JP2006245146A - 磁気抵抗効果素子、及び磁気抵抗効果素子の製造方法 - Google Patents

磁気抵抗効果素子、及び磁気抵抗効果素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
MR比が高く、交換結合磁場Hex及びカップリング磁場Huaが高い磁気抵抗効果素子を提供する。
【解決手段】
磁気抵抗効果素子の製造方法は、(a)基板2の上方にバッファー層3を成膜する工程と、(b)バッファー層3上に反強磁性層4を成膜する工程と、(c)反強磁性層4上に固定層5を成膜する工程と、(d)固定層5上にトンネルバリヤ層6に用いる金属膜9を形成し、金属膜9を酸化してトンネルバリヤ層6を形成する工程と、(e)トンネルバリヤ層6上にフリー層7を成膜する工程とを具備する。固定層5における第1成膜前酸素分圧及びフリー層7における第2成膜前酸素分圧の少なくとも一方は、バッファー層3の第3成膜前酸素分圧よりも低い。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁気抵抗効果素子、及び磁気抵抗効果素子の製造方法に関し、特に磁気的及び電気的特性を改善した磁気抵抗効果素子、及び磁気抵抗効果素子の製造方法に関する。
MRAM(Magnetic Random Access Memory)、再生用磁気ヘッド、磁気センサーには磁場を感知することで抵抗が変化する磁気抵抗効果素子が用いられている。磁気抵抗効果素子としては、TMR(Tunneling Magneto−Resistance)素子やGMR(Giant Magneto−Resistance)素子に例示される。特に、TMR素子は、GMR素子よりも室温での磁気抵抗変化率(MR比)が大きいことから、MRAMや再生用磁気ヘッドに用いる磁気抵抗効果素子としてその性能の向上が期待されている。
TMR素子は、二つの強磁性体層の間に数オングストロームから数nmという極薄のトンネルバリア層を挟んだ構造を持つ。TMR素子は、下部の強磁性体層と上部の強磁性体層の磁化の相対角が小さいときはトンネル確率が高く、大きいときにはトンネル確率が低いことから磁気抵抗効果が現れる。図1は、従来のTMR素子の構造の一例を示す断面図である。TMR素子101は、基板102、バッファー層103、反強磁性体層104、固定層105、トンネルバリア層106、フリー層107、キャップ層108を具備する。
トンネルバリア層106は、一般にアルミニウム(Al)のような金属を酸化することで得られる。Alのような金属の酸化方法としては、プラズマ酸化法、ラジカル酸化法が例示される。Alのような金属を過不足なく酸化させたトンネルバリア層106を用いる場合、TMR素子のMR比が最も高くなる。酸化が足りずに未酸化な金属が残っている、又は、酸化が行き過ぎて強磁性体層まで酸化してしまっているトンネルバリア層106を用いる場合、TMR素子のMR比は低くなる。このような事実は、例えば、“Optimum tunnel barrier in ferromagnetic−insulator−feromagnetic tunneling structures”,J.S.Moodera,et al,Appl.Phys.Lett.,Vol.70,p.3050−3052,1997(非特許文献1)に開示されている。
反強磁性体層104は、例えば、PtMn、FeMnのようなMnを含む合金を備える。固定層105は、例えば、Fe、Co、Niのうちいずれかを含む磁性単金属又は磁性合金層、若しくは、Fe、Co、Niのうちいずれかを含む磁性単金属又は磁性合金層/非金属層/Fe、Co、Niのうちいずれかを含む磁性単金属又は磁性合金層という三層構造(積層フェリ構造)を備える。フリー層107は、Fe、Co、Niのうちいずれかを含む磁性金属層を備える。
反強磁性体層104と固定層105とによりトンネルバリア層106に接する強磁性体層のうち一方を固定するのは、外部擾乱磁場や熱擾乱の影響を排除するためである。この固定層105をも反転する磁場を交換結合磁場Hexという。この交換結合磁場Hexが大きいほど外部擾乱磁場や熱擾乱の影響を受け難くなる。
一方、フリー層107が反転する磁場を調節するために積層フェリ構造を用いる場合、積層フェリ構造における非磁性層を挟んだ両磁性層間のカップリング磁場Huaが問題になる。この構造ではカップリング磁場Huaが大きいほど外部擾乱磁場や熱擾乱の影響を受け難くなる。
バッファー層103は、反強磁性体層104の結晶性を制御して高い交換結合磁場Hex、及び高いカップリング磁場Huaを得るために基板102と反強磁性体層104との間に挿入される。バッファー層103としては,NiFe/Taが例示される。キャップ層108は、保護膜として用いられる。キャップ層108としては、Taが例示される。バッファー層103やキャップ層108については、例えば、“Direct observation of the barrier asymmetry in magnetic tunnel junctions”,P.H.P.Koller,et al,Appl.Phys.Lett.,Vol.84,p.4929−4931,2004(非特許文献2)に開示されている。
TMR素子101の製造では、一般にTMR素子101の各層の成膜とトンネルバリア層106の酸化が連続的に行われる。その際、各層を途中で大気に曝すことなく真空中で製造可能な真空成膜装置を用いる。成膜手法としてはスパッタリングが一般的である。例えば、アネルバ株式会社製C−7100は、TMR膜製造可能なスパッタ成膜装置であり、成膜室は10−9Torr台の真空度に引くことが可能である(C−7100 MRAM/HEAD Sputtering Equipment Catalogue,ANELVA Corporation(非特許文献3))。また、株式会社アルバック社製のMagest S200も、スパッタリングターゲット3基を有する複数の成膜室を持つスパッタリング成膜装置で、成膜室は大気解放後6時間で10−7Pa台の真空度に引くことが可能である(MAGEST S200 Catalogue,ULVAC Inc.(非特許文献4))。
