JP2006255583A - マイクロリアクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】 1つのチップ上において複数の混合比での反応操作を同時に行うことができ、流体の注入操作も各流体について1回行うだけでよく、基板も小さくすることが可能であるマイクロリアクタを提供する。
【解決手段】 基板10に、流体の種類ごとに設けられる複数の流体供給口12a、12b、流体供給口に連通流路18a、18b、18c、20a、20b、20cを通して流路接続される反応流路16a、16b、16c、および、反応流路の末端に流路接続される流体採取口14a、14b、14cが形成され、各流体供給口から供給されて各反応流路内で混合される複数種の流体の混合比が反応流路ごとに相違するように各連通流路の流路断面積を設定し、各連通流路および各反応流路からなる流路系を、基板の表・裏両面および基板の厚み方向に形成した。
【選択図】 図1

Description

この発明は、基板内において複数種の微少量の流体を混合して反応させるマイクロリアクタに関し、このマイクロリアクタは、化学反応、生化学反応、抗体−抗原反応、酵素反応などの各種反応を利用して化学薬品、化粧品、化学調味料等の合成、血液検査、病原体の検出、DNAの検出などに使用される。
この種のマイクロリアクタは、例えば、ガラス、プラスチック、セラミックス、金属などで形成された基板(チップ)の表面に微細な凹溝や有底孔を加工形成し、その基板にステンレス鋼等のカバー板を積層し密着させて、凹溝部分を流体の流路とするとともに、有底孔部分を流体の供給口や採取口とした構造を有している。また、基板に積層されるカバー板には、流体供給口および流体採取口にそれぞれ連通する複数の貫通孔が加工形成されている。そして、複数種、例えば2種類の流体を混合して反応させるマイクロリアクタでは、2つの流体供給口と1つの流体採取口、および、1本の反応流路が設けられ、各流体供給口と反応流路の先端とがそれぞれ連通流路を通して流路接続され、反応流路の末端に流体採取口が流路接続されている。このような構成のマイクロリアクタを使用して2種類の流体を反応させるときは、マイクロポンプ、マイクロシリンジ、マイクロバルブなどにより各流体供給口へ個別にそれぞれ流体を供給する。流体供給口へ供給された2つの流体は、それぞれ連通流路を通って反応流路の方へ流動し、反応流路内に流入して拡散混合される。そして、混合流体が反応流路内を流れる間に化学反応等の反応が進行し、反応後の流体が反応流路の末端から流出して、流体採取口を通って排出される(例えば、特許文献1参照。)。
特開2004−16870号公報(第2−4頁、図1、図9および図10)
例えば、2種類の薬液の混合比を種々に変えて両薬液を反応させたいような場合に、従来のマイクロリアクタにおいては、1つのチップ上では1つの混合比での反応結果しかみることができないため、複数のマイクロリアクタを用意する必要があった。一方、1つのチップ上において複数の混合比での反応操作を同時に行うためには、1つのチップ上にそれぞれ独立した複数の流路系を設ける必要がある。しかしながら、この場合には、チップのサイズが大きくなり、また、薬液の注入操作を各流路系ごとに別々に行う必要があって、その操作に手間と時間がかかる、といった問題点がある。
この発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、1つの基板(チップ)上において複数の混合比での反応操作を同時に行うことができ、流体の注入操作も各流体について1回行うだけでよく、基板の大きさも小さくすることが可能であるマイクロリアクタを提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、基板に、流体の種類ごとに設けられる複数の流体供給口、前記各流体供給口にそれぞれ連通流路を通して流路接続される反応流路、および、この反応流路の末端に流路接続される流体採取口がそれぞれ形成されたマイクロリアクタにおいて、前記反応流路を複数設けるとともに、その各反応流路の末端にそれぞれ個別に流路接続した流体採取口を複数設け、前記各流体供給口からそれぞれ供給されて前記各反応流路内で混合される複数種の流体の混合比が反応流路ごとに相違するように前記各連通流路の流路断面積をそれぞれ設定し、前記各連通流路および前記各反応流路からなる流路系を、基板の表・裏両面および基板の厚み方向に形成したことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のマイクロリアクタにおいて、前記流体供給口が第1の流体供給用および第2の流体供給用の2つ設けられるとともに、前記反応流路および前記流体採取口がそれぞれ3つ設けられ、前記各流体供給口、第1の流体を前記各反応流路へそれぞれ導入するための各連通流路、前記各反応流路および前記各流体採取口がそれぞれ基板の表面に形成され、第2の流体を前記各反応流路へそれぞれ導入するための各連通流路の一部もしくは全部が基板の裏面に形成されたことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1に記載のマイクロリアクタにおいて、前記流体供給口が3つ以上設けられたことを特徴とする。
