JP2006249975A - 蒸発燃料処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 この発明は、内燃機関の始動時に個々の気筒に対して蒸発燃料を供給するための蒸発燃料処理装置に関し、内燃機関に対して理想的な始動性を付与することを目的とする。
【解決手段】 蒸発燃料を蓄えるキャニスタを、それぞれの気筒の吸気ポートに連通させ、気筒毎にパージ制御弁を設ける。内燃機関の始動が開始されると同時に全ての気筒のパージ制御弁を開いてクランク角非同期パージを実行する(図2(C)中、長い白抜き矢印)。気筒判別信号が生成された時点で、吸気ポート内に未吸入の非同期パージガスが残存しており(図2中、♯4,♯2,♯1)、かつ、気筒判別信号が生成された後吸気行程が開始されるまでの時間が判定値を超える気筒(図2中、♯2,♯1)を対象として、パージ制御弁を開くことによる補正パージを実行する(白抜き矢印50,52)。
【選択図】 図2

Description

この発明は、蒸発燃料処理装置に係り、特に、内燃機関の始動時に個々の気筒に対して蒸発燃料を供給するための蒸発燃料処理装置に関する。
従来、例えば実開平6−37548号公報に開示されるように、燃料タンクの内部で発生する蒸発燃料を吸着するキャニスタを備え、その内部に吸着されている蒸発燃料を、内燃機関の運転中に内燃機関に吸入させる装置が知られている。
この装置は、より具体的には、キャニスタと内燃機関の吸気通路とをつなぐパージ通路と、そのパージ通路の導通状態を制御する制御弁とを備えている。制御弁は、デューティ駆動されることにより、パージ通路の流通抵抗を変化させ、キャニスタから吸気通路に向かって流通する蒸発燃料の流量を制御することができる。
上記従来の装置は、内燃機関の運転中に、制御弁を適宜デューティ駆動することでキャニスタに吸着されている蒸発燃料を内燃機関の筒内に流入させることができる。特に、この装置は、内燃機関の冷間始動時において、通常運転時に比して多量の蒸発燃料がパージされるように制御弁を駆動する。蒸発燃料は既に気化しているため、冷間始動時に蒸発燃料が多量に供給されると、内燃機関は良好な始動性を示す。このため、上記従来の装置によれば、内燃機関に対して、良好な始動性を与えることができる。
実開平6−37548号公報 特開平8−200166号公報
しかしながら、上記従来の装置においては、内燃機関の始動時に蒸発燃料をパージするにあたって、始動時における特殊性が十分に考慮されていない。
すなわち、内燃機関の始動時は、通常運転中とは異なり、十分な吸気負圧が発生していない。このため、通常運転時と同様の手法で制御弁を開閉させたのでは、個々の気筒に対して、十分な量の蒸発燃料を、十分に混合された状態で供給することはできない。
また、内燃機関の始動時は、気筒判別信号が生成されるまで、個々の気筒が如何なる状態にあるかを知ることができない。従って、内燃機関の始動後、少なくともある程度の期間は、点火が行えない期間が生ずる。更に、その期間中、個々の気筒では、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、および排気行程が順次繰り返し行われる。この間、通常運転時と同様に制御弁を制御することによっては、個々の気筒に対して、適量の蒸発燃料を吸入させ、更に、個々の気筒からの蒸発燃料の吹き抜け量を十分に抑制することはできない。
これに対して、上記従来の装置は、内燃機関の始動時に、特にその時点での特殊性を考慮することなく、通常運転時と同様に制御弁を制御するものである。この点、上記従来の装置は、内燃機関に対して、必ずしも理想的な始動特性を付与し得るものではなかった。
この発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、内燃機関の始動時に、その始動時における特殊性を考慮したパージ制御を行うことにより、内燃機関に対して理想的な始動特性を付与することのできる蒸発燃料処理装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、複数の気筒を有する内燃機関に対して蒸発燃料を供給するための蒸発燃料処理装置であって、
蒸発燃料を蓄えるキャニスタと、
前記キャニスタを、それぞれの気筒の吸気ポートに連通させるパージ通路と、
個々の気筒の吸気ポートと前記キャニスタの導通状態を制御するべく気筒毎に設けられたパージ制御弁と、
内燃機関の運転中に、特定のクランク角において気筒判別信号を発生する気筒判別信号発生手段と、
内燃機関の始動が開始された後、前記気筒判別信号が生成される前に、全ての気筒のパージ制御弁を開いてクランク角非同期パージを実行する非同期パージ制御手段と、
前記気筒判別信号が生成された時点で、対応する吸気ポート内に未吸入の非同期パージガスが残存しており、かつ、前記気筒判別信号が生成された後吸気行程が開始されるまでの時間が判定値を超える気筒を対象として、前記パージ制御弁を開くことによる補正パージを実行する補正パージ制御手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、前記補正パージの対象気筒は、気筒判別信号の発生と同時に吸気行程が開始される気筒判別気筒に続いて吸気行程が開始される気筒判別直後吸気気筒を含むことを特徴とする。
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記補正パージの対象気筒は、前記クランク角非同期パージの実行期間と重複し、かつ、当該クランク角非同期パージの終了前に終了するように吸気行程を実行していた不完全吸入気筒を含むことを特徴とする。
また、第4の発明は、第3の発明において、前記補正パージ制御手段は、前記不完全吸入気筒に対して、他の対象気筒に比して多量の補正パージを施すことを特徴とする。
また、第5の発明は、第1乃至第4の発明の何れかにおいて、
気筒判別信号が生成された時点で、対応する吸気ポート内に未吸入の非同期パージガスが残存していない気筒のうち、最初に吸気行程が行われる気筒をクランク同期初パージ気筒とする初パージ気筒設定手段と、
気筒判別信号の発生後、前記クランク同期初パージ気筒から、個々の気筒のパージ制御弁をクランク角に同期させて開弁させることにより、クランク角同期パージを実行する同期パージ制御手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第6の発明は、第1乃至第5の発明の何れかにおいて、
前記非同期パージ制御手段は、
内燃機関の始動が開始された後、前記気筒判別信号が生成される前に、前記パージ制御弁が複数回開閉するように当該パージ制御弁を制御する制御手段と、
前記複数回の初回における開弁時間を、2回目以降における開弁時間に比して長く設定する設定手段と、
を含むことを特徴とする。
また、第7の発明は、第1乃至第6の発明の何れかにおいて、内燃機関の始動が開始された後、所定時間は、前記クランク角非同期パージの開始を禁止する非同期パージ禁止手段を備えることを特徴とする。
また、第8の発明は、複数の気筒を有する内燃機関に対して蒸発燃料を供給するための蒸発燃料処理装置であって、
蒸発燃料を蓄えるキャニスタと、
前記キャニスタを、それぞれの気筒の吸気ポートに連通させるパージ通路と、
個々の気筒の吸気ポートと前記キャニスタの導通状態を制御するべく気筒毎に設けられたパージ制御弁と、
内燃機関の運転中に、特定のクランク角において気筒判別信号を発生する気筒判別信号発生手段と、
内燃機関の始動が開始された後、前記気筒判別信号が生成される前に、全ての気筒のパージ制御弁を開いてクランク角非同期パージを実行する非同期パージ制御手段とを備え、
前記非同期パージ制御手段は、
内燃機関の始動が開始された後、前記気筒判別信号が生成される前に、前記パージ制御弁が複数回開閉するように当該パージ制御弁を制御する制御手段と、
前記複数回の初回における開弁時間を、2回目以降における開弁時間に比して長く設定する設定手段と、
を含むことを特徴とする。
また、第9の発明は、複数の気筒を有する内燃機関に対して蒸発燃料を供給するための蒸発燃料処理装置であって、
蒸発燃料を蓄えるキャニスタと、
前記キャニスタを、それぞれの気筒の吸気ポートに連通させるパージ通路と、
個々の気筒の吸気ポートと前記キャニスタの導通状態を制御するべく気筒毎に設けられたパージ制御弁と、
内燃機関の運転中に、特定のクランク角において気筒判別信号を発生する気筒判別信号発生手段と、
内燃機関の始動が開始された後、前記気筒判別信号が生成される前に、全ての気筒のパージ制御弁を開いてクランク角非同期パージを実行する非同期パージ制御手段と、
内燃機関の始動が開始された後、所定時間は、前記クランク角非同期パージの開始を禁止する非同期パージ禁止手段と、
を備えることを特徴とする。
第1の発明によれば、気筒判別信号が生成される前にクランク角非同期パージを実行することで、気筒判別信号の生成前に個々の気筒に対して蒸発燃料を供給しておくことができる。クランク角非同期パージにより供給された蒸発燃料の全てを気筒内に吸入できた気筒については、気筒判別信号の発生時に、既に筒内に適正量の蒸発燃料が吸入されている。このため、このような気筒については、そのまま点火を行えば、適正な爆発行程を得ることができる。一方、クランク角非同期パージによる蒸発燃料の全てを吸入し得なかった気筒については、気筒判別信号の発生時点において、筒内の蒸発燃料量が不十分であると共に、対応する吸気ポート内に蒸発燃料が残留する。その後、吸気行程が開始されるまでに長い時間が経過すると、残留した蒸発燃料が希釈化されて、吸気ポート内のガスを吸気させるだけでは、筒内の蒸発燃料量が適正量に達しない事態が生ずる。本発明によれば、このような事態の生ずる気筒を対象として補正パージを行うことができる。このため、本発明によれば、内燃機関の始動後に、個々の気筒の置かれた環境の相違に関わりなく、全ての気筒に対して、適量の蒸発燃料を供給することができる。
