従来から、乗用車などの自動車を自動運転するために制御情報を取得する手段として、レーダ装置が用いられ、このレーダ装置については、種々提案されている。この提案されたレーダ装置の中でも、スキャン式レーダ装置が多く用いられている。例えば、ミリ波又はレーザスキャン式レーダ装置である。
そこで、図11に、スキャン式レーダ装置を用いた車間距離制御装置の構成の概要を示した。この車間距離制御装置において、レーダセンサ部は、例えば、ミリ波レーダであり、レーダアンテナ1、走査機構2、及びレーダ信号処理部3を備えている。車両制御用の電子制御ユニット(ECU)4は、センサ5から得られる情報に基づいて車間距離の制御を実行する。そのセンサ5は、例えば、ステアリングセンサ5−1、ヨーレートセンサ5−2、車速センサ5−3などを含んでいる。
車両制御ECU4は、レーダセンサ部のレーダ信号処理部3で得られた物標検出情報を受け、センサ5から得られる情報に基づいて、警報機6−2、ブレーキ6−3、スロットル6−4等を制御する。そして、車両制御ECU4は、車両の制御状態に関する情報やメッセージなどを表示器6−1に表示する。また、車間距離制御装置には、通常、ユーザが該装置に対する種々の設定を行える操作部が備えられるが、この表示器6−1自体を、タッチパネル方式による入力操作部とする場合もある。
図12には、図11に示された車間距離制御装置が車両に搭載され、該装置によって、当該車両の前方を走行する車両までの距離を測定する概要が示されている。図12では、2台の車両、A車とB車が、破線で示される走行車線内を走行している場合が示されている。A車は、速度Vaで、B車は、速度Vbで、それぞれ走行している。A車に搭載された車間距離制御装置に備えられたレーダアンテナ1から、A車の前方に向けてビームが送信され、該ビームは、走査機構2によって、走査角度θでスキャンされる。
レーダアンテナ1から送信されたビームが、前方を走行するB車から反射されると、この反射波は、レーダアンテナ1で受信される。この受信信号は、レーダ信号処理部3に送られて、このレーダ信号処理部3においてFFT処理され、物標に対するパワースペクトルが検出される。これに基づいて、物標であるB車との距離R及び相対速度(Va−Vb)が算出され、さらに、物標までの距離Rにおける幅W、即ち、B車の車幅Wが検出される。
例えば、ミリ波スキャン式レーダ装置の場合、検出エリアは、アンテナパターンによる拡がり以外の、様々な要因が、物標の位置検出の精度に影響する。先行走行するB車の車幅Wを求める場合でも、反射波の受信レベルの形態から先行車両の端部位置を推定して車幅Wを求めている。しかし、車両の形状によっては、送信されたビームの反射が均一でなく、また、反射波信号にはノイズが重畳されるため、先行車両の端部位置を必ずしも正確に検出することができない。例えば、B車が、遠距離に物標がある場合、又は、反射波の強度が小さい場合、例えば、物標として、オートバイのように、車幅Wが狭く、しかも、反射波の強度が元々小さくなる形状である場合には、物標検出の精度は低下することになる。
ここで、図11に示された車間距離制御装置におけるレーダ信号処理部3の具体例を、図13に示した。このレーダ信号処理部3は、走査制御部31、物標検出部32、異常判定部33を含んでいる。レーダ信号処理部3に接続されるレーダアンテナ1、走査機構2、車両制御ECU4は、図11に示されたものと同じものであり、同じ符号が付されている。
レーダアンテナ1から送信されたビームは、物標で反射され、その反射波が、レーダアンテナ1で受信される。この反射波の受信信号は、レーダ信号処理部3に送られ、物標検出部32が、該受信信号に基づいて、物標であるB車との距離R、相対速度(Va−Vb)を求める。走査制御部31は、車両制御ECU4を介して、ステアリングセンサ5−1、ヨーレートセンサ5−2、車速センサ5−3等から得られた車両情報に基づいて設定される走査角について車両制御ECU4から指示を受け、該指示による走査角で走査機構2を制御する。
走査制御部31は、固定型レーダの場合には、カーブ走行時の走査角等を制御し、スキャン型レーダの場合には、スキャン走査角を制御するものである。走査機構2は、走査制御部31からの制御信号を受けて所定の走査角度で順次ビームを発射してスキャンを行う。この走査機構2により、レーダアンテナ1から送信されるビームがスキャンされ、また、該ビームが物標から反射された反射波信号に対するレーダアンテナ1の受信制御が行われる。レーダアンテナ1で受信された反射波信号は、レーダ信号処理部3に送られ、物標検出部31において、制御対象となる物標が判別される。この結果は、車両制御ECU4に送信される。
ところで、スキャン式レーダ装置においては、特に、送信手段又は受信手段であるレーダアンテナ1の前方に泥、雪、汚れなどが付着した場合、レーダアンテナ1で受信される反射波が泥、雪などによって減衰され、スキャン式レーダ装置としての検出性能が低下する。このような場合、レーダ装置自体には何ら故障が存在しないので、従来のレーダ装置に備えられた故障検出手段によっては、この状態を検知することができない。
