JP2006263792A - チルベント異常検出装置及びチルベント異常検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】キャビティ内の不要なエアーを排出するチルベントの異常を簡単に検出することが可能な技術を提供する。
【解決手段】射出成形用金型20には、射出成形用材料が注入されるキャビティ21が設けられている。チルベント型23には、キャビティ21内の不要なエアー100を排出するチルベント22が設けられている。チルベント異常検出装置1には、チルベント22から排出されるエアー100が衝突する位置に配置され、当該エアー100の衝突により移動可能なガス検出体2が設けられている。
【選択図】図1
【解決手段】射出成形用金型20には、射出成形用材料が注入されるキャビティ21が設けられている。チルベント型23には、キャビティ21内の不要なエアー100を排出するチルベント22が設けられている。チルベント異常検出装置1には、チルベント22から排出されるエアー100が衝突する位置に配置され、当該エアー100の衝突により移動可能なガス検出体2が設けられている。
【選択図】図1
Description
本発明は、射出成形用材料が注入されるキャビティ内の不要なエアーを排出するチルベントの異常を検出するチルベント異常検出装置及びチルベント異常検出方法に関する。
射出成形用金型には、射出成形用材料が注入されるキャビティが設けられる。このキャビティ内の不要なエアーを除去するために、チルベントと呼ばれるガス排出構造が使用される。このチルベントを用いることにより、キャビティ内の不要なエアーを効率的に排出することが可能となり、ガス巻き込みに起因する不良が少ない良好な製品を得ることができる。
このようなチルベントにおいては、キャビティ内に注入される射出成形用材料が成形工程完了後においても残留することがあり、次の成形工程においてキャビティ内の不要なエアーを適切に排出することができないという異常が発生することがある。
特許文献1には、このようなチルベントの異常を検出するための技術が提案されている。特許文献1の技術では、チルベントに連通するエアー通路を設けて、当該エアー通路に低圧エアーを吹き付け、当該エアー通路における圧力を検知することによって、チルベントの異常を検出している。そして、検知したエアー圧力が上限値を越えると警報を発するとともに射出成形機の自動運転を停止させている。
上述のように、特許文献1の技術では、チルベントに連通するエアー通路が設けられているため、当該エアー通路にも射出成形用材料が残留することがあり、この残留した材料を除去する工程が必要となる。その結果、生産性が低下するという問題が生じる。
また、エアー通路にエアーを吹き付けるためのエアー源やエアーバルブが必要となり、大掛かりな設備を要するといった問題が生じる。
そこで、本発明は上述の問題に鑑みて成されたものであり、キャビティ内の不要なエアーを排出するチルベントの異常を簡単に検出することが可能な技術を提供することを目的とする。
この発明の第1のチルベント異常検出装置は、射出成形用材料が注入されるキャビティ内のエアーを排出するチルベントの異常を検出するチルベント異常検出装置であって、前記チルベントから排出されるエアーが衝突する位置に配置され、当該エアーの衝突により移動可能なガス検出体を備える。
また、この発明の第2のチルベント異常検出装置は、射出成形用材料が注入されるキャビティ内の不要なエアーを排出するチルベントの異常を検出するチルベント異常検出装置であって、前記チルベントから排出されるエアーが衝突する位置に配置され、一定温度に加熱された金属体と、前記金属体の電気抵抗の変化を測定する測定部とを備える。
また、この発明の第1のチルベント異常検出方法は、(a)チルベントが接続されたキャビティ内に射出成形用材料を注入する工程と、(b)前記射出成形用材料の注入によって前記キャビティ内から押し出されて前記チルベントから排出されるエアーが衝突する位置に配置されたガス検出体の移動を、前記工程(a)の実行中に検出する工程と、(c)前記工程(b)で得られる検出結果に基づいて前記チルベントの異常を判定する工程とを備える。
また、この発明の第2のチルベント異常検出方法は、(a)チルベントが接続されたキャビティ内に射出成形用材料を注入する工程と、(b)前記射出成形用材料の注入によって前記キャビティ内から押し出されて前記チルベントから排出されるエアーが衝突する位置に配置され、一定温度に加熱された金属体の電気抵抗の変化を、前記工程(a)の実行中に測定する工程と、(c)前記工程(b)で得られる測定結果に基づいて前記チルベントの異常を判定する工程とを備える。
