JP2006262439A - Pll回路を内蔵する通信用半導体集積回路 - Google Patents

Pll回路を内蔵する通信用半導体集積回路 Download PDF

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Abstract

【課題】 オフセットPLL方式の送信回路を有する高周波ICにおいて、中間周波数の信号を生成するIFVCOが不要であるとともに、フラクショナルPLLのような複雑な分周制御回路を必要とせずに所望の周波数帯の送受信信号の変復調を行なうことができ、それによってチップサイズを低減させることが可能な回路技術を提供する。
【解決手段】 送信回路と受信回路に共通のローカル発振信号を生成するRFVCOを含むRF−PLL(263)に、基準となる発振信号を分周する分周回路(266)と自らの発振信号を分周してフィードバックする分周回路(267)としてそれぞれ整数で表わされる分周比で分周可能な可変分周回路を設けるとともに、上記RF−PLLで生成されたローカル発振信号を分周して送信回路で必要な中間周波数の信号を生成する分周回路(231)を設け、上記可変分周回路の分周比をそれぞれ送信周波数または受信周波数に応じて適宜切り替えるようにした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電圧制御発振回路(VCO)を含むPLL(フェーズ・ロックド・ループ)回路を内蔵する高周波用半導体集積回路に適用して有効な技術に関し、例えば携帯電話機のような無線通信装置において送信信号を変調したりアップコンバートしたりする通信用半導体集積回路に利用して有効な技術に関する。
携帯電話機のような無線通信システムにおいては、受信信号や送信信号に高周波の局部発振信号を合成して周波数のダウンコンバートやアップコンバートを行なったり、送信信号の変調や受信信号の復調を行なう通信用半導体集積回路(以下、高周波ICと称する)が用いられている。かかる高周波ICにおいて、送信I,Q信号を中間周波数の搬送波で直交変調するとともに、送信用VCOの出力側からの帰還信号をRFVCOからの高周波発振信号とミキシングすることで周波数差(オフセット)に相当する中間周波数の信号にダウンコンバートした後、該信号と上記直交変調後の信号とを位相比較して位相差に応じて送信用VCOを制御するオフセットPLL方式がある。
かかるオフセットPLL方式の高周波ICには、送信用VCOとRFVCOの他に中間周波数の搬送波を生成するIFVCOが必要である。VCOは比較的広い占有面積を必要とするため、従来の高周波ICにおいては外付けのVCOを用いるものが多かった。しかしながら、外付けのVCOを用いると部品点数が多くなり小型化の妨げとなる。そこで、VCOをチップに内蔵させることが提案されているが、上記3つのVCOをすべてチップに内蔵させるとチップサイズが増大し、チップコストの上昇をもたらすことになる。
一方、近年の携帯電話機においては、例えば880〜915MHz帯のGSM(Global System for Mobile Communication)と1710〜1785MHz帯のDCS(Digital Cellular System)のような2つの周波数帯の信号を扱えるデュアルバンド方式の携帯電話機がある。また、最近は、GSMやDCSの他に例えば1850〜1915MHz帯のPCS(Personal Communication System)の信号を扱えるトリプルバンド方式の携帯電話機に対する要求があり、携帯電話機は今後さらに多くの方式に対応できるものが要求されると予想さる。このような複数の方式に対応できる携帯電話機に使用される電圧制御発振回路(VCO)は発振周波数範囲が広いことが必要である。
ここで、一つのVCOで全ての周波数に対応しようとすると、VCOの制御電圧に対する発振周波数の感度(以下、制御感度と称する)が高くなり外来ノイズや電源電圧変動に弱くなるという不具合がある。そこで、VCOを複数(例えば16個)の周波数帯に切り替えて使用できるようにすることによって、所望の発振周波数範囲を保持しつつVCOの制御感度を低減できるようにした発明が提案されている(特許文献1)。
特開2003−152535号;英国出願0127537.9 特開2002−353843号
VCOを内蔵した高周波ICのチップサイズを小さくするための手法として、RFVCOとIFVCOを共通化してVCOの数を減らす、具体的にはRFVCOの発振信号を分周して中間周波数の信号を生成することでIFVCOを削減する技術がある。しかしながら、VCOを含むPLLループ内の可変分周器(カウンタ)として整数の分周比を設定すれば良いものであれば、比較的簡単なロジック回路により分周比を設定することができるが、整数の分周比を設定した場合には基準信号の周波数と同じ周波数間隔でしか発振周波数を切り替えることができない。一方、RFVCOとIFVCOを共通化した場合には、より細かな発振周波数の切り替えが必要になるため、小数を含む分周比で可変分周器を動作させなければならない。