そこで、図13に示されたレーダ信号処理部3には、レーダ装置自体の故障を検出するとともに、反射波の信号レベルをモニタして、レーダアンテナ1の感度の低下を判定することができる異常判定部33が備えられている。異常判定部33は、レーダ装置の故障又はレーダアンテナの感度低下を検出した場合には、これらの事象に係る異常情報を車両制御ECU4に通知する。
このレーダアンテナ感度低下の検出には、異常判定部に備えられる種々の判定手段が提案されている。一つの判定の仕方として、レーダアンテナから送信されたビームによる路面からの反射波信号を利用することが提案されている(例えば、特許文献1、2、3などを参照)。
この特許文献1で提案された判定手段では、物標に関する測定中において、受信信号レベルが所定レベル値より小さくなると、レーダ装置の性能低下による信号レベル低下か否かを検知するために、送信手段及び受信手段の測定方向が切り換えられて、送信手段及び受信手段は路側方向又は路面方向の物標を測定するようにしている。路側方向にはガードレール、建物などが存在し、また路面方向には路面が存在するので、泥、雪などの付着物が付着していない場合、受信手段によって受信される反射波の減衰が少なく、一方、アンテナに付着物が付着している場合、受信手段に受信される反射波の減衰が大きいことを利用し、付着物によって受信信号の信号レベルが低下したと判定する。
また、特許文献2で提案された判定手段では、受信レベルに関する閾値を路面反射信号の平均的な受信レベルよりも低く設定し、走行中において、該閾値を越える受信レベルの信号が常に受信されるようにしている。これによって、該閾値を越えるレベルのビート周波数が所定期間内にほとんど発生しない場合には、アンテナの汚れによって受信信号レベルが低下していると判断できる。
さらに、特許文献3で提案された判定手段では、レーダ装置の信号処理部に路面反射解析手段を設けて、この路面反射解析手段により、受信信号のうち、路面から反射される路面反射信号を解析し、路面からの反射が検出されているか否かに基づいてレーダ装置の異常を判断するようにしている。この路面からの反射が検出されないときに、アンテナに汚れが発生しているとする。
また、別の判定の仕方として、上述の様に、レーダアンテナから送信されたビームによる路面からの反射波信号を利用するのではなく、物標に関する測定中において、物標から反射される反射波信号自体を利用して、アンテナ感度の低下を判定することが提案されている(例えば、特許文献4、5、6などを参照)。
この特許文献4で提案された判定手段では、レーダビームの送信信号と受信信号とから前方車両の位置を検出する処理装置を備えるレーダ装置において、前方車両に係る移動距離を検出する距離検出手段を備え、この検出手段によって検出される移動距離が予め設定された所定の移動距離内において当該前方車両が検出されないときに、レーダ装置に異常があると判断する。
また、特許文献5で提案された判定手段では、レーダビームの送信信号と受信信号とから前方車両の位置を検出する処理装置を備えるレーダ装置において、該処理装置には自車の前方を同一方向に走行する車両が同一であるか否かを判断する先行車判断手段と、先行車から反射される現在の受信信号の信号強度と所定の比較参照時間前に先行車両から反射された受信信号の信号強度とを比較して信号強度の変化量を算出する信号強度比較手段とを備え、先行車判断手段によって先行車が同一であると判断されているときに、信号強度比較手段によって算出される変化量が予め設定された閾値を超えて減少したときには、レーダ装置の検出感度が低下したと判断する。
さらに、特許文献6で提案された判定手段では、所定タイミング毎に送受信アンテナから送信信号を前方に照射し、物標からの反射信号を受信して、所定タイミングでの該物標までの距離及び相対速度を算出する自動車用レーダ装置において、送受信アンテナを第1および第2の方位に動作させ、送受信アンテナが第1の方位を向いたときに受信して取得した第1のビート信号と、送受信アンテナが第2の方位を向いたときに受信して取得した第2のビート信号とに基づいて、第1及び第2のビート信号の差分スペクトルを算出して異方向スペクトル処理を行う。この差分スペクトルに基づいて、送受信アンテナを保護するレドームの汚れを検知している。
特開平11−166973号公報
特開2000−19242号公報
特開2000−241538号公報
特開2000−227473号公報
特開2001−42034号公報
特開2003−156560号公報
次に、本発明によるスキャン式レーダ装置の実施形態について、レーダ装置自体の異常判定として、アンテナ感度低下を判定する場合を例にして、図1乃至図10を参照しながら、以下に説明する。