第2の発明によれば、気筒判別気筒に続いて吸気行程が開始される気筒判別直後吸気気筒に対して、補正パージを行うことができる。気筒判別信号は、内燃機関の始動後、クランク軸が360°CA回転する以前に必ず発せられる。気筒判別直後吸気気筒では、気筒判別信号が生成される前360°CAの角度域で吸気行程が完遂されることはない。更に、気筒判別直後吸気気筒については、気筒判別信号が生成された後、自身の吸気行程が開始されるまでに必然的に待ち時間が発生する。このように、気筒判別直後吸気気筒は、補正パージの対象気筒としての要件を常に充足する。本発明によれば、その気筒を常に補正パージの対象とすることにより、内燃機関の始動時に、気筒判別直後吸気気筒に対して、常に適量の蒸発燃料を供給することができる。
第3の発明によれば、クランク角非同期パージの実行期間と重複し、かつ、その終了前に終了するように吸気行程を実行していた不完全吸入気筒を補正パージの対象に含めることができる。不完全吸入気筒は、クランク角非同期パージの終了前に吸気行程を終える。このため、気筒判別信号の発生時点で、不完全吸気気筒の吸気ポートには、クランク角非同期パージによる蒸発燃料が残存している。また、不完全吸気気筒は、内燃機関の始動直後に吸気行程を実行する気筒であるため、気筒判別信号の生成後、しばらくの間は、吸気行程に達しない。このように、不完全吸気気筒は、補正パージの対象気筒としての要件を常に充足する。更に、不完全吸気気筒については、クランク角非同期パージによる蒸発燃料を吸入する吸気行程の後、再び吸気行程が実行される前に、排気行程が実行されることがある。この場合、排気行程にて供給済の蒸発燃料の一部が排出されるため、不完全吸気気筒に対する蒸発燃料の供給量は、より一層不足したものとなる。本発明によれば、その気筒を常に補正パージの対象とすることにより、内燃機関の始動時に、不完全吸気気筒に対して、常に適量の蒸発燃料を供給することができる。
第4の発明によれば、不完全吸入気筒に対して多量の補正パージを施すことができる。不完全吸入気筒については、吹き抜けに伴う燃料の不足が発生することから、他の対象気筒に比して、クランク角非同期パージにより供給できる蒸発燃料量が少量となる。本発明によれば、その気筒に対する補正パージ量を多量とすることで、全ての気筒に対して蒸発燃料を適量に供給することが可能となる。
第5の発明によれば、気筒判別信号が生成された時点で、吸気ポート内にクランク非同期パージによる蒸発燃料が残存していない気筒のうち、最も早く吸気行程が行われる気筒から、クランク角同期パージを開始することができる。吸気ポート内にクランク角非同期パージにより蒸発燃料が残存していない気筒については、個々に吸気行程に必要な蒸発燃料量をクランク角同期パージにより全量供給することができる。このため、本発明によれば、クランク角同期パージによる適正な燃料供給を最も早期に開始させることができる。
第6または第8の発明によれば、気筒判別信号の発生前に制御弁を繰り返し開閉させることによりクランク角非同期パージを実現することができる。この際、初回の開弁時間を2回目以降の開弁時間に比して長く設定することができる。制御弁を繰り返し開閉させることとすると、吸気通路内でのミキシング効果を高めることにより、流速の低い環境下での燃料と空気の混合を改善させることができる。また、初回の開弁時間を長くすると、吸気負圧が殆ど生じていない始動直後の環境下において、ある程度蒸発燃料のパージを進めることができる。このため、本発明によれば、クランキング非同期パージによる始動性の改善効果を十分に高めることができる。
第7または第9の発明によれば、内燃機関の始動後、クランク角非同期パージが開始されるまでの間に禁止期間を設けることができる。始動の直後に吸気行程が行われる気筒では、その吸気行程により吸入したガスが、点火を経ることなく排気され易い。このため、始動直後にクランク角非同期パージの禁止期間を設けると、燃料として利用されずに排気される蒸発燃料量が減少する。このため、本発明によれば、始動時のエミッション特性を良好に保ちつつ、内燃機関の始動性を十分に改善することができる。
実施の形態1.
[実施の形態1の構成]
図1(A)は、本発明の実施の形態1の機械的な構成を説明するための図である。また、図1(B)は、本実施形態のシステムの電気的な構成を説明するための図である。図1(A)に示すように、本実施形態のシステムは、内燃機関10を備えている。内燃機関10は、複数の気筒を備えている。以下、説明の便宜上、内燃機関10は4気筒式の機関であるものとする。
4つの気筒には、それぞれ、吸気ポートを開閉する吸気弁12、および排気ポートを開閉する排気弁14が組み込まれている。図1(A)は、それらの気筒の一つを示している。個々の気筒の吸気ポートには、吸気マニホールド16の枝管が連通している。4気筒分の枝管は、一端において集合し、サージタンク18に連通している。サージタンク18の上流には、吸気通路の導通状態を制御するスロットル弁20が配置されている。
内燃機関10は、気筒毎に燃料噴射弁22を備えている。燃料噴射弁22は、個々の気筒の吸気ポートに燃料を噴射することができる。吸気ポートの近傍には、パージ通路24が連通している。パージ通路24は、気筒毎に準備されており、それぞれD-VSV26を備えている。D-VSV26は、デューティ信号を受けて開閉する制御弁である。D-VSV26によれば、パージ通路24の導通状態を実質的に制御することができる。
4気筒分のパージ通路24は、何れもキャニスタ28に連通している。キャニスタ28は、その内部に活性炭を内蔵していると共に、ベーパ流入孔30と、大気孔32とを備えている。ベーパ流入孔30は、図示しないベーパ通路を介して燃料タンクに連通している。大気孔32は、図1(A)に示すように大気と連通している。
燃料タンクの内部には、蒸発燃料を含むガスが存在している。このガスは、例えば給油の際にベーパ流入孔30からキャニスタ28内部に流入する。この際、キャニスタ28は、ガス中に含まれる蒸発燃料を吸着し、空気のみを大気孔32から流出させる。その結果、キャニスタ28は、蒸発燃料を吸着した状態となる。
本実施形態のシステムは、内燃機関10の運転中に個々の気筒のD-VSV26を適当に開弁させることができる。内燃機関10の運転中は吸気負圧が発生する。D-VSV26が開弁すると、その負圧がキャニスタ28に導かれる。その結果、キャニスタ28の内部には、大気孔32から流入した空気の流れが発生し、その空気の流れにより蒸発燃料がパージされる。本実施形態のシステムは、キャニスタ28に吸着されている蒸発燃料を、このようにして個々の気筒に流入させることができる。
図1(B)に示すように、本実施形態のシステムは、ECU(Electronic Control Unit)40を備えている。ECU40には、イグニッションスイッチ(IG)42、スタータスイッチ44、クランク角センサ46、および水温センサ48が接続されている。また、ECU40には、♯1気筒〜♯4気筒に配置されたD-VSV26が接続されている。
クランク角センサ46は、クランク軸が30°CA回転する毎にパルス信号を発生すると共に、♯1気筒のピストンが吸気上死点を通過する際、および♯4気筒のピストンが吸気上死点を通過する際に気筒判別信号を発生する。ECU40は、内燃機関10の始動後、♯4気筒が吸気上死点に達したことを表す気筒判別信号を受信すると、その時点で、クランク角が0°CAであると認識する。また、♯1気筒が吸気上死点に達したことを表す気筒判別信号を受信すると、その時点で、クランク角を360°CAと認識する。以下、このようにしてクランク角を認識することを「気筒判別」と称する。
以上説明した通り、ECU40は、内燃機関10の始動後、♯1気筒或いは♯4気筒が吸気上死点に達するタイミングにおいて気筒判別を終えることができる。そして、気筒判別が終わると、以後、30°CA毎に発せられるパルス信号をカウントすることにより、ECU40は、クランク軸の回転位置を特定し続けることができる。
[実施の形態1の動作]
内燃機関10の始動は、内燃機関10が暖機されていない状況下で行われるのが通常である。このような状況下では、燃料が気化し難いため、燃料噴射弁22から燃料を噴射した場合は、一部の燃料が液体のまま残存して燃焼に寄与しない事態が生ずる。一方、キャニスタ28に吸着されている燃料をパージして内燃機関10に供給することとすれば、既に気化した燃料を供給することができ、低温環境下でも良好な燃焼性を得ることができる。
このため、本実施形態のシステムは、内燃機関10の始動時には、燃料噴射弁22による燃料供給を止めて、キャニスタ28内の蒸発燃料をパージすることにより、所望の燃料供給を実現することとした。より具体的には、本実施形態のシステムは、内燃機関10の始動時に、燃料噴射弁22を閉じたまま、気筒毎に配置されたD-VSV26を適当に開弁させることにより、個々の気筒に適量の蒸発燃料を供給することとした。
(クランク角非同期パージとクランク角同期パージ)
図2は、本実施形態のシステムにおいて実現される始動時パージ制御の一例を説明するためのタイミングチャートである。図2(A)は、より具体的には、内燃機関10の始動直後の機関回転数NEの波形を示す。図2(B)は、各気筒における行程の移り変わりを説明するための図である。また、図2(C)は、本実施形態において用いられるパージの規則を説明するための図である。
ECU40は、内燃機関10の運転中にクランク軸の回転位置を把握しておくために、クランク角カウンタCCRNKを備えている。クランク角カウンタCCRNKは、内燃機関10の始動後、♯4気筒が吸気上死点に達したことを表す気筒判別信号が認識されると、その時点で0°CA対応値(具体的には「0」)とされる。また、内燃機関10の始動後、♯1気筒が吸気上死点に達したことを表す気筒判別信号が先に発せられた場合は、その時点でCCRNKが360°CA対応値(具体的には12)とされる。