ところが、小数を含む分周比を設定するロジック回路を高周波ICに内蔵させようとすると、ロジック回路の規模が大きくなってチップサイズの低減の妨げとなる。そこで、発振器と該発振器の発振信号を整数部Iと分数部F/Gとで表される分周比(I+F/G)で分周可能な可変分周器とを有する発振回路を備えた通信用半導体集積回路において、外部から供給される使用周波数帯に関する情報に基づいて整数部Iと分数部F/Gを生成する分周比生成回路を有し、該分周比算出回路により算出された分周比により前記可変分周器を動作させるように構成したフラクショナルPLLをRF−PLLとして用いることで中間周波数の信号を生成するIFVCOを省略した発明が本出願人により提案されている(特願2004−214020号)。しかしながら、フラクショナルPLLを用いた高周波ICはIFVCOが不要となるという利点を有するが、分周比生成回路が比較的規模の大きな回路であるため、充分な小型化を達成することができないという不具合がある。
また、送信部と受信部とで共通のVCOを用いるようにした無線通信機に関する発明としては例えば特許文献2に記載の発明もある。しかしながら、特許文献2に記載の発明は、本発明とは送信信号の変調方式が異なる(オフセットPLL方式でない)無線通信機に関するものである。
この発明の目的は、中間周波数の信号を直交変調した後、出力送信信号のフィードバック信号をダウンコンバートした信号と位相比較して送信用発振回路を制御するオフセットPLL方式の送信回路を有する通信用半導体集積回路(高周波IC)において、中間周波数の信号を生成するIFVCOが不要であるとともに、フラクショナルPLLのような複雑な分周制御回路を必要とせずに所望の周波数帯の送受信信号の変復調を行なうことができ、それによってチップサイズを低減させることが可能な回路技術を提供することにある。
この発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴については、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を説明すれば、下記のとおりである。
すなわち、中間周波数の信号を直交変調した後、出力送信信号のフィードバック信号をダウンコンバートした信号と位相比較して送信用発振回路を制御するオフセットPLL方式の送信回路を有する通信用半導体集積回路(高周波IC)において、送信回路と受信回路に共通のローカル発振信号を生成するRFVCOを含むRF−PLLに、基準となる発振信号を分周する分周回路と自らの発振信号を分周してフィードバックする分周回路としてそれぞれ整数で表わされる分周比で分周可能な可変分周回路を設けるとともに、上記RF−PLLで生成されたローカル発振信号を分周して送信回路で必要な中間周波数の信号を生成する分周回路を設け、上記可変分周回路の分周比をそれぞれ送信周波数または受信周波数に応じて適宜切り替えるように構成したものである。
上記した手段によれば、RF−PLLに含まれる上記2つの可変分周回路の分周比をそれぞれ送信周波数または受信周波数に応じて適宜切り替えるだけで所望の中間周波数の信号を生成することができるため、中間周波数の信号を生成するIFVCOが不要であるとともに、フラクショナルPLLのような複雑な分周制御回路を必要とせずに所望の周波数帯の送受信信号の変復調を行なうことが可能になる。
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
すなわち、本発明に従うと、中間周波数の信号を生成するIFVCOが不要であるとともに、フラクショナルPLLのような複雑な分周制御回路を必要とせずに所望の周波数帯の送受信信号の変復調を行なうことができ、それによってRF−PLLを備えたオフセットPLL方式の送信回路を有する通信用半導体集積回路(高周波IC)のチップサイズを低減させることができる。
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用したマルチバンド方式の通信用半導体集積回路装置(高周波IC)とそれを用いた無線通信システムの一例を示す。
