以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各図相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
図1は、本発明の実施形態に係る力学量センサとしての容量式加速度センサ100の概略平面構成を示す図であり、図2は、図1中のA−A一点鎖線に沿った加速度センサ100の概略断面図であり、図3は、図1中のB−B一点鎖線に沿った加速度センサ100の概略断面図であり、図4は、図1中のC−C一点鎖線に沿った加速度センサ100の概略断面図である。
このような加速度センサ100は、その用途を限定するものではないが、たとえば、被測定物である自動車に取り付けられ当該自動車の運転状態に応じて発生する加速度を検出するものとして適用することができる。
[構成等]
この加速度センサ100は、半導体基板10に周知の半導体製造技術を用いたマイクロマシン加工を施すことによって形成されるものである。
本例では、加速度センサ100を構成する半導体基板10は、図2〜図4に示されるように、第1の半導体層としての第1シリコン基板11と第2の半導体層としての第2シリコン基板12との間に、絶縁層としての酸化膜13を有する矩形状のSOI(シリコンオンインシュレータ)基板10である。
ここで、本実施形態では、酸化膜13を含めて第1シリコン基板11は、支持基板として構成されている。つまり、第1シリコン基板11の一面は酸化膜13として構成されており、この支持基板である第1シリコン基板11の一面側に半導体層としての第2シリコン基板12が設けられた形となっている。
第2シリコン基板12には、その厚さ方向に貫通するトレンチ(溝)14を形成することにより、このトレンチ14によって区画されたパターン、すなわち、可動構造体20および固定部30、40よりなる櫛歯形状を有する梁構造体が形成されている。
また、第2シリコン基板12のうち上記梁構造体20〜40の形成領域に対応した部位、すなわち、図1中の破線の矩形15に示される部位は、酸化膜13が除去された開口部15となっている(図2〜図4参照)。
つまり、この開口部15上に位置する第2シリコン基板12からなる上記梁構造体20〜40は、支持基板である第1シリコン基板11の一面とはギャップを介して配置されている。
この加速度センサ100において、可動構造体20は、細長四角形状の錘部21を有し、その錘部21の両端が、バネ部22を介してアンカー部23aおよび23bに一体に連結された構成となっている。
これらアンカー部23aおよび23bは、図3に示されるように、酸化膜13に固定されており、酸化膜13を介して支持基板としての第1シリコン基板11上に支持されている。これによって、錘部21およびバネ部22は、第1シリコン基板11から離間してリリースされた状態となっている。
ここでは、バネ部22は、図1に示されるように、平行な2本の梁がその両端で連結された矩形枠状をなしており、2本の梁の長手方向と直交する方向に変位するバネ機能を有するものである。
具体的に、バネ部22は、図1中の矢印Y方向の成分を含む加速度を受けたときに錘部21を基板面水平方向にて矢印Y方向へ変位させるとともに、加速度の消失に応じて元の状態に復元させるようになっている。
よって、このようなバネ部22を介して半導体基板10に連結されている可動構造体20は、支持基板である第1シリコン基板11上において、加速度の印加に応じて基板面と水平方向にて矢印Y方向へ変位可能となっている。
また、図1に示されるように、可動構造体20は、本発明でいう可動部としての櫛歯状の可動電極24を備えている。この可動電極24は、基板面と平行であって且つ矢印Y方向と直交した矢印X方向にて、錘部21の両側面から互いに反対方向へ延びる梁形状をなす複数本のものである。
ここで、半導体基板10の基板面すなわち図1の紙面において、可動部としての可動電極24が延びる方向すなわち柱状の可動電極24の軸方向である矢印X方向を第1の方向Xということとし、基板面と平行であって且つこの第1の方向Xと直交する矢印Y方向を第2の方向Yということにする。
これに関連して、さらにいうならば、図1に示されるように、可動部としての可動電極24は、基板面と平行な第1の方向Xに延びる柱形状をなし、可動電極24を含む可動構造体20は第2の方向Yへ変位可能となっている。
