JP2006249799A - 木造建築物用耐震補強部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は既存建築物に対して前段取り作業や解体作業が不要で且つ簡単に後から取付けることが可能であると共に特に障子や襖の1枚分の代りに本発明品を柱などに取付けるだけの簡単な作業で壁状に形成でき、室内全体が免震可能になる木造建築物用耐震補強部材を提供することを目的とする。
【解決手段】四角形状の枠体1の各片を蝶番2で連結すると共に枠体1の各四隅に面取部1aを設け、対向する面取部1a間に筋交3をクッション材4が介在されて設ける構造とする。また枠体1にボルト用の取付穴1bを穿設すると良く、枠体1の大きさを半間用の襖或いは障子と略同一に形成して取付け、且つ枠体1の表裏面に化粧材を取付けたものとしても良い。
【選択図】図1
Description
本発明は既存の木造建築物の耐震性能を向上させるために用いる耐震補強部材に関し、特には障子や襖を開き、且つそれを取外すことによって、1つの大きな和室に形成できる木造建築物に対して、障子や襖の1枚分の代りに本発明品を柱などに簡単に取付けるだけで壁状に形成でき、室内全体が免震可能になる木造建築物用耐震補強部材に関する。
従来、木造建築物の耐震補強する場合には、既存の壁面を補強し、壁の少ない広い空間などに壁を新たに設けて間仕切りし、或いは柱の接合箇所を補強する工事が通常の方法であった。しかしながら、既存の壁面を補強する際には壁面を解体しなければならず且つ工事終了後に壁面を仕上げなければならなかった。特に障子や襖を開き、且つそれを取外すことによって、1つの大きな和室に形成できる木造建築物に対して耐震補強する場合には、予め前段取りを行い、且つ前段取り作業を終了してからでないと、耐震補強作業が行えないため、日常生活に支障を来たすと共に日数が掛かり、その工事費が高価であった。しかも、耐震補強を行う場合、骨組箇所を固定するのが一般常識であるため、従来の如く筋交を固定させて揺れを防止してしまうと、地震で生じた作用力は建物全体に加わるため、強度の弱い筋交のない窓や壁等に負担が集中して掛ってしまい、部分的な補強強度を得ることは可能であったが、免震構造とすることは難しかった。
一方、和室の真壁において筋交をバランスよく配置させ、コンパクトに収め、面材の壁材を切欠くことなく直張り出来る木造耐震用補強鋼材として特開平11−50536号が提案されている。これは、従来のホールダウン金物と従来の筋交取付用金物を一体化した鋼製の金物であり、これを使用する際は、上下の横架材の梁や土台の内側で、且つ左右の柱間に取付けると共に上下一対となって使用するものであった。
しかしながら特開平11−50536号を用い、左右の柱間に取付けて固定すると共に交差させて筋交を固定すると、左右の柱間は補強されるが、上記同様に地震で生じた作用力は建物全体に加わるため、強度の弱い筋交のない窓や壁等に負担が掛り、建築物の破損や倒壊の原因となり、免震構造とすることは困難であった。
特開平11−50536号公報
本発明は既存建築物に対して前段取り作業や解体作業が不要で且つ簡単に後から取付けることが可能である木造建築物用耐震補強部材を提供することを目的とする。
他の目的は、障子や襖で仕切られていた複数個の和室が、障子や襖を開き、且つそれを取外すことによって1つの大きな和室に形成できる木造建築物に対し、特に障子や襖の1枚分の代りに本発明品を柱などに取付けるだけの簡単な作業で壁状に形成でき、室内全体が免震可能になる木造建築物用耐震補強部材を提供するにある。
本発明は上記欠点を解消するために成されたものであり、つまり、四角形状の枠体の各片を蝶番で連結すると共に枠体の各四隅に面取部を設け、対向する面取部間に筋交をクッション材が介在されて設ける構造とする。また枠体にボルト用の取付穴を穿設すると良く、枠体の大きさを半間用の襖或いは障子と略同一に形成して取付け、且つ枠体の表裏面に化粧材を取付けたものとしても良い。更に筋交として、ロープ,チェーン,丸棒の内の1つである筋交部材と、該筋交部材の端部に連結するアイボルトとから成すもの、或いはターンバックルと、ターンバックルに螺合可能で且つ両端にネジ部を設けた一対のネジ付き丸棒とから成すものを用いても良い。
