JP2006245615A - 面発光型半導体レーザ素子及びその製造方法 - Google Patents

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Yoshiaki Watabe
義昭 渡部
Hironobu Narui
啓修 成井
Yuuichi Kuromizu
勇一 黒水
Yoshinori Yamauchi
義則 山内
Yoshiyuki Tanaka
嘉幸 田中
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Abstract

【課題】単峰性横モードで安定したレーザ光を出射する面発光型半導体レーザ素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基板12上に、順次半導体多層膜からなる下部反射鏡14、活性層18、及び半導体多層膜からなる上部反射鏡22を備え、上部反射鏡22を露出させる第1の開口部30を備えて上部反射鏡22上に延在する化合物半導体層24と、第1の開口部30の内側に上部反射鏡22を露出させる第2の開口部38を備えて環状に化合物半導体層24上に延在する金属膜36とを備え、第1の開口部30の内径を第2の開口部38の内径に比して大とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、面発光型半導体レーザ素子及びその製造方法に関し、更に詳細には単峰性の横モードでレーザ光を出射する面発光型半導体レーザ素子及びその製造方法に関する。
面発光型半導体レーザ素子は、基板面に対して直交方向にレーザ光を出射する半導体レーザ素子であって、実装上の利点から種々の分野の光源として注目されている半導体レーザ素子である。
面発光型半導体レーザ素子は、相互に屈折率が異なる化合物半導体のペア層からなる上部及び下部の一対の反射鏡(DBR:Diffractive Bragg Reflector)と、その一対のDBRの間に設けられ、発光領域となる活性層とを半導体基板上に有する。
面発光型半導体レーザ素子は、一般には、上部DBRが電流狭窄領域を有するポスト型メサ構造になっていて、例えば、ドライエッチングなどの方法で上部DBRをエッチングしてメサ径30μφ程度の円形ポスト型メサ構造に加工し、活性層への電流高効率注入のためにAlAs層の選択酸化による電流狭窄構造を円形ポスト型メサ構造内に設けることが多い(例えば特許文献1参照。)。
ここで、上記特許文献1(図12)を参照して、ポスト型メサ構造を有する従来の面発光型半導体レーザ素子の構成を説明する。図12は前掲公報に開示されている、つまり従来の面発光型半導体レーザ素子の構成を示す断面図である。
前掲公報によれば、面発光型半導体レーザ素子80は、図12に示すように、n型GaAs基板82上に、順次、形成された、n型半導体多層膜からなる下部反射鏡層構造(以下、下部DBRと言う)84、ノンドープAlGaAsからなる下部クラッド層86、発光層(活性層)88、ノンドープAlGaAsからなる上部クラッド層90、p型半導体多層膜からなる上部反射鏡層構造(以下、上部DBRと言う)92、及びp型GaAsキャップ層94の積層構造を備えている。
下部DBR84は、n型Al0.2Ga0.8As層とn型Al0.9Ga0.1As層とを、ヘテロ界面に組成傾斜層を介在させ積層した30.5ペアの半導体多層膜として構成され、上部DBR92は、p型Al0.2Ga0.8As層とp型Al0.9Ga0.1As層とを、ヘテロ界面に組成傾斜層を介在させ積層した25ペアの半導体多層膜として構成されている。
キャップ層94、上部DBR92、上部クラッド層90、活性層88、下部クラッド層86、及び下部DBR84の上部は、エッチングされて、円柱状の柱状構造(メサポスト)96に加工されている。
また、上部DBR92の活性層88に最も近い化合物半導体層は、p型Al0.9Ga0.1As層に代えてp型AlAs層が成膜され、中央の円形領域を除いて、その周囲のAlAs層はAlが選択的に酸化されてAl酸化層に転化した、酸化狭窄型の電流狭窄層98になっている。
中央の円形領域は、元のp型AlAs層のままであって、電流注入経路(電流注入領域)98Aとして機能する一方、Al酸化層は電気抵抗の高い酸化狭窄型の絶縁領域(電流狭窄領域)98Bとして機能する。
メサポスト96の上面、側面及び両脇の下部DBR84上には、SiN膜100が成膜されている。
また、メサポスト96の上面のSiN膜100は、円形に除去されてp型GaAsキャップ層94を露出させる開口を有し、開口の周縁部に沿って円環状のp側電極(上部電極)102が形成されている。n型GaAs基板82の裏面には、n側電極(下部電極)104が形成されている。尚、106はp側電極102の引き出し電極である。
前掲公報に開示の面発光型半導体レーザ素子80の製造方法について、図13(a)、(b)を参照して説明する。図13(a)、(b)は、それぞれ、従来の面発光型半導体レーザ素子80の各製造工程を示す断面図である。
先ず、図13(a)に示すように、n型基板82上に、順次、下部DBR84、ノンドープAlGaAsからなる下部クラッド層86、活性層88、ノンドープAlGaAsからなる上部クラッド層90、上部DBR92、及びp型GaAsキャップ層94を積層して積層構造を形成する。
下部DBR84を積層する際には、ヘテロ界面に組成傾斜層を介在させた30.5ペアのn型Al0.2Ga0.8As層とn型Al0.9Ga0.1As層とを積層し、上部DBR92を積層する際には、ヘテロ界面に組成傾斜層を介在させた25ペアのp型Al0.2Ga0.8As層とp型Al0.9Ga0.1As層とを積層する。
