続いて、本発明の一実施形態である凍結防止装置および当該凍結防止装置を備えた熱源装置および熱源システム(熱消費システム)について図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態の熱源装置は、凍結防止装置に特徴を有するものであるが、凍結防止装置の説明に先立って熱源装置の装置構成について説明する。
図1や図2において、1は本実施形態の熱源装置である。熱源装置1は、凍結防止装置Fを備えている。凍結防止装置Fは、熱源装置本体5内に設けられた制御手段8、熱源側ヒータ26(熱源側加温手段)および熱源側温度センサ30(熱源側温度検知手段)と、熱源装置本体5の外部に設けられた滞留部側ヒータ41(滞留部加温手段)および滞留部側温度センサ43(滞留部温度検知手段)を備えた構成とされている。また、熱源装置1は、循環流路2により浴槽3(熱消費装置)と接続されており、凍結防止装置Fを含め、全体として熱源システムUを構成している。
熱源装置1は、図2に示すように、熱源装置本体5内に、大別して燃焼部10と、燃焼部10において発生した燃焼ガスと湯水などの熱媒体とが熱交換を行う熱交換部11と、燃焼部10に空気を供給する給気部12と、熱交換部11を通過した燃焼ガスを外部に排出する排気部13とからなる燃焼装置6を内蔵している。また、熱源装置本体5内には、燃焼装置6に対してガスや湯水等の熱媒体を供給するための配管類や、制御手段8等も合わせて内蔵されている。
燃焼部10は、外部から供給された燃料ガスを燃焼するバーナ15と燃焼空間部16とから構成されている。バーナ15には、燃料を供給するための燃料供給管17が接続されている。
バーナ15において燃料が燃焼して発生した高温の燃焼ガスは、燃焼空間部16を通過し、熱交換部11側へと流れる。熱交換部11は、燃焼空間部16に連続しており、バーナ15の燃焼作動に伴い発生した高温の燃焼ガスと熱交換を行う熱交換器18を具備している。熱交換器18には、浴槽3から戻った湯水を熱交換器18に供給するための流入側配管20と、熱交換器18において加熱された湯水を外部に供給するための流出側配管21とが接続されている。流入側配管20および流出側配管21は、バイパス流路31によってバイパスされている。流入側配管20および流出側配管21は、それぞれ後述する戻り側流路22と、往き側流路23とに接続され、循環流路2を形成している。
流入側配管20の中途には、水量センサ27、循環ポンプ28および風呂温度センサ29が設けられている。水量センサ27は、流入側配管20を介して外部から供給される水量を検知するものである。また、循環ポンプ28は、循環流路2内に湯水を循環させるためのものである。また、風呂温度センサ29は、浴槽3側から熱源装置1側に戻ってきた湯水の温度を検知するものである。
流出側配管21は、熱交換器18において高温の燃焼ガスと熱交換して加熱された湯水が流れる配管であり、往き側流路23に接続されている。流出側配管21の中途には、水量調整弁25と、熱源側ヒータ26とが設けられている。水量調整弁25は、流出側配管21の流路を開閉することにより、水量調整弁25よりも下流側に流れる高温の湯水の流量を調整するものである。
熱源側ヒータ26は、流入側配管20および流出側配管21の中途に取り付けられ、熱源装置本体5のケース内に内蔵されている。また、熱源装置本体5内には、雰囲気温度を検知するための熱源側温度センサ30が設けられている。熱源側ヒータ26は、制御手段8により、熱源側温度センサ30の検知温度に基づいて動作制御されている。
給気部12は、内部にファン32(送風手段)を内蔵しており、バーナ15の燃焼状態に応じてファン32の回転数を変化させ、送風量および送風圧力を調整することができる。
戻り側流路22および往き側流路23は、図1に示すように熱源装置1および浴槽3に対して下方に伸びている。戻り側流路22および往き側流路23は、共に熱源装置1や浴槽3が設置されている家屋の室内から床下をくぐらせて敷設されており、当該部分(滞留部40)が他の部分よりも低くなっている。さらに具体的には、風呂戻り配管22および往き側流路23は、それぞれ、熱源装置1および浴槽3に対して下方に垂下した垂下部35,35を有し、この垂下部35,35に対して滞留部40が交差する方向に伸びている。そのため、戻り側流路22および往き側流路23は、それぞれ略「U」字形に折れ曲がっている。従って、滞留部40は、熱源装置1の循環ポンプ28が停止し、循環流路2における湯水の流れが停止すると、湯水が滞留する傾向にある部分である。
戻り側流路22および往き側流路23の滞留部40には、電力を供給することにより発熱する滞留部側ヒータ41が取り付けられている。また、滞留部40の近傍には、滞留部側温度センサ43が設けられている。滞留部側温度センサ43の検知信号は、熱源装置本体5内に設けられた制御手段8に入力される。滞留部側ヒータ41は、制御手段8により滞留部側温度センサ43によって検知される滞留部40あるいはこの近傍の温度等に基づいて動作が制御される。
図1および図9に示すように、滞留部側温度センサ43は、ケーブル45の先端に取り付けられた接続端子50と、制御手段8に対して電気的に繋がったケーブル46の先端に取り付けられた接続端子51とを接続することにより結線されている。接続端子50,51は、共に3ポートの端子を有している。滞留部側温度センサ43側のケーブル45は、滞留部側温度センサ43の検知部に繋がる検知線45a,45bと補償線45cとから構成されており、それぞれが接続端子50に電気的に接続されている。また、一方の検知線45bは、補償線45cと導通(ショート)した状態とされている。
