JP2006260797A - 燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜及びその製造方法及びその製造装置並びに燃料電池 - Google Patents

燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜及びその製造方法及びその製造装置並びに燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 水に不溶で高耐熱性であり、更に一層あたりの高分子鎖の積層数が少なく、プロトン伝導度に優れた燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜を提供する。
【解決手段】 複数の酸性ポリマー層4aと複数の塩基性ポリマー層4bとがそれぞれ交互に積層されてなり、各酸性ポリマー層4aの一層当たりの高分子鎖の厚み方向の重なり数が10未満に設定されるとともに、各塩基性ポリマー層4bの一層当たりの高分子鎖の厚み方向の重なり数が10未満に設定されていることを特徴とする燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜4を採用する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜及びその製造方法及びその製造装置並びに燃料電池に関するものであり、特に、交互積層膜からなるプロトン伝導性電解質膜に関するものである。
従来、水系プロトン伝導性電解質としては、水をプロトンアクセプターおよびキャリヤーとして用いたものが知られている。一方、非水系プロトン伝導性電解質としては、プロトンアクセプターまたはキャリヤーに、不揮発性の常温溶融塩、無機酸またはイミダゾールなどの低分子塩基を用い、これらを耐熱性高分子に複合化させたものが知られている。しかし、これらのプロトン伝導性電解質はいずれも燃料電池の作動条件における耐久性、安定性などが十分でないという問題がある。
一方、電荷の異なる高分子電解質が交互に積層されてなる交互積層膜は均質な薄膜として知られている。この交互積層膜は、表面処理した基板上に電荷の異なる高分子電解質を交互に吸着させて自己組織化させる交互浸漬法により形成される。この交互浸漬法の利点は、(i)試料作成が容易であり、装置がLB法などと比べ単純である。(ii)多様な水溶性ポリマーが膜の材料として使用可能である。(iii)一層当りの膜厚が極めて薄い、(vi)電荷を有する表面に吸着させることが可能(非特許文献1)。といった特徴がある。しかし、交互浸漬法により作成された積層膜を燃料電池の電解質として利用した報告例はされていない。
一方、無加湿または低加湿度の条件の下で交互積層膜をイオン伝導性電解質として利用した例としては、ポリアクリル酸および直鎖ポリエチレンイミンからなる30層の積層膜にヨウ化リチウムを複合させてなる膜が8.5×10−12Scm−1(25℃、相対湿度0%)のイオン伝導度を示し、前記積層膜に可塑剤としてpHを3.0に調整した末端ジカルボン酸オリゴエチレンオキサイドを複合させた積層膜が7.2×10−11Scm−1(25℃、相対湿度0%)のイオン伝導度を示し、さらに前記積層膜に可塑剤としてpHを2.0に調整した末端ジカルボン酸オリゴエチレンオキサイドを複合させた積層膜が9.5×10−5Scm−1(25℃、相対湿度0%)のイオン伝導度を示した例が報告がされている(非特許文献2)。
しかし、前記ポリアクリル酸および直鎖ポリエチレンイミンからなる積層膜は、60層で2μmの膜厚であることから一層当たりの膜厚が約33nmであり、これは一層当り高分子鎖が数十本重ねられた構造であると考えられ、膜全体における各層の界面の数が比較的少なく、無加湿下でのイオン伝導性に劣っているという問題がある。
T.Kunitake、J.Am.Chem.Soc.、119巻、1114ページ、1997年 T.Hammondら、Langmuir、20巻、9791ページ、2004年
上記の事情に鑑みて本発明者らが鋭意研究を行ったところ、電解質膜を交互積層膜で構成し、しかも各層の厚みを高分子鎖のレベルで制御することによって、高いプロトン伝導度が得られることを見いだした。
すなわち本発明は、水に不溶で高耐熱性であり、更に一層あたりの高分子鎖の積層数が少なく、プロトン伝導度に優れた燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜およびその製造方法およびその製造装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜は、複数の酸性ポリマー層と複数の塩基性ポリマー層とがそれぞれ交互に積層されてなり、前記各酸性ポリマー層の一層当たりの高分子鎖の厚み方向の重なり数が10未満に設定されるとともに、前記各塩基性ポリマー層の一層当たりの高分子鎖の厚み方向の重なり数が10未満に設定されていることを特徴とする。
また本発明の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜においては、全体の膜厚が1μm以上であることが好ましい。
また本発明の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜においては、ポリエチレングリコールが含浸されていることが望ましい。
上記のプロトン伝導性電解質膜によれば、酸性ポリマー層及び塩基性ポリマー層にそれぞれ含まれる酸性ポリマー及び塩基性ポリマーの各高分子鎖の重なり数が10未満となるように各層の厚みを設定することにより、各層の層厚が薄くなるとともに電解質膜の膜厚当たりの酸性ポリマー層と塩基性ポリマー層との界面の数が増加され、これによりプロトン伝導度を向上させることが可能になる。
また、全体の膜厚が1μm以上なので、機械的強度が増加して膜の形状を保つことが可能となり、燃料電池のプロトン伝導性電解質膜として好適に用いられる。
更に、プロトン電解質膜にポリエチレングリコールを含浸させることによって、プロトン伝導度を更に向上させることが可能になる。
次に本発明の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜の製造方法は、酸性ポリマーを含む酸性溶液または塩基性ポリマーを含む塩基性溶液と基材とを接触させて前記基材上に酸性ポリマー層または塩基性ポリマー層を形成する工程と、洗浄液と前記基材とを接触させて余剰の前記酸性ポリマーまたは前記塩基性ポリマーを洗い流す工程とを交互に繰り返して、前記酸性ポリマー層と前記塩基性ポリマー層とを交互に積層する交互積層工程を具備してなり、前記各酸性ポリマー層の一層当たりの高分子鎖の厚み方向の重なり数を10未満に設定するとともに、前記各塩基性ポリマー層の一層当たりの高分子鎖の厚み方向の重なり数を10未満に設定することを特徴とする。
