JP2006255514A - 有機性排水処理装置および有機性排水処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 有機性排水が好気的且つ嫌気的に生物処理されるべく、好気槽と嫌気槽とがそれぞれ1つ以上備えられ、さらに好気的生物処理と嫌気的生物処理とが行われた後の有機性排水に含まれる汚泥が沈殿される沈殿槽が備えられた有機性排水処理装置であって、全ての好気槽には、メンブレン多孔質膜もしくは多孔質体を備えた散気体を有する散気手段が備えられ、且つ、全ての嫌気槽には、双曲面形攪拌翼を有する攪拌手段が備えられていることを特徴とする有機性排水処理装置が備えられ、且つ、全ての嫌気槽には、双曲面形攪拌翼を有する攪拌手段が備えられていることを特徴とする有機性排水処理装置ならびに有機性排水処理方法を提供する。
【選択図】 図1
Description
これらの生物処理により、当初有機性排水に含有されている有機物は、二酸化炭素や水などに分解されることとなるが、生物処理後の処理液には、一部の未分解の固形有機物や生物処理に用いられた微生物などが汚泥として含有されている。そのため、従来の有機性排水処理装置には、このような好気槽、嫌気槽での生物処理後の処理液に含まれる汚泥を沈殿させ除去する沈殿槽が設けられている。
ところで、生物処理後に沈殿槽を通過した処理液は、そのままでも十分良好なる水質を有している場合は、特段の処理を行うことなく河川などに放出されることとなるが、沈殿槽での汚泥の沈殿が不十分であるなど河川に放出し得る水質を有していない場合には別途膜分離などのろ過処理が行われ河川に放出されている。すなわち、このような有機性排水処理においては、沈殿槽を通過した後の処理液の水質を高めることで、膜分離などの処理を省略させたり、あるいはその負荷を軽減させたりして、装置をコンパクト化したり処理効率を高めたりすることができる。したがって、沈殿槽での汚泥の沈殿性を高めることが要望されている。しかし、沈殿槽での汚泥の沈殿性を高めるためには沈殿槽を大きくしたり、あるいは、有機性排水の流量を減少させたりして沈殿槽での滞留時間を増大させる必要があり、設備を大型化させるか処理水量を低下させるかしなければならずコンパクトな装置で効率良く有機性排水処理を行うことが困難となる。
すなわち、コンパクトな装置で効率良く実施されることが求められる有機性排水処理においては、従来、沈殿槽での沈殿性を高めることが困難であるという問題を有している。
すなわち、本発明は、前記課題を解決すべく、有機性排水が好気的且つ嫌気的に生物処理されるべく、好気槽と嫌気槽とがそれぞれ1つ以上備えられ、さらに好気的生物処理と嫌気的生物処理とが行われた後の処理液に含まれる汚泥が沈殿される沈殿槽が備えられた有機性排水処理装置であって、全ての好気槽には、メンブレン多孔質膜もしくは多孔質体を備えた散気体を有する散気手段が備えられ、且つ、全ての嫌気槽には、双曲面形攪拌翼を有する攪拌手段が備えられていることを特徴とする有機性排水処理装置、ならびに、有機性排水を好気的且つ嫌気的に生物処理し得るように、好気的微生物による生物処理と嫌気的微生物による嫌気的生物処理とをそれぞれ1度以上実施し、これらの好気的生物処理および嫌気的生物処理後の処理液から汚泥を沈殿させる沈殿処理を実施する有機性排水処理方法であって、全ての好気的生物処理においては、メンブレン多孔質膜もしくは多孔質体を備えた散気体を有する散気手段による散気を実施し、且つ、全ての嫌気的生物処理においては、双曲面形攪拌翼を有する攪拌手段による攪拌を実施することを特徴とする有機性排水処理方法を提供する。
すなわち、すべての好気槽、嫌気槽においてフロックの微細化を抑制することができ、沈殿槽での汚泥の沈殿性を高めることができる。
まず、本実施形態に用いる有機性排水処理装置について説明する。本実施形態における有機性排水処理装置は、嫌気槽と好気槽とをそれぞれ2つずつ備え、この嫌気槽と好気槽との後段に最終沈殿槽を備えている。また、この嫌気槽と好気槽とは、有機性排水を好気的且つ嫌気的に生物処理し得るように、上流側から第一嫌気槽、第一好気槽、第二嫌気槽、第二好気槽の順に配されている。
さらに、本実施形態の有機性排水処理装置には、第一嫌気槽の前段において、当初有機性排水(原水)から、ごみ、異物などを除去する最初沈殿槽が備えられている。
また、本実施形態の有機性排水処理装置には、原水を最初沈殿槽に導入し、最初沈殿槽から第一嫌気槽、第一好気槽、第二嫌気槽、第二好気槽通じて最終沈殿槽から処理水を排出させるための配管、ポンプなど一般の排水処理装置に用いられている、搬送手段が備えられている。
また、前記第一および第二嫌気槽は、例えば、長さ数m〜十数m、幅数m〜十数m、深さ数mに形成され、このような嫌気槽に対して、前記攪拌手段の双曲面形攪拌翼は、例えば、2.5m程度の直径を有するものを用いることができる。
また、前記メンブレン多孔質膜を備えたメンブレン散気体としては、例えば、図4に示すように、板状本体部31と弾性体膜32を備えた板状メンブレン散気体30を用いることができ、前記板状本体部31と前記弾性体膜32との間の空間に空気を導入するために前記配管5が接続されているものを用いることができる。
