JP2006260797A - 燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜及びその製造方法及びその製造装置並びに燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 複数の酸性ポリマー層4aと複数の塩基性ポリマー層4bとがそれぞれ交互に積層されてなり、各酸性ポリマー層4aの一層当たりの高分子鎖の厚み方向の重なり数が10未満に設定されるとともに、各塩基性ポリマー層4bの一層当たりの高分子鎖の厚み方向の重なり数が10未満に設定されていることを特徴とする燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜4を採用する。
【選択図】 図2
Description
しかし、前記ポリアクリル酸および直鎖ポリエチレンイミンからなる積層膜は、60層で2μmの膜厚であることから一層当たりの膜厚が約33nmであり、これは一層当り高分子鎖が数十本重ねられた構造であると考えられ、膜全体における各層の界面の数が比較的少なく、無加湿下でのイオン伝導性に劣っているという問題がある。
T.Kunitake、J.Am.Chem.Soc.、119巻、1114ページ、1997年 T.Hammondら、Langmuir、20巻、9791ページ、2004年
すなわち本発明は、水に不溶で高耐熱性であり、更に一層あたりの高分子鎖の積層数が少なく、プロトン伝導度に優れた燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜およびその製造方法およびその製造装置を提供することを目的とするものである。
本発明の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜は、複数の酸性ポリマー層と複数の塩基性ポリマー層とがそれぞれ交互に積層されてなり、前記各酸性ポリマー層の一層当たりの高分子鎖の厚み方向の重なり数が10未満に設定されるとともに、前記各塩基性ポリマー層の一層当たりの高分子鎖の厚み方向の重なり数が10未満に設定されていることを特徴とする。
また本発明の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜においては、全体の膜厚が1μm以上であることが好ましい。
また本発明の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜においては、ポリエチレングリコールが含浸されていることが望ましい。
また、全体の膜厚が1μm以上なので、機械的強度が増加して膜の形状を保つことが可能となり、燃料電池のプロトン伝導性電解質膜として好適に用いられる。
更に、プロトン電解質膜にポリエチレングリコールを含浸させることによって、プロトン伝導度を更に向上させることが可能になる。
また本発明の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜の製造方法においては、前記酸性溶液における酸性ポリマーの濃度を0.15unit・mM以上1.5unit・mM以下の範囲とし、前記塩基性溶液における塩基性ポリマーの濃度を0.3unit・mM以上3unit・mM以下の範囲とし、前記酸性溶液または前記塩基性溶液と前記基材との接触時間を30秒以上15分以下の範囲とし、前記洗浄液による洗浄時間を1分以上20分以下の範囲とすることが好ましい。
また本発明の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜の製造方法においては、前記基材の表面にあらかじめ電荷を与えてから前記の交互積層工程を行い、次に前記基材表面の前記電荷をうち消す方向に前記基材の電位を走査することにより前記酸性ポリマー層と前記塩基性ポリマー層からなる交互積層体を前記基材から剥離する工程を備えたことが好ましい。
また、酸性溶液、塩基性溶液、浸漬時間および洗浄時間を上記の範囲に設定することによって、酸性ポリマー層及び塩基性ポリマー層の層厚を、酸性ポリマーまたは塩基性ポリマーの主鎖が10本重なった厚み未満に設定することが可能になり、高いプロトン伝導度を有するプロトン伝導性電解質膜が得られる。
更に、前記基材の表面にあらかじめ電荷を与えてから前記の交互積層工程を行い、次に前記基材の電位を走査して交互積層体を前記基材から剥離させるので、薄膜状に形成したプロトン伝導性電解質膜を破損させずに基材から剥離することが可能になる。これにより、膜厚が1μm程度のプロトン伝導性電解質膜の製造が可能になる。