制御手段8側から伸びるケーブル46は、センサ接続線46a,46bと補償線46cとから構成されており、それぞれが接続端子51に対して独立的に接続されている。そのため、接続端子51に対して滞留部側温度センサ43が接続されていない場合は、センサ接続線46a,46bおよび補償線46cがそれぞれ非導通(オープン)状態となっている。一方、接続端子51に対して滞留部側温度センサ43側の接続端子50を接続すると、検知線45a,45bとセンサ接続線46a,46bが導通した状態になると共に、検知線45b、センサ接続線46bと補償線45c,46cとが導通(ショート)した状態になる。そのため、制御手段8は、検知線45b、センサ接続線46bと補償線45c,46cとがショートしていることを条件として滞留部側温度センサ43が接続されているものと判断することができる。
制御手段8は、本実施形態の熱源装置1全体の作動を司るものであり、熱源側温度センサ30や滞留部側温度センサ43をはじめとする各センサの検知信号が入力されるものである。制御手段8は、各センサから受信する検知信号等に基づいて、水量調整弁25やバーナ15、熱源側ヒータ26、ファン32などの熱源装置本体5内に収容された機器類や、熱源装置本体5の外側に設けられた滞留部側ヒータ41の動作制御を行う。
上記したように、循環流路2は、滞留部40に相当する部分が熱源装置1や浴槽3よりも低い位置に配されている。そのため、循環流路2における通水が停止すると、戻り側流路22や往き側流路23内に残存している湯水が滞留部40に滞留する傾向にある。また、本実施形態では、熱源装置1や浴槽3が屋内に設置されている一方で、滞留部40に相当する部分は家屋の床下部分に配されており、滞留部40の設置雰囲気の温度が熱源装置1の設置雰囲気よりも低くなる可能性が高い。そのため、熱源システムUは、気温が低い時に循環流路2における通水が停止すると、滞留部40において凍結が発生する可能性が高い。
また、熱源装置本体5の内部に配された流入側配管20や流出側配管21についても、気温等の影響で熱源装置1の設置場所の雰囲気温度が低い状態において、循環流路2における通水が停止し、湯水が滞留していると凍結が発生する可能性がある。そのため、制御手段8は、熱源側温度センサ30や滞留部側温度センサ43によって熱源装置本体5内の雰囲気温度や、滞留部40が敷設された場所の雰囲気温度を検知し、これらの検知温度に基づいて、図3〜図5および図7に示すフローチャートに則って滞留部凍結防止運転を実施すると共に、図8に示す制御フローに則って熱源側凍結防止運転を実施する。
さらに具体的に説明すると、滞留部凍結防止運転は、循環流路2において湯水を循環させる循環モードと、熱源側ヒータ26や滞留部側ヒータ41を作動させて循環流路2内の湯水の凍結を防止する加熱モードとに大別される。滞留部凍結防止運転の動作モードは、循環流路2において湯水が循環可能であるか否かによって切り替えられる。
循環運転モードによる滞留部凍結防止運転は、循環ポンプ28を連続的に動作させる連続運転モードと、循環ポンプ28を所定の時間間隔で動作させる断続運転モードのいずれかの運転方法を選択して実施される。循環運転モードにおける運転方法については、図示しないリモートコントローラ等により操作者が適宜設定可能とされている。循環モードにおける運転方法として断続運転モードが選択された場合は、風呂温度センサ29の検知温度(以下、水温BTと称す)に基づき、制御手段8に設けられたインターバルタイマ(図示せず)に循環ポンプ28の休止時間が設定される。断続運転モードが実施される場合は、制御手段8のインターバルタイマに設定された休止時間が経過した後、所定時間にわたって循環ポンプ28が作動して循環流路2内を湯水が循環する。
滞留部凍結防止運転は、浴槽3内の湯水を加熱する追い焚き運転や落とし込み運転の停止中に実施される。すなわち、図3の制御フローのステップ1−1において燃焼部10が燃焼動作を停止していることを条件として制御フローがステップ1−2に進み、滞留部凍結防止運転が開始される。
制御フローがステップ1−2に進むと、制御手段8は、熱源装置本体5内に設置された熱源側温度センサ30の検知温度FTが所定の熱源側閾温度(本実施形態では5℃)未満であるか否かを確認する。ここで、上記したように、熱源装置本体5は、屋内に設置されており、滞留部40近傍よりも高温である可能性が極めて高い。そのため、前記した熱源側閾温度は、検知温度FTが、後述する熱源側凍結防止運転において熱源側ヒータ26の作動条件となる作動温度(本実施形態では2℃)、すなわち通水停止状態で放置すると熱源装置1内に残留している湯水が凍結するおそれのある温度よりも高い温度に設定されている。
ステップ1−2において、検知温度FTが熱源側閾温度(5℃未満)である場合は、循環流路2のいずれかの部位で凍結が発生する可能性がある。そこで、ステップ1−2において検知温度FTが5℃未満である場合は、制御フローをステップ1−3に進め、滞留部凍結防止運転を実施する。
一方、ステップ1−2において熱源側温度検知手段30の検知温度FTが5℃以上である場合であっても、床下に配された滞留部40近傍が局所的に低温になっており、凍結が発生する可能性がある。そこで、ステップ1−2において検知温度FTが5℃以上の場合は、制御フローをステップ1−8に進め、滞留部40あるいはこの近傍に設置された滞留部側温度センサ43の検知温度ETを確認する。ここで、検知温度ETが2℃以上である場合は、燃焼運転が停止し、循環流路2における通水が停止した状態であっても、滞留部40に滞留した湯水が凍結する可能性が低い。そのため、制御手段8は、ステップ1−8において検知温度ETが2℃以上であることを条件として制御フローをステップ1−1に戻す。
一方、ステップ1−8において滞留部側温度検知センサ43の検知温度ETが2℃に満たない場合は、熱源装置本体5側の部位が湯水が凍結しない程度に高温であるが、滞留部40近傍が低温であり、ここに滞留している湯水が凍結する可能性がある。このため、制御手段8は、ステップ1−8において検知温度ETが2℃未満であることを条件として制御フローをステップ1−4に進め、滞留部凍結防止運転を実施する。
制御フローがステップ1−4に進むと、制御手段8は、滞留部側ヒータ41を動作停止状態にした後、制御フローをステップ1−5に進め、図4に示すサブルーチンに従って循環運転動作チェックを実施する。
