JP2006266744A - バイオセンサー - Google Patents
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Abstract
【課題】 生理活性物質を保持しない表面(参照部)に対する非特異吸着を抑制したバイオセンサーを提供すること。
【解決手段】 疎水性高分子化合物でコーティングされた同一面内に少なくとも2種類以上の表面を有する基板から成るバイオセンサーにおいて、該表面の少なくとも1種が生理活性物質を保持しない表面であり、該生理活性物質を保持しない表面が、疎水性高分子化合物でコーティングされた表面に親水性化合物を結合して得られる表面である、上記のバイオセンサー。
【選択図】 なし
【解決手段】 疎水性高分子化合物でコーティングされた同一面内に少なくとも2種類以上の表面を有する基板から成るバイオセンサーにおいて、該表面の少なくとも1種が生理活性物質を保持しない表面であり、該生理活性物質を保持しない表面が、疎水性高分子化合物でコーティングされた表面に親水性化合物を結合して得られる表面である、上記のバイオセンサー。
【選択図】 なし
Description
本発明は、バイオセンサー及びそれを用いた生体分子間の相互作用を分析する方法に関する。特に本発明は、表面プラズモン共鳴バイオセンサーに用いるためのバイオセンサー及びそれを用いた生体分子間の相互作用を分析する方法に関する。
現在、臨床検査等で免疫反応など分子間相互作用を利用した測定が数多く行われているが、従来法では煩雑な操作や標識物質を必要とするため、標識物質を必要とすることなく、測定物質の結合量変化を高感度に検出することのできるいくつかの技術が使用されている。例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)測定技術、水晶発振子マイクロバランス(QCM)測定技術、金のコロイド粒子から超微粒子までの機能化表面を使用した測定技術である。SPR測定技術はチップの金属膜に接する有機機能膜近傍の屈折率変化を反射光波長のピークシフト又は一定波長における反射光量の変化を測定して求めることにより、表面近傍に起こる吸着及び脱着を検知する方法である。QCM測定技術は水晶発振子の金電極(デバイス)上の物質の吸脱着による発振子の振動数変化から、ngレベルで吸脱着質量を検出できる技術である。また、金の超微粒子(nmレベル)表面を機能化させて、その上に生理活性物質を固定して、生理活性物質間の特異認識反応を行わせることによって、金微粒子の沈降、配列から生体関連物質の検出ができる。
上記した技術においては、いずれの場合も、生理活性物質を固定化する表面が重要である。以下、当技術分野で最も使われている表面プラズモン共鳴(SPR)を例として、説明する。
一般に使用される測定チップは、透明基板(例えば、ガラス)、蒸着された金属膜、及びその上に生理活性物質を固定化できる官能基を有する薄膜からなり、その官能基を介し、金属表面に生理活性物質を固定化する。該生理活性物質と検体物質間の特異的な結合反応を測定することによって、生体分子間の相互作用を分析する。
生理活性物質を固定化できる官能基を有する薄膜としては、金属と結合する官能基、鎖長の原子数が10以上のリンカー、及び生理活性物質と結合できる官能基を有する化合物を用いて、生理活性物質を固定化した測定チップが報告されている(特許文献1を参照)。また、金属膜と、該金属膜の上に形成されたプラズマ重合膜からなる測定チップが報告されている(特許文献2を参照)。
一方、上記のようなバイオセンサーにおいて、生理活性物質と検体物質間の特異的な結合反応を測定するための測定部と、このような結合反応を行わない参照部とは、同一平面に存在し、かつ、できるだけ近接していることが、測定上の外乱(温度変化、濃度変化、圧力変化)の影響を除去してベースライン変動を少なくする上で好ましい。そのためには、ポリマー薄膜を用いたSPRセンサー表面に参照部と測定部を共存させる必要が出てきた。
例えば、特許文献3には、生体分子もしくは生物分子集合体を表面に固定化するためのバイオチップであり、該生体分子もしくは生物分子集合体を固定化する部分(固定化部位)には固定化させるための起点となる物質もしくは官能基を有する物質が固定化され、かつ固定化部位以外のバックグラウンド部には、親水性化合物が固定化されていることを特徴とするバイオチップが記載されている。しかしながら、特許文献3のバイオチップでは、クルードな試料(例えば細胞抽出液)を検体として流した場合には非特異吸着が発生し、特異的な結合信号を捉えることができないという問題があった。
本発明は上記した問題点を解消することを解決すべき課題とした。即ち、本発明は、生理活性物質を保持しない表面(参照部)に対する非特異吸着を抑制したバイオセンサーを提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、同一面内に少なくとも2種類以上の表面を有する基板から成るバイオセンサーにおいて、疎水性高分子化合物でコーティングされた表面に親水性化合物を結合することによって生理活性物質を保持しない表面を形成することにより、生理活性物質を保持しない表面(参照部)に対する非特異吸着を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、疎水性高分子化合物でコーティングされた同一面内に少なくとも2種類以上の表面を有する基板から成るバイオセンサーにおいて、該表面の少なくとも1種が生理活性物質を保持しない表面であり、該生理活性物質を保持しない表面が、疎水性高分子化合物でコーティングされた表面に親水性化合物を結合して得られる表面である、上記のバイオセンサーが提供される。
好ましくは、親水性化合物は、ゼラチン、アルギン酸、キトサン、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール又はその誘導体、カラギーナン、アガロース、ポリアクリル酸、又はポリアクリルアミドから選ばれる。
好ましくは、基板は、金属表面又は金属膜から成る基板である。
好ましくは、金属表面あるいは金属膜は、金、銀、銅、白金、及びアルミニウムからなる群より選ばれる自由電子金属からなるものである。
好ましくは、疎水性高分子化合物のコーティング厚さは0.1nm以上500nm以下である。
好ましくは、金属表面あるいは金属膜は、金、銀、銅、白金、及びアルミニウムからなる群より選ばれる自由電子金属からなるものである。
好ましくは、疎水性高分子化合物のコーティング厚さは0.1nm以上500nm以下である。
好ましくは、本発明のバイオセンサーは、非電気化学的検出に使用され、さらに好ましくは、表面プラズモン共鳴分析に使用される。
本発明の別の側面によれば、上記した本発明のバイオセンサーと生理活性物質とを接触させて、該バイオセンサーの表面に該生理活性物質を結合させた表面と該生理活性物質を結合させない表面を作成する工程を含む、バイオセンサー表面に生理活性物質を固定化する方法が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、上記した本発明のバイオセンサーと被験物質とを接触させる工程を含む、該生理活性物質と相互作用する物質を検出または測定する方法が提供される。
好ましくは、生理活性物質と相互作用する物質を非電気化学的方法により検出または測定し、さらに好ましくは生理活性物質と相互作用する物質を表面プラズモン共鳴分析により検出または測定する。
好ましくは、生理活性物質と相互作用する物質を非電気化学的方法により検出または測定し、さらに好ましくは生理活性物質と相互作用する物質を表面プラズモン共鳴分析により検出または測定する。
