JP2006244899A - 樹脂モールドセパレータの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形等を容易かつ確実に行うことができ、かつ、耐熱性、導電性、耐熱水性等の特性に優れたものを得ることができる燃料電池用の樹脂モールドセパレータの製造方法を提供すること。
【解決手段】粒子状のまたは短繊維状の導電性基材の表面を樹脂組成物により均一に被覆して樹脂被覆導電性基材を得る被覆工程を行った後、前記樹脂被覆導電性基材を圧縮成形法により成形、加熱して樹脂モールドセパレータとする圧縮成形工程を行う。
【選択図】なし
【解決手段】粒子状のまたは短繊維状の導電性基材の表面を樹脂組成物により均一に被覆して樹脂被覆導電性基材を得る被覆工程を行った後、前記樹脂被覆導電性基材を圧縮成形法により成形、加熱して樹脂モールドセパレータとする圧縮成形工程を行う。
【選択図】なし
Description
本発明は、燃料電池に好適に用いられる導電性の樹脂モールドセパレータの製造方法に関する。
これまで、燃料電池用の導電性セパレータとして、表面を各種攻撃イオンに耐えるように不動態化した金属板、導電性基材と樹脂組成物とからなる混合物を成形加工した成形品、ブロック状に成形した樹脂複合体からの切削加工品等が検討されている。
例えば、導電性基材と樹脂組成物とからなる混合物を成形加工して成形品とするものとしては、一般に炭素質材料と熱硬化性樹脂とを均一混合また均一混練して成形材料を調製した後、金型により成形し1次成形体を得、この1次成形体を焼成するものが挙げられる(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、燃料電池用の導電性セパレータとして、表面を不動態化した金属板を用いる場合、微細な傷等によって起こる突発的不良を防止しがたい。また、導電性基材と樹脂組成物とからなる混合物を成形加工するものは、炭素質材料等の導電性基材の充填率を目標の貫通抵抗率を得るレベルにまで高めることが容易でなく、バインダ樹脂を焼き飛ばすような不安定な加工法が必要となる。さらに、ブロック状に成形した樹脂複合体を切削加工するものは、作業時間がかかり製造費用が増大するという課題がある。
現在、これらの問題を解決するために種々の試みがなされているが、未だ製造が容易でかつ良好な貫通抵抗率等を得ることのできる製造方法は完成されていない。
特開2004−119325号公報
本発明は上述したような課題を解決するためになされたものであって、黒鉛粉末等の導電性基材と樹脂組成物とからなる燃料電池用の樹脂モールドセパレータの製造において、成形等を容易かつ確実に行うことができ、さらに導電性、耐熱性、耐熱水性等の特性に優れたものを得られる製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を進めた結果、黒鉛粉末等の導電性基材と樹脂組成物とからなる燃料電池用の樹脂モールドセパレータを製造する際、予め導電性基材の表面を樹脂組成物で均一に被覆し、これを用いて成形等を行うことにより、成形等を容易かつ確実に行うことができ、さらに導電性、耐熱性、耐熱水性等の特性に優れたものを得られることを見いだし本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の樹脂モールドセパレータの製造方法は、粒子状のまたは短繊維状の導電性基材の表面を樹脂組成物により均一に被覆して樹脂被覆導電性基材を得る被覆工程と、前記樹脂被覆導電性基材を圧縮成形法により成形、加熱して樹脂モールドセパレータとする圧縮成形工程とを有することを特徴とするものである。
この樹脂モールドセパレータの製造方法においては、前記圧縮成形工程の後、前記樹脂モールドセパレータを加熱後処理する加熱後処理工程を行うことが好ましい。また、この樹脂モールドセパレータの製造方法においては、前記圧縮成形工程に先立ち、前記樹脂被覆導電性基材に圧力を加えることにより結着させてシート状の予備成形体とする予備成形工程を行い、次いで前記シート状の予備成形体を用いて前記圧縮成形工程を行うことが好ましい。