請求項1のように四角形状の枠体(1)の各片は蝶番(2)で連結されると共に枠体(1)の各四隅には面取部(1a)を設け、対向する面取部(1a)間に筋交(3)をクッション材(4)が介在されて設けることにより、従来の如き部分箇所の固定による強度補強が行われるのでなく、地震による左右の揺れに対して、枠体(1)が左右の揺れに追従して歪むと共に筋交(3)に介在させたクッション材(4)で、地震の作用力を吸収し、従来の如き強度の弱い筋交のない窓や壁等に掛る負担が激減でき、結果的に免震構造が可能となるのである。
請求項2のように枠体(1)には、柱(8),土台(9),梁(10)などに取付けるためのボルト用の取付穴(1b)を穿設することにより、枠体(1)の各片が柱(8)或いは土台(9)や梁(10)に確実に取付けられるため、大きな地震であっても枠体(1)全体が外れたり、ずれたりすることがなく確実に柱(8)に加わった力を吸収して緩衝させることが可能なものとなる。
請求項3に示すように枠体(1)を半間用の襖や障子と略同一の大きさに形成し、その表裏面に薄板や壁紙の化粧材(7)を取付けることにより、本発明品を障子や襖で仕切られていた複数個の和室の柱(8)に設置すると、障子や襖の1枚分が壁状に形成され、見た目も良く、且つ取付ける作業も従来の壁形成作業に比べ極めて簡単で、短時間に完成出来ると共にその耐震補強効果も大きなものとなる。
請求項4に示すように筋交(3)に、アイボルト(32)と筋交部材(31)のロープを用いることにより、アイボルト(32)に連結する作業が極めて簡単となると共にロープの弛み修正が簡単に行えるものとなる。また筋交部材(31)にチェーンを用いると、チェーンに適宜な遊びを持たせることが簡単であると共に地震による柱(8)の動きに対応でき、地震で生じた作用力を確実に捕らえ、クッション材(4)でその作用力の殆どを吸収させることが可能なものとなる。更に筋交部材(31)を丸棒とすることにより、筋交(3)全体が一体化するため、小さな地震が発生してもその作用力を確実に捕らえ、クッション材(4)でその作用力を吸収させることができるものとなる。
請求項5のように筋交(3)として、ターンバックル(33)と、両端にネジ部を設け且つ端部がターンバックル(33)に螺合可能である一対のネジ付き丸棒(34)とから成すものを用いることにより、筋交(3)に弾性力の付勢が可能であり、筋交(3)に遊びを持たせることも簡単であると共に任意の遊び分の調整が可能なものとなる。
図1は本発明の実施形態を示す図であり、この図に基づいて説明する。(1)は四角形状で且つ左右上下に歪んで変形が可能な枠体であり、該枠体(1)の片には、2本の縦材(11)と、2本の横材(12)とがあり、前記枠体(1)の各四隅には面取部(1a)を設けている。また縦材(11)を柱(8)に取付けるためのボルト用の取付穴(1b)を上下部に穿設し、横材(12)の中央部にはボルト用の取付穴(1b)を穿設している。この時、取付穴(1b)にはボルトの頭部が面一になるような座グリを設けておくのが良い。又、前記縦材(11)と横材(12)を貫通する筋交用取付穴(1c)が各面取部(1a)に穿設されている。また前記枠体(1)は木製の角材や金属製の角パイプ或いは形鋼などを用いると良い。更に前記枠体(1)の大きさを半間用の襖或いは障子と略同一に形成するのが好ましい。尚、図1、図2に於いて、前記面取部(1a)は横材(12)の外側に設けているが、縦材(11)と横材(12)の組合せ方を変えて縦材(11)の外側両端に面取部(1a)を設けたものとしても良い。(2)は枠体(1)の各片の両端、つまり枠体(1)の四角形状の内側四隅に設けた蝶番である。