図1に示されているように、本実施例の無線通信システムは、信号電波の送受信用アンテナ100、送受信切り替え用のアンテナスイッチ110、受信信号から不要波を除去するSAWフィルタなどからなる高周波フィルタ120a〜120d、送信信号を増幅する高周波電力増幅回路(パワーモジュール)130、受信信号を復調したり送信信号を変調したりする高周波IC200、送信すべき音声信号やデータ信号を基本波に対し同相成分のI信号および直交成分のQ信号に変換したり復調された受信I,Q信号を音声信号やデータ信号に変換するなどのベースバンド処理を行なったり高周波IC200を制御する信号を送ったりするベースバンド回路300などで構成される。
特に制限されるものでないが、この実施例の高周波IC200は、GSM850とGSM900、DCS1800、PCS1900の3つの通信方式による4つの周波数帯の信号の変復調が可能に構成されている。また、これに応じて、高周波フィルタは、PCS1900の周波数帯の受信信号を通過させるフィルタ120aと、DCS1800の周波数帯の受信信号を通過させるフィルタ120bと、GSM系の周波数帯の受信信号を通過させるフィルタ120c,120dとが設けられている。
本実施例の高周波IC200は、大きく分けると、受信系回路RXCと、送信系回路TXCと、それ以外の制御回路やクロック生成回路など送受信系に共通の回路からなる制御系回路CTCとで構成される。
受信系回路RXCは、PCS、DCS、GSMの各周波数帯の受信信号をそれぞれ増幅するロウノイズアンプ211a,211b,211c,211dと、後述の高周波発振回路(RFVCO)262で生成された局部発振信号φRFを分周し互いに90°位相がずれた直交信号を生成する分周移相回路210と、ロウノイズアンプ211a,211b,211c,211dで増幅された受信信号に分周移相回路210で生成された直交信号をミキシングすることで復調およびダウンコンバートを行なうミキサ212a,212bと、復調されたI,Q信号をそれぞれ増幅してベースバンド回路300へ出力する高利得増幅部220A,220Bなどからなる。本実施例の受信系回路RXCは、受信信号を直接ベースバンドの周波数帯の信号にダウンコンバートするダイレクトコンバージョン方式を採用している。
高利得増幅部220Aは、複数のロウパスフィルタLPF11,LPF12,LPF13,LPF14と利得制御アンプPGA11,PGA12,PGA13とが交互に直列形態に接続され、最終段にアンプAMP1が接続された構成を有しており、復調されたI信号を増幅してベースバンド回路300へ出力する。高利得増幅部220Bも同様に、複数のロウパスフィルタLPF21,LPF22,LPF23,LPF24と利得制御アンプPGA21,PGA22,PGA23とが交互に直列形態に接続され、最終段にアンプAMP2が接続された構成を有しており、復調されたQ信号を増幅してベースバンド回路300へ出力する。高利得増幅部220A,220Bには利得制御アンプPGAの入力DCオフセットをキャンセルするためのオフセットキャンセル回路213が設けられる。
制御系回路CTCには、チップ全体を制御する制御回路(コントロールロジック)260と、基準となる発振信号φref を生成する基準発振回路(DCXO)261、周波数変換用の高周波発振信号φRFを生成する局部発振回路としての高周波発振回路(RFVCO)262、該高周波発振回路(RFVCO)262と共にRF−PLL回路を構成するRFシンセサイザ263、RFVCO262により生成された発振信号φRF を分周して受信系回路RXCの分周移相回路210に供給する分周回路264やRFVCO262により生成された発振信号φRF を分周して送信系回路TXCのオフセットミキサ235に供給する分周回路265などが設けられている。
RFVCO262は、LC共振型発振回路などで構成され、LC共振回路を構成する容量素子が各々スイッチ素子を介して複数個並列に設けられ、そのスイッチ素子をバンド切り替え信号で選択的にオンさせることにより、接続される容量素子すなわちLC共振回路のCの値を切り替えることで発振周波数を段階的に切り替えることができるように構成されている。また、RFVCO262は、RFシンセサイザ263内のループフィルタ269からの電圧によって可変容量素子の容量値が変化され、発振周波数が連続的に変化される。
分周回路264,265は、制御回路260からの信号によって制御され、ロウバンドすなわちGSM方式に従った送受信を行なうGSMモードと、ハイバンドすなわちDCSまたはPCS方式に従った送受信を行なうDCS/PCSモードとで分周比が切り替えられて、供給する信号の周波数を選択することができるようにされる。
制御回路260には、ベースバンド回路300から同期用のクロック信号CLKと、データ信号SDATAと、制御信号としてのロードイネーブル信号LENとが供給されており、制御回路260は、ロードイネーブル信号LENが有効レベルにアサートされると、ベースバンド回路300から伝送されてくるデータ信号SDATAをクロック信号CLKに同期して順次取り込んで、データ信号SDATAに含まれるコマンドに応じてチップ内部の制御信号を生成する。特に制限されるものでないが、データ信号SDATAはシリアルで伝送される。