図1には、本実施形態に用いられるスキャン式レーダ装置のレーダ信号処理部の概略構成が示されている。図1に示されたレーダ信号処理部3は、図13に示されたレーダ信号処理部の構成を基礎としており、同じ部分には、同じ符号が付されている。図1のレーダ信号処理部3は、走査制御部31、物標検出部32、異常判定部34を含む構成になっている。ここで、図1のレーダ信号処理部3が、図13のレーダ信号処理部3の構成と異なるところは、異常判定部33内に、感度低下設定部34が設けられていることである。
図13のレーダ信号処理部における異常判定部では、上述したように、レーダ装置の前方にある物標の状態によって、例えば、物標の形状、物標までの距離、物標に対するレーダ装置との振れ角度などの条件によって、物標から反射されレーダアンテナで受信された反射波信号のレベルが低下した場合でも、送受信部のアンテナに付着した雪、泥などによる汚れに起因したアンテナ感度の低下の判定が実行されるものであった。そのため、アンテナ感度の低下を反射波信号のレベルを利用している場合には、アンテナ感度の低下があったと誤判定する可能性があった。
そこで、本実施形態のスキャン式レーダ装置に備えられるレーダ信号処理部3では、異常判定部33内に、感度低下設定部34を設け、レーダ装置の前方にある物標の状態、例えば、物標の形状、物標までの距離、物標に対するレーダ装置との振れ角度などに関する所定の条件がある場合には、各々の条件に対応して規定値を設定し、この規定値に応じて、アンテナ感度の低下の判定を実行するか否かの判断を行うようにした。これによって、アンテナ感度の低下の誤判定を抑制して、判定精度を向上できる。
次に、図1のレーダ信号処理部3に備えられた感度低下設定部34における上述の各条件に対応した動作について、図2乃至図10を参照して説明する。以下においては、検出すべき物標が、前方を走行する車両である場合を例にして説明するが、この車両を、ターゲットと称す。
図2は、上述した物標の状態のうち、物標の形状に関する条件に着目した場合であって、特に、ターゲットの車幅の広狭に応じて、レーダアンテナの感度低下の判定を行うか否かを判断する異常判定部33の感度低下設定部34の動作に関するフローチャートを示している。ここで、ターゲットの車幅の広狭は、例えば、検出されたターゲットに関するビーム数で判断される。
先ず、異常判定部33は、検出されたターゲットに関わる受信信号のレベルを物標検出部32から取得する(ステップS1)。次いで、感度低下設定部34は、検出されたターゲットに関するビーム数を取得し、このビーム数に基づいてターゲットの車幅Wの広狭を判断する(ステップS2)。ここで、オートバイなどのように、ターゲットの車幅が狭い場合には、元々反射波信号のレベルが低いので、誤判定を抑制するために、レーダアンテナの感度低下の判定を除外するものである。
このビーム数が、設定されたビーム数規定値以上でない場合には(ステップS2のN)、このターゲットに従ったのでは、レーダアンテナの感度低下判定に不適切であるとして、異常判定部33は、レーダアンテナの感度低下の判定動作を終了する。
検出されたターゲットに関わるビーム数が、設定されたビーム数規定値以上である場合には(ステップS2のY)、ステップS1で取得したターゲットに関わる受信信号のレベルが、設定されたターゲットレベル規定値未満であるか否かが判断される(ステップS3)。この判断において、受信信号のレベルが、該ターゲットレベル規定値未満であると、レーダアンテナの感度が低下している可能性が大きいといえる。
ターゲットに関わる受信信号のレベルが、設定されたターゲットレベル規定値未満でない場合には(ステップS3のN)、レーダアンテナの感度が低下している可能性が低いと判断して、アンテナ感度低下の判定動作を終了する。
ターゲットに関わる受信信号のレベルが、設定されたターゲットレベル規定値未満である場合には(ステップS3のY)、レーダアンテナの感度が低下している可能性が高いので、アンテナ感度低下に対する判断の確度を高めるため、アンテナ感度低下の頻度を考慮し、該ターゲットレベル規定値未満となる回数をカウンタで回数規定値までカウントする(ステップS4)。
次いで、ステップ4においてカウントされたターゲットレベル規定値未満となる回数が回数規定値以上となったか否かが判断される(ステップS5)。このステップS5において、該回数が、回数規定値以上にならない場合には(N)、アンテナ感度低下の判定動作を終了する。
一方、受信信号のレベルがターゲットレベル規定値未満となる回数が、回数規定値以上になった場合には(Y)、レーダアンテナの感度が低下していると判定する(ステップS6)。そして、車両制御ECU4に対して、レーダアンテナの感度が低下したことを示す異常情報を送信して、アンテナ感度低下の判定動作を終了する。
以上で、ターゲットの車幅の広狭に応じて、レーダアンテナの感度低下の判定を行うか否かを判断する場合の判定動作が説明されたが、次には、ターゲットの受信信号のレベルを判断するターゲットレベル規定値を、検出されたターゲットの車幅に応じて変更設定して、アンテナ感度低下の判定を実行する場合の動作を説明する。この場合の動作が、図3のフローチャートに示されている。