本発明のバイオセンサーによれば、生理活性物質を保持しない表面に、疎水性高分子化合物を介して親水性化合物が結合していることにより 検体の特異的な結合信号を捉えることができる。即ち、蛋白質固定部は、金属の表面に疎水性高分子化合物がコートされ、その上に蛋白質が結合しているため、金属が露出されず、クルードな試料を検体として流したときでも、非特異吸着が起こらない。また、蛋白質非固定部は、金属の表面に疎水性高分子化合物がコートされ、その上に親水性化合物が結合しているため、金属が露出されず、親水性化合物が高密度に導入でき、それにより、クルードな試料を検体として流したときでも、非特異吸着が起こらない。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明のバイオセンサーは、生体分子固定部(測定部)と非固定部(参照部)とを有するバイオセンサーであって、生理活性物質を保持しない表面が、疎水性高分子化合物でコーティングされた表面に親水性化合物を結合して得られる表面であることを特徴とする。
本発明のバイオセンサーは、生体分子固定部(測定部)と非固定部(参照部)とを有するバイオセンサーであって、生理活性物質を保持しない表面が、疎水性高分子化合物でコーティングされた表面に親水性化合物を結合して得られる表面であることを特徴とする。
本発明で用いることができる親水性化合物としては、ゼラチン、アルギン酸、キトサン、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール又はその誘導体、カラギーナン、アガロース、ポリアクリル酸、又はポリアクリルアミドなどが挙げられ、これらは生体適合性多孔質マトリックス、例えばヒドロゲルと称されるものでもよい。親水性化合物の厚さは、数nm〜数百nmであり、好ましくは10〜500nmである。本発明で用いることができる親水性化合物としては、Merrill等(1986年)、Hydrogels in Medicine and Pharmacy,III巻、Peppas NA編集、1章、CRCにより定義されているヒドロゲルなどを挙げることができる。親水性化合物としては、ポリエチレングリコールを使用することが特に好ましい。
上記したような親水性化合物は、本明細書中以下に説明するような疎水性高分子を介して基板に固定される。さらに、上記した親水性化合物は架橋することもできる。親水性化合物の架橋は当業者に自明である。
本発明では、親水性化合物の平均分子量は特に限定されないが、一般的には100以上100万未満であり、好ましくは200以上10万以下であり、さらに好ましくは500以上1万以下である。また、平均分子量が異なる2種類以上の親水性化合物を使用してもよい。この場合、生理活性物質を保持しない表面には、好ましくは平均分子量が互いに少なくとも500以上(さらに好ましくは1000以上)異なる少なくとも2種以上の親水性化合物を結合させることができる。
本発明において、生理活性物質を保持しない表面とは、生理活性物質を保持するための表面に対して行われる生理活性物質を固定するための処理(例えば、カルボン酸の活性化剤であるEDCとNHSの混合物で処理した後、生理活性物質で処理する)を実施した場合における当該生理活性物質の保持量が、生理活性物質を保持するための表面の保持量の1/10未満であるような表面のことを言う。
生理活性物質を保持するための表面は、好ましくは、生理活性物質を結合するための官能基を有する表面であり、生理活性物質を保持しない表面は、好ましくは、生理活性物質を結合するための官能基を有さない表面である。
生理活性物質を結合するための官能基の具体例としては−COOH、−NR1R2(式中、R1及びR2は互いに独立に水素原子又は低級アルキル基を示す)、−OH、−SH、−CHO、−NR3NR1R2(式中、R1、R2及びR3は互いに独立に水素原子又は低級アルキル基を示す)、−NCO、−NCS、エポキシ基、またはビニル基などが挙げられる。ここで、低級アルキル基における炭素数は特に限定されないが、一般的にはC1〜C10程度であり、好ましくはC1〜C6である。
生理活性物質を結合するための官能基は、好ましくは、カルボキシル基、アミノ基又は水酸基である。
本発明における生理活性物質を結合するための官能基は、生理活性物質の固定化方法に依存して選択される。即ち、同じ官能基(例えば、水酸基など)であっても、生理活性物質の固定化方法に依存して「生理活性物質を結合するための官能基」に該当する場合もあるし、該当しない場合もある。
例えば、生理活性物質を結合するための官能基がカルボキシル基である場合、よく用いられる方法として、カルボジイミドとN-ヒドロキシスクシンイミドなどの組み合わせを用いて活性エステルを生成し、生理活性物質のアミノ基と共有結合を生成することができる。この場合、生理活性物質を結合するための官能基を有さない表面には、生理活性物質を結合できない官能基として、水酸基、アミノ基、又はポリエーテル類などを導入しておく。
また、生理活性物質を結合するための官能基がアミノ基である場合、よく用いられる方法としては、グルタルアルデヒドを作用させた後に、生理活性物質のアミノ基と共有結合を生成する方法、生理活性物質を過ヨウ素酸塩で酸化してアミノ基と直接共有結合させる方法がある。この場合、生理活性物質を結合するための官能基を有さない表面には、生理活性物質を結合できない官能基として、水酸基、カルボキシル基、ポリエーテル類などを導入しておくことができる。
また、生理活性物質を結合するための官能基が水酸基である場合、よく用いられる方法としては、ポリエポキシ化合物やエピクロロヒドリンを作用させた後に、生理活性物質のアミノ基と共有結合を生成する方法がある。なお、化学的には、ハロゲン化アルキルを用いた直接的なエーテル結合形成反応などもあるが、生理活性物質に適用する場合、生理活性を維持することが困難となる場合がある。この場合、生理活性物質を結合するための官能基を有さない表面には、生理活性物質を結合できない官能基として、反応活性のある水素(具体的には、水酸基、アミノ基又はカルボキシル基などの水素)を有さない水溶性基(例えばポリエチレングリコールなどのポリエーテル)などを導入しておくことができる。
基板上の同一面上に生理活性物質を保持するための表面と生理活性物質を保持しない表面とを形成する場合、検出領域に固体(例えばスタンプ)が接触しないことが好ましい。具体的には、シリンジの先に液滴を作製し液滴のみを接触させる、ノズルから液滴を噴射する、流路を作製し反応液を流す、隔壁を設けて液を満たす等が挙げられるが、隔壁を使用することが好ましい。
本発明のバイオセンサーに固定化した生理活性物質と被験物質との相互作用の測定の際には、バイオセンサーにおける生理活性物質を保持するための表面は測定部として使用され、生理活性物質を保持しない表面は参照部として使用される。なお、測定部としては、結合する生理活性物質として異なる物質を使用することにより、複数の測定部を設けることもできる。
本発明では、基板上に疎水性高分子をコートしてから、その上に、親水性化合物をコーティングする。以下、疎水性高分子化合物について説明する。
本発明で用いることができる疎水性高分子化合物は、吸水性を有しない高分子化合物であり、水への溶解度(25℃)が10%以下、より好ましくは1%以下、最も好ましくは0.1%以下である。
疎水性高分子化合物を形成する疎水性単量体としては、ビニルエステル類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、オレフィン類、スチレン類、クロトン酸エステル類、イタコン酸ジエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、アリル化合物類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類等から任意に選ぶことができる。疎水性高分子化合物としては、1種類のモノマーから成るホモポリマーでも、2種類以上のモノマーから成るコポリマーでもよい。