また、上部DBR92を積層する際には、活性層88に最も近い構成層、または活性層88近傍の構成層は、p型Al0.9Ga0.1As層に代えて、p型AlAs層108を積層する。
次いで、図13(b)に示すように、SiN膜マスク110を用いたエッチングにより、下部DBR84の上面近傍に到達するまで、p型GaAsキャップ層94、上部DBR92、AlAs層108、上部クラッド層90、活性層88、下部クラッド層86の一部をエッチングして、メサポスト96を形成する。
続いて、メサポスト96を有する積層構造を水蒸気雰囲気中で温度400℃で約25分間加熱し、メサポスト96の側面より中心に向かって、p型AlAs層108のみを選択酸化する。
これにより、メサポスト96の側面に囲まれた、Al酸化層からなる円環状の電流狭窄領域98Bと、電流狭窄領域98Bに囲まれた、p型AlAs層108が酸化されずに残った円形の電流注入領域98Aとを有する電流狭窄層98を形成することができる。
続いて、全面にSiN膜100を成膜した後、メサポスト96の上面のSiN膜100を円形に除去してp型GaAs層94を露出させ、そこに円環状のp側電極102を形成する。また、n型GaAs基板82の裏面に、n側電極104を形成する等の工程を経ることにより、従来の面発光型半導体レーザ素子80を完成することができる。
このようなポスト型メサ構造を有する面発光型半導体レーザ素子では、電流狭窄層98により、活性層88に注入される電流経路の断面を規定できるので、電流注入領域98Bの付近の活性層88の領域に電流が集中して注入され、効率の良いレーザ発振を実現できる。
ところで、従来の面発光型半導体レーザ素子は、一般に、ビーム遠視野像(FFP:Far Field Pattern)で見ると、横モードが複数のピークを持った多モードで発振する。
一方、通信などの分野で、面発光型半導体レーザ素子を光導波路、例えば光ファイバにレンズ結合させる際には、光結合効率を高めるために、面発光型半導体レーザ素子の出射レーザ光は、単峰性のガウシャン分布形状のビーム、いわゆる、シングル横モードのレーザ光であることが望ましい。
酸化狭窄型の電流狭窄構造では、励振するレーザ光のモードの数が、概略、電流狭窄径の大きさに比例しているので、電流狭窄層の電流注入領域をある程度絞れば、自ずと活性層の狭いエリアに励起される単一のモードを出力光として得ることが可能である。
そこで、酸化狭窄型の電流狭窄構造を備えた従来の面発光型半導体レーザ素子では、Al酸化層からなる電流狭窄構造の電流狭窄径(電流注入領域の径)を小さくして、活性層の発光領域を縮小し、単峰性のシングル横モードを選択発振させるようにしている。
特開2001−210908号公報(図1)
ところで、電流狭窄構造の電流狭窄径を小さくして横モードをシングル横モードに制御しようとすると、IEEE Photon Tech. Lett. Vol.9, No.10, p1304, M.Grabherr他などに報告されているように、電流狭窄径として4μmφ以下と極めて小さい狭窄径が必要になる。しかし、電流狭窄径を4μmφ以下にすると、以下のような問題が生じる。
第1には、そのような小さい電流狭窄径を有する面発光型半導体レーザ素子を実際に製造しようとしても、電流狭窄径が極めて小さいために、製造誤差の許容幅が小さくなり、制御性良く製造することが難しく、また、ウエハ面内均一性が悪くなって、歩留まりが極めて悪化するという問題である。
第2には、通常のデバイスと比べて一桁小さい面積の電流注入領域(AlAs層領域)に電流を絞って流すために、素子抵抗が高くなる、例えば100Ω以上に高くなる。この結果、出力、電流・光出力効率が低くなるといる問題である。換言すれば、シングル横モード性が出力に依存するために、面発光型半導体レーザ素子の単一横モードでの高出力化が難しいことである。
第3には、電流狭窄による抵抗上昇に起因するインピーダンス不整合の結果、通信に必要な高周波駆動で面発光型半導体レーザ素子を動作させようとしても、高周波特性の著しい劣化傾向が見られ、通信分野で必要な高周波駆動の光伝送に適用するのが難しいことである。
面発光型半導体レーザ素子のレーザ光の横モード制御として、例えば特開2002−359432号公報が発光面に加工を施して横モードの安定化を図る方法を提案しているが、横モードのうちの高次モードの安定化を目的としていて、横モードのシングルモード化とは目的が異なる。
また、特開2001−24277号公報が発光面と反対側の反射面に反射率分布を設け、横モード安定化を図ることを提案しているが、基板出射型であるために、面発光型半導体レーザ素子には適用が難しく、プロトン注入型を前提にしているので、酸化狭窄型への適用も難しい。
更には、特開平9−246660号公報はレーザ構造内部に円形回折格子によるレンズ構造を設け、横モードの安定化を図る方法を提案しているが、化合物半導体層の再成長が必要になるためにプロセスが複雑で、技術的及び経済的な問題がある。
上述のように、従来の技術により面発光型半導体レーザ素子のレーザ光の単峰性横モード化を図ることは難しい。
そこで、本発明の目的は、単峰性横モードで安定したレーザ光を出射する面発光型半導体レーザ素子及びその製造方法を提供することである。
本発明者は、研究過程で実験を繰り返すことにより、面発光型半導体レーザ素子の発振横モードは、従来注目されていた電流狭窄径のみならず、発光面となるメサ上面の光学的な構成、例えばメサ上面の屈折率分布及び電極形状等のメサ上面の構成によって極めて大きく影響されることを見出した。