これらの成膜装置において、TMR素子101の各層のスパッタ成膜時には、ある程度成膜室の真空度を高めた後にAr等のガスを導入し、導入ガスのプラズマを立ててターゲットをスパッタするというような過程が一般的である。各層の成膜前真空度をあえて異なるようにしたり、成膜前にあえて真空度を低くするためにスローリーク等をしたりといったことは行われていなかった。
関連する技術として再公表00/65614号公報に磁気抵抗効果膜の製造方法が開示されている。この技術は、所定の基体上に、自由磁化層、非磁性体層、固定磁化層及び反強磁性体層を順に又は逆に積層する磁気抵抗効果膜の製造方法である。最初に、成膜室内に前記基体を配して、該成膜室内の到達真空度を10−10Torr台以下とする。その後、該成膜室内に少なくとも酸素を含むガスaを導入し、該成膜室内の真空度を3×10−9Torr以上1×10−8Torr以下の一定圧力に変更する。次に、Arからなるガスbを導入し、前記ガスaと前記ガスbの混合ガスを用いて、所定のターゲットをスパッタリングすることにより、非磁性体層の下に位置する自由磁化層又は固定磁化層と非磁性体層とを形成する。
すなわち、所定の到達真空度に達した後、自由磁化層と非磁性体層とを連続して形成する。従って、到達真空度は自由磁化層と非磁性体層とで同一である。固定磁化層と非磁性体層とを連続して形成する場合も同様である。
また、同じ再公表00/65614号公報の磁気抵抗効果膜の製造方法は、前記自由磁化層上に前記非磁性体層が積層される場合は該自由磁化層を形成後に、又は、前記固定磁化層上に前記非磁性体層が積層される場合は該固定磁化層を形成後に、成膜室内に少なくとも酸素を含むガスaを導入し、該非磁性体層の下に位置する該自由磁化層又は該固定磁化層の表面の暴露量が6L以上20L以下、但し1L(ラングミュラー)=1×10−6Torr・sec、となるように、該自由磁化層又は該固定磁化層の表面を所定圧力の酸素雰囲気に所定の時間暴露する工程、及び、 前記暴露後の成膜室内に、前記ガスaに代えてArからなるガスbを導入し、前記ガスbを用いて、所定のターゲットをスパッタリングすることにより、前記暴露後の前記自由磁化層又は前記固定磁化層の表面上に前記非磁性体層を形成する工程、を少なくとも有する。
すなわち、該非磁性体層の下に位置する層(固定磁性層又は自由磁性層)を形成した後に、その層の表面を酸素を含むガスaに暴露する。
特開2004−119903号公報に磁気抵抗効果素子及びその製造方法が開示されている。この磁気抵抗効果素子製造方法は、(A)真空容器の中で、反強磁性層を基板の上面側に形成する工程と、(B)前記反強磁性層の形成の後、前記真空容器に酸化性ガスを導入する工程と、(C)前記真空容器から前記酸化性ガスを排気する工程と、(D)前記酸化性ガスの排気の後、前記反強磁性層の上に,固定強磁性層を形成する工程と、(E)前記第1強磁性層の上に、トンネルバリア層を形成する工程と、(F)前記トンネルバリア層の上に、第2強磁性層を形成する工程とを含む。上記(B)工程での酸素分圧は、0より大きく1×10−4Pa以下である。
この場合、(B)工程で酸化性ガスを導入しているが、これは反強磁性層の表面に酸素を吸着させ、その上に成膜される固定強磁性層の膜質を変えるためと記載されている。従って、(C)工程で酸化性ガスを排出するときは高真空に排気すると記載されている。
また、同じ特開2004−119903号公報に磁気抵抗効果素子及の製造方法は、(G)反強磁性層を基板の上面側に形成する工程と、(H)酸化性ガスを含む雰囲気で、前記反強磁性層の上に固定強磁性層を形成する工程と、(I)前記固定強磁性層の上に、トンネルバリア層を形成する工程と、(J)前記トンネルバリア層の上に、自由強磁性層を形成する工程とを含む。(H)工程の間の前記酸化性ガスの分圧は、形成された前記第1強磁性層が導電性を有するように定められ、例えば、0より大きく、5×10−5Paよりも小さい。
この場合、固定強磁性層の成膜時に雰囲気中の酸化性ガスの分圧を所定の値にしているが、これは雰囲気中の酸素が固定強磁性層に取り込まれることで、固定強磁性層の膜質を変えるためと記載されている。
特開2002−314166号公報に磁気抵抗効果素子及びその製造方法が開示されている。この技術は、基板側の第1の強磁性体層と、該第1の強磁性体層上の絶縁層と、該絶縁層上の第2の強磁性体層からなる強磁性トンネル接合を有する磁気抵抗効果素子の製造方法である。前記第1の強磁性体層上に金属または半導体を堆積する工程と、前記金属または前記半導体を基底状態にある酸素と反応させることで、金属の酸化物または半導体の酸化物からなる酸化物層を作製する工程と、前記酸化物層を励起状態にある酸素と反応させることで、前記絶縁層を作製する工程と、前記絶縁層上に前記第2の強磁性体層を作製する工程を有する。各層は、1×10−5Pa以下のバックグラウンド圧力のもとで形成されている。
特開2003−258335号公報にトンネル磁気抵抗効果素子の製造方法が開示されている。この技術は、基板上に、第1の強磁性層、トンネル絶縁層、第2の強磁性層がこの順に積層され、前記第1の強磁性層と第2の強磁性層の磁化方向の相対角度の違いによりトンネル磁気抵抗が異なるトンネル磁気抵抗効果素子の製造方法である。前記トンネル絶縁層前駆体である導電層を形成する第1の工程と、前記導電層を酸素雰囲気中で酸化させる第2の工程を含み、前記第1の工程において、前記導電層は0.4Å/秒以下の成膜速度でAl、Mg、Si、Taの少なくとも1種から形成されることを特徴とするトンネル磁気抵抗効果素子の製造方法。トンネル磁気抵抗効果素子は、到達真空度が1×10−8Torr以下の成膜チャンバーで成膜される。
