JP2006254900A - 人工コケを用いた二酸化炭素固定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 地球環境規模においても二酸化炭素の削減を可能とする、二酸化炭素固定方法を提供するところにある。
【解決手段】
人工コケを用いて二酸化炭素を当該人工コケに固定化する方法であって、
前記人工コケが、養液中で生育したコケ稚苗を用いて養生されるコケ植物であり、
前記コケ稚苗は、養液中で、コケ類の配偶体の周囲に再生芽を繁殖させたコケ稚苗であり、
人工コケの稚苗を養生する植物工場環境を配置して、二酸化炭素を当該植物工場環境に含まれる人工コケに固定化する、二酸化炭素固定化方法。
【選択図】 図9

Description

本発明は、人工コケを用いた二酸化炭素固定方法に関する。
二酸化炭素の削減は、地球環境規模において重要であることは周知であるが、有効な手段は未だ講じられていないのが現状である。
本発明の課題は、地球環境規模においても二酸化炭素の削減を可能とする、二酸化炭素固定方法を提供するところにある。
上記課題を達成するため本発明は、次の構成を採用した。
請求項1発明は、人工コケを用いて二酸化炭素を当該人工コケに固定化する、二酸化炭素固定化方法である。
請求項2発明は、前記人工コケを用いて、環境に含まれる二酸化炭素を当該人工コケに固定化する、請求項1記載の二酸化炭素固定化方法である。
請求項3発明は、前記人工コケが、養液中で生育したコケ稚苗を用いて養生されるコケ植物である、請求項1又は2記載の二酸化炭素固定化方法である。
請求項4発明は、前記コケ稚苗は、養液中で、コケ類の配偶体の周囲に再生芽を繁殖させたコケ稚苗である、請求項3記載の二酸化炭素固定化方法である。
請求項5発明は、人工コケの稚苗を養生する植物工場環境を配置して、二酸化炭素を当該植物工場環境に含まれる人工コケに固定化する、請求項1記載の二酸化炭素固定化方法である。
請求項6発明は、前記人工コケがセン類のコケ植物である、請求項1乃至5のいずれかの項に記載の二酸化炭素固定化方法である。
請求項7発明は、前記コケが、ギボウシゴケ属シモフリゴケ科のスナゴケ(学名Rhacomitrium canescens)である、請求項1乃至5のいずれかの項に記載の二酸化炭素固定化方法である。
請求項8発明は、前記人工コケの群体を地球上に配置して、地球大気環境に含まれる二酸化炭素を当該人工コケに固定化し、地球上の二酸化炭素量を削減させる、請求項3記載の二酸化炭素固定化方法である。
請求項9機発明は、前記人工コケの群体が、当該人工コケの前記稚苗を養生して当該コケ植物を生産する植物工場環境で構成される、請求項8記載の二酸化炭素固定化方法である。
請求項10発明は、前記植物工場環境が、住宅、ビルディング及び自動車の少なくともいずれかの場所の外気側に配置される請求項9記載の二酸化炭素固定化方法である。
請求項11発明は、前記植物工場環境は、前記人工コケの稚苗が支持された支持体を含む大気環境で構成される、請求項9又は10記載の二酸化炭素固定化方法である。
請求項12発明は、前記コケ稚苗は、養液中で、温度0〜60℃、光合成有効光量子束密度(PPFD)200(μmolm−2−1)以下の各範囲内で、酸素を含む気体を断続的にコケ類の配偶体に接触させながら生育させるコケ稚苗である、請求項3記載の二酸化炭素固定化方法である。
請求項13発明は、前記コケ稚苗は、養液中で、温度0〜60℃、光合成有効光量子束密度(PPFD)200(μmolm−2−1)以下の各範囲内で、曝気攪拌しながら生育させるコケ稚苗である、請求項3記載の二酸化炭素固定化方法である。
請求項14発明は、前記コケ稚苗は、24時間またはそれ以下の時間の周期で明暗期を繰り返して、コケ類を生育させるコケ稚苗である、請求項12又は至13記載の二酸化炭素固定化方法である。
