JP2006255141A - センサー装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本願発明は、電波を利用したパルス波を使用して距離分解能を高め、受信したパルス波の時間の変動や振幅の変動から人体の僅かな動きや呼吸のような微小な変動を検出して、人体を監視することのできるセンサー装置を提供することを目的とする。
【解決手段】上記目的を達成するために、本願第一発明は、パルス波を利用して、測定対象物までの電波の伝搬往復時間を算出し、算出中に伝搬往復時間の変動していた特定の測定対象物が一定時間内静止したときに警報を出力するセンサー装置である。
【選択図】図1

Description

本願発明は、人体の動きや人体の呼吸を監視して、人体が正常であることを検出するセンサー装置に関する。
トイレや風呂場の中で倒れてしまい、救出が遅れて死亡に至る事故が度々報告されている。このような状況で、倒れた人を早期に発見することにより生存率を高めることのできる可能性がある。
早期に発見する技術としては、カメラを用いて人体を直接監視することが考えられる。しかし、トイレや風呂場では、プライバシーの点からカメラを用いた監視は禁止的である。そのため、人体を間接的に監視することが望まれる。
間接的に監視する技術として、焦電センサーを用いて人体を検出する方法がある。焦電センサーは赤外線を検知するセンサーであり、人体から発生する赤外線を検知して人体の存在を検出するものである。しかし、焦電センサーは距離分解能がなく、また、風呂場では浴槽の湯等の熱源からの赤外線と人体からの赤外線を区別できないため、人体を誤検出してしまう。
他に超音波センサーを用いて人体を検出する方法がある。超音波センサーは超音波の反射を利用したセンサーであり、超音波を送出し、人体から反射してきた超音波を検知して人体の存在を検出するものである。しかし、超音波センサーはダイナミックレンジが小さいため、人体までの距離が近いと飽和してしまう。
他にレーザーセンサーを用いて人体を検出する方法がある。レーザーセンサーはレーザー光の反射を利用したセンサーであり、レーザー光を送出し、人体から反射してきたレーザー光を検知して人体の存在を検出するものである。しかし、レーザー光を用いた場合は、レーザー光が直接人体の目に入らないような対策が望まれる。また、水蒸気によるレーザー光の減衰が大きく風呂場での利用には適しない。
他にマイクロ波を利用して人体の呼吸を検知して、検知した人体が正常であることを検出する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この装置では、ドップラー効果を利用して呼吸を検知しているので、座っているときの僅かな動きや呼吸のような微小な動きを正確に検知できないという課題がある。
特開2002−71825号公報。
本願発明は、電波を利用したパルス波を使用して距離分解能を高め、受信したパルス波の時間の変動や振幅の変動から人体の僅かな動きや呼吸のような微小な変動を検出して、人体を監視することのできるセンサー装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本願第一発明は、パルスレーダー装置を利用して、測定対象物までの電波の伝搬往復時間を算出し、伝搬往復時間の変動していた特定の測定対象物が一定時間内静止したときに警報を出力するセンサー装置である。
具体的には、本願第一発明は、所定のパルス周期を持つ所定のパルス幅の送信パルスに基づいて、所定周波数の搬送波を変調して送信パルス波を送出するパルス送信回路と、前記パルス送信回路からの送信パルス波を放射する送信アンテナと、測定対象物で反射した受信パルス波を受信する受信アンテナと、前記受信アンテナからの受信パルス波を前記搬送波で復調して受信パルスを出力するパルス受信回路と、前記送信アンテナが送信パルス波を放射してから前記受信アンテナが受信パルス波を受信するまでの時間によって前記測定対象物までの電波の伝搬往復時間を算出する時間算出回路と、前記時間算出回路の算出する伝搬往復時間が変動していた測定対象物について、その伝搬往復時間の変動が一定時間内停止したときに警報を出力する警報出力回路と、を備えるセンサー装置である。