本発明で好ましく用いられる疎水性高分子化合物としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルクロライド、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ナイロンなどが挙げられる。
疎水性高分子化合物の基板へのコーティングは常法によって行うことができ、例えば、スピン塗布、エアナイフ塗布、バー塗布、ブレード塗布、スライド塗布、カーテン塗布、さらにはスプレー法、蒸着法、キャスト法、浸漬法等によって行うことができる。
浸漬法は、基板を疎水性高分子化合物溶液に接触させた後に、前記疎水性高分子化合物溶液を含まない液に接触させる方法でコーティングを行う。好ましくは、疎水性高分子化合物溶液の溶剤と疎水性高分子化合物を含まない液の溶剤とは、同一の溶剤である。
浸漬法では、疎水性高分子化合物のコーティング用溶剤を適切に選択することで、基板の凹凸、曲率、形状などに依らず基板表面に均一なコーティング厚みの疎水性高分子化合物層が得られる。
浸漬法のコーティング用溶剤は特に限定されず、疎水性高分子化合物の一部を溶解すれものであれば任意の溶剤を用いることができる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド等のホルムアミド系溶剤、アセトニトリル等のニトリル系溶剤、フェノキシエタノール等のアルコール系溶剤、2−ブタノン等のケトン系溶剤、トルエン等のベンゼン系溶剤などを使用することができるが、これらに限定されない。
基板に接触させる疎水性高分子化合物の溶液は、疎水性高分子化合物が完全に溶解しても、疎水性高分子化合物の不溶解成分を含む懸濁液でもよい。液温は、疎水性高分子化合物の一部が溶解する液体状態であれば特に制限はないが、−20℃以上100℃以下が好ましい。基板を疎水性高分子化合物の溶液に接触させている間に液温を変動させても良い。溶液の疎水性高分子化合物濃度に特に制限はないが、好ましくは0.01%以上30%以下、さらに好ましくは0.1%以上10%以下である。
固体基板を疎水性高分子化合物溶液に接触させる時間は特に制限されないが、好ましくは1秒以上24時間以下、さらに好ましくは3秒以上1時間以下である。
疎水性高分子化合物を含まない液としては、溶剤自身のSP値(単位:(J/cm3)1/2)と疎水性高分子化合物のSP値との差が、1以上20以下であることが好ましく、3以上15以下であることがさらに好ましい。SP値は、分子間の凝集エネルギー密度の平方根で表され、溶解度パラメーターとも呼ばれる。本発明では、SP値δは下記式で算出した。各官能基の凝集エネルギーEcohとモル容積Vは、Fedorsが規定した値を使用した(R.F.Fedors、Polym.Eng.Sci.、14(2)、P147、P472(1974))。
δ=(ΣEcoh/ΣV)1/2
例として、疎水性高分子化合物および溶剤のSP値を挙げると、ポリメチルメタクリレート-ポリスチレンコポリマー(1:1):21.0に対する溶剤2−フェノキシエタノール:25.3、ポリメチルメタクリレート:20.3に対する溶剤アセトニトリル:22.9、ポリスチレン:21.6に対する溶剤トルエン:18.7である。
δ=(ΣEcoh/ΣV)1/2
例として、疎水性高分子化合物および溶剤のSP値を挙げると、ポリメチルメタクリレート-ポリスチレンコポリマー(1:1):21.0に対する溶剤2−フェノキシエタノール:25.3、ポリメチルメタクリレート:20.3に対する溶剤アセトニトリル:22.9、ポリスチレン:21.6に対する溶剤トルエン:18.7である。
基板を、疎水性高分子化合物を含まない液に接触させる時間は特に制限されないが、好ましくは1秒以上24時間以下、さらに好ましくは3秒以上1時間以下である。液温は、溶剤が液体状態であれば特に制限はないが、−20℃以上100℃以下が好ましい。基板を溶剤に接触させている間に液温を変動させてもよい。揮発させにくい溶剤を使用する場合、溶剤を除去する目的で、該溶媒に接触させた後、互いに溶解する揮発性溶剤で置換してもよい。
疎水性高分子化合物のコーティング厚さは特に限定されないが、好ましくは0.1nm以上500nm以下であり、特に好ましくは1nm以上300nm以下である。
本発明で言うバイオセンサーとは最も広義に解釈され、生体分子間の相互作用を電気的信号等の信号に変換して、対象となる物質を測定・検出するセンサーを意味する。通常のバイオセンサーは、検出対象とする化学物質を認識するレセプター部位と、そこに発生する物理的変化又は化学的変化を電気信号に変換するトランスデューサー部位とから構成される。生体内には、互いに親和性のある物質として、酵素/基質、酵素/補酵素、抗原/抗体、ホルモン/レセプターなどがある。バイオセンサーでは、これら互いに親和性のある物質の一方を基板に固定化して分子認識物質として用いることによって、対応させるもう一方の物質を選択的に計測するという原理を利用している。
本発明のバイオセンサーは、金属表面又は金属膜を親水性化合物でコーティングしたものである。金属表面あるいは金属膜を構成する金属としては、例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、表面プラズモン共鳴が生じ得るようなものであれば特に限定されない。好ましくは金、銀、銅、アルミニウム、白金等の自由電子金属が挙げられ、特に金が好ましい。それらの金属は単独又は組み合わせて使用することができる。また、上記基板への付着性を考慮して、基板と金属からなる層との間にクロム等からなる介在層を設けてもよい。
金属膜の膜厚は任意であるが、例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、0.1nm以上500nm以下であるのが好ましく、0.5nm以上500nm以下がさらに好ましく、特に1nm以上200nm以下であるのが好ましい。500nmを超えると、媒質の表面プラズモン現象を十分検出することができない。また、クロム等からなる介在層を設ける場合、その介在層の厚さは、0.1nm以上10nm以下であるのが好ましい。
金属膜の形成は常法によって行えばよく、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、電気めっき法、無電解めっき法等によって行うことができる。
金属膜は好ましくは基板上に配置されている。ここで、「基板上に配置される」とは、金属膜が基板上に直接接触するように配置されている場合のほか、金属膜が基板に直接接触することなく、他の層を介して配置されている場合をも含む意味である。本発明で使用することができる基板としては例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、一般的にはBK7等の光学ガラス、あるいは合成樹脂、具体的にはポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマーなどのレーザー光に対して透明な材料からなるものが使用できる。このような基板は、好ましくは、偏光に対して異方性を示さずかつ加工性の優れた材料が望ましい。
本発明のバイオセンサーにおいては、基板の最表面に生理活性物質を固定化することができる官能基を有することが好ましい。ここで言う「基板の最表面」とは、「基板から最も遠い側」という意味であり、さらに具体的には、「基板上にコーティングした親水性化合物中の基板から最も遠い側」という意味である。