この発明の第1のチルベント異常検出装置によれば、チルベントから排出されるエアーの衝突によって移動可能なガス検出体が設けられているため、当該ガス検出体の移動を検出することによって、キャビティ内のエアーがチルベントから適切に排出されている否かを確認することができる。従って、特段の動力手段を用いることなく簡単にチルベントの異常を検出できる。
また、この発明の第2のチルベント異常検出装置によれば、チルベントから排出されるエアーが衝突する位置に配置され、一定温度に加熱された金属体が設けられている。この金属体にチルベントから排出されるエアーが衝突すると、当該金属体では熱損失が生じる。金属体で熱損失が生じると、当該金属体の電気抵抗は変化する。そして、金属体での熱損失は衝突するエアーの流速に依存する。従って、本発明のように、金属体の電気抵抗の変化を測定することによって、チルベントから正常にエアーが排出されているか否かを判断できる。よって、本発明によれば、金属体の電気抵抗の変化を測定することによって、特段の動力手段を用いることなく簡単にチルベントの異常を検出できる。
また、この発明の第1のチルベント異常検出方法によれば、ガス検出体の移動検出結果に基づいてチルベントの異常を判定しているため、特段の動力手段を用いることなくチルベントの異常を簡単に検出できる。
また、この発明の第2のチルベント異常検出方法によれば、金属体の電気抵抗の変化の測定結果に基づいてチルベントの異常を判定しているため、特段の動力手段を用いることなくチルベントの異常を簡単に検出できる。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係るチルベント異常検出装置1と、射出成形用金型20と、チルベント型23との構造を示す断面図である。本実施の形態1に係るチルベント異常検出装置1は、チルベント型23に設けられたチルベント22の異常を検出することが可能であり、金型20、チルベント型23及び図示しない射出成形機とともに射出成形システムを構成している。
図1は本発明の実施の形態1に係るチルベント異常検出装置1と、射出成形用金型20と、チルベント型23との構造を示す断面図である。本実施の形態1に係るチルベント異常検出装置1は、チルベント型23に設けられたチルベント22の異常を検出することが可能であり、金型20、チルベント型23及び図示しない射出成形機とともに射出成形システムを構成している。
図1に示されるように、金型20には、射出成形機によって溶融材料等の射出成形用材料が注入されるキャビティ21が設けられている。チルベント型23にはチルベント22が設けられており、当該チルベント22と金型20に設けられたキャビティ21とが連通するように、チルベント型23と金型20とは図示しないボルトによって互いに接続されている。チルベント22は、成形工程においてキャビティ21内の不要なエアー100を外部に排出する。
金型20は、例えばアルミダイカスト用金型であって、第1部分20aと第2部分20bとの2つの部分に分割されており、その分割面にキャビティ21が形成されている。チルベント型23も同様に、第1部分23aと第2部分23bとの2つの部分に分割されており、その分割面にチルベント22の主要部が形成されている。
図1では、金型20内には一つのキャビティ21しか示されていないが、本実施の形態1に係る金型20には、2つのキャビティ21が設けられている。各キャビティ21は、例えば、それ自身で形成されるアルミ製の製品重量が約400gとなるような容量を備えている。
また、チルベント型23内には一つのチルベント22が設けられており、本実施の形態1では、金型20内に設けられた2つのキャビティ21に一対一でチルベント22が対応するように、当該金型20には2つのチルベント型23が取り付けられている。なお、本実施の形態1とは異なり、金型20に一つのチルベント型23を取り付けて、当該金型20内の2つのキャビティ21に対して共通して設けられた一つのチルベント22を使用するようにしても良い。
チルベント異常検出装置1は、ガス検出体2と、当該ガス検出体2を下方から支持する支持部3と、当該支持部3に取り付けられた4つの柱6と、当該4つの柱6に取り付けられた天板7とを備えている。