センサー装置で、測定対象物までの電波の伝搬往復時間を算出すれば、それまで変動していた伝搬往復時間が一定時間停止すると、その測定対象物は静止したことが分かる。測定対象物が人体の場合は、動いていた人体が一定時間内静止することを検出することによって人体を監視することができる。
本願第二発明は、所定のパルス周期を持つ所定のパルス幅の送信パルスに基づいて、所定周波数の搬送波を変調して送信パルス波を送出するパルス送信回路と、前記パルス送信回路からの送信パルス波を放射する送信アンテナと、測定対象物で反射した受信パルス波を受信する受信アンテナと、前記受信アンテナからの受信パルス波を前記搬送波で復調して受信パルスを出力するパルス受信回路と、前記パルス受信回路の出力する受信パルスの振幅に含まれていた一定周期の変動が停止したときに警報を出力する警報出力回路と、を備えるセンサー装置である。
センサー装置で、測定対象物から反射した受信パルスの振幅を観測すれば、それまで観測されていた振幅に含まれていた一定周期の変動が停止すると、その測定対象物は微小な変動が停止したことが分かる。測定対象物が人体の場合は、呼吸によって一定周期の微小な変動が生じる。受信パルスの振幅に含まれていた一定周期の変動の停止を検出することによって、呼吸していた人体が呼吸停止したことを知ることができるため、人体を監視することができる。
本願第三発明は、本願第二発明において、前記送信アンテナが送信パルス波を放射してから前記受信アンテナが受信パルス波を受信するまでの時間によって前記測定対象物までの電波の伝搬往復時間を算出する時間算出回路をさらに備え、前記警報出力回路は、前記時間算出回路の算出する伝搬往復時間に基づいて前記受信パルスを分類し、測定対象物毎に前記受信パルスの振幅変動を検出することを特徴とするセンサー装置である。
センサー装置で、測定対象物から反射した受信パルスの振幅を測定対象物までの伝搬往復時間ごとの受信パルスに分離して観測すれば、それまで観測されていた振幅の変動していた特定の測定対象物からの受信パルスの振幅に含まれていた一定周期の変動が停止すると、その測定対象物は微小な変動が停止したことが分かる。測定対象物が人体の場合は、呼吸によって一定周期の微小な変動が生じる。人体からの受信パルスに含まれていた一定周期の微小な変動が停止、つまり呼吸していた人体が呼吸停止したことを検出することによって人体を監視することができる。
本願第一発明から第三発明において、前記搬送波の周波数は、10GHz以上、100GHz以下であることが望ましい。
100GHz以上の周波数では、伝搬損失が大きく、10GHz以下の周波数では、送信パルス波の波長が3cmを超えるため、人体の僅かな動きや微小な変動を検出できないからである。
本願第一発明から第三発明において、前記所定のパルス幅は、1ns以上、100ns以下であることが望ましい。
センサー装置から検出する人体までの距離が、15cmから15m程度であるから、分解能としてこの程度のパルス幅が必要になるからである。
本願第二発明又は第三発明において、前記所定のパルス周期は、60ms以上、5s以下であることが望ましい。
人体の呼吸は通常6回/分以上であることから、呼吸による一定周期の微小な変動を検出するにはその2倍の頻度が必要である。また、人体の呼吸は異常時では100回/分程度にまで上昇し、この変動を精密に検出するにはその10倍の頻度が必要である。
本願発明により、電波を利用したパルス波を使用して距離分解能を高め、受信したパルス波の時間の変動や振幅の変動から人体の僅かな動きや呼吸のような微小な変動を検出して、人体を監視することのできるセンサー装置を提供することができる。
以下、本願発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、本願発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