請求項15発明は、前記養液の肥料濃度が0〜1.0(mS/cm)である、請求項3記載の二酸化炭素固定化方法である。
請求項16発明は、前記養液が植物ホルモンを含むことを特徴とする請求項15記載の二酸化炭素固定化方法である。
請求項17発明は、前記植物ホルモンが、少なくともジベレリン、サイトカイ二ン、オーキシンのうちの一つを含む請求項16記載の二酸化炭素固定化方法である。
請求項18発明は、コケの配偶体の周囲に再生芽が繁殖した、二酸化炭素固定用コケ稚苗である。
請求項19発明は、繁殖した前記再生芽の先端の包絡面が紡錘状をした、請求項18記載の二酸化炭素固定用コケ稚苗である。
請求項20発明は、配偶体の周囲に繁殖方向性を持った再生芽を有する、請求項18又は19記載の二酸化炭素固定用コケ稚苗である。
請求項21発明は、請求項18乃至19のいずれかの項に記載のコケ稚苗を養生した二酸化炭素固定用人工コケである。
請求項22発明は、コケの配偶体の周囲に再生芽が繁殖して生育した二酸化炭素固定用人工コケである。
請求項23発明は、コケの配偶体の周囲に再生芽が繁殖したコケ稚苗が支持された二酸化炭素固定用人工コケ群体(例えばマット)である。
なお、本発明の好ましい態様は、人工コケを用いて二酸化炭素を当該人工コケに固定化する方法であって、
前記人工コケが、養液中で生育したコケ稚苗を用いて養生されるコケ植物であり、
前記コケ稚苗は、養液中で、コケ類の配偶体の周囲に再生芽を繁殖させたコケ稚苗であり、
人工コケの稚苗を養生する植物工場環境を配置して、二酸化炭素を当該植物工場環境に含まれる人工コケに固定化する、二酸化炭素固定化方法である。
コケは、光合成面積が大きく、二酸化炭素を吸収する気孔を持っており、これが二酸化炭素を吸収固定するものと考えられる。本発明の人工コケは、コケの生育環境を自然環境に求めず、養液中でコケ類の稚苗を生育させたところ、元来液中では枯化し死滅するものと考えていたコケ類の配偶体の周囲に再生芽(側芽)が高速大量に繁殖するという予期せぬ現象を見出したことから、かかる人工ゴケとして、稚苗段階でコケの配偶体の周囲に再生芽が繁殖した構成を持たせ、人工的な制御環境下で高速大量のコケ稚苗を用いるようにした。本発明の人工ゴケは、かかる稚苗を用いた人工コケによる二酸化炭素固定方法であるため、自然環境のコケと比較して格別顕著な多量の二酸化炭素を吸収固定することができる。
従って、本発明は、前記コケ稚苗の生育途中の又は生育後の前記人工コケを用いて、多量の二酸化炭素を吸収固定することができる。これにより、かかる人工コケを地球上に配置し、好ましくは前記コケ稚苗が生育する植物工場を配置することにより、地球環境規模においても二酸化炭素の削減を可能とするものである。
(人工コケ)
本発明に使用されるコケとしては特に限定されないが、有菌又は無菌を問わないが、養液中で生育させて配偶体の周囲に再生芽が繁殖するコケ類であればいずれも使用できる。例えば、セン類やタイ類、中でもセン類のコケ植物が好ましい。例えば、セン類においては、スナゴケ、ハイスナゴケ、エゾスナゴケ、シモフリゴケ、クロカワキゴケ、キスナゴケ、ヒメスナゴケ、ミヤマスナゴケ、ナガエノスナゴケ、チョウセンスナゴケ、マルバナスナゴケ等のシモフリゴケ属(Rhacomitrium Bird.)、トヤマシノブゴケ、ヒメシノブゴケ、オオシノブゴケ、コバノエゾシノブゴケ、エゾシノブゴケ、アオシノブゴケ、チャボシノブゴケ等のシノブゴケ属(Thuidium B.S.G)、コウヤノマンネングサ、フロウソウ等のコウヤノマンネングサ属(Climacium Web.et Mohr)、カモジゴケ、シッポゴケ、オオシッポゴケ、チャシッポゴケ、チシマシッポゴケ、アオシッポゴケ、ナミシッポゴケ、ナガシッポゴケ、ヒメカモジゴケ、コカモジゴケ、タカネカモジゴケ、フジシッポゴケ、カギカモジゴケ、ナスシッポゴケ等のシッポゴケ属(Dicranum Hedw.)、ハイゴケ、オオベニハイゴケ、ヒメハイゴケ、チチブハイゴケ、フジハイゴケ、ハイヒバゴケ、イトハイゴケ、キノウエノコハイゴケ、キノウエノハイゴケ、ミヤマチリメンゴケ、ハイサワラゴケモドキ、タチヒラゴケモドキ、エゾハイゴケ等のハイゴケ属(Hypnum Hedw.)、ヒノキゴケ、ヒロハヒノキゴケ、ハリヒノキゴケ等のヒノキゴケ属(Rhizogonium Brid.)等を用いることができる。