最表面にそれらの官能基を導入する方法としては、それらの官能基の前駆体を含有する親水性化合物を金属表面あるいは金属膜上にコーティングした後、化学処理により最表面に位置する前駆体からそれらの官能基を生成させる方法などが挙げられる。
上記のようにして得られたバイオセンサー用表面において、上記の官能基を介して生理活性物質を共有結合させることによって、金属表面又は金属膜に生理活性物質を固定化することができる。
本発明のバイオセンサー用表面上に固定される生理活性物質としては、測定対象物と相互作用するものであれば特に限定されず、例えば免疫蛋白質、酵素、微生物、核酸、低分子有機化合物、非免疫蛋白質、免疫グロブリン結合性蛋白質、糖結合性蛋白質、糖を認識する糖鎖、脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいはリガンド結合能を有するポリペプチドもしくはオリゴペプチドなどが挙げられる。
免疫蛋白質としては、測定対象物を抗原とする抗体やハプテンなどを例示することができる。抗体としては、種々の免疫グロブリン、即ちIgG、IgM、IgA、IgE、IgDを使用することができる。具体的には、測定対象物がヒト血清アルブミンであれば、抗体として抗ヒト血清アルブミン抗体を使用することができる。また、農薬、殺虫剤、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、抗生物質、麻薬、コカイン、ヘロイン、クラック等を抗原とする場合には、例えば抗アトラジン抗体、抗カナマイシン抗体、抗メタンフェタミン抗体、あるいは病原性大腸菌の中でO抗原26、86、55、111 、157 などに対する抗体等を使用することができる。
酵素としては、測定対象物又は測定対象物から代謝される物質に対して活性を示すものであれば、特に限定されることなく、種々の酵素、例えば酸化還元酵素、加水分解酵素、異性化酵素、脱離酵素、合成酵素等を使用することができる。具体的には、測定対象物がグルコースであれば、グルコースオキシダーゼを、測定対象物がコレステロールであれば、コレステロールオキシダーゼを使用することができる。また、農薬、殺虫剤、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、抗生物質、麻薬、コカイン、ヘロイン、クラック等を測定対象物とする場合には、それらから代謝される物質と特異的反応を示す、例えばアセチルコリンエステラーゼ、カテコールアミンエステラーゼ、ノルアドレナリンエステラーゼ、ドーパミンエステラーゼ等の酵素を使用することができる。
微生物としては、特に限定されることなく、大腸菌をはじめとする種々の微生物を使用することができる。
核酸としては、測定の対象とする核酸と相補的にハイブリダイズするものを使用することができる。核酸は、DNA(cDNAを含む)、RNAのいずれも使用できる。DNAの種類は特に限定されず、天然由来のDNA、遺伝子組換え技術により調製した組換えDNA、又は化学合成DNAの何れでもよい。
低分子有機化合物としては通常の有機化学合成の方法で合成することができる任意の化合物が挙げられる。
核酸としては、測定の対象とする核酸と相補的にハイブリダイズするものを使用することができる。核酸は、DNA(cDNAを含む)、RNAのいずれも使用できる。DNAの種類は特に限定されず、天然由来のDNA、遺伝子組換え技術により調製した組換えDNA、又は化学合成DNAの何れでもよい。
低分子有機化合物としては通常の有機化学合成の方法で合成することができる任意の化合物が挙げられる。
非免疫蛋白質としては、特に限定されることなく、例えばアビジン(ストレプトアビジン)、ビオチン又はレセプターなどを使用できる。
免疫グロブリン結合性蛋白質としては、例えばプロテインAあるいはプロテインG、リウマチ因子(RF)等を使用することができる。
糖結合性蛋白質としては、レクチン等が挙げられる。
脂肪酸あるいは脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ステアリン酸エチル、アラキジン酸エチル、ベヘン酸エチル等が挙げられる。
免疫グロブリン結合性蛋白質としては、例えばプロテインAあるいはプロテインG、リウマチ因子(RF)等を使用することができる。
糖結合性蛋白質としては、レクチン等が挙げられる。
脂肪酸あるいは脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ステアリン酸エチル、アラキジン酸エチル、ベヘン酸エチル等が挙げられる。
生理活性物質が抗体や酵素などの蛋白質又は核酸である場合、その固定化は、生理活性物質のアミノ基、チオール基等を利用し、金属表面の官能基に共有結合させることで行うことができる。
上記のようにして生理活性物質を固定化したバイオセンサーは、当該生理活性物質と相互作用する物質の検出及び/又は測定のために使用することができる。
即ち、本発明によれば、生理活性物質が固定化された本発明のバイオセンサーを用いて、これに被験物質を接触させることにより、該バイオセンサーに固定化されている生理活性物質と相互作用する物質を検出及び/又は測定する方法が提供される。
被験物質としては例えば、上記した生理活性物質と相互作用する物質を含む試料などを使用することができる。
被験物質としては例えば、上記した生理活性物質と相互作用する物質を含む試料などを使用することができる。
本発明では、バイオセンサー用表面に固定化されている生理活性物質と被験物質との相互作用を非電気化学的方法により検出及び/又は測定することが好ましい。非電気化学的方法としては、表面プラズモン共鳴(SPR)測定技術、水晶発振子マイクロバランス(QCM)測定技術、金のコロイド粒子から超微粒子までの機能化表面を使用した測定技術などが挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明のバイオセンサーは、例えば、透明基板上に配置される金属膜を備えていることを特徴とする表面プラズモン共鳴用バイオセンサーとして用いることができる。
表面プラズモン共鳴用バイオセンサーとは、表面プラズモン共鳴バイオセンサーに使用されるバイオセンサーであって、該センサーより照射された光を透過及び反射する部分、並びに生理活性物質を固定する部分とを含む部材を言い、該センサーの本体に固着されるものであってもよく、また脱着可能なものであってもよい。
表面プラズモン共鳴の現象は、ガラス等の光学的に透明な物質と金属薄膜層との境界から反射された単色光の強度が、金属の出射側にある試料の屈折率に依存することによるものであり、従って、反射された単色光の強度を測定することにより、試料を分析することができる。
表面プラズモンが光波によって励起される現象を利用して、被測定物質の特性を分析する表面プラズモン測定装置としては、Kretschmann配置と称される系を用いるものが挙げられる(例えば特開平6−167443号公報参照)。上記の系を用いる表面プラズモン測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて試料液などの被測定物質に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して表面プラズモン共鳴の状態、つまり全反射減衰の状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