さらに、図4に示されるように、可動電極24における半導体基板10の基板面と直交方向Zに沿った柱断面は、この基板面と直交方向Zに沿った寸法の方が、基板面と平行な第2の方向Yに沿った寸法よりも長い形状となっている。
より、具体的には、図4に示される可動電極24においては、基板面と直交方向Zに沿った柱断面が基板面と直交方向Zの方が、基板面と平行な第2の方向Yよりも長くなった長方形となっている。
このように、可動電極24は、錘部21の左側および右側にそれぞれ複数個ずつ突出して形成されており、一端が固定端、他端が解放端である断面長方形の直方体形状をなしている。そして、この可動電極24は、第1シリコン基板11から離間した状態となっている。
そして、各可動電極24は、バネ部22および錘部21と一体的に形成されることにより、バネ部22および錘部21とともに、基板面と水平な第2の方向Yへ変位可能となっている。
また、図1〜図4に示されるように、固定部30、40は、開口部15の開口縁部のうちアンカー部23a、23bが支持されていないもう1組の対向辺部の外周にて、酸化膜13に固定されている。そして、固定部30、40は、酸化膜13を介して第1シリコン基板11上に支持されている。
図1において、錘部21の左側に位置する固定部30は、左側固定電極31および左側固定電極用配線部32とから構成されている。一方、図1において、錘部21の右側に位置する固定部40は、右側固定電極41および右側固定電極用配線部42とから構成されている。
本例では、図1に示されるように、それぞれの固定電極31、41は開口部15に臨んでおり、可動電極24における櫛歯の隙間にかみ合うように櫛歯状に複数本配列されたものとなっている。
ここで、図1においては、錘部21の左側については、個々の可動電極24に対して上記第1の方向Xに沿って上側に左側固定電極31が設けられており、一方、錘部21の右側については、個々の可動電極24に対して上記第1の方向Xに沿って下側に右側固定電極41が設けられている。
このように、基板面水平方向において個々の可動電極24に対して、それぞれ固定電極31、41が対向して配置されており、各対向間隔において、可動電極24の側面(つまり検出面)と固定電極31、41の側面(つまり検出面)との間に容量を検出するための検出間隔が形成されている。
また、左側固定電極31と右側固定電極41とは、それぞれ互いに電気的に独立している。そして、各固定電極31、41は、可動電極24に対して略平行に延びる断面矩形の梁状に形成されている。つまり、本例の各固定電極31、41は、可動電極24と同様の直方体をなしている(図4参照)。
ここで、左側固定電極31および右側固定電極41は、それぞれ、酸化膜13を介して第1シリコン基板11に固定されている各固定電極用配線部32、42に片持ち状に支持された状態となっている。そして、各固定電極31、41は、酸化膜13から離間した状態となっている。
このように、本例においては、左側固定電極31および右側固定電極41については、それぞれの複数本の電極が、電気的に共通した各配線部32、42にまとめられた形となっている。
また、左側固定電極用配線部32および右側固定電極用配線部42上の所定位置には、それぞれ、左側固定電極用パッド30aおよび右側固定電極用パッド40aが形成されている。
また、一方のアンカー部23bと一体に連結された状態で、可動電極用配線部25が形成されており、この配線部25上の所定位置には、可動電極パッド25aが形成されている。上記の各電極用パッド25a、30a、40aは、たとえばアルミニウムをスパッタや蒸着することなどにより形成されている。
このような加速度センサ100は、単独あるいは回路チップなどとともに、パッケージに搭載され、パッケージの配線あるいはパッケージ内の回路チップと加速度センサ100の上記電極用パッド25a、30a、40aとが、ボンディングワイヤなどにより結線される。
次に、本実施形態の加速度センサ100の検出動作について説明する。本実施形態では、加速度の印加に伴う可動電極24と固定電極31、41との間の静電容量変化に基づいて加速度を検出するようになっている。
上述したように、加速度センサ100においては、個々の可動電極24の側面(つまり検出面)に対してそれぞれ固定電極31、41の側面(つまり検出面)が対向して設けられており、これら両電極の側面の各対向間隔において、容量を検出するための検出間隔が形成されている。
ここで、左側固定電極31と可動電極24との間隔に、検出容量として第1の容量CS1が形成されており、一方、右側固定電極41と可動電極24との間隔に、検出容量として第2の容量CS2が形成されているとする。