CCRNKは、上記の値に設定された後、クランク角センサ46から30°CA毎にパルス信号が発せられる毎にカウントアップされる。そして、クランク角が720°CAに達すると、つまり、♯4気筒が吸気上死点に達すると、その時点で0にリセットされる。
図2(B)中に繰り返し描かれている三角波形は、上述したクランク角カウンタCCRNKの計数値を表している。つまり、図2(B)に示すチャートは、スタータスイッチ44がオンとされた後、クランク軸が360°CAより僅かに小さな角度だけ回転した時点で♯4気筒が吸気上死点に達したことを表す気筒判別信号が発生したこと、および、その後、クランク軸の回転に合わせてクランク角カウンタCCRNKが増加とリセットとを繰り返していることを表している。
本実施形態のシステムは、気筒判別の終了後は、クランク角カウンタCCRNKの計数値に基づいて個々の気筒の状態を検知することができる。このため、気筒判別の終了後は、個々の気筒のD-VSV26をクランク角に同期させて開閉させることにより、全ての気筒に対して、それぞれ適切なタイミングで蒸発燃料を供給することが可能である。以下、このような燃料供給の手法を「クランク角同期パージ」と称する。
しかしながら、クランク角同期パージは、気筒判別が終了するまでは開始することができない。他方、気筒判別が終わるのを待って燃料供給を開始することとすると、初爆の発生時期が遅くなり、内燃機関10に良好な始動応答性を与えることが困難となる。つまり、燃料の供給を燃料噴射により行う場合は、その供給が瞬時に終わるため、気筒判別の終了後に燃料供給を開始しても初爆の発生時期に大きな遅延が生ずることはない。これに対して、燃料の供給を蒸発燃料のパージで行う場合は、燃料の供給に長い時間が必要であることから、気筒判別の終了後にその供給を開始したのでは、初爆が得られるまでに無視できない遅れが発生し易い。
そこで、本実施形態のシステムでは、内燃機関10の始動が開始されたら、気筒判別信号の発生を待つことなく、全ての気筒を対象として、クランク角非同期パージを実行することとした。
図2(C)中に示した白抜きの矢印は、本実施形態のシステムにおいて、個々の気筒のD-VSV26が開弁状態とされる期間、つまり、個々の気筒の吸気ポートにパージ燃料が吸入される期間を示している。特に、それらの白抜き矢印のうち、スタータONの直後から所定期間に渡って継続しているものは、上述したクランク角非同期パージに対応するパージ期間を示している。この図に示すように、本実施形態のシステムでは、スタータスイッチがONとされた後、全ての気筒のD-VSV26を、既定の時間だけ等しく開弁させることとしている。この際、D-VSV26の開閉は、クランク角とは無関係に行われる。ここでは、このような手法によるD-VSV26の開閉制御を「クランク角非同期パージ」と称することとする。
図2(B)および図2(C)中にハッチングを付して示す領域は、個々の気筒において吸気行程が実行される期間を示している。本実施形態のシステムでは、♯4気筒或いは♯1気筒が吸気上死点を通過する際に気筒判別信号が発せられる。このため、スタータがONとされた後、最初に、♯4気筒に対応する気筒判別信号が発生するとすれば、内燃機関10は、♯1気筒が吸気上死点を通過した状態で停止していたと考えられる。
図2(B)および図2(C)に示すチャートは、特に、♯1気筒が吸気上死点を僅かに超えた位置で内燃機関10が停止していた場合を例示している。このため、それらのチャートによれば、スタータがONとされると同時に♯1気筒で吸気行程が開始され、その後クランク角が180°CA程度変化した段階で♯3気筒の吸気行程が開始される。そして、更に180°CAの回転が生じた時点で♯4気筒が吸気上死点に到達し、その結果気筒判別信号が生成される。
クランク角非同期パージの実行期間は、気筒判別前に始動に適した蒸発燃料量を個々の気筒に供給するための期間として設定されている。この実行期間は、本実施形態のシステムでは、図2(C)に示すように、気筒判別信号が生成される直前に、より具体的には、気筒判別信号の生成直前に行なわれる吸気行程の途中(図2における♯3気筒の吸気行程の途中)で終了する。
このため、図2に示す動作によれば、スタータがONとされた後、♯1気筒では、クランク角非同期パージの前半にパージされた蒸発燃料のみが筒内に吸入され、その後半にパージされた蒸発燃料が吸気ポートに保留される。また、♯3気筒では、クランク角非同期パージにより供給されたほぼ全ての蒸発燃料が筒内に吸入される。そして、♯4気筒および♯2気筒では、クランク角非同期パージにより供給された蒸発燃料の全てが、少なくとも気筒判別の時点まで、筒内に吸入されることなく吸気ポート内に保留される。
つまり、本実施形態のシステムによれば、クランク角非同期パージを行うことにより、気筒判別信号が生成される時点で、その直前に吸気行程を行っていた気筒(ここでは♯3気筒;以下、「気筒判別直前吸気気筒」と称す)への適正な燃料供給を終了させておくことができる。気筒判別直前吸気気筒は、気筒判別の終了後、180°CAの回転が生じた時点で圧縮上死点に達する。また、この時点では点火処理を実行することが可能である。このため、本実施形態のシステムによれば、気筒判別の終了後、180°CAの時点で初爆を得ることが可能である。
図2における♯4気筒は、気筒判別信号の生成と同時に吸気行程を開始する。以下、このような気筒を「気筒判別気筒」と称す。気筒判別気筒は、換言すると、クランク角非同期パージの終了直後に初回の吸気行程を開始する。気筒判別気筒の吸気ポートにパージされた蒸発燃料は、時間の経過と共に希釈化されるが、その経過時間が僅かであれば、その希釈化は無視することができる。このため、気筒判別気筒は、初回の吸気行程により、クランク角非同期パージにより供給された蒸発燃料のほぼ全てを吸入することができる。
つまり、本実施形態のシステムは、クランク角非同期パージを行うことにより、気筒判別気筒に対しても、適正な燃料供給を行うことができる。図2に示す例によれば、気筒判別気筒(♯4気筒)は、気筒判別の後、360°CAの時点、つまり、♯3気筒の爆発行程が終了した時点で圧縮上死点に達する。このため、本実施形態のシステムによれば、気筒判別直前吸気気筒に続いて、気筒判別気筒においても適切な爆発を生じさせることができる。
図2における♯2気筒は、気筒判別気筒に続いて吸気行程を実行する。以下、このような気筒を「気筒判別直後吸気気筒」と称す。換言すると、気筒判別直後吸気気筒では、気筒判別信号が生成された後、更に180°CAの回転が生ずるまでは吸気行程が開始されない。気筒判別直後吸気気筒については、対応する吸気ポート内に、未吸入の状態でクランク角非同期パージによる蒸発燃料が保留されている。しかしながら、その蒸発燃料の濃度は、クランク角非同期パージの終了時点から、気筒判別直後吸気気筒で吸気が開始されるまでの期間中に希釈化される。このため、気筒判別直後吸気気筒については、クランク角非同期パージにより供給された蒸発燃料を吸入するのみでは、初回の吸気行程により、十分な量の燃料を筒内に吸い込むことができない。
そこで、本実施形態のシステムは、気筒判別直後吸気気筒については、その気筒における初回の吸気行程に先立って、蒸発燃料の希釈分を補うための補正パージを行うこととした。図2(C)の♯2気筒の欄中に、符号50を付して示した白抜き矢印は、その補正パージに対応するパージ期間に対応している。ECU40は、気筒判別信号を受信すると同時に、どの気筒が気筒判別直後吸気気筒であるかを識別することができる。そして、ECU40は、その識別と同時に、気筒判別直後吸気気筒のD-VSV26を、所定の補正パージ期間だけ開弁させる。
以上の処理が実行されると、気筒判別直後吸気気筒、つまり、図2における♯2気筒においても、初回の吸気行程により、始動に適した適量の蒸発燃料を筒内に吸入することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、気筒判別気筒に続いて、気筒判別直後吸気気筒においても適切な爆発を生じさせることができる。
図2における♯1気筒は、気筒判別信号が発生した時点で圧縮上死点に達している。この際、♯1気筒の筒内には、クランク角非同期パージの初期段階にパージされた蒸発燃料が僅かながら吸入されている。その燃料では、十分な燃焼が得られないため、ここでは爆発を伴わない膨張行程が行われる。以下、上記の♯1気筒のように、クランク角非同期パージによる蒸発燃料の一部を不完全に吸入する気筒を「不完全吸入気筒」と称す。
不完全吸入気筒(♯1気筒)では、上記の膨張行程に続いて、排気行程が行われる。その結果、気筒判別の終了時点で筒内に吸入されていた蒸発燃料は、燃焼に利用されることなく排気系に排出される。そして、気筒判別の後、360°CA程度の変化が生じた時点で、不完全吸入気筒における2度目の吸気行程が開始され、その吸気行程により、吸気ポート内に保留されていた蒸発燃料が筒内に吸入される。
以上説明した通り、不完全吸入気筒については、クランク角非同期パージによる蒸発燃料の一部が排気されることから、クランク角非同期パージが終了した時点で、既に、一度の爆発行程に必要なだけの蒸発燃料が存在していない。更に、不完全吸入気筒については、クランク角非同期パージの終了後、次に吸気行程が開始されるまでの期間が長いため、吸気ポートの内部でも残留した蒸発燃料の希釈化が大きく進行する。このため、不完全吸入気筒については、気筒判別直後吸気気筒以上に、クランク角非同期パージのみによっては十分な蒸発燃料を筒内に供給することはできない。
そこで、本実施形態のシステムは、不完全吸入気筒に対しては、気筒判別後の初回の吸気行程が開始されるのに先立ち、蒸発燃料の希釈分および排気分を補うための補正パージを行うこととした。図2(C)の♯1気筒の欄中に符号52を付して示した白抜き矢印は、その補正パージに対応するパージ期間を示している。ECU40は、気筒判別信号を受信すると同時に、どの気筒が不完全吸入気筒であるかを識別することができる。そして、ECU40は、その識別と同時に、不完全吸入気筒のD-VSV26を、所定の補正パージ期間だけ開弁させる。