なお、基準発振回路261により生成される基準発振信号φrefは周波数精度の高いことが要求されるため、基準発振回路261には外付けの水晶振動子Xtalが接続される。基準発振信号φrefとしては、例えば19.2MHzのような周波数が選択される。RFシンセサイザ263は、基準発振回路261からの基準発振信号φrefを1/R(Rは正の整数)に分周する可変分周回路266やRFVCO262からのフィードバック信号φFBを1/N(Nは正の整数)に分周する可変分周回路267、分周された2つの信号φref’と信号φFB’の位相を比較して位相差を検出する位相比較回路268、該位相比較回路268の出力に応じた電圧を生成するループフィルタ269などで構成される。
特許文献1に記載されているような従来のRF−PLLにおいては、基準発振信号φrefとして26MHzを選択しこれを可変分周回路(266)が65分周して、400kHz(固定)の信号として位相比較回路(268)へ供給するようにされていた。これに対して、本実施例のRF−PLLにおいては、基準発振信号φrefとして19.2MHzを選択し、これを可変分周回路266がモード(GSMまたはDCS,PCS)とバンド(送受信周波数帯)に応じて、"44","46"または"48"のいずれかの分周比でφrefの周波数を1/44,1/46または1/48にして、可変周波数の基準信号として位相比較回路268へ供給するように構成されている。
本実施例おいて、上記のように可変分周回路266の分周比Rが"44","46"または"48"のいずれかとされる理由は、RFVCOの可変周波数範囲を狭くするためである。RFVCOの可変周波数範囲が広いと、可変容量素子(バラクタダイオード)などの構成素子のサイズが大きくなったりオンチップの素子を使用できなくなったりして小型化が困難になるが、RFVCOの可変周波数範囲が狭いと小型化が容易になるという利点がある。
分周比が1/Nで表わされている可変分周回路267は、RFVCO262の発振信号φRFを分周するプリスケーラと、該プリスケーラで分周された信号をさらに分周する第1カウンタ(Nカウンタ)および第2カウンタ(Aカウンタ)からなるモジュロカウンタとにより構成することができる。プリスケーラとモジュロカウンタによる発振信号の分周の仕方は既に公知の技術である(例えば特許文献1)。
かかる可変分周回路において、プリスケーラは、例えば47分周と48分周のように、分周比の異なる2種類の分周が可能に構成されており、Aカウンタのカウント終了信号で一方の分周比から他方への切り替えが行なわれる。NカウンタとAカウンタはプログラマブルカウンタで、Nカウンタには、所望の周波数(出力として得たいVCOの発振周波数fRFを基準発振信号の分周信号φref’の周波数fref’とプリスケーラの第1の分周比(例えば64)とで割り算したときの整数部が、またAカウンタには、その余り(MOD)が設定され、各カウンタはその設定された値を計数するとカウント動作を終了し、再度設定値のカウントを行なう。
具体的には、例えば基準発振信号φrefを分周回路266で分周した信号φref’の周波数fref’が400kHzで、所望のVCOの発振周波数fRFが3789.6MHzの場合を考えると、3789.6÷0.4÷47=201余り27であるので、Nカウンタに設定される値"N"は「201」で、Aカウンタに設定される値"A"は「27」である。それぞれのカウンタにこのような値が設定された状態でプリスケーラとモジュロカウンタが動作すると、プリスケーラは先ずRFVCO262の発振信号φFBを47分周し、その出力をAカウンタが設定値の「27」まで計数すると、Aカウンタからカウント終了信号が出力され、この終了信号によってプリスケーラの動作(分周比)が「48」に切り替えられ、再びAカウンタが設定値の「27」を計数するまでプリスケーラはRFVCO262の発振信号を48分周する。
このような動作をすることによって、モジュロカウンタは整数比でなく、小数部を有する比で発振信号の分周を行なうことができるようになる。実施例のPLL回路は、Nカウンタの出力の周波数が基準発振信号の分周信号φref’の周波数fref’(400kHz)と一致するようにフィードバックがかかってRFVCO262が発振制御されるため、Nカウンタに設定される値"N"が「201」で、Aカウンタに設定される値"A"が「27」である上記具体例の場合には、RFVCO262の発振周波数fRFは、
fRF=(47×201+27)×fref’=9474×400=3789600