そして、加速度センサ100において、基板面水平方向において上記図1中の第2の方向Yへ加速度が印加されると、バネ部22のバネ機能により、アンカー部を除く可動構造体20全体が一体的に第2の方向Yへ変位し、当該第2の方向Yへの可動電極24の変位に応じて上記各容量CS1、CS2が変化する。
たとえば、上記図1において、可動構造体20が、第2の方向Yに沿って下方へ変位したときを考える。このとき、左側固定電極31と可動電極24との間隔は広がり、一方、右側固定電極41と可動電極24との間隔は狭まる。
よって、可動電極24と固定電極31、41による差動容量(CS1−CS2)の変化に基づいて、第2の方向Yの加速度を検出することができる。具体的には、この容量の差(CS1−CS2)に基づく信号が加速度センサ100から出力信号として出力され、この信号は、上記パッケージ内に設けられた上記回路チップまたは外部回路にて処理され、最終的に出力される。
図5は、本実施形態の加速度センサ100における加速度を検出するための検出回路400の一例を示す回路図である。
この検出回路400において、スイッチドキャパシタ回路(SC回路)410は、容量がCfであるコンデンサ411、スイッチ412および差動増幅回路413を備え、入力された容量差(CS1−CS2)を電圧に変換するものとなっている。
そして、本加速度センサ100においては、たとえば、左側固定電極用パッド30aから振幅Vccの搬送波1を入力し、右側固定電極用パッド40aから搬送波1と位相が180°ずれた搬送波2を入力し、SC回路410のスイッチ412を所定のタイミングで開閉する。
そして、第2の方向Yの印加加速度は、下記の数式1に示す様に、電圧値V0として出力される。
(数1)
V0=(CS1−CS2)・Vcc/Cf
このようにして、加速度の検出がなされる。
このような加速度センサ100は、半導体製造技術を用いて、たとえば、次のようにして製造される。半導体基板であるSOI基板10の第2シリコン基板12上にアルミニウムからなる電極用パッド25a、30a、40aをパターニング形成する。
次に、第2シリコン基板12上にフォトリソグラフ技術を用いて、梁構造体20〜40に対応した形状のマスクを形成する。その後、CF4やSF6等のガスを用いてドライエッチング等にてトレンチエッチングを行い、トレンチ14を形成することによって、梁構造体20〜40のパターンを一括して形成する。
続いて、トレンチ14を介した犠牲層エッチングを行うことにより、第2シリコン基板12の下部に位置する酸化膜13の一部を除去し、上記開口部15を形成する。
このようにして、第1シリコン基板11からリリースされた可動電極24を含む可動構造体20とその周囲の固定部30、40がパターニング形成され、上記加速度センサ100を製造することができる。
[異物除去方法]
ここで、上述したように、このような加速度センサ100においては、トレンチ14によって可動部24とその周囲の固定部30、40などとの隙間を形成しているがゆえに、可動部24および固定部の表面やこれらの隙間などに異物が付着し、それによって、可動部24の変位特性ひいてはセンサ特性に悪影響を与えるおそれがある。
具体的には、たとえば、上記製造方法にて半導体基板10に可動電極24を含む梁構造体20〜40を形成した後に、製造工程中に発生する異物が、半導体基板10に付着する恐れがある。
そこで、本実施形態では、次に述べるような異物除去方法を、たとえば製造工程の一部として行うことにより、半導体基板10に可動電極24を含む梁構造体20〜40を形成してなる加速度センサ100に付着した異物を除去するようにしている。
図6は、本実施形態に係る異物除去方法に用いる異物除去装置の模式的な構成を示す図であり、図7は、本異物除去方法の作用を説明するための加速度センサ100の模式的な断面図である。
図6に示されるように、本実施形態の異物除去装置は、内圧を所望の圧力に制御可能なチャンバ200を備えており、このチャンバ200の内部において、その上方に加速度センサ100を取付可能となっている。
また、チャンバ200の上部には、チャンバ200内に空気を供給するためのエアブロー供給口201が設けられており、チャンバ200の下部には、チャンバ200内の空気を排出するためのエアブロー排出口202が設けられている。これらの供給口201および排出口202により、チャンバ200内の空気流れが発生するとともに、内圧が制御可能となっている。