さらに具体的には、制御手段8は、ステップ1−4において貯留部側ヒータ41を停止した後、制御フローを図4に示すステップ2−1に進める。制御フローがステップ2−1に進むと、制御手段8は循環ポンプ28を起動し、水量センサ27により水量の変化、すなわち循環流路2において湯水が循環しているか否かを確認する。ここで、制御手段8は、湯水の循環が所定の時間にわたって確認されるか否かによって循環運転が可能であるか否かの判定を確定する。循環運転の可否についての判定が確定されると、図4に示すサブルーチンが完了し、制御フローが図3のステップ1−6に戻される。
一方、ステップ2−2において循環判定が確定するまでの間は、制御手段8は、ステップ2−3において燃焼部10が引き続き燃焼停止中であるか否か、すなわち浴槽3への湯水の落とし込みや追い焚きが開始されていないかを確認する。ステップ2−3において燃焼停止中である場合、制御手段8は、循環ポンプ28を引き続き動作させ、循環運転が可能か否かの判定動作を継続する。一方、ステップ2−3において燃焼運転の開始が確認された場合は、制御手段8はステップ2−4において循環ポンプ28を停止し、制御フローを図3のステップ1−1に戻す。
上記したようにして循環運転の可否の判定が確定され、制御フローがステップ1−6に戻されると、制御手段8は、上記したサブルーチンにおいて実施された循環運転の可否についての判定結果に基づき、制御フローを振り分ける。すなわち、制御手段8は、循環運転が可能である場合は、制御フローをステップ1−7に進め、図5に示すサブルーチンに従って循環モードによる滞留部凍結防止運転を実施する。一方、循環運転が不可能である場合、制御手段8は、制御フローをステップ1−9に進め、図6に示すサブルーチンに従って加熱モードによる滞留部凍結防止運転を実施する。
さらに具体的に説明すると、制御フローがステップ1−7に進むと、図5に示すサブルーチンに則って循環モードによる滞留部凍結防止運転が開始される。制御フローがステップ3−1に移行すると、制御手段8は、循環運転モードによって動作方法が連続運転モードに設定されているか否かを確認する。ここで、循環運転モードにおいて連続運転モードを実施するように設定されている場合は、制御モードがステップ3−2に進行し、循環ポンプ28が作動した状態でステップ1−1に戻される。
一方、循環運転モードにおける運転方法として断続運転モードが選択されている場合は、制御フローがステップ3−3に移行し、循環ポンプ28が一旦停止される。その後、制御手段8は、ステップ3−4において風呂温度センサ29の検知温度、すなわち浴槽3側から戻ってきた湯水の温度(水温BT)が浴槽3内に貯留されている湯水の設定温度BSに対して2℃以上高いか否かが確認される。ここで、設定温度BSとは、浴槽3に対して落とし込む際の湯水の目標温度や、浴槽3内の湯水の追い焚きを実施する際の目標温度に相当する。ステップ3−4において水温BTが設定温度BSに対して2℃以上高い場合は制御フローがステップ3−5に進行し、そうでない場合は制御フローがステップ3−13に進行する。
制御フローがステップ3−5に進行した場合、制御手段8は、風呂温度センサ29によって検知されている水温BTが55℃以上であるか否かを確認する。ここで水温BTが55℃以上である場合は、熱源側温度センサ30の検知温度FTが熱源側閾温度未満(ステップ1−2参照)であったり、滞留部側温度センサ43の検知温度ETが滞留部側閾温度である2℃未満(ステップ1−8参照)であったとしても、循環流路2内に存在する湯水が直ちに凍結する可能性が極めて低い。そのため、ステップ3−5において水温BTが55℃以上であることを条件として循環ポンプ28を起動させることなく制御フローを図5に示すサブルーチンから図3に示す制御フロー(メインルーチン)に戻す。
一方、上記したステップ3−5において水温BTが55℃未満である場合、制御手段8に設けられたインターバルタイマの設定時間、すなわち循環ポンプ28の休止時間がT1に設定される。本実施形態の熱源装置1では、休止時間T1が20分に設定される。休止時間T1の設定が完了すると、制御フローはステップ3−7に進行する。
制御フローがステップ3−13に進行した場合は、水温BTが25℃以下であるか否かが確認される。ここで、水温BTが25℃以下である場合は、制御フローがステップ3−14に進行し、図6(a)に示す休止時間テーブルに従って循環ポンプ28の休止時間がT2に設定される。
さらに詳細に説明すると、図6(a)の休止時間テーブルは、熱源側温度センサ30の検知温度FTと滞留部側温度センサ43の検知温度ETとに基づいて休止時間T2を設定するためのものである。検知温度FT,ETが低いほど循環流路2内を流れる湯水が凍結する可能性が高いため、休止時間T2は、検知温度FT,ETが低いほど短時間となるように設定されている。また特に、熱源側温度センサ30の検知温度FTが−1℃よりも低い場合や、滞留部側温度センサ43の検知温度ETが−4℃よりも低い場合は、循環ポンプ28の動作を停止すると、循環流路2内の湯水が凍結する可能性が高いため、休止時間T2をゼロ分に設定することとしている。すなわち、検知温度FTが−1℃未満であるか、検知温度ETが−4℃未満であることを条件として、循環運転モードにおける運転方法を連続運転モードに切り替える構成とされている。
ステップ3−13において水温BTが25℃よりも高い場合は、制御フローが3−15に進行し、循環ポンプ28の休止時間がT3に設定される。ここで、休止時間T3は、上記した休止時間T2の設定方法と同様に、図6(b)に示す休止時間テーブルに従って設定される。図6(b)に示す休止時間テーブルは、図6(a)に示すものと同様に、熱源側温度センサ30の検知温度FTと滞留部側温度センサ43の検知温度ETとに基づいて分類されたものであり、各温度条件に応じて休止時間T3を設定するものである。