本発明のバイオセンサーは、誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成された金属膜と、光ビームを発生させる光源と、前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られるように、かつ、種々の入射角成分を含むようにして入射させる光学系と、前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して表面プラズモン共鳴の状態を検出する光検出手段とを備えてなる表面プラズモン共鳴測定装置に用いられるための測定チップが好ましく、上記誘電体ブロックと上記金属膜とから構成され、上記誘電体ブロックが、前記光ビームの入射面、出射面および前記金属膜が形成される一面の全てを含む1つのブロックとして形成され、この誘電体ブロックに前記金属膜が一体化されている上記の測定チップ中に形成して、使用することができる。
なお上述のように種々の入射角を得るためには、比較的細い光ビームを入射角を変化させて上記界面に入射させてもよいし、あるいは光ビームに種々の角度で入射する成分が含まれるように、比較的太い光ビームを上記界面に収束光状態であるいは発散光状態で入射させてもよい。前者の場合は、入射した光ビームの入射角の変化に従って、反射角が変化する光ビームを、上記反射角の変化に同期して移動する小さな光検出器によって検出したり、反射角の変化方向に沿って延びるエリアセンサによって検出することができる。一方後者の場合は、種々の反射角で反射した各光ビームを全て受光できる方向に延びるエリアセンサによって検出することができる。
上記構成の表面プラズモン測定装置において、光ビームを金属膜に対して全反射角以上の特定入射角で入射させると、該金属膜に接している被測定物質中に電界分布をもつエバネッセント波が生じ、このエバネッセント波によって金属膜と被測定物質との界面に表面プラズモンが励起される。エバネッセント光の波数ベクトルが表面プラズモンの波数と等しくて波数整合が成立しているとき、両者は共鳴状態となり、光のエネルギーが表面プラズモンに移行するので、誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射した光の強度が鋭く低下する。この光強度の低下は、一般に上記光検出手段により暗線として検出される。なお上記の共鳴は、入射ビームがp偏光のときにだけ生じる。したがって、光ビームがp偏光で入射するように予め設定しておく必要がある。
この全反射減衰(ATR)が生じる入射角、すなわち全反射減衰角(θSP)より表面プラズモンの波数が分かると、被測定物質の誘電率が求められる。この種の表面プラズモン測定装置においては、全反射減衰角(θSP)を精度良く、しかも大きなダイナミックレンジで測定することを目的として、特開平11−326194号公報に示されるように、アレイ状の光検出手段を用いることが考えられている。この光検出手段は、複数の受光素子が所定方向に配設されてなり、前記界面において種々の反射角で全反射した光ビームの成分をそれぞれ異なる受光素子が受光する向きにして配設されたものである。
そしてその場合は、上記アレイ状の光検出手段の各受光素子が出力する光検出信号を、該受光素子の配設方向に関して微分する微分手段が設けられ、この微分手段が出力する微分値に基づいて全反射減衰角(θSP)を特定し、被測定物質の屈折率に関連する特性を求めることが多い。
また、全反射減衰(ATR)を利用する類似の測定装置として、例えば「分光研究」第47巻 第1号(1998)の第21〜23頁および第26〜27頁に記載がある漏洩モード測定装置も知られている。この漏洩モード測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成されて、試料液に接触させられる光導波層と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックとクラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して導波モードの励起状態、つまり全反射減衰状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
上記構成の漏洩モード測定装置において、光ビームを誘電体ブロックを通してクラッド層に対して全反射角以上の入射角で入射させると、このクラッド層を透過した後に光導波層においては、ある特定の波数を有する特定入射角の光のみが導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層に取り込まれるので、上記界面で全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。そして導波光の波数は光導波層の上の被測定物質の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、被測定物質の屈折率や、それに関連する被測定物質の特性を分析することができる。
なおこの漏洩モード測定装置においても、全反射減衰によって反射光に生じる暗線の位置を検出するために、前述したアレイ状の光検出手段を用いることができ、またそれと併せて前述の微分手段が適用されることも多い。
また、上述した表面プラズモン測定装置や漏洩モード測定装置は、創薬研究分野等において、所望のセンシング物質に結合する特定物質を見いだすランダムスクリーニングへ使用されることがあり、この場合には前記薄膜層(表面プラズモン測定装置の場合は金属膜であり、漏洩モード測定装置の場合はクラッド層および光導波層)上に上記被測定物質としてセンシング物質を固定し、該センシング物質上に種々の被検体が溶媒に溶かされた試料液を添加し、所定時間が経過する毎に前述の全反射減衰角(θSP)の角度を測定している。
試料液中の被検体が、センシング物質と結合するものであれば、この結合によりセンシング物質の屈折率が時間経過に伴って変化する。したがって、所定時間経過毎に上記全反射減衰角(θSP)を測定し、該全反射減衰角(θSP)の角度に変化が生じているか否か測定することにより、被検体とセンシング物質の結合状態を測定し、その結果に基づいて被検体がセンシング物質と結合する特定物質であるか否かを判定することができる。このような特定物質とセンシング物質との組み合わせとしては、例えば抗原と抗体、あるいは抗体と抗体が挙げられる。具体的には、ウサギ抗ヒトIgG抗体をセンシング物質として薄膜層の表面に固定し、ヒトIgG抗体を特定物質として用いることができる。
なお、被検体とセンシング物質の結合状態を測定するためには、全反射減衰角(θSP)の角度そのものを必ずしも検出する必要はない。例えばセンシング物質に試料液を添加し、その後の全反射減衰角(θSP)の角度変化量を測定して、その角度変化量の大小に基づいて結合状態を測定することもできる。前述したアレイ状の光検出手段と微分手段を全反射減衰を利用した測定装置に適用する場合であれば、微分値の変化量は、全反射減衰角(θSP)の角度変化量を反映しているため、微分値の変化量に基づいて、センシング物質と被検体との結合状態を測定することができる(本出願人による特願2000−398309号参照)。このような全反射減衰を利用した測定方法および装置においては、底面に予め成された薄膜層上にセンシング物質が固定されたカップ状あるいはシャーレ状の測定チップに、溶媒と被検体からなる試料液を滴下供給して、上述した全反射減衰角(θSP)の角度変化量の測定を行っている。
さらに、ターンテーブル等に搭載された複数個の測定チップの測定を順次行うことにより、多数の試料についての測定を短時間で行うことができる全反射減衰を利用した測定装置が、特開2001−330560号公報に記載されている。