請求項1に係る発明のマイクロリアクタにおいては、流体の種類ごとに1つだけ設けられた複数の流体供給口からそれぞれ供給された複数種の流体は、各連通流路をそれぞれ通って複数の反応流路へ流動し、各反応流路内に流入してそれぞれ拡散混合される。このとき、各連通流路の流路断面積は、複数種の流体の混合比が反応流路ごとに相違するようにそれぞれ設定されているので、複数の反応流路内において複数の混合比での反応操作が同時に行われる。また、各連通流路および各反応流路からなる流路系は、基板の表・裏両面および基板の厚み方向に形成されているので、基板の表面のみに流路系が形成されたものとは異なり、別の流路系同士を立体的に交差させて形成することができる。
したがって、請求項1に係る発明のマイクロリアクタを使用すると、1つの基板(チップ)上において複数の混合比での反応操作を同時に行うことができ、また、流体の注入操作を各流体について1回行うだけでよいので、その操作を簡単にかつ迅速に行うことができる。さらに、このマイクロリアクタでは、基板の大きさを可及的に小さくすることができる。
請求項2に係る発明のマイクロリアクタでは、第1の流体と第2の流体との混合比を3種類に変えた反応操作を1つの基板上において同時に行うことができる。また、両方の流体の供給および反応後の流体の採取をそれぞれ基板の表面側から行うことができ、また、流体同士の反応も基板の表面側で行われる。
請求項3に係る発明のマイクロリアクタでは、基板の表面のみに流路系が形成されたものでは不可能である3種以上の流体の混合・反応の同時操作が可能である。
以下、この発明の最良の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、この発明の実施形態の1例を示し、マイクロリアクタの構成要素である基板(チップ)の斜視図である。基板10は、ガラス、プラスチック、セラミックス、金属などで形成されており、図示していないが、基板10の表・裏両面には、ステンレス鋼等のカバー板がそれぞれ積層されて密着し、基板10および一対のカバー板が一体化されてマイクロリアクタが構成される。
基板10には、流体の種類ごとに設けられる複数の流体供給口12a、12b、および、反応後の流体を採取するための複数の流体採取口14a、14b、14cがそれぞれ設けられている。この実施形態では、2種類の流体をそれぞれ個別に供給するための2つの流体供給口12a、12bが設けられ、また、3つの流体採取口14a、14b、14cが設けられている。また、基板10には、複数本、この実施形態では3本の反応流路16a、16b、16cが設けられており、各反応流路16a、16b、16cの末端にそれぞれ個別に流体採取口14a、14b、14cが流路接続されている。各反応流路16a、16b、16cの先端は、2つの流体供給口12a、12bのそれぞれに各連通流路18a、20a;18b、20b;18c、20cを通してそれぞれ流路接続されている。
流体供給口12a、12bおよび流体採取口14a、14b、14cは、基板10の表面に微小な有底孔を加工することにより形成され、図示していないが、基板10の表面に積層されるカバー板に、各流体供給口12a、12bおよび各流体採取口14a、14b、14cにそれぞれ連通する複数本の貫通孔が形成されている。そして、マイクロポンプ、マイクロシリンジ、マイクロバルブなどによりカバー板の貫通孔を通して流体供給口12a、12bへ流体が注入され、また、流体採取口14a、14b、14cからカバー板の貫通孔を通して流体が排出されるようになっている。また、反応流路16a、16b、16c、および、流体供給口12aに連通する連通流路18a、18b、18cは、基板10の表面に微細な凹溝を加工することにより形成されている。一方、流体供給口12bに連通する連通流路20a、20b、20cは、基板10の表面および裏面に微細な凹溝をそれぞれ加工するとともに、図2に図1のII−II矢視部分拡大縦断面図を示すように基板10の厚み方向に貫通孔22を穿設して、それらを互いに接続することにより形成されている。このように、流路系が基板10の表・裏両面および基板10の厚み方向に形成されているので、基板10の表面のみに流路系が形成されたものとは異なり、別の流路系同士を立体的に交差させて形成することが可能となる。このため、基板10を可及的に小形化することができる。
3本の反応流路16a、16b、16cでは、互いに異なる混合比で混合される2種類の流体の反応操作が行われる。このため、連通流路18a、18b、18cおよび連通流路20a、20b、20cをそれぞれ通って反応流路16a、16b、16c内へ流入して混合される2種類の流体の混合比が反応流路16a、16b、16cごとに相違するように、各連通流路18a、20a;18b、20b;18c、20cの流路断面積、すなわち凹溝の幅および深さをそれぞれ適切に設定する。
