JP2006260963A - イオン発生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 イオン発生放電体の駆動装置が備える各素子の耐圧を低くするとともに、オゾン等の副生成物の発生量を少なくしてイオンを効率的に発生させることを可能にするイオン発生装置を提供する。
【解決手段】 正電圧印加装置5は接地電位Vssを基準とする正極性の電圧V1を電極2に印加する。電極2に正極性の電圧が印加されている間に、負電圧印加装置6は接地電位Vssを基準とする負極性の電圧V2を電極3に印加する。電極2,3の間に放電が生じた状態でも、正電圧印加装置5および負電圧印加装置6の各々の素子に印加される電圧は従来よりも低いので、従来よりも低耐圧の素子が使用可能になる。また、誘電体1の表面ではイオンの消失を防ぐことができる。よって、少ない放電回数でイオンが効率的に発生するので、オゾン等の副生成物の発生量は従来よりも抑制される。
【選択図】 図4
【解決手段】 正電圧印加装置5は接地電位Vssを基準とする正極性の電圧V1を電極2に印加する。電極2に正極性の電圧が印加されている間に、負電圧印加装置6は接地電位Vssを基準とする負極性の電圧V2を電極3に印加する。電極2,3の間に放電が生じた状態でも、正電圧印加装置5および負電圧印加装置6の各々の素子に印加される電圧は従来よりも低いので、従来よりも低耐圧の素子が使用可能になる。また、誘電体1の表面ではイオンの消失を防ぐことができる。よって、少ない放電回数でイオンが効率的に発生するので、オゾン等の副生成物の発生量は従来よりも抑制される。
【選択図】 図4
Description
本発明は、イオン発生装置に関し、より特定的には、沿面放電を利用したイオン発生装置に関する。
従来、沿面放電を利用したイオン発生装置は物体の帯電や除電を行なう際のイオン源として利用されている。また、正イオンと負イオンとにより空気中の浮遊菌、カビなどを不活性化できることが報告されている。このため放電によるイオン発生装置は空気清浄機やエアコンなどにも搭載されるようになってきている。このようなイオン発生装置として、たとえば特開昭59−44782号公報(特許文献1)は放電体に電極を保持する誘電体としてアルミナが主成分のセラミックを用い、この放電体に高周波高電圧を印加するイオン発生装置を開示する。
図8および図9を参照して、イオン発生装置に用いられる一般的な沿面放電素子の構成を説明する。図8は、従来の沿面放電体を示す斜視模式図である。図9は、図8の線分IX−IXにおける断面の模式図である。
図8および図9に示すように、沿面放電素子101はセラミック等からなる誘電体102と、誘電体102を挟んで対向している複数の放電電極103および誘導電極104とで構成されている。なお、余分な放電を避けるため放電電極103は誘電体105によって覆われていてもよい。また、図9に示されるように、放電による電極の損傷を抑えるため、放電電極103はセラミック等からなる保護膜103aに覆われている。
放電電極103と誘導電極104との間に高電圧を印加すると放電電極の端部103b近傍の電界が強まり、この端部103bから誘電体102の表面に沿って沿面放電が発生する。この結果、沿面放電が発生した部分からイオンが発生する。
特開昭59−44782号公報
特開昭59−44782号公報(特許文献1)に開示される従来のイオン発生装置では、誘電体を挟んで対向する電極間に高周波高圧電源が接続されて電極間に高周波高電圧が印加される。
図10は、従来のイオン発生装置の駆動方法における配線図である。図11は、従来のイオン発生装置の駆動方法における印加電圧波形を示す図である。
図10,図11を参照しながら説明すると、誘電体102を挟んで対向する放電電極103と誘導電極104との間に高周波高圧電源106が接続される。放電電極103と誘導電極104との間には図11に示される高周波高電圧が印加される。この電圧は周波数10kHzの周波数(100μsの周期)で変化し、ピーク間電圧が10kVの交流高電圧である。放電を起こすために必要な電圧は、誘電体の厚さ、材料など沿面放電体に依存するが、たとえば電極間には1.5kV以上の電圧を印加する必要がある。なお、安全の点から放電電極103は接地されている。