ここで、制御フローがステップ3−15に進行する場合は、循環流路2内に存在する湯水の水温BTがステップ3−14に進行する場合よりも高く、凍結の可能性が低い。そのため、図6(b)に示す休止時間テーブルは、図6(a)に示す休止時間テーブルと検知温度FT,ETの区分の範囲(レンジ)は同一であり、検知温度FT,ETが高いほど休止時間T3が長くなるように設定されているが、各温度条件毎に休止時間T2,T3を比較すると、休止時間T3の方が休止時間T2よりも長く設定されている。
上記したようにしてステップ3−6、ステップ3−14あるいはステップ3−15においてインターバルタイマがセットされると、制御フローがステップ3−7に進む。ステップ3−7において、燃焼部10の燃焼動作が開始されている場合は、制御フローが図5に示すサブルーチンから図3に示すメインルーチンに戻される。一方、ステップ3−7において、燃焼動作が停止していることが確認されると、制御フローがステップ3−8に進行し、熱源側温度センサ30の検知温度FTが9℃に達しているか否かが確認される。ここで、検知温度FTが9℃以下である場合は、熱源装置本体5の外側に配された戻り側流路22や往き側流路23が配された床下等の部位はさらに低温であり、滞留部40等において湯水が凍結する可能性があり、循環運転を実施する必要がある。そのため、検知温度FTが9℃以下である場合、制御手段8は、制御フローをステップ3−10に進め、インターバルタイマの計時が完了し、循環ポンプ28を起動するタイミングまで待機する。
一方、ステップ3−8において熱源側温度センサ30の検知温度FTが9℃よりも高い場合は、滞留部40近傍も湯水が凍結しない程度の温度になっている可能性がある。しかし、真冬等のように、屋内と屋外とで気温差が激しい場合は熱源装置本体5側が高温であっても床下の滞留部40近傍が局所的に低温である可能性がある。そこで、制御手段8は、検知温度FTが9℃よりも高温であっても制御フローをステップ3−9に進め、滞留部側温度センサ43の検知温度ETを確認する。ここで、検知温度ETが6℃よりも高い場合は、循環流路2内に存在する湯水が凍結する可能性が極めて低い。そのため、制御手段8は、検知温度ETが6℃よりも高いことを条件として図5に示すサブルーチンによる制御を完了し、制御フローを図3に示すメインルーチンに戻す。また逆に、ステップ3−9において滞留部40の近傍に配された滞留部側温度検知手段43の検知温度ETが6℃以下である場合は、循環流路2内の湯水が凍結する可能性がある。そこで、検知温度ETが6℃以下である場合、制御手段8は、制御フローをステップ3−10に進め、インターバルタイマによる計時が完了するのを待つ。
上記したようにして制御フローがステップ3−10に進み、インターバルタイマの計時が完了したことが確認されると、制御フローがステップ3−11に移行し、循環ポンプ28が起動して循環流路2内を湯水が流れると共に、循環ポンプ28の起動時間を計測するポンプタイマ(図示せず)がカウントを開始する。循環ポンプ28は、ステップ3−12においてポンプタイマの計時が完了するまで動作を継続する。これにより、循環流路2内を湯水が循環し、湯水の凍結が防止される。ステップ3−12においてポンプタイマが計時を完了すると、制御手段8は、ステップ3−16において循環ポンプ28を停止させた後、制御フローを図3に示すメインルーチンに戻す。
ここで、図3に示すメインルーチンによる制御の説明に戻ると、循環流路2において湯水が循環可能である場合は、上記した図5に示すサブルーチンに従って循環モードによる滞留部凍結防止運転が実施されるが、循環運転が不可能である場合は、制御フローがステップ1−9に進行し、図7に示すサブルーチンに従って滞留部加熱運転による滞留部凍結防止運転が実施される。
さらに具体的に説明すると、制御フローがステップ1−9に進行すると、制御手段8は、制御フローを図7のサブルーチンのステップ4−1に進め、循環ポンプ28を停止する。その後、制御手段8は、熱源装置本体5内に設置された熱源側温度センサ30の検知温度FTが8℃以下であるか否かを確認する。ここで、検知温度FTが8℃よりも高い場合は、制御フローがステップ4−3に移行し、滞留部40近傍に設置された滞留部側温度センサ43の検知温度ETが5℃以下であるか否かが確認される。ここで、検知温度ETが5℃よりも高い場合は、熱源装置本体5内に加えて滞留部40近傍もある程度温度が高く、循環流路2内に残存している湯水が凍結を起こす可能性が低い。そのため、制御手段8は、ステップ4−3において検知温度ETが5℃よりも高い場合、図7に示すサブルーチンによる制御を完了し、制御フローを図3に示すメインルーチンに戻す。この際、制御フローがステップ4−3に進んだ時点で滞留部側ヒータ41に通電されている場合は、ステップ4−8において滞留部側ヒータ41への通電が停止された後に、制御フローが図3に示すメインルーチンに戻される。
一方、ステップ4−3において滞留部側温度センサ43の検知温度ETが5℃以下である場合、制御手段8は、さらにステップ4−4において検知温度ETが2℃以下であるか否かを確認する。ここで、検知温度ETが2℃よりも高い場合は、制御フローがステップ4−5に進む。制御フローがステップ4−5に進むと、滞留部側ヒータ41が作動中であるかが確認される。
ここで、滞留部側ヒータ41が作動中である場合は、ステップ4−5に至るまでに滞留部側温度センサ43の検知温度ETが低温であったために、既に後述するステップ4−6以降の制御フローを経て滞留部側ヒータ41が起動され、滞留部40やこの近傍の加熱が実施されている最中である。そのため、ステップ4−5において滞留部側ヒータ41が作動中である場合は、制御フローがステップ4−6に進められ、滞留部側ヒータ41への通電が継続される。
一方、滞留部側ヒータ41が停止中である場合は、後述するステップ4−6以降の制御フローを未だ経ていない。また、制御フローがステップ4−5に移行した場合は、滞留部側温度センサ43の検知温度ETが2℃よりも高く、滞留部40やこの近傍に残留している湯水が直ちに凍結を起こす可能性が低い。そのため、制御手段8は、制御フローをステップ4−1に戻す。