また本発明の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜の製造方法においては、前記酸性溶液における酸性ポリマーの濃度を0.15unit・mM以上1.5unit・mM以下の範囲とし、前記塩基性溶液における塩基性ポリマーの濃度を0.3unit・mM以上3unit・mM以下の範囲とし、前記酸性溶液または前記塩基性溶液と前記基材との接触時間を30秒以上15分以下の範囲とし、前記洗浄液による洗浄時間を1分以上20分以下の範囲とすることが好ましい。
また本発明の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜の製造方法においては、前記基材の表面にあらかじめ電荷を与えてから前記の交互積層工程を行い、次に前記基材表面の前記電荷をうち消す方向に前記基材の電位を走査することにより前記酸性ポリマー層と前記塩基性ポリマー層からなる交互積層体を前記基材から剥離する工程を備えたことが好ましい。
上記のプロトン伝導性電解質膜の製造方法によれば、酸性ポリマー層及び塩基性ポリマー層を形成する際に、各層の層厚を、酸性ポリマーまたは塩基性ポリマーの高分子鎖の重なり数が10未満の厚みに設定するので、各層の層厚が薄くなるとともに電解質膜の膜厚当たりの酸性ポリマー層と塩基性ポリマー層との界面の数が増加され、高いプロトン伝導度を有するプロトン伝導性電解質膜が得られる。
また、酸性溶液、塩基性溶液、浸漬時間および洗浄時間を上記の範囲に設定することによって、酸性ポリマー層及び塩基性ポリマー層の層厚を、酸性ポリマーまたは塩基性ポリマーの主鎖が10本重なった厚み未満に設定することが可能になり、高いプロトン伝導度を有するプロトン伝導性電解質膜が得られる。
更に、前記基材の表面にあらかじめ電荷を与えてから前記の交互積層工程を行い、次に前記基材の電位を走査して交互積層体を前記基材から剥離させるので、薄膜状に形成したプロトン伝導性電解質膜を破損させずに基材から剥離することが可能になる。これにより、膜厚が1μm程度のプロトン伝導性電解質膜の製造が可能になる。
また本発明のプロトン伝導性電解質膜は、上記のいずれかに記載の製造方法によって製造されたものであっても良い。
また本発明の燃料電池は、先のいずれかに記載のプロトン伝導性電解質膜を備えたものであることが望ましい。この燃料電池によれば、プロトン伝導度に優れた電解質膜を備えているので、発電特性を大幅に向上させることができる。
次に本発明の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜の製造装置は、酸性溶液槽と洗浄液槽と塩基性溶液槽とが設置された可動ステージと、基材を保持するとともに該基材を前記可動ステージに対して相対移動させて前記酸性溶液槽と前記洗浄液槽と前記塩基性溶液槽とにそれぞれ浸漬させる可動保持部と、前記可動ステージと前記可動保持部との相対位置を制御する制御部と、前記基材の電位を制御する電位制御部を具備してなり、前記酸性溶液槽と前記塩基性溶液槽と前記洗浄液槽とには、酸性ポリマーを含む酸性溶液と塩基性ポリマーを含む塩基性溶液と洗浄液とがそれぞれ満たされ、前記制御部は、前記可動ステージ及び前記可動保持部に対し、前記酸性溶液または前記塩基性溶液と前記基材とを接触させる動作と、前記洗浄液と前記基材とを接触させる動作とを交互に繰り返させて、酸性ポリマー層と塩基性ポリマー層とを交互に積層させるものであることを特徴とする。
また本発明の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜の製造装置においては、前記電位制御部は、酸性ポリマー層と前記塩基性ポリマー層とを交互に積層させてから、前記基材の電位を走査させて前記酸性ポリマー層と前記塩基性ポリマー層からなる交互積層体を前記基材から剥離させるものであることが好ましい。
上記のプロトン伝導性電解質膜の製造装置によれば、制御部及び可動ステージ及び可動保持部によって、酸性溶液または塩基性溶液と基材とを接触させるとともに洗浄液と基材とを接触させる動作を交互に繰り返させることにより、酸性ポリマー層と塩基性ポリマー層とを交互に積層させてなるプロトン伝導性電解質膜を容易に製造することができる。
また、基材の電位を制御する電位制御部が備えられているので、薄膜状に形成したプロトン伝導性電解質膜を破損させずに基材から剥離することが可能になる。これにより、膜厚が1μm程度のプロトン伝導性電解質膜の製造が可能になる。
本発明の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜は、酸性ポリマー層と塩基性ポリマー層とが交互に積層されてなる交互積層膜であり、各層における高分子鎖の重なり数が10未満に設定されているので、膜自体が緻密な膜になり、これにより水に不溶で、熱的・化学的・機械的にも安定で、かつプロトンを効率良く伝導させることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
「燃料電池」
図1には、本実施形態の燃料電池を構成する単セルの模式図を示す。図1に示す単セル1は、酸素極2と、燃料極3と、酸素極2および燃料極3の間に挟持されたプロトン伝導性電解質膜4(以下、電解質膜4と表記する場合がある)、酸素極2の外側に配置された酸化剤流路5aを有する酸化剤配流板5と、燃料極3の外側に配置された燃料流路6aを有する燃料配流板6とから構成され、100℃〜300℃の温度で作動するものである。
燃料極3及び酸素極2はそれぞれ、多孔質性の触媒層2a、3aと、各触媒層2a、3aを保持する多孔質カーボンシート(カーボン多孔質体)2b、3bから概略構成されている。触媒層2a、3aには、白金、白金と他の貴金属(例えばルテニウム)との合金または白金と卑金属(例えばコバルト)との合金のいずれかを活性炭に坦持させてなる電極触媒(触媒)と、この電極触媒を固化成形するための疎水性結着剤とが含まれている。疎水性結着剤には例えば、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロエチレン共重合体、パーフルオロエチレン等といった疎水性および耐熱性に優れた樹脂を用いることができる。疎水性結着剤を添加することにより、発電反応に伴って生成した水によって触媒層2a、3aが過剰に濡れるのを防止することができ、燃料極3及び酸素極2内部における燃料ガス及び酸素の拡散阻害を防止することができる。また触媒層2a、3aには、触媒と疎水性結着剤の他にポリピリドビスイミダゾール類等の塩基性ポリマーを含有させても良い。塩基性ポリマーを添加することによって、電解質膜4から滲み出されたリン酸等を保持することができる。これにより、触媒層内部でのプロトンの輸送を効率よく行うことができる。塩基性ポリマーの平均分子量は1000〜100000が好ましい。平均分子量が1000以下では触媒との密着性が悪く、また平均分子量が100000以上では、溶剤に溶けにくくなり触媒との混合が困難になるからである。