特開2001−84532号公報に磁気抵抗効果素子の製造方法が開示されている。この技術は、2層の強磁性層の間に誘電体層を設けた構造を有する強磁性一重トンネル接合、または3層の強磁性層の各層間に誘電体層を設けた構造を有する強磁性二重トンネル接合を含む磁気抵抗効果素子を製造する。強磁性層上に誘電体膜を形成する工程と、酸素または窒素を含有するガスを導入して誘電体膜を酸化または窒化するか、前記ガスを導入した後にグロー放電させてプラズマ中で誘電体膜を酸化または窒化する工程とを具備している。
特開2003−324225号公報に積層フェリ型磁性薄膜並びにそれを使用した磁気抵抗効果素子及び強磁性トンネル素子が開示されている。この積層フェリ型磁性薄膜は、第1強磁性層、第2強磁性層、及びそれらの中間に配置されて双方に接する非磁性中間層を有し、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層が前記非磁性中間層を介して反強磁性的に磁気結合する。前記第1強磁性層が、少なくとも1層以上の層よりなる第1主強磁性層と、前記第1主強磁性層と前記非磁性中間層の中間に配置されて双方に接する第1界面強磁性層とからなる。前記第2強磁性層が、少なくとも1層以上の層よりなる第2主強磁性層と、前記第2主強磁性層と前記非磁性中間層の中間に配置されて双方に接する第2界面強磁性層とからなる。前記第1界面強磁性層及び前記第2界面強磁性層がCo又はCo合金により形成される。前記第1主強磁性層のうちの少なくとも1層及び前記第2主強磁性層のうちの少なくとも1層が前記第1界面強磁性層及び前記第2界面強磁性層より保磁力が小さい軟磁性膜により形成される。前記第1主強磁性層のうちの軟磁性膜よりなる層の合計膜厚が前記第1強磁性層の膜厚の60%以上である。前記第2主強磁性層のうちの軟磁性膜よりなる層の合計膜厚が前記第2強磁性層の膜厚の60%以上である。
"Optimum tunnel barrier in ferromagnetic−insulator−feromagnetic tunneling structures",J.S.Moodera,et al,Appl.Phys.Lett.,Vol.70,p.3050−3052,1997 "Direct observation of the barrier asymmetry in magnetic tunnel junctions",P.H.P.Koller,et al,Appl.Phys.Lett.,Vol.84,p.4929−4931,2004 C−7100 MRAM/HEAD Sputtering Equipment Catalogue,ANELVA Corporation MAGEST S200 Catalogue,ULVAC Inc. 再公表00/65614号 特開2002−314166号 特開2003−258335号 特開2004−119903号 特開2001−84532号 特開2003−324225号
TMR素子をデバイスとして用いるには、十分な信号強度を得るために高いMR比が必要である。更に、TMR素子をMRAMとして用いるには、交換結合磁場Hex及びカップリング磁場Huaを高くする技術が求められる。
本発明の目的は、MR比をより高くすることが可能な磁気抵抗効果素子、及び磁気抵抗効果素子の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、交換結合磁場Hex及びカップリング磁場Huaを高くすることが可能な磁気抵抗効果素子、及び磁気抵抗効果素子の製造方法を提供することにある。
以下に、発明を実施するための最良の形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための最良の形態との対応関係を明らかにするために括弧付きで付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
上記課題を解決するために、本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法は、(a)基板(2)の上方にバッファー層(3)を成膜する工程と、(b)バッファー層(3)上に反強磁性層(4)を成膜する工程と、(c)反強磁性層(4)上に固定層(5)を成膜する工程と、(d)固定層(5)上にトンネルバリヤ層(6)に用いる金属膜(9)を形成し、金属膜(9)を酸化してトンネルバリヤ層(6)を形成する工程と、(e)トンネルバリヤ層(6)上にフリー層(7)を成膜する工程とを具備する。固定層(5)における第1成膜前酸素分圧及びフリー層(7)における第2成膜前酸素分圧の少なくとも一方は、バッファー層(3)の第3成膜前酸素分圧よりも低い。
上記の磁気抵抗効果素子の製造方法において、その第1成膜前酸素分圧及びその第2成膜前酸素分圧の少なくとも一方は、圧力範囲が0.2×10−6Pa以上0.2×10−5Pa以下であり、その第3成膜前酸素分圧は、圧力範囲が0より大きく1.6×10−7Pa以下である。
上記課題を解決するために、本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法は、(a)基板(2)の上方にバッファー層(3)を成膜する工程と、(b)バッファー層(3)上に反強磁性層(4)を成膜する工程と、(c)反強磁性層(4)上に固定層(5)を成膜する工程と、(d)固定層(5)上にトンネルバリヤ層(6)に用いる金属膜(9)を形成し、金属膜(9)を酸化してトンネルバリヤ層(6)を形成する工程と、(e)トンネルバリヤ層(6)上にフリー層(7)を成膜する工程とを具備する。固定層(5)における第1成膜前酸素分圧及びフリー層(7)における第2成膜前酸素分圧の少なくとも一方は、金属膜(9)の第4成膜前酸素分圧よりも低い。
