以下、添付図面に従って本発明に係る電子機器の好ましい実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、本発明を撮像装置(デジタルカメラ)に適用した例について説明するが、本発明は処理内容に応じてシステムのクロック周波数を切り換える電子機器一般に適用可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係る撮像装置の内部構成を示したブロック図である。撮像装置(以下の説明では、カメラと記載する)10に内蔵されているメインCPU12は、バス14を介してカメラ10内の各ブロックに接続されており、所定のプログラムに従って本カメラシステムを統括制御する制御手段として機能するとともに、自動露出(AE)演算、自動焦点調節(AF)演算など各種の演算を実施する演算手段として機能する。
メインCPU12は、制御用のプログラムや制御上必要な各種データ等が格納されている図示せぬROM(Read Only Memory)と、各種の演算処理を行う作業用領域として使用する図示せぬRAM(Random Access Memory)とを備えている。また、メインCPU12には不揮発性記憶手段であるEEPROM16が接続されている。
メインCPU12は、レリーズボタンを含む操作部18から入力する信号(操作信号)や各種センサからの検出信号に基づいてカメラ10内の各回路を制御し、例えば、レンズ駆動制御、CCD駆動制御、画像処理制御、画像データの記録制御、ファイル管理、ストロボ発光制御、メモリカード60の読み書き制御、電源制御、液晶モニタ44の表示制御などを行う。
なお、操作部18には、モードダイヤル、十字キー、電源スイッチ、モード選択レバー、メニュー/OKボタン、BACKボタンなど各種の操作手段が含まれる。
ユーザによって電源スイッチがオン操作されると、メインCPU12はこれを検知し、電源回路20に対して起動指令の信号を与え、電源回路20を起動させる。電源回路20はDC/DCコンバータを有している。カメラ10に装填されている電池又は電源入力端子に接続された外部電源から供給される電力は、DC/DCコンバータによって所要の電圧に変換された後、電源回路20よりカメラ10内の各回路ブロックに供給される。こうして、カメラ10が動作可能になる。
また、電源回路20は電源入力端子に外部電源が接続されたか否かを検出する接続検出回路を有しており、外部電源の接続情報はメインCPU12に通知される。電源入力端子に外部電源が接続されると、電池よりも優先して外部電源を利用するように電源入力経路が自動的に切り換えられる。
モード選択レバーによって撮影モードが選択されると、CCD22を含む撮像部に電源が供給され、撮影可能な状態になる。
撮影レンズ24及び絞り26を通過した光は、CCD22の受光面に結像される。CCD22の受光面には多数のフォトダイオード(受光素子)が二次元的に配列されており、各フォトダイオードに対応して赤(R)、緑(G)、青(B)の原色カラーフィルタが所定の配列構造(ベイヤー、Gストライプなど)で配置されている。また、CCD22は、各フォトダイオードの電荷蓄積時間(シャッタースピード)を制御する電子シャッター機能を有している。なお、CCD22に代えてMOS型など他の方式の撮像素子を用いてもよい。
CCD22の受光面に結像された被写体像は、各フォトダイオードによって入射光量に応じた量の信号電荷に変換される。各フォトダイオードに蓄積された信号電荷は、クロック発生回路(CG)28から与えられる駆動パルスに基づいて信号電荷に応じた電圧信号(画像信号)として順次読み出される。
CCD22から出力された信号はアナログ処理部30に送られ、アナログ処理部30において相関二重サンプリング(CDS)処理、色分離、ホワイトバランス調整やガンマ処理などの所要の処理が行われる。アナログ処理部30で生成された画像信号は、A/D変換器32でデジタル信号に変換された後、一旦バッファメモリ34に格納される。