ガス検出体2は、例えばフッ素樹脂等から成る球状の樹脂であって、その直径は例えば1インチ(≒2.54cm)に設定されている。支持部3は、鉛直方向に貫通する通過孔14が設けられた筒状の本体部4と、当該本体部4の上端部の外周縁を取り囲む中空円板状の鍔部5とから成る。本体部4の通過孔14は、接続管30を介してチルベント22に接続される。そして、チルベント22から排出されるキャビティ21内の不要なエアー100は、接続管30に設けられた貫通孔30aを通過し、更に通過孔14を通過する。
通過孔14は、本体部4の上半分に設けられた第1の孔14aと、本体部4の下半分に設けられ、第1の孔14aに連通する第2の孔14bとから成る。第1の孔14aは円柱状の孔であって、その直径D1は一定である。第2の孔14bは円錐台状の孔であって、下方に向ってその直径D2が大きくなっている。第2の孔14bの上端における直径D2は、第1の孔14aの直径D1よりも小さく、第2の孔14bの下端における直径D2は、第1の孔14aの直径D1とほぼ同じである。
球状のガス検出体2の直径は、第1の孔14aの直径D1よりも大きく設定されている。ガス検出体2はその下端部のみが第1の孔14a内に落ち込むことにより、支持部3によって下方から支持される。従ってガス検出体2は、チルベント22から排出されるエアー100が衝突する位置に配置されている。ガス検出体2は、エアー100の衝突により、支持部3を離れて鉛直方向に移動可能である。
なお、図1に示されるように、本体部4における上端面と内側面とで形成される角部は、当該角部でガス検出体2が損傷しないように切り落とされている。
4つの柱6は、支持部3で支持されたガス検出体2を取り囲むように本体部4の鍔部5の上面上に等間隔で取り付けられている。そして、4つの柱6の間隔はガス検出体2の直径よりも小さく設定されている。天板7は円板状であり、4つの柱6の上端面に取り付けられている。
このように、複数の柱6と天板7とがガス検出体2を取り囲むように設けられているため、ガス検出体2がエアー100の衝突により鉛直方向に移動したとしても、当該ガス検出体2が本チルベント異常検出装置1の外側に飛び出すことはない。支持部3、柱6及び天板7は例えば鉄鋼材料で形成されている。
次に、本実施の形態1に係るチルベント異常検出装置1の動作について説明する。図示しない射出成形機から射出成形用材料が射出され、当該材料が金型20に設けられたキャビティ21内に注入されると、キャビティ21内の不要なエアー100は射出成形用材料によって押し出されてチルベント22に到達する。なお、射出成形用材料の射出速度は、最も速い区間(高速区間)において、例えば3.1m/sに設定される。
チルベント22は、詰まりがなく正常に機能する場合には、キャビティ21から押し出された不要なエアー100を外部に適切に排出する。チルベント22から排出された不要なエアー100は、接続管30の貫通孔30aを通って、チルベント異常検出装置1の支持部3に設けられた通過孔14に到達する。そうすると、不要なエアー100はガス検出体2に衝突し、この衝突によってガス検出体2は鉛直方向に持ち上がる。
一方、前回の成形工程で使用した射出成形用材料がチルベント22内に残留して、当該チルベント22が詰まり正常に機能しない場合には、キャビティ21内のエアー100はチルベント22から十分に排出されないため、ガス検出体2には当該エアー100がほとんど衝突しない。従って、ガス検出体2は全く移動しないか、微動しかしない。
このように、チルベント22が正常な場合にはガス検出体2は上方に持ち上がり、チルベント22が異常な場合にはガス検出体2は全く動かないか、あるいは微動しかしないことから、キャビティ21内に射出成形用材料を注入している最中にガス検出体2の移動を検出し、この検出結果に基づいてチルベント22の異常を判定することができる。例えば、ガス検出体2の移動を目視で検出し、検出の結果、ガス検出体2が鉛直方向に十分に移動すればチルベント22は正常であると判定し、ガス検出体2が移動しないか、あるいは微動しかしない場合にはチルベント22は異常であると判定する。
以上のように、本実施の形態1に係るチルベント異常検出装置1では、チルベント22から排出されるエアー100によって移動可能なガス検出体2が設けられているため、当該ガス検出体2の移動を検出することによって、チルベント22から正常に不要なエアー100が排出されているか否かを確認することができる。従って、上記特許文献1の技術のように、チルベント22の異常を検出するためにエアー通路、エアー源及びエアーバルブを設ける必要がなく、特段の動力手段を用いることなく簡単にチルベント22の異常を検出することができる。
また本実施の形態1では、ガス検出体2が樹脂で形成されているため、当該ガス検出体2の加工がし易く、当該ガス検出体2を、チルベント22の異常を検出するのに適した形状や重さに容易に設定することができる。