酸化剤配流板5および燃料配流板6は導電性を有する金属等から構成されており、酸素極2および燃料極3にそれぞれ接合することで、集電体として機能するとともに、酸素極2および燃料極3に対して、酸素および燃料ガスを供給する。すなわち、燃料極3には、燃料配流板6の燃料流路6aを介して水素を主成分とする燃料ガスが供給され、また酸素極2には、酸化剤配流板5の酸化剤流路5aを介して酸化剤としての酸素が供給される。なお、燃料として供給される水素は、炭化水素若しくはアルコールの改質により発生された水素が供給されるものでも良く、また、酸化剤として供給される酸素は、空気に含まれる状態で供給されても良い。
この単セル1においては、燃料極3側で水素が酸化されてプロトンが生じ、このプロトンが電解質膜4を伝導して酸素極2に到達し、酸素極2においてプロトンと酸素が電気化学的に反応して水を生成するとともに、電気エネルギーを発生させる。
「プロトン伝導性電解質膜」
次に、本発明に係るプロトン伝導性電解質膜4(電解質膜4)は、図2に示すように、酸性ポリマーからなる複数の酸性ポリマー層4aと塩基性ポリマーからなる複数の塩基性ポリマー層4bとが、それぞれ交互に積層されて概略構成されている。酸性ポリマーは、プロトン供与基を有するポリマーであり、例えば、スルホン基、スルファミド基、カルボン酸基、リン酸基等のプロトン供与基を有するものが好ましい。また、塩基性ポリマーは、プロトン受容基を有するポリマーであり、例えば、アミノ基、イミノ基、ピリジル基、キノリル基等のアミニウム塩を形成可能なプロトン受容基を有するものが好ましい。酸性ポリマー層4aは全体として正の電荷を有する一方、塩基性ポリマー層4bは全体として負の電荷を有しており、これら酸性ポリマー層4a及び塩基性ポリマー層4bが静電気的に相互に引き寄せ合うことで空隙のない緻密な交互積層体4cが形成される。
また図3及び図4に示すように、酸性ポリマー層4a及び塩基性ポリマー層4bはそれぞれ、酸性ポリマーまたは塩基性ポリマーの高分子鎖4d、4eが層厚方向に重ねられて構成されている。重ねられた高分子鎖4d、4eは、例えば、1本の高分子鎖が折り畳まれて重ねられた形態でもよく、複数の高分子鎖が重ねられた形態でも良い。そして、酸性ポリマー層4a及び塩基性ポリマー層4bの層厚がそれぞれ、酸性ポリマー及び塩基性ポリマーの高分子鎖4d、4eの重なり数が10未満の厚みに設定されていることが望ましい。酸性ポリマー層4a及び塩基性ポリマー層4bの層厚をこのように設定することにより、一つの層の層厚が薄くなるとともに電解質膜4の膜厚当たりの酸性ポリマー層4aと塩基性ポリマー層4bとの界面の数が増加し、これによりプロトン伝導度が向上する。各層の層厚が、高分子鎖の重なり数として10以上の厚みに設定されると、プロトン伝導度が大幅に低下してしまうので好ましくない。電解質膜4の膜厚当たりの酸性ポリマー層4aと塩基性ポリマー層4bとの界面の数として例えば1μm当たり100〜1000程度あると良い。
また電解質膜4の全体の膜厚は1μm以上であることが好ましく、1μm以上50μm以下の範囲がより好ましく、15μm以上40μm以下の範囲が特に好ましい。膜厚が1μm以上で有れば膜自体の機械的強度が高くなって電解質膜4の取扱中に破損させるおそれが少なくなる。また膜厚が50μm以下であればプロトン伝導度が低下するおそれがない。
また交互積層体4c(電解質膜)には、ポリエチレングリコール(PEG)が含浸されていてもよい。PEGを含浸させることで電解質膜4のプロトン伝導度をより高めることができる。PEGの含浸量は、交互積層体4cの質量あたり100%〜200%の範囲とすることが好ましい。含浸量が100%以上であればプロトン伝導度の向上効果が十分となり、含浸量が200%以下であれば電解質膜4の強度が低下するおそれがない。
酸性ポリマーは、スルホン酸ポリマー、スルファミド酸ポリマー、またはカルボン酸ポリマー、リン酸ポリマーの中から選択される1種以上のポリマーであることが好ましい。
酸性ポリマーの具体例として例えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)、スルホン酸ポリフェニレンオキサイド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、カルボン酸ポリフェニレンオキサイド、ポリリン酸、ポリビニルリン酸、リン酸ポリフェニレンオキサイドの中から選択される1種以上のポリマーまたはこれらの塩からなるポリマーを例示でき、特にポリスチレンスルホン酸が好ましい。
これらのポリマーの平均分子量はGPC法で測定した値として10000〜70000の範囲が好ましい。また基本分子構造単位での繰返し数は20〜100の範囲が好ましい。繰り返し数が20以上であれば電解質膜4の機械的強度を十分に高めることができるので好ましく、また繰り返し数が100以下であれば溶媒等への溶解性を適度に高く制御することができ、酸性ポリマー層4aの成形性が向上するので好ましい。
また酸性ポリマーの別の例として、下記の一般式(1)で表されるポリアミドスルファミド酸若しくは下記の一般式(2)で表されるポリアミド酸を用いても良い。ただし、一般式(1)において、Arはフェニル基、ナフタレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルホン基、ジフェニルスルフィド基、ビフェニル基またはベンゾフェノン基であり、Arはフェニル基、ナフタレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルホン基、ジフェニルスルフィド基、ビフェニル基またはベンゾフェノン基であり、nは100〜1000000の範囲の整数である。
また、一般式(2)において、Arはフェニル基、ナフタレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルホン基、ジフェニルスルフィド基、ビフェニル基またはベンゾフェノン基であり、Arはフェニル基、ナフタレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルホン基、ジフェニルスルフィド基、ビフェニル基またはベンゾフェノン基であり、nは100〜1000000の範囲の整数である。
Figure 2006260797
Figure 2006260797
また塩基性ポリマーは、アミニウムポリマーが好ましい。
塩基性ポリマーの具体例として例えば、ポリアリールアミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾ一ル、ポリピリミジン、ポリトリアゾール、ポリキノリン、ポリインドール、ポリプリン、ポリビニルピロリドン、ポリベンズイミダゾールの中から選択される1種以上のポリマーを例示でき、特にポリアリールアミンが好ましい。