クロック発生回路28は、測光・測距CPU36の指令に従ってCCD22、アナログ処理部30及びA/D変換器32に対してタイミング信号を与えており、このタイミング信号によって各回路の同期がとられている。
測光・測距CPU36は、メインCPU12と連携して撮像系を制御する制御部である。なお、図1では、2つのCPU(12、36)を搭載した構成を例示したが、本発明の実施に際しては1つのCPUで実現する態様も可能である。
バッファメモリ34に記憶された画像データは、バス14を介して信号処理部38に送られる。信号処理部38は、同時化回路、輝度・色差信号生成回路、輪郭強調回路、拡大/縮小処理回路(電子ズーム回路)等を含む画像処理手段であり、メインCPU12からのコマンドに従って画像信号を処理する。信号処理部38に入力された画像データは、輝度信号(Y信号)及び色差信号(Cr、Cb信号)に変換されるとともに、ガンマ補正等の所定の処理が施された後、バッファメモリ34に書き戻される。
撮像中の映像をモニタ出力する場合、バッファメモリ34内の画像データは、バス14を介してYC→RGB変換回路40に提供され、ここで表示用のRGB信号に変換される。こうして生成されたRGB信号はLCDドライバ42を介して液晶モニタ44に出力される。CCD22から出力される画像信号によって画像データが定期的に書き換えられ、その画像データから生成される映像信号が液晶モニタ44に供給されることにより、撮像中の映像がリアルタイムに動画として表示される。撮影者は液晶モニタ44に表示される動画映像(スルームービー)によって撮影画角を確認できる。
撮影者がズームスイッチを操作すると、その指令信号はメインCPU12から測光・測距CPU36に送られる。測光・測距CPU36は、ズーム指令に従ってレンズ駆動部46を作動させ、レンズ鏡胴の繰り出し量を制御する。これにより、撮影レンズ24の焦点距離(撮影倍率)が変更される。
レンズ駆動部46は、ズームモータ及びAFモータを含む電動駆動手段を示すブロックである。撮影レンズ24の詳細な構成は図示しないが、撮影レンズ24は変倍用の可動レンズ(変倍レンズ)と、フォーカス調整用の可動レンズ(フォーカスレンズ)とを含む複数のレンズ群から構成されている。撮影レンズ24の変倍動作はズームモータによって行われ、撮影レンズ24の焦点調節動作(フォーカス調整動作)はAFモータによって行われる。
撮影レンズ24のズーム位置及びフォーカス位置はレンズ位置センサ48によって検出される。レンズ位置センサ48はズーム位置センサとフォーカス位置センサとを含むブロックである。レンズ位置センサ48によって取得されるズーム位置及びフォーカス位置の情報は測光・測距CPU36を経由してメインCPU12に送られ、EEPROM16に書き込まれる。
また、上記の光学ズームに代えて、又はこれと併用して、電子ズーム(デジタルズーム)機能によるズーム操作も可能である。電子ズーム機能は、画像処理技術によって画像信号を電子的に処理することにより拡大画像を得る機能である。本実施形態のカメラ10は、選択される記録画素数モードに応じて、画質劣化が生じない範囲で電子ズームによる倍率変更が可能となっている。
記録済みの画像を再生表示する場合においても、電子ズーム機能を活用することができる。再生時の電子ズーム操作では、ズーム倍率の変更のみならず、拡大表示させる表示位置を変更できる。電子ズーム機能によるズーム倍率や表示位置の情報などもEEPROM16に記録される。
静止画の撮影モードにおいて、撮影者によってレリーズボタンが押下されるとレリーズ信号が発せられ、このレリーズ信号がメインCPU12に入力される。メインCPU12は、レリーズ信号の入力に応動してAE演算及びAF演算を行うとともに、測光・測距CPU36にコマンドを送り、記録用の画像を取り込むためのCCD露光及び読み出し制御を実施する。例えば、レリーズボタンの半押し(S1オン)でAE及びAF処理を行い、レリーズボタンの全押し(S2オン)で記録用の撮影を実施する。