図1は、本願発明に係るセンサー装置の実施の形態の一例を説明するブロック図である。図1において、11は所定のパルス周期を持つ所定のパルス幅の送信パルスを出力するパルス発生回路、12は送信パルスに基づいて所定周波数の搬送波をパルス変調して送信パルス波を送出する変調回路、13は送信パルス波を放射する送信アンテナ、21は測定対象物から反射した受信パルス波を受信する受信アンテナ、22は受信パルス波を所定周波数の搬送波で復調する復調回路、23は受信パルスを出力するパルス検出回路、24はパルス発生回路11が送信パルスを出力してからパルス検出回路23が受信パルスを出力するまでの時間によって測定対象物までの伝搬往復時間を算出する時間算出回路、25は時間算出回路24の算出する伝搬往復時間の変動していた特定の測定対象物の伝搬往復時間が一定時間内停止したときに警報を出力する静止警報出力回路である。
パルス発生回路11及び変調回路12がパルス送信回路に含まれる。復調回路22及びパルス検出回路23がパルス受信回路に含まれる。
まず、図1において、センサー装置の送信系の構成を説明する。パルス発生回路11は、所定のパルス周期を持つ所定のパルス幅の送信パルスを出力する。所定のパルス周期は、本センサー装置の最大検出距離に対応する電波の伝搬往復時間よりも長く設定する。
変調回路12の送信パルスを変調する搬送波の周波数は、10GHz以上、100GHz以下が望ましい。100GHz以上の周波数では、空気中での伝搬損失が大きくセンサー装置の検出距離限界が短くなる。10GHz以下の周波数では、送信パルス波の波長が人体の動きや微小な変動幅に近くなるため、人体の僅かな動きや微小な変動をセンサー装置が検出できなくなる。
パルス発生回路11の出力する送信パルスのパルス幅は、1ns以上、100ns以下であることが望ましい。センサー装置が検出するセンサー装置から人体までの距離は、15cmから15m程度であるから、分解能を決定する送信パルスのパルス幅では1ns以上、100ns以下に相当する。
変調回路12は、パルス発生回路11からの送信パルスに基づいて所定周波数の搬送波をパルス変調して送信パルス波を送出する。送信アンテナ13は、変調回路12からの送信パルス波を放射する。送信アンテナ13は複数のアンテナから構成されるものでもよい。
次に、センサー装置の受信系の構成を説明する。受信アンテナ21は、測定対象物から反射した受信パルス波を受信する。受信アンテナ21も複数のアンテナから構成されるものでもよい。また、送受信兼用アンテナであってもよい。復調回路22は、センサー装置の使用する周波数の搬送波で検波して受信パルス波を復調する。パルス検出回路23は、ノイズ除去のため、復調回路22からの出力を所定の閾値と比較して所定値以上の振幅を有する受信パルスを検出し、これを受信パルスとして出力する。
時間算出回路24は、パルス発生信回路11が送信パルスを出力してからパルス検出回路23が受信パルスを出力するまでの時間を算出し、測定対象物までの電波の伝搬往復時間として出力する。時間算出回路24は、さらに、測定した伝搬往復時間から測定対象物までの距離を算出してもよい。図1では、伝搬往復時間は、パルス発生回路11が送信パルスを出力したタイミングとパルス検出回路23が受信パルスを検出したタイミングとの時間差となる。パルス発生回路11から、変調回路12、送信アンテナ13、受信アンテナ21及び復調回路22を経て、パルス検出回路23までの遅延時間を予め測定しておき、時間算出回路24は予め測定した前記遅延時間を差し引いて、送信アンテナ13が送信パルス波を放射してから受信アンテナ21が受信パルス波を受信するまでの時間である測定対象物までの伝搬往復時間に補正することが好ましい。
静止警報出力回路25は、時間算出回路24が伝搬往復時間を算出する測定対象物のうち、伝搬往復時間の変動していた特定の測定対象物の伝搬往復時間の変動が一定時間内停止したことを検出すると静止警報を出力する。
