JP2006268476A - 熱処理設備システム - Google Patents

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重喜 小林
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Abstract

【課題】 各制御機器への通信周期を短縮し、高速制御を可能にした熱処理設備システムを提供する。
【解決手段】 熱処理設備の制御データが記憶され、各種制御機能部がアクセス可能な共有メモリ13を設け、パソコン機能CPU部8、記録計機能部(A/D変換部)10、PLC機能CPU部7、温度調節機能CPU部15、上位群管理システム5が独立して能動的に共有メモリ13にアクセスすることによりデータの送受信を行ない、読取ったデータに基づいて各機能部が制御動作内容を判断して制御動作を実行する。
【選択図】 図8

Description

本発明は、たとえば、バッチ式熱処理設備の制御システムに関し、詳しくは、熱処理のための各種制御機能部を同一時間軸で同期処理する熱処理設備システムに関する。
この種の熱処理設備システムにおいて、従来から一般的に知られているものでは、たとえば、制御盤という制御装置が熱処理設備に1対1の関係で設けられていた。この制御盤の中には、各ヒータ回路を制御する温度調節器、各種駆動系・安全装置などの制御を行なうPLC、実測温度や各種アナログ信号のデータをまとめたり、データロガーとして使用する記録計が設置されている。さらに、温度調節器やPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)、記録計を一元的に集中制御するためにパーソナルコンピュータ(以下「パソコン」という)や操作性、視認性に優れるパネルコンピュータ(以下「パネコン」という)が設けられている。各制御機器の基本的な制御システム構成および接続方法を図9(a)に示す。
図9(a)において、パソコン40はRS−232CケーブルおよびRS−442Aケーブル等の通信線と変換器41とを介して、温度調節器17a、17b、17c…、PLC42、記録計43等の各制御機器と接続され、パソコン40が親機で各制御機器が子機の関係にある。パネコンやパソコン等の親機は、シリアル通信により子機である各制御機器に対しさまざまな要求命令を送信し、制御データの読込、書込を行ない、制御指示を行なっている。
親機であるパソコン40を上位である上位群管理システム5により群管理する場合、親機であるパソコン40はツイストペアケーブル等のLAN(ローカルエリアネットワーク)用通信線を介して上位群管理システム5と接続されている。
また、RS−442Aケーブルを使用して複数の子機とパソコン40が通信可能であることにより、図9(b)に示すように、熱処理設備3台分の子機を1つの親機であるパソコン40により集中制御するものもあった。
特開平10−214120号公報
この従来の熱処理設備システムにおいては、図10に示すように、親機であるパソコン40が子機であるPLC42、温度調節器17、記録計43にアクセスし、各子機から制御データの読込、書込を行なっていた。多くの場合、親機であるパソコン40は自身のシリアルポートを利用してシリアル通信によって各子機に対し制御データの読み書きを行なっている。また、親機であるパソコン40は上位群管理システム5へデータを上位転送する必要がある。
一方、たとえば、バッチ式熱処理設備の運転に必要な制御は、多種多様な制御機器である子機にて成り立っている。またバッチ式熱処理設備の場合、各子機を同一時間軸で同期処理を行なう必要があり、パソコン40である親機により各子機を統括管理する必要がある。そこで親機であるパソコン40は、前述したように、各子機から制御データの読込、書込を行なうのであるが、親機であるパソコン40は、熱処理設備の制御項目の多さから子機の数が多く、制御用途により子機メーカ、通信方法が異なることから、各子機に対し一括して制御データ要求命令を出すことができず、通信周期にして十数秒の時間を要していた。
また、親機であるパソコン40の通信処理プログラムでは、一連の通信処理をある決められた順番でループ処理するのが一般的である。しかし、ある特定の子機は1秒程度の通信周期が必要であったり、また他の特定の子機は十数秒程度でも可能であったりと、熱処理設備の運転状況により通信周期を変化させる必要があった。このような場合、一般に割込処理を行なうことで対応されている。しかし、割込処理を追加しても、他の割込処理はその間待ち状態となり、優先順位の低い子機はさらに通信周期が遅くなるという不都合が生ずる。