タイ類においては、ツクシウロコゴケ、ウロコゴケ、オオウロコゴケ、トサカゴケモドキ、マルバソコマメゴケ、アマノウロコゴケ等のウロコゴケ属(Heteroscyphus Schiffn. )、クラマゴケモドキ、カハルクラマゴケモドキ、トサクラマゴケモドキ、ヒメクラマゴケモドキ、ヤマトクラマゴケモドキ、ナガバクラマゴケモドキ、オオクラマゴケモドキ、ニスビキカヤゴケ、ケクラマゴケモドキ、ホソクラマゴケモドキ等のクラマゴケモドキ属(Porella.L)、ヤマトムチゴケ、ヨシナガムチゴケ、フォウリィムチゴケ、エゾムチゴケ、タマゴバムチゴケ、フタバムチゴケ、サケバムチゴケ、ヤマムチゴケ、ムチゴケ、コムチゴケ、マエバラムチゴケ等のムチゴケ属(Bazzania S.Gray )等に属するコケ類を用いることができる。
特に、スナゴケ、ハイスナゴケ、エゾスナゴケなどのスナゴケ(Rhacomitrium Canescens)は、ビルなどへの配置に好適である。このコケは、成長のための土壌も肥料も不要とすることができ、例えばビルの壁面に過剰な負担をかけず、非常に乾燥した状況で生存することができる。自然環境では生育速度がきわめて遅いが、本発明では大量高速でこの種の稚苗も栽培可能である。
養液中で生育させる原料コケ(元種苗)は野山等に自生するコケの自生種や市販種などから配偶体、特に茎葉体の形態を持つ配偶体を採取することによって得られる。
養液の温度は、0〜60℃、好ましくは5〜50℃、更に好ましくは15〜25℃である。養液の温度が0℃未満であると、養液が凍るため好ましくない。60℃を超えると、微生物等の繁殖がし易くなり、コケの成長が遅延するため好ましくない。
養液の肥料濃度は、電気伝導度(mS/cm)で0〜1.0、好ましくは0〜0.2であり、低濃度又は肥料を含まない養液が好ましい。肥料としては通常の肥料(例えばハイポネックス)を用いることができる。肥料濃度が1.0(mS/cm)を超えると、肥料としては濃すぎる為、コケ稚苗の成長が遅延し易くなるため好ましくない。
養液には植物ホルモンを含むことが好ましい。植物ホルモンにはエチレン、アブシジン酸、オーキシン(インドール酢酸)、サイトカイ二ン(ゼアチン)、ジベレリン(ジベレリン酸)等が上げられるが、植物成長ホルモンが好ましく、中でもオーキシン、サイトカイ二ン、ジベレリンが好ましい。成長促進効果が大きいためジベレリンが最も好ましい。これらは単独で用いられてもよく混合及び/又は併用して用いられてもよい。植物成長ホルモン濃度は、濃いと生理障害を起こすため通常の園芸用に用いる濃度より千倍程度薄くした0.01〜0.2ppmが好ましく、より好ましくは0.1ppmである。
コケの生育には光が必要である。光は自然光でも人工光でもよく光源は特に限られないが、光合成でき、成長を阻害しない波長域の成分を有することが必要である。人工環境下で育成させる場合には、通常の白熱灯、蛍光灯、水銀灯、LED等を用いることができるが、低エネルギーコスト、熱制御の容易さ、メンテナンスの容易さからLEDが好ましく、中でも赤、橙色光を発光するLEDが好ましい。LEDはコケ培養装置に組み込む時は二次元アレー状に配列されたものを用いれば、コンパクトになる。したがって送気管に連結した平型バブラーを有し養液およびコケの配偶体を入れた培養容器と、LEDアレイとを併せ有するものを単位とし同単位を立体的に多数重ねて構成することが容易となる。LEDアレイは低電力量で廃熱も少なく長寿命のため好ましい。