図3に示されたフローチャートによるアンテナ感度低下の判定動作は、図2に示されたアンテナ感度低下の判定動作を基本としており、図3のフローチャートにおけるステップS11、ステップS15乃至S18の動作内容は、図2のフローチャートにおけるステップS1、ステップS3乃至S6と同様である。図3のステップS12乃至S14による動作が、図2のステップS2の動作と置き換わっている。
図2に示されたアンテナ感度低下の判定動作では、ターゲットに関わるビーム数が、設定されたビーム数規定値以上でない場合には(ステップS2のN)、このターゲットに従ったのでは、レーダアンテナの感度低下判定に不適切であるとして、アンテナの感度低下の判定動作を終了していた。これに対して、図3に示されたアンテナ感度低下の判定動作では、ターゲットに関わるビーム数が、設定されたビーム数規定値以上でない場合、即ち、ターゲットの幅が狭く、例えば、オートバイや遠方を走行する車両をターゲットとして検出した場合、反射波信号のレベルが強く現れる固定物標をターゲットとして検出した場合などにおいても、アンテナ感度低下の判定を行えるようにした。
先ず、異常判定部33は、検出されたターゲットに関わる受信信号のレベルを物標検出部32から取得する(ステップS11)。次いで、感度低下設定部34は、検出されたターゲットに関するビーム数を取得し、このビーム数に基づいてターゲットの幅Wの広狭を判断する(ステップS12)。ここで、ターゲットの幅が狭く、オートバイ、遠方を走行する車両、反射波信号のレベルが強く現れる固定物標などをターゲットとして検出した場合にも、アンテナ感度低下の判定を行うようにしている。
このビーム数が、設定されたビーム数規定値以上である場合には(ステップS12のY)、感度低下の判定基準となる受信信号のレベルに対するレベル規定値を、図2のレーダ感度低下の判定動作における場合と同様に、通常の値として設定する(ステップS13)。次いで、ステップS11で取得したターゲットに関わる受信信号のレベルが、通常設定のターゲットレベル規定値未満であるか否かが判断される(ステップS15)。これ以降のアンテナ感度低下の判定動作は、図2に示されたアンテナ感度低下の判定動作におけるステップS3乃至S6と同様であるので、ここでは、その説明を省略する。
一方、検出されたターゲットに関わるビーム数が、設定されたビーム数規定値以上でない場合には(ステップS12のN)、図2の判定動作では、レーダアンテナの感度低下判定に不適切であるとして、レーダアンテナの感度低下の判定動作を終了していたのに対し、図3の判定動作では、オートバイのように、ターゲットの車幅が狭い場合でも、アンテナ感度低下の判定を行えるようにした。
そこで、オートバイ、遠方を走行する車両、反射波信号のレベルが強く現れる固定物標などを検出したときには、アンテナ感度低下を検出するためのターゲットレベル規定値を、前述の通常設定によるターゲットレベル規定値より低い値に設定する(ステップS14)。この低設定ターゲットレベル規定値に基づいて、アンテナ感度低下の判定を行うことにより、オートバイのように、幅が狭いターゲットが検出された場合でも、アンテナ感度低下の判定を行うことができ、その判定精度を向上できる。
これ以降のアンテナ感度低下の判定動作は、ステップS15に進み、図2に示されたアンテナ感度低下の判定動作におけるステップS3乃至S6と同様であるので、ここでは、その説明を省略する。
なお、図3に示されたフローチャートによるアンテナ感度低下の判定動作では、ステップS12乃至S14において、ターゲットの検出幅が、規定値以上であるか否かを判断して、感度低下検出のためのターゲットレベル規定値を、通常設定値又は低い設定値に切り替えるようにしていたが、ターゲットの検出幅の大きさに応じて、ターゲットレベル規定値の設定を変更するようにしてもよい。
この場合には、ステップS12乃至S14の動作手順に代えて、ターゲットの検出幅の大きさに応じて、ターゲットレベル規定値を設定できるテーブルを用意し、検出されたターゲット検出幅に対応するターゲットレベル規定値をこのテーブルから読み出し、読み出された規定値を設定することができる。これ以降の判定動作は、ステップS15乃至S18において実行される。
以上で説明した図3のフローチャートによるアンテナ感度低下の判定動作では、ターゲットの検出幅の大きさに応じて、感度低下検出のためのターゲットレベル規定値を変更して設定するようにしたが、ターゲットの検出幅に基づいてターゲットレベル規定値を変更する代わりに、ターゲットの検出距離に応じて感度低下検出のためのターゲットレベル規定値の変更する場合が、図4のフローチャートに示されている。検出された距離に応じて、ターゲットレベル規定値を変更して、アンテナ感度低下の判定精度を向上する。