また本発明の燃料電池は、先のいずれかに記載のプロトン伝導性電解質膜を備えたものであることが望ましい。この燃料電池によれば、プロトン伝導度に優れた電解質膜を備えているので、発電特性を大幅に向上させることができる。
また本発明の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜の製造装置においては、前記電位制御部は、酸性ポリマー層と前記塩基性ポリマー層とを交互に積層させてから、前記基材の電位を走査させて前記酸性ポリマー層と前記塩基性ポリマー層からなる交互積層体を前記基材から剥離させるものであることが好ましい。
また、基材の電位を制御する電位制御部が備えられているので、薄膜状に形成したプロトン伝導性電解質膜を破損させずに基材から剥離することが可能になる。これにより、膜厚が1μm程度のプロトン伝導性電解質膜の製造が可能になる。
「燃料電池」
図1には、本実施形態の燃料電池を構成する単セルの模式図を示す。図1に示す単セル1は、酸素極2と、燃料極3と、酸素極2および燃料極3の間に挟持されたプロトン伝導性電解質膜4(以下、電解質膜4と表記する場合がある)、酸素極2の外側に配置された酸化剤流路5aを有する酸化剤配流板5と、燃料極3の外側に配置された燃料流路6aを有する燃料配流板6とから構成され、100℃〜300℃の温度で作動するものである。
次に、本発明に係るプロトン伝導性電解質膜4(電解質膜4)は、図2に示すように、酸性ポリマーからなる複数の酸性ポリマー層4aと塩基性ポリマーからなる複数の塩基性ポリマー層4bとが、それぞれ交互に積層されて概略構成されている。酸性ポリマーは、プロトン供与基を有するポリマーであり、例えば、スルホン酸基、スルファミド基、カルボン酸基、リン酸基等のプロトン供与基を有するものが好ましい。また、塩基性ポリマーは、プロトン受容基を有するポリマーであり、例えば、アミノ基、イミノ基、ピリジル基、キノリル基等のアミニウム塩を形成可能なプロトン受容基を有するものが好ましい。酸性ポリマー層4aは全体として正の電荷を有する一方、塩基性ポリマー層4bは全体として負の電荷を有しており、これら酸性ポリマー層4a及び塩基性ポリマー層4bが静電気的に相互に引き寄せ合うことで空隙のない緻密な交互積層体4cが形成される。
また交互積層体4c(電解質膜)には、ポリエチレングリコール(PEG)が含浸されていてもよい。PEGを含浸させることで電解質膜4のプロトン伝導度をより高めることができる。PEGの含浸量は、交互積層体4cの質量あたり100%〜200%の範囲とすることが好ましい。含浸量が100%以上であればプロトン伝導度の向上効果が十分となり、含浸量が200%以下であれば電解質膜4の強度が低下するおそれがない。
酸性ポリマーの具体例として例えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)、スルホン酸ポリフェニレンオキサイド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、カルボン酸ポリフェニレンオキサイド、ポリリン酸、ポリビニルリン酸、リン酸ポリフェニレンオキサイドの中から選択される1種以上のポリマーまたはこれらの塩からなるポリマーを例示でき、特にポリスチレンスルホン酸が好ましい。
これらのポリマーの平均分子量はGPC法で測定した値として10000〜70000の範囲が好ましい。また基本分子構造単位での繰返し数は20〜100の範囲が好ましい。繰り返し数が20以上であれば電解質膜4の機械的強度を十分に高めることができるので好ましく、また繰り返し数が100以下であれば溶媒等への溶解性を適度に高く制御することができ、酸性ポリマー層4aの成形性が向上するので好ましい。
また、一般式(2)において、Ar3はフェニル基、ナフタレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルホン基、ジフェニルスルフィド基、ビフェニル基またはベンゾフェノン基であり、Ar4はフェニル基、ナフタレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルホン基、ジフェニルスルフィド基、ビフェニル基またはベンゾフェノン基であり、n2は100〜1000000の範囲の整数である。
塩基性ポリマーの具体例として例えば、ポリアリールアミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾ一ル、ポリピリミジン、ポリトリアゾール、ポリキノリン、ポリインドール、ポリプリン、ポリビニルピロリドン、ポリベンズイミダゾールの中から選択される1種以上のポリマーを例示でき、特にポリアリールアミンが好ましい。