さらに熱処理設備の群管理を行なう際、親機であるパソコン40は上位群管理システム5へデータを上位転送する必要があるために、それが原因でさらに通信周期が遅れてしまうという不都合が生ずる。
ここで、通信周期の例を挙げると、図9(a)に示したシステムの場合は、およそ15〜20秒/周期、図9(b)に示した例の場合にはおよそ45〜60秒/周期となる。
したがって、前述した従来の熱処理設備システムの場合には、親機であるパソコンがすべての子機と通信を行なう通信周期に十数秒も要してしまうことから、通信周期が1秒程度の親機による高速制御・監視ができないという問題があった。
本発明は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、各制御機器への通信周期を短縮し、高速制御を可能にした熱処理設備システムを提供することである。
請求項1に記載の本発明は、熱処理のための各種制御機能部を同一時間軸で同期処理する熱処理設備システムであって、
熱処理設備の制御データが記憶され、前記各種制御機能部がアクセス可能な共有メモリと、
前記各種制御機能部のそれぞれに設けられ、前記共有メモリと通信して制御に必要となるデータの読取りおよび書込みを行なうための通信手段と、
前記各種制御機能部のそれぞれに設けられ、前記通信手段により読取られた前記共有メモリのデータに従って制御動作内容を判断して制御動作を実行する制御動作実行手段とを備え、
前記各通信手段は、前記共有メモリに対し、独立して能動的にアクセスすることによりデータの送受信を行なう。
請求項1に記載の本発明によれば、各種制御機能部のそれぞれに設けられた通信手段が、共有メモリに対し独立して能動的にアクセスしてデータの送受信を行なってデータの読取および書込を行ない、その通信手段により読取られた共有メモリのデータに従って制御動作内容が判断されて制御動作が実行されるがために、通信負荷を各種制御機能部に分散することができ、通信周期を短縮して高速制御を行なうことが可能となる。
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、熱処理設備を集中管理する熱処理設備管理手段をさらに備え、
前記熱処理設備管理手段は、前記各種制御機能部を同一時間軸で同期処理するための制御同期信号データを前記共有メモリに送信して記憶させ、
前記各通信手段は、前記共有メモリに記憶されている前記制御同期信号データを読取り、
前記各制御動作実行手段は、前記通信手段により読取られた前記制御同期信号データに従って制御動作内容を判断して制御動作を実行する。
請求項2に記載の本発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、熱処理設備を集中管理する熱処理設備管理手段が、各種制御機能部を同一時間軸で同期処理するための制御同期信号データを共有メモリに送信して記憶させ、各通信手段は、その共有メモリに記憶されている制御同期信号データを読取り、その読取った制御同期信号データに従って制御動作内容が判断されて制御動作が実行されるために、通信周期を短縮しつつ熱処理設備管理手段が各種制御機能部を同一時間軸で同期処理することが可能となる。
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載の発明の構成に加えて、熱処理のためのプログラマブルロジックコントローラをさらに備え、
前記各種制御機能部の少なくとも1部と前記共有メモリとが前記プログラマブルロジックコントローラ内部に設けられ、該各種制御機能部の少なくとも1部における前記通信手段と前記共有メモリとが前記プログラマブルロジックコントローラの内部バスにより通信を行なう。
請求項3に記載の本発明によれば、請求項1または請求項2に記載の発明の効果に加えて、熱処理のためのプログラマブルロジックコントローラ内部に、各種制御機能部の少なくとも一部と前記共有メモリとが設けられ、各種制御機能部の少なくとも一部における通信手段と前記共有メモリとがプログラマブルロジックコントローラの内部バスにより通信を行なうために、内部バスを利用したより一層高速なデータの通信を行なうことが可能となる。
次に、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。以下の説明では、同一部品には同一符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