上記の磁気抵抗効果素子の製造方法において、その第1成膜前酸素分圧及びその第2成膜前酸素分圧の少なくとも一方は、圧力範囲が0.2×10−6Pa以上0.2×10−5Pa以下であり、その第3成膜前酸素分圧は、圧力範囲が0より大きく1.6×10−6Pa以下である。
上記の磁気抵抗効果素子の製造方法において、(a)工程から(e)工程における上記基板は大気中に曝露されない。
上記の磁気抵抗効果素子の製造方法において、(a)工程から(e)工程における成膜は、スパッタリング法により行われる。
上記の磁気抵抗効果素子の製造方法において、(b)工程は、(b1)バッファー層(3)上にMnを含む合金を成膜する工程を備える。
上記の磁気抵抗効果素子の製造方法において、(c)工程は、(c1)反強磁性層(4)上にFe、Co及びNiのうちのいずれかを含む磁性単金属膜若しくは磁性合金膜を成膜する工程、又は、(c2)Fe、Co及びNiのうちのいずれかを含む磁性単金属膜若しくは磁性合金膜/非磁性膜/Fe、Co及びNiのうちのいずれかを含む磁性単金属膜若しくは磁性合金膜の三層構造を成膜する工程、のいずれかを備える。
上記の磁気抵抗効果素子の製造方法において、(d)工程は、(d1)固定層(5)上にAl膜を形成し、そのAl膜を酸化して酸化アルミニウム膜を形成する工程を備える。
上記の磁気抵抗効果素子の製造方法において、(e)工程は、(e1)トンネルバリヤ層(6)上にFe、Co及びNiのうちのいずれかを含む磁性金属膜を成膜する工程を備える。
上記課題を解決するために、本発明のMRAMの製造方法は、(f)請求項1乃至10のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法を実行して、基板としての半導体基板上に行列状に配列された複数の磁気抵抗効果素子を形成する工程と、(g)その半導体基板上に周辺回路を形成する工程とを具備する。
上記課題を解決するために、本発明の磁気ヘッドの製造方法は、(h)請求項1乃至10のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法を実行して、磁気抵抗効果素子を形成する工程と、(i)その磁気抵抗効果素子を磁気ヘッド本体に搭載する工程とを具備する。
上記課題を解決するために、本発明の磁気センサの製造方法は、(j)請求項1乃至10のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法を実行して、磁気抵抗効果素子を形成する工程と、(k)その磁気抵抗効果素子を磁気センサ本体に搭載する工程とを具備する。
本発明によれば、磁気抵抗効果素子のMR比を高くし、交換結合磁場Hex及びカップリング磁場Huaを高くすることができる。
以下、本発明の磁気抵抗効果素子、及び磁気抵抗効果素子の製造方法の実施の形態に関して、添付図面を参照して説明する。
まず、本発明の磁気抵抗効果素子の実施の形態の構成について説明する。図2は、本発明の磁気抵抗効果素子としてのTMR素子の実施の形態の構成を示す断面図である。TMR素子1は、基板2、バッファー層3、反強磁性体層4、固定層5、トンネルバリア層6、フリー層7、キャップ層8を具備する。
基板2は、その表面に熱酸化シリコン膜を有する基板である。バッファー層3は、第1バッファー層12及び第2バッファー層13を備える。第1バッファー層12及び第2バッファー層13は、ここではTa膜(膜厚20nm)、Ni80Fe20膜(膜厚1nm)をそれぞれ用いている。反強磁性体層4は、ここでは、Pt50Mn50膜(膜厚20nm)を用いている。固定層5は、積層フェリ構造を有し、第1磁性層15、非磁性層16及び第2磁性層17を備える。第1磁性層15、非磁性層16及び第2磁性層17は、ここではCo90Fe10膜(膜厚2.5nm)、Ru膜(膜厚0.9nm)、及びCo90Fe10膜(膜厚2.5nm)をそれぞれ用いている。トンネルバリア層6は、ここではAl膜(膜厚0.82nm)を成膜した後にプラズマ酸化法により酸化したAlOx膜を用いている。フリー層7は、ここではNi80Fe20膜(膜厚4nm)を用いている。キャップ層8は、ここではTa膜(膜厚50nm)を用いている。
図3は、TMR素子を製造する成膜装置の例を示す構成図である。
図3(a)は、1チャンバー内に1ターゲットを持つ成膜装置である。6室の成膜室23と1室の酸化室22を持つ。基板導入室25から導入された基板は、搬送室24経由で各成膜室23へ導入される。成膜室23はそれぞれバルブを介してスパッタ用Arガスを導入できるようになっている。成膜室23aには特にスローリークポート27を設置し、酸素や乾燥大気のような酸素を含むガス21を、圧力制御を行いながら導入できるようになっている。このスローリークポート27を介してガス21を導入して、成膜前の酸素分圧を変更(調整)することができる。スローリークポート27は、他の成膜室23にも設置可能である。
図3(b)は、1チャンバー内に多数のターゲットを持つ成膜装置である。1室の成膜室23と1室の酸化室22を持つ。基板導入室25から導入された基板は、成膜室23における所定の成膜用ターゲット26のいずれかに対向する位置に導入される。成膜室23はバルブを介してスパッタ用Arガスを導入できるようになっている。成膜室23は、スローリークポート27を有し、酸素や乾燥大気のような酸素を含むガス21を、圧力制御を行いながら導入できるようになっている。このスローリークポート27を介してガス21を導入して、成膜前の酸素分圧を変更(調整)することができる。
TMR素子1の各層の成膜、及び酸化によるトンネルバリア層6の形成は上記の図3(a)又は図3(b)の成膜装置を用いて製造することができる。この場合、各層の成膜及び酸化によるトンネルバリア層6の形成を大気に曝すことなく連続的に行うことができる。
次に、本発明の磁気抵抗効果素子としてのTMR素子の製造方法の実施の形態について説明する。
