JP2006253414A - Si基板上への半導体薄膜形成方法及びその構造物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 Si基板上に半導体を結晶成長させて薄膜を形成する方法であって、対象の半導体を結晶成長させるSi基板の上面を、微小角度傾斜させた状態で、結晶成長装置内にSi基板をセッティングし、そのSi基板の傾斜角度は、対象半導体結晶の底面に相応する結晶軸の格子定数のSi基板上面に対する正射影が、Si基板の上面に相応する結晶軸の格子定数と略一致する角度とする。
【選択図】 図2
Description
Si基板上に半導体薄膜を形成する方法には、例えば、非特許文献1による方法がある。
梅野正義,神保孝志,江川孝志、「Si基板上へのGaAs系およびGaN系結晶のヘテロエピタキシーとデバイス応用」、応用物理,日本,応用物理学会,2003年,第72巻第3号,pp273−283
これは、基板となるSiと、その上に成長させる半導体結晶との間に、格子定数のずれがあることが主な要因と考えられた。
すなわち、Si基板上に半導体を結晶成長させて薄膜を形成する方法であって、対象の半導体を結晶成長させるSi基板の上面を、微小角度傾斜させた状態で、結晶成長装置内にSi基板をセッティングし、そのSi基板の傾斜角度は、対象半導体結晶の底面に相応する結晶軸の格子定数のSi基板上面に対する正射影が、Si基板の上面に相応する結晶軸の格子定数と略一致する角度とすることを特徴とする。
複雑な温度調整などを必要としない簡易な工程で製造でき、生産時間の短縮も図れる。比較的安価なSi基板を利用するので、大量生産にも好適である。
ここでは、製造装置として分子線エピタキシー装置を例示するが、有機金属気相成長法(MOVPE)など任意の結晶成長装置に適用可能である。また、Si基板上に成長させる半導体としてはSb系半導体を挙げるが、他の半導体にも適用でき、Si基板上面も(001)面に限らず、(111)面や(311)面など適宜設計変更可能である。
真空にひかれたチャンバー内で、AlやSbなど各原料の入ったセルを加熱し、そのビームをシャッターで制御しながら、プレートに設置された基板に当てることで、物理吸着によって結晶成長を行う。
Si基板は、(001)面を上にした体勢でプレートに設けられるが、その際、(001)面を若干傾斜させてセッティングする。
Si基板は、(001)面を上面とし、微小角度(θ)傾斜した状態で、結晶成長装置内にセッティングされる。
そのSi基板の傾斜角度(θ)は、x・cosθ=a をほぼ満たすように勘案される。ここで、aは、Si基板の上面に相応する結晶軸の格子定数であり、xは、成長させる対象の半導体結晶の底面に相応する結晶軸の格子定数である。
Si基板の上面が(001)面より所定の微小角度だけ傾斜するように切り出し、研磨を施した面を、Si基板上面をとしてセッティングした。
Si基板のクリーニング方法は任意であり、例えば、フッ化水素酸数%水溶液(超純水)によってクリーニングしたり、真空チャンバー内で加熱することによって、酸化膜を除去して基板表面の清浄化を行う方法が挙げられる。
なお、適当な条件下でSb分子線の照射を行うと、Sbの吸着と蒸発が平衡状態に達するので、Sbの層が1ML形成される時間以上Sbを照射しても、Si基板の表面に残るSbは1ML以上にはならない。そのため、Sb分子線の照射強度に応じて、Sbを1ML形成するのに十分な照射時間を設定すればよい。また、Si基板上に形成するSb層の状態を考慮すれば、Sb分子線の照射強度は1×10-5Torr以下が望ましい。
AlSbの成長膜厚は1ML以上の任意の厚さに設定することが可能であるが、バッファー層としてAlSbを結晶成長させる場合は、プロセス時間を短く抑えた方がよいので、10nm以下の膜厚に止めておくことが好ましい。
その際、Al照射後のSb分子線照射成長中断を1秒以上(基板温度が500℃なら30秒程度)行うことが望ましい。これは、先に吸着した1ML程度のAlが均一にSi基板表面に拡散できるまでに、ある程度の時間を要するからである。なお、拡散するまでの時間は、基板温度に依存するものと考えられる。