上記したように、ステップ4−4において検知温度ETが2℃以下である場合は、滞留部40近傍に滞留している湯水が凍結を起こす可能性が高い。また、上記したように、図7に示すサブルーチンによる制御がなされる場合は、循環運転が不可能である。そのため、制御手段8は、検知温度ETが2℃以下であることを条件として制御フローをステップ4−6に進めて滞留部側ヒータ40を作動させる。その後、制御フローはステップ4−7へと進行する。
また、制御フローがステップ4−5からステップ4−7に移行してきた場合は、滞留部側ヒータ41が作動しているが、滞留部40やこの近傍が未だ十分加熱されていない状態である。そのため、制御フローがステップ4−5からステップ4−6に移行してきた場合、制御手段8は、引き続き滞留部側ヒータ41への通電を継続させ、制御フローをステップ4−7に進める。
制御フローがステップ4−7に進むと、制御手段8は、滞留部側温度センサ43の検知温度ETが6℃より高くなっているかを確認する。ここで、滞留部側温度センサ43の検知温度ETが6℃より高温になっている場合は、滞留部側ヒータ41への通電を停止しても滞留部40近傍に残留している湯水が凍結を起こす可能性が低い。そのため、制御手段8は、ステップ4−7において検知温度ETが6℃よりも高温になっていることを条件として制御フローをステップ4−8に進めて滞留部側ヒータ41への通電を停止し、図7に示すサブルーチンによる加熱運転を終了する。その後、制御手段8は、制御フローを図3に示すメインルーチンに戻す。
一方、検知温度ETが6℃以下である場合は、滞留部40やこの近傍が未だ低温であり、滞留部40近傍に滞留している湯水が凍結する可能性がある。そのため、制御手段8は、検知温度ETが6℃以下であることを条件として、滞留部側ヒータ41を作動させたまま、制御フローをステップ4−1に戻す。
制御フローがステップ4−1に戻されると、上記した制御フローに則って熱源装置1の動作が制御される。滞留部側ヒータ41への通電等の影響により、ステップ4−3において滞留部側温度センサ43の検知温度ETが5℃より高温になっていることが確認された場合や、ステップ4−7において検知温度ETが6℃より高温になっていることが確認された場合は、ステップ4−8において滞留部側ヒータ41への通電が停止された後、制御フローが図3に示すメインルーチンに戻される。
凍結防止装置Fは、上記したように図3〜図5及び図7に示す制御フローに則って滞留部凍結防止運転を実施すると共に、図8に示す制御フローに従って熱源側凍結防止運転を実施する。
さらに詳細に説明すると、図8に示す熱源側加熱運転を実施する場合は、先ずステップ5−1において燃焼部10における燃焼動作が停止し、循環流路2における通水が停止しているか、すなわち燃焼停止状態であるか否かが確認される。ステップ5−1において燃焼運転中である場合は、熱源装置1において加熱された湯水が循環流路2を循環するため凍結のおそれがない。そのため、この場合は、制御フローをステップ5−5に進め、熱源側ヒータ26を動作停止状態にする。一方、ステップ5−1において燃焼停止状態である場合は、制御フローがステップ5−2に進み、熱源側温度センサ30の検知温度FTが所定の作動温度以下であるか否かが確認される。ここで、前記した作動温度は、循環流路2における通水が停止したまま放置されると湯水がやがて凍結する可能性がある温度あるいはこれよりも僅かに高い程度に設定される。本実施形態では、熱源側ヒータ26の作動温度が2℃に設定されている。
ステップ5−2において熱源側温度センサ30の検知温度FTが2℃以下である場合は、制御フローがステップ5−3に移行し、熱源側ヒータ26が起動する。その後、制御フローがステップ5−4に進み、熱源側温度センサ30の検知温度FTが所定の閾温度(例えば6℃)に達するまで熱源側ヒータ26を作動させる。その後、燃焼動作が開始されるか、検知温度FTが6℃より高温になるまでステップ5−1からステップ5−4に至る一連の制御フローが繰り返され、熱源側ヒータ26が連続的あるいは断続的に作動し続ける。
ステップ5−4において検知温度FTが6℃(閾温度)に達すると、循環流路2を構成する流入側配管20、流出側配管21およびこれらの近傍において凍結が発生しないと想定される。そのため、ステップ5−4において検知温度FTが6℃を超えたことが検知されることを条件として制御フローがステップ5−5に進み、熱源側ヒータ26の動作が停止され、一連の熱源側凍結防止運転が完了する。
上記実施形態では、熱源装置本体5が屋内に設置される場合を想定したものであったため、熱源装置本体5内に設置された熱源側温度センサ30の検知温度FTが低温であれば滞留部40近傍も低温であるものと想定し、循環運転を行ったり、滞留部側加熱運転を行うことにより滞留部40近傍における凍結を防止するものであった。しかし、熱源装置本体5が屋外に設置される場合は、滞留部40側より熱源装置本体5側の方が低温になる可能性がある。また、熱源装置本体5が屋内に設置される場合であっても、何らかの理由で滞留部40近傍よりも熱源装置本体5側の方が低温になる可能性も完全には否定しきれない。
そこで、かかる知見に基づき、浴槽3における湯水の貯留量が少ない等の理由で循環運転による凍結防止運転が実施不可能である場合に、熱源側温度センサ30および滞留部側温度センサ43の検知温度FT,ETに応じて滞留部側加熱運転や熱源側加熱運転のいずれか一方又は双方を適宜実施する構成とすることも可能である。
さらに具体的には、熱源装置1は、例えば図3に示す制御フローに代わって図10に示す制御フローを凍結防止運転の制御フローのメインルーチンとして採用してもよい。以下、図10に示す制御フローに従って凍結防止運転を実施する場合について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図10に示す制御フローは、図3に示す制御フローと大部分が同一であるため、共通する部分については詳細の説明を省略する。