また本実施の形態1では、ガス検出体2は下方からの不要なエアー100の衝突によって鉛直方向に移動可能であるため、当該エアー100の衝突後に、ガス検出体2は同じ位置に戻ることができ、支持部3はガス検出体2を常に同じ位置で下方から支持することができる。従って、チルベント22に対する異常検出工程を実行するたびに、ガス検出体2の位置を修正する必要がない。その結果、更に簡単にチルベント22の異常を検出することができる。
また、キャビティ21内に射出成形材料を注入している最中にガス検出体2の移動を検出し、当該検出結果に基づいてチルベント22の異常を判定するといったチルベント異常検出方法を採用することによって、特段の動力手段を用いることなくチルベント22の異常を簡単に検出できる。
本実施の形態1では、球状のガス検出体2を使用したが、他の形状のガス検出体2を採用しても良い。例えば図2に示されるように、逆円錐台状部分の底面を、下方に突出する部分球面に変更した形状のガス検出体2を採用しても良いし、また図3に示されるように、円板状のガス検出体2を採用しても良い。
なお、ガス検出体2が図2,3に示されるような形状を成す場合には、エアー100の衝突によって当該ガス検出体2が上方に持ち上がる際に鉛直平面内で回転すると、エアー100衝突後に当該ガス検出体2が同じ位置に戻らないことがある。そのため、次の成形工程において、チルベント22の異常を適切に検出できないことがある。一方、図1に示されるように、ガス検出体2が球状の場合には、鉛直平面内で回転したとしてもエアー100の衝突後に同じ位置に戻りやすくなる。従って、次の成形工程においても、チルベント22の異常を確実に検出できる。
実施の形態2.
上述の図1に示される金型20内のキャビティ21の容量や射出速度等の成形条件が変化すると、チルベント22から排出されるエアー100の量や圧力が変化する。従って、チルベント22が正常の場合に図1のチルベント異常検出装置1におけるガス検出体2がエアー100の衝突によって適切に上昇するためには、キャビティ21の容量や成形条件を変更するたびに、エアー100の排出量や圧力に応じてガス検出体2の重量を決定する必要がある。
上述の図1に示される金型20内のキャビティ21の容量や射出速度等の成形条件が変化すると、チルベント22から排出されるエアー100の量や圧力が変化する。従って、チルベント22が正常の場合に図1のチルベント異常検出装置1におけるガス検出体2がエアー100の衝突によって適切に上昇するためには、キャビティ21の容量や成形条件を変更するたびに、エアー100の排出量や圧力に応じてガス検出体2の重量を決定する必要がある。
一方で、エアー100の排出量や圧力を計算で正確に求めることは一般的に困難である。従って、通常は、各種重量のガス検出体2を予め作製して、作製したガス検出体2の動作状態を実験的に検証し、その検証結果に基づいて最終的に採用する重量を決定することになる。この重量の選定作業は、金型20の種類の増加にともない非常に煩雑な作業となり、生産コストの増大を招く。
そこで、本実施の形態2では、キャビティ21の容量や射出速度に依存することなく、適切にチルベント22の異常を検出することが可能なガス検出体2の重量について説明する。
図4は、図1に示される射出成形システムにおいて、ガス検出体2の重量Wを変化させた際の当該ガス検出体2の移動距離を示すグラフを示しており、当該グラフは実機実験により求められている。図4の横軸は、ガス検出体2の重量W(単位:グラム)を、支持部3の本体部4における第1の孔14aの直径D1(単位:ミリメートル)の自乗で除算した値、つまりW/D12を示している。横軸の値は、直径D1の値を一定にして重量Wを変化させた際の値を示しているため、重量Wが大きいほど大きくなる。また図4の縦軸は、チルベント22が正常である場合に、ガス検出体2に複数回エアー100を衝突させた場合の当該ガス検出体2の平均移動距離(単位:ミリメートル)を示している。
図4に示される実線のグラフ201は、金型20として、アルミ製品重量が約600gとなるような容量を有するキャビティ21が2個設けられたアルミダイカスト用金型Aを採用し、直径D1を40mmに設定し、成形工程における高速区間の射出速度を2.0m/sに設定した際のガス検出体2の平均移動距離を示している。図4に示される破線のグラフ202は、金型20として上記金型Aを採用し、直径D1を40mmに設定し、成形工程における高速区間の射出速度を3.5m/sに設定した際のガス検出体2の平均移動距離を示している。