以上の処理が実行されると、不完全吸入気筒、つまり、図2における♯1気筒においても、気筒判別後に初めて行われる吸気行程において、始動に適した適量の蒸発燃料を筒内に吸入することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、気筒判別直後吸気気筒に続いて、不完全吸入気筒においても適切な爆発を生じさせることができる。
以上説明した通り、本実施形態のシステムによれば、気筒判別信号が生成された直後に、4つの気筒のそれぞれにおいて、順次適切に爆発を生じさせることができる。このため、本実施形態のシステムによれば、始動時の燃料として蒸発燃料を用いつつ、優れた始動応答性を実現することができる。
ところで、本実施形態のシステムでは、気筒判別直前吸気気筒(♯3気筒)が初爆のための吸気行程を終えた時点で、その気筒の吸気ポート内の蒸発燃料は全て筒内に吸入されている。同様の事情は、他の全ての気筒について当てはまる。すなわち、気筒判別気筒(♯4気筒)については、初回の吸気行程が終了した時点で、その気筒の吸気ポート内の全ての蒸発燃料は筒内に吸入されている。また、気筒判別直後吸気気筒(♯2気筒)では、初回の吸気行程が終了した時点で、更に、不完全吸入気筒(♯1気筒)では、気筒判別後に初めての吸気行程が行われた時点で同様の状態が形成される。このため、本実施形態のシステムでは、上述したそれぞれの吸気行程の後であれば、それぞれの気筒に対して、クランク角非同期噴射の影響を考慮することなく燃料を供給することが可能である。
図2(C)中に符号54〜62の符号を付して示した白抜き矢印は、それぞれ、気筒判別の終了後に、本実施形態において実行されるクランク角同期パージの期間に対応している。それらは、何れも、クランク角非同期パージの影響を受けないタイミングに設定されている。また、個々のクランク角同期パージの期間は、それぞれの負圧環境下で、始動に適した蒸発燃料量をパージさせ得る期間として設定されている。このため、本実施形態のシステムによれば、気筒判別の終了後は、個々の気筒に対してクランク角同期パージにより蒸発燃料を供給することにより、円滑な始動性を実現することができる。
[実施の形態1における具体的処理]
以下、図3乃至図6を参照して、上記の機能を実現するために、本実施形態においてECU40が実行する具体的な処理の内容を説明する。
図3は、ECU40が、上記の機能を実現するために実行するメインルーチンのフローチャートである。このルーチンは、車両のイグニッションスイッチ(IG)がONとされている間中、所定の時間間隔で繰り返し起動されるものとする。
図3に示すルーチンが起動されると、先ず、始動パージ条件の成否が判断される(ステップ100)。始動パージ条件は、内燃機関10を、キャニスタ28に捕獲されている蒸発燃料により始動させるべき状況下で成立する条件である。具体的には、この条件は、キャニスタ28に十分な蒸発燃料量が吸着されている状況下で内燃機関10が冷間始動されるような場合に成立が認められる。
始動時パージ条件の成立が認められた場合は、次に、クランク角カウンタCCRNKの計数値が−1以下であるかが判別される(ステップ102)。クランク角カウンタCCRNKは、上述した通り、気筒判別信号が生成された時点で0°CA対応値(0)、或いは360°CA対応値(12)に設定される。そして、この計数値CCRNKは、気筒判別信号の生成が認められるまでは、−1に維持される。このため、本ステップ102の処理は、気筒判別信号が未発生か否かを判断しているのと等価である。
スタータがONとされた後、気筒判別信号が生成されるまでの間は、上記ステップ102において、CCRNK≦−1の成立が認められる。この場合は、次に、クランク角非同期パージの実行時間TPGSTが算出される(ステップ104)。ECU40は、ステップ104の枠中に示すように、冷却水温THWとの関係で非同期パージの実行時間TPGSTを定めたマップを記憶している。このマップは、冷却水温THWが低いほど非同期パージの実行時間TPGSTが長くなるように定められている。
内燃機関10のフリクションは、冷却水温THWが低いほど大きくなる。このため、内燃機関10は、冷却水温THWが低いほど始動し難くなる。また、内燃機関10においては、冷却水温THWが低いほど、ISC開度を開けてアイドル空気量を増量させる等の制御が行われる。そして、アイドル空気量が多量になるほど、始動時の吸気管圧力MVは負圧化し難くなり、その結果、蒸発燃料のパージが生じ難くなる。
上記ステップ104の処理によれば、冷却水温THWが低いほど、クランク角非同期パージの実行時間TPGSTを長期化して、蒸発燃料がパージされ易い状況を作り出すことができる。このため、本実施形態のシステムによれば、始動時の冷却水温THWに関わりなく、常に適量の蒸発燃料がパージされるように、非同期パージの実行時間TPGSTを適切に設定することができる。
図3に示すルーチンでは、次に、♯1〜♯4気筒のD-VSV26が同時に開弁状態とされる(ステップ106)。ECU40は、このルーチンとは別に、実行時間TPGSTが経過した時点で全てのD-VSV26を閉じる処理を実行する。これらの処理によれば、始動パージ条件の成立が認められた後、即座にクランク角非同期パージを開始し、その後、実行時間TPGSTが経過した時点でクランク角非同期パージを終了させることができる。
内燃機関10の始動後、気筒判別信号が生成されると、クランク角カウンタCCRNKに0または12がセットされる。このセットがなされると、以後、ステップ102では、CCRNK≦−1の不成立が判定される。この場合、始動パージ制御、すなわち、クランク角同期パージのための制御の実行が指令される(ステップ108)。この処理が実行されると、以後、後述するクランク角同期パージの制御が開始される。
クランク角同期パージが開始された後、更に時間が経過すると、やがて、内燃機関10の暖機が十分に進んで、始動パージの必要性が消滅する。この必要性が消滅すると、ステップ100において、始動パージ条件の成立が否定され、通常の燃料噴射制御の開始が指令される(ステップ110)。この処理が実行されると、以後、燃料噴射弁22を用いた通常の運転制御が開始される。
図4は、クランク角同期パージを実現するためにECU40が実行する処理の詳細を説明するためのフローチャートである。このルーチンは、クランク角センサ46からパルス信号が発せられる毎に、つまり、クランク軸が30°CA回転する毎に繰り返し起動されるものとする。
図4に示すルーチンが起動されると、先ず、♯4気筒が吸気上死点に到達しているか否かが判別される(ステップ120)。今回の処理サイクルにおいて、♯4気筒に対応する気筒判別信号が発せられていた場合は、本ステップ120の判別が肯定される。この場合は、クランク角カウンタCCRNKが0とされ(ステップ122)、次いで、気筒判別フラグFTDCに1がセットされる(ステップ124)。
一方、上記ステップ120において、♯4気筒が吸気上死点に達していないと判別された場合は、次に、♯1気筒が吸気上死点に達しているか否かが判別される(ステップ126)。具体的には、ここでは、♯1気筒に対応する気筒判別信号が生成されているか否かが判別される。その結果、上記の判断が肯定された場合は、クランク角カウンタCCRNKに12がセットされた後(ステップ127)、ステップ124の処理が実行される。
上記ステップ126において、♯1気筒が吸気上死点に達していないと判断された場合は、次に、気筒判別フラグFTDCに1がセットされているかが判断される(ステップ128)。気筒判別フラグFTDCは、内燃機関10の始動時に、イニシャル処理により0とされている。このため、内燃機関10の始動後、未だ一度も気筒判別信号が発生していない間は、FTDCに0がセットされている。この場合は、本ステップ128の判断が否定され、クランク角カウンタCCRNKに−1がセットされ(ステップ130)、次いで、吸気回数がクリアされた後(ステップ132)、今回の処理サイクルが終了される。
一方、気筒判別の終了後に本ルーチンが起動された場合は、上記ステップ128において、FTDC=1の成立が認められる。この場合は、クランク角カウンタCCRNKのインクリメント処理が行われる(ステップ134)。
図4に示すルーチンでは、上記ステップ124の処理、或いは上記ステップ134の処理に続いて、現在のクランク角が、何れかの気筒の吸気タイミングと一致しているか、つまり、何れかの気筒が吸気上死点に達する角度と一致しているかが判別される(ステップ136)。
ECU40は、具体的には、クランク角カウンタCCRNKが0,6,12および18の何れかと一致している場合に「吸気タイミング」の判断を肯定する。例えば、気筒判別信号が初めて発せられた時点(CCRNK=0または12)では、この判断が肯定される。この判断が肯定された場合は、次に、吸気気筒の気筒番号が算出される(ステップ138)。ECU40は、気筒毎に、吸気上死点に対応するクランク角カウンタCCRNKの値を記憶している。ここでは、その記憶に従って、ステップ138の枠中に示すように、現在のCCRNKに対応する吸気気筒番号が算出される。
次に、吸気回数カウンタがインクリメントされる(ステップ140)。吸気回数カウンタは、気筒判別後に生じた吸気の回数を計数するためのカウンタであり、内燃機関10の始動時に、イニシャル処理により0とされている。このため、吸気回数カウンタは、初めての吸気タイミングが認識された時点で、つまり、♯4または♯1気筒に対応する初めての気筒判別信号が生成された時点で1とされる。
図4に示すルーチンでは、次に、今回の吸気タイミングが初めてのタイミングであるかが判別される(ステップ142)。具体的には、吸気回数カウンタが1であるかが判別される。その結果、初めての吸気タイミングであるとの判別が得られた場合は、クランク角同期パージを開始するための準備、並びに上述した補正パージを実現するための一連の処理が実行される。