これらのポリマーの平均分子量はGPC法で測定した値として10000〜70000の範囲が好ましい。また基本分子構造単位での繰返し数は20〜100の範囲が好ましい。繰り返し数が20以上であれば電解質膜4の機械的強度を十分に高めることができるので好ましく、また繰り返し数が100以下であれば溶媒等への溶解性を適度に高く制御することができ、塩基性ポリマー層4bの成形性が向上するので好ましい。
上記の電解質膜4によれば、酸性ポリマー層4a及び塩基性ポリマー層4bの層厚を、高分子鎖の重なり数として10未満の厚みに設定することにより、各層の層厚が薄くなるとともに電解質膜の膜厚当たりの酸性ポリマー層4aと塩基性ポリマー層4bとの界面の数が増加し、これによりプロトン伝導度を向上させることができる。また、全体の膜厚が1μm以上なので、機械的強度が増加して膜の形状を保つことが可能となり、燃料電池のプロトン伝導性電解質膜として好適に用いることができる。更に、プロトン電解質膜にポリエチレングリコールを含浸させることによって、プロトン伝導度を更に向上させることができる。
また、全体として正の電荷を有する酸性ポリマー層4aと、全体として負の電荷を有する塩基性ポリマー層4bとが静電気的に相互に引き寄せ合って空隙のない緻密な交互積層体4cからなる電解質膜4が形成されるので、酸性ポリマー層4aと塩基性ポリマー層4bとの間のプロトンの受け渡しが円滑に行われ、プロトン伝導度をより高めることができる。
また、酸性ポリマーおよび塩基性ポリマーとして先に列挙したポリマーは、プロトン供与基またはプロトン受容基を有する他に、耐熱性及び耐酸化性及び耐還元性に優れるので、これらポリマーから構成された電解質膜4は、80℃〜300℃の温度範囲で作動させる燃料電池の電解質膜として好適に用いることができる。
また、上記の構成によって、作動温度が100℃以上300℃以下で、無加湿あるいは相対湿度50%以下であっても良好な発電性能を長期間安定的に示す燃料電池を得ることができ、自動車用、家庭発電用または携帯機器用として好適に用いることができる。
「プロトン伝導性電解質膜の製造装置」
次に本実施形態のプロトン伝導性電解質膜の製造装置(以下、「製造装置」と表記する)について説明した上で、当該製造装置を用いたプロトン伝導性電解質膜(電解質膜)の製造方法について説明する。
図5には、本実施形態の製造装置の斜視図を示し、図6には製造装置の側面図を示す。
図5に示すように、この製造装置11は、可動ステージ12及び可動保持部13を備えた本体装置14と、本体装置14に付属する制御部15及び電位制御部16を具備して概略構成されている。可動ステージ12は図中X方向に沿って可動自在とされ、可動保持部13はX方向に直交するZ方向に沿って可動自在とされている。
図5及び図6に示すように、本体装置14は、基台17と、この基台17上に可動自在に備えられた可動ステージ12と、可動保持部13を有するヘッド部18と、乾燥ユニット19とから概略構成されている。
基台17のほぼ中央には雄ネジ部20aを有する送りネジ棒20が基台17から突出された軸受部20bによって基台17に対して水平かつ回転自在に取り付けられている。また、この送りネジ棒20に対して金属ブロックからなる可動ステージ12が図6中X方向に移動自在に装着されている。可動ステージ12には図示しない雌ネジ部が設けられており、この雌ネジ部に送りネジ棒20が挿入されている。また、送りネジ棒20の一端側にはモータ20cが取り付けられ、送りネジ棒20を回転駆動させることが可能になっている。更にこのモータ20cは、制御部15によってオンオフ及び回転量が制御されている。以上の構成によって、モータ20cの駆動による送りネジ棒20の回転運動が、図示しない雌ネジ部によって送りネジ棒20の長手方向に沿った直線運動に変換され、これにより可動ステージ12が基台17上において図6中X方向に可動できるようになっている。
また図5及び図6に示すように、可動ステージ12上には液槽ブロック体21が設置されている。液槽ブロック体21には、酸性溶液槽21aと洗浄液槽21bと塩基性溶液槽21cとがそれぞれ3つずつ等間隔に設けられている。また、各酸性溶液槽21a…、各洗浄液槽21b…及び各塩基性溶液槽21c…は、可動ステージ12の移動方向であるX方向と交差するY方向に沿ってそれぞれ一列に配列されている。
酸性溶液槽21aには、先の酸性ポリマーが溶解された酸性溶液が充填されている。同様に、洗浄液槽21bには洗浄液が充填され、塩基性溶液槽21cには先の塩基性ポリマーが溶解された塩基性溶液が充填されている。酸性溶液及び塩基性溶液の溶媒は、水、アルコール等を用いることができる。また、洗浄液としては、水、アルコール等を用いることができる。また酸性溶液の濃度は、0.15unit・mM以上1.5unit・mM以下の範囲が好ましく、0.15unit・mM以上1unit・mM以下の範囲がより好ましい。また塩基性溶液の濃度は0.3unit・mM以上3unit・mM以下の範囲が好ましく、0.3unit・mM以上2unit・mM以下の範囲がより好ましい。
また、上記の酸性ポリマーに代えて、酸性ポリマーのナトリウム塩を用いて酸性溶液を調整しても良い。更に上記の塩基性ポリマーに代えて、塩基性ポリマーの塩酸塩を用いて塩基性溶液を調整しても良い。
次に、基台17の送りネジ棒20の近傍であって可動ステージ12と干渉しない位置にレールブロック体22が立設されている。レールブロック体22には基台17の垂直方向(Z方向)に沿って延びる3本の直線レール22aが取り付けられている。また、レールブロック体22には、ヘッド部18が取り付けられている。ヘッド部18は、本体部18aと、本体部18aの図6中右側に取り付けられた可動保持部13と、本体部の図中左側に取り付けられた位置調整部18bとから構成されている。そして、直線レール22aを備えたレールブロック体22に対して位置調整部18bを介してヘッド部18が可動自在に装着されている。
また、本体部18aには、基台17の垂直方向(Z方向)に沿ってラックレール18cが取り付けられ、このラックレール18cに対して可動保持部13が図6中Z方向に駆動自在に取り付けられている。可動保持部13には図示略のピニオンギアが取り付けられており、このピニオンギアには図示略のモータが取り付けられている。そしてこのモータは、制御部15によってオンオフ及び回転量が制御されている。以上の構成により、ピニオンギアがモータで駆動されることによって可動保持部13がラックレール18c上を走行して可動保持部13が図6中Z方向に可動自在とされている。
次に図5及び図6に示すように、可動保持部13には3つの帯状の基材23…が取り付けられている。各基材23…は図5に示すように、3つの酸性溶液槽21aの間隔と同じ間隔を空けて可動保持部13に取り付けられている。この基材23は金、金で表面をコーティングしたアルミニウム等の金属から構成されている。また図6に示すように、本体部に対して可動保持部13が最も下方に位置したときに、基材23…の先端部分が酸性溶液槽21a、洗浄溶液槽21b、塩基性溶液槽21cの内部に挿入されるように基材23…が位置決めされている。なお図6では、基材23…の先端部分が洗浄溶液槽21bに挿入された状態を図示している。