GaSb層の成長速度は0.5ML/sとして、1時間弱で500nmのGaSb層を成長させた。このGaSb層の結晶成長速度には格別制限はないが、現実的な成長速度は、0.01〜2ML/sの範囲である。一般的に、成長温度を高くすれば成長速度を高くできる。しかし、ある成長速度を超えると、表面に吸着した原子が十分に拡散して結晶化する前に次の原子が到達してしまうため、結晶性が劣化してしまうので、上記成長速度が好ましい。
図3に示した構造物の上に、更に2μmのGaSb厚膜を形成した。
この試料をX線回折により検査した。図5〜7は、そのXRDロッキングカーブを示すグラフである。図5は、Si基板上面を傾斜させないでセッティングした場合、図6は、傾斜角度(θ)2°の場合、図7は、傾斜角度(θ)4°の場合を示す。
Si基板上面を傾斜させなかった場合は半値幅が215秒であったが(図5)、2°傾斜させた場合には半値幅が186秒となり(図6)、結晶性の向上が確認された。
また、GaSbの表面は鏡面結晶となり、Si基板上にGaSbを直接成長させた場合のように白濁することもなく、きれいな単結晶が得られた。
本発明方法により形成可能な化合物半導体としては、例えば、GaSbやAlSbに格子整合するInGaAsSb系材料がある。特に、InAsは高移動度材料でもあることから、比較的安価なSi基板上にInAsを用いたデバイスを形成できる意味は大きい。また、GaSb上に適切な構成で結晶成長を行なえれば、GaAsなどの膜を形成することも可能であり、AlGaAs系材料の形成も可能になる。
AlGaSb系材料とAlGaAs系材料の形成が可能となれば、その中間の格子定数をもち、現在主流として用いられている化合物半導体系材料であるInPやInGaAsP系材料による膜形成も可能になる。なお、上記した物質にわずかに窒素を混入させた場合、どの結晶の格子定数も、僅かながらSiの格子定数に近づくため、結晶の高品質化を図れる。
なお、基板温度を300℃〜560℃の間に設定しておけば、鏡面の結晶成長が行なえるが、300℃よりも基板温度を下げて結晶成長させようとすると、吸着原子の拡散長が短くなるために原子が均一に分布できず、きれいに晶出しなくなってしまい、560℃よりも基板温度を上げて結晶成長させようとすると、AlSbやGaSbのSbが脱離して、きれいに晶出しなくなってしまう難点がある。
Si基板上へ半導体を結晶成長させる際の問題点は、結晶構造や格子定数の差異に起因するものと、熱膨張係数の差によって結晶成長温度から室温へ降温する過程で結晶欠陥が生じることに起因するものとがある。
AlSbはSiとGaSbの熱膨張係数の間の値をもつため、AlSbのバッファー層を付設することによって、GaSb層で降温時に生じうる歪が吸収される。
なお、AlSbのバッファー層上にGaSbを結晶成長させる際に、低温成長による初期層を形成してもよいが、低温成長における温度は結晶成長の最適温度ではないため、わざわざGaSbの初期層を設けても結晶性の改善等に格別寄与するとは限らない。
図3に示した構造物において、AlSbのバッファー層の下部に、更に、初期バッファー層としてInSbを用いた。
そのInSbの初期バッファー層は、5ML以下の厚みが好ましい。
InSbの格子定数はAlSbより若干大きめであるが、Si基板の上面を1ML以下のInSbで覆った場合、その表面のみを考慮すると、InSbの被覆率に応じて擬似的にGaSbやAlSbの格子定数と略一致させることができる。例えば、InSbを0.6MLの層厚とした初期バッファー層でSi基板の上面を被覆することで、基板表面の平均的な格子定数の値はAlSbの格子定数の値に近づき、AlSbのバッファー層としての結晶性が高めることが可能になる。
図3に示した構造物において、GaSb層の上に、200nmのAl0.3Ga0.7Sb層を成長させ、更にその上に、井戸幅8nmのGaSbと障壁層厚さ20nmのAl0.3Ga0.7Sbとが5周期繰り返される量子井戸構造を設けた。この試料のフォトルミネッセンス測定を行なった結果、1.55μm波帯での発光を室温で観測できた。