図4に示されたフローチャートによるアンテナ感度低下の判定動作では、図3のフローチャートにおけるステップS11とステップS12が、ステップS11−1とステップS12−1に置き換えられている。ステップS11−1では、ターゲットレベルを検出すると共に、ターゲットまでの距離をも検出する。そして、ステップS12−1において、検出された距離が、規定値以上であるか否かが判断される。これらのステップS11−1及びステップS12−1以降の判定動作は、図3のフローチャートのステップS13又はステップS14以降と同様である。
ここで、ステップS11−1において検出された距離が、設定された距離規定値以上でない場合には(ステップS12−1のN)、感度低下の判定基準となる受信信号のレベルに対するレベル規定値を、図2のレーダ感度低下の判定動作における場合と同様に、通常の値として設定する(ステップS13)。次いで、ステップS11−1で取得したターゲットに関わる受信信号のレベルが、通常設定のターゲットレベル規定値未満であるか否かが判断され(ステップS15)、これ以降のアンテナ感度低下の判定動作は、図3に示されたアンテナ感度低下の判定動作におけるステップS3乃至S6と同様であるので、ここでは、その説明を省略する。
一方、検出されたターゲットの距離が、設定された距離規定値以上である場合には(ステップS12のY)、遠方を走行する車両などのように、反射波信号のレベルが弱く現れる固定物標などを検出したときであり、アンテナ感度低下を検出するためのターゲットレベル規定値を、前述の通常の設定によるターゲットレベル規定値より低い値に設定する(ステップS14)。次いで、ステップS11−1で取得したターゲットに関わる受信信号のレベルが、通常設定のターゲットレベル規定値未満であるか否かが判断され(ステップS15)、これ以降のアンテナ感度低下の判定動作は、図3に示されたアンテナ感度低下の判定動作におけるステップS3乃至S6と同様であるので、ここでは、その説明を省略する。
なお、図4に示されたフローチャートによるアンテナ感度低下の判定動作では、ステップS12−1乃至S14において、ターゲットの検出距離が、規定値以上であるか否かを判断して、感度低下検出のためのターゲットレベル規定値を、通常設定値又は低い設定値に切り替えるようにしていたが、ターゲットの検出距離の大きさに応じて、ターゲットレベル規定値の設定を変更するようにしてもよい。
この場合には、ステップS12−1乃至S14の動作手順に代えて、ターゲットの検出距離の大きさに応じて、ターゲットレベル規定値を設定できるテーブルを用意し、検出されたターゲットの検出距離に対応するターゲットレベル規定値をこのテーブルから読み出し、読み出された規定値を設定することができる。これ以降の判定動作は、ステップS15乃至S18において実行される。
次に、図2に示されたアンテナ感度低下の判定動作では、検出されたターゲットの車幅を判断するにあたって、レーダ装置とターゲットとの距離に関係なく、固定的に設定されたビーム数規定値が使用されたが、これに対して、図5に示されたアンテナ感度低下の判定動作では、検出されたターゲットまでの距離に応じて、車幅の検出用の幅規定値を変更するようにした。遠方にあるターゲットほど検出するビーム数が減少してしまうので、この様に幅検出規定値をターゲット距離に応じて変更することにより、少ないビーム数でもターゲットに幅があると判断することができる。
図5に示されたアンテナ感度低下の判定動作は、図2に示されたアンテナ感度低下の判定動作を基本とし、ステップS21、ステップS23乃至S27の動作の内容は、図2におけるステップS1乃至S6の場合と同様である。図5のアンテナ感度低下の判定動作が図2の場合と異なるところは、その判定動作にステップS22が追加されていることである。この動作の追加により、ステップS21の動作において、ステップS1の動作が変更されている。
先ず、異常判定部33は、検出されたターゲットに関わる受信信号のレベルを物標検出部32から取得するとともに、当該ターゲットに係る距離を検出する(ステップS21)。次いで、図2のアンテナ感度低下の判定動作では、感度低下設定部34は、検出されたターゲットに関するビーム数を取得し、このビーム数と設定されたビーム数規定値とに基づいて、ターゲットの幅Wの広狭を判断していたが、図5の場合には、ステップS21で取得した距離からターゲットの検出幅に係る幅規定値を演算する(ステップS22)。ここで、ターゲットが遠方にあるほど、ターゲットの検出幅が狭くなるので、少ない検出ビーム数でターゲットの幅を検出できるようにして、遠方を走行する車両をターゲットとして検出した場合でも、アンテナ感度低下の判定を行えるようにしている。
ステップS22以降の動作、即ち、検出されたターゲットに係る距離から幅規定値が演算された以降のアンテナ感度低下の判定動作は、図2におけるステップS2乃至S6の判定動作と同様であり、ステップS23において、演算された幅規定値に基づいて、ターゲットの検出幅が、該幅規定値以上か否かを判断し、検出されたターゲットに関わるビーム数が、設定された幅規定値以上である場合には(ステップS23のY)、ステップS21で取得したターゲットに関わる受信信号のレベルが、設定されたターゲットレベル規定値未満であるか否かが判断され(ステップS24)、該ターゲットレベルが、ターゲットレベル規定値未満である場合には、レーダアンテナのアンテナ感度が低下していると判定する。