本発明のバイオセンサーを表面プラズモン共鳴分析に使用する場合、上記したような各種の表面プラズモン測定装置の一部として適用することができる。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
以下の方法で、本発明のセンサチップを作成した。
(1)プラスチックプリズム上への金製膜
ゼオネックス(日本ゼオン社製)を射出成型して得られたプラスチックプリズム(図1)の上面に以下の方法で金薄膜を製膜した。
(1−1)金製膜
スパッタ装置の基板ホルダにプリズムを取付け、真空(ベースプレッシャー1×10-3Pa以下)に引いてからArガスを導入し(1Pa)、基板ホルダを回転(20rpm)させながら、基板ホルダにRFパワー(0.5kW)を約9分間印加してプリズム表面をプラズマ処理する。次に、Arガスを止めて真空に引き、Arガスを再び導入し(0.5Pa)、基板ホルダを回転(10〜40rpm)させながら、8inchのCrターゲットにDCパワー(0.2kW)を約30秒間印加して2nmのCr薄膜を成膜する。次に。Arガスを止めて再び真空に引き、Arガスを再び導入し、(0.5Pa)、基板ホルダを回転(20rpm)させながら、8inchのAuターゲットにDCパワー(1kW)を約50秒間印加して50nm程度のAu薄膜を成膜する。得られた試料をチップAと呼ぶ。
以下の方法で、本発明のセンサチップを作成した。
(1)プラスチックプリズム上への金製膜
ゼオネックス(日本ゼオン社製)を射出成型して得られたプラスチックプリズム(図1)の上面に以下の方法で金薄膜を製膜した。
(1−1)金製膜
スパッタ装置の基板ホルダにプリズムを取付け、真空(ベースプレッシャー1×10-3Pa以下)に引いてからArガスを導入し(1Pa)、基板ホルダを回転(20rpm)させながら、基板ホルダにRFパワー(0.5kW)を約9分間印加してプリズム表面をプラズマ処理する。次に、Arガスを止めて真空に引き、Arガスを再び導入し(0.5Pa)、基板ホルダを回転(10〜40rpm)させながら、8inchのCrターゲットにDCパワー(0.2kW)を約30秒間印加して2nmのCr薄膜を成膜する。次に。Arガスを止めて再び真空に引き、Arガスを再び導入し、(0.5Pa)、基板ホルダを回転(20rpm)させながら、8inchのAuターゲットにDCパワー(1kW)を約50秒間印加して50nm程度のAu薄膜を成膜する。得られた試料をチップAと呼ぶ。
(2)ポリマー塗布
チップAの金薄膜上に以下の方法でポリマー薄膜を製膜した。
(2−1)ポリマー溶液Aの調製
ポリマー(F-1) 1.5gを脱水MiBK(メチルイソブチルケトン)100mLに溶解し、孔径0.45μmのミクロフィルターで濾過する。脱水MiBKの含水率は20ppmであった。
チップAの金薄膜上に以下の方法でポリマー薄膜を製膜した。
(2−1)ポリマー溶液Aの調製
ポリマー(F-1) 1.5gを脱水MiBK(メチルイソブチルケトン)100mLに溶解し、孔径0.45μmのミクロフィルターで濾過する。脱水MiBKの含水率は20ppmであった。
(2−2)スピンコート
チップAをスピンコーター(SC-408S試料密閉型スピンコータ−、有限会社押鐘製)にセットする。チップAはスピンコーターの中心から135mmの位置に図2に示すように固定する。ポリマー溶液A 200μLをチップAの金膜全面を覆うようにキャストする。次に、チップAを完全に覆うように風よけカバーをセットする。その後、200rpmで60秒間スピンする。回転が停止した後、5分間そのまま静置する。
チップAをスピンコーター(SC-408S試料密閉型スピンコータ−、有限会社押鐘製)にセットする。チップAはスピンコーターの中心から135mmの位置に図2に示すように固定する。ポリマー溶液A 200μLをチップAの金膜全面を覆うようにキャストする。次に、チップAを完全に覆うように風よけカバーをセットする。その後、200rpmで60秒間スピンする。回転が停止した後、5分間そのまま静置する。
(2−3)真空乾燥
ポリマーをスピンコートしたチップAを16時間真空乾燥する。得られた試料をチップBと呼ぶ。
ポリマーをスピンコートしたチップAを16時間真空乾燥する。得られた試料をチップBと呼ぶ。
(3)ポリマー表面の加水分解
以下の方法で、チップBのポリマー薄膜表面を加水分解して、最表面にCOOH基を発生させた。
(3−1)加水分解
1N NaOH溶液にチップBを浸漬し、60℃の恒温槽で16時間保管する。
(3−2)洗浄
60℃の恒温槽から取り出した後、15分間自然冷却し、その後、超純水で洗浄する。得られた試料をチップCと呼ぶ。
以下の方法で、チップBのポリマー薄膜表面を加水分解して、最表面にCOOH基を発生させた。
(3−1)加水分解
1N NaOH溶液にチップBを浸漬し、60℃の恒温槽で16時間保管する。
(3−2)洗浄
60℃の恒温槽から取り出した後、15分間自然冷却し、その後、超純水で洗浄する。得られた試料をチップCと呼ぶ。
(4)5アミノ吉草酸結合
以下の方法で、チップCの表面に存在するCOOH基に5アミノ吉草酸反応を共有結合させた。
(4−1)活性化液、5アミノ吉草酸溶液の調製
0.1M NHS溶液: 1.16gのNHS(N-hydroxysulfosuccinimide)を超純水で溶解し100mLにする。
0.4M EDC溶液: 7.7gのEDC(1-Ethyl-3-[3-Dimethylaminopropyl]carbodiimide Hydrochloride)を超純水で溶解し100mLにする。
1M 5アミノ吉草酸溶液: 11.7gの5アミノ吉草酸を超純水80mLで溶解し、1N NaOHを用いてpH8.5に調整する。さらに超純水を加え100mLにする。
以下の方法で、チップCの表面に存在するCOOH基に5アミノ吉草酸反応を共有結合させた。
(4−1)活性化液、5アミノ吉草酸溶液の調製
0.1M NHS溶液: 1.16gのNHS(N-hydroxysulfosuccinimide)を超純水で溶解し100mLにする。
0.4M EDC溶液: 7.7gのEDC(1-Ethyl-3-[3-Dimethylaminopropyl]carbodiimide Hydrochloride)を超純水で溶解し100mLにする。
1M 5アミノ吉草酸溶液: 11.7gの5アミノ吉草酸を超純水80mLで溶解し、1N NaOHを用いてpH8.5に調整する。さらに超純水を加え100mLにする。
(4−2)活性化
エアガンでチップCの水切りを行う。チップCを湿箱(濡れ布を敷いたタイトボックス、密封した状態で湿度90%RH以上に保つ)にセットし、0.1M NHS溶液100μLと0.4M EDC溶液100μLの混合液200μLをキャストする。その上に120mm×8.5mmに切った厚さ175μmのPETフイルムをのせて液を拡げつつ表面をカバーする。この反応時の液の空気と接しない部分の表面積と空気と接する部分の表面積の比は26である。湿箱を密閉して、25℃で60分静置する。
エアガンでチップCの水切りを行う。チップCを湿箱(濡れ布を敷いたタイトボックス、密封した状態で湿度90%RH以上に保つ)にセットし、0.1M NHS溶液100μLと0.4M EDC溶液100μLの混合液200μLをキャストする。その上に120mm×8.5mmに切った厚さ175μmのPETフイルムをのせて液を拡げつつ表面をカバーする。この反応時の液の空気と接しない部分の表面積と空気と接する部分の表面積の比は26である。湿箱を密閉して、25℃で60分静置する。
(4−3)洗浄
湿箱から取り出した試料からPETフイルムを取り外し、純水で洗浄する。得られた試料をチップDと呼ぶ。
湿箱から取り出した試料からPETフイルムを取り外し、純水で洗浄する。得られた試料をチップDと呼ぶ。