また図5に示すように、各基材23…はポテンショメータ等からなる電位制御部16に接続されており、電位制御部16によって基材23…の電位を制御できるようになっている。
次に、図6に示すように、基台17上には乾燥ユニット19が基材23…に対向する位置に装着されている。乾燥ユニット19には空冷ファン19aが内蔵されており、基材23の表面に送風して基材23を乾燥できるようになっている。また図5に示すように、制御部15は、二軸コントローラ15aとこの二軸コントローラ15aを制御する計算機15bとから構成されている。また、二軸コントローラ15aには本体装置14のモータと可動保持部13のモータとが接続されており、前述したように可動ステージ12と可動保持部13を駆動できるようになっている。また制御部15の計算機15bには先の電位制御部16が取り付けられ、電位制御部16を介して基材23…の電位を制御できるようになっている。
そして、上記の製造装置11は、制御部15によって可動ステージ12及び可動保持部13を駆動させることによって、可動ステージ12に対して基材23…を相対移動させるとともに基材23…を酸性溶液槽21a…と洗浄液槽21b…と塩基性溶液槽21c…とに順次浸漬させることができるように構成されている。すなわち、制御部15によって、例えば酸性溶液に基材23…を接触させ、次に基材23…を酸性溶液から引き上げてから洗浄液に接触させ、次に基材23…を洗浄液から引き上げてから塩基性溶液に接触させる動作を繰り返し行うことができるように構成されている。
「プロトン伝導性電解質膜の製造方法」
次に当該製造装置11を用いたプロトン伝導性電解質膜(電解質膜)の製造方法について図5、図6及び図7を参照して説明する。
まず図7Aに示すように、制御部15によって可動ステージ12及び可動保持部13を駆動させて基材23…を洗浄液槽21b…に浸漬して基材23…を洗浄する。次に、基材23…に帯電剤としてアミノエタンチオール(SHCHCHNH)を塗布する。これにより図7Bに示すように基材23…の表面が負電荷に帯電する。なお、アミノエタンチオールに代わる帯電剤としてo−アミノチオフェノール、1−ブタンチオール等を用いても良い。
次に制御部15によって可動ステージ12及び可動保持部13を駆動させて基材23…を酸性溶液槽21a…の酸性溶液に浸漬させる。これによって、酸性溶液に含まれる酸性ポリマーが、負に帯電された基材23…表面に静電気的に吸着される。浸漬時間をある程度確保することによって、酸性ポリマーが順次吸着して酸性ポリマー層4aが形成される(図7C)。このときの浸漬時間は30秒以上15分以下の範囲に設定することが好ましい。先に述べたように酸性ポリマーの濃度を0.15unit・mM以上1.5unit・mM以下に設定した酸性溶液に対して、30秒以上15分以下の範囲で基材23…を浸漬させることによって、酸性ポリマー層4aの層厚が、酸性ポリマーの高分子鎖の重なり数として10未満の厚みに設定される。浸漬時間が30秒未満では酸性ポリマー層4aが形成されないので好ましくなく、浸漬時間が15分を超えると、酸性ポリマーの高分子鎖の重なり数が10以上になってしまうので好ましくない。浸漬時間を30秒〜15分の範囲で任意に設定することで、酸性ポリマー層4aの層厚を自由に制御することが可能になる。酸性ポリマー層4aが形成されることに伴い、酸性ポリマー層4aの表面は正電荷に帯電される。
次に、制御部15によって可動ステージ12及び可動保持部13を駆動させて基材23…を洗浄液槽21b…の洗浄液に浸漬させる。これによって、酸性ポリマー層4aの形成に寄与しない余分な酸性ポリマーが洗い流される。このときの洗浄時間は1分以上20分以下の範囲とすることが好ましい。洗浄時間が1分未満では洗浄が十分ではなく、洗浄時間が20分を超えると酸性ポリマー層4aを構成する酸性ポリマーが溶け出すおそれがあるためである。
そして、基材23…を洗浄液槽21bから引き上げてから、乾燥ユニット19を作動させて基材23…表面に送風して基材23…を乾燥させることが望ましい。これにより、次の塩基性溶液に浸漬させる際において、残留した洗浄液による塩基性溶液濃度の変動が防止される。
次に、制御部15によって可動ステージ12及び可動保持部13を駆動させて基材23…を塩基性溶液槽21c…の塩基性溶液に浸漬させる。これによって、塩基性溶液に含まれる塩基性ポリマーが、正に帯電された酸性ポリマー層4a表面に静電気的に吸着される。浸漬時間をある程度確保することによって、塩基性ポリマーが順次吸着して塩基性ポリマー層4bが形成される(図7D)。このときの浸漬時間は酸性ポリマー層4aの場合と同様に30秒以上15分以下の範囲に設定することが好ましい。先に述べたように塩基性ポリマーの濃度を0.3unit・mM以上3.0unit・mM以下に設定した塩基性溶液に対して、30秒以上15分以下の範囲で基材23…を浸漬させることによって、塩基性ポリマー層4bの層厚が、塩基性ポリマーの高分子鎖の重なり数として10未満の厚みに設定される。浸漬時間が30秒未満では酸性ポリマー層4aが形成されないので好ましくなく、浸漬時間が15分を超えると、塩基性ポリマーの高分子鎖の重なり数が10以上になってしまうので好ましくない。浸漬時間を30秒〜15分の範囲で任意に設定することで、塩基性ポリマー層4bの層厚を自由に制御することが可能になる。塩基性ポリマー層4bが形成されることに伴い、塩基性ポリマー層4bの表面は負電荷に帯電される。
更に上記と同様にして、洗浄液、酸性溶液、洗浄液、塩基性溶液、洗浄液の順に浸漬を繰り返す。これにより、酸性ポリマー層4a及び塩基性ポリマー層4bが交互に積層されてなる交互積層体4cが形成される(図7E)。酸性溶液及び塩基性溶液に対するそれぞれの浸漬回数は、交互積層体4cの膜厚が1μm以上になるまで行えばよいが、具体的には例えば、酸性溶液及び塩基性溶液に対するそれぞれの浸漬回数として100回以上500回以下とすることが好ましく、300回以上500回以下とすることがより好ましい。
次に、電位制御部16によって基材23…の電位を走査させる。具体的には、アミノエタンチオール等の帯電剤により負に帯電された基材23…表面の電位をうち消す方向に走査する。より具体的には、電位走査によって基材23…の電位を例えば、飽和甘こう電極(SCE)に対して−1.0V〜0Vの範囲に設定することが望ましい。これにより、基材23の表面における負電荷が打ち消され、基材23の表面と酸性ポリマー層4aとの静電気的な引力が消滅し、交互積層体4cが基材23…から剥離される。このようにして本実施形態に係るプロトン伝導性電解質膜4が得られる。
尚、酸性溶液に酸性ポリマーの塩を溶解させる一方、塩基性溶液にも塩基性ポリマーの塩を溶解させて交互積層体を形成しても良い。この場合、洗浄工程で塩は除去される。
また得られた電解質膜4をポリエチレングリコール(PEG)溶液中に浸漬させて電解質膜4にPEGを含浸させても良い。