以上に説明したレーダアンテナのアンテナ感度低下の判定動作は、例えば、図12に示されるように、レーダ装置を搭載するA車が走行するレーンの前方を走行するB車をターゲットとして検出する場合を想定したものであった。しかし、図6に示されるように、A車が走行するレーンだけを検出するものとすれば、走査機構2によるビームの走査角度は、θ1でよいが、実際には、安全性を考慮して、スキャン式レーダ装置における走査機構2は、両隣のレーンをもカバーするように、ビームを走査角度θでスキャンしている。この走査角度θの大きさは、A車の前方の距離R、例えば、20mの前方において、A車が走行するレーンの隣接レーンをもカバーするように設定されている。
ところで、検出すべきターゲットが、ビームの走査角度θ1の範囲に存在すれば、例えば、図12に示されるように、A車の前方において、B車が走行していれば、A車のレーダ装置から送信されるビームがほぼ垂直に反射されるところから、B車からの反射波信号のレベルが高いものとなる。しかし、図5に示されるように、例えば、走査角度θ1を外れた隣のレーンを走行するC車の場合には、A車のレーダ装置から送信されたビームは、C車に斜めな角度であたり、C車から反射される反射波信号のレベルは、低いものとなる。
この様な状態において、A車に搭載されたレーダ装置で、C車をターゲットとして検出したとき、この反射波信号のレベルに基づいて、レーダアンテナのアンテナ感度低下の判定動作を実行すると、C車から反射される反射波信号は、元々低いものとなっているので、アンテナ感度が低下したものと判断してしまい、誤判定の可能性が生じる。
そこで、この誤判定の可能性を排除するため、走査角度θ1より外側に存在するターゲットを検出した場合には、レーダアンテナのアンテナ感度低下の判定動作を行なわないようにした。この場合のアンテナ感度低下の判定動作が、図7のフローチャートに示されている。
図7に示されたレーダアンテナのアンテナ感度低下の判定動作に係る手順は、基本的には、図2に示されたアンテナ感度低下の判定動作の場合と同様であるが、図2の場合には、検出されたターゲットの幅が、設定された幅規定値以上であるときに判定されたが、図7の場合には、ターゲットの検出角度が、設定された走査角度θ1以内であるときに判定動作が行われる点で異なっている。
先ず、異常判定部33は、検出されたターゲットに関わる受信信号のレベルを物標検出部32から取得する(ステップS31)。次いで、感度低下設定部34は、検出されたターゲットに関する検出角度を取得し、この検出角度に基づいて、例えば、ターゲットの走行レーン、或いは、ビームのスキャン方向に係るターゲットの位置などを判断する(ステップS32)。これは、走査角度θの両側に近い方でターゲットが検出されるときには、レーダアンテナの感度低下の判定動作を実行しないようにするためである。
次いで、ステップS21で取得したターゲットに関わる受信信号のレベルが、設定されたターゲットレベル規定値未満であるか否かが判断される(ステップS33)。これ以降のアンテナ感度低下の判定動作は、図2に示されたアンテナ感度低下の判定動作におけるステップS3乃至S6と同様であるので、ここでは、その説明を省略する。
なお、図7に示したレーダアンテナのアンテナ感度低下の判定動作は、ターゲットに係る検出角度が規定値以内であるときとに行なわれるが、該検出角度が規定値以内にあると判断された後に、図2に示されるように、検出されたターゲットの幅が設定された幅規定値以上であるという条件、又は、図3に示されるように、ターゲットに関わるビーム数が設定ビーム数規定値以上であるという条件、或いは、図5に示されるように、ターゲット距離に応じて変更された幅検出規定値に従って、ターゲットの幅が該幅検出規定値以上であるという条件による判断を挿入するようにしてもよい。
以上に説明したレーダアンテナのアンテナ感度低下の判定においては、ターゲットからの反射波信号のレベルに基づいてアンテナ感度が低下したか否かの判断を行っていたが、反射信号レベルに基づいて感度判定をすると、検出されたターゲットが元々反射波信号レベルの低い物標である場合には、アンテナ感度が低下したと判定する可能性がある。
そこで、この反射波信号レベルによるアンテナ感度判定に加えて、自車前方の路面から反射された反射波信号レベルによるアンテナ感度判定を行うことにより、レーダアンテナのアンテナ感度低下の判定動作における誤判定を無くし、アンテナ感度低下の判定の精度を一層向上させるものとした。なお、図示していないが、この場合には、路面反射波信号を取得して、該反射波信号のレベルを検出できる路面レベル検出部が、レーダ信号処理部3の異常判定部33に設けられる。
この様に、ターゲット反射波信号レベルによる感度低下判定に加えて、路面反射波信号レベルによる感度低下判定を行うレーダアンテナのアンテナ感度低下の判定動作が、図8のフローチャートに示されている。