図1に示すセンサー装置の動作を図2で説明する。図1における符号を随時用いて説明する。図2(A)は、図1におけるA点、図2(B)は図1におけるB点での動作波形を示す。S1、S2はパルス発生回路11の出力する送信パルスに同期したパルスである。P11、P21、P31はそれぞれ、パルスS1の後にパルス検出回路23が出力するパルスであり、P12、P22、P32はそれぞれ、パルスS2の後にパルス検出回路23が出力するパルスである。
パルスS1とパルスS2との時間間隔Tpは最大検知距離に相当する伝搬往復時間よりも長いことが好ましい。最大検知距離にある測定対象物からの受信パルスを近距離にある測定対象物からの受信パルスに妨害されないように受信するためである。最大検知距離とは、センサー装置が受信パルス波を検出可能な最大距離をいう。
時間算出回路24がパルスS1からパルスP11までの時間間隔t11、パルスS1からパルスP21までの時間間隔t21、パルスS1からパルスP31までの時間間隔t31の組とパルスS2からパルスP12までの時間間隔t12、パルスS2からパルスP22までの時間間隔t22、パルスS2からパルスP32までの時間間隔t32の組とをそれぞれ比較する。ここではパルスS1とパルスS2の2つのみを表記しているが、パルスS2の後に次々と時間間隔を測定して比較する。t11=t12、t21≠t22、t31=t32のときは、パルスP21及びパルスP22が動いている測定対象物からの反射によって生じた受信パルスであると判定する。動いている測定対象物からの反射によって生じた受信パルスであれば、センサー装置からの伝搬往復時間が変動する。
パルス発生回路11の出力する送信パルスに同期したパルスS1、S2、・・・Snと動いている測定対象物からの反射によって生じた受信パルスP21、P22、・・・P2nとの時間関係を図3に示す。図3において、横軸は経過時間、縦軸はパルスの信号を表す。特定の測定対象物が動いていると、パルスS1とパルスP21との時間間隔t21、パルスS2とパルスP22との時間間隔t22、・・・パルスSnとパルスP2nとの時間間隔t2nが変動する。時間間隔t21、t22、・・・t2nは特定の測定対象物までの伝搬往復時間である。
特定の測定対象物までの伝搬往復時間の時間経過を図4で説明する。図1における符号を随時用いて説明する。図4において、横軸は経過時間、縦軸は特定の測定対象物までの伝搬往復時間を表す。図4において、特定の測定対象物までの伝搬往復時間がある時間までは変動しており、伝搬往復時間が停止してから一定時間経過後でもまだ変動が停止しているときに、静止警報出力回路25は静止警報を出力する。上記で説明した一定時間は任意に設定すればよい。例えば、30秒や1分でもよい。
動いている特定の測定対象物が人体であるときは、静止警報出力回路25は、伝搬往復時間が変動していれば人体は動いているため、人体に異常がないと判断する。静止警報出力回路25は、それまで伝搬往復時間が変動していた特定の測定対象物の伝搬往復時間の変動が一定時間内停止したときに、人体が静止したと判断して静止警報を出力する。
以上説明したように、本実施の形態のセンサー装置で、測定対象物までの電波の伝搬往復時間を算出すれば、それまで変動していた伝搬往復時間が一定時間停止すると、その測定対象物は静止したことが分かる。従って、測定対象物が人体の場合は、動いていた人体が一定時間内静止することを検出することができるため、人体を監視することができる。
図5は、本願発明に係るセンサー装置の他の実施の形態の一例を説明するブロック図である。図5において、図1で説明した前述の実施の形態のセンサー装置と同じ符号は同じ意味を表す。26はパルス検出回路23の出力する受信パルスの振幅に含まれていた一定周期の変動が停止したときに警報を出力する振幅警報出力回路である。
パルス発生回路11及び変調回路12がパルス送信回路に含まれる。復調回路22及びパルス検出回路23がパルス受信回路に含まれる。