図1に、本発明の熱処理設備制御システムの構成を示す。PLC1内に、シーケンス制御を行なうためのPLC機能CPU部7、パソコン機能CPU部8、PLC入出力モジュール9、記録計機能部(A/D変換部)10、シリアル通信モジュール11、シリアル通信モジュール(またはLANモジュール)12、共有メモリ13が設けられている。パソコン機能CPU部8には、モニタ(またはタッチパネルモニタ)2が、接続されている。パソコン機能CPU部8とモニタとを接続する場合には、RGBケーブルで接続し、パソコン機能CPU部8とタッチパネルモニタとを接続する場合には、RS−232Cケーブルを用いる。
PLC入出力モジュール9には、各種駆動系3と安全装置4とが接続されている。PLC機能CPU部7がPLC入出力モジュール9を介して各種駆動系3を制御することにより、ガス・雰囲気制御が行なわれる。PLC機能CPU部7がPLC入出力モジュール9を介して安全装置4を制御することにより、駆動系や温度の制御を行なう際の各種機能CPU部が異常と判断した際のヒータ電源を落としたり、H2ガスのように危険なガスを使用する際にフェイルセーフ動作を行なったり、警報ブザー、ランプなどが駆動される。記録計機能部(A/D変換部)10により、各種アナログ信号を受信してアナログデータの計測が行なわれる。
また、PLC1は、温度調節機能部6と接続されている。具体的には、温度調節機能CPU部15と通信モジュール14を介してシリアル通信モジュール11が通信可能に構成されている。PLC1内部では、PLC機能CPU部7とパソコン機能CPU部8と記録計機能部(A/D変換部)10とがそれぞれPLC内部バスによりつながっている。ここでPLC1の内部レジスタには、外部機器を含むすべての機能部が共有して使える共有メモリを設けてある。外部機器の1つである温度調節機能部6は、PLC1の通信モジュール11へRS−232CやRS−442Aといったシリアル通信配線により接続されており、PLC通信モジュール11経由でPLC1の共有メモリとアクセスするようになっている。
ここで温度調節機能部6は、従来のように回路毎に独立した計器ではなく、それ自身で通信要求が可能な親機を持つ、多回路温度調節器を採用している。この多回路温度調節機能採用が困難な場合、図2に示すように、各温度調節器17a、17b、…17nを統括管理し、PLC1内部の共有メモリにアクセス可能な温度調節器統括パソコン機能CPU部16を設け、その温度調節器統括パソコン機能CPU部16とシリアル通信モジュール11との間でデータ通信可能に構成してもよい。
さらに、図7に示すように、温度調節機能CPU部15をPLC1に搭載してもよい。
通信の指向性は図8に示すように、共有メモリ13を中心に各機能CPU部8、10、7、15が自ら共有メモリ13へアクセスする。またマンマシンインターフェイスとしてモニタがパソコン機能CPU部8へRGB接続されている。モニタにタッチパネル機能を搭載する場合、タッチパネル機能は、RS−232Cシリアル通信によりパソコン機能CPU部8のマウスポートに接続される。
図3は、図1に示した本発明の構成に係る制御回路の機能ブロックを示す図である。PLC1には、前述したように、PLC機能CPU部7、パソコン機能CPU部8、記録計機能部(A/D変換部)10、シリアル通信モジュール11、シリアル通信モジュール(またはLANモジュール)12、共有メモリ13、PLC入出力モジュール9、PLC内部バス20が設けられている。
PLC入出力モジュール9には、前述した各種駆動系3、安全装置4が接続されており、PLC機能CPU部7のCPU22とPLC入出力モジュール9とが接続されている。このPLC機能CPU部7には、CPU22が実行する制御プログラムや制御データを記憶しているROM21、CPU22のワークエリアとして機能するRAM23が設けられている。
パソコン機能CPU部8には、CPU25と、そのCPU25により実行される制御プログラムや制御データを記憶しているROM24と、CPU25のワークエリアとして機能するRAM26と、外部機器との信号の整合性をとるための入出力インターフェイス27とが設けられている。この入出力インターフェイス27にモニタ(またはタッチパネルモニタ)2が接続されている。
シリアル通信モジュール11には、温度調節機能CPU部15の通信モジュール14が接続されており、この通信モジュール14に温度調節機能CPU部15のCPU30が接続されている。また、温度調節機能CPU部15には、CPU30により実行される制御用プログラムや制御データを記憶しているROM28と、CPU30のワークエリアとして機能するRAM29とが設けられている。
