JP2016174875A - 生体信号センサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第一ヘリカルアンテナ602から送信するVHF帯の電波を第二ヘリカルアンテナ603で受信する。これら信号をそれぞれAM検波し、ミキサで生体信号を抽出する。送信と受信を分離することで、VHF帯の電波を使用しても必要な指向性を確保できる。
【選択図】図6
Description
これに対して、非接触で人体の脈拍を検出できると、健康維持や健康管理のグッズや、独居老人の見守りセンシング等への応用が期待できる。
特許文献1に開示されるセンサは、ドップラーセンサと呼ばれるものであり、その名称の通り、ドップラー効果を利用して対象物の存在等を検出するセンサである。
また、同種の電波を用いるセンサを複数個、近接して運用すると、電波の干渉に起因する動作不良を引き起こす虞がある。
更に、従来のドップラーセンサは極超短波を使用しているが、電波の周波数をVHF帯まで下げたセンサを構築すると、指向性が緩慢になり、被測定者を特定しにくくなる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
しかし、対象物である人体がアンテナに近い場合、人体の位置や動作で、アンテナの共振周波数は容易に変動する。
本発明の実施形態に係る生体信号センサは、この変動する共振周波数の変動範囲を包含するバンドパスフィルタ(以下「BPF」と略)を用いて、複数の周波数の電波を抽出して利用している。
低い周波数帯の電波を用いたセンサは、指向性が殆どない。このため、特定の対象に絞って信号を検出することが困難である。第二実施形態では、検出対象の絞り込みを、送信と受信とでアンテナを分離することで実現する。
図1A及び図1Bは、本発明の第一実施形態に係る、生体信号センサの動作状態を説明する概略図である。
検出対象である被測定者101に対し、電波を用いるセンサを複数個適用する場合を考える。
図1Aは、第一センサ102と第二センサ103が互いに離れている場合における、センサの動作状態を説明する概略図である。第一センサ102の測定可能範囲A104と、第二センサ103の測定可能範囲A105は、互いに相手のセンサに被らないように十分な距離をもって配置されているため、第一センサ102も第二センサ103も互いに本来の性能を発揮した測定結果を出力できる。
図1Bは、第一センサ102と第二センサ103が互いに近接している場合における、センサの動作状態を説明する概略図である。第二センサ103の測定可能範囲A105の中に、第一センサ102が存在している。このため、第一センサ102の測定結果は、第二センサ103が発する電波によって擾乱されるので、本来の性能を発揮した測定結果を出力できない。
しかし、第一センサ102と第二センサ103が各々、自身が出した電波のみ受信できるように構成されていれば、第一センサ102と第二センサ103が図1Bのような配置関係であっても、それぞれ本来の性能を発揮した測定結果を出力できることが期待できる。
生体信号センサ201は、以下に記す、二つの要素に分けられる。
第一の要素は、対象物に進行波である電波を送信し、対象物から反射される反射波を受信して抽出する要素である。この第一の要素には、クロック生成部202、擬似ランダムパルス生成部203、高調波生成部204、BPF205、第一RF増幅器206、方向性結合器207及びヘリカルアンテナ208が含まれる。
第二の要素は、進行波と反射波から周波数差信号を生成し、更に生体信号を抽出する要素である。この第二の要素としては、第二RF増幅器210、第三RF増幅器211、第一AM検波回路212、第二AM検波回路213、ミキサ214、ローパスフィルタ(以下「LPF」と略)215が含まれる。
BPF205は、高調波生成部204から出力される信号から高調波成分を取り出す。BPF205の中心周波数と帯域幅は、例えば100MHz±3MHzである。BPF205は例えばLC共振回路を多段接続した回路構成が利用可能である。
第一RF増幅器206は、BPF205を通過した高調波成分の信号を増幅する。
方向性結合器207は、コイル、コンデンサ及び抵抗で形成され、VSWR計(電圧定在波比:Voltage Standing Wave Ratio)等に用いられる、周知の回路素子である。方向性結合器207は、第一の伝送路に含まれる進行波と反射波に基づいて、進行波に比例した出力信号と、反射波に比例した出力信号とをそれぞれ出力することができる。