まず、図5において、センサー装置の送信系の構成を説明する。パルス発生回路11は、所定のパルス周期を持つ所定のパルス幅の送信パルスを出力する。所定のパルス周期は、60ミリ秒以上、5秒以下が望ましい。人体の呼吸数は通常6回/分以上である。標準化定理より、呼吸による微小な変動を検出するにはその2倍以上の頻度が必要である。12回/分以上の頻度であれば、呼吸による微小な変動を検出することができる。12回/分以上の頻度は、5秒以下の周期に対応する。また、人体の呼吸は異常時では100回/分にまで上昇し、この変動を精密に検出するにはその10倍の周期が必要である。100回/分以上の頻度は、60ミリ秒以上に対応する。
変調回路12の送信パルスを変調する搬送波の周波数は、10GHz以上、100GHz以下が望ましい。100GHz以上の周波数では、空気中での伝搬損失が大きくセンサー装置の検出距離限界が短くなる。10GHz以下の周波数では、送信パルス波の波長が人体の動きや微小な変動に近くなるため、人体の僅かな動きや微小な変動をセンサー装置が検出できなくなる。
パルス発生回路11の出力する送信パルスのパルス幅は、1ns以上、100ns以下であることが望ましい。センサー装置が検出するセンサー装置から人体までの距離は、15cmから15m程度であるから、分解能を決定する送信パルスのパルス幅では1ns以上100ns以下に相当する。
変調回路12は、パルス発生回路11からの送信パルスに基づいて所定周波数の搬送波でパルス変調して送信パルス波を送出する。送信アンテナ13は、変調回路12からの送信パルス波を放射する。送信アンテナ13は複数のアンテナから構成されるものでもよい。
本実施の形態のセンサー装置の受信系は図1で説明したセンサー装置の構成と同様である。但し、測定対象物までの伝搬往復時間を算出することなく、パルス検出回路23の出力する受信パルスの振幅の変動を観測する。
振幅警報出力回路26は、パルス検出回路23の出力する受信パルスの振幅を観測し、受信パルスの振幅に含まれていた一定周期の変動が停止したことを検出すると振幅警報を出力する。振幅警報は停止を検出して即時に出力してもよいし、停止を検出してから一定時間経過しても停止していれば出力するようにしてもよい。
図5に示すセンサー装置の動作を図6で説明する。図5における符号を随時用いて説明する。図6において、横軸は経過時間、縦軸は測定対象物からの受信パルスの振幅を表す。測定対象物が微小な変動をしていると、測定対象物で反射された受信パルスの搬送波にも微小な位相の変動が生じる。測定対象物からの受信パルス波を搬送波で復調する際に、受信パルス波と搬送波の位相関係も変動するために、復調した受信パルスの振幅に変動が発生する。それまで、観測されていた受信パルスの振幅に含まれていた一定周期の変動が停止すると、測定対象物は微小な変動が停止したことが分かる。
センサー装置で、測定対象物から反射した受信パルスの振幅を観測すれば、それまで観測されていた振幅に含まれていた一定周期の変動が停止すると、その測定対象物の微小な変動が停止したことが分かる。測定対象物が人体の場合は、呼吸していた人体が呼吸停止したことを意味する。図6において、一定周期の変動が停止したとき、つまり呼吸停止したときに、振幅警報出力回路26は振幅警報を出力する
以上説明したように、本実施の形態のセンサー装置で、測定対象物から反射した受信パルスの振幅を観測すれば、それまで観測されていた振幅に含まれていた一定周期の変動が停止すると、その測定対象物の微小な変動が停止したことが分かる。測定対象物が人体の場合は、人体の微小な変動が停止、つまり呼吸していた人体が呼吸停止したことを検出することによって人体の異常を監視することができる。
図7は、本願発明に係るセンサー装置の他の実施の形態の一例を説明するブロック図である。図7において、図1で説明した前述の実施の形態のセンサー装置と同じ符号は同じ意味を表す。27は時間算出回路24の算出する伝搬往復時間に基づいて受信パルスを分類し、測定対象物毎に受信パルスの振幅変動を検出し、その受信パルスの振幅に含まれていた一定周期の変動が停止したときに警報を出力する停止警報出力回路である。