また、本発明の別の樹脂モールドセパレータの製造方法は、粒子状のまたは短繊維状の導電性基材の表面を樹脂組成物により均一に被覆して樹脂被覆導電性基材を得る被覆工程と、前記樹脂被覆導電性基材に圧力を加えることにより結着させてセパレータ形状の成形体とする成形工程と、前記セパレータ形状の成形体を加熱して樹脂モールドセパレータとする加熱工程とを有することを特徴とするものである。
前記導電性基材としては例えば黒鉛粉末が好適なものとして挙げられ、この黒鉛粉末は少なくとも平均粒子径の異なる二種類の黒鉛粒子からなるものであることが好ましい。また、前記導電性基材としては例えば黒鉛粒子とカーボン繊維とからなるものを用いることもでき、この場合、黒鉛粉末100重量部に対し、カーボン繊維が20重量部を超えないことが好ましい。
また、本発明の樹脂モールドセパレータの製造方法における樹脂組成物としては、主として熱硬化性樹脂からなるものが好ましく、このような熱硬化性樹脂の中でも特にエポキシ系樹脂またはフェノール系樹脂が好ましい。
本発明の樹脂モールドセパレータの製造方法によれば、粒子状のまたは短繊維状の導電性基材の表面を予め樹脂組成物で均一に被覆し、これを用いて成形等を行うことにより、成形等を容易かつ確実に行うことができると共に、導電性、耐熱性、耐熱水性等の特性に優れた燃料電池用の樹脂モールドセパレータを得ることが可能となる。
以下、本発明の樹脂モールドセパレータの製造方法について詳細に説明する。
本発明の樹脂モールドセパレータの製造方法は、粒子状のまたは短繊維状の導電性基材の表面を樹脂組成物で均一に被覆して樹脂被覆導電性基材を得る被覆工程と、この樹脂被覆導電性基材を圧縮成形法により成形、加熱して樹脂モールドセパレータとする圧縮成形工程とを有することを特徴とするものである。
本発明の樹脂モールドセパレータの製造方法は、粒子状のまたは短繊維状の導電性基材の表面を樹脂組成物で均一に被覆して樹脂被覆導電性基材を得る被覆工程と、この樹脂被覆導電性基材を圧縮成形法により成形、加熱して樹脂モールドセパレータとする圧縮成形工程とを有することを特徴とするものである。
また、本発明の別の樹脂モールドセパレータの製造方法は、粒子状のまたは短繊維状の導電性基材の表面を樹脂組成物により均一に被覆して樹脂被覆導電性基材を得る被覆工程と、この樹脂被覆導電性基材に圧力を加えることにより結着させてセパレータ形状の成形体とする成形工程と、このセパレータ形状の成形体を加熱して樹脂モールドセパレータとする加熱工程とを有することを特徴とするものである。
本発明では、従来のように導電性基材と粉末状等の樹脂組成物とを混合して混合物としたものを用いて成形等を行う代わりに、上述したように予め粒子状のまたは短繊維状の導電性基材の表面を樹脂組成物で均一に被覆した樹脂被覆導電性基材(以下、単に樹脂被覆基材と呼ぶ。)を用いて成形等を行うことで、成形等を容易かつ確実に行うことができ、また得られる樹脂モールドセパレータの導電性、耐熱性、耐熱水性等の特性を向上させることができる。
以下、まず本発明に用いられる原料成分について説明する。本発明に用いられる粒子状のまたは短繊維状の導電性基材としては、炭素質材料が好ましく用いられる。炭素質材料としては特に限定されるものではないが、マトリックス母材である樹脂組成物に分散させて樹脂モールドセパレータとした場合に、導電性が高くなるような物質および形状であることが好ましい。
このような炭素質材料としては、例えば人造や天然の黒鉛粉末が挙げられる。人造の黒鉛には、石油系コークスと石炭系コークス由来の2種類がある。また、天然の黒鉛には、燐片状の黒鉛と土壌黒鉛がある。
炭素質材料として黒鉛粉末を用いる場合には、平均粒子径が0.5μm以上100μm以下の範囲内のものを用いることが好ましく、平均粒子径が0.5μm以上25μm以下の範囲のものを用いればより好ましい。このような平均粒子径のものを用いることによって、これを樹脂組成物で被覆して得られる樹脂被覆基材の成形性や、それを用いて製造される樹脂モールドセパレータの導電性等を良好なものとすることができる。