図8のフローチャートにおいて、先ず、異常判定部33は、検出されたターゲットに関わる反射波の受信信号のレベルを物標検出部32から取得する(ステップS41)。次いで、この受信信号のレベルに基づいてアンテナ感度低下の判定動作が実行されるが、この動作は、図2のフローチャートに示されたステップS3乃至S6におけるアンテナ感度低下の判定動作と同様である。
ステップS41で取得したターゲットに関わる受信信号のレベルが、設定されたターゲットレベル規定値未満であるか否かが判断される(ステップS42)。この判断において、受信信号のレベルが、該ターゲットレベル規定値未満であると、レーダアンテナの感度が低下している可能性が大きいといえる。
ターゲットに関わる受信信号のレベルが、設定されたターゲットレベル規定値未満でない場合には(ステップS42のN)、レーダアンテナの感度が低下している可能性が低いと判断し、図2のアンテナ感度の判定動作では、その判定動作を終了していたが、ここでは、路面反射波信号によるアンテナ感度低下の判定動作に移行する。
一方、ターゲットに関わる受信信号のレベルが、設定されたターゲットレベル規定値未満である場合には(ステップS42のY)、レーダアンテナの感度が低下している可能性が高いので、アンテナ感度低下に対する判断の確度を高めるため、アンテナ感度低下の頻度を考慮し、該ターゲットレベル規定値未満となる回数をカウンタで回数規定値までカウントする。
次いで、ステップ4においてカウントされたターゲットレベル規定値未満となる回数が回数規定値以上となったか否かが判断され、該回数が、回数規定値以上にならない場合には、アンテナ感度低下の判定動作は、路面反射波信号レベルによる判定動作に移行する。一方、受信信号のレベルがターゲットレベル規定値未満となる回数が、回数規定値以上になった場合には、レーダアンテナの感度が低下していると一応判断し、路面反射波信号レベルによる判定動作に移行する(ステップS43)。
次に、異常判定部33は、例えば、上述した従来手法による路面反射波信号に基づくアンテナ感度判定の場合と同様にして、路面反射波信号を取得し、該信号のレベルを検出する(ステップS44)。この検出された路面反射波信号レベルが、設定された路面レベル規定値未満であるか否かを判断される(ステップS45)。
ここで、検出された路面反射波信号レベルが、路面レベル規定値未満でない場合には(ステップS45のN)、ステップS43において、反射波信号レベルによる判定動作では、アンテナ感度低下の可能性が大きい場合であっても、レーダアンテナのアンテナ感度が低下している可能性が低いとして、アンテナ感度低下の判定動作を終了する。
また、検出された路面反射波信号レベルが、路面レベル規定値未満である場合には(ステップS45のY)、レーダアンテナのアンテナ感度が低下している可能性が大きいものとし、アンテナ感度低下に対する判断の確度を高めるため、アンテナ感度低下の頻度を考慮し、該路面レベル規定値未満となる回数をカウンタで回数規定値までカウントする。
このカウントされた路面レベル規定値未満となる回数が回数規定値以上となったか否かが判断され、該回数が、回数規定値以上にならない場合には、アンテナ感度低下の判定動作は、終了させる。一方、路面反射波信号のレベルが路面レベル規定値未満となる回数が、回数規定値以上になった場合には、レーダアンテナのアンテナ感度が低下していると判断できる(ステップS46)。
次いで、ステップS41において検出されたターゲット反射波信号のレベルと、ステップS44において検出された路面反射波信号のレベルとの双方が、所定の規定値以上であるか否かを判断される(ステップS47)。
ここで、ターゲット反射波信号と路面反射波信号の双方のレベルが、該所定の規定値以上でない場合には(ステップS47のN)、レーダアンテナに係るアンテナ感度低下の判定動作を終了するが、ターゲット反射波信号と路面反射波信号の双方のレベルが、該所定の規定値以上である場合には(ステップS47のY)、レーダアンテナに係るアンテナ感度低下の確度が高いとして、最終的に、該アンテナ感度が低下していると判定する(ステップS48)。
なお、図2に示されたアンテナ感度低下の判定動作においては、物標の状態として、ターゲットの幅条件を考慮したが、図8に示したアンテナ感度低下の判定動作においても、このターゲットの幅条件を加えることができる。このターゲットの幅条件を加える場合は、図2のフローチャートにおけるステップS2を、図8のフローチャートにおけるステップS41とステップS42との間に挿入することにより、実現できる。
次に、自車の前方を走行する先行車両の検知状況を見て、当該先行車両をロストしたときに、レーダアンテナに係るアンテナ感度低下と判定する場合について説明する。図9に、先行車両の検知状況が、時間tに対するターゲットに係る反射波信号のレベルPの変化に関するグラフで示されている。