上記のプロトン伝導性電解質膜の製造方法によれば、酸性ポリマー層4a及び塩基性ポリマー層4bを形成する際に、酸性溶液の及び塩基性溶液の濃度と浸漬時間を制御して、各層の層厚を酸性ポリマーまたは塩基性ポリマーの高分子鎖の重なり数として10未満の厚みに設定するので、各層の層厚が薄くなるとともに電解質膜の膜厚当たりの酸性ポリマー層4aと塩基性ポリマー層4bとの界面の数が増加され、高いプロトン伝導度を有するプロトン伝導性電解質膜を得ることができる。
また、基材23…の表面にあらかじめ電荷を与えてから交互積層工程を行い、次に基材23…の電位を走査して交互積層体4cを基材23…から剥離させるので、薄膜状に形成したプロトン伝導性電解質膜4を破損させずに基材23…から剥離することができる。これにより、膜厚が1μm程度のプロトン伝導性電解質膜4の製造が可能になる。
また、上記のプロトン伝導性電解質膜の製造装置11によれば、制御部15及び可動ステージ12及び可動保持部13によって、酸性溶液または塩基性溶液と基材23…とを接触させるとともに洗浄液と基材23…とを接触させる動作を交互に繰り返させることにより、酸性ポリマー層4aと塩基性ポリマー層4bとを交互に積層させてなるプロトン伝導性電解質膜を容易に製造することができる。また、基材23…の電位を制御する電位制御部16が備えられているので、薄膜状に形成したプロトン伝導性電解質膜を破損させずに基材23…から剥離することができる。これにより、膜厚が1μm程度のプロトン伝導性電解質膜の製造が可能になる。
「製造条件の検討」
ポリスチレンスルホン酸を酸性ポリマーとして、ポリアリールアミンを成膜性の観点から塩基性ポリマーとして用い、水晶振動子微小秤量(QCM)で積層条件(ポリマー濃度、浸漬時間、洗浄時間等)を検討した。
従来の交互積層法では、浸漬時間20分、洗浄時間10分であり、例えば100回の浸漬を繰り返して積層するには最低100時間を要している。そこで、浸漬時間および洗浄時間の短縮による積層膜作成の高速化を可能にするため、浸漬時問と吸着量の関係を検討した。
図5及び図6に示した製造装置を用いて電解質膜を製造した。製造条件は、酸性水溶液のポリスチレンスルホン酸の濃度を0.15〜1.5unit・mMとし、塩基性水溶液のポリアリールアミンの濃度を0.3〜3.0unit・mMとし、酸性水溶液及び塩基性水溶液に対する基材の浸漬時間を30秒〜15分とした。また洗浄液として純水を用い、洗浄時間を30秒〜20分とした。
まず、基材を酸性水溶液に浸漬させて吸着量の調査を行った。まず、酸性水溶液の濃度を1.5unit・mMとし、浸漬時間を10秒〜30分の範囲で振って酸性ポリマー層を形成した。そして、酸性ポリマー層の重量を水晶振動子微小秤量計で測定した。その結果、浸漬時間が30秒以上で吸着量の増加が見られた。これにより酸性ポリマー層の形成時間は最短で30秒とされた。
同様に、基材を塩基性水溶液に浸漬させて吸着量の調査を行った。塩基性水溶液の濃度を3.0unit・mMとし、浸漬時間を10秒〜30分の範囲で振って塩基性ポリマー層を形成した。そして、塩基性ポリマー層の重量を水晶振動子微小秤量計で測定した。その結果、浸漬時間が30秒以上で吸着量の増加が見られた。これにより塩基性ポリマー層の形成時間は酸性ポリマー層の場合と同様に最短で30秒とされた。
次に、浸漬時間を30秒とし、酸性水溶液の濃度を0.1〜3.0unit・mMの範囲で振って酸性ポリマー層を形成した。そして、酸性ポリマー層の重量を水晶振動子微小秤量計で測定した。その結果、ポリスチレンスルホン酸の濃度を薄くしていくと、0.15unit・mMの時に吸着質量が1.9ng/mmとなり、それ以下の濃度では一定となった。この時の吸着質量は、ベンゼンスルホン酸ユニットが水平に、密に一層並んでいると仮定した際の吸着質量1.3ng/mmにほぼ一致し、高分子鎖の重なり数が1であると示唆された。また、それ以降は酸性水溶液の濃度に比例して吸着質量が増加した。以上により、酸性溶液の濃度は0.15unit・mM以上1.5unit・mM以下の範囲が好ましいことが判明した。
同様に、浸漬時間を30秒とし、塩基性水溶液の濃度を0.1〜3.0unit・mMの範囲で振って塩基性ポリマー層を形成した。そして、塩基性ポリマー層の重量を水晶振動子微小秤量計で測定した。その結果、ポリアリールアミンの濃度を薄くしていくと、0.3unit・mMの時に吸着質量が0.8ng/mmとなり、それ以下の濃度では一定となった。この時の吸着質量は、アリールアミンユニットが水平に、密に一層並んでいると仮定した際の吸着質量0.5ng/mmにほぼ一致し、高分子鎖の重なり数が1であると示唆された。また、それ以降は塩基性水溶液の濃度に比例して吸着質量が増加した。以上により、塩基性溶液の濃度は0.3unit・mM以上3.0unit・mM以下の範囲が好ましいことが判明した。
「実施例1:電解質膜の製造」
図5及び図6に示した製造装置を用いて電解質膜を製造した。酸性ポリマーには、ポリスチレンスルホン酸の18質量%水溶液(アルドリッチ社製、分子量7×10)を用い、塩基性ポリマーにはポリアリールアミンの10質量%水溶液(日東紡績社製、分子量6×10)をpH無調整で用いた。基材として金電極(φ=1.5cm)を用い、これを室温において、硫酸/過酸化水素混合液(体積比で硫酸/過酸化水素=3/1)に20分浸漬させた後、純水で洗浄した。次に、金電極を0.02モルの2一アミノエタンチオール水溶液からなる帯電剤に12時間浸漬させた後、純水で洗浄した。
次に、純水70mlに10.8mgのポリスチレンスルホン酸を溶解させて、0.15unit/mMの酸性水溶液を調製した。また、純水70m1に12.0mgのポリアリールアミンを溶解させて、0.3unit/mMの塩基性溶液を調製した。そして、図5及び図6に示した製造装置を用い、酸性水溶液に1分浸漬、純水で5分洗浄、乾燥30秒、塩基性水溶液に1分浸漬、純水で5分洗浄、乾燥30秒の順に浸漬を繰り返して酸性ポリマー層及び塩基性ポリマー層を交互に積層させた。酸性溶液、塩基性溶液に対する浸漬回数はそれぞれ10000回とし、積層した層の数を全部で20000層とした。そして、80℃で24時問加熱真空乾燥した。このようにして、金電極表面に、均一透明で強靭な積層膜を形成した。
得られた積層膜について、反射式顕微赤外分光光度法により官能基の同定を行ったところ、アミンおよびスルホン酸帰属のピークが得られた。従って、スルホン酸ポリマーコンプレックス膜の生成が示された。尚、検出された吸収ピークは、3399cm−1(νNH)、3066cm−1(νNH)、2925cm−1(νCH2),1556cm−1(νNH)、1390cm−1(νCH2)、1124cm−1(νCN)、1170cm−1(νS=O)、1033cm−1(νS=O)であった。
また、積層膜表面をポリプロピレン製ピンセットで削り、触針式膜厚計(KLA Tencors社製アルファステップ500)で段差を測定したところ20μmとなり、酸性ポリマー層または塩基性ポリマー層の一層の膜厚は1nmと計算された。一層は一高分子鎖の厚みであると考えられる。このことは、水晶振動子微小秤量計による質量測定によっても確認された。