一方、イオン発生装置の駆動装置(図10の高周波高圧電源106)が備える種々の素子の耐圧は素子に印加される最大電圧によって決定される。従来の駆動装置には十分な耐圧を維持するため、高耐圧の素子を使用する必要があった。しかし高耐圧の素子は高価であるとともにサイズが大きいため、駆動装置のコストが高くなるとともに駆動装置が大型化するという問題があった。
また、従来の駆動装置では高電圧になる部分と接地電圧になる周囲部分との間の絶縁を施すために多くの対策が必要であった。
また、特開昭59−44782号公報(特許文献1)に開示される従来のイオン発生装置では電極に交流電圧が印加される。電極に正の電圧を印加したときに、電極近傍の電界強度が電極近傍の気体において絶縁破壊が起こるまで強くなると放電体において沿面放電が発生する。このとき当該誘電体の表面は正に帯電する。次に、電圧に印加される電圧の極性が負に変わった後に沿面放電が起きると、事前に正に帯電していた誘電体表面の電荷(正の電荷)が、放電により発生した負の電荷により中和される。つまり、放電によって生じた負の電荷が誘電体表面の電荷(正の電荷)を中和するために消費され、空気中に放出されるイオンが減少する。
また、上述のように電極に印加される電圧の極性が負になったことにより誘電体表面が負に帯電したあと、電極に印加される電圧の極性が再び正に変わったときも放電による正の電荷が誘電体表面の(負の)電荷を中和するために消費される。これらの結果に示されるように、従来のイオン発生装置の駆動方法では放電体の周囲に正イオンまたは負イオンを効率的に放出することができなかった。
また、大気中で放電が発生すると、同時にオゾンが発生する。オゾンの濃度が高くなると人体への影響が生じることが知られている。そして、交流電圧又は交番極性電圧(一つの電極に印加する電圧の極性が周期的に切り換るパルス状の電圧)を電極に印加し、放電によってイオンを発生させる従来のイオン発生方法では、必要量のイオンを確保するために放電回数を増加させても上述のように効率的にイオンを放出することが困難である一方で、オゾン等の副生成物の発生量が増えていた。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、イオンを発生するために必要となる印加電圧を低くすることによって、イオン発生放電体の駆動装置が備える各素子の耐圧を低くするとともに、オゾン等の副生成物の発生量を少なくしてイオンを効率的に発生させることを可能にするイオン発生装置を提供することである。
本発明は要約すれば、イオン発生装置であって、誘電体と、誘電体を介して対向する第1、第2の電極とを備える。第1、第2の電極は、第1の電極から第2の電極を見たときに、第1の電極に含まれる第1の端部の少なくとも一部が第2の電極と重なるように配置される。イオン発生装置は、第1の電極に所定の電位を基準として第1の電圧を印加し、第1の電圧を印加する間に、第1の電圧とは逆極性の第2の電圧を所定の電位を基準として第2の電極に印加する電圧印加手段を備える。
好ましくは、第2の電極は、第2の電極から第1の電極を見たときに、第2の電極に含まれる第2の端部の少なくとも一部が、第1の電極と重なるように配置される。
より好ましくは、第1の端部の一部、および第2の端部の一部は、ともに凸形状の角部である。
さらに好ましくは、電圧印加手段は、第1、第2の電圧を活性化電圧とする第1、第2のパルス電圧を第1、第2の電極にそれぞれ印加する。
さらに好ましくは、電圧印加手段は、第1のパルス電圧の活性化を終了する時刻を、第2のパルス電圧の活性化を終了する時刻よりも遅らせる。