シリアル通信モジュール(またはLANモジュール)12には、上位群管理システム5が接続されている。
PLC内部バス20に、CPU22、CPU25、記録計機能部(A/D変換部)10、シリアル通信モジュール11、シリアル通信モジュール(またはLANモジュール)12、共有メモリ13が接続されており、各種データの送受信ができるように構成されている。
共有メモリ13は、PLC機能CPU部用アドレス、記録計機能部用アドレス、温度調節機能CPU部用アドレスに分かれている。
PLC機能CPU部用アドレスは、PLC機能CPU部7がアクセスする記憶エリアの番地であり、PLC機能CPU部用測定データ、PLC機能CPU部用設定データ、PLC機能CPU部用フラグデータの各データを記憶する記憶エリアを有している。また記録計機能部用アドレスは、記録計機能部(A/D変換部)10がアクセスする記憶エリアの番地であり、記録計機能部用測定データ、記録計機能部用設定データ、記録計機能部用フラグデータの各データを記憶するエリアを有する。
温度調節機能CPU部用アドレスは、温度調節機能CPU部15が、通信モジュール14、シリアル通信モジュール11、PLC内部バス20を介してアクセスする記憶エリアの番地であり、温度調節用測定データ、温度調節用設定データ、温度調節用フラグデータの各データを記憶するエリアを有する。
共有メモリ13に記憶されている「測定データ」は、各種機能部が各周辺機器の状態を測定した結果を示すデータであり、各機能部が共有メモリ13にアクセスして書込む。「設定データ」は、パソコン機能CPU部8が各種機能部を制御指令するためのコマンドデータであり、パソコン機能CPU部8が共有メモリ13にアクセスして書込むデータである。
「フラグデータ」は、上位群管理システム5またはパソコン機能CPU部8が、各種機能部を同一時間軸で同期制御するための制御状態を示すデータであり、上位群管理システム5またはパソコン機能CPU部8が共有メモリ13にアクセスして書込むデータである。
パソコン機能CPU部8または上位群管理システム5は、共有メモリ13に記憶されている測定データを読取り、現在の熱処理設備の稼動状況を把握した上で、パソコン機能CPU部8または上位群管理システム5が、各種機能部を同期制御するためのフラグデータを共有メモリ13に書込み、パソコン機能CPU部8が、各種機能部を制御するための設定データを共有メモリ13に書込む。
PLC機能CPU部7は、PLC機能CPU部用アドレスに書込まれているPLC機能CPU部用設定データを読取り、その設定データに従って制御動作するとともに、PLC機能CPU部用フラグデータを読取り、そのフラグデータに従って他の各種機能部と同期をとるためのタイミング制御を行なう。記録計機能部(A/D変換部)10も、同様に、記録計機能部用アドレスにアクセスして、記録計機能部用設定データと記録計機能部用フラグデータとを読出し、設定データに従って制御動作を行なうとともにフラグデータに従って他の各種機能部との同期をとるためのタイミング制御を行なう。また、温度調節機能CPU部15も、温度調節機能CPU部用アドレスにアクセスして、温度調節用設定データと温度調節用フラグデータとを読出し、その温度調節用設定データに従って温度調節用の制御動作を行なうとともに、温度調節用フラグデータに従って他の各種機能部との同期をとるためのタイミング制御を行なう。
図4は、パソコン機能CPU部8の制御処理を示すフローチャートである。まずステップS(以下単にSという)1により、共有メモリ13との通信タイミングになったか否かの判断がなされる。パソコン機能CPU部8は、予め定められた一定周期で共有メモリ13にアクセスし、必要なデータの読込および書込を行なうようにプログラムされており、その一定周期に基づいた共有メモリ13との通信タイミングになったか否かが、このS1により判断される。未だ通信タイミングになっていない場合には、S2へ進み、前回の通信タイミング時に共有メモリ13にアクセスして共有メモリ13から読取ったデータに従って情報を分析する処理が行なわれる。パソコン機能CPU部8は、前述したように、共有メモリ13に記憶されている、PLC機能CPU部用測定データ、記録計機能部用測定データ、温度調節用測定データを読取り、それらデータに基づいて熱処理設備の状況を分析する。
次にS3へ進み、共有メモリ13から読取ったデータに従ってモニタ表示を行なう。次にS4へ進み、各機能部への制御指令の必要が生じた否かの判断がなされ、生じていない場合にはS1へ戻るが、生じた場合にはS5へ進み、各機能部への制御指令のデータをRAM26に記憶する処理がなされてS1へ戻る。