ここでは、先ず、今回の始動パージにおいて用いるべきマップの番号が設定される(ステップ144)。個々の気筒に対して設定するべきクランク角同期パージの実行時間TPGは、クランク角非同期パージの実行時間TPGSTと同様に、冷却水温THWが低いほど長時間とすることが適切である。このため、ECU40は、同期パージの実行時間TPGを定めるためのマップを、冷却水温THWをパラメータとして複数記憶している。ECU40は、また、ステップ144の枠中に示すように、特定の冷却水温領域と、その領域において適合されたマップの番号との関係を定めた番号設定マップを記憶している。本ステップ144では、その番号設定マップに従って、現在の冷却水温THWに適合するマップの番号が読み出される。
次に、パージ時間TPGの設定マップが選択される(ステップ146)。ECU40は、クランク角同期パージの実行時間TPGを、その同期パージの実行回数との関係で定めたマップを記憶している。このマップは、冷却水温THWをパラメータとして、複数準備されている。ステップ146では、それらのマップの中から、上記ステップ144で設定された番号の付されたものが、今回の始動パージで用いるべきマップとして選択される。ステップ146の枠中に示すマップは、上記の処理により選択されたマップである。
本実施形態のシステムは、図2(C)に示すように、気筒判別直前吸気気筒(♯3気筒)に対して初回のクランク角同期パージ54を実行し、その後、他の気筒に対して順次クランク角同期パージ56,58,60・・を実行する。機関回転数NEは、初回のクランク角同期パージ54の実行時期と同時期に立ち上がり始め、その後、クランク角同期パージの実行回数と対応するように上昇する。また、機関回転数NEの立ち上がりに応じて、吸気管圧力MVの負圧化が進行する。そして、吸気管圧力MVの負圧化が進むに従って、単位時間あたりのパージ流量が増加する。このため、クランク角同期パージの実行時間TPGは、パージ回数の増加に合わせて徐々に短縮することが適切である。
本実施形態において用いられる実行時間TPGのマップは、ステップ146の枠中に示すように、「パージ回数+1」との関係で設定されている。ここで「パージ回数」とは、既に実行されたクランク角同期パージの回数を意味している。従って、「パージ回数+1」は、例えば初回のクランク角同期パージを実行するべきタイミングでは「1」、2回目のクランク角同期パージを実行するべきタイミングでは「2」、第N回目のクランク角同期パージを実行するべきタイミングでは「N」となる。
上記のマップによれば、実行時間TPGは、「パージ回数+1」の増加に伴って減少し、やがて最小値に収束する。このため、上記のマップによれば、機関回転数NEの立ち上がりと共に吸気管圧力MVの負圧化が進む過程で、常に適切に実行時間TPGを設定することができる。
図4に示すルーチンでは、次に、パージ進角量CRNKPGの設定マップが選択される(ステップ148)。本実施形態のシステムでは、個々の気筒でクランク角同期パージを開始するクランク角CRNKPGSを、その気筒で吸気行程が開始されるクランク角から、パージ進角量CRNKPGだけ進角させた角度に設定することとしている。ECU40は、実行時間TPGの場合いと同様に、パージ進角量CRNKPGについても、冷却水温THWをパラメータとして設定した複数のマップを記憶している。本ステップ148では、それらのマップの中から、上記ステップ144で設定された番号の付されたものが、今回の始動パージで用いるべきマップとして選択される。ステップ148の枠中に示すマップは、上記の処理により選択されたマップである。
上述した通り、クランク角同期パージのパージ時間TPGは、パージの実行回数が増えるに従って短縮される。クランク角同期パージは、対応する気筒での吸気行程が終わる前に終了させておくことが必要である。このため、パージの実行時間TPGが長ければ、パージ進角量CRNKPGも大きくしておく必要がある。
本実施形態において用いられるパージ進角量CRNKPGのマップは、実行時間TPGのマップと同様に、「パージ回数+1」が増えるに従ってパージ進角量CRNKPGが小さくなるように設定されている。このため、上記のマップによれば、実行時間TPGの長さに対応した適切なパージ進角量CRNKPGを設定することが可能である。
図4に示すルーチンでは、次に、クランク角同期パージの開始気筒STPGが設定される(ステップ150)。ここでは、現時点で(つまり、気筒判別時に)吸気上死点にある気筒から、3行程遅れて吸気行程を開始する気筒、つまり、気筒判別信号の発生直前に吸気行程を行っていた気筒がパージの開始気筒STPGとされる。具体的には、現時点で♯4気筒が吸気上死点にある場合は♯3気筒が、また、現時点で♯1気筒が吸気上死点にある場合は♯2気筒が、それぞれ開始気筒STPGとされる。
上記の処理により設定される開始気筒STPGは、気筒判別信号が発生した時点で、既に吸気ポートから、クランク角非同期パージの影響が排除されている気筒である。クランク角同期パージをこの気筒から開始することとすれば、全ての気筒において、クランク角非同期パージとの干渉を避けつつ、クランク角同期パージを実行することが可能である。
尚、ECU40は、本ルーチンとは別に、クランク角と同期してD-VSV26を開閉させるためのルーチンを実行している(その詳細は後に図5を参照して説明する)。ECU40は、そのルーチンを実行することにより、上記の開始気筒STPGからクランク角同期パージを開始することができる。
図4に示すルーチンでは、次に、パージ不足の気筒に対する補正パージが実行される(ステップ152)。つまり、気筒判別直後吸気気筒(図2における♯2)、および不完全吸入気筒(図2における♯1)に対する補正パージが実行される。
図5は、上記ステップ152において実行される一連の処理の内容を説明するためのフローチャートである。図5に示すように、ここでは、先ず、クランク角カウンタCCRNKの現在値が0であるかが判別される(ステップ160)。CCRNK=0の成立が認められた場合は、♯4気筒が気筒判別気筒であると判断できる。この場合、更に、♯2気筒が気筒判別直後吸気気筒であり、♯1気筒が不完全吸入気筒であると判断できる。
上記の判断がなされた場合は、次に、♯2気筒(気筒判別直後吸気気筒)に対する補正パージ時間♯2Tが算出される(ステップ162)。ステップ162の枠中に示すように、ECU40は、気筒判別時間との関係で補正パージ時間♯2Tを定めたマップを記憶している。このマップによれば、補正パージ時間♯2Tは、気筒判別時間、つまり、気筒判別に要した時間が短いほど長い時間に設定される。
気筒判別時間が短い場合は、スタータがONとされた後、クランク軸が僅かに動いた段階で気筒判別が終了したと推定できる。この場合、気筒判別の終了時点で、吸気管圧力MVが大気圧近傍値に維持されていることが予測される。つまり、この場合は、クランク角非同期パージによる蒸発燃料の供給量が、不足している可能性が高いと判断できる。上記ステップ162の処理によれば、このような場合に、補正パージ時間♯2Tを長期化することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、クランク角非同期パージによる蒸発燃料量の不足分を、補正パージにより適切に補償することができる。
上記の処理が終わると、ECU40は、♯2気筒のD-VSV26に対する出力処理を実行する(ステップ164)。ここでは、具体的には、♯2気筒のD-VSV26に対して、補正パージ時間♯2Tの開弁を要求する信号が供給される。その結果、♯2気筒において、蒸発燃料の不足分を補う補正パージが実現される。
図5に示すルーチンでは、次に、♯1気筒(不完全吸入気筒)に対する補正パージ時間♯1Tが算出される(ステップ166)。ステップ166の枠中に示すように、ECU40は、気筒判別時間との関係で補正パージ時間♯1Tを定めたマップを記憶している。このマップによれば、補正パージ時間♯1Tは、補正パージ時間♯2Tを設定する際の理由と同じ理由で、気筒判別時間が短いほど長い時間に設定される。
不完全吸入気筒については、クランク角非同期パージによる蒸発燃料の一部が排気系に排出されることから、既述した通り、気筒判別直後吸気気筒に比して多くの補正パージが要求される。この要求に対応して、補正パージ時間♯1Tのマップは、補正パージ時間♯2Tのマップに比して、全体的に長時間方向にシフトしている。このため、ステップ166の処理によれば、不完全吸入気筒に対して、適切な補正パージを施すことができる。
上記の処理が終わると、ECU40は、♯1気筒のD-VSV26に対する出力処理を実行する(ステップ168)。ここでは、具体的には、♯1気筒のD-VSV26に対して、補正パージ時間♯1Tの開弁を要求する信号が供給される。その結果、♯1気筒において、蒸発燃料の不足分を補う補正パージが実現される。
図5に示すルーチン中、上記ステップ160において、CCRNK=0の不成立が認められた場合は、♯1気筒が気筒判別気筒であると判断できる。この場合、更に、♯3気筒が気筒判別直後吸気気筒であり、♯4気筒が不完全吸入気筒であると判断できる。
上記の判断がなされた場合は、以後、♯3気筒(気筒判別直後吸気気筒)および♯4気筒を対象として、上述したステップ162〜168の処理と同様の処理が実行される(ステップ170〜176)。その結果、♯3気筒および♯4気筒のそれぞれにおいて、蒸発燃料の不足分を補う適正な補正パージが実現される。
上述したステップ138〜152の処理(図4参照)、およびステップ160〜176の処理(図5参照)は、内燃機関10の始動後、気筒判別信号が初めて発生した時点で一連の処理として実行される。次回以降クランク角センサ46がパルス信号を発生する際には、図4に示すルーチンにおいて、ステップ136の条件、或いはステップ142の条件が否定される。