方向性結合器207の分離端子(図1中「Isolated」)には、ヘリカルアンテナ208を通じて出力端子から入力される電波の信号(反射波)に比例した信号が出力される。
方向性結合器207の結合端子(図1中「Coupled」)には、入力端子に入力される高調波成分の信号(進行波)に比例した信号が出力される。
結合端子は、抵抗R209を介して接地ノードに接続されている。抵抗R209としては方向性結合器207及びヘリカルアンテナ208のインピーダンスに等しい抵抗値が設定される。多くの場合、50Ωか75Ωである。
第三RF増幅器211は、方向性結合器207の分離端子から出力される、ヘリカルアンテナ208を通じて出力端子から入力される電波の信号(反射波)を増幅する。なお、第三RF増幅器211のゲインは、第二RF増幅器210より大きく設計される。
第二RF増幅器210の出力信号は、第一AM検波回路212に供給され、AM検波が行われる。同様に、第三RF増幅器211の出力信号は、第二AM検波回路213に供給され、AM検波が行われる。この結果、第一AM検波回路212と第二AM検波回路213からは、擬似ランダムパルス生成部203による擬似ランダムパルスが復調される。但し、第二AM検波回路213の出力信号には、ヘリカルアンテナ208から受信した反射波に含まれている、被測定者101に起因する低周波の周波数変動を含む。
LPF215のカットオフ周波数は、擬似ランダムパルス生成部203から出力される信号よりも低く設定されており、例えば1kHzである。すなわち、クロック生成部202が出力する100kHzよりも低いカットオフ周波数である。したがって、LPF215はミキサ214の出力信号から第一AM検波回路212の出力信号と第二AM検波回路213の出力信号との周波数差信号のみ出力する。すなわち、ヘリカルアンテナ208から受信した反射波に含まれている、被測定者101に起因する低周波の周波数変動成分だけが、LPF215から出力される。
このように、擬似ランダムパルスを高調波の生成に用いることで、センサの混信を効果的に排除できる。
これより、図3A、図3B、図3C、図3D、図4A及び図4Bを参照して、生体信号センサ201の動作を説明する。
図3Aは、高調波生成部204が出力するパルスの波形図である。横軸は時間であり、縦軸は電圧又は信号レベルである。図3Aに示すように、デューティ比が小さく、インパルスに近い波形が、高調波を多く含むので望ましい。
図3Bは、高調波生成部204が出力する、図3Aに示すパルスをフーリエ変換した、周波数領域におけるスペクトル図である。横軸は周波数であり、縦軸は電圧又は信号レベルである。図3Bに示すように、パルスには、基本波に対し、整数倍の周波数の高調波が複数含まれる。
図3Cは、BPF205の周波数特性図である。図3Cのスケールは図3Bに合わせてあるので、横軸は周波数であり、縦軸は電圧又は信号レベルである。図3Cに示すように、BPF205は、パルスに含まれる高調波成分のうち、特定の周波数の成分を通過させる。
すると、図3Dに示すように、BPF205を通過した高調波成分は、パルスから基本波を含むカットオフ周波数以下の成分等が除去される。
図4Bは、方向性結合器207から出力される反射波を示すスペクトル図である。
今、図4Aに示すように、BPF205を通過した高調波成分が、100MHzを中心とした五つの信号であるものとする。五つの信号は周波数が低い順から、f1=98MHz、f2=99MHz、f3=100MHz、f4=101MHz、f5=102MHzである。これら五つの信号は、第一RF増幅器206によって増幅され、方向性結合器207を介してヘリカルアンテナ208から電波として発される。
但し、ヘリカルアンテナ208の周波数特性(帯域幅)は狭いので、f1〜f5の信号のうち、どれか一つ或は二つ程度がヘリカルアンテナ208から電波として発射される。
そして、ヘリカルアンテナ208から発された電波は、対象物に反射して、ヘリカルアンテナ208を通じて方向性結合器207に入力される。これら反射波の信号が、例えば図4Bに示すように、周波数が低い順から、f1’=98.1MHz、f2’=99.1MHz、f3’=100.1MHz、f4’=101.1MHz、f5’=102.1MHzの何れかである。この例では、ドップラー効果によって反射波の周波数が進行波から100kHzシフトしたものとする。