すなわち、メインCPU12は、CCD22から得られる画像信号から被写体の明るさ(被写体輝度)を検出し、撮影に適した露出値(撮影EV値)を算出する。求めた露出値と所定のプログラム線図に従い、絞り値とシャッタースピードが決定される。AF制御については、CCD22から得られる画像信号の高周波成分を利用して焦点評価値を算出し、評価値が最大(又は極大)となるレンズ位置を合焦位置として決定するコントラストAF方式が採用されている。
測光・測距CPU36は、AF演算の結果に基づいて撮影レンズ24を合焦位置に移動させるようにレンズ駆動部46を制御する一方、AE演算の結果に基づいて絞り26を適正な絞り値とするように絞り駆動部50を制御する。また、測光・測距CPU36は、AE演算の結果に基づいてクロック発生回路28を制御し、CCD22の電子シャッターを制御する。
更に、測光・測距CPU36は、必要に応じてストロボ制御回路52にコマンドを送り、ストロボ制御回路52を動作させる。ストロボ制御回路52は、図示しないメインコンデンサの充電制御や、キセノン管54への放電(発光)タイミングの制御等を行う。なお、AF処理後にS2オンとなる前に、レリーズボタンの押下が解除されると、AF処理後のフォーカス位置が維持される。
こうして、レリーズボタンの押下に応動して取り込まれた画像データは、バッファメモリ34を介して信号処理部38に送られ、信号処理部38において輝度・色差信号変換(YC変換)処理その他の所定の信号処理を経た後、圧縮伸長部56に送られる。
圧縮伸長部56に入力された画像データは、所定の圧縮フォーマット(例えば、JPEG方式)に従って圧縮され、カードインターフェース部(I/F)58を介してメモリカード60に記録される。記録形式はJPEG方式に限定されず、MPEGその他の記録方式を採用してもよい。画像データを保存するための手段は、メモリカード60で代表される半導体メモリに限定されず、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスクなど、種々の媒体を用いることができる。また、リムーバブルメディアに代えて、又はこれと併用して、カメラ10に内蔵された記録メディア(内部メモリ)に画像データを保存する態様も可能である。
モード選択レバーによって撮影モードが選択され、かつモードダイヤルによって動画モードが選択されると、音声付き動画の記録が可能となる。レリーズボタンの押下によって録画動作がスタートし、もう一度レリーズボタンを押下すると録画動作が停止する。なお、レリーズボタンの押下継続期間に録画動作を行い、押下解除により録画を停止するようにしてもよい。
モード選択レバーによって再生モードが選択されると、メモリカード60に記録されている最終の画像ファイル(最後に記録されたファイル)が読み出される。最後の記録に係るファイルが静止画ファイルの場合、この読み出された画像ファイルの圧縮データは、圧縮伸長部56を介して非圧縮のYC信号に伸長され、YC→RGB変換回路40及びLCDドライバ42を介して液晶モニタ44に出力される。これにより、当該ファイルの画像内容が液晶モニタ44に表示される。
静止画の一コマ再生中(動画の先頭フレーム再生中も含む)に、十字キーの左右キー(図示されず)を操作することによって、再生対象のファイルを切り換えること(順コマ送り/逆コマ送り)ができる。コマ送りされたコマ位置の画像ファイルがメモリカード60から読み出され、上記と同様にして静止画像や動画が液晶モニタ44に再生される。
次に、電源回路20及びクロック発生回路28の構成について、図2を参照して説明する。図2は、電源回路及びクロック発生回路の構成を示すブロック図である。図2に示すように、メインCPU12は、クロック信号生成回路70を備えており、このクロック信号生成回路70には、基本クロック発生器72が接続されている。基本クロック発生器72は、水晶発振器を含む回路などからなり、基本クロック信号のパルスを発生する。クロック信号生成回路70は、演算処理装置としてのメインCPU12を駆動させるべくシステムクロック信号を生成する回路であり、基本クロック発生器72で生成された基本クロック信号の周波数をX倍に変換する逓倍器、及び1/X倍に変換する分周器を複数備えている。これによって、メインCPU12はシステムクロック周波数を複数段階に切り換えることができるので、カメラ10内の各ブロックを制御する各動作モード、及び電源電流に合わせてシステムクロック周波数を切り換えて各種処理を行うことができる。