図10に示す制御フローによって凍結防止運転が実施される場合は、ステップ6−1からステップ6−6において上記した図3に示す制御フローのステップ1−1から1−6と同一の制御が行われる。しかし、図10に示す制御フローでは、ステップ6−1からステップ6−3に至る間に、熱源側温度センサ30の検知温度FTや滞留部側温度センサ43の検知温度ETに基づいてフラグA,Bによって熱源装置本体5や滞留部40が晒されている状態を分類する点と、循環運転による凍結防止運転が不可能である場合に、ステップ6−3に至る前になされた分類に基づいて滞留部側加熱運転や熱源側加熱運転を実施する点が図3に示す制御フローと異なる。
さらに詳細に説明すると、図10に示す制御フローにより凍結防止運転が実施される場合は、先ずステップ6−1において燃焼停止状態であり、循環流路2内に通水がないか否かが確認される。ステップ6−1において燃焼停止状態である場合は、制御フローがステップ6−2に進み、熱源側温度センサ30により熱源装置本体5内に配された流入側配管20や流出側配管21の近傍の温度(検知温度FT)が検知される。
ステップ6−2において検知温度FTが確認されると、制御フローがステップ6−7aあるいはステップ6−7cに移行し、滞留部40近傍に設置された滞留部側温度センサ43の検知温度ETが確認される。ステップ6−7aにおいて検知温度ETが2℃以上である場合は、熱源側温度センサ30の検知温度FTも高く、循環流路2において凍結が発生する可能性が極めて低い。そのため、この場合は制御フローをステップ6−1に戻す。
一方、ステップ6−7aにおいて滞留部側温度センサ43の検知温度ETが2℃未満である場合は、ステップ6−2において検知された熱源側温度センサ30の検知温度FTが高く、熱源装置本体5側において凍結が起こる可能性が低いが、床下に配された滞留部40近傍が低温であり、当該部位において凍結が起こる可能性がある場合である。そのため、この場合は循環運転あるいは貯留部側加熱運転を実施して滞留部40近傍における凍結を防止する必要がある。そこで、制御手段8は、ステップ6−7aにおいて検知温度ETが2℃に満たないことを条件として、ステップ6−7bにおいて循環運転あるいは滞留部側加熱運転による凍結防止運転を実施すべく、フラグAをオン状態にして制御フローをステップ6−3に進める。
また、制御フローが上記したステップ6−2からステップ6−7cに進んだ場合は、熱源側温度センサ30の検知温度が低く、熱源装置本体5内においても凍結が発生する可能性がある。しかし、ステップ6−7cにおいて検知される滞留部側温度センサ43の検知温度ETが2℃以上である場合は、滞留部40近傍は凍結が起こるほど低温ではない。そのため、この場合は熱源装置本体5内に収容されている流入側配管20および流出側配管21や、この近傍における凍結を防止する必要がある。そこで、制御手段8は、ステップ6−7cにおいて検知温度ETが2℃以上である場合、循環運転あるいは熱源側加熱運転による凍結防止運転をすべく、ステップ6−7dにおいてフラグBをオン状態にして制御フローをステップ6−3に進める。
一方、ステップ6−7cにおいて滞留部側温度センサ43の検知温度ETが2℃に満たない場合は、熱源装置本体5側に加えて滞留部40近傍も低温であり、熱源装置本体5近傍および滞留部40近傍の双方において凍結が発生する可能性がある。このような場合は、制御手段8は、循環運転を実施するか、滞留部側加熱運転と熱源側加熱運転とを同時に実施する形態で凍結防止運転をする必要がある。そこで、このような動作形態で凍結防止運転を実施すべく、制御手段8は、ステップ6−7cにおいて検知温度ETが2℃未満である場合はフラグA,Bのいずれもオン状態にせず、制御フローをステップ6−3に進める。
上記したようにして熱源装置1の設置雰囲気の温度(検知温度FT,ET)が検知され、これに基づいてフラグA,Bにより熱源装置本体5や滞留部40が晒されている状態の分類が行われると、制御フローがステップ6−3からステップ6−5に順次移行する。ステップ6−3からステップ6−5は、図3に示す制御フローのステップ1−4からステップ1−6と同一の制御フローであり、循環運転による凍結防止運転が可能であるか否かが確認される。ここで、循環運転による凍結防止運転が可能である場合は、制御フローがステップ6−6に移行する。ステップ6−6は、上記した図3に示す制御フローのステップ1−7と同一の制御を行うステップである。すなわち、制御フローがステップ6−6に移行すると、制御手段8は、図5に示すサブルーチンに従って循環流路2内に湯水を循環させ、凍結を防止する。図5に示すサブルーチンが完了し、図10に示すメインルーチンに戻ると、ステップ6−11においてフラグA,Bが共にオフ状態とされた後、制御フローがステップ6−1に戻される。
一方、ステップ6−3からステップ6−5において循環運転が不可能であると判断された場合は、制御フローがステップ6−8aに移行する。ここで、上記した制御フローにおいてフラグAがオン状態である場合は、制御フローがステップ6−8bに移行し、オフ状態である場合はステップ6−9aに移行する。
制御フローがステップ6−8bに移行する場合は、フラグAがオン状態、すなわち熱源装置本体5側は凍結が発生するほど低温ではないが、滞留部40側において凍結が発生するおそれがある場合である。そのため、制御手段8は、制御フローがステップ6−8bに移行すると、制御フローを図7に示すサブルーチンに移し、上記した滞留部側加熱運転を実施する。図7に示すサブルーチンが完了し、制御フローが図10に示すメインルーチンに戻ると、ステップ6−8cにおいてフラグAがオフ状態とされる。その後、制御フローはステップ6−1に戻される。
また、ステップ6−8aにおいてフラグAがオフ状態であり、制御フローがステップ6−9aに移行した場合、制御手段8は、フラグBがオン状態であるか否かを確認する。ここで、フラグBがオン状態である場合は制御フローがステップ6−9bに進められ、フラグBがオフ状態である場合は制御フローがステップ6−10に進められる。