また、図6に示されるように、本実施形態の異物除去装置は、チャンバ200内に取り付けられた加速度センサ100に振動を付与可能な加振ユニット300を備えている。この加振ユニット300は、たとえば超音波振動を発生することにより、加速度センサ100に振動を付与できるとともに、その振動の強弱(振幅や周波数など)を制御できるようになっている。
ここで、図7に示されるように、チャンバ200内に取り付けられた加速度センサ100は、半導体基板10の表面すなわち第2シリコン基板12を下方に向けて設置されている。
そして、上述したが、加速度センサ100は、図7に示されるように、半導体基板10にトレンチ14を形成することにより、半導体基板10の基板面と平行な第1の方向Xに延びる柱状の可動部としての可動電極24と、その周囲に隙間を有して設けられた固定部30、40とがパターニングされてなる。
さらに、可動電極24における基板面と直交方向Zに沿った柱の断面は、基板面と平行であって且つ第1の方向Xと直交する第2の方向Yよりも、基板面と直交方向Zの方が長い長方形状となっている。
そして、上記加振ユニット300は、加速度センサ100に対して上記第2の方向Yに沿った第1の振動(横振動)と、この第1の振動よりも強い振動であって基板面と直交方向Zに沿った第2の振動(縦振動)とを交互に付与できるようになっている。
このような異物除去装置を用いた本実施形態の異物除去方法では、図7に示されるように、チャンバ200内に設置した加速度センサ100を構成する半導体基板に対して、上記第2の方向Yに沿った第1の振動と、第1の振動よりも強い振動であって基板面と直交方向Zに沿った第2の振動とを交互に付与することにより、半導体基板10に付着している異物Kを除去するものである。
上述したように、本例の力学量センサとしての加速度センサ100では、センシング部分は櫛歯型の可動電極24と固定電極31、41とにより構成されている。この可動電極24と固定電極31、41との間隔すなわち検出間隔は、たとえば約10μmとすることができる。
また、可動電極24は、たとえば、図7に示される基板面と直交方向Zに沿った柱断面において、基板面と平行な第2の方向Yに沿った寸法すなわち横寸法が約5μm、基板面と直交方向Zに沿った寸法すなわち縦寸法が約20μmという、縦長の直方体とすることができる。
そのため、このような縦長の直方体からなる可動電極24は、基板面と平行な第2の方向Y(つまり横方向)は、基板面と直交方向Z(つまり縦方向)よりも変位しやすい構成になっているので、当該横方向については、大きな振動、または共振周波数を与えると可動電極24が破損しやすい。
そこで、第2の方向Yに沿った第1の振動においては、任意の変位量となる振動の周波数(例えば音波や共振周波数など)を設定して、第2の方向Yすなわち図7中の横方向にセンサ100全体を動かし、固定部30、40、可動電極24の表面・側壁・底部に存在する異物Kの密着状態を弱める。
また、基板面と直交方向Zすなわち図7中の縦方向へについては、横方向よりも大きな振動(例えば超音波や共振周波数など)として第2の振動を与える。
図7に示されるように、横方向の第1の振動で可動電極24や固定部30、40との密着力が弱まった異物Kは、縦方向の大きな第2の振動によって下方向へ落下する。
そして、落下した異物Kは、エアブロー排出口202に吸引されチャンバ200から排出される。このとき、チャンバ200内の雰囲気は上部から下部への空気の流れが形成されているので、異物Kの再付着は起こらない。このように縦横方向の異なった強さ(エネルギー)の振動を繰り返すことで異物Kを半導体基板10から除去する。
[効果等]
以上のように、本実施形態によれば、半導体基板10にトレンチ14を形成することにより柱状の可動部24と固定部30、40とをパターニングしてなる力学量センサの異物除去方法において、半導体基板10に対して、第2の方向Yに沿った第1の振動と、第1の振動よりも強い振動であって基板面と直交方向Zに沿った第2の振動とを交互に付与することにより、半導体基板10に付着している異物を除去することを特徴とする異物除去方法が提供される。
上記図7に示したように、本実施形態の異物除去方法においては、半導体基板10に形成された可動部としての可動電極24は、半導体基板10の基板面と平行な第1の方向Xに延びる柱形状をなすが、その可動電極24は、半導体基板10の基板面と直交方向Zの厚みが、当該基板面と平行な第2の方向Yの幅よりも大きい柱断面形状となっている。