本発明のイオン発生装置によれば、イオン発生用放電体に含まれる1対の電極のそれぞれに電圧を印加する電圧印加装置として、一方の電極に正極性電圧を印加する正電圧印加装置と、他方の電極に負極性電圧を印加する負電圧印加装置とを備えることにより、1対の電極間の電圧を放電が生じるほど高くしながら正電圧印加装置および負電圧印加装置の各々の素子に印加される最大電圧を従来よりも低くすることができるので、これらの素子の耐圧を従来よりも低く抑えることができる。
また、本発明のイオン発生装置によれば、イオン発生用放電体の電極に単極性の電圧を印加することにより、誘電体表面でイオンが消失することを防ぐのでイオンを効率的に発生させることができ、さらに、放電回数が少なくなるのでオゾン等の副生成物の発生量を抑制できる。
以下において、本発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1のイオン発生装置に含まれるイオン発生用放電体を示す平面模式図である。図2は、図1に示したイオン発生用放電体を上面側から見た斜視模式図である。図3は、図1に示したイオン発生用放電体を下面側から見た斜視模式図である。図4は、図1の線分IV−IVにおける断面模式図である。
図1は、実施の形態1のイオン発生装置に含まれるイオン発生用放電体を示す平面模式図である。図2は、図1に示したイオン発生用放電体を上面側から見た斜視模式図である。図3は、図1に示したイオン発生用放電体を下面側から見た斜視模式図である。図4は、図1の線分IV−IVにおける断面模式図である。
図1〜図4に示すように、実施の形態1のイオン発生装置におけるイオン発生用放電体は、板状の誘電体1と、誘電体1を介して対向する電極2,3とを備える。電極2は誘電体1の表面側に形成される第1の電極である。電極3は誘電体1の裏面側に形成される第2の電極である。
図1に示すように、電極2と電極3とは互いにその一部が重なるように誘電体1を介して配置されている。言い換えると、電極2から電極3を見たときに電極2の端部の少なくとも一部が電極3と重なるように配置され、電極3から電極2を見たときに電極3の端部の少なくとも一部が電極2と重なるように配置される。
図1〜図3を参照しながらより詳細に説明すると、電極2は第1の端部である端部30a〜30fを有する。同様に電極3は第2の端部である端部31a〜31fを有する。端部30b〜30e,31b〜31eの各々は凸形状の角部である。電極2から電極3を見たときに端部30b〜30eが電極3と重なる。また、電極3から電極2を見たときに電極3の端部31b〜31eが電極2と重なる。
電極2、3の各々に凸形状の角部を設けることにより、端部30b〜30e、31b〜31eにおいて電気力線がより集中しやすい(電界が強まりやすい)ことから、当該角部において放電が起きる確率を向上させることができる。そして、端部30b〜30e、31b〜31eにおいて放電を確実に発生させることができるので、放電が開始する電圧(放電開始電圧)などのばらつきを低減できる。この結果、放電開始電圧の値などのイオン発生条件を安定させることができる。
また、電極2と電極3とが互いにその一部が重なるように誘電体1を介して配置されていることにより、電極2,3に正極性のパルス電圧および負極性のパルス電圧をそれぞれ印加すれば、正イオンおよび負イオンの両方を発生することができる。
なお、一方の電極の面積が他方の電極の面積よりも広い場合など、一方の電極の端部が他方の電極に重なっているが他方の電極の端部が一方の電極に重なっていない場合には、一方の電極の端部で放電が発生する。この場合、一方の電極の端部で発生するイオンは正イオンか負イオンかのいずれか一方のみである。よって図1〜図3に示すように、電極2と電極3とは互いにその一部が重なるように誘電体1を介して配置されることが好ましい。
電極2,3は導電体により構成される。図1〜図4に示すように電極2の表面および電極3の表面は保護膜2a,3aによりそれぞれ覆われていてもよい。
誘電体1の材料としては、たとえば有機物を用いることができる。誘電体1を構成する有機物としては、耐食性に優れた材料を用いることが好ましい。たとえば、誘電体1の材料として、ポリイミドやガラスエポキシなどの樹脂を用いてもよい。また、誘電体1の材料として無機物を用いる場合、たとえばアルミナ、マグネシア、結晶化ガラス、フォルステライト、ステアライト、ムライト、ジルコニアなどのセラミックを誘電体1の材料として用いることができる。