上記ステップ136の条件、或いはステップ142の条件が否定された場合は、パージ量(クランク角同期パージの実行時間TPG)と、パージの開始タイミング(開始クランク角CRNKPGS)とが設定される(ステップ180)。具体的には、先ず、上記ステップ146において選択されたマップと、現時点での実行済パージ回数とに基づき、次回のクランク角同期パージに適用するべき実行時間TPGが算出される。次に、上記ステップ148において選択されたマップと、現時点での実行済パージ回数とに基づき、次回のクランク角同期パージに適用するべきパージ進角量CRNKPGが算出される。
上記の処理が終わると、次回のクランク角同期パージの開始クランク角CRNKPGSが設定される(ステップ182)。ここでは、先ず、そのパージを行うべき気筒の吸気クランク角(吸気CRNK)が読み出される。次いで、その吸気CRNKを、上記のパージ進角量CRNKPGだけ進角させた値が、パージ開始クランク角CRNKPGSとして設定される。
次に、クランク角同期パージを実現するために、つまり、D-VSV26を現実に開閉させるためにECU40が実行する具体的処理の内容について説明する。
図6は、上記の目的でECU40が実行するルーチンのフローチャートである。図6に示すルーチンは、クランク角センサ46がパルス信号を発する毎に起動されるものとする。このルーチンが起動されると、先ず、クランク角カウンタCCRNKの計数値が、パージ開始クランク角CRNKPGSと一致するか否かが判別される(ステップ190)。
その結果、CCRNK=CRNKPGSの不成立が認められた場合は、クランク角同期パージの開始が要求されていないと判断され、速やかに今回の処理サイクルが終了される。一方、CCRNK=CRNKPGSの成立が認められた場合は、クランク角同期パージを実行するための処理が進められる。
ここでは、先ず、クランク角同期パージの実行回数がインクリメントされる(ステップ192)。次に、今回の同期パージが初めての同期パージであるか、具体的には、同期パージの実行回数が「1」であるかが判別される(ステップ194)。
今回のパージが初回の同期パージであると判断された場合は、パージの対象が、上記ステップ150において設定された開始気筒STPGとされる(ステップ196)。次いで、その開始気筒STPGのD-VSV26が開弁される(ステップ198)。ECU40は、以後、上記ステップ180の処理により設定されている実行時間TPGが経過した時点でD-VSV26を閉弁させる。以上の処理によれば、開始気筒STPGにおいて、パージ開始クランク角CRNKPGSから実行時間TPGに渡って、クランク角同期パージが実行される。
上述したステップ180および182の処理(図4参照)によれば、クランク角同期パージが実行される毎に、パージの実行時間TPGと開始クランク角CRNKPGSは、次回のパージに適用するべき値に書き換えられる。そして、クランク角カウンタCCRNKの計数値が、新たに書き換えられた開始クランク角CRNKPGSと一致すると、図6に示すステップ190の条件が成立し、再びステップ192以降の処理が実行される。
今度は、ステップ194の条件が不成立となるため、その処理に続いてステップ200の処理が実行される。ここでは、現在記憶されているパージ気筒に対して、1行程だけ遅れた気筒が新たなパージ対象として設定される。以後、新たにパージ対象とされた気筒のD-VSV26を対象として、ステップ198の処理が実行される。以上の処理が繰り返し実行されることにより、個々の気筒で順次適切にクランク角同期パージが実行される。その結果、本実施形態のシステムによれば、内燃機関10を、極めて良好に始動させることができる。
尚、上述した実施の形態1においては、D-VSV26が前記第1の発明における「パージ制御弁」に、クランク角センサ46が前記第1の発明における「気筒判別信号発生手段」にそれぞれ相当している。また、ここでは、ECU40が、ステップ106の処理を実行することにより前記第1の発明における「非同期パージ制御手段」が、ステップ160〜176の処理を実行することにより前記第1の発明における「補正パージ制御手段」が、それぞれ実現されている。
また、上述した実施の形態1においては、ECU40が、ステップ150の処理を実行することにより、前記第5の発明における「初パージ気筒設定手段」が、ステップ180および182、並びにステップ190〜198の処理を実行することにより前記第5の発明における「同期パージ制御手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態2.
[実施の形態2の特徴]
次に、図7乃至図9を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。本実施形態のシステムは、実施の形態1のシステムにおいて、ECU40に、図3に示すステップ104および106に代えて、後述する図8に示す一連の処理を実行させることにより実現することができる。
図7は、本実施形態のシステムの動作を説明するためのタイミングチャートである。図7に示すタイミングチャートは、クランク角非同期パージに対応する白抜き矢印が、断続的なものとして描かれている点を除き、図2に示すタイミングチャートと同様である。
上述した実施の形態1では、内燃機関10の始動が開始された後、実行時間TPGSTに渡り、継続的にクランク角非同期パージが実行される。つまり、実行時間TPGSTに渡って継続的にD-VSV26が開弁状態とされる。この場合、吸気ポートに流入するパージガスの流れが安定したものとなり、蒸発燃料が、必ずしも良好に吸入空気と混合されない。
これに対して、クランク角非同期パージを断続的に行うこととすれば、パージガスの流れに乱れが生じ、蒸発燃料と吸入空気との混合を促進することができる。本実施形態のシステムは、以上の理由から、図7(C)に示すように、クランク角非同期パージを断続的に進行させることとした。
[実施の形態2における具体的処理]
図8は、上記の機能を実現するために、本実施形態においてECU40が実行するルーチンのフローチャートである。このルーチンは、スタータがONとされるのと同時に起動され、以後、所定の時間間隔で繰り返し起動されるものとする。
図8に示すルーチンが起動されると、先ず、周期カウンタTSYUKがインクリメントされる(ステップ210)。次に、TSYUKが、周期判定値KSYUK以上であるかが判別される(ステップ212)。
本実施形態のシステムは、上述した通り、D-VSV26を断続的に開弁させることによりクランク角非同期パージを進行させる。上記の周期判定値KSYUKは、その際にD-VSV26を開閉させる1周期の時間に対応する値である。一方、周期カウンタTSYUKには、イニシャル処理により最大値(KSYUK以上の値)がセットされる。このため、内燃機関10の始動後、上記ステップ212の処理が初めて実行される際には、TSYUK≧KSYUKの成立が認められる。
TSYUK≧KSYUKの成立が認められた場合は、D-VSV26の新たな駆動周期の開始時期が到来したと判断される。この場合、先ず、周期カウンタTSYUKが0にリセットされ(ステップ214)、次いで、非同期パージの実行回数CPGSTがインクリメントされる(ステップ216)。CPGSTの値はイニシャル処理により0とされている。このため、その値CPGSTは、スタータONの後、現実に実行された非同期パージの実行回数と一致する。
図8に示すルーチンでは、次に、非同期パージの実行回数CPGSTが、ガード回数KCST以上であるかが判別される(ステップ218)。ガード回数KCSTは、クランク角非同期パージの実行回数に課したガード値である。実行回数CPGSTがガード回数KCST以上であると判断された場合は、過大パージを避けるため、以後、D-VSV26が開かれることなく、速やかに本ルーチンが終了される。
一方、実行回数CPGSTがガード回数KCSTより小さいと判断された場合は、更に、積算パージ時間TSPGSTが、ガード時間KTST以上であるかが判別される(ステップ220)。積算パージ時間TSPGSTは、内燃機関の始動以降、クランク角非同期パージが実行された期間を積算した値である。一方、ガード時間KTSTは、クランク角非同期パージの実行時間に課したガード値である。積算時間TSPGSTがガード時間KTST以上であると判断された場合は、過大パージを避けるため、以後速やかに本ルーチンが終了される。
積算パージ時間TSPGSTが、未だガード時間KTSTに達していないと判断された場合は、♯1〜♯4気筒のD-VSV26が同時に開弁状態とされる(ステップ222)。ECU40は、このルーチンとは別に、実行時間TPGSTが経過した時点で全てのD-VSV26を閉じる処理を実行する。本実施形態において、実行時間TPGSTは、周期判定値KSYUKより短い適当な値に設定されている。このため、上記の処理によれば、全てのD-VSV26を、KSYUKの周期中に、1度だけ開閉させることができる。
上記の処理が終わると、次に、現在の積算パージ時間TSPGSTに、実行時間TPGSTを加えることにより、積算パージTSPGSTの更新処理が行われる(ステップ224)。上記の処理によれば、クランク角非同期パージが1回実行される毎に、積算パージ時間TSPGSTを実行時間TPGSTだけ伸ばすことにより、その値を適切に更新することができる。
上記ステップ222および224の処理が実行された後、周期判定値KSYUKに対応する時間が経過するまでは、図8に示すルーチンが起動される毎にステップ212で条件不成立の判定がなされる。この場合、以後、何ら処理が進められることなく今回の処理が終了される。そして、周期判定値KSYUKに対応する時間が経過すると、再び、上記ステップ218以降の処理が繰り返される。
その結果、本実施形態のシステムによれば、パージ回数がガード回数KCSTに達するまで、或いは、積算パージ時間がガード時間KTSTに達するまで、クランク角同期パージを断続的に進めることができる。