そして、メサ上面の構成、形状が様々に異なる面発光型半導体レーザ素子を試作し、メサ上面の構成と横モードの関係を調べた結果、横モードは、メサ上面の半導体層、例えばコンタクト層の形状、屈折率、膜厚だけでなく、コンタクト層上の電極の構造にも大きく影響を受けていることが判った。
更に、研究を進めた結果、図14(a)に示すように、上部DBR上で、上部DBRを露出させる第1の開口部を備えて上部DBR上に延在するコンタクト層と、第1の開口部の内側に上部DBRを露出させる第2の開口部を備えてコンタクト層上に環状に延在する金属膜からなる電極と、第1の開口部の外側のコンタクト層を露出させる第3の開口部を備えてコンタクト層と電極との間に介在する絶縁膜を備える構造で、かつ電流注入領域の不純物濃度が高く、しかもその領域での電流注入密度の均一性を高めた構造が、単峰性横モードの面発光型半導体レーザ素子の実現に寄与することを見出した。
以上のような上部DBR上の構成により、電極の第2の開口部の周辺領域、コンタクト層の第1の開口部の周辺領域、及び絶縁膜の第3の開口部の周辺領域は、第2の開口部の中心から外方向に等方的に複素屈折率が変化する複素屈折率分布構造を構成する。そして、この複素屈折率分布構造によって、横モードを単峰性に制御できることを見出した。
また、コンタクト層と電極とでも、複素屈折率分布構造を構成することも見出した。
尚、図14(a)は第1の発明に係る面発光型半導体レーザ素子の主要部の構成を示す模式的断面図、及び図14(b)は図14(a)に対応して主要部の機能を説明する模式的断面図である。
上記目的を達成するために、上述の知見に基づいて、本発明に係る面発光型半導体レーザ素子(以下、第1の発明という)は、基板上に、順次、半導体多層膜からなる下部反射鏡、活性層、及び半導体多層膜からなる上部反射鏡を備えてなる面発光型半導体レーザ素子において、上部反射鏡を露出させる第1の開口部を備えて上部反射鏡上に延在する化合物半導体層と、第1の開口部の内側に上部反射鏡を露出させる第2の開口部を備えて環状に化合物半導体層上に延在する金属膜とを備え、前記第1の開口部の内径は、前記第2の開口部の内径に比して大とされて構成されたことを特徴としている。
第1の発明では、好適には、複素屈折率分布構造は、複素屈折率が第2の開口部の中心から外方向に等方的に変化している構造である。これにより、横モードの単峰性化が一層容易になる。
また、高次モードを制御できる面発光型半導体レーザ素子としては、基板上に、順次、半導体多層膜からなる下部反射鏡、活性層、及び半導体多層膜からなる上部反射鏡を備え、上部又は下部反射鏡の活性層近傍の領域に電流狭窄層を有するメサポストとして形成された面発光型半導体レーザ素子において、上部反射鏡を露出させる第1の開口部を備えて上部反射鏡上に延在する化合物半導体層と、第1の開口部の内側に上部反射鏡を露出させる第2の開口部を備えて環状に化合物半導体層上に延在する環状膜と、環状膜に接続し、かつ第2の開口部内の上部反射鏡上に島状に配置された島状膜とからなる金属膜とを備え、金属膜と化合物半導体層とが、第2の開口部の中心から外方向に複素屈折率が変化する複素屈折率分布構造を構成していてもよい。
第1の発明の好適な実施態様では、第1の開口部の外側の化合物半導体層を露出させる第3の開口部を備えて、化合物半導体層と金属膜との間に介在する絶縁膜を有し、金属膜、化合物半導体層、及び絶縁膜が、第2の開口部の中心から外方向に複素屈折率が変化する複素屈折率分布構造を構成している。
第1の発明の具体的な実施態様では、金属膜が電極を構成し、化合物半導体層が金属膜とオーミックコンタクトするコンタクト層を構成する。また、電流狭窄層の中央に設けてある電流注入領域が、第1の開口部の下方に位置する。
第1の発明に係る面発光型半導体レーザ素子では、上部DBR上の発光面で、化合物半導体層、例えばコンタクト層、絶縁層、電極の3要素で構成された電気的構造で構成されている。この電気的構造は、更に光学的機能も兼ね備えている。
上部DBR上の構造を光学的要素に分解すると、図14(b)に示すように、第1には、第1の開口部を有してリング状に延在するコンタクト層、第3の開口部を有してコンタクト層上にリング状に延在する絶縁層が、階段状に形成されている。これにより、複素屈折率が第1の開口部の中心、つまり発光面の中心から外方に大きくなるので、凹レンズの作用を行う複素屈折率分布構造を構成している。
第2には、発光面上に形成され、第1の開口部より小さい第2の開口部を備えた金属膜からなる電極は、光に対してアパーチャ機能を有し、金属の複素屈折率を考慮すると、凸レンズと吸収性開口とを合成した複素屈折率分布構造と等価になっている。
つまり、第1の発明に係る面発光型半導体レーザ素子では、凸レンズと吸収性開口とを合成した光学的構造と凹レンズとを併せてなる複合光学系が、発光面に構成されていることになる。しかも、面発光型半導体レーザ素子の共振器構造に接して配置されているので、この複合光学系が共振器構造の一部として機能する。
以上の構成により、第1の発明に係る面発光型半導体レーザ素子では、図14(b)に示すように、電流狭窄層によってある程度選択されたレーザ共振モードのうち、出射角が広い高次のモードは凹レンズ構造で散乱し、吸収性開口で吸収され、更に凸レンズで収束されるという作用効果が、共振器内の共振条件として取り込まれ、電流狭窄層のアパーチャ効果との組み合わせの作用、効果で、ほぼ一つのモードが強制的に選択され、単峰性で発振するにいたると考えられる。
第1の発明の技術的思想は、面発光型半導体レーザ素子の更に多様な横モードの制御を可能としていて、高次モードを制御することができる。
また、島状の金属膜を環状の金属膜内に設け、第1の発明と同じ技術的思想に基づいて島状膜の形状を変えることにより複素屈折率分布を調整し、所望の高次モードの横モードで面発光型半導体レーザ素子を発振させることができる。