導電性基材として黒鉛粉末を用いる場合には、平均粒子径の異なる二種類以上の黒鉛粒子を用いることが好ましい。平均粒子径の異なる二種類以上の黒鉛粉末を用いる場合、各黒鉛粉末の平均粒子径は上述した平均粒子径の範囲内から選ばれることが好ましく、例えば平均粒子径が0.5μm以上25μm以下である黒鉛粉末と平均粒子径が25μmを超え100μm以下である黒鉛粉末とを少なくとも含むものが好ましく、さらには平均粒子径が0.5μm以上25μm以下である黒鉛粉末と平均粒子径が50μmを超え100μm以下である黒鉛粉末とを少なくとも含むものが好ましい。このような平均粒子径の異なる二種類以上の黒鉛粉末からなるものを用いることにより、樹脂モールドセパレータ中に黒鉛粉末を高い密度で充填することが可能となり、導電性等を良好なものとすることができる。
炭素質材料としては黒鉛粉末以外のものを用いることもできる。すなわち、カーボン繊維、カーボンブラック、筒状や球状等のフラーレン等を用いることができる。また、炭素質材料としては、2種類以上の炭素質材料を併用することもできる。炭素質材料として繊維状のものを用いる場合は短繊維状のものが好ましく、繊維径に対する繊維長の比率であるアスペクト比が3〜300のものが好ましい。
炭素質材料を併用する例としては、例えば黒鉛粉末とカーボン繊維とを併用する例が挙げられ、この場合、黒鉛粉末100重量部に対し、カーボン繊維が20重量部を超えないようにすることが好ましい。カーボン繊維の含有量が20重量部を超えると、後に行われる混練、成形等が難しくなるおそれがある。
なお、上述したような炭素質材料には、マトリックス母材となる樹脂等との親和性を増すために、エポキシ系、シリコーン系、フッ素系、有機金属系等の公知のカップリング剤による処理が行われていてもよい。
また、本発明に用いられる樹脂組成物としては主として熱硬化性樹脂からなるものが好適に用いられ、このような熱硬化性樹脂としては特に耐熱性、耐薬品性、機械的強度に優れたものが好適に用いられる。熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、グアナミン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、マレイミド系樹脂などが挙げられ、これらは単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの熱硬化性樹脂の中でも、特にエポキシ系樹脂やフェノール系樹脂が、性能面や価格面から好適に用いられる。また、樹脂組成物には本発明の趣旨に反しない限度において、かつ、必要に応じて、酸無水物等の硬化剤、アミン類等の触媒、エポキシシラン類等のカップリング剤、その他の添加剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。
次に、本発明における被覆工程について説明する。被覆工程は、上述したような粒子状のまたは短繊維状の導電性基材(以下、単に導電性基材と呼ぶ。)の表面に、上述したような樹脂組成物を均一に被覆して樹脂被覆基材を得るものである。導電性基材の表面に樹脂を均一に被覆する方法としては、大別すると、溶媒を用いる方法と、溶媒を用いない方法とに分けることができる。
溶媒を用いる方法としては、次のような方法が挙げられる。まず、主剤としての固形のエポキシ樹脂または固形のフェノール樹脂等、さらに必要に応じて、酸無水物等の硬化剤、アミン類等の触媒、エポキシシラン類等のカップリング剤、その他添加剤等からなる樹脂組成物を、アセトン等の溶媒に溶解または分散させ被覆用樹脂溶液を調製する。そして、この被覆用樹脂溶液中に導電性基材を浸漬させた後、引き上げ、乾燥処理により溶媒を除去する。また、導電性基材に被覆用樹脂溶液を噴霧した後、乾燥処理により溶媒を除去してもよい。