これらのポリマーの平均分子量はGPC法で測定した値として10000〜70000の範囲が好ましい。また基本分子構造単位での繰返し数は20〜100の範囲が好ましい。繰り返し数が20以上であれば電解質膜4の機械的強度を十分に高めることができるので好ましく、また繰り返し数が100以下であれば溶媒等への溶解性を適度に高く制御することができ、塩基性ポリマー層4bの成形性が向上するので好ましい。
また、全体として正の電荷を有する酸性ポリマー層4aと、全体として負の電荷を有する塩基性ポリマー層4bとが静電気的に相互に引き寄せ合って空隙のない緻密な交互積層体4cからなる電解質膜4が形成されるので、酸性ポリマー層4aと塩基性ポリマー層4bとの間のプロトンの受け渡しが円滑に行われ、プロトン伝導度をより高めることができる。
また、酸性ポリマーおよび塩基性ポリマーとして先に列挙したポリマーは、プロトン供与基またはプロトン受容基を有する他に、耐熱性及び耐酸化性及び耐還元性に優れるので、これらポリマーから構成された電解質膜4は、80℃〜300℃の温度範囲で作動させる燃料電池の電解質膜として好適に用いることができる。
また、上記の構成によって、作動温度が100℃以上300℃以下で、無加湿あるいは相対湿度50%以下であっても良好な発電性能を長期間安定的に示す燃料電池を得ることができ、自動車用、家庭発電用または携帯機器用として好適に用いることができる。
次に本実施形態のプロトン伝導性電解質膜の製造装置(以下、「製造装置」と表記する)について説明した上で、当該製造装置を用いたプロトン伝導性電解質膜(電解質膜)の製造方法について説明する。
図5には、本実施形態の製造装置の斜視図を示し、図6には製造装置の側面図を示す。
図5に示すように、この製造装置11は、可動ステージ12及び可動保持部13を備えた本体装置14と、本体装置14に付属する制御部15及び電位制御部16を具備して概略構成されている。可動ステージ12は図中X方向に沿って可動自在とされ、可動保持部13はX方向に直交するZ方向に沿って可動自在とされている。
基台17のほぼ中央には雄ネジ部20aを有する送りネジ棒20が基台17から突出された軸受部20bによって基台17に対して水平かつ回転自在に取り付けられている。また、この送りネジ棒20に対して金属ブロックからなる可動ステージ12が図6中X方向に移動自在に装着されている。可動ステージ12には図示しない雌ネジ部が設けられており、この雌ネジ部に送りネジ棒20が挿入されている。また、送りネジ棒20の一端側にはモータ20cが取り付けられ、送りネジ棒20を回転駆動させることが可能になっている。更にこのモータ20cは、制御部15によってオンオフ及び回転量が制御されている。以上の構成によって、モータ20cの駆動による送りネジ棒20の回転運動が、図示しない雌ネジ部によって送りネジ棒20の長手方向に沿った直線運動に変換され、これにより可動ステージ12が基台17上において図6中X方向に可動できるようになっている。
また、上記の酸性ポリマーに代えて、酸性ポリマーのナトリウム塩を用いて酸性溶液を調整しても良い。更に上記の塩基性ポリマーに代えて、塩基性ポリマーの塩酸塩を用いて塩基性溶液を調整しても良い。
また、本体部18aには、基台17の垂直方向(Z方向)に沿ってラックレール18cが取り付けられ、このラックレール18cに対して可動保持部13が図6中Z方向に駆動自在に取り付けられている。可動保持部13には図示略のピニオンギアが取り付けられており、このピニオンギアには図示略のモータが取り付けられている。そしてこのモータは、制御部15によってオンオフ及び回転量が制御されている。以上の構成により、ピニオンギアがモータで駆動されることによって可動保持部13がラックレール18c上を走行して可動保持部13が図6中Z方向に可動自在とされている。
また図5に示すように、各基材23…はポテンショメータ等からなる電位制御部16に接続されており、電位制御部16によって基材23…の電位を制御できるようになっている。
次に当該製造装置11を用いたプロトン伝導性電解質膜(電解質膜)の製造方法について図5、図6及び図7を参照して説明する。
まず図7Aに示すように、制御部15によって可動ステージ12及び可動保持部13を駆動させて基材23…を洗浄液槽21b…に浸漬して基材23…を洗浄する。次に、基材23…に帯電剤としてアミノエタンチオール(SHCH2CH2NH2)を塗布する。これにより図7Bに示すように基材23…の表面が負電荷に帯電する。なお、アミノエタンチオールに代わる帯電剤としてo−アミノチオフェノール、1−ブタンチオール等を用いても良い。