また、第1の開口部を有する化合物半導体層は、不純物濃度が相互に異なる複数層の化合物半導体層で構成され、各化合物半導体層に設けられている第1の開口部は、複数層の上層から下層に向かって層毎に階段状に開口径が順次小さくなる開口部として形成され、各化合物半導体層の不純物濃度は、複数層の上層から下層に向かって層毎に階段状に順次減少するようにして、複素屈折率分布構造を形成してもよい。
一般には、金属膜が電極を構成し、化合物半導体層が金属膜とオーミックコンタクトするコンタクト層を構成する。
また、好適には、電流狭窄層の中央領域に設けてある非酸化の電流注入領域が、第1の開口部の下方に位置し、電流注入領域の不純物濃度が5×1018cm−3以上で、電流注入領域の電流注入密度が領域全域にわたり均一である。これにより、前述の複合光学系が共振器構造の一部として機能する効果を更に高めることができる。
本発明に係る面発光型半導体レーザ素子の製造方法は、基板上に、順次、半導体多層膜からなる下部反射鏡、活性層、半導体多層膜からなる上部反射鏡、及び化合物半導体層を形成する工程と、少なくとも前記上部反射鏡をエッチングして、メサポストを形成する工程と、前記メサポストの前記化合物半導体層上及び前記メサポストの側面に絶縁膜を成膜する工程と、前記化合物半導体層上の絶縁膜に開口を設け、前記化合物半導体層を露出させる工程と、前記絶縁膜の開口より小さい開口を前記化合物半導体層に設け、前記上部反射鏡を露出させる工程と、電極を構成する金属膜を前記上部反射鏡上及び前記化合物半導体層上に設け、かつ前記化合物半導体層の開口より小さい開口を前記金属膜に設け、前記上部反射鏡を露出させる工程とを有することを特徴としている。
また、上部反射鏡上にコンタクト層を形成する工程では、不純物濃度が上層から下層に向かって層毎に階段状に順次、又は連続的に減少している複数層のコンタクト層を形成し、絶縁膜の開口より小さい開口をコンタクト層に設け、上部反射鏡を露出させる工程では、複数層のコンタクト層の不純物濃度が上層から下層に向かって層毎に階段状に順次、又は連続的に減少していることによるエッチングレートの違いを利用して、上層から下層に向かって層毎に開口径が階段状に順次、又は連続的に小さくなる開口部を各コンタクト層に開口してもよい。
各コンタクト層の不純物濃度が上層から下層に向かって層毎に階段状に順次、又は連続的に減少しているようにコンタクト層を成膜して、上層から下層に向かって層毎に開口径が階段状に順次小さくなる、又は連続的に小さくなる開口部を形成することにより、複素屈折率分布構造を容易に形成することができる。
更には、上部反射鏡上にコンタクト層を形成する工程では、Al組成が上層から下層に向かって層毎に階段状に順次、又は連続的に減少している複数層のコンタクト層を形成し、絶縁膜の開口より小さい開口をコンタクト層に設け、上部反射鏡を露出させる工程では、複数層のコンタクト層のAl組成が上層から下層に向かって層毎に階段状に順次、又は連続的に減少していることによるエッチングレートの違いを利用して、上層から下層に向かって層毎に開口径が階段状に順次、又は連続的に小さくなる開口部を各コンタクト層に開口してもよい。
各コンタクト層のAl組成が上層から下層に向かって層毎に階段状に順次、又は連続的に減少しているようにコンタクト層を成膜して、上層から下層に向かって層毎に開口径が階段状に順次小さくなる、又は連続的に小さくなる開口部を形成することにより、複素屈折率分布構造を容易に形成することができる。
本発明によれば、環状の金属膜及びその外側の環状の化合物半導体層により、環状の金属膜の開口部の中心、つまり発光面の中心から外方向に複素屈折率が変化する複素屈折率分布構造を上部反射鏡上に構成することにより、横モードを単峰化できる面発光型半導体レーザ素子を提供することができる。
また、本発明による面発光型半導体レーザ素子の製造方法によれば、第1の発明に係る面発光型半導体レーザ素子の好適な製造方法を実現できる。
以下に、添付図面を参照して、実施形態例に基づいて本発明をより詳細に説明する。尚、以下の実施形態例で示した導電型、膜種、膜厚、成膜方法、その他寸法等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、本発明はこれら例示に限定されるものではない。
面発光型半導体レーザ素子の実施形態例1
本実施形態例は第1の発明に係る面発光型半導体レーザ素子の実施形態の一例である。図1は本実施形態例の面発光型半導体レーザ素子の構成を示す断面図、図2は図1の面発光型半導体レーザ素子の上面図、及び図3(a)は本実施形態例の面発光型半導体レーザ素子の主要部の構成を示す模式的断面図、及び図3(b)は図3(a)に対応して主要部の機能を説明する模式的断面図である。
本実施形態例の面発光型半導体レーザ素子10は、図1に示すように、n型GaAs基板12上に、順次、形成された、n型半導体多層膜からなる下部反射鏡(以下、下部DBRと言う)14、Al0.3Ga0.7As下部クラッド層16、GaAs発光層(活性層)18、Al0.3Ga0.7As上部クラッド層20、p型半導体多層膜からなる上部反射鏡層(以下、上部DBRと言う)22、及び膜厚が150nmで不純物濃度が5×1018cm−3のp型GaAsコンタクト層24の積層構造を備えている。
下部DBR14は、n型AlAs層とn型GaAs層とを積層した35ペアの総膜厚4μm程度の半導体多層膜として構成され、上部DBR22は、p型Al0.9Ga0.1As層とp型Al0.1Ga0.9As層とを積層した25ペアの総膜厚3μm程度の半導体多層膜として構成されている。
