施例1で負極活物質として用いた非晶質酸化珪素粉末(SiOx;x=1.02)に代えてSnOを用いたこと以外は、実施例1および2と同様にして非水電解質二次電池を作製した。作製した電池の理論容量は2200mAhであった。また、ここでは、上記評価試験のうち、サイクル後の容量維持率のみを評価した。結果を表9に示す。
《比較例5》
非水電解液中に式(1)で示される化合物を添加しなかった以外は、実施例42と同様にして非水電解質二次電池を作製した。また、ここでは、上記評価試験のうち、サイクル後の容量維持率のみを評価した。結果を表9に示す。
Figure 2006269417
表9より、実施例42および43は比較例5に比べ、200サイクル後の容量維持率が大幅に改善されていることがわかる。すなわち、負極活物質としてSnOを用いた場合でも、本発明は効果が発揮されることがわかる。
《実施例44および45》
実施例1で負極活物質として用いた非晶質酸化珪素粉末(SiOx;x=1.02)に代えて鱗片状黒鉛を用いたこと以外は、実施例1および2と同様にして非水電解質二次電池を作製した。作製した電池の理論容量は2100mAhであった。また、ここでは、上記評価試験のうち、サイクル後の容量維持率のみを評価した。結果を表10に示す。
《比較例6》
非水電解液中に上記化合物を添加しなかった以外は、実施例44と同様の非水電解質二次電池を作製した。また、ここでは、上記評価試験のうち、サイクル後の容量維持率のみを評価した。結果を表10に示す。
《比較例7〜9》
非水電解液中に、上記化合物の代わりにビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)または1,5−シクロオクタジエンを添加した以外は、実施例44と同様にして非水電解質二次電池を作製した。また、ここでは、上記評価試験のうち、サイクル後の容量維持率のみを評価した。結果を表10に示す。
Figure 2006269417
表10より、実施例44および45は比較例6〜9に比べ、200サイクル後の容量維持率が大幅に改善されていることがわかる。すなわち、負極活物質として鱗片状黒鉛を用いた場合でも、本発明は効果が発揮されることがわかる。
本発明によれば、構成元素としてSiやSnを含み、高容量だが充放電にともなう体積変動の大きい負極活物質を用いた場合にも安定な被膜を作製することが可能となり、非水電解質二次電池の高容量化技術として利用可能性は高く、かつその効果は大きい。
式(3)で示される化合物の望ましい重合反応を示す図である。 式(4)で示される化合物の望ましい重合反応を示す図である。 本発明の非水電解質二次電池の一実施の形態である円筒型電池の断面図である。 式(2)で示される化合物がアルキルリチウム化合物へと変化する反応を示す図である。 アルキルリチウム化合物を介在して式(3)で示される化合物が重合する反応を示す図である。 アルキルリチウム化合物を介在して式(4)で示される化合物が重合する反応を示す図である。
符号の説明
11 正極板
12 負極板
13 セパレータ
14 正極リード
15 負極リード
16 上部絶縁板
17 下部絶縁板
18 電池ケース
19 封口板
20 正極端子


Claims (10)

  1. リチウムの吸蔵・放出が可能な正極活物質を有する正極と、リチウムの吸蔵・放出が可能な負極活物質を有する負極と、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータと、非水電解液と、を具備する非水電解質二次電池であって、
    前記負極活物質が、
    式(1):
    Figure 2006269417
    (式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキル基または水素原子を示し、R1、R2、R3、R4、R5およびR6のうちの少なくとも1つは非共有電子対を有する原子を含んでもよい。)で示される化合物の重合体で構成された被膜に覆われていること、
    を特徴とする非水電解質二次電池。
  2. 前記負極活物質が、構成元素としてSiおよび/またはSnを含む化合物を主体とすること、を特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記化合物がイソプレンであること、を特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記非共有電子対を有する原子が、窒素原子または酸素原子であること、を特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
  5. 前記式(1)におけるR1、R2、R3、R4、R5およびR6のうちの少なくとも1つが、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アミノアルキル基またはペルフルオロアルコキシ基であること、を特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
  6. 前記化合物に対して、式(2):
    X(CH2nCH3
    (式(2)中、nは1〜5の整数、XはCl、BrまたはI。)で示される有機ハロゲン化物を0.1〜10モル%含むこと、を特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
  7. リチウムの吸蔵・放出が可能な正極活物質を有する正極と、リチウムの吸蔵・放出が可能な負極活物質を有する負極と、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータと、非水電解液と、を具備する非水電解質二次電池における非水電解質二次電池用負極活物質の被膜形成方法であって、
    式(1):
    Figure 2006269417
    (式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキル基または水素原子を示し、R1、R2、R3、R4、R5およびR6のうちの少なくとも1つは非共有電子対を有する原子を含んでもよい。)で示される化合物を、前記非水電解質二次電池に添加する第1の工程と、
    前記非水電解質二次電池の内部で前記化合物を重合させて、前記負極活物質を被覆する被膜を形成する第2の工程と、
    を含むこと、を特徴とする非水電解質二次電池用負極活物質の被膜形成方法。
  8. 前記第1の工程において、前記化合物を前記非水電解液に溶解して前記非水電解質二次電池に添加すること、を特徴とする請求項7記載の非水電解質二次電池における負極活物質の被膜形成方法。
  9. 前記第1の工程において、前記化合物の前記非水電解液への溶解量が、前記非水電解液に対して0.1〜10重量%であること、を特徴とする請求項8記載の非水電解質二次電池用負極活物質の被膜形成方法。
  10. 前記第1の工程において、前記化合物に対して、式(2):
    X(CH2nCH3
    (式(2)中、nは1〜5の整数、XはCl、BrまたはI。)で示される有機ハロゲン化物を0.1〜10モル%前記非水電解質二次電池に添加すること、を特徴とする請求項7記載の非水電解質二次電池用負極活物質の被膜形成方法。




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