より、3789.6MHzとなる。
なお、NカウンタとAカウンタは実際にはバイナリカウンタで構成されるので、Nカウンタに設定される値"N"とAカウンタに設定される値"A"はそれぞれバイナリコードであり、ベースバンド回路300からのバンド情報とチャネル情報に従って制御回路260が生成してNカウンタとAカウンタにそれぞれ与えるようにされる。
送信系回路TXCは、RFVCO262により生成された発振信号φRF を分周して中間周波数の発振信号φIFを生成する分周回路231、該分周回路231で分周された信号をさらに分周しかつ互いに90°位相がずれた直交信号を生成する分周移相回路232、生成された直交信号をベースバンド回路300から供給されるI信号とQ信号により変調をかけるミキサからなる変調回路233a,233b、変調された信号を合成する加算器234と、所定の周波数の送信信号φTXを発生する送信用発振回路(TXVCO)240、送信用発振回路(TXVCO)240の出力側から取り出されたフィードバック信号と前記高周波発振回路(RFVCO)262で生成された高周波発振信号φRFを分周した信号φRF’とをミキシングすることでそれらの周波数差に相当する周波数の信号を生成するオフセットミキサ235、該オフセットミキサ235の出力と前記加算器234で合成された信号TXIFとを比較して位相差を検出する位相比較回路236、該位相検出回路236の出力に応じた電圧を生成するループフィルタ237、送信用発振回路(TXVCO)234の出力を分周してGSMの送信信号とする分周回路238、送信出力用バッファ回路239a,239bなどから構成されている。
この実施例の送信系回路は、送信I,Q信号で中間周波数の搬送波を直交変調するとともに、TXVCO240の出力側からの帰還信号をRFVCO262の高周波発振信号φRFを分周した 信号φRF’とミキシングすることで周波数差(オフセット)に相当する中間周波数の信号にダウンコンバートした後、該信号と上記直交変調後の信号とを位相比較して位相差に応じてTXVCO240を制御するオフセットPLL方式を採用している。位相検出回路236と、ループフィルタ237、TXVCO240およびオフセットミキサ235によって周波数変換(アップコンバート)を行なう送信用PLL回路(TX−PLL)が構成される。また、オフセットミキサ235にフィードバックする信号を取り出す位置を、GSMモードかDCS/PCSモードかに応じてTXVCO240の出力側か分周回路238の出力側かを切り替えるスイッチ241が設けられており、GSMモードのときは分周回路238の出力側が選択される。
本実施例のマルチバンド方式の無線通信システムでは、例えばベースバンド回路300からの指令によって制御回路260が、送受信時に使用バンドおよびチャネルに応じてRF−PLLの分周回路の分周比R,Nを設定すると共に、GSMモードかDCS/PCSモードかに応じて分周回路264,265の分周比を切り替えることで、高周波発振回路(RFVCO)262から受信系回路RXCや受信系回路TXCに供給される発振信号の周波数が変更されて送受信の周波数の切り替えが行なわれる。
RFVCO262の発振周波数は、受信モードと送信モードで、またGSM850とGSM900とDCSとPCSで異なる値に設定され、生成された発振信号φRFが分周回路264でGSMの場合は1/2に分周されて、またDCSとPCSの場合はそのまま分周移相回路210へ供給される。また、RFVCO262の発振信号φRFは、分周回路265でGSMの場合は1/4に分周されて、またDCSとPCSの場合は1/2に分周されて、φRF’としてオフセットミキサ235に供給される。
オフセットミキサ235では、このφRF’とTXVCO240からの送信用発振信号φTXの周波数の差(fRF’−fTX)に相当する差信号が出力されて位相比較器236へ供給され、この差信号の周波数が変調信号TXIFの周波数と一致するように送信用PLL(TX−PLL)が動作する。言いかえると、TXVCO240は、RFVCO262からの発振信号φRF’の周波数(fRF/4またはfRF/2)と変調信号TXIFの周波数(fTX)の差に相当する周波数で発振するように制御される。
次に、上記実施例の無線通信システムにおけるRFVCO262の具体的な周波数の設定例を、図2を用いて説明する。
この例では、基準発振回路(DCXO)261により生成される基準発振信号φrefとしては19.2MHzのような周波数が選択され、基準発振信号φrefを分周する可変分周回路266の分周比"R"は、ロウバンドの送信時に"44"、ハイバンドの送信時に"46"、受信時には使用バンドにかかわらず"48"に設定される。これより、位相比較回路268に供給される基準信号φref’の周波数は、それぞれ436.4kHz,417.4kHz,400kHzとなる。