そして、基材23…を洗浄液槽21bから引き上げてから、乾燥ユニット19を作動させて基材23…表面に送風して基材23…を乾燥させることが望ましい。これにより、次の塩基性溶液に浸漬させる際において、残留した洗浄液による塩基性溶液濃度の変動が防止される。
また得られた電解質膜4をポリエチレングリコール(PEG)溶液中に浸漬させて電解質膜4にPEGを含浸させても良い。
また、基材23…の表面にあらかじめ電荷を与えてから交互積層工程を行い、次に基材23…の電位を走査して交互積層体4cを基材23…から剥離させるので、薄膜状に形成したプロトン伝導性電解質膜4を破損させずに基材23…から剥離することができる。これにより、膜厚が1μm程度のプロトン伝導性電解質膜4の製造が可能になる。
ポリスチレンスルホン酸を酸性ポリマーとして、ポリアリールアミンを成膜性の観点から塩基性ポリマーとして用い、水晶振動子微小秤量(QCM)で積層条件(ポリマー濃度、浸漬時間、洗浄時間等)を検討した。
同様に、基材を塩基性水溶液に浸漬させて吸着量の調査を行った。塩基性水溶液の濃度を3.0unit・mMとし、浸漬時間を10秒〜30分の範囲で振って塩基性ポリマー層を形成した。そして、塩基性ポリマー層の重量を水晶振動子微小秤量計で測定した。その結果、浸漬時間が30秒以上で吸着量の増加が見られた。これにより塩基性ポリマー層の形成時間は酸性ポリマー層の場合と同様に最短で30秒とされた。
同様に、浸漬時間を30秒とし、塩基性水溶液の濃度を0.1〜3.0unit・mMの範囲で振って塩基性ポリマー層を形成した。そして、塩基性ポリマー層の重量を水晶振動子微小秤量計で測定した。その結果、ポリアリールアミンの濃度を薄くしていくと、0.3unit・mMの時に吸着質量が0.8ng/mm2となり、それ以下の濃度では一定となった。この時の吸着質量は、アリールアミンユニットが水平に、密に一層並んでいると仮定した際の吸着質量0.5ng/mm2にほぼ一致し、高分子鎖の重なり数が1であると示唆された。また、それ以降は塩基性水溶液の濃度に比例して吸着質量が増加した。以上により、塩基性溶液の濃度は0.3unit・mM以上3.0unit・mM以下の範囲が好ましいことが判明した。
図5及び図6に示した製造装置を用いて電解質膜を製造した。酸性ポリマーには、ポリスチレンスルホン酸の18質量%水溶液(アルドリッチ社製、分子量7×104)を用い、塩基性ポリマーにはポリアリールアミンの10質量%水溶液(日東紡績社製、分子量6×104)をpH無調整で用いた。基材として金電極(φ=1.5cm)を用い、これを室温において、硫酸/過酸化水素混合液(体積比で硫酸/過酸化水素=3/1)に20分浸漬させた後、純水で洗浄した。次に、金電極を0.02モルの2一アミノエタンチオール水溶液からなる帯電剤に12時間浸漬させた後、純水で洗浄した。
次に、純水70mlに10.8mgのポリスチレンスルホン酸を溶解させて、0.15unit/mMの酸性水溶液を調製した。また、純水70m1に12.0mgのポリアリールアミンを溶解させて、0.3unit/mMの塩基性溶液を調製した。そして、図5及び図6に示した製造装置を用い、酸性水溶液に1分浸漬、純水で5分洗浄、乾燥30秒、塩基性水溶液に1分浸漬、純水で5分洗浄、乾燥30秒の順に浸漬を繰り返して酸性ポリマー層及び塩基性ポリマー層を交互に積層させた。酸性溶液、塩基性溶液に対する浸漬回数はそれぞれ10000回とし、積層した層の数を全部で20000層とした。そして、80℃で24時問加熱真空乾燥した。このようにして、金電極表面に、均一透明で強靭な積層膜を形成した。
また、積層膜の熱重量分析を行ったところ、10%熱分解温度(Td10%)は378℃であり、ポリスチレンスルホン酸のTd10%(263℃)に比べて耐熱性に優れていた。
次に、実施例1のようにして作製されたプロトン伝導性電解質と白金が50質量%担持されたカーボン粉末をN、N’−ジメチルアセトアミドに加え、十分攪拌して懸濁液を得た。このとき、固形分の重量比で白金担持カーボン粉末とプロトン伝導性電解質との重量比が2:1になるように調整した。この懸濁液をカーボン多孔質体(気孔率75%)上に塗布し、これを乾燥して燃料電池用の多孔質電極とした。
そして、一対の上記多孔質電極の問に、実施例1で得られた積層膜を挟み込んで単セルとした。燃料に水素、酸化剤に空気をそれぞれ供給して、150℃にて発電試験を行ったところ、開路電圧0.903Vで200mA/cm2の電流密度において0.680Vの電圧を得た。このように、実施例1の積層膜を電解質膜として有する燃料電池は、良好なプロトン伝導性とともに良好な電池特性を示した。