上記したように構成された基板10を備えたマイクロリアクタを使用して、2種類の流体を3種の混合比でそれぞれ混合して反応させる場合、マイクロポンプ等により、第1の流体および第2の流体を各流体供給口12a、12bへそれぞれ個別に供給するだけでよい。流体供給口12a、12bへ供給された2種類の流体は、各連通流路18a、20a;18b、20b;18c、20cをそれぞれ通って各反応流路16a、16b、16cに向かって流動し、各反応流路16a、16b、16c内へ流入してそれぞれ拡散混合される。このとき、反応流路16a、16b、16c内へ流入して混合される2種類の流体の混合比は、反応流路16a、16b、16cごとに相違しており、3本の反応流路16a、16b、16c内では3種の混合比での反応操作が同時に行われることとなる。そして、混合流体が反応流路16a、16b、16c内を流れる間に化学反応等の反応が進行する。反応後の流体は、各反応流路16a、16b、16cの末端からそれぞれ流出し、各流体採取口14a、14b、14cを通って別々に排出される。なお、流体供給口12a、12bへ供給される流体は、液体、気体および粉体のいずれであってもよく、また、液体と気体、液体と粉体といったような組み合わせであってもよい。
図3ないし図9に、種々の流路構成例を示す。
図3に平面図を示した基板24では、図1に示した基板10と同様に、2つの流体供給口26a、26bおよび3つの流体採取口28a、28b、28c、3本の反応流路30a、30b、30c、ならびに、一方の流体供給口26aに連通する連通流路32a、32b、32cが、それぞれ基板24の表面側に形成され、他方の流体供給口26bに連通する連通流路34a、34b、34cが、基板24の表面側および裏面側ならびに基板24の厚み方向に形成されている。
図4に平面図を示した基板36では、一方の流体供給口38aおよび3つの流体採取口40a、40b、40c、3本の反応流路30a、30b、30c、ならびに、一方の流体供給口38aに連通する連通流路44a、44b、44cが、それぞれ基板36の表面側に形成され、他方の流体供給口38bが基板36の裏面側に形成され、その他方の流体供給口38bに連通する連通流路46a、46b、46cが、基板36の表面側および裏面側ならびに基板36の厚み方向に形成されている。また、図5に平面図を示した基板48では、2つの流体供給口50a、50bおよび3つの流体採取口52a、52b、52cが、それぞれ基板36の表面側に形成され、3本の反応流路54a、54b、54cが基板48の裏面側に形成され、一方の流体供給口50aに連通する連通流路56a、56b、56c、および、他方の流体供給口50bに連通する連通流路58a、58b、58cが、それぞれ基板48の表面側および裏面側ならびに基板48の厚み方向に形成されている。
図6に平面図を示した基板60では、2つの流体供給口62a、62bが、基板60の対向する両端部にそれぞれ設けられるとともに、3つの流体採取口64a、64b、64cが基板60の中央部にそれぞれ設けられている。そして、2つの流体供給口62a、62bおよび3つの流体採取口64a、64b、64cが、それぞれ基板60の表面側に形成され、3本の反応流路66a、66b、66cが基板60の裏面側に形成され、流体供給口62aに連通する連通流路68a、68b、68c、および、流体供給口62bに連通する連通流路70a、70b、70cが、それぞれ基板60の表面側だけに形成されている。
図7に平面図を示した基板72は、平面形状が円形であり、基板72には、2つの流体供給口74a、74bが基板72の中心部にそれぞれ設けられるとともに、4つの流体採取口76a、76b、76c、76dが基板72の周縁部にそれぞれ設けられ、4本の反応流路78a、78b、78c、78dが放射状に設けられている。そして、2つの流体供給口74a、74bおよび4つの流体採取口76a、76b、76c、76dが、それぞれ基板72の表面側に形成され、4本の反応流路78a、78b、78c、78d、および、一方の流体供給口74aに連通する連通流路80a、80b、80c、80dが、それぞれ基板72の表面側に形成されており、他方の流体供給口74bに連通する連通流路82a、82b、82c、82dが、それぞれ基板72の裏面側だけに形成されている。
図8および図9は、流体供給口が3つ設けられた実施形態を示す。図8に平面図を示した基板84は、図3に示した基板24の構成において、3つ目の流体供給口26cが追加して設けられ、その流体供給口26cと各反応流路30a、30b、30cとを、流体供給口26bに連通する各連通流路34a、34b、34cを介してそれぞれ流路接続する連通流路86a、86b、86cが追加して設けられている。そして、流体供給口26cが基板84の表面側に形成され、その流体供給口26cに連通する連通流路86a、86b、86cが、それぞれ基板84の表面側および裏面側ならびに基板84の厚み方向に形成されている。なお、図8においては、重複する説明を避けるために、図3に関して説明した構成要素と同一要素については、図3で使用した符号と同一符号を付して、これ以上の説明を省略する。