一方、高周波発振回路(RFVCO)262により生成される発振信号φRFは、送信時には3566.4〜3993.6MHzのような周波数範囲で、また受信時には3476〜3980MHzのような周波数範囲で選択されるように、使用バンドおよびチャネル情報に応じて発振信号φRFを分周する可変分周回路267の分周比"N"が設定される。これより、高周波発振回路(RFVCO)262のトータルの可変周波数範囲は417.6(=3993.6−3476)MHz、従ってRFVCOとしては発振周波数を13.9%可変できるものであれば良いことが分かる。
中間周波数の信号φIFを生成する分周回路231の分周比NIFは、"48"に固定であり、これにより中間周波数信号φIFの周波数fIFは、ロウバンドの送信時には74.9〜83.2MHz、ハイバンドの送信時に74.3〜83.0MHzの範囲に設定される。さらに、分周回路265の分周比は、ロウバンドの送信時には"4"、ハイバンドの送信時に"2"に設定される。分周回路231と分周回路265は同一の信号φRFを分周するので、RFVCOから分周回路265を介してオフセットミキサ235へ供給される信号の周波数は12fIFと24fIFとなる。
オフセットミキサ235の出力信号の周波数は送信信号と分周回路265からの信号の周波数差であり、それが中間周波数信号φIFの周波数fIFに等しいつまりfTX+fIF=12fIF,fTX+fIF=24fIFであるため、fTX=11fIF,fTX=23fIFで表わされる。これより、ロウバンドの送信時の送信信号の周波数fTXは823.9〜915.2MHz、ハイバンドの送信時の送信信号の周波数fTXは1708.9〜1909MHzとなる。
次に、上記実施例の無線通信システムにおけるRFVCO262の具体的な周波数の他の設定例を、図3を用いて説明する。
この例では、基準発振回路261により生成される基準発振信号φrefとしては38.4MHzのような周波数が選択され、基準発振信号φrefを分周する可変分周回路266の分周比"R"は、ロウバンドの送信時に"84"、ハイバンドの送信時に"90"、受信時には使用バンドにかかわらず"96"に設定される。これより、位相比較回路268に供給される基準信号φref’の周波数は、それぞれ457.1kHz,426.7kHz,400kHzとなる。
一方、高周波発振回路(RFVCO)262により生成される発振信号φRFは、送信時には3648.0〜4182.4MHzのような周波数範囲で、また受信時には3476〜3980MHzのような周波数範囲で選択されるように、使用バンドおよびチャネル情報に応じて発振信号φRFを分周する可変分周回路266の分周比"N"が設定される。これより、高周波発振回路(RFVCO)262のトータルの可変周波数範囲は706.4(=4182.4−3476)MHz、従ってRFVCOとしては発振周波数を18.4%可変できるものであれば良いことが分かる。
中間周波数の信号φIFを生成する分周回路231の分周比NIFは、"32"に固定であり、これにより中間周波数信号φIFの周波数fIFは、ロウバンドの送信時には117.7〜130.7MHz、ハイバンドの送信時に114.0〜127.3MHzの範囲に設定される。さらに、分周回路265の分周比は、ロウバンドの送信時には"4"、ハイバンドの送信時に"2"に設定され、オフセットミキサ235に供給される信号の周波数は8fIFと16fIFとなる。
オフセットミキサ235の出力信号の周波数は送信信号と分周回路265からの信号の周波数差であり、それが中間周波数信号φIFの周波数fIFに等しいつまりfTX+fIF=8fIF,fTX+fIF=16fIFであるため、fTX=7fIF,fTX=15fIFで表わされる。これより、ロウバンドの送信時の送信信号の周波数fTXは823.9〜914.9MHz、ハイバンドの送信時の送信信号の周波数fTXは1710〜1909.5MHzとなる。
なお、上記RF−PLL内の可変分周回路266と267並びにIF用分周回路231を、それぞれ前記第1の周波数プラン(図2)における分周比と第2の周波数プラン(図3)における分周比のいずれの分周比でも分周動作できるように構成しておくようにしても良い。これにより、基準発振信号φrefとして19.2MHzと38.4MHzのいずれの周波数の発振信号も使えるようになり、ユーザーの使い勝手が良くなるという利点がある。
図4は、本発明を適用した通信用半導体集積回路装置(高周波IC)とそれを用いた無線通信システムの第2の実施例を示す。図4により分かるように、本実施例はシングルバンド方式すなわちGSMのような1つの通信方式に従った送受信が可能に構成された高周波ICとそれを用いた無線通信システムである。