検出されるターゲットが、元々、反射波信号のレベルの低い先行車両である場合には、レーダアンテナに係るアンテナ感度低下の判定動作において、反射波信号のレベルのみに基づいて感度判定が行われると、アンテナ感度が低下していると誤判定をしてしまう可能性がある。そこで、例えば、図9に示されるように、先行車両に係る反射波信号のレベルPが、徐々に低下し、ターゲットレベル規定値Pth未満である状態が続いているとき、先行車両をロストした時点txのタイミングで、アンテナ感度が低下したと判定する。ここで、反射波信号のレベルPが低下した原因は、例えば、レーダアンテナの汚れによるものであるとすることができる。
図10に示されたフローチャートは、レーダアンテナの感度低下を判定する条件が揃ったとき、先行車両をロストしたことを検出して、最終的にアンテナ感度低下とする場合の判定動作を示している。図10に示されたアンテナ感度低下の判定動作は、ターゲットに係る反射波信号のレベルに基づいてアンテナ感度の低下を判定する場合を基本としており、図2乃至図7に示された物標の検知状況に応じてアンテナ感度低下判定を実行する場合に組み合込むことができる。
図10に示されたフローチャートによるアンテナ感度低下の判定動作は、図2に示されたアンテナ感度低下の判定動作と類似しており、両者の手順で異なる部分は、図10の判定動作は、図2の判定動作のうち、ターゲットの幅条件が除かれ、その判定動作に、先行車両をロストしたか否かの判断が追加されている。
先ず、異常判定部33は、検出されたターゲットに関わる受信信号のレベルを物標検出部32から取得する(ステップS51)。次いで、取得したターゲットに関わる受信信号のレベルが、設定されたターゲットレベル規定値未満であるか否かが判断される(ステップS52)。この判断において、受信信号のレベルが、該ターゲットレベル規定値未満であると、レーダアンテナの感度が低下している可能性が大きいといえる。
ターゲットに関わる受信信号のレベルが、設定されたターゲットレベル規定値未満でない場合には(ステップS52のN)、レーダアンテナの感度が低下している可能性が低いと判断して、アンテナ感度低下の判定動作を終了する。一方、ターゲットに関わる受信信号のレベルが、設定されたターゲットレベル規定値未満である場合には(ステップS52のY)、アンテナ感度低下に対する判断の確度を高めるため、アンテナ感度低下の頻度を考慮し、該ターゲットレベル規定値未満となる回数をカウンタで回数規定値までカウントする(ステップS53)。
次いで、ステップ53においてカウントされたターゲットレベル規定値未満となる回数が回数規定値以上となったか否かが判断される(ステップS54)。このステップS54において、該回数が、回数規定値以上にならない場合には(N)、アンテナ感度低下の判定動作を終了するが、受信信号のレベルがターゲットレベル規定値未満となる回数が、回数規定値以上になった場合に(Y)、レーダアンテナの感度が低下していると一応判断し、先行車両の検知状況を見て、該先行車両をロストしたか否かが判断される(ステップS55)。
ここで、先行車両をロストしていない場合には(ステップS55のN)、アンテナ感度低下の判定動作を終了するが、先行車両をロストした場合には(ステップS55のY)、最終的に、レーダアンテナのアンテナ感度が低下していると判定する(ステップS56)。そして、車両制御ECU4に対して、レーダアンテナの感度が低下したことを示す異常情報を送信して、アンテナ感度低下の判定動作を終了する。
以上のように、図10の判定動作では、先行車両の検知状況を見て、該先行車両をロストしたタイミングで、アンテナ感度低下の判定が最終的に行われ、ターゲットに係る反射波信号レベルが元々低いときには、有効な手法となっている。なお、先行車両の検知状況に応じてアンテナ感度が低下していると判定する手法は、図2乃至図5に示されたターゲット幅条件に応じた場合や、図7のターゲット検出角度に係る条件に応じた場合によるアンテナ感度低下の判定に組み込むことができ、ターゲットに係る反射波信号レベルが元々低いときには、判定精度を一層向上できる。
以上で説明した本発明によるスキャン式レーダ装置の実施形態は、レーダ装置自体の異常判定として、アンテナ感度低下を判定する場合を例にしていたが、図1乃至図10に示されたフローチャートによるアンテナ感度低下の判定の手法は、アンテナの感度低下だけでなく、レーダ装置に備えられたアンテナ以外の他の装置、即ち、送受信回路、信号処理回路などについても、それらの異常判定に、そのまま適用することができる。
また、本発明の実施形態として、ビームを機械的に走査するスキャン式レーダ装置に適用した場合について説明したが、スキャン式レーダ装置の中でも、複数の受信アンテナを備え、モノパルス処理などの信号処理によって、物標の方向や幅を測定する電子スキャン式レーダ装置があり、この電子スキャン式レーダ装置にも、上述した実施形態と同様に適用することができる。この場合には、受信信号の角度スペクトラムから、物標の幅情報や角度情報を検出でき、これらの情報によって、異常判定を行うか否かを判断でき、或いは、異常判定を行う受信レベルの規定値を変更するようにしてもよい。