一方、溶媒を用いない方法としては、被覆用樹脂溶液の調製において、上述したような固形エポキシ樹脂または固形フェノール樹脂等を用いる代わりに、液状のエポキシ樹脂または液状のフェノール樹脂等を用いることで、溶媒を用いない方法とすることができる。このような溶媒を用いない被覆用樹脂溶液においても、溶媒を用いた被覆用樹脂溶液と同様、導電性基材を浸漬させ、あるいは、導電性基材に噴霧することにより、導電性基材の表面に樹脂が均一に被覆された樹脂被覆基材を得ることができる。
さらに、固形のエポキシ樹脂または固形のフェノール樹脂等を用いる場合であっても溶媒を用いない方法とすることができる。例えば、まず固形のエポキシ樹脂または固形のフェノール樹脂等とその他添加剤等とを混合、混練し粉砕することにより被覆用樹脂微細粉末を予め製造しておく。そして、高温の流動層に導電性基材を導入すると共に、被覆用樹脂微細粉末を導入し、被覆用樹脂微細粉末を溶融させて導電性基材の表面に均一に付着させることで被覆を行う。
また、固形のエポキシ樹脂または固形のフェノール樹脂等を用い、溶媒を用いない方法として、例えば衝撃式の粉砕機等を用い導電性基材に上述したような被覆用樹脂微細粉末を衝突させ強固に結着させることで、導電性基材の表面を均一に被覆する方法が挙げられる。
このような樹脂被覆基材における樹脂組成物の被覆量は、乾燥等を行い最終的に得られた樹脂被覆基材(導電性基材+樹脂組成物)の全体量における樹脂組成物の量が5〜15重量%程度となっていることが好ましい。なお、ここでいう樹脂組成物とは、上述したことからも分かるように、熱硬化性樹脂等の樹脂成分、酸無水物等の硬化剤、アミン類等の触媒、エポキシシラン類等のカップリング剤、その他の添加剤等の各種添加剤を含み、溶媒を含まないものをいう。樹脂組成物の量が5重量%未満であると、後に行われる混練、成形等が難しくなるおそれがあり、樹脂モールドセパレータの強度等も低下するおそれがある。また、樹脂組成物の量が15重量%を超えると、樹脂モールドセパレータの導電性等の特性が十分でなくなるおそれがある。
このようにして得られた樹脂被覆基材は、圧縮成形工程において圧縮成形法により成形、加熱して樹脂モールドセパレータとされる。圧縮成形法は、樹脂被覆基材を金型内に装入し、金型内の樹脂被覆基材の溶融状態に合わせて加圧加熱し、これを硬化させるものである。この圧縮成形は、例えば160〜200℃、80〜240Kgf/cm2で、2〜20分程度行うことが好ましい。
このような圧縮成形法を利用した製造方法では、樹脂モールドセパレータの特性を向上させるために、この圧縮成形工程で得られた樹脂モールドセパレータに対してさらに加熱後処理する加熱後処理工程を行うことが好ましい。この加熱後処理は、例えば200〜250℃で、30分〜10時間程度行うことが好ましい。
なお、このような圧縮成形法を利用する場合、特性の優れた樹脂モールドセパレータを得るために、被覆工程の後に樹脂被覆基材に予備的に圧力を加えて結着させる予備成形工程を行うことが好ましい。すなわち、被覆工程で得られた樹脂被覆基材を、例えばプレス圧縮機あるいはロール圧縮機等を用いて圧力を加え結着させ、シート状等の予備成形体に成形しておくことで、その後に行われる圧縮成形工程での圧縮成形の際のボイドの発生を抑制でき、また寸法精度を向上させることができる。
本発明では上述した圧縮成形法のように加圧と加熱とを同時に行い硬化させる方法以外にも、加圧と加熱とを別々に行う方法を採用することもできる。このような方法としては、例えばプレス圧縮機あるいはロール圧縮機に樹脂被覆基材を供給し、加熱せずに加圧のみを行い結着させてセパレータ形状の成形体とする成形工程を行った後、このセパレータ形状の成形体に加圧を行わずに加熱のみを行い硬化させて樹脂モールドセパレータとする加熱工程を行う方法が挙げられる。加熱工程における加熱は、例えば220〜250℃で、2時間〜8時間程度行うことが好ましい。
上述したような各製造方法による樹脂モールドセパレータには、カーボンクロスを組み込むことができる。しかしながら、カーボンクロスを組み込む場合には、樹脂被覆基材のみから樹脂モールドセパレータを製造する場合に比べ、若干の工夫が必要となる。