なお、後述するようにイオン生成のための放電を行なう際に発生するプラズマに対する耐性を考えた場合には、誘電体1として無機系の材料を用いることが好ましい。特に、誘電体1として、安価でかつ加工が容易なアルミナを主成分とするセラミックを用いることが好ましい。
電極2、3を構成する材料としては、導電性を有するものであればどのような材料を用いてもよい。また、電極2、3の形成方法としては、スクリーン印刷法、めっき法、蒸着法、スパッタリング法など公知の方法を用いることができる。なお、誘電体1としてアルミナが主成分のセラミックを用いた場合、その熱膨張係数がアルミナを主成分とするセラミックに近いタングステンを電極2、3の材料として用いることが好ましい。この場合、電極2、3は、スクリーン印刷法を用いて形成することができる。
保護膜2a、3aはなるべく薄く形成されることが好ましい。電極の端部かつ誘電体表面近傍では電界が一番強くなるので、保護膜が厚くなると最も放電が起こりやすい(イオンが発生しやすい)場所を保護膜で隠してしまうことになる。よって保護膜はできるだけ薄いことが好ましい。ただし保護膜が薄すぎると放電により電極が損傷しやすくなるので、保護膜の厚さはイオン発生量や電極の損傷等に基づいて最適に設定される。
保護膜2a、3aを構成する材料としては耐プラズマ性を有する材料であれば任意の材料(たとえばセラミックなどの無機材料など)を用いることができる。たとえば、保護膜2a、3aを構成する材料として、耐プラズマ性に優れたアルミナなどの材料を用いることができる。
図4に示すように、イオン発生用放電体を構成する電極2、3は電圧印加装置4に各々接続される。電圧印加装置4は電極2に接続される正電圧印加装置5と、電極3に接続される負電圧印加装置6とを含む。正電圧印加装置5と負電圧印加装置6とはノードW1で接続される。ノードW1の電位は接地電位Vssに設定される。
正電圧印加装置5および負電圧印加装置6は所定のタイミングで電極2,3のそれぞれに電圧を印加する。正電圧印加装置5は接地電位Vssを基準とする正極性の電圧V1を電極2に印加する。電極2に正極性の電圧が印加されている間に、負電圧印加装置6は接地電位Vssを基準とする負極性の電圧V2を電極3に印加する。電極2,3の間に放電が生じた状態でも、正電圧印加装置5および負電圧印加装置6の各々の素子に印加される電圧は従来よりも低いので、従来よりも低耐圧の素子が使用可能になる。また、誘電体1の表面ではイオンの消失を防ぐことができる。よって、少ない放電回数でイオンが効率的に発生するので、オゾン等の副生成物の発生量は従来よりも抑制される。
なお、電圧V1,電圧V2はイオン発生用放電体において放電が生じるための電圧(活性化電圧)である。また、実施の形態1において電圧V1の極性は正極性で固定され、電圧V2の極性は負極性で固定される。以後、このように、極性が正または負のいずれか一方で固定された電圧を「単極性電圧」と称することにする。
図5は、図4の電圧印加装置4が電極2,3に印加する電圧の波形を示す模式図である。
図5を参照して電極2,3の電位をそれぞれ電位VU,VDと示す。電極2,3にはそれぞれ正極性のパルス電圧および負極性のパルス電圧が印加される。パルス電圧を電極2,3に印加することによって電極での放電が生じやすくなり、イオンを放電体から放出することができる。なお、電極2,3の各々に印加されるパルス電圧は単極性電圧である。
電位VUは時刻t1以前および時刻t2以後では接地電位Vssであるがパルス電圧が印加される時刻t1〜t2の間に電位V1+Vssになる。同様に、電位VDは時刻t1以前および時刻t2以後では接地電位Vssであるが、パルス電圧が印加される時刻t1〜t2の間に電位V2+Vssになる。図5では電位VUが電位V1+Vssである期間を期間T1と示し、電位VDが電位V2+Vssである期間を期間T2と示す。正極性のパルス電圧、負極性のパルス電圧をそれぞれ第1、第2のパルス電圧とすると、期間T1は第1のパルス電圧の活性化期間であり、期間T2は第2のパルス電圧の活性化期間である。