図4は、本発明の磁気抵抗効果素子としてのTMR素子の製造方法の実施の形態を示す断面図である。図4(a)を参照して、乾燥大気(酸素分圧20%)を導入した状態から真空引きを行い、成膜室23を所定の成膜前真空度とする。それにより所定の成膜前酸素分圧となる。ここで、成膜前真空度とは、成膜ガス(ここではArガス)を導入する直前の成膜室23の真空度(到達圧力)である。成膜前酸素分圧とは、その成膜前真空度の圧力中の酸素分圧である。その後、成膜室23にArガスを導入し、基板2上に第1バッファー層12としてのTa膜をスパッタ法で成膜する。膜厚は20nmである。続いて、第1バッファー層12上に第2バッファー層13としてのNi80Fe20膜をスパッタ法で成膜する。膜厚は1nmである。
図4(b)を参照して、成膜室23を所定の成膜前真空度とする。それにより所定の成膜前酸素分圧となる。その後、成膜室23にArガスを導入し、第2バッファー層13上に反強磁性体層4としてのPt50Mn50膜をスパッタ法で成膜する。膜厚は20nmである。
図4(c)を参照して、成膜室23を所定の成膜前真空度とする。それにより所定の成膜前酸素分圧となる。その後、成膜室23にArガスを導入し、反強磁性体層4上に固定層5の第1磁性層15としてのCo90Fe10膜、非磁性層16としてのRu膜、及び第2磁性層17としてのCo90Fe10膜の積層フェリ構造をスパッタ法で成膜する。膜厚は、それぞれ2.5nm、0.9nm、及び膜厚2.5nmである。ただし、固定層5としてCo90Fe10膜のような単層膜を用いても良い。
図4(d)を参照して、成膜室23を所定の成膜前真空度とする。それにより所定の成膜前酸素分圧となる。その後、成膜室23にArガスを導入し、固定層5上にAl膜9をスパッタ法で成膜する。膜厚は0.82nmである。続いて、このAl膜9を所定の時間、酸素プラズマに曝すプラズマ酸化法により酸化する。これにより、トンネルバリア層6としてのAlOx膜が形成される。
図4(e)を参照して、成膜室23を所定の成膜前真空度とする。それにより所定の成膜前酸素分圧となる。この場合、例えば、一度、成膜室23(23a)の真空度を相対的に高い真空度(低目の圧力)とした後、スローリークポート27からガス21(乾燥大気)を導入し、成膜前真空度を相対的に低い真空度(高目の圧力)とする。その後、成膜室23にArガスを導入し、トンネルバリア層6上にフリー層7としてのNi80Fe20膜をスパッタ法で成膜する。膜厚は4nmである。続いて、フリー層7上にキャップ層8としてのTa膜をスパッタ法で成膜する。膜厚は50nmである。
以上のようにして、TMR素子1を製造する。
ここで、上記の製造方法における製造条件について説明する。
図5は、フリー層7の成膜前真空度とMR特性との関係を示すグラフである。左側の縦軸はMR比を示し、右側の縦軸は規格化接合抵抗を示し、横軸はAl膜9のプラズマによる酸化時間を示す。ここで、成膜前真空度とは、成膜ガスを導入する前の成膜室の真空度(到達真空度)である。フリー層7を除く各層に関する成膜前真空度を2〜5×10−7Paとし、フリー層7の成膜前真空度を2×10−6Paと4×10−7PaとしてMR比及び規格化接合抵抗を比較した。曲線32はフリー層7の成膜前真空度が2×10−6Paの場合のMR比、曲線31はフリー層7の成膜前真空度が4×10−7Paの場合のMR比をそれぞれ示す。曲線34はフリー層7の成膜前真空度が2×10−6Paの場合の規格化接合抵抗、曲線33はフリー層7の成膜前真空度が4×10−7Paの場合の規格化接合抵抗をそれぞれ示す。Al膜9の酸化条件は出力を300Wと固定し、酸化時間を4、6、8秒と変えた。その結果、いずれの酸化時間の場合においても、2×10−6PaのMR比(曲線32)が、4×10−7PaのMR比(曲線31)に比較して1〜2.5%高かった。この実験はベースの雰囲気として乾燥大気を用いていることから、上記成膜前真空度における酸素分圧は、上記数値の約20%となる。
図6は、フリー層7の成膜前真空度とMR特性の関係を説明するた概略図である。図6(a)は、成膜前真空度(バックグラウンドの真空度)が4×10−7Paと高い(到達圧力が低い)ときを示す。図6(b)は、成膜前真空度(バックグラウンドの真空度)が2×10−6Paと低い(到達圧力が高い)ときを示す。ただし、ここでは反強磁性体層4としてPtMn膜4a、固定層5としてCoFe膜5a、トンネルバリア層6としてAl膜6a、フリー層7としてNiFe膜7aを用いている。
図6(a)を参照して、フリー層7における成膜前真空度が4×10−7Paと高い場合、NiFe膜7a/Al膜6a界面では一部の酸素がNiFe膜7aに抜けてしまい、その界面の酸素が不足し、一部はAl膜9aになってしまう。このような界面の劣化により、MR比が低下すると考えられる。一方、図6(b)を参照して、成膜前真空度が2×10−6Paと低い場合、NiFe膜7aの成膜時にNiFe膜7a中に含まれていた酸素やNiFe膜7a/Al膜6a界面に吸着した酸素が、その界面のAlを過不足無く酸化させる。その結果、その界面でもトンネルバリア層6aの膜質は高なり、高いMR比を得ることができる。この実験はベースの雰囲気として乾燥大気を用いていることから、上記成膜前真空度における酸素分圧は、上記数値の約20%となる。
以上のように、図5で示すような高いMR比が得られるフリー層7の成膜前真空度を示す到達圧力は、実験結果から、1×10−6Pa以上1×10−5Pa以下であった。酸素分圧では、0.2×10−6Pa以上0.2×10−5Pa以下である。1×10−6Pa以下の到達圧力の場合、上述のとおり界面が劣化してしまう。1×10−5Pa以上の到達圧力の場合、NiFe膜7a中の酸素が増え、NiFe膜7aの分極率が低下しMR比は下がってしまう。