酸性ポリマーを、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリアミドスルファミド酸、ポリアミド酸とし、酸性溶液の濃度を0.15〜1.5unit/mMとし、塩基性ポリマーをポリエチレンイミン、ポリエチレンイミン塩酸塩、ポリアリールアミンとし、塩基性溶液の濃度を0.3〜3unit/mMとしたこと以外は上記実施例1と同様にして、試料1〜5の積層膜からなる電解質膜を製造した。尚、酸性ポリマーのポリアミドスルファミド酸の構造式を式(3)に示し、ポリアミド酸の構造式を式(4)に示す。式(3)に示すポリアミドスルファミド酸は、上記一般式(1)においてAr1をフェニル基とし、Ar2をジフェニルエーテルとしたものである。また、式(4)に示すポリアミド酸は、上記一般式(2)においてAr3をフェニル基とし、Ar4をジフェニルエーテルとしたものである。
Claims (16)
- 複数の酸性ポリマー層と複数の塩基性ポリマー層とがそれぞれ交互に積層されてなり、
前記各酸性ポリマー層の一層当たりの高分子鎖の厚み方向の重なり数が10未満に設定されるとともに、前記各塩基性ポリマー層の一層当たりの高分子鎖の厚み方向の重なり数が10未満に設定されていることを特徴とする燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜。 - 全体の膜厚が1μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜。
- ポリエチレングリコールが含浸されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜。
- 前記酸性ポリマー層が、スルホン酸ポリマー、スルファミド酸ポリマー、またはカルボン酸ポリマー、リン酸ポリマーの中から選択される1種以上のポリマーからなり、前記塩基性ポリマー層が、アミニウムポリマーからなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜。
- 前記酸性ポリマー層が、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)、スルホン酸ポリフェニレンオキサイド、一般式(1)で表されるポリアミドスルファミド酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、カルボン酸ポリフェニレンオキサイド、一般式(2)で表されるポリアミド酸、ポリビニルリン酸、リン酸ポリフェニレンオキサイドの中から選択される1種以上ポリマーからなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜。
ただし、一般式(1)において、Ar1はフェニル基、ナフタレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルホン基、ジフェニルスルフィド基、ビフェニル基またはベンゾフェノン基であり、Ar2はフェニル基、ナフタレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルホン基、ジフェニルスルフィド基、ビフェニル基またはベンゾフェノン基であり、n1は100〜1000000の範囲の整数である。
また、一般式(2)において、Ar3はフェニル基、ナフタレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルホン基、ジフェニルスルフィド基、ビフェニル基またはベンゾフェノン基であり、Ar4はフェニル基、ナフタレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルホン基、ジフェニルスルフィド基、ビフェニル基またはベンゾフェノン基であり、n2は100〜1000000の範囲の整数である。
- 前記塩基性ポリマー層が、ポリアリールアミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾ一ル、ポリピリミジン、ポリトリアゾール、ポリキノリン、ポリインドール、ポリプリン、ポリビニルピロリドン、ポリベンズイミダゾールの中から選択される1種以上のポリマーからなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜。