さらに、メインCPU12には、電流検出回路74が接続されている。電流検出回路74は、電源電圧Vin、及び電源電圧Vinと直列に接続された抵抗負荷Rの間から分岐して接続されており、電源電圧Vinに流れる電流を検出し、メインCPU12に出力する。
本実施形態のカメラ10においては、各種処理を行う際に、メインCPU12のシステムクロック周波数を可変させて処理速度を切り換えるとともに、電源回路20による出力電圧Voutの値を切り換えてカメラ10内の各ブロックに供給する電圧を切り換える。図2に示すように、この電源回路20は、電源電池Vinと、DC/DCコンバータ76とを備える。DC/DCコンバータ76は、周知の昇圧型DC/DCコンバータで、電源電池Vinから得られる入力電圧Vinを昇圧して出力電圧Voutに変換するものであり、メインCPU12から送られるパルス信号のオン・オフ時間の比率に応じて出力電圧Voutの値が制御される。そして、DC/DCコンバータ76によって昇圧された出力電圧Voutはカメラ10内の各ブロックに供給される。
次に、DC/DCコンバータ76について説明する。図3は、DC/DCコンバータの構成を示すブロック図である。図3に示すように、DC/DCコンバータ76は、コントローラ80、コイルL、スイッチング素子Tr、ダイオードD、コンデンサCを含んでいる。この図3に示すDC/DCコンバータ76はチョッパー型と呼ばれ、入力電圧(電源電池Vinから直接供給される電圧)VinをコイルLに直列に付加する構成となっている。このDC/DCコンバータ76では、先ずコントローラ80内の三角波発生回路82からパルス信号が送られるとスイッチング素子TrがON状態となり、コイルLに充電電流Ionが流れてコイルLにエネルギーが蓄積される。そして、三角波発生回路82からのパルス信号が停止されると、スイッチング素子TrがOFF状態となってコイルLに蓄積されたエネルギーから起電力が発生し、放電電流Ioffが流れて出力電圧Voutを上昇させる。これにより、電源回路20は、電源電池Vinの定格電圧Vinよりも高い出力電圧Voutをカメラ10内の各ブロックに供給できる。
本実施形態では、DC/DCコンバータ76で昇圧される出力電圧Voutの値を可変するために、三角波発生回路82からスイッチング素子Trへ送られるパルス信号をコントローラ80のパルス幅変調回路84によって制御する。パルス幅変調回路84は、参照電圧Vrefと、コンデンサCの充電電圧に基づいて出力されるアンプ86からの制御信号に基づいて制御される。三角波発生回路82の制御方式としては、例えば、周知のPFM(周波数変調)制御が用いられる。このPFM制御の場合、スイッチング素子TrのON状態の時間Tonを一定とし、周期tcを制御する(周期tcに連動してOFF状態の時間Toffも変動させる)ことによってコイルLに蓄積させるエネルギーを調節し、昇圧される出力電圧Voutの値を可変することができる。すなわち、このPFM制御の場合、周期tcの時間を短くする(連動してToffも短くなる)と、スイッチング素子Trのオフ時間に対するオン時間の比率が上昇するので、DC/DCコンバータ76による出力電圧Voutが上昇する。一方、このPFM制御で、周期tcの時間を長くする(連動してTonも短くなる)と、スイッチング素子Trのオフ時間に対するオン時間の比率が低下するため、出力電圧Voutが低下する。
本実施形態の場合、三角波発生回路82を制御する周期tcは、メインCPU12のシステムクロック周波数に応じた値、もしくはシステムクロック周波数のパルス信号をそのまま三角波発生回路82に送信して、システムクロック周波数の値に応じた出力電圧Voutをカメラ10内の各ブロックに供給するようにすればよい。このような制御をすることによって、システムクロック周波数が大きく高速な処理速度のときは、出力電圧Voutの値も大きくなり、システムクロック周波数が小さく、低速な処理速度のときには、出力電圧Voutの値を小さくすることができる。これにより、カメラ10は無駄な電力消費を防いで省電力化を図ることが可能となる。