光合成有効光量子束密度(PPFD)は200(μmolm−2−1)以下、特に光合成有効光量子束密度(PPFD)が50(μmolm−2−1)以下が好ましく更に好ましくは光補償点以上であって20〜30(μmolm−2−1)である。光量子束密度が高いと、コケ稚苗の成長が遅延し易くなるため好ましくない。なお、養液中でコケ稚苗を生育させる場合は、明暗期を繰り返して調光することが好ましい。特に、24時間またはそれ以下の時間の周期で明暗期を繰り返して生育させることが好ましい。一定周期で明暗期を繰り返すことにより、光合成と代謝のバランスが確保されるため好ましい。従って、例えば最初は12時間ごと、一定期間後6時間ごとにするなど、明暗期のサイクル時間を稚苗の生育に応じて制御することによって、再生芽の繁殖量乃至速度等を制御することができる。
光刺激により再生芽が生じる再生芽の方向は重力、光の方向、酸素濃度等の影響を受ける。側芽の成長方向は向光性を有する。養液中で浮遊状態にあるコケ配偶体に360度方向から照光すれば再生芽はあらゆる方向に生じる。このため繁殖した前記再生芽の先端の包絡面が紡錘状をしたコケ稚苗が生じる。一方再生芽の成長方向を光の照射方向により制御することもできるため、コケマットの設計に当たり側芽を伸ばしたい方向から照射すれば、光の入射方向に再生芽が成長する。
コケマット支持体にコケ配偶体を充填し、配偶体の自由運動を禁じた状態で養液中で生育させる場合はコケマット支持体の開口面に対し垂直方向から光照射すれば開口部に向けて再生芽が生じる。その状態で養液外に取り出し、更にコケマット支持体の開口面に対し垂直方向から光照射するようにして養生することにより、マット開口部からいわゆるコケの穂がマット面に垂直に揃い伸びたコケマットを生産することができる。
一方コケマット支持体にコケ配偶体を充填し、配偶体の自由運動を禁じた状態で養液中で生育させる場合はコケマット支持体の開口面に対し垂直方向から光照射すれば開口部に向けて再生芽が生じる。そのまま養液中で培養を続けることによりマット開口部から再生芽の先端が、いわゆるコケの穂状にマット面に垂直に揃い伸びたコケマットを一挙に生産することができる。
また、本発明の方法は、養液中で曝気攪拌など酸素を含む気体を断続的にコケ類の配偶体に接触させ攪拌しながら生育させることが重要である。これにより、元来液中においては枯化又は死滅する再生芽が繁殖し、増殖する。空気などの気体をバブリングして攪拌する方法は曝気攪拌に限定されないが、曝気攪拌が簡便な方法として好ましい。
なお、本発明の方法を実施するための装置は、恒温、恒光で環境調整するため完全制御型が好ましく、大量生産に好適な植物工場の前段階を構成することが可能である。したがって、上記方法で得られたコケ稚苗を、植物工場環境でコケマット用媒体に移し養生すれば、大量の配偶体から繁殖し増殖した大量の再生芽が植物工場の制御環境下、特にコンピューター制御下でさらに生育し、大量のコケ群落を生産することができることから、一連の二酸化炭素固定用人工コケ植物の生産工場としてシステム化することができる。
(コケ稚苗の培養)
大阪府和泉市の山から採取した野生のスナゴケ(キボウシゴケ属シモフリゴケ科、学名:Phacomitrium canescens)の一部(茎葉体を有する配偶体)を切断してコケ片(15mm)をサンプルとし、これら25gを500ミリリットルの培養タンクに入れ、蛍光灯による光合成有効光量子束密度(PPFD)50(μmolm−2−1)、12時間明暗期、養液温度15℃、肥料濃度0.2(mS/cm)のハイポネックスという完全制御の環境下で、空気をバブリングして攪拌し、稚苗を栽培した。