コンタクト層24、上部DBR22、上部クラッド層20、活性層18、下部クラッド層16、及び下部DBR14の上部は、図1及び図2に示すように、エッチング加工によりメサ径40μmの円柱状のメサポスト26として形成されている。
また、上部DBR22の活性層18に最も近い層は、p型Al0.9Ga0.1As層に代えて、中央に設けられた直径12μmの円形のAlAs層領域26Aと、円形のAlAs層領域の周囲に環状に設けられたAl酸化層領域26Bとから構成されている酸化狭窄型の電流狭窄層26になっていて、AlAs層領域26Aの膜厚は30nmである。
AlAs層領域26Aは、p型Al0.9Ga0.1As層に代えて成膜されたp型AlAs層のままであって、Al酸化層領域26Bはp型AlAs層のAlが選択的に酸化されて、Al酸化層に転化したものである。Al酸化層領域26Bは、電気抵抗の高い領域であって電流狭窄領域として機能する一方、中央の円形のAlAs層領域26Aは、元のp型AlAs層のままであって、電気抵抗が電流狭窄領域26Bより低い電流注入領域として機能する。
メサポスト26の上面で、コンタクト層24は、中央領域に内径20μmの円形の第1の開口部30を開口し、第1の開口部30を介して上部DBR22を露出させている環状層として形成されている。
コンタクト層24の周縁部上、メサポスト26の側面、及び両脇の下部DBR14上には、絶縁膜、例えば膜厚300nmのSiO膜32が延在している。コンタクト層24上のSiO膜32は、第1の開口部30より大きな内径35μmの円形の第3の開口部34を有して、コンタクト層24を環状に露出させている。
膜厚500nmのTi/Pt/Au金属積層膜からなるp側電極36が、コンタクト層24の第1の開口部30の内周部の上部DBR22上からコンタクト層24上に、次いでSiO膜32上に延在し、かつ上部DBR22上で内径14μmの円形の第2の開口部38を形成し、第2の開口部38から上部DBR22を露出させている。
電流狭窄層28のAlAs層領域(電流注入領域)28Aの直径(12μm)は、図2に示すように、p側電極36の第3の開口部38の内径(14μm)より僅かに小さい。
n型GaAs基板12の裏面には、AuGe/Ni/Auからなるn側電極40が形成されている。
図3を参照して、本実施形態例の上部DBR22上の光学的要素を模式的に説明する。本実施形態例の面発光型半導体レーザ素子10では、上部DBR22上のコンタクト層24、SiO膜32、及びp側電極36が、電気的機能と光学的機能とを兼ね備えている。
上述の構造を光学的要素に分解すると、図3(a)に示すように、第1には、第1の開口部30を有してリング状に延在するコンタクト層24、第3の開口部34を有してコンタクト層24上にリング状に延在するSiO膜32が階段状に形成されている。これにより、複素屈折率が第1の開口部30の中心、つまり発光面の中心から外方に等方的に大きくなるので、図3(b)に示すように、凹レンズ42の作用を行う複素屈折率分布構造を構成している。
第2には、第2の開口部38を備えたp側電極36は、光に対してアパーチャ機能を有し、p側電極36の金属の複素屈折率を考慮すると、図3(b)に示すように、吸収性開口44と凸レンズ46とを合成した複素屈折率分布構造と等価な光学的機能を有する。
例えば、金(Au)の複素屈折率は、波長0.85μmのレーザ光に対して屈折率実部が0.2、虚部(吸収係数)が5.6である。
つまり、本実施形態例の面発光型半導体レーザ素子10では、第1の開口部30を有するコンタクト層24の屈折率が開口領域の屈折率より大きい。また、第2の開口部38を有するp側電極36の吸収係数は開口領域の吸収係数より大きい。
これにより、上述の凸レンズ42と吸収性開口44とを合成した光学的構造と凹レンズ46とを併せてなる複合光学系が発光面に構成されていることになる。しかも、複合光学系が面発光型半導体レーザ素子10の共振器構造に接して配置されているので、この構造が共振器構造の一部として機能する。
以上の構成により、面発光型半導体レーザ素子10では、図3(b)に示すように、電流狭窄層28の電流狭窄作用によってある程度選択されたレーザ共振モードのうち、出射角が広い高次のモードは凹レンズ42で散乱し、吸収性開口44で吸収され、更に凸レンズ46で収束されるという作用効果が生じる。
また、これらの作用効果が、共振器内の共振条件として取り込まれ、電流狭窄層28の均一発光アパーチャ効果との組み合わせの作用で、ほぼ一つの横モードが強制的に選択され、単峰性で発振するにいたる。
よって、光出力を上げた際、多モードの横モードで光が発振しても、凹レンズ42、アパーチャ44及び凸レンズ46の作用により、電流狭窄層28のアパーチャ効果と相まって、ほぼ一つの横モードが強制的に選択されるので、多モードの横モードが単峰化され、シングル横モードとなる。
後述の方法によって本実施形態例の面発光型半導体レーザ素子10を作製し、FFP半値全幅を測定したところ、図4に示すように、5.5°である。これは、狭窄径を4μm程度にした従来の面発光型半導体レーザ素子に比べて半分以下の値であって、単峰性横モードと評価できる。図4は本実施形態例の面発光型半導体レーザ素子10のFFP(遠視野像)を示すグラフである。ここで、H波形及びV波形は相互に直交する面内における出射ビームの強度分布である。
つまり、本実施形態例では、コンタクト層24、SiO膜32、p側電極40の階段状の構成により、第2の開口部38の中心、つまり発光面の中心から外方に変化する複屈折率分布が形成され、横モードがシングルモード化される。
