JP2006268802A - Icチップ及び認証方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ICカードに搭載されるICチップに、検知した磁場の強さに応じた出力値を出力する複数の磁場検知素子がX行Y列の2次元に配置されてなる磁気センサと、前記磁場検知素子の各々を選択する選択回路と、前記磁気センサの出力信号の増幅回路とを備え、磁気センサの表面には、複数の磁性体粒子がランダムに配置された認証情報保持部を含める。磁性体粒子のランダムな配置は再現することができないため、この配置情報からなる認証情報はコピー、改ざんすることができない。
【選択図】図2
Description
しかしながら、磁気記録やホログラム等は容易に記録情報を読み出し、コピーすることができるため、これらの情報をコピーし不正に使用する者が増えてきている。この為、様々なセキュリティー対策も取られている。
また磁気媒体を用いて複製をし難くする方法として、磁気ストライプ中にランダムに軟磁性体を混入し、これを磁気ヘッドにて読み出す方法が特許文献1により開示されている。
また、磁気ストライプ中にランダムに軟磁性体を混入し、これを磁気ヘッドにて読み出す方法では、読み出す信号の空間分解能は磁気ヘッドのギャップに依存するため、空間分解能を上げるには限界がある。また、近年の印刷技術の進歩により磁気ヘッドにより読み取った信号から、同様の磁性体パターンを印刷することは容易になりつつある。
本発明の目的は、特に認証情報等を改ざん、コピーすることができない状態で保持可能なICチップ及び認証方法を提供することにある。
前記磁気センサの表面には、複数の磁性体粒子がランダムに配置されたことを特徴とする。
半導体ホール素子はICチップと同じ製造工程で作製することが出来る為、容易にICチップに混載することが出来る。
本発明の請求項3によるICチップは、請求項2において、前記半導体ホール素子は、一対の電流端子と、前記電流端子間に流れる電流を制御するゲート電極と、電流が前記電流端子間に流れる電流に略垂直に流れるように配置された一対の出力端子を有することを特徴とする。
ゲート電極を有することにより、磁場検出機能とスイッチング機能の両方を1つの半導体ホール素子が備えることになり、複数の半導体ホール素子を選択して磁場検出する時の選択回路が簡易になる。
磁性体粒子を超常磁性体とすることにより、磁性体粒子の磁化は外部から印加する磁場の強度に依存する。外部磁場を零にした時の残留磁化は零であるから、外部から磁場を印加して磁性体の磁化を変化させ情報を書き換えることはできない。
本発明の請求項5によるICチップは、請求項1〜4のいずれか1項において、前記増幅回路からの出力を外部装置に出力するための接続端子を備えることを特徴とする。
本発明の請求項7によるICチップは、請求項1から6のいずれか1項において、複数の磁性体粒子を磁場中で前記ランダムに配置させたことを特徴とする。
磁性体粒子を磁場中で固定することにより、磁化した磁性体粒子が凝集し磁界方向に長細い形態にすることができる。これにより磁場を印加して磁気センサで磁性体粒子の配置情報を得る時、磁化し易くなり、より大きな信号出力を得ることができる。
前記磁場中で前記磁場検知素子から出力される信号を取得し、
前記取得した信号に基づき、前記磁性体粒子の配置情報を取得し、認証情報として利用することを特徴とする。
前記磁場条件、すなわち複数の磁性体粒子に向けて印加する磁場の条件が異なると、得られる磁性体粒子の配置情報も異なる。従って、複数種類の磁場条件下で磁性体粒子の配置情報を複数種類取得し、これを組み合わせることで、単一の磁場中で取得する場合に比べ、より多くの情報を認証情報として利用することができる。
ここで、磁場条件を決める要素としては、磁場の周波数、方向、強度等が挙げられる。また、磁性体粒子の配置情報は、磁性体粒子の磁気センサの表面における配置状態に関する情報全般をいい、複数種類の配置情報としては、例えば、特性(形状、体積、材質)の異なる磁性体粒子毎の配置情報等が挙げられる。
図1に、本実施形態のICチップを内蔵した接触式ICカードの概略を示す。
図1のICチップは、1チップ上に、CPUと、RAMと、ROMと、EEPROMと、通信インタフェースと、認証情報保持部と、を搭載している。認証情報保持部を備える以外は、従来のICカードのICチップと同様の構成であり、通信インターフェースを介して、接触あるいは非接触で、図示しないカードリーダとの間で相互に情報を送受するものである。