パルス発生回路11及び変調回路12がパルス送信回路に含まれる。復調回路22及びパルス検出回路23がパルス受信回路に含まれる。パルス発生回路11は、所定のパルス周期を持つ所定のパルス幅の送信パルスを出力する。所定のパルス周期は、60ミリ秒以上、5秒以下が望ましい。人体の呼吸数は通常6回/分以上である。標準化定理より、呼吸による微小な変動を検出するにはその2倍以上の頻度が必要である。12回/分以上の頻度であれば、呼吸による微小な変動を検出することができる。12回/分以上の頻度は、5秒以下の周期に対応する。また、人体の呼吸は異常時では100回/分にまで上昇し、この変動を精密に検出するにはその10倍の周期が必要である。100回/分以上の頻度は、60ミリ秒以上に対応する。
変調回路12の送信パルスを変調する搬送波の周波数は、10GHz以上、100GHz以下が望ましい。100GHz以上の周波数では、空気中での伝搬損失が大きくセンサー装置の検出距離限界が短くなる。10GHz以下の周波数では、送信パルス波の波長が人体の動きや微小な変動に近くなるため、人体の僅かな動きや微小な変動をセンサー装置が検出できなくなる。
パルス発生回路11の出力する送信パルスのパルス幅は、1ns以上、100ns以下であることが望ましい。センサー装置が検出するセンサー装置から人体までの距離は、15cmから15m程度であるから、分解能を決定する送信パルスのパルス幅では1ns以上、100ns以下に相当する。
変調回路12は、パルス発生回路11からの送信パルスに基づいて所定周波数の搬送波をパルス変調して送信パルス波を送出する。送信アンテナ13は、変調回路12からの送信パルス波を放射する。送信アンテナ13は複数のアンテナから構成されるものでもよい。
次に、センサー装置の受信系の構成を説明する。受信アンテナ21は、測定対象物から反射した受信パルス波を受信する。受信アンテナ21も複数のアンテナから構成されるものでもよい。また、送受信兼用アンテナであってもよい。復調回路22は、センサー装置の使用する周波数の搬送波で検波して受信パルス波を復調する。パルス検出回路23は、ノイズ除去のため、復調回路22からの出力を所定の閾値と比較して所定値以上の振幅を有する受信パルスを検出し、これを受信パルスとして出力する。
時間算出回路24は、パルス発生信回路11が送信パルスを出力してからパルス検出回路23が受信パルスを出力するまでの時間を算出し、測定対象物までの電波の伝搬往復時間として出力する。または、時間算出回路24が、測定した伝搬往復時間から測定対象物までの距離を算出してもよい。図7では、伝搬往復時間は、パルス発生回路11が送信パルスを出力したタイミングとパルス検出回路23が受信パルスを検出したタイミングとの時間差となる。パルス発生回路11から、変調回路12、送信アンテナ13、受信アンテナ21及び復調回路22を経て、パルス検出回路23までの遅延時間を予め測定しておき、時間算出回路24は予め測定した前記遅延時間を差し引いて、送信アンテナ13が送信パルス波を放射してから受信アンテナ21が受信パルス波を受信するまでの時間であるセンサー装置と測定対象物との伝搬往復時間に補正することが好ましい。
停止警報出力回路27は、時間算出回路24の算出する伝搬往復時間に基づいて受信パルスを分類し、測定対象物のうち、パルス検出回路23の出力する受信パルスの振幅が一定周期で変動している特定の測定対象物において、その一定周期の変動が停止したことを検出すると停止警報を出力する。上記で説明した一定周期は、人体の呼吸に対応する。停止警報は停止を検出して即時に出力してもよいし、停止を検出してから一定時間経過しても停止していれば出力するようにしてもよい。
図7に示すセンサー装置の動作を図8で説明する。図7における符号を随時用いて説明する。図8(D)は、図7におけるD点、図8(E)は図7におけるE点での動作波形を示す。S1、S2はパルス発生回路11の出力する送信パルスに同期したパルスである。P11、P21、P31はそれぞれ、パルスS1の後にパルス検出回路23が出力するパルスであり、P12、P22、P32はそれぞれ、パルスS2の後にパルス検出回路23が出力するパルスである。