(3)は対向する面取部(1a)間に設けた筋交であり、該筋交(3)は枠体(1)の内部を2本で交差させている。また前記筋交(3)としては、図4(a)に示すように1本のロープやチェーンの筋交部材(31)と、該筋交部材(31)の両端を連結可能にする2本のアイボルト(32)とから成るものを用いると良く、前記ロープやチェーンの材質としては、金属或いは引張力の強い合成樹脂などを用いる。図4(b)は1本の丸棒の筋交部材(31)と2本のアイボルト(32)とから成るものを用い、前記丸棒の両端には、アイボルト(32)と略同じ大きさの穴を有した連結部が設けられ、その連結部はボルト・ナット(35)で締結されている。図4(c)はターンバックル(33)と、該ターンバックル(33)と螺合させると共に他端に右ネジを設けた一対のネジ付き丸棒(34)とから成されている。(4)は筋交(3)の端部に挿入すると共に面取部(1a)に配置させたクッション材であり、該クッション材(4)としてはゴムや弾力のある合成樹脂などを用いると良く、その形状としては四角形や丸形などの厚みのあるものを複数個重ねて用いるのが好ましい。(5)はアイボルト(32)或いはネジ付き丸棒(34)のネジに螺合させるナットであり、このナット(5)を使用する時は、クッション材(4)の端部にワッシャを取付けるのが好ましい。(6)は枠体(1)を取付ける際にボルト用の取付穴(1b)から柱(8)の取付穴(8a)或いは土台(9)や梁(10)の取付穴(9a),(10a)にボルト(61)を挿入しナット(62)を螺合して締結する締結部材である(図5参照)。(7)は枠体(1)の表裏面に取付ける化粧材であり、該化粧材(7)には、枠体(1)が歪む際に追従可能である薄板や壁紙を用いると良い。
次に本発明の組立て方法について説明する。先ず始めに枠体(1)の組立てを行う。先ず縦材(11)と横材(12)を寝かせて図2に示す四角形状に組合せ、その内側の各四隅に蝶番(2)を取付ける。この場合、予め図3に示すように縦材(11)と横材(12)を蝶番(2)で連結し、折畳んだものを持込み、これを四角形状に組合せてから蝶番(2)が取付けられ、4片を連結しても良い。次に筋交(3)を枠体(1)に取付ける。この時は、アイボルト(32)或いはネジ付き丸棒(34)の一端を筋交用取付穴(1c)に挿入し、その後、面取部(1a)側からクッション材(4)を複数個挿入すると共にワッシャが介在されてナット(5)を螺合させ仮締めする。このようにして枠体(1)の4つの筋交用取付穴(1c)にもそれぞれアイボルト(32)或いはネジ付き丸棒(34)の先端を挿入し、クッション材(4)を複数個挿入すると共にワッシャが介在されてナット(5)を螺合させ仮締めしておく。次に対向するアイボルト(32)の間に、ロープ或いはチェーンの筋交部材(31)の両端を結び付けて、それを取付ける。すると筋交部材(31)は中央で交差した状態となる。その後、筋交部材(31)の張り具合をナット(5)で調整し、ナット(5)が弛まないようにロックすれば、組立て作業は完了である。一方、前記筋交部材(31)に丸棒を用いる場合には、その両端の連結部の穴とアイボルト(32)の穴を合せた後、その連結部にボルト・ナット(35)で締結させて連結すると良い。他方、ターンバックル(33)と一対のネジ付き丸棒(34)を用いる場合には、ネジ付き丸棒(34)の一端をターンバックル(33)に螺合させると共に他端を筋交用取付穴(1c)に挿入し、クッション材(4)を複数個挿入すると共にワッシャが介在されてナット(5)を螺合させ仮締めする。その後、ターンバックル(33)を回転させて弛み具合の調整を行えば良い。