電極2と電極3との間の電位差の絶対値|V1−V2|は放電開始電圧を上回るように設定される。一方、電圧V1,V2の絶対値はともに放電開始電圧の絶対値を下回るように設定される。電位VU,VDは時刻t1において同時に変化し、それぞれ電位V1+Vss,V2+Vssとなる。この結果、図4に示す電極2の端部16近傍および電極3の端部17近傍の電界が強まり、端部16、17から誘電体1の表面に沿って沿面放電が発生する。この沿面放電が発生した部分からイオンが発生する。また、電位VU,VDは時刻t2において同時に変化し、ともに接地電位Vssになる。つまり期間T1と期間T2とは互いに等しい。
なお、電位VDが接地電位Vssから電位V2+Vssに変化する時刻は時刻t1より遅れてもよい。ただし、端部16,17から放電を起こしやすくするためには、正電圧印加装置5と負電圧印加装置6とが電極2,3のそれぞれに同時にパルス電圧を印加することが好ましい。
実施の形態1では、電位VDに比べて電位VUのほうが高くなるため、電極2の端部16の近傍では正極性のストリーマが発生し正イオンが放出される。正イオンが放出される期間(期間T1)と同じ期間T2に、電極3の端部17の近傍では負極性のストリーマが発生し、負イオンが放出される。
図5に示すパルス電圧のパルス形状について一例を説明すると、T1=2μs、V1=800V、T2=2μs、V2=−800Vである。正電圧印加装置5,負電圧印加装置6は図5に示すパルス電圧を10Hz〜200Hz程度の駆動周波数で電極2,3にそれぞれ印加する。
この場合、放電が生じるような高電圧が加わるのはイオン発生用放電体の電極(電極2,3)の間だけである。正電圧印加装置5内の素子,負電圧印加装置6内の素子に加わる電圧は放電開始電圧よりも低い電圧である。電圧印加装置の素子には、従来、たとえば図11に示すような10kVの電圧が印加されていた。本発明のイオン発生装置によれば、電圧印加装置に含まれる素子に加わる電圧を従来よりも低くすることができる。これにより、耐圧の低い安価な素子を用いて電圧印加装置を作成することが可能になるので、イオン発生装置の製造コストを低減することができる。
実施の形態1においてイオン発生用放電体の1対の電極のそれぞれに単極性電圧を印加すると、図5に示すように電極2の電位VUが電極3の電位VDに比べて常に高くなる。電極2側では負極性のストリーマが発生しないために電極2側にある誘電体1の表面が負に帯電することがない。よって電極2側で正極性のストリーマが発生したときに、正イオンが誘電体1の表面の負電荷と中和して消失することを防ぐことができる。同様に、電極3側では正極性のストリーマが発生しないために電極3側の誘電体の表面が正に帯電することがない。よって負極性のストリーマが発生したときに、負イオンが誘電体1の表面の正電荷と中和して消失することを防ぐことができる。つまり、実施の形態1のイオン発生装置は、従来のイオン発生装置よりも正イオンおよび負イオンを効率よく発生することができる。
なお、電極2側に負極性のストリーマが発生しなければ、電位VDに比べて電位VUが低くなる状態があってもよい。正電圧印加装置5および負電圧印加装置6を設計する際において、常に電位VUが電位VDよりも高くなるように設計する場合よりも設計マージンが広がるので正電圧印加装置5および負電圧印加装置6を設計しやすくなる。
また、大気中で放電が生じると、上述したようにイオンと同時にオゾンなどの副生成物が発生する。オゾンなどの副生成物は電気的に中性であり、誘電体の表面電荷の影響を受けない。よって一般に放電の回数が増えるにつれてオゾンなどの副生成物の発生量は増加する。すなわち、従来のイオン発生用放電体では、交流電圧または交番極性電圧(一つの電極に印加する電圧の極性が周期的に切り換るパルス状の電圧)をイオン発生用放電体の電極に印加するという条件の下で放電回数を増やした場合には、正イオンまたは負イオンが誘電体の表面電荷の中和に消費されてしまう。この場合、イオン密度は増えずにオゾンなどの副生成物の発生量だけが増えてしまうといった問題がある。