例えば圧縮成形法の場合、上述した予備成形工程で作製された樹脂被覆基材からなるシート状等の予備成形体にカーボンクロスを積層して積層体とし、この積層体を圧縮成形の金型内に装入し、圧縮成形を行う。また、このような予備成形体に後からカーボンクロスを積層する方法以外に、予備成形工程において直接カーボンクロスを積層させた(組み込んだ)予備成形体としてもよい。すなわち、予備成形工程におけるプレス圧縮機あるいはロール圧縮機等による予備成形の際に、樹脂被覆基材と共にカーボンクロスを導入し、カーボンクロスが組み込まれた積層体(予備成形体)を直接得てもよい。
また、成形工程と加熱工程とを別々に行う場合においても、上記予備成形工程において直接カーボンクロスを積層させる(組み込む)方法と同様に行うことができ、成形工程におけるプレス圧縮機あるいはロール圧縮機等を用いた成形の際に、樹脂被覆基材と共にカーボンクロスを導入し、カーボンクロスが組み込まれた積層体(成形体)を直接得て、これに対して加熱工程を行ってもよい。
積層体におけるカーボンクロスの積層位置は適宜選択することができる。例えばシート状等の予備成形体にカーボンクロスを積層して積層体としたものを圧縮成形して樹脂モールドセパレータとする場合、樹脂モールドセパレータにカーボンクロスを内装させるには、シート状の予備成形体、カーボンクロス、シート状の予備成形体の順に積層して積層体とし、また、カーボンクロスを外装させるには、それらの位置を逆にして積層して積層体とし、このような積層体を圧縮成形すればよい。
以下、本発明の樹脂モールドセパレータの製造方法について実施例、比較例を参照して説明する。以下では、まず本発明の実施例において樹脂被覆粒子(樹脂被覆基材)を得る被覆工程で用いる各樹脂組成物溶液(以下、単に樹脂溶液と呼ぶ。)の調製について説明する。次に、各樹脂溶液を用いた樹脂被覆粒子の製造(被覆工程)およびこの樹脂被覆粒子を用いた各樹脂シート(予備成形工程における予備成形体または成形工程における成形体)の製造について説明する。また、実施例で使用するカーボンクロスの前処理についても併せて説明する。
(樹脂溶液の調製)
[樹脂溶液a]
82℃の軟化点を有するオルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂200重量部、88℃の軟化点を有するフェノールノボラック樹脂120重量部、イミダゾール触媒1重量部、エポキシシランカップリング剤1重量部、カルナバワックス1重量部を、1000重量部のアセトンに溶解して、被覆工程に用いる樹脂溶液aを調製した。
[樹脂溶液a]
82℃の軟化点を有するオルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂200重量部、88℃の軟化点を有するフェノールノボラック樹脂120重量部、イミダゾール触媒1重量部、エポキシシランカップリング剤1重量部、カルナバワックス1重量部を、1000重量部のアセトンに溶解して、被覆工程に用いる樹脂溶液aを調製した。
[樹脂溶液b]
90℃の軟化点を有するフェノールノボラック樹脂300重量部、ヘキサメチレンテトラミン100重量部、ステアリン酸2重量部、エポキシシランカップリング剤1重量部を、1000重量部のアセトンに溶解して、被覆工程に用いる樹脂溶液bを調製した。
90℃の軟化点を有するフェノールノボラック樹脂300重量部、ヘキサメチレンテトラミン100重量部、ステアリン酸2重量部、エポキシシランカップリング剤1重量部を、1000重量部のアセトンに溶解して、被覆工程に用いる樹脂溶液bを調製した。
[樹脂溶液c]
82℃の軟化点を有するオルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂200重量部、88℃の軟化点を有するフェノールノボラック樹脂80重量部、ビスマレイミド樹脂40重量部、イミダゾール触媒1重量部、エポキシシランカップリング剤1重量部、カルナバワックス1重量部を、1000重量部のアセトンに溶解して、被覆工程に用いる樹脂溶液cを調製した。