共有メモリとの通信タイミングになった場合にはS1によりYESの判断がなされてS6へ進み、共有メモリ13にアクセスする処理がなされる。次にS7へ進み、前述したように各種測定データ、各種設定データを読取ってRAM26に記憶する処理がなされる。次にS8へ進み、各機能部への制御指令用のデータがRAM26に記憶されているか否かの判断がなされ、記憶されていない場合にはS1へ戻るが、記憶されている場合にはS9へ進み、共有メモリ13の該当するアドレスに制御指令用のデータ(各種設定データ)を書込む処理を行なった後、S1へ戻る。
図5は、PLC機能CPU部7、記録計機能部(A/D変換部)10、温度調節機能CPU部15の各機能部における制御処理のフローチャートを示す図である。S15により、共有メモリ13との通信タイミングになったか否かの判断がなされる。各機能部は、それぞれ予め定められた通信周期で共有メモリ13にアクセスして共有メモリとの通信を行なうのであり、その予め定められた通信周期に基づいた通信タイミングになったか否かの判断が、このS15により行なわれる。未だ通信タイミングになっていない場合にはS16へ進み、各機能CPU部に接続されている周辺機器と通信を行ない、S17により、共有メモリ13から前回読取ったデータに従って周辺機器を制御する処理がなされる。この共有メモリから読取ったデータとは、前述したように、PLC機能CPU部7の場合には、PLC機能CPU部用設定データとPLC機能CPU部用フラグデータであり、記録計機能部(A/D変換部)10の場合には、記録計機能部用設定データと記録計機能部用フラグデータであり、温度調節機能CPU部15の場合には温度調節用設定データと温度調節用フラグデータである。
次にS18へ進み、共有メモリ13の記憶データを更新する必要が生じたか否かの判断がなされ、生じていない場合にはS15へ戻るが、生じた場合にはS19へ進み、その更新データをRAM等に記憶する処理がなされた後にS15へ戻る。
共有メモリとの通信タイミングになった場合にはS15によりYESの判断がなされてS20へ進み、共有メモリ13にアクセスする処理がなされる。次にS21へ進み、共有メモリ13に記憶されている必要なデータ(設定データとフラグデータ)を読取りRAMに記憶する処理がなされる。次にS22へ進み、記憶データがあるか否かの判断がなされ、ない場合にはS15へ戻るが、S19により更新データがRAM等に記憶されている場合には、制御がS23へ進み、共有メモリ13の該当する記憶データをS19により記憶されたデータに更新する処理を行なった後にS15へ戻る。
図6は、上位群管理システム5の制御処理を示すフローチャートである。S25により、共有メモリ13との通信タイミングになったか否かの判断がなされる。上位群管理システム5は、予め定められた所定周期で共有メモリ13にアクセスしてデータ通信を行なうのであり、その所定周期に基づいた通信タイミングになったか否かの判断がこのS25により行なわれる。未だ通信タイミングになっていない場合にはS26へ進み、I番目の共有メモリ13から読取ったデータに従ってI番目の熱処理設備の稼動状況を分析する処理が行なわれる。上位群管理システム5は、複数の熱処理設備を統括管理するものであるために、それら複数の熱処理設備に設けられている共有メモリ13に順次アクセスしてデータ通信を行なう。したがって、「I」が「1」の場合には、1番目の熱処理設備の共有メモリ13にアクセスしてデータを読取り、読取ったデータに従って1番目の熱処理設備の稼動状況を分析する。
次にS27へ進み、制御同期信号データを生成して内部記憶する処理がなされる。次にS28へ進み、Iが全共有メモリの数すなわち全熱処理設備の数に達したか否かの判断がなされ、達していない場合にはS29に進み、Iを「1」加算更新した後再度S26、S27、S28のステップが実行される。これを繰返し実行して、すべての熱処理設備の共有メモリ13にアクセスして必要なデータを読取った場合には、Iの値が全共有メモリの数に達するために、S28によりYESの判断がなされてS30へ進み、Iを「1」に更新する。次にS30へ進み、群全体の状況をモニタ表示する処理がなされる。次にS32により、異常があったか否かの判断がなされ、異常がない場合にはS25へ戻るが、異常があった場合にはS33へ進み、異常報知を行なった後にS25へ戻る。