次に、積層膜を3日間超純水に浸漬させ、乾燥後にマイクロ電子天秤により秤量したところ、浸水前後で質量に変化はなく、水に不溶であった。また積層膜は、メタノール、クロロホルム、ヘキサン、トルエン、ベンゼン、N’,N’−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどすべての一般溶媒に不溶であった。
また、積層膜の熱重量分析を行ったところ、10%熱分解温度(Td10%)は378℃であり、ポリスチレンスルホン酸のTd10%(263℃)に比べて耐熱性に優れていた。
次に、積層膜のプロトン伝導度を、温度を150℃に設定した加熱オーブン中にセルを設置して温度制御して測定したところ、2.0×10−2[S/cm]となった。一方、ポリスチレンスルホン酸−ポリアリールアミンの均等量混合物をペレット化してなる試料について同様に測定したところ、抵抗が大きくプロトン伝導はなかった。分子レベルでの交互積層膜とすることにより初めて、高いプロトン伝導度が発現されたことが分かる。このように、本実施例で得られた積層膜は、非水系において高いプロトン伝導性を有することが判明し、燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜として好適であることが判明した。
また、金基板を作用極としてサイクリックボルタンメトリーを行い、金電極に−1Vの還元電位を印加して積層膜を金電極から剥離させた。膜厚20μmの強靭で緻密な均一透明膜が、自己支持性を保ちつつ得られた。
「実施例2:燃料電池」
次に、実施例1のようにして作製されたプロトン伝導性電解質と白金が50質量%担持されたカーボン粉末をN、N’−ジメチルアセトアミドに加え、十分攪拌して懸濁液を得た。このとき、固形分の重量比で白金担持カーボン粉末とプロトン伝導性電解質との重量比が2:1になるように調整した。この懸濁液をカーボン多孔質体(気孔率75%)上に塗布し、これを乾燥して燃料電池用の多孔質電極とした。
そして、一対の上記多孔質電極の問に、実施例1で得られた積層膜を挟み込んで単セルとした。燃料に水素、酸化剤に空気をそれぞれ供給して、150℃にて発電試験を行ったところ、開路電圧0.903Vで200mA/cmの電流密度において0.680Vの電圧を得た。このように、実施例1の積層膜を電解質膜として有する燃料電池は、良好なプロトン伝導性とともに良好な電池特性を示した。
「実施例3:電解質膜の他の例」
酸性ポリマーを、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリアミドスルファミド酸、ポリアミド酸とし、酸性溶液の濃度を0.15〜1.5unit/mMとし、塩基性ポリマーをポリエチレンイミン、ポリエチレンイミン塩酸塩、ポリアリールアミンとし、塩基性溶液の濃度を0.3〜3unit/mMとしたこと以外は上記実施例1と同様にして、試料1〜5の積層膜からなる電解質膜を製造した。尚、酸性ポリマーのポリアミドスルファミド酸の構造式を式(3)に示し、ポリアミド酸の構造式を式(4)に示す。式(3)に示すポリアミドスルファミド酸は、上記一般式(1)においてArをフェニル基とし、Arをジフェニルエーテルとしたものである。また、式(4)に示すポリアミド酸は、上記一般式(2)においてArをフェニル基とし、Arをジフェニルエーテルとしたものである。
試料1〜5の電解質膜について、全体膜厚と、全体膜厚から算出した1層当たりの高分子鎖の重なり数と、プロトン伝導度と、10%熱分解温度(Td10%)を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2006260797
Figure 2006260797
Figure 2006260797
表1に示すように、試料1〜5の電解質膜は何れも、プロトン伝導度及びTd10%が高く、耐熱性に優れたプロトン伝導性電解質膜であることが判明した。特に、どの試料についても一層当たりの高分子鎖の重なり数が10未満であるため、プロトン伝導度に優れていることが分かる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば製造装置の基材に質量測定部を取り付け、酸性ポリマー層または塩基性ポリマー層の質量を一層ずつ計測して各層の形成量を監視しながら、酸性溶液槽、洗浄液槽及び塩基性溶液槽に対する基材の浸漬動作を行っても良い。また、電解質膜の膜強度を高くするためにポリ4フッ化エチレンなどの補強材を混合しても良い。
図1は、本発明の実施形態の燃料電池の単セルの構造を示す断面模式図。 図2は、本発明の実施形態の燃料電池に備えられたプロトン伝導性電解質膜を示す断面模式図。 図3は、プロトン伝導性電解質膜を構成する酸性ポリマー層を示す断面模式図。 図4は、プロトン伝導性電解質膜を構成する塩基性ポリマー層を示す断面模式図。 図5は、本発明の実施形態のプロトン伝導性電解質膜の製造装置を示す斜視模式図。 図6は、本発明の実施形態のプロトン伝導性電解質膜の製造装置の要部を示す側面図。 図7は、本発明の実施形態のプロトン伝導性電解質膜の製造方法を説明する模式図。
符号の説明
1…単セル(燃料電池)、4…電解質膜(プロトン伝導性電解質膜)、4a…酸性ポリマー層、4b…塩基性ポリマー層、4c…交互積層体、11…製造装置(プロトン伝導性電解質膜の製造装置)、12…可動ステージ、13…可動保持部、15…制御部、16…電位制御部、21a…酸性溶液槽、21b…洗浄液槽、21c…塩基性溶液槽、23…基材

Claims (16)

  1. 複数の酸性ポリマー層と複数の塩基性ポリマー層とがそれぞれ交互に積層されてなり、
    前記各酸性ポリマー層の一層当たりの高分子鎖の厚み方向の重なり数が10未満に設定されるとともに、前記各塩基性ポリマー層の一層当たりの高分子鎖の厚み方向の重なり数が10未満に設定されていることを特徴とする燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜。
  2. 全体の膜厚が1μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜。
  3. ポリエチレングリコールが含浸されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜。
  4. 前記酸性ポリマー層が、スルホン酸ポリマー、スルファミド酸ポリマー、またはカルボン酸ポリマー、リン酸ポリマーの中から選択される1種以上のポリマーからなり、前記塩基性ポリマー層が、アミニウムポリマーからなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜。