第三RF増幅器211は、ヘリカルアンテナ208から電波として発射されたf1〜f5の信号のうちのどれか一つ或は二つ程度の周波数成分に起因する反射波、f1’〜f5’の何れかの周波数成分を出力する。第二AM検波回路213は、f1’〜f5’のうちのどれか一つ或は二つの信号に包絡線検波を行い、擬似ランダムパターンの信号を復調する。
そこで、本発明の実施形態に係る生体信号センサは、この共振周波数の変動を包含するBPFを用いて、複数の周波数の電波を利用する。こうすることで、アンテナの共振周波数が変動しても、複数の周波数の信号のうちどれか一つ或は二つ程度はアンテナの帯域幅に合致し、反射波を受信できる。
反射波を受信できれば、ドップラー効果によって生じた反射波と進行波の周波数差を、第一AM検波回路212、第二AM検波回路213及びミキサ214を用いて取り出すことで、対象物の存在及び/又は変動状態を検出できる。
更に、ミキサ214から出力される周波数差信号は、擬似ランダムパルス生成部203が生成する擬似ランダムパルスに起因する信号しかない。他の装置の信号とは信号の位相やパターンが全く合わないので、ミキサ214から有意な信号としては出力されない。
このように、擬似ランダムパルスを高調波の生成に用いることで、センサの混信を効果的に排除できる。
図5は、本発明の第二実施形態に係る、生体信号センサの動作原理を説明する概略図である。
第一実施形態にて開示した生体信号センサ201は、VHF帯である100MHzの電波を用いている。VHF帯以下の周波数の電波は指向性が緩慢(broad:ブロード)であるため、検出対象を狭い範囲に特定することが困難である。例えば、自動車のドライバーシート等に生体信号センサ201を搭載する場合において、運転席に居るドライバーに対してのみ脈拍を検出したい、という場合に、隣の助手席に居る同乗者の脈拍を誤検出してしまう虞が生じる。また、自動車のような狭い空間に電波を用いるセンサを設置する場合、周知の八木アンテナ等のように、アンテナに鋭角な指向性を持たせることが困難である。
そこで、第一実施形態にて開示した生体信号センサ201に対し、電波の送信部501と受信部502を分離することで、被測定者101の測定可能範囲A504を送信部501と受信部502を結ぶ線分上と受信部502の周囲に限定することが可能になる。
図2に示す生体信号センサ601の、図1に示す生体信号センサ201との相違点は、方向性結合器207及び抵抗R209が省略され、第一RF増幅器206に送信用の第一ヘリカルアンテナ602(第一アンテナ)が直接接続されている点と、受信用の第二ヘリカルアンテナ603(第二アンテナ)が第三RF増幅器108に接続されている点である。この点以外は第一実施形態の生体信号センサ601と同じであるので、生体信号センサ601と同じ機能ブロックには同じ符号を付して、詳細説明は省略する。
方向性結合器207を省略して、その代わりに第二ヘリカルアンテナ603を設けているため、方向性結合器207より第二ヘリカルアンテナ603の製造コストが安価であれば、本実施形態の生体信号センサ601の全体としてのコストは第一実施形態の生体信号センサ201より安価になることが期待できる。
(1)上述の実施形態では、ヘリカルアンテナ208を使用したが、アンテナの種類はこれに限られない。ダイポールアンテナ、グランドプレーンアンテナ、メアンダラインアンテナ等、開放端を有するアンテナであれば何でも良い。また、開放端を有さないループアンテナでも、ゲインは下がるが利用可能である。
(2)第二実施形態の生体信号センサは、混信の懸念がない環境下においては、擬似ランダムパルス生成部203を省略してクロック生成部202を高調波生成部204に直接接続したり、クロック生成部202、擬似ランダムパルス生成部203及び高調波生成部204を省略して、その代わりにBPF205にホワイトノイズを生成する回路を接続してもよい。
上述の実施形態にて説明したクロック生成部202、擬似ランダムパルス生成部203及び高調波生成部204による構成、そしてこれらに代えて利用可能なクロック生成部202を高調波生成部204に直結する構成、またホワイトノイズを生成する回路は、電波として利用可能な周波数成分を含む信号を生成する信号生成部として等しい機能を有する。