図4に示される一点鎖線のグラフ203は、金型20として、アルミ製品重量が約400gとなるような容量を有するキャビティ21が2個設けられたアルミダイカスト用金型Bを採用し、直径D1を30mmに設定し、成形工程における高速区間の射出速度を2.0m/sに設定した際のガス検出体2の平均移動距離を示している。図4に示される二点鎖線のグラフ204は、金型20として上記金型Bを採用し、直径D1を30mmに設定し、成形工程における高速区間の射出速度を3.5m/sに設定した際のガス検出体2の平均移動距離を示している。図4のグラフ201〜204と、金型20等の実験条件との対応関係をまとめると図5のようになる。
なお、本実験においては、金型Aあるいは金型Bに設けられた2つのキャビティ21にそれぞれチルベント22が対応するように2つのチルベント型23を用いている。
図4に示されるように、W/D12が0.013以下の場合には、金型20の種類や射出速度に依存せず、ガス検出体2はエアー100の衝突によって鉛直方向に持ち上がっている。従って、ガス検出体2の重量(単位:グラム)を、当該ガス検出体2と隣接する第1の孔14aの直径D1(単位:ミリメートル)の自乗に0.013を乗じた値以下に設定することによって、キャビティ21の容量や成形工程における射出速度に変更があった場合であっても、ガス検出体2の重量Wを変更することなくチルベント22の異常を適切に検出することができる。その結果、成形品の生産コストの増大を抑制できる。
また、ガス検出体2の移動を確実に検出するためには、ガス検出体2は10mm以上移動することが望ましいことが経験的に分かっている。従って、ガス検出体2の重量(単位:グラム)を、直径D1(単位:ミリメートル)の自乗に0.010を乗じた値以下に設定する方がより好ましい。
実施の形態3.
図6は本発明の実施の形態3に係るチルベント異常検出装置40の構造を示す断面図である。本実施の形態3に係るチルベント異常検出装置40は、上述の実施の形態1に係るチルベント異常検出装置1において、センサー41及び異常判定部42を更に備えるものである。本チルベント異常検出装置40は、チルベント異常検出装置1と同様に、図1に示されるチルベント型23に接続され、チルベント22の異常を検出する。
図6は本発明の実施の形態3に係るチルベント異常検出装置40の構造を示す断面図である。本実施の形態3に係るチルベント異常検出装置40は、上述の実施の形態1に係るチルベント異常検出装置1において、センサー41及び異常判定部42を更に備えるものである。本チルベント異常検出装置40は、チルベント異常検出装置1と同様に、図1に示されるチルベント型23に接続され、チルベント22の異常を検出する。
センサー41は、ガス検出体2の移動距離を検出するセンサーであって、例えばレーザ式測長センサーである。センサー41は、図示しない射出成形機での1ショット毎にガス検出体2の移動距離を検出することが可能である。図6に示されるように、センサー41は、ガス検出体2の上方において天板7の底面に取り付けられている。
異常判定部42は、センサー41で検出されたガス検出体2の移動距離に基づいて、チルベント22の異常を示す異常検出信号ERRを出力する。例えば、異常判定部42は、センサー41で検出されたガス検出体2の移動距離が所定のしきい値以下の場合に異常検出信号ERRを射出成形機に出力する。射出成形機は、異常検出信号ERRを受け取ると、その動作を停止してキャビティ21への射出成形用材料の注入を停止したり、オペレータに警報を発する。なお、異常検出信号ERRを射出成形機以外の装置に出力して、当該装置が警報を発しても良い。
このように本実施の形態3に係るチルベント異常検出装置40では、ガス検出体2の移動距離を検出するセンサー41が設けられているため、当該センサー41での検出結果を利用してチルベント22の異常を正確かつ簡単に検出できる。
また、本実施の形態3では、異常判定部42からは異常検出信号ERRが出力されるため、当該異常検出信号ERRを利用することによって、チルベント22が異常なときに自動的に警報を鳴らしたり、射出成形用材料をキャビティ21に供給する射出成形機の動作を自動的に停止することができる。従って、前回の成形工程における射出成形材料がチルベント22内に詰まった状態で新たに射出成形されることを確実に防止できる。
なおセンサー41としては、レーザ式測長センサー以外にも、LED式測長センサー等の光線式センサーや、超音波式測長センサーなどを採用しても良い。また、接触式センサーを採用しても良い。
実施の形態4.