本実施形態においては、処理内容の切り換え前後のシステムクロック周波数の情報に応じたDC/DCコンバータ76のスイッチング周波数のテーブルがEEPROM16に記録されている。メインCPU12は、EEPROM16を参照して三角波発生回路82から出力されるパルス信号の周波数を制御してスイッチング素子Trのオン/オフの切り換え周期(以下の説明では、スイッチング周波数と記載する)を制御する。これにより、処理内容の変更時において、急激な消費電力の時間変化が発生して、電源電圧のオーバーシュートやアンダーシュートが発生するのを防止できる。
次に、図4以降のタイミングチャートを用いて、カメラ10の各種処理及び電源電流に応じてシステムクロック周波数を切り換えるタイミングについて説明する。なお、上記のタイミングチャートにおいては、上方にはシステムクロック周波数、下方にはCCD22のクロック周波数を示している。図4は、電源起動から撮影準備までのシステムクロック周波数及びCCDクロック周波数の変化を示すタイミングチャートである。また、図5は、処理内容の変更時における電圧と電流の変化を模式的に示す図である。
先ず電源オフ状態から電源スイッチをオン位置に操作すると、電源オン処埋が開始される。電源オン処理では、システムクロック周波数が0MHzから24、48、96MHzと上昇し、処理速度が段階的に上昇していく。なお、システムクロック周波数が上昇していくときのステップtsは所定の周期Vのn倍(nは整数)である。本実施形態では、上述した垂直駆動信号VがCCD22に送信される垂直転送周期をv(1v=60Hz(約16.67ミリ秒)としており、すなわち、ステップtsは垂直転送周期vのn倍(nは整数)としている。また、電源オン処理の途中でCCD22も起動し、以後撮影準備中はCCD22のクロック周波数が12MHzで駆動される。nは電源電池Vinからの電流値に応じて可変するものであり、メインCPU12は、電流検出回路74によって検出される電源電池Vinからの電流値に比例してnが大きくなるようにステップtsを制御している。
本実施形態で設定されているシステムクロック周波数と、このシステムクロック周波数で駆動されているときのメインCPU12の消費電流の値を表1に示す。表1に示すように、電源オン処理では、消費電流値が0mAから400mAへ上昇する。本実施形態においては、この電源オン処理時に、メインCPU12により三角波発生回路82を制御してスイッチング周波数を2倍にする。すると、図5(a)に示すように、電源オン処理時に電圧が低下し、電源電池Vinからの電流値の急激な時間変動が抑えられ、電源電圧のアンダーシュート/オーバーシュートが抑えられる。
そして、電源が起動すると、その次は液晶モニタ44がオン状態となり、スルー画が表示され、ビューファインダとして使用される。このスルー画表示時には、システムクロック周波数は48MHzに低下する。この際には、表1に示すように、消費電流値が400mAから200mAに低下する。本実施形態においては、このスルー画表示の開始時に、メインCPU12により三角波発生回路82を制御してスイッチング周波数を2倍にする。すると、図5(b)に示すように、電源オン処理時に電圧が上昇し、電源電池Vinからの電流値の急激な時間変動が抑えられ、電源電圧のアンダーシュート/オーバーシュートが抑えられる。
そして、撮影者は液晶モニタ44を見ながらフレーミングを行い、画面に対する被写体の大きさを変えたいときなど、必要に応じてズーム操作ボタンを操作し、光学ズーム処理を行う。この光学ズーム処理を行うときは、システムクロック周波数が再び96MHzに上昇する。その後、スルー画表示や電子ズーム処理を行ってフレーミングを継続するときには、システムクロック周波数は48MHzに低下する。これらのシステムクロック周波数の切り換え時にも、上記と同様にスイッチング周波数が制御される。