図5及び図6では、フリー層7の成膜前真空度について説明している。しかし、固定層5の成膜前真空度についても同様の効果があることが判明した。すなわち、固定層5としてのCoFe膜5aを除く各層(4a、9、7a)に関する成膜前真空度を2〜5×10−7Paとし、トンネルバリア層6のAl膜6aの直下にあるCoFe層5aの成膜前真空度を変えて同様の実験を行ったところ、CoFe膜5aの成膜前真空度を示す到達圧力が1×10−6Pa以上1×10−5Pa以下で図5の場合と同様の高いMR比が得られた。この実験の場合もベースの雰囲気として乾燥大気を用いていることから、上記成膜前真空度における酸素分圧は上記数値の約20%であり、0.2×10−6Pa以上0.2×10−5Pa以下である。
加えて、CoFe膜5a及びNiFe膜7aの両方の成膜前真空度を示す到達圧力が1×10−6Pa以上1×10−5Pa以下の場合でも、図5の場合と同様の高いMR比が得られた。また、フリー層7及び固定層5として従来用いられている他の物質についても同様の傾向があることが分かった。以上のことから、フリー層7及び固定層5のうちの少なくとも一方の成膜前真空度を示す到達圧力は、1×10−6Pa以上1×10−5Pa以下の範囲にあることが好ましい。酸素分圧では、0.2×10−6Pa以上0.2×10−5Pa以下である。上記の成膜前真空度に関する条件は、他のスパッタ条件に関わらず概ね同様であった。
図7は、第2バッファー層13の成膜前真空度を変更した場合のR−H曲線を示すグラフである。縦軸は磁気抵抗の最大値で規格化された磁気抵抗を示し、横軸は印加する磁場を示している。第2バッファー層13を除く各層の成膜前真空度を2〜5×10−7Paとし、第2バッファー層13の成膜前真空度を2×10−6Paと4×10−7Paと変えてR−H曲線を測定し、カップリング磁場Huaを比較した結果を示す。曲線51は、第2バッファー層13の成膜前真空度が4×10−7Paの場合のR−H曲線を示し、曲線52は、第2バッファー層13の成膜前真空度が2×10−6Paの場合のR−H曲線を示す。ただし、ここでは固定層5としては積層フェリ構造(15〜17)を用いている。
図7に示されるように、曲線51の場合のカップリング磁場Huaが曲線52の場合よりも明らかに大きいことがわかる。第2バッファー層13の成膜前真空度4×10−7Paの場合(曲線51)のカップリング磁場Huaは1370Oe、2×10−6Paの場合(曲線52)のカップリング磁場Huaは1260Oeだった。図では第2バッファー層13(NiFe膜)に関してのみ示したが、第1バッファー層12(Ta膜)の成膜前真空度を変えた実験でも同様の結果が得られた。加えて、バッファー層3として従来用いられている他の物質についても同様の傾向があることが分かった。この実験結果は、固定層5に積層フェリ構造(15〜17)を用いたものであるが、固定層5としてCoFe単層膜を用いた場合でも成膜前真空度が悪い場合、交換結合磁場Hexが小さくなった。
この成膜前真空度によるカップリング磁場Hua等の違いは、反強磁性体層4としてのPtMn膜の結晶性の違いにより生じる。第1バッファー層12(Ta膜)や第2バッファー層13(NiFe膜)の成膜前酸素分圧が悪い場合、酸素等の不純物のためにNiFe膜/Ta膜の結晶格子が乱れて結晶性が悪化する。その結果、その上部に成膜されるPtMn膜の結晶格子も乱れてその結晶性が悪化し、十分な交換結合磁化がかからない、あるいは積層フェリ固定層の配向性にまで影響を及ぼして十分な積層フェリ交換結合磁化がかからない。上述した高いカップリング磁場Huaないし交換結合磁場Hexは、バッファー層3の成膜前真空度を示す到達圧力が8×10−7Pa以下で得られた。この実験はベースの雰囲気として乾燥大気を用いていることから、上記成膜前真空度における酸素分圧は、上記数値の約20%となる。
以上のように、バッファー層3の成膜前真空度を示す到達圧力は、8×10−7Pa以下のできるだけ小さい圧力であることが好ましい。すなわち、0より大きく8×10−7Pa以下であることが好ましい。酸素分圧では、0より大きく1.6×10−7Pa以下である。上記の成膜前真空度に関する条件は、他のスパッタ条件に関わらず概ね同様であった。
図8は、Al膜の膜厚依存性とMR比との関係を示すグラフである。縦軸はMR比を示し、横軸はトンネルバリア層となるAl膜の膜厚を示す。測定点群61はAl膜の成膜前真空度が3.3〜5.1×10−6Paの場合であり、測定点群62はAl膜の成膜前真空度が0.97〜1.2×10−5Paで成膜した場合である。
Al膜の成膜前真空度の変更は、スローリークポート27から乾燥大気を成膜室23に適宜スローリークして行った。酸化はプラズマ酸化、出力300W、酸化時間6秒で行った。Al膜厚に応じてMR比は変化するが、3.3〜5.1×10−6Paの方が0.97〜1.2×10−5Paよりも明らかにMR比が高い傾向を示した。このような結果となった理由として、成膜前真空度低い(到達圧力が高い)と、Al膜を成膜する時に成膜室23内に残った酸素・水によって酸化の前にAl膜が酸化されてしまうことが考えられる。この酸化は後のプラズマ酸化によるクリーンな酸化とは異なり、酸化後のAlの構造の欠陥が多い。そのため、トンネル電流のリークが増える、部分的にバリアハイトが下がる、というような現象が起きる。結果として、MR比が減少してしまうことが考えられる。他の実験結果から、トンネルバリア層6のAl膜の成膜前真空度を示す到達圧力が8×10−6Pa以下の場合、十分に高いMR比がで得られることが判明した。この実験はベースの雰囲気として乾燥大気を用いていることから、上記成膜前真空度における酸素分圧は、上記数値の約20%となる。
以上のように、トンネルバリア層6のAl膜の成膜前真空度を示す到達圧力は、8×10−6Pa以下のできるだけ小さい圧力であることが好ましい。すなわち、0より大きく8×10−6Pa以下であることが好ましい。酸素分圧では、0より大きく1.6×10−6Pa以下である。上記の成膜前真空度に関する条件は、他のスパッタ条件に関わらず概ね同様であった。