- 酸性ポリマーを含む酸性溶液または塩基性ポリマーを含む塩基性溶液と基材とを接触させて前記基材上に酸性ポリマー層または塩基性ポリマー層を形成する工程と、洗浄液と前記基材とを接触させて余剰の前記酸性ポリマーまたは前記塩基性ポリマーを洗い流す工程とを交互に繰り返して、前記酸性ポリマー層と前記塩基性ポリマー層とを交互に積層する交互積層工程を具備してなり、
前記各酸性ポリマー層の一層当たりの高分子鎖の厚み方向の重なり数を10未満に設定するとともに、前記各塩基性ポリマー層の一層当たりの高分子鎖の厚み方向の重なり数を10未満に設定することを特徴とする燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜の製造方法。 - 前記酸性溶液における酸性ポリマーの濃度を0.15unit・mM以上1.5unit・mM以下の範囲とし、前記塩基性溶液における塩基性ポリマーの濃度を0.3unit・mM以上3unit・mM以下の範囲とし、前記酸性溶液または前記塩基性溶液と前記基材との接触時間を30秒以上15分以下の範囲とし、前記洗浄液による洗浄時間を1分以上20分以下の範囲とすることを特徴とする請求項7に記載の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜の製造方法。
- 前記基材の表面にあらかじめ電荷を与えてから前記の交互積層工程を行い、次に前記基材表面の前記電荷をうち消す方向に前記基材の電位を走査することにより前記酸性ポリマー層と前記塩基性ポリマー層からなる交互積層体を前記基材から剥離する工程を備えたことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜の製造方法。
- 前記酸性ポリマーが、スルホン酸ポリマー、スルファミド酸ポリマー、またはカルボン酸ポリマー、リン酸ポリマーの中から選択される一以上のポリマーまたはこれらの塩からなるポリマーから構成され、前記塩基性ポリマーが、アミニウムポリマーまたはアミニウムポリマーの塩から構成されることを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれかに記載の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜の製造方法。
- 前記酸性ポリマーの塩が、ナトリウム塩であることを特徴とする請求項10に記載の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜の製造方法。
- 前記塩基性ポリマーの塩が、塩酸塩であることを特徴とする請求項10に記載の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜の製造方法。
- 請求項7ないし請求項12のいずれかに記載の製造方法によって製造されたものであることを特徴とする燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜。
- 請求項1ないし請求項6または請求項13のいずれかに記載のプロトン伝導性電解質膜を備えたことを特徴とする燃料電池。
- 酸性溶液槽と洗浄液槽と塩基性溶液槽とが設置された可動ステージと、基材を保持するとともに該基材を前記可動ステージに対して相対移動させて前記酸性溶液槽と前記洗浄液槽と前記塩基性溶液槽とにそれぞれ浸漬させる可動保持部と、前記可動ステージと前記可動保持部との相対位置を制御する制御部と、前記基材の電位を制御する電位制御部を具備してなり、
前記酸性溶液槽と前記塩基性溶液槽と前記洗浄液槽とには、酸性ポリマーを含む酸性溶液と塩基性ポリマーを含む塩基性溶液と洗浄液とがそれぞれ満たされ、
前記制御部は、前記可動ステージ及び前記可動保持部に対し、前記酸性溶液または前記塩基性溶液と前記基材とを接触させる動作と、前記洗浄液と前記基材とを接触させる動作とを交互に繰り返させて、酸性ポリマー層と塩基性ポリマー層とを交互に積層させるものであることを特徴とする燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜の製造装置。 - 前記電位制御部は、酸性ポリマー層と前記塩基性ポリマー層とを交互に積層させてから、前記基材の電位を走査させて前記酸性ポリマー層と前記塩基性ポリマー層からなる交互積層体を前記基材から剥離させるものであることを特徴とする請求項15に記載の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜の製造装置。
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