制御フローがステップ6−9bに移行する場合は、フラグBがオン状態、すなわち熱源装置本体5側において凍結が発生する可能性があるが、滞留部40側はさほど低温ではなく凍結が発生する可能性が低い場合である。そのため、制御フローがステップ6−9bに移行すると、制御手段8は、図11に示すサブルーチンに従って熱源側加熱運転を実施する。
ここで、図11に示すサブルーチンは図8に示す熱源側凍結防止運転用の制御フローとほぼ同一である。すなわち、ステップ7−1からステップ7−3に至る各ステップは、それぞれ図8に示す熱源側凍結防止運転用の制御フローのステップ5−3からステップ5−5に対応する。さらに具体的には、図11に示すサブルーチンでは、先ずステップ7−1において熱源側ヒータ26が起動され、熱源側温度センサ30の検知温度FTが6℃よりも高温になるまで熱源側ヒータ26による加熱が継続される。その後、ステップ7−2において検知温度FTが6℃よりも高温になったことが確認されると、制御手段8は、ステップ7−3において熱源側ヒータ26を停止させ、制御フローを図10に示すメインルーチンに戻す。
一方、フラグA,Bの双方がオフ状態である場合は、制御フローがステップ6−10に進められる。制御フローがステップ6−10に進む場合は、熱源装置本体5、滞留部40およびこれらの近傍において湯水が凍結する可能性があるにもかかわらず、循環運転による凍結防止運転が不可能な場合である。そのため、制御手段8は、制御フローがステップ6−10に移行すると図7に示す滞留部側加熱運転と図8に示す熱源側加熱運転とを同時進行させ、循環流路2における凍結の発生を防止する。図7および図8に示すサブルーチンによる制御が完了すると、制御フローが図10に示すメインルーチンに戻される。
上記したように、本実施形態の凍結防止装置Fは、熱源側温度センサ30によって検知される検知温度FTが熱源側閾温度(本実施形態では5℃)以上であっても、滞留側温度センサ43の検知温度ETが所定の滞留側閾温度(本実施形態では2℃)未満であることを条件として、熱源側ヒータ26による加熱を停止した状態で滞留部側ヒータ41による滞留部側凍結防止運転が実施される。そのため、凍結防止装置Fは、上記実施形態のように、滞留部40が局所的に低温になる可能性がある位置に配された状態で使用されても、滞留部40における凍結の発生を防止することができる。
凍結防止装置Fは、滞留部40やこの近傍において凍結のおそれがある場合に滞留部40の加温(滞留部側加温運転)や、循環運転が行われるが、熱源側温度センサ30の検知温度FTが湯水の凍結が起こる可能性のある温度(作動閾温度)以下にならない限りは熱源側ヒータ26が作動しない。そのため、凍結防止装置Fは、必要以上に熱源側ヒータ26が作動せず、循環流路2における凍結防止に要するエネルギーが最小限で済む。
上記実施形態では、循環流路2を浴槽3内に残留している湯水が循環する構成とされている。そのため、浴槽3内の湯水がある程度高温である場合は、循環運転を実施することにより、浴槽3内の湯水が持つ熱エネルギーを滞留部40における凍結防止のために有効利用できる。また、特に運転方法として断続運転モードが選択された場合は、休止時間を比較的長く設定でき、省エネルギーに資することができる。
ここで、熱源装置1は、熱交換部11によって浴槽3内の湯水の加熱に加えて、給湯や暖房等のような他の用途に用いる湯水を加熱可能な構成である場合がある。かかる構成の場合は、浴槽3内の湯水の加熱運転がある程度の期間にわたって実施されないにもかかわらず、他の用途に用いるための湯水を加熱するためにバーナ15において燃焼動作が実施される場合がある。このような場合は、熱エネルギーが残存しているにもかかわらず、滞留部側温度センサ43の検知温度ETが湯水が凍結する程低温になる可能性がある。このように、熱源装置1が、燃焼動作を停止した直後であるにもかかわらず、滞留部40近傍が低温になる可能性があるような構造である場合は、循環運転を実施することにより、熱源装置1内に残存している熱エネルギーを湯水の凍結防止のために有効利用することができる。
本実施形態の凍結防止装置Fでは、循環運転(通液運転)を実施するよりも熱源側ヒータ26や滞留部側ヒータ41を作動させる熱源側加熱運転や滞留部側加熱運転(加温運転)を実施する方が消費電力が高い。また、上記実施形態のような構成とした場合は、熱源装置1に残存している熱エネルギーの影響で循環流路2内の湯水が凍結しない程度の温度となる可能性があり、浴槽3内の湯水の温度もある程度高い可能性があり、循環運転を実施すれば、これらの熱エネルギーを凍結防止のために有効利用できる可能性がある。かかる知見に基づき、本実施形態の凍結防止装置Fでは、循環運転が可能な限りは循環運転を実施し、循環運転が不可能な場合にのみ熱源側加熱運転や滞留部側加熱運転を実施する構成としている。そのため、凍結防止装置Fによれば、液体の凍結防止のために消費されるエネルギーを最小限に抑制しつつ、液体の凍結を確実に防止することができる。
凍結防止装置Fは、滞留部凍結防止運転を実施する際に図4に示すサブルーチンに従って循環流路2内に湯水を循環させることができるか否かを判定し、湯水の循環が可能であると判定された場合に循環運転が滞留部加熱運転よりも優先的に実施される構成となっている。そのため、凍結防止装置Fによれば、滞留部側ヒータ41の動作に伴う電力消費を最小限に抑制することができる。
上記したように、凍結防止装置Fは、滞留部凍結防止運転を循環運転により実施する場合に、循環流路2内に湯水を連続的に流す連続運転モードを実施するか、湯水を所定の休止時間毎に流す断続運転モードを実施するかを選択可能な構成となっている。そのため、凍結防止装置Fは、循環運転の運転方法として連続運転モードを選択することにより、湯水の凍結を確実に防止でき、断続運転モードを選択することにより、滞留部40における湯水の凍結を防止しつつ、これに要する消費エネルギーを最小限に抑制できる。