時間算出回路24がパルスS1からパルスP11までの時間間隔t11、パルスS1からパルスP21までの時間間隔t21、パルスS1からパルスP31までの時間間隔t31の組とパルスS2からパルスP12までの時間間隔t12、パルスS2からパルスP22までの時間間隔t22、パルスS2からパルスP32までの時間間隔t32の組とをそれぞれ比較する。ここではパルスS1とパルスS2の2つのみを表記しているが、パルスS2の後に次々と時間間隔を測定して比較する。t11≒t12、t21≒t22、t31≒t32のときは、パルスP11とパルスP12が同じ測定対象物からのパルスであり、パルスP21とパルスP22が同じ測定対象物からのパルスであり、パルスP31とパルスP32が同じ測定対象物からのパルスであると判定する。
同じ測定対象物からのパルスのうち、パルスの振幅が一定周期で変動しているものを判別する。測定対象物が微小な変動をしていると、測定対象物で反射された受信パルス波にも微小な位相の変動が生じる。測定対象物からの受信パルス波を搬送波で復調する際に、受信パルス波と搬送波の位相関係も変動するために、復調した受信パルスの振幅にも変動が発生する。測定対象物が固定されているようなものであれば、微小な変動がないため、測定対象物で反射された受信パルス波には微小な位相の変動がない。従って、受信パルスの振幅も変動しない。
測定対象物が人体の場合、人体の呼吸によってセンサー装置と人体の胴体表面との間の距離が変動する。このため、人体からの受信パルス波の位相も一定周期で微小に変動する。従って、呼吸している人体が測定対象物の場合、センサー装置の受信する受信パルスは呼吸に応じて振幅が変動する。人体が呼吸を停止すると、その受信パルスの振幅に含まれていた一定周期の振動が停止する。
パルス発生回路11の出力する送信パルスに同期したパルスS1、S2、・・・Snと人体からの反射によって生じたパルスP21、P22、・・・P2nとの時間関係と振幅を図9に示す。図9において、横軸は経過時間、縦軸はパルスの振幅を表す。人体が呼吸していると、パルスP21、パルスP22、・・・パルスP2nを時系列に並べたときのその振幅が時系列上で変動する。時間間隔t21、t22、・・・t2nは人体までの伝搬往復時間である。
人体からの受信パルスの振幅の変動を図10で説明する。図10において、横軸は経過時間、縦軸は人体からの受信パルスの振幅を表す。図10において、呼吸をしていた人体が呼吸停止して、人体からの受信パルスの振幅に含まれていた一定周期の変動が停止すると、停止警報出力回路27は停止警報を出力する。
本実施の形態のセンサー装置は、センサー装置と対象物との伝搬往復時間を測定し、測定対象物の中に複数の人体が含まれる場合であっても、測定対象物ごとに受信パルスの振幅に含まれる変動の周期を検出することができるため、複数の人体を同時に監視することもできる。
以上説明したように、本実施の形態のセンサー装置で、測定対象物までの伝搬往復時間と測定対象物からの受信パルスの振幅に含まれている一定周期の変動を検出すれば、伝搬往復時間で分類した特定の測定対象物について微小振動していることが分かる。それまでの一定周期の変動が停止すると、その測定対象物は微小振動を停止したことが分かる。従って、測定対象物が人体の場合は、呼吸していた人体の呼吸停止を検出することができるため、人体を監視することができる。
さらに、図1の実施の形態のセンサー装置で説明したように、測定対象物までの電波の伝搬往復時間の変動を測定すれば、測定対象物が移動しているかどうかも同時に判定することができるため、容易に測定対象物が人体か否かを判定することができる。移動していると判定した測定対象物について、その測定対象物からの受信パルスの振幅に含まれる一定周期の変動が停止したことを検出すれば、容易に人体の異常を監視することができる。