上記図8に示す一連の処理は、周期判定値KSYUKや実行時間TPGSTなどを一定値として実行することが可能である。しかしながら、内燃機関10の状態に合わせてそれらの値を適宜変化させることとすれば、クランク角非同期パージの制御精度をより高めることが可能である。
図9は、上記の観点より、本実施形態において、ECU40が実行するルーチンのフローチャートである。このルーチンは、内燃機関10の始動直後に、上記図8に示すルーチンの起動に先立って、1度だけ実行されるものとする。
図9に示すルーチンでは、先ず、周期判定値KSYUKが算出される(ステップ230)。ECU40は、ステップ230の枠中に示すように、冷却水温THWとの関係で周期判定値KSYUKを定めたマップを記憶している。ここでは、このマップに従って、周期判定値KSYUKが設定される。このマップによれば、周期判定値KSYUKは、冷却水温THWが低いほど大きな値に設定される。内燃機関10においては、低温時ほどISC開度が大きくなり、その結果、吸気負圧が発生し難くなる。吸気管圧力MVが負圧化し難い環境下で、蒸発燃料を安定的にパージするためには、クランク角非同期パージの周期は大きい方が望ましい。本ステップ230の処理によれば、その要求に適合するように周期判定値KSYUKを設定することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、始動時の温度環境に影響されることなく、内燃機関に対して常に安定的に蒸発燃料を供給することができる。
図9に示すルーチンでは、次に、ガード回数KCSTが算出される(ステップ232)。ECU40は、ステップ232の枠中に示すように、冷却水温THWとの関係でガード回数KCSTを定めたマップを記憶している。ここでは、このマップに従って、ガード回数KCSTが設定される。このマップによれば、ガード回数KCSTは、冷却水温THWが低いほど大きな値に設定される。内燃機関10においては、低温時ほど、ISC開度の影響でパージ流量が確保し難くなると共に、フリクションの影響で始動に必要とされる燃料量が増加する。このため、クランク角非同期パージのガード回数KCSTは、始動時の冷却水温THWが低いほど、大きな値とすることが適切である。本ステップ232の処理によれば、その要求に適合するようにガード回数KCSTを設定することが可能である。
図9に示すルーチンでは、次に、クランク角非同期パージの1回当たりの実行時間TPGSTが設定される(ステップ234)。ECU40は、ステップ234の枠中に示すように、冷却水温THWおよびISC開度との関係で実行時間TPGSTを定めたマップを記憶している。ここでは、このマップに従って、実行時間TPGSTが設定される。このマップによれば、1回当たりの実行時間TPGSTは、冷却水温THWが低いほど、また、ISC開度が大きいほど、大きな値に設定される。冷却水温THWが低く、また、ISC開度が大きい状況下で、始動に必要な蒸発燃料を適切にパージさせるためには、1回当たりの実行時間TPGSTを大きく確保することが適切である。本ステップ234の処理によれば、その要求に適合するように実行時間TPGSTを設定することが可能である。
図9に示すルーチンでは、次に、ガード時間KTSTが算出される(ステップ236)。ECU40は、ステップ236の枠中に示すように、冷却水温THWとの関係でガード時間KTSTを定めたマップを記憶している。ここでは、このマップに従って、ガード時間KTSTが設定される。このマップによれば、ガード時間KTSTは、冷却水温THWが低いほど大きな値に設定される。内燃機関10においては、低温時ほど、必要な蒸発燃料量をパージさせるのに必要な総パージ時間は長期化する。本ステップ236の処理によれば、その要求に適合するようにガード時間KTSTを定めることができる。
以上説明した通り、図9に示すルーチンによれば、内燃機関10の始動時の状態に応じて、周期判定値KSYUK、1回当たりのクランク角非同期パージの実行時間TPGST、クランク角非同期パージのガード回数KCSTおよびガード時間KTSTを、それぞれ適切な値に設定することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、蒸発燃料の混合を促進し得るという効果に加えて、蒸発燃料の供給精度を向上し得るという効果をも得ることができる。
尚、上述した実施の形態2においては、ECU40が、ステップ222の処理を実行することにより前記第1の発明における「非同期パージ制御手段」が実現されている。
実施の形態3.
[実施の形態3の特徴]
次に、図10および図11を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。本実施形態のシステムは、実施の形態2のシステムにおいて、ECU40に、図8に示す一連の処理に代えて、後述する図11に示す処理を実行させることにより実現することができる。
図10は、本実施形態のシステムの動作を説明するためのタイミングチャートである。図10に示すタイミングチャートは、断続的に進められるクランク角非同期パージの初回対応する白抜き矢印が、他の矢印に比して長期化されている点を除き、図7に示すタイミングチャートと同様である。
上述した実施の形態2では、内燃機関10の始動が開始された後、クランク角非同期パージが同じ周期で継続的に実行される。ところが、内燃機関10の始動時には、吸気系の全体が、大気圧の空気で満たされている。そして、その空気に流れが生まれることにより、ISC開度に応じた吸入空気が流通し始める。このような状況下で始動に適した混合気を作り出すには、始動の直後にある程度多量の蒸発燃料を吸気系に供給し、その後、吸入空気が流通し始めた段階で、吸入空気の流通量に合わせて蒸発燃料の供給率を下げることが適切である。
そこで、本実施形態のシステムは、図10(C)に示すように、初回のクランク角非同期パージの実行時間TPGSTを、その後のパージの実行時間TPGSTに比して、十分に長く設定することとした。このような設定によれば、内燃機関10の始動直後に吸気系に流れ込む蒸発燃料量を実施の形態2の場合に比して増やして、上記の要求に沿った状況を作り出すことができる。
[実施の形態3における具体的処理]
図11は、上記の機能を実現するために、本実施形態においてECU40が実行するルーチンのフローチャートである。このルーチンは、ステップ210の後に、ステップ240〜248が追加されている点を除いて、図8に示すルーチンと同様である。以下、図11に示すステップのうち、図8に示すステップと同一のものについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
図11に示すルーチンでは、ステップ210において周期カウンタTSYUKがインクリメントされた後、開始カウンタCSTのインクリメントが行われる(ステップ240)。次に、開始カウンタCSTの計数値が、初回周期判定値KST以上であるかが判別される(ステップ242)。
開始カウンタCSTは、イニシャル処理により0とされている。一方、初回周期判定値KSTは、クランク角非同期パージの全実行期間の半分程度(例えば、03sec程度)に設定されている。このため、内燃機関10の始動が開始された直後は、CST≧KSTが成立しないと判断される。この場合は、次に、初回パージ実行済フラグXPGSTに1がセットされているか否かが判断される(ステップ244)。
初回パージ実行済フラグXPGSTは、イニシャル処理により0とされている。このため、内燃機関10の始動直後は、XPGST=1が成立しないと判断される。この場合、先ず、そのフラグXPGSTに1がセットされ(ステップ246)、次いで、クランク角非同期パージの実行時間TPGSTが初回実行時間KST1に置き換えられる(ステップ248)。以後、ステップ222および224の処理が実行されることにより、初回のクランク角非同期パージが実現される。
実行時間TPGSTは、通常時には実施の形態2の場合と同様の値に設定されている。上記ステップ248において用いられる初回実行時間KST1は、初回周期判定値KSTに比して僅かに短く、かつ、その通常の設定値に比して十分に長い時間である(例えば、0.25sec)。このため、上記の処理によれば、初回のクランク角非同期パージの実行時間を、実施の形態2の場合に比して十分に延長することができる。
初回周期判定値KSTに対応する時間が経過するまでは、本ルーチンが起動される毎に、ステップ242を経て、ステップ244の処理が実行される。今度は、ステップ244において、XPGST=1の成立が認められるため、実質的には何ら処理が実行されることなく本ルーチンが終了される。
初回周期判定値KSTに対応する時間が経過した後は、ステップ242において、CST≧KSTの成立が認められる。この場合、以後、実施の形態2の場合と同様に、ステップ212〜224の処理が実行される。この際、D-VSV26は、実行時間TPGSTは通常の設定値が用いられる。その結果、実施の形態2の場合と同じ実行時間TPGSTでの断続的なクランク角非同期パージが繰り返される。
以上の処理によれば、内燃機関10の始動直後には、比較的長期に渡ってクランク角非同期パージを継続して、蒸発燃料を迅速に吸気系に供給することができる。また、吸入空気が流通し始めた段階では、パージの断続頻度を高めて、燃料混合の促進を優先することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、内燃機関10に対して優れた始動性を付与することができる。
尚、上述した実施の形態3においては、ECU40が、ステップ224の処理を実行することにより前記第6または第8の発明における「制御手段」が、ステップ248の処理を実行することによりと前記第6または第8の発明における「設定手段」が、それぞれ実現される。
実施の形態4.