本実施形態例の面発光型半導体レーザ素子10は、従来の多モードの面発光型半導体レーザ素子と同程度の光出力を出力することができ、従来の多モードの面発光型半導体レーザ素子と同じ電気的構造であるから、抵抗、インピーダンスも同等値である。
本実施形態例の面発光型半導体レーザ素子10は単峰性横モードでレーザ光を出射するので、本面発光型半導体レーザ素子10を高い光結合効率で実際の光ファイバに光結合することができる。
面発光型半導体レーザ素子の製造方法の実施形態例
本実施形態例は本発明に係る面発光型半導体レーザ素子の製造方法を上述の面発光型半導体レーザ素子10の製造に適用した実施形態の一例である。図5(a)と(b)、図6(c)と(d)、及び図7(e)と(f)は、それぞれ、本実施形態例の方法に従って面発光型半導体レーザ素子10を製造する際の各工程を説明する断面図である。
先ず、図5(a)に示すように、n型GaAs基板12上に、MOCVD法等により、順次、下部DBR14、下部クラッド層16、発光層(活性層)18、上部クラッド層20、上部DBR22、及びp型GaAsコンタクト層24の積層構造を形成する。
上部DBR22の形成に際しては、上部DBR22の活性層18に最も近い層は、p型Al0.9Ga0.1As層に代えて、膜厚30nmのAlAs層26を成膜する。
次いで、図5(b)に示すように、塩素系ガスを用いたドライエッチング方法により、コンタクト層24、上部DBR22、上部クラッド層20、活性層18、下部クラッド層16、及び下部DBR14の上部をエッチングして、メサ径40μmの円柱状のメサポスト26を形成する。
次いで、温度400℃で水蒸気酸化を行い、メサポスト26の外周から内方にAlAs層26中のAlを選択的に酸化して、直径12μmの円形のAlAs層領域26Aを中央に残すと共にAlAs層領域26Aの周囲にAl酸化層領域26Bを環状に設けて、酸化狭窄型の電流狭窄層を形成する。
次いで、図6(c)に示すように、メサポスト26のコンタクト層24上、メサポスト26の側面、及びメサポスト26脇の下部DBR14上にSiO膜32を成膜する。
次に、図6(d)に示すように、SiO膜32をエッチングして、内径35μmの開口部34を開口する。
続いて、図7(e)に示すように、開口部34から露出するコンタクト層24をエッチングして、内径20μmの開口部36を形成する。
次いで、図7(f)に示すように、メサポスト26の上面にTi/Pt/Au金属積層膜39を成膜する。
更に、金属積層膜39をエッチングして開口部38を設けてp側電極34を形成し、n型GaAs基板12を所定基板厚さに研磨した後、n側電極38をn型GaAs基板12の裏面に設けて、図1に示す面発光型半導体レーザ素子10の構造を作製することができる。
上述のように、コンタクト層24及びp側電極36の加工寸法を変えるだけで、従来の面発光型半導体レーザ素子とまったく同じ作製工程で、面発光型半導体レーザ素子10を作製することができる。
実施形態例1の面発光型半導体レーザ素子の変形例
本変形例は実施形態例1の発光型半導体レーザ素子の変形例であって、図8は本変形例の面発光型半導体レーザ素子の構成を示す断面図である。
本変形例の面発光型半導体レーザ素子の要部50は、コンタクト層52の構成が異なること、及びそれによってp側電極54の構成が異なることを除いて、実施形態例1の面発光型半導体レーザ素子10と同じ構成を備えている。
本実施形態例のコンタクト層52は、図8に示すように、不純物濃度が段階的に低くなる上層、中間層、及び下層の3層のコンタクト層52A、52B、52Cとから構成されている。
下層のコンタクト層52Cは、例えば不純物濃度が5×1018で、不純物濃度が3層のうちで最も低い層であって、かつ3層のうちで最も小さい開口部56Cを備えている。中間層のコンタクト層52Bは、例えば不純物濃度が1×1019で、不純物濃度が下層より高く、上層より低い層であって、かつ下層の開口部56Cより大きく、上層の開口部56Aより小さい開口部56Bを備えている。上層のコンタクト層52Aは、例えば不純物濃度が3×1019で、不純物濃度が3層のうちで最も高い層であって、かつ3層のうちで最も大きい開口部56Aを備えている。
p側電極54は、コンタクト層52A、52B、52C及びそれぞれの開口部56A、56B、56Cの形状に従って、階段状に形成されている。
上述のようなコンタクト層52及びp側電極54の構成により、効果的な複素屈折率分布構造が構成され、光の集束効果が高まるので、単峰性化が一層容易になる。
上述のコンタクト層52の3段開口を形成するには、図9に示すように、不純物濃度が段階的に低くなる上層コンタクト層52A上にエッチングマスク58を設け、不純物濃度の違いによりエッチング速度が異なることを利用して、3層のコンタクト層52A、52B、及び52Cを同じエッチング条件でドライエッチングすることにより、3層のコンタクト層52A、52B、及び52Cに所望の大きさの開口部56A、56B、及び56Cを開口することができる。
本変形例で、不純物濃度に代えて、コンタクト層のAl組成が、段階的に低くなる上層、中間層、及び下層の3層のAlを含有するコンタクト層を形成し、次いでAl組成の違いによりエッチング速度が異なることを利用して、3層のコンタクト層を同じエッチング条件でドライエッチングすることにより、3層のコンタクト層に開口径が上層から下層に順次小さくなる開口部を開口することもできる。
面発光型半導体レーザ素子の他の例
実施形態例1の面発光型半導体レーザ素子は、横モードのシングルモード化を実現しているが、本発明の技術的思想は、面発光型半導体レーザ素子の更に多様な横モード制御を可能にしていて、高次モードも制御することができる。