マルチバンド方式の高周波ICとそれを用いた無線通信システムの構成を示す図1と比較すると明らかなように、本実施例では、受信回路側には高周波フィルタ120とロウノイズアンプ211が1系統のみ設けられ、送信回路側にも送信出力用バッファ回路239が1つだけ設けられているとともに、TXVCO240の後段の分周回路238は省略されている。また、RFVCO262で生成された発振信号φRFを分周して受信側のミキサ212と送信側のオフセットミキサ235へ供給する分周回路264,265は固定された分周比で分周動作するように構成される。
また、特に制限されるものでないが、この実施例では、RF−PLL263を構成する位相比較回路268はディジタル位相比較回路からなり、送信用PLL回路を構成する位相比較回路236はディジタル位相比較回路とアナログ位相比較回路を並列に設けたものが用いられ、高速なディジタル位相比較回路から高精度のアナログ位相比較回路への切替えが行なわれるように構成されている。それ以外は、図1の第1実施例と同様である。
本実施例においても、基準発振回路261は、19.2MHzまたは38.4MHzの周波数の基準発振信号φrefを生成するようにされる。RFVCO262の周波数やRF−PLL内の可変分周回路266の分周比"R"、中間周波数の信号φIFを生成する分周回路231の分周比NIFなどによって設定される周波数プランは、第1の実施例に準じて決定することができるので詳細な説明は省略する。
以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、前記実施例では、中間周波数の信号φIFを生成するIF用分周回路231の分周比NIFが固定である場合について説明したが、IF用分周回路231の分周比NIFを、例えば"47","48"または"49"のように切り替えることができるように構成しても良い。これにより、中間周波数の信号φIFの高調波が受信周波数帯の範囲に入ってしまうのを回避することができる。
中間周波数の信号φIFの高調波が受信周波数帯の範囲に入っていると、φIFの高調波が変調用のミキサ233や送信用VCO240を通って出力にスプリアスとして現われることになり、受信周波数帯への信号の漏れ量が大きくなって受信帯ノイズが仕様を満たさなくなるおそれがある。そこで、IF用分周回路231の分周比NIFを切り替えて中間周波数の信号φIFの高調波の周波数が受信周波数帯の範囲からはずれるようにすることで、受信周波数帯への信号の漏れの問題を回避することができる。これは基準発振信号φrefを分周する分周回路266についてもいえることである。
また、前記実施例では、基準発振信号φrefの周波数として、19.2MHzまたは38.4MHzを選択しているが、それに限定されるものでなく、RF−PLL内の可変分周回路266や267の分周比R,N、IF用分周回路231の分周比NIFを適当に設定することにより、26MHzや13MHzなど他の周波数を使用することも可能である。ただし、現在、日本で実用化されているWCDMA(ワイドバンドCDMA)方式の携帯電話機では、基準発振信号φrefの周波数として19.2MHzが主流となっているため、実施例のように19.2MHzまたは38.4MHzを選択することで、GSM方式とWCDMA方式の通信が可能なマルチバンドの携帯電話機を容易に構成することができる高周波ICを提供できるという利点がある。
さらに、前記実施例では、制御回路260がベースバンド回路300からのバンド情報とチャネル情報に基づいてRF−PLL内のカウンタ267に与える設定コード"N","A"を生成すると説明したが、バンド情報とチャネル情報の代わりに使用周波数情報をもらい高周波IC側において周波数情報からカウンタ267に与える設定コードを生成するようにしても良い。また、前記実施例では、基準発振回路として水晶振動子のみ外付け素子とされた発振回路が高周波ICに内蔵されているが、ディスクリートの部品である発振モジュールあるいはベースバンドICその他のICから所定の周波数(19.2MHzまたは38.4MHz)の基準発振信号φrefをもらうようにしても良い。
以上の説明では本発明を、GSM850,900方式とDCS1800方式とPCS1900の3つの方式に従った4つのバンドの通信が可能に構成されたクワッドバンド方式のシステムとGSM方式の通信のみ行なえるシングルバンド方式のシステムに適用した場合を説明したが、本発明はGSM方式とDCS方式またはPCSのいずれか2つの方式に従った通信が可能に構成されたデュアルバンド方式のシステムやGSM方式とDCS方式とPCSの3つの方式に従った通信が可能に構成されたトリプルバンド方式のシステム、さらにこれらにWCDMA方式に従った通信が可能に構成されたシステムにも利用することができる。