図7は本発明の実施の形態4に係るチルベント異常検出装置50の構造を示す断面図である。図7に示されるように、本実施の形態4に係るチルベント異常検出装置50は、実施の形態1に係る支持部3と、一定温度に加熱された金属体51と、当該金属体51を部分的に収納して保持するケース52と、測定部53とを備えている。
図7は本発明の実施の形態4に係るチルベント異常検出装置50の構造を示す断面図である。図7に示されるように、本実施の形態4に係るチルベント異常検出装置50は、実施の形態1に係る支持部3と、一定温度に加熱された金属体51と、当該金属体51を部分的に収納して保持するケース52と、測定部53とを備えている。
金属体51は、例えば純ニッケルから成る金属細線であって、その周囲には図示しないニッケルクロム製の加熱素子が巻きつけられている。この加熱素子の働きによって、金属体51は常温よりも高い一定温度に加熱保持されている。
ケース52は、それから露出している金属体51が支持部3に設けられた通過孔14の上方に位置するように、支持部3の鍔部5の上面上に取り付けられている。従って、金属体51は、チルベント22から排出される不要なエアー100が衝突する位置に配置されている。
測定部53は、金属体51の電気抵抗の変化を測定する。チルベント22から排出されるエアー100が一定温度に加熱された金属体51に衝突すると、当該金属体51では熱損失が生じる。金属体51で熱損失が生じると、当該金属体51の電気抵抗が変化する。そして、金属体51での熱損失はエアー100の流速に依存することから、チルベント22が詰まりがなく適切に不要なエアー100が排出する場合には、金属体51の電気抵抗は大きく変化し、チルベント22に詰まりが発生し当該チルベント22が適切にエアー100を排出できない場合には、金属体51の電気抵抗の変化は小さい。よって、測定部53において金属体51での電気抵抗の変化を測定することによって、チルベント22の異常を判定することができる。
本実施の形態1に係る測定部53は、測定した金属体51の電気抵抗の変化に基づいて、チルベント22の異常を示す異常検出信号ERRを出力する。例えば測定部53は、金属体51の電気抵抗の変化量が所定のしきい値以下の場合には異常検出信号ERRを図示しない射出成形機に出力する。射出成形機は、異常検出信号ERRを受け取ると、その動作を停止してキャビティ21への射出成形用材料の注入を停止したり、オペレータに警報を発する。なお、異常検出信号ERRを射出成形機以外の装置に出力して、当該装置が警報を発しても良い。また、金属体51の電気抵抗の変化は小さいため、測定部53は、精密測定が可能なホイートストンブリッジ回路等で構成する。
このように本実施の形態4では、金属体51の電気抵抗の変化を測定することによってチルベント22の異常を検出することができる。従って、特段の動力手段を用いることなくチルベント22の異常を簡単に検出することができる。更に、機械的に作動する部分を必要としないため、本チルベント異常検出装置50のメンテナンスを簡素化できる。
また、本実施の形態4では、測定部53からは異常検出信号ERRが出力されるため、当該異常検出信号ERRを利用することによって、チルベント22が異常なときに自動的に警報を鳴らしたり、射出成形用材料をキャビティ21に供給する射出成形機の動作を自動的に停止することができる。従って、前回の成形工程における射出成形材料がチルベント22内に詰まった状態で新たに射出成形されることを確実に防止できる。
また、キャビティ21内に射出成形材料を注入している最中に金属体51の電気抵抗の変化を測定し、その測定結果に基づいてチルベント22の異常を判定するといったチルベント異常検出方法を採用することによって、特段の動力手段を用いることなくチルベント22の異常を簡単に検出できる。
なお、チルベント22から不要なエアー100が排出される際、当該チルベント22内に残留している射出成形用材料も当該チルベント22から噴出される場合がある。本実施の形態4に係るチルベント異常検出装置50では、金属体51が露出しているため、チルベント22から噴出された射出成形材料が金属体51に衝突し、金属体51が損傷することがある。
そこで、図8に示されるように、金属体51の露出している部分を覆い、表面にエアー100の通気孔61aを複数有する保護部材61を設けることによって、金属体51の損傷を防止することができる。例えば、保護部材61はステンレス製の管状部材で構成することができる。