この例は、面発光型半導体レーザ素子の一例であって、図10(a)から(c)は、それぞれ、本例の面発光型半導体レーザ素子の構成を示す断面図、平面図、及び横モードの波形図である。
この例の面発光型半導体レーザ素子は、TE01モード(ドーナツ状発光パターン)を発光させる面発光型半導体レーザ素子であって、その要部60として、図10(a)及び(b)に示すように、円形の中央電極64と、環状の出射窓66を介して実施形態例1と同様に設けられた環状の電極68とから構成されているp側電極62を備えている。
この例の面発光型半導体レーザ素子は、p側電極62の構成が異なることを除いて、実施形態例1の面発光型半導体レーザ素子10の構成と同じ構成を備えている。
この例のコンタクト層24及びp側電極62の効果は、シングルモードの面発光型半導体レーザ素子10で説明した複素屈折率分布構造の効果と同じであって、所望の高次モードより低次のシングル基本モードを抑圧すると同時に、所望の高次モードより更に高次のモードを抑圧している。
この例では、発光面中央領域に設けた円形の中央電極(金)64で基本モードを吸収抑圧し、電流狭窄層28(図1参照)によるアパーチャ効果と、コンタクト層24の複素屈折率分布による凹レンズ効果とによってTE01モードより高次のモードを散乱して、TE01モードを選択的に出射する。
この例では、電流狭窄層の酸化狭窄径をTE01モードの以外の横モードのカットオフ条件を満たすようにしておけば、更にTE01モードの選択効果が高くなる。
高次モード制御に関する従来例では、例えば特開2002−35432号公報が、メサ表面に深さが半波長、または1/4波長となる溝(または凹凸形状)を形成し、不要な励起モードを干渉によって打ち消し、または必要なモードをエンハンスすることによってモード選択することを提案している。
しかし、この方法は、イオンビームエッチングなどの後加工プロセスでメサに機能を付与できる反面、デバイスを一個ずつ加工するために、作業性が悪く、仮にパターニングでエッチングする場合でも、干渉光路差となる溝の溝深さの要求精度を高くする必要があるので、実用デバイスに応用するためには困難と考えられる。
一方、この例では、共振器構造の最上部に複素屈折率分布構造を付与することで、レーザ共振に寄与するモードを選択できる。しかも、メサ上面の化合物半導体層、絶縁膜、及び電極の形状や屈折率による複素屈折率分布構造を、通常の作製プロセスを適用し、従来の製造工程に対する追加工程無しで加工できる。また、複素屈折率分布構造の各部の作製精度も、通常の面発光型半導体レーザ素子の製造精度と同等であって、高精度は必要なく、現在用いている汎用のプロセス加工精度で十分であり、作製再現性も良い。
比較例
この比較例は、本発明に係る面発光型半導体レーザ素子の実施形態例に対する比較例であって、図11は比較例の面発光型半導体レーザ素子の構成を示す断面図である。
この比較例の面発光型半導体レーザ素子の要部70は、図11に示すように、メサ上面に光をランダムに散乱する散乱構造、微細な凹凸面を有するコンタクト層72を備えている。
これにより、コンタクト層72の表面の凹凸による散乱によって、発振モードが影響をうけ、非常に多くのモードがランダムで発振する。この発光は、かなり多くのモードを含み、ランダムなパターン発光が得られる。
以上説明したように、本発明によれば、環状の金属膜及びその外側の環状の化合物半導体層により、環状の金属膜の開口部の中心、つまり発光面の中心から外方向に複素屈折率が変化する複素屈折率分布構造を上部反射鏡上に構成することにより、横モードを単峰化できる面発光型半導体レーザ素子を実現している。
本発明の面発光型半導体レーザ素子を適用することにより、光ファイバや光導波路への結合光学系の構造を著しく簡易化し、しかも、通常の端面放射型半導体レーザ素子に比べても出射角が小さいので、光ファイバに高い光結合効率で結合することができる。
特に、本発明に係る面発光型半導体レーザ素子の単峰性横モードにより、従来の面発光型半導体レーザ素子では困難であった石英のシングルモードファイバへの結合も可能になる。例えば、赤外1.3μm帯、1.55μm帯等の長波長帯に本発明に係る面発光型半導体レーザ素子を適用することにより、数十キロの長距離伝送にも利用することもできる。
また、結合光学系を用いることがコスト上難しい光配線の分野では、本発明に係る面発光型半導体レーザ素子を適用することにより、高効率直接結合が可能となり、利用効果が大きい。
また、環状の金属膜及び島状の金属膜、並びに環状の化合物半導体層によって環状の金属膜の開口部の中心から外方向に複素屈折率が変化する複素屈折率分布構造を上部反射鏡上に構成することにより、横モードを所望の高次モードに制御できる面発光型半導体レーザ素子を実現できる。
様々な発光パターンを必要とする医療や加工、センサなどの応用分野に、このような構成の面発光型半導体レーザ素子を適用して得られる効果は大きい。
また、本発明による面発光型半導体レーザ素子の製造方法によれば、第1の発明に係る面発光型半導体レーザ素子の好適な製造方法を実現している。