なお、上述の実験では酸素ガス、乾燥大気の導入について記したが、酸素+窒素、酸素+アルゴンなどの混合ガスにおいても同様の効果が得られた。
上記のようにして最良の条件で製造されたTMR素子1は、バイアス電圧100mVにおけるMR比34%、カップリング磁場Hua:1367OeとMRAM等に実用可能な良好な値が得られた。
本発明において、固定層及びフリー層のうちの少なくとも一方の成膜前真空度を、トンネルバリヤ層の金属膜やバッファー層の成膜前真空度よりも低真空(相対的に高い圧力)とすることにより、高いMR比を持ち、交換結合磁場Hexやカップリング磁場Huaの高いTMR素子を得ることができる。
本発明において、バッファー層の成膜前真空度を8×10−7Paよりも高い真空度(酸素分圧:0より大きく1.6×10−7Pa以下)、固定層及びフリー層のうち少なくとも一方の成膜前真空度を1×10−6Pa以上1×10−5Pa以下(酸素分圧:0.2×10−6Pa以上0.2×10−5Pa以下)とすることにより、高いMR比を持ち、交換結合磁場Hexやカップリング磁場Huaの高いTMR素子を得ることができる。
本発明において、トンネルバリア層に用いる金属膜の成膜前真空度を8×10−6Paより高い真空度(酸素分圧:0より大きく1.6×10−6Pa以下)とすることにより、高いMR比を持ち、交換結合磁場Hexやカップリング磁場Huaの高いTMR素子を得ることことができる。
本発明により得られるTMR素子を用いて、MRAM、磁気ヘッド、磁気センサーを得ることができる。
本実施例ではキャップ層としてTa膜単層のみ示したが、Zr膜、TaN膜、Ta膜/Ru膜、Ta膜/Al膜、Ta膜/Al膜/Ta膜、など他の構造のキャップ層でも同様の結果が得られている。
本実施例ではキャップ層/フリー層/トンネルバリア層/固定層/反強磁性体層/バッファー層/基板という構造のTMR膜のみ示したが、キャップ層/反強磁性体層/固定層/トンネルバリア層/フリー層/バッファー層/基板という構造のTMR素子でも同様の効果がある。
本実施例ではバッファー層としてNiFe膜/Ta膜のみ示したが、Ta膜、NiFe膜/TaN膜などの構造のバッファー層でも同様の効果が得られる。
本実施例では反強磁性体層としてPtMn膜のみ示したが、NiMn膜やIrMn膜のようなMnを含む合金など、他の反強磁性体層でも同様の効果が得られる。
本実施例では固定層としてCoFe膜/Ru膜/CoFe膜積層フェリ構造、CoFe膜単層構造についてのみ示した。しかし、CoFeB膜/Ru膜/CoFeB膜のようなFe、Co及びNiのうちのいずれかを含む磁性単金属膜若しくは磁性合金膜/非磁性膜/Fe、Co及びNiのうちのいずれかを含む磁性単金属膜若しくは磁性合金膜の他の積層フェリ構造、及び、CoFeB膜のようなCo及びNiのうちのいずれかを含む磁性単金属膜若しくは磁性合金膜の他の単層構造についても同様の効果が得られる。
本実施例ではトンネルバリア層としてAl膜のプラズマ酸化のみ示したが、ラジカル酸化など他の酸化手法、あるいはMg酸化膜など他の酸化物膜においても同様の効果が得られる。
本実施例ではフリー層としてNiFe膜のみ示した。しかし、フリー層をNiFeCo膜、CoFeB膜のようなFe、Co及びNiのうちのいずれかを含む磁性金属膜にしても同様の効果が得られる。
本実施例ではスローリークポートから酸素ガス、酸素+窒素などの混合ガス、乾燥大気を導入する手法のみを示したが、水蒸気でも同様の効果が得られる。また、マスフローなどを介してガスを導入した場合でも同様の効果が得られる。
本発明の磁気抵抗効果素子(TMR素子)は、MRAMのメモリセルに適用することができる。MRAMの製造方法としては、例えば次のようになる。基板としての半導体基板上に、上述の複数の磁気抵抗効果素子のを製造する。その際、その複数の磁気抵抗効果素子は、複数のメモリセルとして半導体基板上に行列状に配列される。次に、半導体基板上に周辺回路を形成する。
本発明の磁気抵抗効果素子(TMR素子)は、磁気記録装置の磁気ヘッドに適用することができる。磁気ヘッドの製造方法としては、例えば次のようになる。上述の磁気抵抗効果素子の製造方法を実行して、磁気抵抗効果素子を形成する。次に、その磁気抵抗効果素子を磁気ヘッド本体に搭載する。
本発明の磁気抵抗効果素子(TMR素子)は、磁気センサに適用することができる。磁気センサの製造方法としては、例えば次のようになる。上述の磁気抵抗効果素子の製造方法を実行して、磁気抵抗効果素子を形成する。次に、その磁気抵抗効果素子を磁気センサ本体に搭載する。
以上のように、磁気抵抗効果素子をMRAM、磁気ヘッド、及び磁気センサに適用することができる。
図1は、従来のTMR素子の構造の一例を示す断面図である。 図2は、本発明の磁気抵抗効果素子としてのTMR素子の実施の形態の構成を示す断面図である。 図3は、TMR素子を製造する成膜装置の例を示す構成図である。 図4は、本発明の磁気抵抗効果素子としてのTMR素子の製造方法の実施の形態を示す断面図である。 図5は、フリー層7の成膜前真空度とMR特性との関係を示すグラフである。 図6は、フリー層7の成膜前真空度とMR特性の関係を説明するた概略図である。 図7は、第2バッファー層13の成膜前真空度を変更した場合のR−H曲線を示すグラフである。 図8は、Al膜の膜厚依存性とMR比との関係を示すグラフである。
符号の説明
1、101 TMR素子
2、102 基板
3、103 バッファー層
4、104 反強磁性体層
5、105 固定層
6、106 トンネルバリア層
7、107 フリー層
8、108 キャップ層
9 Al膜
12 第1バッファー層
13 第2バッファー層
15 第1磁性層
16 非磁性層
17 第2磁性層
21 ガス
22 酸化室
23、23a 成膜室