次に本発明品の取付け方法について説明する。先ず始めに組立てが完了した半間用の本発明品を取付ける場所に運んでおく。先ず柱(8)に、ボルト用の取付穴(1b)が穿設された縦材(11)を押し付けて配置させる。その後、取付穴(1b)から柱(8)に向って携帯用電動ドリルなどで取付穴(8a)を開ける。そしてボルト用の取付穴(1b)側からボルト(61)を挿入し、その他端にナット(62)を螺合させて仮止めする。次に横材(12)の取付穴(1b)から土台(9)側や梁(10)側に向って取付穴(9a),(10a)を開ける。そして上記同様にボルト用の取付穴(1b)側からボルト(61)を挿入し、その他端にナット(62)を螺合させて仮止めする。この時、図6に示すように枠体(1)をかもいと敷居間に取付ける場合には、ボルト(61)を用いず、釘だけを打ち付けて取付けても良い。全てのボルト用の取付穴(1b)に締結部材(6)が取付けられたら、本締めを行うことにより取付け作業が終了する。尚、本発明品の取付け方法は、必ずしも締結部材(6)を用いず、枠体(1)が土台(9)や梁(10)との隙間が小さい時は、接着剤だけ或いは釘を併用して取付けても良い。このように本発明は既存の設備を取り壊す必要がなく、且つ従来の如き前段取り作業や解体作業が不要であると共に簡単に後から取付けることが可能となる。また見える場所の耐震補強が図6に示すように化粧材(7)を取付けておくことにより、見た目が良い壁が形成され、和室の耐震補強として最適なものとなるのである。しかも本発明品は取外すことが簡単であるため、部屋の模様替えや一時的に広くして使用したい場合にも対応出来るものとなる。
次に本発明の作用について説明する。予め図5に示すように本発明品を取付けておく。先ず始めに地震が発生すると、例えば図中の左側の柱(8)が、右に傾くと右上がりの筋交(3)に引張力が発生し、右下がりの筋交(3)に圧縮力が発生する。すると右上がりの筋交(3)の両端に設けたクッション材(4)が収縮して、柱(8)に作用する力をクッション材(4)で吸収する。又、前記柱(8)が、左に傾くと右下がりの筋交(3)に引張力が発生し、右上がりの筋交(3)に圧縮力が発生する。すると右下がりの筋交(3)の両端に設けたクッション材(4)が収縮して、柱(8)に作用する力をクッション材(4)で吸収する。この時、枠体(1)の各片は蝶番(2)で連結されているため、柱(8)や梁(10)などの動きに伴って枠体(1)が歪み、従来の如く固定された補強方法と異なり、本発明品を設置した箇所で大半の前記作用力がクッション材(4)によって吸収できるものとなる。従って、従来の如き強度の弱い筋交(3)のない窓や壁等に負担が集中して掛からず、結果的に免震構造となるのである。
1 枠体
1a 面取部
1b 取付穴
2 蝶番
3 筋交
31 筋交部材
32 アイボルト
33 ターンバックル
34 ネジ付き丸棒
4 クッション材
7 化粧材
8 柱
9 土台
10 梁
1a 面取部
1b 取付穴
2 蝶番
3 筋交
31 筋交部材
32 アイボルト
33 ターンバックル
34 ネジ付き丸棒
4 クッション材
7 化粧材
8 柱
9 土台
10 梁
Claims (5)
- 四角形状の枠体(1)の各片は蝶番(2)で連結されると共に前記枠体(1)の各四隅には面取部(1a)を設け、対向する面取部(1a)間に筋交(3)がクッション材(4)を介在させて設けられたことを特徴とする木造建築物用耐震補強部材。
- 前記枠体(1)には、柱(8),土台(9),梁(10)などに取付けるためのボルト用の取付穴(1b)が穿設された請求項1記載の木造建築物用耐震補強部材。
- 前記枠体(1)が半間用の襖或いは障子と略同一の大きさであり、且つ前記枠体(1)の表裏面には、薄板や壁紙の化粧材(7)が取付けられた請求項1又は2記載の木造建築物用耐震補強部材。
- 前記筋交(3)が、ロープ,チェーン,丸棒の内の1つである筋交部材(31)と、該筋交部材(31)の端部に連結するアイボルト(32)とから成された請求項1記載の木造建築物用耐震補強部材。
- 前記筋交(3)が、ターンバックル(33)と、両端にネジ部を設け且つ端部が前記ターンバックル(33)に螺合可能である一対のネジ付き丸棒(34)とから成された請求項1記載の木造建築物用耐震補強部材。
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