また、センサー装置が測定対象物までの電波の伝搬往復時間の変動を測定することによって、移動していた測定対象物が一定時間静止したと判定した後に、その測定対象物からの受信パルスの振幅に含まれる一定周期の変動が停止したことを検出すれば、静止した人体が呼吸停止したかどうかを判定することができる。従って、静止した人体からの受信パルス波の振幅に含まれる一定周期の変動が停止したことを検出すれば、容易に人体の異常を監視することができる。
本願発明のセンサー装置は、トイレや風呂場での人体の監視に利用することができる。
本願発明に係るセンサー装置の構成を説明するブロック図である。 本願発明に係るセンサー装置の動作を説明する図である。 本願発明に係るセンサー装置の測定対象物からの反射によって生じた受信パルスを説明する図である。 本願発明に係るセンサー装置における測定対象物までの伝搬往復時間の時間経過を説明する図である。 本願発明に係るセンサー装置の構成を説明するブロック図である。 本願発明に係るセンサー装置における測定対象物からの受信パルスの振幅に含まれる変動を説明する図である。 本願発明に係るセンサー装置の構成を説明するブロック図である。 本願発明に係るセンサー装置の動作を説明する図である。 本願発明に係るセンサー装置の測定対象物からの反射によって生じた受信パルスを説明する図である。 本願発明に係るセンサー装置における測定対象物からの受信パルスの振幅に含まれる変動を説明する図である。
符号の説明
11はパルス発生回路、 12は変調回路、 13は送信アンテナ、
21は受信アンテナ、 22は復調回路、 23はパルス検出回路、
24は時間算出回路、 25は静止警報出力回路、26は振幅警報出力回路、
27は停止警報回路

Claims (6)

  1. 所定のパルス周期を持つ所定のパルス幅の送信パルスに基づいて、所定周波数の搬送波を変調して送信パルス波を送出するパルス送信回路と、
    前記パルス送信回路からの送信パルス波を放射する送信アンテナと、
    測定対象物で反射した受信パルス波を受信する受信アンテナと、
    前記受信アンテナからの受信パルス波を前記搬送波で復調して受信パルスを出力するパルス受信回路と、
    前記送信アンテナが送信パルス波を放射してから前記受信アンテナが受信パルス波を受信するまでの時間によって前記測定対象物までの電波の伝搬往復時間を算出する時間算出回路と、
    前記時間算出回路の算出する伝搬往復時間が変動していた測定対象物について、その伝搬往復時間の変動が一定時間内停止したときに警報を出力する警報出力回路と、
    を備えるセンサー装置。
  2. 所定のパルス周期を持つ所定のパルス幅の送信パルスに基づいて、所定周波数の搬送波を変調して送信パルス波を送出するパルス送信回路と、
    前記パルス送信回路からの送信パルス波を放射する送信アンテナと、
    測定対象物で反射した受信パルス波を受信する受信アンテナと、
    前記受信アンテナからの受信パルス波を前記搬送波で復調して受信パルスを出力するパルス受信回路と、
    前記パルス受信回路の出力する受信パルスの振幅に含まれていた一定周期の変動が停止したときに警報を出力する警報出力回路と、
    を備えるセンサー装置。
  3. 前記送信アンテナが送信パルス波を放射してから前記受信アンテナが受信パルス波を受信するまでの時間によって前記測定対象物までの電波の伝搬往復時間を算出する時間算出回路をさらに備え、
    前記警報出力回路は、前記時間算出回路の算出する伝搬往復時間に基づいて前記受信パルスを分類し、測定対象物毎に前記受信パルスの振幅変動を検出することを特徴とする請求項2に記載のセンサー装置。
  4. 前記搬送波の周波数は、10GHz以上、100GHz以下であることを特徴とする請求項1から3に記載のいずれかのセンサー装置。
  5. 前記所定のパルス幅は、1ns以上、100ns以下であることを特徴とする請求項1から3に記載のいずれかのセンサー装置。
  6. 前記所定のパルス周期は、60ms以上、5s以下であることを特徴とする請求項2又は3に記載のセンサー装置。

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