(4−4)5アミノ吉草酸反応
5アミノ吉草酸反応は活性化反応終了後1時間以内に開始する。先ずエアガンでチップDの水切りを行う。チップDを湿箱にセットし、1M 5アミノ吉草酸溶液200μLをキャストする。その上に120mm×8.5mmに切った厚さ175μmのPETフイルムをのせて液を拡げつつ表面をカバーする。この反応時の液の空気と接しない部分の表面積と空気と接する部分の表面積の比は24である。湿箱を密閉して、25℃で90分静置する。
5アミノ吉草酸反応は活性化反応終了後1時間以内に開始する。先ずエアガンでチップDの水切りを行う。チップDを湿箱にセットし、1M 5アミノ吉草酸溶液200μLをキャストする。その上に120mm×8.5mmに切った厚さ175μmのPETフイルムをのせて液を拡げつつ表面をカバーする。この反応時の液の空気と接しない部分の表面積と空気と接する部分の表面積の比は24である。湿箱を密閉して、25℃で90分静置する。
(4−5)洗浄
湿箱から取り出した試料からPETフイルムを取り外し、純水で洗浄する。得られた試料をチップEと呼ぶ。
湿箱から取り出した試料からPETフイルムを取り外し、純水で洗浄する。得られた試料をチップEと呼ぶ。
(5)生理活性物質を保持しない表面の形成
以下の方法で、チップEの表面に生理活性物質を保持しない部分を形成した。具体的には、チップEの特定の場所において、チップEの表面に存在する5アミノ吉草酸のCOOH基を利用して以下のPEG誘導体を共有結合させた。
以下の方法で、チップEの表面に生理活性物質を保持しない部分を形成した。具体的には、チップEの特定の場所において、チップEの表面に存在する5アミノ吉草酸のCOOH基を利用して以下のPEG誘導体を共有結合させた。
(5−1)反応液の調製
20%PEG誘導体溶液: 4.5gの下記PEG誘導体を超純水18.5mLと1N NaOH 4mLで溶解する。
PEG誘導体: NH2-(CH2CH2O)n-CH2CH2OH、平均分子量5000
0.1M Sulfo-NHS溶液: 2.04gのNHSを超純水で溶解し100mLにする。
0.4M EDC溶液: 7.7gのEDCを超純水で溶解し100mLにする。
20%PEG誘導体溶液: 4.5gの下記PEG誘導体を超純水18.5mLと1N NaOH 4mLで溶解する。
PEG誘導体: NH2-(CH2CH2O)n-CH2CH2OH、平均分子量5000
0.1M Sulfo-NHS溶液: 2.04gのNHSを超純水で溶解し100mLにする。
0.4M EDC溶液: 7.7gのEDCを超純水で溶解し100mLにする。
(5−2)活性化
エアガンでチップEの水切りを行い、武蔵エンジニアリング社製ディスペンサーの台座に固定する。次に、シリンジに0.1M Sulfo-NHS溶液2mLと0.4M EDC溶液2mLの混合液を投入する。チップEに18mm間隔で15μLづつ6点、前記混合液をスポッティングする。液滴の直径は約3.5mmとなる。スポッティングを行ったチップEを湿箱にセットし、湿箱を密閉して、25℃で60分静置する。
エアガンでチップEの水切りを行い、武蔵エンジニアリング社製ディスペンサーの台座に固定する。次に、シリンジに0.1M Sulfo-NHS溶液2mLと0.4M EDC溶液2mLの混合液を投入する。チップEに18mm間隔で15μLづつ6点、前記混合液をスポッティングする。液滴の直径は約3.5mmとなる。スポッティングを行ったチップEを湿箱にセットし、湿箱を密閉して、25℃で60分静置する。
(5−3)洗浄
湿箱から取り出した試料を純水で洗浄する。得られた試料をチップFと呼ぶ。
湿箱から取り出した試料を純水で洗浄する。得られた試料をチップFと呼ぶ。
(5−4)PEG誘導体の結合
エアガンでチップFの水切りを行い、武蔵エンジニアリング社製ディスペンサーの台座に固定する。次に、シリンジにPEG誘導体溶液を投入する。チップFに前述(5−2)と同じ位置に18mm間隔で15μLづつ6点、PEG誘導体溶液をスポッティングする。液滴の直径は約3.5mmとなる。スポッティングを行ったチップFを湿箱にセットし、湿箱を密閉して、25℃で16時間静置する。
エアガンでチップFの水切りを行い、武蔵エンジニアリング社製ディスペンサーの台座に固定する。次に、シリンジにPEG誘導体溶液を投入する。チップFに前述(5−2)と同じ位置に18mm間隔で15μLづつ6点、PEG誘導体溶液をスポッティングする。液滴の直径は約3.5mmとなる。スポッティングを行ったチップFを湿箱にセットし、湿箱を密閉して、25℃で16時間静置する。
(5−5)洗浄
湿箱から取り出した試料を純水で洗浄する。得られた試料をチップGと呼ぶ。
湿箱から取り出した試料を純水で洗浄する。得られた試料をチップGと呼ぶ。
(6)生理活性物質を保持する表面の形成
以下の方法で、チップGの表面に生理活性物質を保持する表面を形成した。具体的には、チップGの特定の場所において、チップGの表面に存在する5アミノ吉草酸のCOOH基を利用してα-アミノ-ω-カルボキシル-ポリエチレングリコール(平均分子量3400)を共有結合させた。
以下の方法で、チップGの表面に生理活性物質を保持する表面を形成した。具体的には、チップGの特定の場所において、チップGの表面に存在する5アミノ吉草酸のCOOH基を利用してα-アミノ-ω-カルボキシル-ポリエチレングリコール(平均分子量3400)を共有結合させた。
(6−1)反応液の調製
0.1M Sulfo-NHS溶液: 2.04gのNHSを超純水で溶解し100mLにする。
0.4M EDC溶液: 7.7gのEDCを超純水で溶解し100mLにする。
10%α-アミノ-ω-カルボキシル-ポリエチレングリコール溶液: 10gのα-アミノ-ω-カルボキシル-ポリエチレングリコール(平均分子量3400)を超純水80mLで溶解し、1N NaOHを用いてpH8.5に調整する。さらに超純水を加え100mLにする。
0.1M Sulfo-NHS溶液: 2.04gのNHSを超純水で溶解し100mLにする。
0.4M EDC溶液: 7.7gのEDCを超純水で溶解し100mLにする。
10%α-アミノ-ω-カルボキシル-ポリエチレングリコール溶液: 10gのα-アミノ-ω-カルボキシル-ポリエチレングリコール(平均分子量3400)を超純水80mLで溶解し、1N NaOHを用いてpH8.5に調整する。さらに超純水を加え100mLにする。
(6−2)活性化
エアガンでチップGの水切りを行い、武蔵エンジニアリング社製ディスペンサーの台座に固定する。次に、シリンジに0.1M Sulfo-NHS溶液2mLと0.4M EDC溶液2mLの混合液を投入する。チップGに前述(5−4)のスポッティング位置に対して中心位置を4.5mmずらして18mm間隔で15μLづつ6点、Sulfo-NHS/EDC混合液をスポッティングする。液滴の直径は約3.5mmとなる。スポッティングを行ったチップGを湿箱にセットし、湿箱を密閉して、25℃で60分静置する。
エアガンでチップGの水切りを行い、武蔵エンジニアリング社製ディスペンサーの台座に固定する。次に、シリンジに0.1M Sulfo-NHS溶液2mLと0.4M EDC溶液2mLの混合液を投入する。チップGに前述(5−4)のスポッティング位置に対して中心位置を4.5mmずらして18mm間隔で15μLづつ6点、Sulfo-NHS/EDC混合液をスポッティングする。液滴の直径は約3.5mmとなる。スポッティングを行ったチップGを湿箱にセットし、湿箱を密閉して、25℃で60分静置する。
(6−3)洗浄
湿箱から取り出した試料を純水で洗浄する。得られた試料をチップHと呼ぶ。
湿箱から取り出した試料を純水で洗浄する。得られた試料をチップHと呼ぶ。
(6−4)α-アミノ-ω-カルボキシル-ポリエチレングリコールの結合