  5. 前記酸性ポリマー層が、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)、スルホン酸ポリフェニレンオキサイド、一般式(1)で表されるポリアミドスルファミド酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、カルボン酸ポリフェニレンオキサイド、一般式(2)で表されるポリアミド酸、ポリビニルリン酸、リン酸ポリフェニレンオキサイドの中から選択される1種以上ポリマーからなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜。
    ただし、一般式(1)において、Arはフェニル基、ナフタレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルホン基、ジフェニルスルフィド基、ビフェニル基またはベンゾフェノン基であり、Arはフェニル基、ナフタレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルホン基、ジフェニルスルフィド基、ビフェニル基またはベンゾフェノン基であり、nは100〜1000000の範囲の整数である。
    また、一般式(2)において、Arはフェニル基、ナフタレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルホン基、ジフェニルスルフィド基、ビフェニル基またはベンゾフェノン基であり、Arはフェニル基、ナフタレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルホン基、ジフェニルスルフィド基、ビフェニル基またはベンゾフェノン基であり、nは100〜1000000の範囲の整数である。
    Figure 2006260797
    Figure 2006260797
  6. 前記塩基性ポリマー層が、ポリアリールアミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾ一ル、ポリピリミジン、ポリトリアゾール、ポリキノリン、ポリインドール、ポリプリン、ポリビニルピロリドン、ポリベンズイミダゾールの中から選択される1種以上のポリマーからなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜。
  7. 酸性ポリマーを含む酸性溶液または塩基性ポリマーを含む塩基性溶液と基材とを接触させて前記基材上に酸性ポリマー層または塩基性ポリマー層を形成する工程と、洗浄液と前記基材とを接触させて余剰の前記酸性ポリマーまたは前記塩基性ポリマーを洗い流す工程とを交互に繰り返して、前記酸性ポリマー層と前記塩基性ポリマー層とを交互に積層する交互積層工程を具備してなり、
    前記各酸性ポリマー層の一層当たりの高分子鎖の厚み方向の重なり数を10未満に設定するとともに、前記各塩基性ポリマー層の一層当たりの高分子鎖の厚み方向の重なり数を10未満に設定することを特徴とする燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜の製造方法。
  8. 前記酸性溶液における酸性ポリマーの濃度を0.15unit・mM以上1.5unit・mM以下の範囲とし、前記塩基性溶液における塩基性ポリマーの濃度を0.3unit・mM以上3unit・mM以下の範囲とし、前記酸性溶液または前記塩基性溶液と前記基材との接触時間を30秒以上15分以下の範囲とし、前記洗浄液による洗浄時間を1分以上20分以下の範囲とすることを特徴とする請求項7に記載の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜の製造方法。
  9. 前記基材の表面にあらかじめ電荷を与えてから前記の交互積層工程を行い、次に前記基材表面の前記電荷をうち消す方向に前記基材の電位を走査することにより前記酸性ポリマー層と前記塩基性ポリマー層からなる交互積層体を前記基材から剥離する工程を備えたことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜の製造方法。
  10. 前記酸性ポリマーが、スルホン酸ポリマー、スルファミド酸ポリマー、またはカルボン酸ポリマー、リン酸ポリマーの中から選択される一以上のポリマーまたはこれらの塩からなるポリマーから構成され、前記塩基性ポリマーが、アミニウムポリマーまたはアミニウムポリマーの塩から構成されることを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれかに記載の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜の製造方法。
  11. 前記酸性ポリマーの塩が、ナトリウム塩であることを特徴とする請求項10に記載の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜の製造方法。
  12. 前記塩基性ポリマーの塩が、塩酸塩であることを特徴とする請求項10に記載の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜の製造方法。
  13. 請求項7ないし請求項12のいずれかに記載の製造方法によって製造されたものであることを特徴とする燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜。
  14. 請求項1ないし請求項6または請求項13のいずれかに記載のプロトン伝導性電解質膜を備えたことを特徴とする燃料電池。
  15. 酸性溶液槽と洗浄液槽と塩基性溶液槽とが設置された可動ステージと、基材を保持するとともに該基材を前記可動ステージに対して相対移動させて前記酸性溶液槽と前記洗浄液槽と前記塩基性溶液槽とにそれぞれ浸漬させる可動保持部と、前記可動ステージと前記可動保持部との相対位置を制御する制御部と、前記基材の電位を制御する電位制御部を具備してなり、
    前記酸性溶液槽と前記塩基性溶液槽と前記洗浄液槽とには、酸性ポリマーを含む酸性溶液と塩基性ポリマーを含む塩基性溶液と洗浄液とがそれぞれ満たされ、
    前記制御部は、前記可動ステージ及び前記可動保持部に対し、前記酸性溶液または前記塩基性溶液と前記基材とを接触させる動作と、前記洗浄液と前記基材とを接触させる動作とを交互に繰り返させて、酸性ポリマー層と塩基性ポリマー層とを交互に積層させるものであることを特徴とする燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜の製造装置。
  16. 前記電位制御部は、酸性ポリマー層と前記塩基性ポリマー層とを交互に積層させてから、前記基材の電位を走査させて前記酸性ポリマー層と前記塩基性ポリマー層からなる交互積層体を前記基材から剥離させるものであることを特徴とする請求項15に記載の燃料電池用のプロトン伝導性電解質膜の製造装置。

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