また、図9に平面図を示した基板88は、図6に示した基板60の構成において、3つ目の流体供給口62cが流体供給口62bの近くに追加して設けられ、その流体供給口62cと各反応流路66a、66b、66cとを、その各反応流路66a、66b、66cの途中でそれぞれ流路接続する連通流路90a、90b、90cが追加して設けられている。そして、流体供給口62cが基板88の表面側に形成され、その流体供給口62cに連通する連通流路90a、90b、90cが、それぞれ基板88の表面側および裏面側ならびに基板88の厚み方向に形成されている。なお、図9においては、重複する説明を避けるために、図6に関して説明した構成要素と同一要素については、図6で使用した符号と同一符号を付して、これ以上の説明を省略する。
図8および図9に示した実施形態のように、基板の表面のみに流路系が形成されたものでは不可能である3種以上の流体の混合・反応の同時操作も、この発明を適用することにより可能となる。
この発明は、上記したように種々の形態で実施し得るものである。なお、上記したいずれの実施形態においても、流体採取口を基板の表面側に設けるようにしているが、流体採取口を基板の裏面側に設けるようにしてもよい。また、流体供給口の数は4以上でもよいし、反応流路および流体採取口の数も4以上でもよい。
この発明の実施形態の1例を示し、マイクロリアクタの構成要素である基板の斜視図である。 図1のII−II矢視部分拡大縦断面図である。 この発明の別の実施形態を示し、マイクロリアクタの構成要素である基板の平面図である。 この発明のさらに別の実施形態を示し、マイクロリアクタの構成要素である基板の平面図である。 この発明のさらに別の実施形態を示し、マイクロリアクタの構成要素である基板の平面図である。 この発明のさらに別の実施形態を示し、マイクロリアクタの構成要素である基板の平面図である。 この発明のさらに別の実施形態を示し、マイクロリアクタの構成要素である基板の平面図である。 この発明のさらに別の実施形態を示し、マイクロリアクタの構成要素である基板の平面図である。 この発明のさらに別の実施形態を示し、マイクロリアクタの構成要素である基板の平面図である。
符号の説明
10、24、36、48、60、72、84、88 基板
12a、12b、26a、26b、26c、38a、38b、50a、50b、62a、62b、62c、74a、74b 流体供給口
14a、14b、14c、28a、28b、28c、40a、40b、40c、52a、52b、52c、64a、64b、64c、76a、76b、76c、76d 流体採取口
16a、16b、16c、30a、30b、30c、42a、42b、42c、54a、54b、54c、66a、66b、66c、78a、78b、78c、78d、80a、80b、80c、80d、82a、82b、82c、82d 反応流路
18a、18b、18c、20a、20b、20c、32a、32b、32c、34a、34b、34c、44a、44b、44c、46a、46b、46c、56a、56b、56c、58a、58b、58c、68a、68b、68c、70a、70b、70c、86a、86b、86c、90a、90b、90c 連通流路
22 貫通孔

Claims (3)

  1. 基板に、流体の種類ごとに設けられる複数の流体供給口、前記各流体供給口にそれぞれ連通流路を通して流路接続される反応流路、および、この反応流路の末端に流路接続される流体採取口がそれぞれ形成されたマイクロリアクタにおいて、
    前記反応流路を複数設けるとともに、その各反応流路の末端にそれぞれ個別に流路接続した流体採取口を複数設け、前記各流体供給口からそれぞれ供給されて前記各反応流路内で混合される複数種の流体の混合比が反応流路ごとに相違するように前記各連通流路の流路断面積をそれぞれ設定し、前記各連通流路および前記各反応流路からなる流路系を、基板の表・裏両面および基板の厚み方向に形成したことを特徴とするマイクロリアクタ。
  2. 請求項1に記載のマイクロリアクタにおいて、
    前記流体供給口が第1の流体供給用および第2の流体供給用の2つ設けられるとともに、前記反応流路および前記流体採取口がそれぞれ3つ設けられ、前記各流体供給口、第1の流体を前記各反応流路へそれぞれ導入するための各連通流路、前記各反応流路および前記各流体採取口がそれぞれ基板の表面に形成され、第2の流体を前記各反応流路へそれぞれ導入するための各連通流路の一部もしくは全部が基板の裏面に形成されたことを特徴とするマイクロリアクタ。
  3. 請求項1に記載のマイクロリアクタにおいて、前記流体供給口が3つ以上設けられたことを特徴とするマイクロリアクタ。
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