次に、撮影処理時のシーケンスについて、図6を参照して説明する。図6は、撮影処理時のシステムクロック周波数及びCCDクロック周波数の変化を示すタイミングチャートである。撮影処理のときには、自動露出(AE)及び焦点調節(AF)を行う。この際、撮影者は、必要に応じてメニューボタンを操作し、自動露出及び焦点調節の設定を行うためのメニュー画面を液晶モニタ44に表示させる。このメニュー画面の表示のときには、システムクロック周波数は48MHzから96MHzに上昇する。設定が終了すると再びスルー画表示に戻り、撮影者は先ずレリーズボタンを半押し(S1オン)、すなわち、2段押しボタンの1段回まで押し込むと、自動露出及び焦点調節処理が開始され、システムクロック周波数は96MHzに上昇する。そして、自動露出及び焦点調節が行われた状態でレリーズボタンを半押し位置で保持するとS1ロック状態となり、露出値及び焦点位置が固定される。このS1ロック状態のときには、システムクロック周波数は再び48MHzに低下する。なお、S1オン時にはCCDクロック周波数は12MHzから24MHzに上昇し、S1ロック時には24MHzから12MHzに低下する。
そして、フレーミング、露出値及び焦点位置が全て撮影者の所望の状態になると、撮影者はレリーズボタンを全押し(S2オン)し、すなわち、2段目まで押し込んで撮像が行われる。このとき、システムクロック周波数は96MHzに再び上昇するとともに、CCD22のクロック周波数も12MHzから24MHzに上昇する。そして、高速な処理速度でCCD22に受光された信号電荷を転送して画像データとし、YC処理、圧縮、メモリカードへの記録処理が行われ、一回の撮像が終了する。なお、CCD22のクロック周波数は、YC処理、圧縮及び記録のときは12MHzに再び低下している。
次に、1回目の撮影後、2回目以降の撮影処理時のシーケンスについて、図7を参照して説明する。図7は、2回目以降の撮影処理時のシステムクロック周波数及びCCDクロック周波数の変化を示すタイミングチャートである。ストロボ撮影時に2回目以降の撮影を継続するときには、消費電力の高い2つの処理を同時に行うことを避けて電源回路20の負担を減少させるために、液晶モニタ44によるスルー画表示を一旦オフ状態にしてから、ストロボ制御回路52の図示せぬメインコンデンサの充電を行う。液晶モニタ44のオフ処理を行うときには、システムクロック周波数を96から48、24MHzと徐々に下げていく。なお、このときシステムクロック周波数を切り換えるステップtsは、上述の電源起動の際と同様に、垂直転送周期vのn倍(nは整数)である。また、nも同様に、電源電池Vinの電流値に比例して大きくなるよう制御している。そして、メインコンデンサの充電が完了すると、再度液晶モニタ44をオン状態としてスルー画表示を行い、2回目以降の撮影準備を開始する。この液晶モニタ44を再度オン状態にするときには、システムクロック周波数を24から48、96MHzと徐々に上昇させていく。そして、このときのシステムクロック周波数を切り換えるステップtsも垂直転送周期vのn倍(nは整数)である。また、ストロボ充電中はCCD22をオフ状態(クロック周波数を0MHz)とし、液晶モニタ44のオン状態と同時にCCD22もオン状態(クロック周波数を12MHz)とする。その後、スルー画表示中はシステムクロック周波数を48MHzに低下させる。以降は、1回目と同様のシーケンスでS1オン、S2オン、撮像、YC処理、圧縮及び記録の各処理を行う。なお、このときのシステムクロック周波数、CCD22のクロック周波数のタイミングチャートも1回目と同様である。また、システムクロック周波数の切り換えに伴う、スイッチング周波数の制御も上記と同様である。
図8は、動画記録処理時のシステムクロック周波数及びCCDクロック周波数の変化を示すタイミングチャートである。動画記録では、S1オン、S2オン、撮像、YC処理、圧縮及び記録の処理はシステムクロック周波数が96MHzで行われ、モニタオフ処理で24MHzに低下する。そして、スルー画表示の復帰で再び96MHzとなり、スルー画表示で48MHzに低下する。再び、S1オンとなると、システムクロック周波数は再び96MHzに上昇する。一方、CCDクロック周波数は、S1オン、S2オンで24MHz、YC処理、圧縮及び記録、モニタオフ処理で0MHz、スルー画表示の復帰、スルー画表示では12MHz、S1オン時は24MHzで処理を行う。これらのシステムクロック周波数の切り換え時にも図5で示した例と同様にスイッチング周波数が制御される。