1,40,50 チルベント異常検出装置、2 ガス検出体、3 支持部、14 通過孔、14a 第1の孔、21 キャビティ、22 チルベント、41 センサー、42 異常判定部、51 金属体、53 測定部、61 保護部材、61a 通気孔、100 エアー、D1 直径。
Claims (13)
- 射出成形用材料が注入されるキャビティ内のエアーを排出するチルベントの異常を検出するチルベント異常検出装置であって、
前記チルベントから排出されるエアーが衝突する位置に配置され、当該エアーの衝突により移動可能なガス検出体を備える、チルベント異常検出装置。 - 請求項1に記載のチルベント異常検出装置であって、
前記ガス検出体は樹脂で形成されている、チルベント異常検出装置。 - 請求項1に記載のチルベント異常検出装置であって、
前記チルベントから排出されるエアーが通過する通過孔を有し、前記ガス検出体を下方から支持する支持部を更に備え、
前記ガス検出体には前記通過孔を通過する前記エアーが下方から衝突し、それによって、前記ガス検出体は鉛直方向に移動可能である、チルベント異常検出装置。 - 請求項3に記載のチルベント異常検出装置であって、
前記ガス検出体は球状である、チルベント異常検出装置。 - 請求項3に記載のチルベント異常検出装置であって、
前記ガス検出体の重量(単位:グラム)は、前記通過孔における前記ガス検出体と隣接する部分の直径(単位:ミリメートル)の自乗に0.013を乗じた値以下に設定されている、チルベント異常検出装置。 - 請求項5に記載のチルベント異常検出装置であって、
前記ガス検出体の重量(単位:グラム)は、前記直径(単位:ミリメートル)の自乗に0.010を乗じた値以下に設定されている、チルベント異常検出装置。 - 請求項1に記載のチルベント異常検出装置であって、
前記ガス検出体の移動距離を検出するセンサーを更に備える、チルベント異常検出装置。 - 請求項7に記載のチルベント異常検出装置であって、
前記センサーで検出された前記移動距離に基づいて前記チルベントの異常を示す異常検出信号を出力する異常判定部を更に備える、チルベント異常検出装置。 - 射出成形用材料が注入されるキャビティ内の不要なエアーを排出するチルベントの異常を検出するチルベント異常検出装置であって、
前記チルベントから排出されるエアーが衝突する位置に配置され、一定温度に加熱された金属体と、
前記金属体の電気抵抗の変化を測定する測定部と
を備える、チルベント異常検出装置。 - 請求項9に記載のチルベント異常検出装置であって、
前記測定部は、測定した前記金属体の電気抵抗の変化に基づいて前記チルベントの異常を示す異常検出信号を出力する、チルベント異常検出装置。 - 請求項9に記載のチルベント異常検出装置であって、
前記金属体を覆い、表面に前記エアーの通気孔を有する保護部材を更に備える、チルベント異常検出装置。 - (a)チルベントが接続されたキャビティ内に射出成形用材料を注入する工程と、
(b)前記射出成形用材料の注入によって前記キャビティ内から押し出されて前記チルベントから排出されるエアーが衝突する位置に配置されたガス検出体の移動を、前記工程(a)の実行中に検出する工程と、
(c)前記工程(b)で得られる検出結果に基づいて前記チルベントの異常を判定する工程と
を備える、チルベント異常検出方法。 - (a)チルベントが接続されたキャビティ内に射出成形用材料を注入する工程と、
(b)前記射出成形用材料の注入によって前記キャビティ内から押し出されて前記チルベントから排出されるエアーが衝突する位置に配置され、一定温度に加熱された金属体の電気抵抗の変化を、前記工程(a)の実行中に測定する工程と、
(c)前記工程(b)で得られる測定結果に基づいて前記チルベントの異常を判定する工程と
を備える、チルベント異常検出方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2005
- 2005-03-25 JP JP2005088002A patent/JP2006263792A/ja active Pending
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