図1はコケ片の栽培開始0日の画像を示す図であり、図2は図1を線図として示した図、図3同栽培7日目の画像を示す図、図4は図3を線図として示した図であり、図5は栽培21日目の画像を示す図であり、図6は図5を線図として示した図、図7は同栽培50日目の画像を示す図、図8は図7を線図として示した図である。画像図はいずれもコケ片をデジタル写真撮影し、それをコンピューター上で画像処理して約3倍に拡大した状態を示している。
図1(図2)に示す様に、栽培0日ではスナゴケの配偶体1には茎葉体4だけが葉柄3の周囲にあるが、図5(図6)及び図7(図8)に示す様に、栽培21日から50日には配偶体1の周囲に複数乃至多数の再生芽2が明らかに繁殖し増殖している。再生芽2は枯化又は休眠した葉柄3から繁殖しているものと考えられる。これにより、かかる方法によれば、コケの配偶体1の全周に再生芽2が繁殖したコケ稚苗が提供できる。
上記環境条件でコケ稚苗のそれぞれ生育速度は3週間でそれぞれ約5mmであった。これは自然環境で生育速度の約8倍に相当する。
また植物工場の前工程として稚苗生産を構成する場合、上記の様な生産方法を採用すると、例えば、栽培量は培養タンクの容量に比例する設計を採用できることから、5リットルタンクで0.25m分の稚苗を育てることができる。
(二酸化炭素固定の評価)
次に、コケ密度0.1g/cm(乾物)となるように上記人工コケ(コケ植物)を、閉鎖された下記の環境に配置し、二酸化炭素固定の評価をした。なお、比較のため、上記人工コケが含まれていない以外は同一条件における空気中の二酸化炭素量(ブランク)も測定した。
COガス濃度;500 μmol/sec (11.2 cc/sec)
照度(メタルハライドランプ);500μmol/m/s
コケ受光面積;153 cm
温度;20℃
湿度;12%
なお、二酸化炭素の計測は、LI−6400P IRGA(Li−COR社製)を用いて行なった。
その結果、CO吸収量は200ppm/153cmであつた。図9は、計測されたデータ(計測開始後30分定常)を示す。図9において、CO2Rは上記人工コケが含まれていない空気中の二酸化炭素量(ブランク)を示し、CO2Sは上記人工コケが含まれている空気中の二酸化炭素量(ブランク)を示している。
上記により、
200ppm(ml/L)×10−6L/cm×11.2cm/s=0.00224ml/s
0.00224ml/s÷22400ml/mol=0.0000001mol/s
となり、
単位面積当たりの吸収量は、
0.0000001×44g/molCO×10000/153=0.000288g/m/s
0.000288g/m/s×60sec×60min≒1g/m/h
である。
上記により、コケ順化プラントでは光環境、温度環境、COガス環境を自由に制御可能であることから600mの生産プラントで2ヶ月間の標準順化期間で試算すると、860kgの二酸化炭素の固定が可能である。
一般に、フィンランドにおける森林の二酸化炭素の吸収が約0.1トン/Km/日であることと比較すると、本実施例にかかる人工コケによる二酸化炭素固定量は各別顕著な作用効果を奏することが理解できる。
本発明の方法によれば、人工的な制御環境下で高速大量に生産することができ、かつコケの配偶体の周囲に再生芽が繁殖したコケ稚苗を養生した人工コケを用いて二酸化炭素を固定化する方法であるので、多量の二酸化炭素を吸収固定することができる。これにより、かかる人工コケを地球上に配置し、好ましくは前記コケ稚苗が生育する植物工場を配置することにより、地球環境規模においても二酸化炭素の削減を可能とするものである。
コケ片の栽培開始0日の画像を示す図である。 図1を線図として示した図である。 同栽培7日目の画像を示す図である。 図3を線図として示した図である。 同栽培21日目の画像を示す図である。 図5を線図として示した図である。 同栽培50日目の画像を示す図である。 図7を線図として示した図である。 二酸化炭素の濃度変化を示す、時間(分)と二酸化炭素濃度(ppm)との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 配偶体