認証情報保持部は、本発明の磁場検知素子に相当するホール素子を複数アレイ状に配置した磁気センサと、任意のホール素子を選択する選択回路と、ホール素子からの信号を増幅する増幅回路と、ホール素子からのアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換回路と、表面にランダムに配置した磁性体粒子と、で構成され、この磁性体粒子の検出信号を認証情報として出力する。
(磁気センサの構成について)
図2に、本実施形態の認証情報部の磁気センサ1の外観の一部を示す。
磁気センサは、周知の技術であるCMOS(complementary mental−oxide semiconductor device)製造プロセスによりシリコン基板11上に形成される。磁気センサ1表面の凹部13の下には、ホール素子が形成されており、個々のホール素子の入力及び出力はゲート電極30及び金属配線4を介して行われる。最表面はプラズマCVD(chemical vapor deposition)によるチッ化シリコン膜或いは酸化シリコン膜で覆われる。
(ホール素子の構造について)
磁気センサ1を構成するホール素子の構造を図3を用いて説明する。
次に、図4を用いてアレイ状に配置した各々のホール素子を選択して出力を取り出す方法について説明する。
各々のホール素子(E(0,0),E(0,1),・・・)のソース電極、ドレイン電極及び一対の出力電極は、半導体素子等を用いて構成されるスイッチ(R0,R1,・・・)を介してVL、VH、OUT1、OUT2へ接続されており、列方向Yの同一の列に共通に接続されている。また行方向Xの同一の行のゲート電極も共通で、各列毎に共通のゲート電極線C0、C1、・・・へと接続されている。VL、VHはホール素子側へバイアスを供給する配線であり、OUT1、OUT2はホール素子からの出力を増幅回路へ送る配線である。なお、図示しないが、各スイッチは制御線が接続され、ホール素子の選択信号に基づいて、オン−オフ制御されるようになっている。
また、ホール素子数を増やすことにより認証情報の情報量を増やすことができる。
CMOS製造プロセスにより作製したICチップの磁気センサ1表面に磁性体粒子Mgを滴下し、図2のように磁気センサ1表面に固定する。磁性体粒子Mgは予めエポキシ樹脂やシリコーン樹脂に混ぜたものを滴下して樹脂(図示せず)を硬化させることにより磁性体粒子Mgを固定しても良いし、水溶液や有機溶媒に混ぜたものを滴下して乾燥させた後、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂を滴下して硬化させ固定してもよい。磁気センサ上に滴下した磁性体粒子はランダムに分布しているため、これを認証情報として用いることが出来る。滴下する磁性体粒子の大きさはホール素子の感受面の大きさと同程度あるいは、より大きいものが望ましい。
さらに、固定時にICチップの裏面に磁石を配置し、磁気センサ1表面に対して垂直方向に磁界を印加してもよい。これにより磁性体粒子が磁気センサ1表面に対して垂直方向に柱状に凝集する。これを図5を用いて模式的に説明する。同図(a)は磁界を印加しない状態で磁性体粒子Mgを磁気センサ1の表面に固定したもので、同図(b)は、磁界を印加した状態で固定したものである。磁界を印加しない場合、磁性体粒子MgはICチップ上でその表面及びその積層方向に関してランダムに配置されるが、磁界を印加した場合には、磁性体粒子が外部磁界の形成方向に沿って柱状に凝集し、これがICチップの表面にランダムに配置される。磁性体は柱状形状になると長手方向に磁界を印加したとき磁化し易くなり、磁気センサからより大きな信号を得ることが出来る。
次に、認証情報保持部からの認証情報の読み出し方法について説明する。
読み出し時には、本実施形態のICチップを内蔵したICカードをカードリーダに挿入する。カードリーダは、ICカードが挿入されると、認証情報保持部に電磁石により磁場を印加する。
ICチップにおいて磁場が印加されたことを検知すると、CPUが所定のホール素子の選択信号を選択回路に出力し、これに基づき選択回路は選択したホール素子から出力を取り出しAD変換回路に出力する。CPUはAD変換回路によりデジタル信号に変換された出力信号に基づき、認証情報となる磁性体粒子Mgの配置情報を取得する。
(磁場の印加方法1について)