高調波生成部204に接続されているBPF205は、ヘリカルアンテナ208の共振周波数の変動幅を包含する帯域幅を有している。このため、ヘリカルアンテナ208に被測定者101が近接することによって、ヘリカルアンテナ208の共振周波数が変動しても、BPF205を通過した複数の周波数の信号のうち、どれか一つ或は二つはヘリカルアンテナ208の帯域幅を通過できる。このようにして、低い周波数の電波を用いたドップラーセンサである生体信号センサを実現できる。
更に、信号源に擬似ランダムパルス生成部203が生成する擬似ランダムパルスを用いた。AM復調して得られる信号は擬似ランダムパルスであり、ミキサ214から出力される周波数差信号は、擬似ランダムパルス生成部203が生成する擬似ランダムパルスに起因する信号しかない。したがって、他の装置の信号とは信号の位相やパターンが全く合わないので、ミキサ214から有意な信号としては出力されず、混信の影響を大幅に除去できる。
更に、本実施形態の生体信号センサは、従来のドップラーセンサに比べて、回路規模が極めて小さい。
第一RF増幅器206、第二RF増幅器210及び第三RF増幅器211はそれぞれトランジスタ一個で済む。
ミキサ214もデュアルゲートFET一個で済む。
クロック生成部202、擬似ランダムパルス生成部203は安価なワンチップマイコン一個で済む。
特許文献1に開示される技術とは異なり、フーリエ変換や複雑なデータ処理も不要である。
このように、能動素子である半導体素子が合計十個に満たない数で、実装できる。したがって、安価に製造できると共に、量産も容易である。
例えば、上記した実施形態は本発明をわかりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細にかつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることは可能であり、更にはある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行するためのソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の揮発性あるいは不揮発性のストレージ、または、ICカード、光ディスク等の記録媒体に保持することができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
Claims (4)
- 電波として利用可能な周波数成分を含む信号を生成する信号生成部と、
所定の帯域幅を備え、前記信号生成部が生成した信号から、前記帯域幅に含まれる周波数の信号を通過させるバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタを通過した信号を電波として放射する第一アンテナと、
前記第一アンテナから放射された電波を受信する第二アンテナと、
前記バンドパスフィルタを通過した信号からAM検波を行う第一AM検波回路と、
前記第二アンテナが受信した信号からAM検波を行う第二AM検波回路と、
前記第一AM検波回路の出力信号と、前記第二AM検波回路の出力信号とを乗算するミキサと、
前記ミキサの出力信号から前記信号生成部の周波数より低い周波数の信号を通過させるローパスフィルタと
を具備する生体信号センサ。 - 前記バンドパスフィルタの帯域幅は、前記アンテナの共振周波数変動幅を包含する、
請求項1に記載の生体信号センサ。 - 更に、
前記バンドパスフィルタと前記第一アンテナとの間に介在する第一RF増幅器と、
前記バンドパスフィルタと前記第一AM検波回路との間に介在する第二RF増幅器と、
前記第二アンテナと前記第二AM検波回路との間に介在する第三RF増幅器と
を有する、請求項2に記載の生体信号センサ。 - 前記信号生成部は、
擬似ランダムパターンを生成する擬似ランダムパルス生成部と、
前記擬似ランダムパターンに基づく高調波を生成する高調波生成部と
よりなる、請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の生体信号センサ。
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