図9は、動画記録処理から電源オフまでのシステムクロック周波数及びCCDクロック周波数の変化を示すタイミングチャートである。図9では、S1オン、S2オン、撮像、YC処理、圧縮及び記録、スルー画表示の復帰の処理はシステムクロック周波数が96MHzで行われ、スルー画表示で48MHzに低下する。そして、電源オフ時には、システムクロック周波数は0MHzとなる。一方、CCDクロック周波数は、S1オン、S2オンで24MHz、YC処理で12MHz、圧縮及び記録処理で24MHz、スルー画表示の復帰、スルー画表示では12MHzで処理を行い、電源オフ時に0MHzとなる。これらのシステムクロック周波数の切り換え時にも図5で示した例と同様にスイッチング周波数が制御される。
なお、以上で例に上げた図4及び図6〜図9のタイミングチャートにおいては、0、24、48、96MHzのシステムクロック周波数を使用しているが本発明はこれに限るものではなく、特にシステムクロック周波数を段階的に可変させるときには、さらに細かな段階で可変するように、周波数の設定数をさらに多くしてもよい。
また、本実施形態においては、システムクロック周波数の切り換え時にスイッチング周波数を2倍にするようにしたが、スイッチング周波数の切り換えのタイミングや倍率はこれに限定されるものではない。例えば、切り換え後に検出されたシステムクロック周波数に基づいてスイッチング周波数を所定の倍率に制御してもよい。また、システムクロック周波数の切り換え時(前後、途中)に電流検出回路74によって検出された電流値に基づいて、スイッチング周波数を制御できるようにしてもよい。
上記構成の作用について説明する。上述したように、撮影時の各処理の動作モードを切り換えるとき、これに合わせてシステムクロック周波数を切り換える。特に電源オン処理や撮影後のストロボ充電処理のときなど、各動作モード間のシステムクロック周波数の差が大きいときには、周波数速度を段階的(24、48、96、…MHz、または96、48、24MHz)に可変させており、且つこの周波数速度が一段階切り換えられるときのステップ(切り換え周期)tsを、電源電池Vinの電流の大きさに比例させているので、周波数速度の切り換え前後における消費電力差に起因するオーバーシュートやアンダーシュートが発生することがなく、誤動作や画像ノイズを防ぐことができる。さらに、この切り換え周期tsは、上述したように垂直転送周期vのn倍(nは整数)に設定されているので、システムクロック周波数の切り換え時と、CCD22の垂直駆動信号Vの送信時とが同期することになる。よって、垂直駆動信号Vが送信されるときには、システムクロック周波数の切り換え前後における消費電力差の影響を受けることがないので、ノイズの混入を避けることができる。なお、本実施形態はこれに限らず、例えば、システムクロック周波数の切り換え周期tsを、垂直転送周期vではなく、水平転送周期(水平駆動信号Hが送信される周期)のn倍(nは整数)にしても、同様の効果を得ることができる。
10…撮像装置(カメラ)、12…メインCPU、14…バス、16…EEPROM、18…操作部、20…電源回路、22…CCD、24…撮影レンズ、26…絞り、28…クロック発生回路(CG)、30…アナログ処理部、32…A/D変換器、34…バッファメモリ、36…測光・測距CPU、38…信号処理部、40…YC→RGB変換回路、42…LCDドライバ、44…液晶モニタ、46…レンズ駆動部、48…レンズ位置センサ、50…絞り駆動部、52…ストロボ制御回路、54…キセノン管、56…圧縮伸長部、58…カードインターフェース部(I/F)、60…メモリカード、70…クロック信号生成回路、72…基本クロック発生器、74…電流検出回路、76…DC/DCコンバータ、80…コントローラ、82…三角波発生回路、84…パルス幅変調回路、86…アンプ