電磁石により交流磁場+直流磁場を印加する。この時、直流磁場は磁性体粒子の磁化の少なくとも一部が飽和する磁場である。近くに磁性体粒子のないホール素子の出力信号には、印加する交流磁場の周波数成分しか含まれないが、近くに磁性体粒子のあるホール素子の出力信号には、印加する交流磁場の周波数の2次高調波成分が含まれる。この2次高調波成分を認証情報として利用する。このとき、基本波の振幅を基準とし、2次高調波成分の振幅を取得する。磁場発生手段により発生する磁場が一定であれば、ある量の磁性体粒子が、ある量の磁性体粒子が存在する時の基本波と2次高調波の振幅の比は一定であるから、ホール素子の感度がばらついても影響されない。
カードリーダの電磁石により交流磁場を印加する。この時、交流磁場は磁性体粒子の磁化の少なくとも一部が飽和する磁場である。近くに磁性体粒子のないホール素子の出力信号には、印加する交流磁場の周波数成分しか含まれないが、近くに磁性体粒子のあるホール素子の出力信号には、印加する交流磁場の周波数の3次高調波成分が含まれる。この3次高調波成分を認証情報として利用する。
電磁石により交流磁場を印加しホール素子の交流信号成分を取得し、次にこれに直流磁場を付加し再度ホール素子の交流信号成分を取得する。ここで交流磁場は磁性体粒子の磁化が飽和しない弱い磁場であり、直流磁場は磁性体粒子の少なくとも一部のが飽和する磁場である。近くに磁性体粒子のないホール素子の出力信号は交流磁場のみの時と交流磁場+直流磁場に時で同じ信号出力となる。近くに磁性体粒子があるホール素子の出力信号は、磁性体粒子により磁束が収束され、交流磁場+直流磁場では磁化が飽和する為、交流磁場のみの方が交流磁場+直流磁場よりも大きくなる。従って交流磁場のみの出力信号と交流磁場+直流磁場の出力信号の差分が、磁性体粒子による信号成分となり、これを認証情報として利用する。
認証情報としては、例えば、ICカードが公開鍵方式を適用する場合の秘密鍵の情報等が挙げられる。従来のICカードでは秘密鍵の情報はEEPROMに収められ、ハードウエアレベルおよびソフトウエアレベルで外部からの情報の参照は守られてはいるが完全ではない。本発明の磁気センサ搭載のICカードは磁気センサ部に収められている情報を複製することは現実的に不可能なのでICカードを複製することは不可能である。
2 ホール素子
4 金属配線
11 シリコン基板
13 凹部
30 ゲート電極
31 ソース電極
32 ドレイン電極
33 出力電極
35 絶縁層
36 ウエル領域
C0 ゲート電極線
C1 ゲート電極線
Mg 磁性体粒子
Claims (9)
- 検知した磁場の強さに応じた出力値を出力する複数の磁場検知素子がX行Y列(X及びYは自然数である)の2次元に配置されてなる磁気センサと、前記磁場検知素子の各々を選択する選択回路と、前記磁気センサの出力信号の増幅回路とを備え、
前記磁気センサの表面には、複数の磁性体粒子がランダムに配置されたことを特徴とするICチップ。 - 前記磁場検知素子が半導体ホール素子であることを特徴とする請求項1に記載のICチップ。
- 前記半導体ホール素子は、一対の電流端子と、前記電流端子間に流れる電流を制御するゲート電極と、電流が前記電流端子間に流れる電流に略垂直に流れるように配置された一対の出力端子を有することを特徴とする請求項2に記載のICチップ。
- 前記磁性体粒子が超常磁性体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のICチップ。
- 前記増幅回路からの出力を外部装置に出力するための接続端子を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のICチップ。
- 前記増幅回路からの出力信号に基づき、前記磁性体粒子の磁気センサ表面での配置情報を取得する信号処理手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のICチップ。
- 複数の磁性体粒子を磁場中で前記ランダムに配置させたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のICチップ。
- 請求項1〜7に記載されるICチップを用いた認証方法であって、
前記複数の磁性体粒子に向けて磁場を印加し、
前記磁場中で前記磁場検知素子から出力される信号を取得し、
前記取得した信号に基づき、前記磁性体粒子の配置情報を取得し、認証情報として利用することを特徴とする認証方法。 - 複数種類の磁場条件下のそれぞれにおいて前記磁場検知素子から得られる信号に基づき取得可能な複数種類の前記磁性体粒子の配置情報のうち、任意の1つを選択し又はそれらを組み合わせて認証情報として利用することを特徴とする請求項8に記載の認証方法。
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