本発明のイオン発生装置を駆動させた場合、発生したイオンが誘電体の表面電荷の中和のために浪費されるといった問題の影響を少なくすることができるので、必要以上に放電回数を増やす必要がない。この結果、オゾンなどの副生成物の生成量を少なくすることができる。
以上のように実施の形態1によれば、1対の電極の一方の電極に正極性のパルス電圧を印加し、正極性のパルス電圧を印加中に、他方の電極に負極性のパルス電圧を印加する電圧印加装置を備えることにより、この電圧印加装置に、耐圧が低いゆえに低コストである素子を用いることができるので、イオン発生装置のコストを低減することができる。
また、実施の形態1によれば、一方の電極に正電圧のみを印加し、他方の電極に負電荷のみを印加することによって、正イオンまたは負イオンを効率よく大気中に放出することができるので、オゾンなどの副生成物の生成量を少なくすることができる。
[実施の形態2]
実施の形態2のイオン発生装置の構成は図1〜図4の各図に示す実施の形態1の構成と同様であるので以後の説明は繰り返さない。
実施の形態2のイオン発生装置の構成は図1〜図4の各図に示す実施の形態1の構成と同様であるので以後の説明は繰り返さない。
図6は、実施の形態2のイオン発生装置において、図1〜図4の各図に示す電極2,3に印加する電圧の波形を示す模式図である。
図5,図6を参照して、図5では電極2に印加されるパルス電圧(第1のパルス電圧)の活性化が終了する時刻と、電極3に印加されるパルス電圧(第2のパルス電圧)の活性化が終了する時刻とは同時刻(時刻t2)である。これに対し、図6では第1のパルス電圧の活性化が終了する時刻(時刻t3)が第2のパルス電圧の活性化が終了する時刻(時刻t2)よりも遅い点で図5に示すパルス電圧の波形と相違する。なお、図6に示すパルス電圧の波形に関し、他の点については図5に示すパルス電圧の波形と同様であるので以後の説明は繰り返さない。
図6に示すように、実施の形態2の場合、時刻t1から時刻t2の間(期間T2)に放電が行なわれる。放電終了後の時刻t2〜t3の期間において、電位VUは周囲の電位より高くなる。よって、電極2の周辺に生じた正イオンが速やかに外部へと導かれる一方、電極3の周辺に生じた負イオンは誘電体1に引き寄せられて外部に放出されにくくなる。つまり、図6に示すパルス電圧が電極2,3にそれぞれ印加された場合、実施の形態2のイオン発生装置は負イオンよりも正イオンを多く放出する。
図6のパルス形状は、例えば、T1=20μs、V1=800V、T2=2μs、V2=−800Vである。また、正電圧印加装置5,負電圧印加装置6は、図6に示されるパルス電圧を10Hz〜200Hz程度の駆動周波数で電極2,3にそれぞれ印加する。
図7は、実施の形態2について電極2,3に印加する電圧の別の波形を示す模式図である。
図6,図7を参照して、図7では電極3に印加されるパルス電圧の活性化が終了する時刻(時刻t3)が、電極2へのパルス電圧の活性化が終了する時刻(時刻t2)よりも遅い点で図6に示すパルス電圧の波形と相違する。つまり図7では電極3に印加される負極性のパルス電圧が第1のパルス電圧であり、電極2に印加される正極性のパルス電圧が第1のパルス電圧である。なお、図7に示すパルス電圧の波形に関し、他の点については図6に示すパルス電圧の波形と同様であるので以後の説明は繰り返さない。
図7に示すパルス電圧が電極2,3に印加された場合、時刻t1から時刻t2の間(期間T2)に放電が行なわれる。放電終了後の時刻t2〜t3の期間において、電位VDは周囲の電位より低くなる。よって、電極3の周辺に生じた負イオンが速やかに外部へと導かれる一方、電極2の周辺に生じた正イオンは誘電体1に引き寄せられて外部に放出されにくくなる。つまり、図7に示すパルス電圧が電極2,3にそれぞれ印加された場合、実施の形態2のイオン発生装置は正イオンよりも負イオンを多く放出する。