このように、本発明による化合物半導体薄膜構造物は、AlGaSb系材料などを用いた光通信用デバイス類として作製可能であり、有用な産物である。
Claims (13)
- Si基板上に半導体を結晶成長させて薄膜を形成する方法であって、
対象の半導体を結晶成長させるSi基板の上面を、微小角度傾斜させた状態で、結晶成長装置内にSi基板をセッティングし、
そのSi基板の傾斜角度は、
対象半導体結晶の底面に相応する結晶軸の格子定数のSi基板上面に対する正射影が、Si基板の上面に相応する結晶軸の格子定数と略一致する角度とする
ことを特徴とするSi基板上への半導体薄膜形成方法。 - Si基板と対象半導体との間にバッファー層を設け、
そのバッファー層を構成する結晶は、
その熱膨張係数が、Siの熱膨張係数と対象半導体結晶の熱膨張係数との間の値であるものとする
請求項1に記載のSi基板上への半導体薄膜形成方法。 - バッファー層を構成する結晶は、
Si基板上面と略平行な結晶軸の格子定数が、Si基板上面に相応する結晶軸の格子定数または対象半導体結晶の底面に相応する結晶軸の格子定数に近いか、或いは、その両格子定数の間の値であるものとする
請求項1または2に記載のSi基板上への半導体薄膜形成方法。 - 結晶成長装置として、分子線エピタキシー装置を用いる
請求項1ないし3に記載のSi基板上への半導体薄膜形成方法。 - 結晶成長させる温度を、約300℃〜560℃とする
請求項1ないし4に記載のSi基板上への半導体薄膜形成方法。 - Si基板上面を、Siの(001)面とする
請求項1ないし5に記載のSi基板上への半導体薄膜形成方法。 - Siの(001)面より所定の微小角度傾斜させて切り出し研磨を施した面を、Si基板上面をとしてセッティングする
請求項1ないし6に記載のSi基板上への半導体薄膜形成方法。 - 対象半導体を、Sb系半導体とし、
バッファー層としてはAlSbを用いる
請求項1ないし7に記載のSi基板上への半導体薄膜形成方法。 - AlSbのバッファー層の下部に、
初期バッファー層としてInSbを用いる
請求項8に記載のSi基板上への半導体薄膜形成方法。 - Si基板上面にSbを1層程度結晶成長させた後に、バッファー層を形成する
請求項1ないし9に記載のSi基板上への半導体薄膜形成方法。 - Si基板上に半導体を結晶成長させて薄膜を形成した構造物であって、
対象の半導体を結晶成長させるSi基板の上面を、微小角度傾斜させた状態で、結晶成長装置内にSi基板をセッティングし、
そのSi基板の傾斜角度を、
対象半導体結晶の底面に相応する結晶軸の格子定数のSi基板上面に対する正射影が、Si基板の上面に相応する結晶軸の格子定数と略一致する角度として、
Si基板上に対象半導体を結晶成長させて薄膜を形成した
ことを特徴とする構造物。 - Si基板と対象半導体との間にバッファー層を設け、
そのバッファー層を構成する結晶を、
その熱膨張係数が、Siの熱膨張係数と対象半導体結晶の熱膨張係数との間の値であるものとした
請求項11に記載の構造物。 - Siの(001)面を上面とし、そのSi基板を約1〜10°傾斜させてセッティングし、
InSbの初期バッファー層と、AlSbのバッファー層とを積層し、
GaSb、または、AlSb、AlGaSbを対象半導体として薄膜形成した
請求項10ないし12に記載の構造物。
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Cited By (4)
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- 2005-03-10 JP JP2005067839A patent/JP2006253414A/ja active Pending
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