このような散気体の内、メンブレン散気体は、ブローダウン運転を行うことにより通気孔の目詰まりを抑制でき、メンテナンスの手間の増大や散気体の圧力損失の増加を抑制することができ、好気槽の運転効率を改善し得る点において好適である。
また、前記第一および第二好気槽は、前記嫌気槽と略同等の容積のものを用いることができる。
前記最終沈殿槽は、第一嫌気槽、第一好気槽、第二嫌気槽、第二好気槽を通して生物処理された処理液中に含まれている、汚泥を沈殿させて除去し上澄み液を処理水として排出し得るように、底面が傾斜し、その最底部には、沈殿した汚泥を引き抜き汚泥として最終沈殿槽から除去するための汚泥引抜き口が備えられている。
また、最終沈殿槽には、上澄み液を処理水として排出し得るように越流堰が備えられている。
まず、最初沈殿槽に有機性排水を導入し、最初沈殿槽にて砂礫、ごみ、異物などを沈殿させて初沈汚泥として除去させる。これら砂礫、ごみ、異物などを除去した有機性排水を、第一嫌気槽に導入して、前記双曲面形攪拌翼12を例えば数十rpmの回転速度で回転させ、嫌気性微生物による第一嫌気的生物処理を行う。このとき双曲面形攪拌翼12を回転させると、双曲面形攪拌翼12表面のリブ14で活性汚泥が水平方向外方に押し出される。そして、攪拌翼中心部の水圧が下がり、攪拌翼中心部に向けてその上方から活性汚泥が供給され、図2中破線矢印Aで例示したような流動が生じる。この流動では、活性汚泥を双曲面形攪拌翼12の表面に沿って緩やかに方向変換させることができ、活性汚泥が攪拌翼から受けるせん断をプロペラ攪拌翼やパドル翼などを用いた場合に比べて小さなものとすることができる。
この最終沈殿槽では、通常、水面積負荷を数十m3/m2/日程度の処理量で沈殿処理を行い、汚泥を沈殿させる。この沈殿させた汚泥は、定期的に汚泥引抜き口から引抜き汚泥として排出させ、一部を第一嫌気槽よりも上流側に戻し、残りを余剰汚泥として処理する。
また、この最終沈殿槽からは、上澄み液を越流堰から処理水として排出させる。
また、本発明の効果を損ねない範囲において、バースクリーン、メッシュスクリーン、原水ピット、受水槽、凝集槽、温度制御機構など一般の排水処理に用いられている装置を適宜設けることも可能である。
(使用設備)
実際の下水処理場において、隣接する2系統の処理経路を用いて、第一の系統を従来のプロペラ攪拌翼を備えた、嫌気槽、好気槽とし、第二の系統の嫌気槽には、プロペラ攪拌翼に代え槽底略中央に直径2.5mの双曲面形攪拌翼を備えて20〜30rpm程度の回転速度で攪拌を行い、好気槽には、その底面に一般的な散気体とプロペラ攪拌翼との散気手段に代えて、幅1.0m×長さ3.5mの平板状のメンブレン散気体を2列に略等間隔に7基配して(合計14基)攪拌を行わずに散気を行った。
なお、使用した槽は、以下の通りである。
第一嫌気槽:幅15m×長さ9.7m×深さ7.8m(液深6.0m)
第一好気槽:幅15m×長さ14.6m×深さ7.8m(液深6.0m)
第二嫌気槽:幅15m×長さ14.6m×深さ7.8m(液深6.0m)
第二好気槽:幅15m×長さ21.6m×深さ7.8m(液深6.0m)
また、最終沈殿槽は、水面積負荷を約15m3/m2/日の処理量で沈殿処理を行い、汚泥を沈殿させた。
(1ヶ月試験)
上記の設備を用いて初夏の1ヶ月間下水処理を行い、最終沈殿槽から排出された処理水の全窒素(T−N)を「JIS K 0102熱分解法」、アンモニア性窒素(N−NH4)を「同JISインドフェノール青吸光光度法」、硝酸性窒素(N−NOX)を「同JISナフチルエチレンジアミン吸光光度法(N−NO3)およびイオンクロマト法(N−NO2)」、BOD5を「同JIS」、全リン(T−P)を「JIS K 0101ペルオキソ二硫酸カリウム分解法」、色度を「同JIS白金コバルトによる色度測定」、濁度を「水道法の水道水質基準によるポリスチレン標準液での測定法」によりそれぞれ測定した一ヶ月平均の値を表1に示す。
先の1ヶ月試験と同様の方法で、初冬から初夏にかけての約6ヶ月間の評価試験を行った結果を表2に示す。
すなわち、従来よりも装置サイズを大きくすることなく、また、排水処理量を低減させる事なく沈殿槽での沈殿性を高められることが確認でされた。
Claims (2)
- 有機性排水が好気的且つ嫌気的に生物処理されるべく、好気槽と嫌気槽とがそれぞれ1つ以上備えられ、さらに好気的生物処理と嫌気的生物処理とが行われた後の処理液に含まれる汚泥が沈殿される沈殿槽が備えられた有機性排水処理装置であって、
全ての好気槽には、メンブレン多孔質膜もしくは多孔質体を備えた散気体を有する散気手段が備えられ、且つ、全ての嫌気槽には、双曲面形攪拌翼を有する攪拌手段が備えられていることを特徴とする有機性排水処理装置。 - 有機性排水を好気的且つ嫌気的に生物処理し得るように、好気的微生物による生物処理と嫌気的微生物による嫌気的生物処理とをそれぞれ1度以上実施し、これらの好気的生物処理および嫌気的生物処理後の処理液から汚泥を沈殿させる沈殿処理を実施する有機性排水処理方法であって、
全ての好気的生物処理においては、メンブレン多孔質膜もしくは多孔質体を備えた散気体を有する散気手段による散気を実施し、且つ、全ての嫌気的生物処理においては、双曲面形攪拌翼を有する攪拌手段による攪拌を実施することを特徴とする有機性排水処理方法。
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