エアガンでチップHの水切りを行い、武蔵エンジニアリング社製ディスペンサーの台座に固定する。次に、シリンジに10%α-アミノ-ω-カルボキシル-ポリエチレングリコール溶液を投入する。チップHに前述(6−2)と同じ位置に18mm間隔で15μLづつ6点、α-アミノ-ω-カルボキシル-ポリエチレングリコール溶液をスポッティングする。液滴の直径は約3.5mmとなる。スポッティングを行ったチップHを湿箱にセットし、湿箱を密閉して、25℃で16時間静置する。
エアガンでチップHの水切りを行い、武蔵エンジニアリング社製ディスペンサーの台座に固定する。次に、シリンジに10%α-アミノ-ω-カルボキシル-ポリエチレングリコール溶液を投入する。チップHに前述(6−2)と同じ位置に18mm間隔で15μLづつ6点、α-アミノ-ω-カルボキシル-ポリエチレングリコール溶液をスポッティングする。液滴の直径は約3.5mmとなる。スポッティングを行ったチップHを湿箱にセットし、湿箱を密閉して、25℃で16時間静置する。
(6−5)洗浄
湿箱から取り出した試料を純水で洗浄する。得られた試料をチップIと呼ぶ。
湿箱から取り出した試料を純水で洗浄する。得られた試料をチップIと呼ぶ。
(6−6)保管
エアガンでチップIの水切りを行い保管する。
エアガンでチップIの水切りを行い保管する。
次に以下の方法で生理活性物質を保持する表面に蛋白質を固定した。
(1)蛋白溶液の調製: トリプシン0.5mgを酢酸バッファー(pH5.5) 1mlに溶解。
(2)活性化: NHS(0.1M)/EDC(0.4M)=1/1、25℃、30分
(3)蛋白の固定: 上記の蛋白溶液、25℃、30分
(4)ブロッキング: 1Mエタノールアミン溶液(pH8.5)、25℃、30分
(1)蛋白溶液の調製: トリプシン0.5mgを酢酸バッファー(pH5.5) 1mlに溶解。
(2)活性化: NHS(0.1M)/EDC(0.4M)=1/1、25℃、30分
(3)蛋白の固定: 上記の蛋白溶液、25℃、30分
(4)ブロッキング: 1Mエタノールアミン溶液(pH8.5)、25℃、30分
作成した生理活性物質を保持しない表面、および蛋白を固定した生理活性物質を保持する表面に対するライセートの非特異吸着量を評価した。
(1)ライセートの非特異吸着量測定
下記のライセートをライシスバッファー(Trevigen社製)に溶解して、遠心分離上清を採取し、ライシスバッファーで総蛋白濃度0.5mg/mlに調整する。
ライセート(1): Mouse Spleen Tissue Lysate(Prosci社製)
ライセート(2): Hela Whole Cell Lysate(Santa Cruz Biotechnology社製)
下記のライセートをライシスバッファー(Trevigen社製)に溶解して、遠心分離上清を採取し、ライシスバッファーで総蛋白濃度0.5mg/mlに調整する。
ライセート(1): Mouse Spleen Tissue Lysate(Prosci社製)
ライセート(2): Hela Whole Cell Lysate(Santa Cruz Biotechnology社製)
SPR装置に、ランニングバッファーとしてライシスバッファーを流し、基準点をとる。次に作成したライセート溶液を3分間流し、その後、ライシスバッファーを3分間流す。基準点からのSPR信号の増加分を非特異吸着量とする。測定結果を表1に示す。
比較例1
特開2004−125462号の実施例に記載の方法に準じて比較用のセンサー表面を作成した。
(1)生理活性物質を保持しない表面の作成
実施例1の(1−1)で作成したチップAに対し、特開2004−125462号の実施例の段落番号0031〜0032の方法でPEG表面を作成した。
特開2004−125462号の実施例に記載の方法に準じて比較用のセンサー表面を作成した。
(1)生理活性物質を保持しない表面の作成
実施例1の(1−1)で作成したチップAに対し、特開2004−125462号の実施例の段落番号0031〜0032の方法でPEG表面を作成した。
(2)生理活性物質を保持する表面の作成
実施例1の(1−1)で作成したチップAに対し、特開2004−125462号の実施例の段落番号0031〜0033の方法で7-CHT(同仁化学研究所製)によるCOOH表面を作成した。次に、実施例1と同様の方法で、生理活性物質を保持する表面にトリプシンを固定した。
実施例1の(1−1)で作成したチップAに対し、特開2004−125462号の実施例の段落番号0031〜0033の方法で7-CHT(同仁化学研究所製)によるCOOH表面を作成した。次に、実施例1と同様の方法で、生理活性物質を保持する表面にトリプシンを固定した。
さらに、実施例1と同様の方法で、生理活性物質を保持しない表面、および蛋白を固定した生理活性物質を保持する表面に対するライセートの非特異吸着量を評価した。測定結果を表1に示す。
表1の結果から、本発明のチップにおいては、非特異吸着量が抑制されることが分かる。
Claims (11)
- 疎水性高分子化合物でコーティングされた同一面内に少なくとも2種類以上の表面を有する基板から成るバイオセンサーにおいて、該表面の少なくとも1種が生理活性物質を保持しない表面であり、該生理活性物質を保持しない表面が、疎水性高分子化合物でコーティングされた表面に親水性化合物を結合して得られる表面である、上記のバイオセンサー。
- 親水性化合物が、ゼラチン、アルギン酸、キトサン、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール又はその誘導体、カラギーナン、アガロース、ポリアクリル酸、又はポリアクリルアミドから選ばれる、請求項1に記載のバイオセンサー。
- 基板が、金属表面又は金属膜から成る基板である、請求項1又は2に記載のバイオセンサー。
- 金属表面あるいは金属膜が、金、銀、銅、白金、及びアルミニウムからなる群より選ばれる自由電子金属からなるものである、請求項3に記載のバイオセンサー。
- 疎水性高分子化合物のコーティング厚さが0.1nm以上500nm以下である、請求項1から4の何れかに記載のバイオセンサー。
- 非電気化学的検出に使用される、請求項1から5の何れかに記載のバイオセンサー。
- 表面プラズモン共鳴分析に使用される、請求項1から6の何れかに記載のバイオセンサー。
- 請求項1から7の何れかに記載のバイオセンサーと生理活性物質とを接触させて、該バイオセンサーの表面に該生理活性物質を結合させた表面と該生理活性物質を結合させない表面を作成する工程を含む、バイオセンサー表面に生理活性物質を固定化する方法。
- 請求項8に記載の方法で作成したバイオセンサーと被験物質とを接触させる工程を含む、該生理活性物質と相互作用する物質を検出または測定する方法。
- 生理活性物質と相互作用する物質を非電気化学的方法により検出または測定する、請求項9に記載の方法。
- 生理活性物質と相互作用する物質を表面プラズモン共鳴分析により検出または測定する、請求項9又は10に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005082273A JP2006266744A (ja) | 2005-03-22 | 2005-03-22 | バイオセンサー |
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2005
- 2005-03-22 JP JP2005082273A patent/JP2006266744A/ja active Pending
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