このように実施の形態2では、電極2,3に印加するパルス電圧のパルス幅を変えることによって、正イオンと負イオンの比率を制御することができる。
図7のパルス形状は、例えば、T1=2μs、V1=800V、T2=20μs、V2=−800Vである。また、正電圧印加装置5,負電圧印加装置6は、図7に示されるパルス電圧を10Hz〜200Hz程度の駆動周波数で電極2,3にそれぞれ印加する。
実施の形態2では実施の形態1と同様に、誘電体の表面電荷の中和にイオンが浪費されるといった問題の影響を少なくすることができるので、イオンの発生効率がよく副生成物が少なくなるという効果が得られる。
以上のように実施の形態2によれば、1対の電極の一方の電極に印加する単極性パルス電圧の活性化が終了する時刻を他方の電極に印加する単極性パルス電圧の活性化が終了すする時刻よりも遅らせることにより、発生させる正イオンと負イオンの比率を制御することができるとともに、オゾンなどの副生成物を少なくすることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 誘電体、2,3 電極、2a、3a 保護膜、4 電圧印加装置、5 正電圧印加装置、6 負電圧印加装置、16,17,30a〜30f,31a〜31f,103b 端部、101 沿面放電素子、102 誘電体、103a 保護膜、103 放電電極、104 誘導電極、105 誘電体、106 高周波高圧電源、W1 ノード。
Claims (5)
- 誘電体と、
前記誘電体を介して対向する第1、第2の電極とを備え、
前記第1、第2の電極は、前記第1の電極から前記第2の電極を見たときに、前記第1の電極に含まれる第1の端部の少なくとも一部が前記第2の電極と重なるように配置され、
前記第1の電極に所定の電位を基準として第1の電圧を印加し、前記第1の電圧を印加する間に、前記第1の電圧とは逆極性の第2の電圧を前記所定の電位を基準として前記第2の電極に印加する電圧印加手段を備える、イオン発生装置。 - 前記第2の電極は、前記第2の電極から前記第1の電極を見たときに、前記第2の電極に含まれる第2の端部の少なくとも一部が、前記第1の電極と重なるように配置される、請求項1に記載のイオン発生装置。
- 前記第1の端部の一部、および第2の端部の一部は、ともに凸形状の角部である、請求項2に記載のイオン発生装置。
- 前記電圧印加手段は、前記第1、第2の電圧を活性化電圧とする第1、第2のパルス電圧を前記第1、第2の電極にそれぞれ印加する、請求項1から3のいずれか1項に記載のイオン発生装置。
- 前記電圧印加手段は、前記第1のパルス電圧の活性化を終了する時刻を、前記第2のパルス電圧の活性化を終了する時刻よりも遅らせる、請求項4に記載のイオン発生装置。
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JP2005077268A JP2006260963A (ja) | 2005-03-17 | 2005-03-17 | イオン発生装置 |
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JP2005077268A JP2006260963A (ja) | 2005-03-17 | 2005-03-17 | イオン発生装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010080431A (ja) * | 2008-09-26 | 2010-04-08 | Jentorei:Kk | イオン発生方法、イオン発生電極及びイオン発生モジュール |
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2005
- 2005-03-17 JP JP2005077268A patent/JP2006260963A/ja not_active Withdrawn
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