[実施の形態4の特徴]
次に、図12および図13を参照して、本発明の実施の形態4について説明する。本実施形態のシステムは、実施の形態1のシステムにおいて、ECU40に、図3に示すルーチンに代えて図13に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
図12は、本実施形態のシステムの動作を説明するためのタイミングチャートである。図12に示すタイミングチャートは、クランク角非同期パージの開始時期が遅延されている点を除き、図2に示すタイミングチャートと同様である。
上述した実施の形態1乃至3では、内燃機関10の始動が開始された直後にクランク角非同期パージを開始することとしている。不完全吸入気筒(図2における♯1気筒)では、内燃機関10の始動が開始されるのと同時に吸気行程が開始される。そして、その吸気行程で吸入された蒸発燃料は、既述した通り、燃焼に付されることなく排気系に排出される。
このようにして排出される蒸発燃料の量は、エミッション特性を改善する観点からは少ないことが望ましい。つまり、良好なエミッション特性を得るためには、始動直後の吸気行程で不完全吸入気筒に吸い込まれる蒸発燃料量は少ないことが望ましい。そして、その蒸発燃料量は、内燃機関10の始動が開始された後、クランク角同期パージにより蒸発燃料がパージされ始める時期が遅延されるほど少量とすることができる。そこで、本実施形態では、内燃機関10の始動後、予め設定した所定の遅延期間の間は、クランク角非同期パージの実行を禁止することとした。
[実施の形態4における具体的処理]
図13は、上記の機能を実現するために、本実施形態においてECU40が実行するルーチンのフローチャートである。このルーチンは、ステップ102の後に、ステップ250が挿入されている点を除いて、図3に示すルーチンと同様である。以下、図13に示すステップのうち、図3に示すステップと同一のものについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
図13に示すルーチンでは、ステップ102において、CCRNK≦−1の成立が認められた場合に、つまり、気筒判別信号の未発生が判断された場合に、開始カウンタCSTの計数値が、禁止期間KST02以上であるかが判別される(ステップ250)。そして、計数値CSTが禁止期間KST02に達していないと判別された場合は速やかに今回の処理が終了され、CSTが禁止期間KST02に達していると判別された場合にのみ、クランク角非同期パージが実行される(ステップ104,106)。
禁止期間KST02は、不完全吸入気筒における最初の吸気行程が終了する以前に終了する時間に設定されている。つまり、内燃機関10の始動と同時に開始される吸気行程の所要時間に比して短い時間に設定されている。より具体的には、禁止期間KST02は、その終了と共にD-VSV26が開弁され、その結果吸気マニホールド16内に蒸発燃料が現実に流入し始める時期が、不完全吸入気筒における最初の吸気行程の終了時期と一致するように設定されている。
上記の設定によれば、クランク角非同期パージによる蒸発燃料が、最初の吸気行程で不完全吸入気筒に吸入されるのを十分に阻止することができる。また、上記の設定によれば、クランク角非同期パージの開始が遅延されることにより、気筒判別直前吸気気筒(図12における♯3気筒)に供給される蒸発燃料量が減少するのを有効に防ぐことができる。このため、本実施形態のシステムによれば、内燃機関10の始動性を損なうことなく、始動時におけるエミッション特性を改善することができる。
尚、上述した実施の形態4においては、ECU40が、ステップ250の処理を実行することにより、前記第7または第9の発明における「非同期パージ禁止手段」が実現されている。
本発明の実施の形態1の構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態1の動作を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態1において実行されるメインルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態1においてクランク角同期パージを実現するために実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態1において補正パージを実現するために実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態1においてD-VSVを開閉させるために実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態2の動作を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態2において、図3に示すステップ104,106の代わりに実行される一連の処理のフローチャートである。 本発明の実施の形態2において、制御パラメータを設定するために実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態3の動作を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態3において実行されるメインルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態4の動作を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態4において実行されるメインルーチンのフローチャートである。
符号の説明
10 内燃機関
16 吸気マニホールド
24 パージ通路
26 D-VSV
28 キャニスタ
32 大気孔
40 ECU(Electronic Control Unit)
42 イグニッションスイッチ(IGスイッチ)
44 スタータスイッチ
46 クランク角センサ
48 水温センサ
MV 吸気管圧力
THW 冷却水温
NE 機関回転数
CCRNK クランク角カウンタ
TPGST クランク角非同期パージの実行時間
CRNKPGS クランク角同期パージの開始クランク角
CRNKPG パージ進角量
♯1T〜♯4T 補正パージ時間
KST1 クランク角非同期パージの初回実行時間
KST02 クランク角非同期パージの禁止時間

Claims (9)

  1. 複数の気筒を有する内燃機関に対して蒸発燃料を供給するための蒸発燃料処理装置であって、
    蒸発燃料を蓄えるキャニスタと、
    前記キャニスタを、それぞれの気筒の吸気ポートに連通させるパージ通路と、
    個々の気筒の吸気ポートと前記キャニスタの導通状態を制御するべく気筒毎に設けられたパージ制御弁と、
    内燃機関の運転中に、特定のクランク角において気筒判別信号を発生する気筒判別信号発生手段と、
    内燃機関の始動が開始された後、前記気筒判別信号が生成される前に、全ての気筒のパージ制御弁を開いてクランク角非同期パージを実行する非同期パージ制御手段と、
    前記気筒判別信号が生成された時点で、対応する吸気ポート内に未吸入の非同期パージガスが残存しており、かつ、前記気筒判別信号が生成された後吸気行程が開始されるまでの時間が判定値を超える気筒を対象として、前記パージ制御弁を開くことによる補正パージを実行する補正パージ制御手段と、
    を備えることを特徴とする蒸発燃料処理装置。
  2. 前記補正パージの対象気筒は、気筒判別信号の発生と同時に吸気行程が開始される気筒判別気筒に続いて吸気行程が開始される気筒判別直後吸気気筒を含むことを特徴とする請求項1記載の蒸発燃料処理装置。
  3. 前記補正パージの対象気筒は、前記クランク角非同期パージの実行期間と重複し、かつ、当該クランク角非同期パージの終了前に終了するように吸気行程を実行していた不完全吸入気筒を含むことを特徴とする請求項1または2記載の蒸発燃料処理装置。
  4. 前記補正パージ制御手段は、前記不完全吸入気筒に対して、他の対象気筒に比して多量の補正パージを施すことを特徴とする請求項3記載の蒸発燃料処理装置。
  5. 気筒判別信号が生成された時点で、対応する吸気ポート内に未吸入の非同期パージガスが残存していない気筒のうち、最初に吸気行程が行われる気筒をクランク同期初パージ気筒とする初パージ気筒設定手段と、
    気筒判別信号の発生後、前記クランク同期初パージ気筒から、個々の気筒のパージ制御弁をクランク角に同期させて開弁させることにより、クランク角同期パージを実行する同期パージ制御手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の蒸発燃料処理装置。
  6. 前記非同期パージ制御手段は、
    内燃機関の始動が開始された後、前記気筒判別信号が生成される前に、前記パージ制御弁が複数回開閉するように当該パージ制御弁を制御する制御手段と、
    前記複数回の初回における開弁時間を、2回目以降における開弁時間に比して長く設定する設定手段と、
    を含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の蒸発燃料処理装置。
  7. 内燃機関の始動が開始された後、所定時間は、前記クランク角非同期パージの開始を禁止する非同期パージ禁止手段を備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載の蒸発燃料処理装置。
  8. 複数の気筒を有する内燃機関に対して蒸発燃料を供給するための蒸発燃料処理装置であって、
    蒸発燃料を蓄えるキャニスタと、
    前記キャニスタを、それぞれの気筒の吸気ポートに連通させるパージ通路と、
    個々の気筒の吸気ポートと前記キャニスタの導通状態を制御するべく気筒毎に設けられたパージ制御弁と、
    内燃機関の運転中に、特定のクランク角において気筒判別信号を発生する気筒判別信号発生手段と、
    内燃機関の始動が開始された後、前記気筒判別信号が生成される前に、全ての気筒のパージ制御弁を開いてクランク角非同期パージを実行する非同期パージ制御手段とを備え、
    前記非同期パージ制御手段は、
    内燃機関の始動が開始された後、前記気筒判別信号が生成される前に、前記パージ制御弁が複数回開閉するように当該パージ制御弁を制御する制御手段と、
    前記複数回の初回における開弁時間を、2回目以降における開弁時間に比して長く設定する設定手段と、
    を含むことを特徴とする蒸発燃料処理装置。
  9. 複数の気筒を有する内燃機関に対して蒸発燃料を供給するための蒸発燃料処理装置であって、
    蒸発燃料を蓄えるキャニスタと、
    前記キャニスタを、それぞれの気筒の吸気ポートに連通させるパージ通路と、
    個々の気筒の吸気ポートと前記キャニスタの導通状態を制御するべく気筒毎に設けられたパージ制御弁と、
    内燃機関の運転中に、特定のクランク角において気筒判別信号を発生する気筒判別信号発生手段と、
    内燃機関の始動が開始された後、前記気筒判別信号が生成される前に、全ての気筒のパージ制御弁を開いてクランク角非同期パージを実行する非同期パージ制御手段と、
    内燃機関の始動が開始された後、所定時間は、前記クランク角非同期パージの開始を禁止する非同期パージ禁止手段と、
    を備えることを特徴とする蒸発燃料処理装置。
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