実施形態例1の面発光型半導体レーザ素子の構成を示す断面図である。 図1の面発光型半導体レーザ素子の上面図である。 図3(a)は実施形態例1の面発光型半導体レーザ素子の主要部の構成を示す模式的断面図、及び図3(b)は図3(a)に対応して主要部の機能を説明する模式的断面図である。 実施形態例1の面発光型半導体レーザ素子10のFFP(遠視野像)を示すグラフである。 図5(a)と(b)は、それぞれ、実施形態例の方法に従って面発光型半導体レーザ素子を製造する際の各工程を説明する断面図である。 図6(c)と(d)は、それぞれ、図5(b)に続いて、実施形態例の方法に従って面発光型半導体レーザ素子を製造する際の各工程を説明する断面図である。 図7(e)と(f)それぞれ、図6(d)に続いて、実施形態例の方法に従って面発光型半導体レーザ素子を製造する際の各工程を説明する断面図である。 実施形態例1の変形例の面発光型半導体レーザ素子の構成を示す断面図である。 実施形態例1の変形例の面発光型半導体レーザ素子を作製する際の工程を説明する断面図である。 図10(a)から(c)は、それぞれ、面発光型半導体レーザ素子の一例の構成を示す断面図、平面図、及び横モードの波形図である。 比較例の面発光型半導体レーザ素子の構成を示す断面図である。 従来の面発光型半導体レーザ素子の構成を示す断面図である。 図13(a)及び(b)は、それぞれ、従来の面発光型半導体レーザ素子の各製造工程を示す断面図である。 図14(a)は第1の発明に係る面発光型半導体レーザ素子の主要部の構成を示す模式的断面図、及び図14(b)は主要部の機能を説明する模式的断面図である。
符号の説明
10.実施形態例の面発光型半導体レーザ素子、12.n型GaAs基板、14.下部DBR、16.下部クラッド層、18.発光層(活性層)、20.上部クラッド層、22.上部DBR、24.p型GaAsコンタクト層、26.メサポスト、28.電流狭窄層、28A.AlAs層領域、28B.Al酸化層領域、30.開口部、32.SiO2 膜、34.開口部、36.p側電極、38.開口部、39.金属積層膜、40.n側電極、42.凹レンズ、44.アパーチャ、46.凸レンズ、50.実施形態例2の面発光型半導体レーザ素子の要部、52.コンタクト層、54.p側電極、56.開口部、60.実施形態例2の面発光型半導体レーザ素子の要部、62.p側電極、64.中央電極、66.環状の出射窓、68.環状の電極、70.比較例の面発光型半導体レーザ素子の要部、72.コンタクト層、80.従来の面発光型半導体レーザ素子、82.n型GaAs基板、84.下部DBR、86.下部クラッド層、88.発光層(活性層)、90.上部クラッド層、92.上部DBR、94.p型GaAsキャップ層、96.メサポスト、98.電流狭窄層、98A.電流注入領域、98B.電流狭窄領域、100.SiN膜、102.p側電極、104.n側電極、106.引き出し電極

Claims (9)

  1. 基板上に、順次、半導体多層膜からなる下部反射鏡、活性層、及び半導体多層膜からなる上部反射鏡を備えてなる面発光型半導体レーザ素子において、
    前記上部反射鏡を露出させる第1の開口部を備えて前記上部反射鏡上に延在する化合物半導体層と、
    前記第1の開口部の内側に前記上部反射鏡を露出させる第2の開口部を備えて環状に前記化合物半導体層上に延在する金属膜と
    を備え、
    前記第1の開口部の内径は、前記第2の開口部の内径に比して大とされて構成された
    ことを特徴とする面発光型半導体レーザ素子。
  2. 前記金属膜と前記化合物半導体層とが、前記第2の開口部の中心から外方向に複素屈折率が変化する複素屈折率分布構造を構成していることを特徴とする請求項1記載の面発光型半導体レーザ素子。
  3. 前記第1の開口部の外側の前記化合物半導体層を露出させる第3の開口部を備えて、前記化合物半導体層と前記金属膜との間に介在する絶縁膜を有し、
    前記金属膜、前記化合物半導体層、及び前記絶縁膜が、前記第2の開口部の中心から外方向に複素屈折率が変化する複素屈折率分布構造を構成していることを特徴とする請求項1記載の面発光型半導体レーザ素子。
  4. 前記金属膜が電極を構成し、前記化合物半導体層が前記金属膜とオーミックコンタクトするコンタクト層を構成することを特徴とする請求項1記載の面発光型半導体レーザ素子。
  5. 前記上部反射鏡又は前記下部反射鏡の活性層近傍の領域に電流狭窄層を有することを特徴とする請求項1記載の面発光型半導体レーザ素子。
  6. 前記電流狭窄層の中央領域に設けてある非酸化の電流注入領域が、前記第1の開口部の下方に位置し、前記電流注入領域の不純物濃度が5×1018cm−3以上で、前記電流注入領域の電流注入密度が領域全域にわたり均一であることを特徴とする請求項5記載の面発光型半導体レーザ素子。
  7. 少なくとも前記上部反射鏡がエッチングされてメサポストとして形成されていることを特徴とする請求項1記載の面発光型半導体レーザ素子。
  8. 基板上に、順次、半導体多層膜からなる下部反射鏡、活性層、半導体多層膜からなる上部反射鏡、及び化合物半導体層を形成する工程と、
    少なくとも前記上部反射鏡をエッチングして、メサポストを形成する工程と、
    前記メサポストの前記化合物半導体層上及び前記メサポストの側面に絶縁膜を成膜する工程と、
    前記化合物半導体層上の絶縁膜に開口を設け、前記化合物半導体層を露出させる工程と、
    前記絶縁膜の開口より小さい開口を前記化合物半導体層に設け、前記上部反射鏡を露出させる工程と、
    電極を構成する金属膜を前記上部反射鏡上及び前記化合物半導体層上に設け、かつ前記化合物半導体層の開口より小さい開口を前記金属膜に設け、前記上部反射鏡を露出させる工程と
    を有することを特徴とする面発光型半導体レーザ素子の製造方法。
  9. 前記上部反射鏡の一部にAl含有層が設けられ、
    前記メサポストのAl含有層を水蒸気酸化して、前記Al含有層の中央領域を非酸化のAl含有層からなる第1の電流注入領域として残すと共に、電流注入領域を囲むAl酸化層からなる電流狭窄領域を形成する工程と、
    を有することを特徴とする請求項8記載の面発光型半導体レーザ素子の製造方法。
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