そのため、この柱状の可動部24は、半導体基板10の基板面と平行な第2の方向Yの方が基板面と直交方向Zよりも変位しやすい構成となっており、そのゆえ、可動部24は、第2の方向Yの方に変位するとき破損しやすいものとなっている。
そこで、本除去方法においては、基板面と平行な第2の方向Yに沿った第1の振動を、基板面と直交方向Zに沿った第2の振動よりも弱い振動とすることにより、振動による可動部24の破損を防止するとともに、比較的弱い第1の振動により密着力が弱まった異物を、比較的強い第2の振動により除去することができる。
また、本除去方法では、基板面と平行な第2の方向Yに沿った第1の振動と基板面と直交方向Zに沿った第2の振動との両方を交互に付与することにより、上記第2の方向Yおよび上記直交方向Zの両方向にて可動部24や固定部30、40の面に付着した異物の密着力を弱め、除去することが可能になる。
つまり、本実施形態の異物除去方法によれば、従来の異物除去方法のように、振動が及ばない部分にて異物が残ったり、振動方向によっては異物が残ってしまうようなことが、極力回避される。
したがって、本実施形態によれば、半導体基板10にトレンチ14を形成することにより柱状の可動部24と固定部30、40とをパターニングしてなる力学量センサにおいて、半導体基板10に付着している異物をより確実に除去することができる。
また、本実施形態の異物除去方法においては、加速度センサ100に加わる力は、加振ユニット300からの振動のみであり、上記した従来方法にて行われていたセンサの電圧駆動は使用しない。
そのため、本実施形態によれば、静電力による固定部と可動部の異物の再付着を抑制することができる。また、固定部も振動するため固定部と可動部の空間にある全ての異物を除去することができる。さらに、チップ分断工程後だけでなく、ウェハ工程でも適用することができる。
また、上記例では、異物除去方法は、チャンバ200内をたとえば大気圧などの一定の内圧とし、この状態で第1の振動と第2の振動とを交互に繰り返すものとしたが、次のようにしてもよい。
すなわち、真空中での可動部24は空気抵抗がないため振動時の変位量が大きくなることを利用して、基板面と直交方向Zに沿った第2の振動すなわち図7中の縦方向の振動時のみチャンバ200内を真空状態にして振動を行い、基板面と平行な第2の方向Yに沿った第1の振動すなわち図7中の横方向の振動時はチャンバ200内を大気圧態にして振動を行うようにしてもよい。
このような真空と大気圧との繰り返しは、上記供給口201と排出口202によってチャンバ200内の空気流量を調整してやれば、容易に実現可能である。
(他の実施形態)
なお、上記実施形態では、加速度センサ100を構成する半導体基板として、SOI基板10を採用しているが、トレンチの形成により上記可動部および固定部が形成できるものであるならば、半導体基板として、SOI基板以外のものを用いてもよい。
また、上記実施形態では、半導体基板10の表面からトレンチエッチングおよび犠牲層エッチングを行うことにより可動部の形成を行う表面加工型のセンサを示したが、半導体基板10の裏面から異方性エッチングなどにより凹部を形成することで可動部をリリースさせる裏面加工型のセンサであっても、本発明は適用可能である。
また、上記実施形態は、加速度センサにおける異物除去方法について説明したが、本発明の異物除去方法は、たとえば力学量として角速度を検出する可動部としての振動子を有する角速度センサなどにも適用できる。
つまり、本発明は、半導体基板にトレンチを形成することにより、力学量の印加により変位可能であって半導体基板の基板面と平行な第1の方向に延びる柱状の可動部と、可動部の周囲に隙間を有して設けられた固定部とがパターニングされており、可動部における基板面と直交方向に沿った柱の断面は、基板面と平行であって且つ第1の方向と直交する第2の方向よりも、基板面と直交方向の方が長い形状となっている力学量センサであれば、適用可能である。
そして、本発明の異物除去方法は、このような力学量センサにおいて、半導体基板に対して、基板面と平行な第2の方向に沿った第1の振動と、第1の振動よりも強い振動であって基板面と直交方向に沿った第2の振動とを交互に付与することにより、半導体基板に付着している異物を除去することを要部とするものであり、その他の部分については適宜設計変更が可能である。