さらに、凍結防止装置Fは、循環流路2を構成する流入側配管20の中途に設けられた風呂温度センサ29により検知される浴槽3側から戻る湯水の温度に基づいて断続運転モード時の休止時間を調整する構成とされている。さらに具体的には、凍結防止装置Fは、循環流路2を循環する湯水の温度が比較的高温である場合は休止時間を長くとり、湯水の温度が比較的低温である場合に休止時間を短くする構成とされている。そのため、凍結防止装置Fは、循環運転時における循環ポンプ28の作動時間、すなわち循環流路2における湯水の通液時間が最小限で済む。
上記したように、凍結防止装置Fは、図9に示すように接続端子50,51を接続することにより補償線46cの導通状態が変化する。そのため、凍結防止装置Fは、補償線46cの導通状態を確認するだけで制御手段8に対して滞留部側温度センサ43が接続されているか否かを判断できる。
なお、上記実施形態では、滞留部側温度センサ43のケーブル45と制御手段8側のケーブル46との接続部分に上記した接続端子50,51を採用した例を例示したが、制御手段8と熱源側温度センサ30との接続部分に同様の接続端子50,51を採用してもよい。
上記した熱源装置1や熱源システムUは、凍結防止装置Fを備えているため、液体の凍結防止に要するエネルギーが最小限で済む。
上記実施形態では、熱源装置1と浴槽3とを繋ぐ循環流路2を備えた熱源システムUに凍結防止装置Fを採用した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、浴槽3以外のファンコンベクタ等の熱消費装置と熱源装置1およびこれらを繋ぐ循環流路2を備えたものに凍結防止装置Fを採用した構成としてもよい。また、上記実施形態では、湯水が循環流路2を循環可能な例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、循環流路2に代わって湯水が循環しない流路を備えたものであってもよい。すなわち、熱源システムUは、戻り側流路22を備えていない構成であったり、循環流路2に代わってカラン等に対して湯水を供給する流路を備えた構成のものであってもよい。
上記実施形態では、滞留部40が床下に設けられた例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、家屋の壁面に沿って配された場合や、天井裏やダクト内等、いかなる場所に設置されていてもよい。
上記実施形態では、説明を簡略にするために循環流路2の途中に滞留部40が1箇所だけ存在する例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、滞留部40がさらに多数存在する構成であってもよい。かかる構成の場合は、例えば各滞留部40毎に滞留部側ヒータ41や滞留部側温度センサ43を設けた構成としてもよく、特定の滞留部40やこの近傍のみに滞留部側温度センサ43を設け、この検知温度ETに基づいて各滞留部40に設置された滞留部側温度センサ43を作動させる構成としてもよい。
上記実施形態では、省エネルギーの観点から滞留部側加熱運転や熱源側加熱運転と、循環運転とを同時に実施しない構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、循環運転と滞留部側加熱運転や熱源側加熱運転を同時に行ってもよい。かかる構成によれば、循環流路2における凍結防止のために消費されるエネルギー量は多くなるが、確実に凍結を防止することができる。
上記実施形態では、循環運転の実施方法として断続運転モードが選択されている場合に図6(a),(b)に示す休止時間テーブルに従って休止時間T1,T2,T3を設定する例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば風呂温度センサ29の検知温度(水温BT)や、熱源側温度センサ30および滞留側温度センサ43の検知温度FT,ET等に基づく相関関係や数式に基づいて休止時間T1,T2,T3を設定する構成としてもよい。
上記実施形態では、戻り側流路22および往き側流路23のうち湯水が滞留する可能性が高い滞留部40にのみ滞留部側ヒータ41を取り付け、他の部分には加熱手段(加温手段)を設けない構成としている。そのため、上記した熱源システムUは、滞留部側ヒータ41を作動させざるを得ない場合であっても、戻り側流路22や往き側流路23の全体に加熱手段を取り付ける場合に比べて凍結防止運転における電気消費量が少なくて済む。また、上記実施形態では、湯水が滞留するおそれがある滞留部40にのみ滞留部側ヒータ41を取り付けた構成とされているため、凍結防止装置Fの取り付けが容易である。そのため、凍結防止装置Fは、既設の熱源システムUにも容易に設置することができる。
熱源装置1は、単一の制御手段8により、循環流路2のうち熱源装置1内に配された熱源側温度センサ30の検知温度FTと、滞留部40あるいはこの近傍に配された滞留部側温度センサ43の検知温度ETとに基づいて、湯水の凍結の可能性を総合的に判断し、適宜循環運転や、滞留部側加熱運転、熱源側加熱運転を実施する構成とされている。そのため、制御手段8によれば、湯水の凍結防止に要するエネルギー消費量を最小限に抑制しつつ、効率的な動作制御を実現できる。
上記した熱源装置1は、熱源装置本体5内に熱源側温度センサ30を設けた例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、熱源側温度センサ30を設けず、例えば風呂温度センサ29や他の用途のために設けられた温度センサによって代用してもよい。かかる構成によれば、熱源装置1の装置構成をより一層簡略化することができる。
また、上記実施形態の熱源装置1は、循環運転モードにおける運転方法をリモートコントローラ等により適宜設定可能な構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば風呂温度センサ29や他の用途のために設けられた温度センサの検知温度に基づいて運転方法が切り替えられる構成であってもよい。かかる構成によれば、循環運転モードにおける運転方法をより一層最適化することができる。