24 搬送室
25 基板導入室
27 スローリークポート

Claims (13)

  1. (a)基板の上方にバッファー層を成膜する工程と、
    (b)前記バッファー層上に反強磁性層を成膜する工程と、
    (c)前記反強磁性層上に固定層を成膜する工程と、
    (d)前記固定層上にトンネルバリヤ層に用いる金属膜を形成し、前記金属膜を酸化して前記トンネルバリヤ層を形成する工程と、
    (e)前記トンネルバリヤ層上にフリー層を成膜する工程と
    を具備し、
    前記固定層における第1成膜前酸素分圧及び前記フリー層における第2成膜前酸素分圧の少なくとも一方は、前記バッファー層の第3成膜前酸素分圧よりも低い
    磁気抵抗効果素子の製造方法。
  2. 請求項1に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法において、
    前記第1成膜前酸素分圧及び前記第2成膜前酸素分圧の少なくとも一方は、圧力範囲が0.2×10−6Pa以上0.2×10−5Pa以下であり、前記第3成膜前酸素分圧は、圧力範囲が0より大きく1.6×10−7Pa以下である
    磁気抵抗効果素子の製造方法。
  3. (a)基板の上方にバッファー層を成膜する工程と、
    (b)前記バッファー層上に反強磁性層を成膜する工程と、
    (c)前記反強磁性層上に固定層を成膜する工程と、
    (d)前記固定層上にトンネルバリヤ層に用いる金属膜を形成し、前記金属膜を酸化して前記トンネルバリヤ層を形成する工程と、
    (e)前記トンネルバリヤ層上にフリー層を成膜する工程と
    を具備し、
    前記固定層における第1成膜前酸素分圧及び前記フリー層における第2成膜前酸素分圧の少なくとも一方は、前記金属膜の第4成膜前酸素分圧よりも低い
    磁気抵抗効果素子の製造方法。
  4. 請求項3に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法において、
    前記第1成膜前酸素分圧及び前記第2成膜前酸素分圧の少なくとも一方は、圧力範囲が0.2×10−6Pa以上0.2×10−5Pa以下であり、前記第4成膜前酸素分圧は、圧力範囲が0より大きく1.6×10−6Pa以下である
    磁気抵抗効果素子の製造方法。
  5. 請求項1又は3に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法において、
    前記(a)工程から前記(e)工程における上記基板は大気中に曝露されない
    磁気抵抗効果素子の製造方法。
  6. 請求項1又は3に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法において、
    前記(a)工程から前記(e)工程における成膜は、スパッタリング法により行われる
    磁気抵抗効果素子の製造方法。
  7. 請求項1又は3に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法において、
    前記(b)工程は、
    (b1)前記バッファー層上にMnを含む合金を成膜する工程を備える
    磁気抵抗効果素子の製造方法。
  8. 請求項1又は3に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法において、
    前記(c)工程は、
    (c1)前記反強磁性層上にFe、Co及びNiのうちのいずれかを含む磁性単金属膜若しくは磁性合金膜を成膜する工程、又は、(c2)Fe、Co及びNiのうちのいずれかを含む磁性単金属膜若しくは磁性合金膜/非磁性膜/Fe、Co及びNiのうちのいずれかを含む磁性単金属膜若しくは磁性合金膜の三層構造を成膜する工程、のいずれかを備える
    磁気抵抗効果素子の製造方法。
  9. 請求項1又は3に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法において、
    前記(d)工程は、
    (d1)前記固定層上にAl膜を形成し、前記Al膜を酸化して酸化アルミニウム膜を形成する工程を備える
    磁気抵抗効果素子の製造方法。
  10. 請求項1又は3に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法において、
    前記(e)工程は、
    (e1)前記トンネルバリヤ層上にFe、Co及びNiのうちのいずれかを含む磁性金属膜を成膜する工程を備える
    磁気抵抗効果素子の製造方法。
  11. (f)請求項1乃至10のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法を実行して、基板としての半導体基板上に行列状に配列された複数の磁気抵抗効果素子を形成する工程と、
    (g)前記半導体基板上に周辺回路を形成する工程と
    を具備する
    MRAMの製造方法。
  12. (h)請求項1乃至10のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法を実行して、磁気抵抗効果素子を形成する工程と、
    (i)前記磁気抵抗効果素子を磁気ヘッド本体に搭載する工程と
    を具備する
    磁気ヘッドの製造方法。
  13. (j)請求項1乃至10のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法を実行して、磁気抵抗効果素子を形成する工程と、
    (k)前記磁気抵抗効果素子を磁気センサ本体に搭載する工程と
    を具備する
    磁気センサの製造方法。
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