2 再生芽
3 葉柄
4 茎葉体

Claims (23)

  1. 人工コケを用いて二酸化炭素を当該人工コケに固定化する、二酸化炭素固定化方法。
  2. 前記人工コケを用いて、環境に含まれる二酸化炭素を当該人工コケに固定化する、請求項1記載の二酸化炭素固定化方法。
  3. 前記人工コケが、養液中で生育したコケ稚苗を用いて養生されるコケ植物である、請求項1又は2記載の二酸化炭素固定化方法。
  4. 前記コケ稚苗は、養液中で、コケ類の配偶体の周囲に再生芽を繁殖させたコケ稚苗である、請求項3記載の二酸化炭素固定化方法。
  5. 人工コケの稚苗を養生する植物工場環境を配置して、二酸化炭素を当該植物工場環境に含まれる人工コケに固定化する、請求項1記載の二酸化炭素固定化方法。
  6. 前記人工コケがセン類のコケ植物である、請求項1乃至5のいずれかの項に記載の二酸化炭素固定化方法。
  7. 前記コケが、ギボウシゴケ属シモフリゴケ科のスナゴケ(学名Rhacomitrium canescens)である、請求項1乃至5のいずれかの項に記載の二酸化炭素固定化方法。
  8. 前記人工コケの群体を地球上に配置して、地球大気環境に含まれる二酸化炭素を当該人工コケに固定化し、地球上の二酸化炭素量を削減させる、請求項3記載の二酸化炭素固定化方法。
  9. 前記人工コケの群体が、当該人工コケの前記稚苗を養生して当該コケ植物を生産する植物工場環境で構成される、請求項8記載の二酸化炭素固定化方法。
  10. 前記植物工場環境が、住宅、ビルディング及び自動車の少なくともいずれかの場所の外気側に配置される請求項9記載の二酸化炭素固定化方法。
  11. 前記植物工場環境は、前記人工コケの稚苗が支持された支持体を含む大気環境で構成される、請求項9又は10記載の二酸化炭素固定化方法。
  12. 前記コケ稚苗は、養液中で、温度0〜60℃、光合成有効光量子束密度(PPFD)200(μmolm−2−1)以下の各範囲内で、酸素を含む気体を断続的にコケ類の配偶体に接触させながら生育させるコケ稚苗である、請求項3記載の二酸化炭素固定化方法。
  13. 前記コケ稚苗は、養液中で、温度0〜60℃、光合成有効光量子束密度(PPFD)200(μmolm−2−1)以下の各範囲内で、曝気攪拌しながら生育させるコケ稚苗である、請求項3記載の二酸化炭素固定化方法。
  14. 前記コケ稚苗は、24時間またはそれ以下の時間の周期で明暗期を繰り返して、コケ類を生育させるコケ稚苗である、請求項12又は至13記載の二酸化炭素固定化方法。
  15. 前記養液の肥料濃度が0〜1.0(mS/cm)である、請求項3記載の二酸化炭素固定化方法。
  16. 前記養液が植物ホルモンを含むことを特徴とする請求項15記載の二酸化炭素固定化方法。
  17. 前記植物ホルモンが、少なくともジベレリン、サイトカイ二ン、オーキシンのうちの一つを含む請求項16記載の二酸化炭素固定化方法。
  18. コケの配偶体の周囲に再生芽が繁殖した、二酸化炭素固定用コケ稚苗。
  19. 繁殖した前記再生芽の先端の包絡面が紡錘状をした、請求項18記載の二酸化炭素固定用コケ稚苗。
  20. 配偶体の周囲に繁殖方向性を持った再生芽を有する、請求項18又は19記載の二酸化炭素固定用コケ稚苗。
  21. 請求項18乃至19のいずれかの項に記載のコケ稚苗を養生した二酸化炭素固定用人工コケ。
  22. コケの配偶体の周囲に再生芽が繁殖して生育した二酸化炭素固定用人工コケ。
  23. コケの配偶体の周囲に再生芽が繁殖したコケ稚苗が支持された二酸化炭素固定用人工コケマット。
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