共有メモリ13との通信タイミングになった場合にはS25によりYESの判断がなされてS34へ進み、I番目の共有メモリにアクセスし、必要なデータを読取り内部記憶する処理が行なわれる。この必要なデータとは、各種測定データである。次にS36へ進み、S27により生成された制御同期信号を共有メモリ13へ送信してフラグデータとして書込む処理が行なわれる。この制御同期信号とは、各熱処理設備における各機能部を同期をとりながら制御するための信号である。
次にS37へ進み、Iが全共有メモリの数に達しているか否かの判断がなされ、達していない場合にはS38へ進み、Iを「1」加算更新した後S34へ戻り、S34〜S38の処理を繰返し実行する。そしてすべての共有メモリ13にアクセスして必要なデータの読取を行なった段階で、Iが全共有メモリの数に達するために、S37によりYESの判断がなされてS39へ進み、Iを「1」に更新した後S25へ戻る。
以上説明したように、本発明では、図8に示すように、パソコン機能CPU部8、記録計機能部(A/D変換部)10、PLC機能CPU部7、温度調節機能CPU部15、上位群管理システム5が、各々必要となる通信周期に従った通信タイミングで共有メモリ13に自らアクセスし、必要なデータの読取および書込を行ない、読取ったデータに基づいて各機能部自ら動作内容を判断して制御動作を行なうように構成されている。その結果、各機能部の共有メモリ13への通信周期を短縮することができ、高速制御処理を達成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれる。
本発明に係る熱処理制御システムの構成を示す機能ブロック図である。 本発明の熱処理設備システムの他の例を示す機能ブロック図である。 図1に示した熱処理設備システムの制御回路を示すブロック図である。 パソコン機能CPU部の制御処理を示すフローチャートである。 各機能部の制御処理を示すフローチャートである。 上位群管理システムの制御処理を示すフローチャートである。 本発明に係る熱処理設備システムのさらなる他の例を示す機能ブロック図である。 データアクセスの指向性を示す説明図である。 (a)は従来の熱処理設備制御システムの構成を示す図であり、(b)は従来における他の例の熱処理設備システムの構成を示す図である。 従来のデータアクセスの指向性を説明する説明図である。
符号の説明
1 PLC、7 PLC機能CPU部、8 パソコン機能CPU部、9 PLC入出力モジュール、10 記録計機能部(A/D変換部)、11 シリアル通信モジュール、12 シリアル通信モジュール(またはLANモジュール)、13 共有メモリ、15 温度調節機能CPU部、14 通信モジュール、5 上位群管理システム、2 モニタ(またはタッチパネルモニタ)、16 温度調節器統括パソコン機能CPU部、17a,17b,17n 温度調節器、20 PLC内部バス。

Claims (3)

  1. 熱処理のための各種制御機能部を同一時間軸で同期処理する熱処理設備システムであって、
    熱処理設備の制御データが記憶され、前記各種制御機能部がアクセス可能な共有メモリと、
    前記各種制御機能部のそれぞれに設けられ、前記共有メモリと通信して制御に必要となるデータの読取りおよび書込みを行なうための通信手段と、
    前記各種制御機能部のそれぞれに設けられ、前記通信手段により読取られた前記共有メモリのデータに従って制御動作内容を判断して制御動作を実行する制御動作実行手段とを備え、
    前記各通信手段は、前記共有メモリに対し、独立して能動的にアクセスすることによりデータの送受信を行なう、熱処理設備システム。
  2. 熱処理設備を集中管理する熱処理設備管理手段をさらに備え、
    前記熱処理設備管理手段は、前記各種制御機能部を同一時間軸で同期処理するための制御同期信号データを前記共有メモリに送信して記憶させ、
    前記各通信手段は、前記共有メモリに記憶されている前記制御同期信号データを読取り、
    前記各制御動作実行手段は、前記通信手段により読取られた前記制御同期信号データに従って制御動作内容を判断して制御動作を実行する、請求項1に記載の熱処理設備システム。
  3. 熱処理のためのプログラマブルロジックコントローラをさらに備え、
    前記各種制御機能部の少なくとも1部と前記共有メモリとが前記プログラマブルロジックコントローラ内部に設けられ、該各種制御機能部の少なくとも1部における前記通信手段と前記共有メモリとが前記プログラマブルロジックコントローラの内部バスにより通信を行なう、請求項1または請求項2に記載の熱処理設備システム。
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