図1は、本発明を適用したマルチバンド方式の通信用半導体集積回路装置(高周波IC)とそれを用いた無線通信システムの一例を示すブロック図である。 図2は実施例の無線通信システムにおけるRFVCOの具体的な周波数の設定例を示す説明図である。 図3は実施例の無線通信システムにおけるRFVCOの具体的な周波数の他の設定例を示す説明図である。 図4は、本発明を適用した通信用半導体集積回路装置(高周波IC)とそれを用いた無線通信システムの第2の実施例を示すブロック図である。
符号の説明
100 アンテナ
110 送受信切り替え用スイッチ
120a〜120d 高周波フィルタ
130 高周波電力増幅回路(パワーモジュール)
200 高周波IC
211a〜211d ロウノイズアンプ
212a,212b 復調用ミキサ
220A,220B 高利得増幅回路
231 IF用分周回路
233a,233b 変調用ミキサ
235 オフセットミキサ
236 位相比較回路
237 ループフィルタ
238 分周回路
240 送信用発振回路(TXVCO)
260 制御回路
261 基準発振回路
262 高周波発振回路(RFVCO)
300 ベースバンド回路

Claims (11)

  1. 中間周波数の信号を直交変調した後、出力送信信号のフィードバック信号をダウンコンバートした信号と位相比較して送信用発振回路を制御するオフセットPLL方式の送信回路と、所定の周波数の発振信号を用いて受信信号を復調する受信回路と、前記送信回路と受信回路に共通の発振信号を生成する高周波発振回路を含むRF−PLL回路とを有する通信用半導体集積回路であって、
    前記RF−PLL回路は、基準となる発振信号を分周する第1可変分周回路と、前記高周波発振回路の発振出力信号を分周してフィードバックする第2可変分周回路と、前記第1可変分周回路と前記第2可変分周回路でそれぞれ分周された信号の位相差に応じた電圧を出力する位相差検出回路とを備え、該位相差検出回路の出力に応じて前記高周波発振回路の発振周波数が制御されるとともに、前記RF−PLLで生成された発振信号を分周して前記送信回路で必要な中間周波数の信号を生成する第1分周回路を備え、上記第1および第2可変分周回路の分周比がそれぞれ送信周波数または受信周波数に応じて適宜切り替えられるように構成されてなる通信用半導体集積回路。
  2. 前記第1可変分周回路と前記第2可変分周回路は、整数で表わされる分周比で分周動作することを特徴とする請求項1に記載の通信用半導体集積回路。
  3. 前記出力送信信号のフィードバック信号と所定の周波数の発振信号とを合成してダウンコンバートする周波数変換回路と、前記高周波発振回路により生成された発振信号を分周して前記周波数変換回路に供給される前記所定の周波数の発振信号を生成する第2分周回路とを備え、該第2分周回路の分周比は前記送信回路において送信に用いられる周波数帯に応じて変化されることを特徴とする請求項1に記載の通信用半導体集積回路。
  4. 前記RF−PLL回路を構成する前記第1可変分周回路と前記第2可変分周回路の分周比は送信または受信に用いる周波数帯に応じて変化されることを特徴とする請求項1に記載の通信用半導体集積回路。
  5. 前記第1分周回路の分周比は固定であることを特徴とする請求項1に記載の通信用半導体集積回路。
  6. 前記第1可変分周回路と前記第2可変分周回路の分周比が変更可能にされることにより、周波数の異なる複数の基準発振信号が使用可能であることを特徴とする請求項1に記載の通信用半導体集積回路。
  7. 前記基準となる発振信号の周波数は19.2MHzの整数倍であり、前記第1分周回路の分周比は"48"であることを特徴とする請求項1〜6のいれずれかに記載の通信用半導体集積回路。
  8. 前記第1可変分周回路の分周比は"44","46"または"48"の中から選択されることを特徴とする請求項7に記載の通信用半導体集積回路。
  9. 前記基準となる発振信号の周波数は38.4MHzの整数倍であり、前記第1分周回路の分周比は"32"であることを特徴とする請求項1〜6のいれずれかに記載の通信用半導体集積回路。
  10. 前記第1可変分周回路の分周比は"84","90"または"96"の中から選択されることを特徴とする請求項9に記載の通信用半導体集積回路。
  11. 前記RF−PLL回路により生成された発振信号を分周して前記受信回路に供給する第3分周回路を備えることを特徴とする請求項3に記載の通信用半導体集積回路。
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