82℃の軟化点を有するオルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂200重量部、88℃の軟化点を有するフェノールノボラック樹脂80重量部、ビスマレイミド樹脂40重量部、イミダゾール触媒1重量部、エポキシシランカップリング剤1重量部、カルナバワックス1重量部を、1000重量部のアセトンに溶解して、被覆工程に用いる樹脂溶液cを調製した。
[樹脂溶液d]
90℃の軟化点を有するメチロール基を含有するフェノールアラルキル樹脂300重量部、82℃の軟化点を有するオルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂100重量部、イミダゾール触媒1重量部、エポキシシランカップリング剤1重量部、カルナバワックス1重量部を、1000重量部のアセトンに溶解して、被覆工程用の樹脂溶液dを調製した。
90℃の軟化点を有するメチロール基を含有するフェノールアラルキル樹脂300重量部、82℃の軟化点を有するオルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂100重量部、イミダゾール触媒1重量部、エポキシシランカップリング剤1重量部、カルナバワックス1重量部を、1000重量部のアセトンに溶解して、被覆工程用の樹脂溶液dを調製した。
[樹脂溶液e]
液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂300重量部、ジアミノジフェニルメタン50重量部、エポキシシランカップリング剤1重量部、カルナバワックス1重量部を、1000重量部のアセトンに溶解して、被覆工程に用いる樹脂溶液eを調製した。
液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂300重量部、ジアミノジフェニルメタン50重量部、エポキシシランカップリング剤1重量部、カルナバワックス1重量部を、1000重量部のアセトンに溶解して、被覆工程に用いる樹脂溶液eを調製した。
[樹脂溶液f]
架橋性を有するポリフェニレンエーテル樹脂321重量部、エポキシシランカップリング剤1重量部、カルナバワックス1重量部を、1000重量部の熱トルエンに溶解して、被覆工程に用いる樹脂溶液fを調製した。
架橋性を有するポリフェニレンエーテル樹脂321重量部、エポキシシランカップリング剤1重量部、カルナバワックス1重量部を、1000重量部の熱トルエンに溶解して、被覆工程に用いる樹脂溶液fを調製した。
(樹脂シートの調製)
[樹脂シートA]
平均粒径80μmの人造黒鉛粉末100重量部、平均粒径25μmの人造黒鉛粉末30重量部、平均粒径10μmの人造黒鉛粉末10重量部を高速攪拌器で均一に混合の後、高速攪拌下に樹脂溶液a 45.8重量部を噴霧し、所定時間攪拌の後に、減圧にしてアセトンを除去し、樹脂被覆粒子Aを得た。この樹脂被覆粒子Aを二軸ロール機で繰り返し圧力を加えることで、樹脂シートAを得た。
[樹脂シートA]
平均粒径80μmの人造黒鉛粉末100重量部、平均粒径25μmの人造黒鉛粉末30重量部、平均粒径10μmの人造黒鉛粉末10重量部を高速攪拌器で均一に混合の後、高速攪拌下に樹脂溶液a 45.8重量部を噴霧し、所定時間攪拌の後に、減圧にしてアセトンを除去し、樹脂被覆粒子Aを得た。この樹脂被覆粒子Aを二軸ロール機で繰り返し圧力を加えることで、樹脂シートAを得た。
[樹脂シートB]
[樹脂シートA]と同組成、同量の黒鉛粉末を高速攪拌器で均一に混合の後、高速攪拌下に樹脂溶液b 39.0重量部を噴霧し、所定時間攪拌の後に、減圧にしてアセトンを除去し、樹脂被覆粒子Bを得た。この樹脂被覆粒子Bを二軸ロール機で繰り返し圧力を加えることで、樹脂シートBを得た。
[樹脂シートA]と同組成、同量の黒鉛粉末を高速攪拌器で均一に混合の後、高速攪拌下に樹脂溶液b 39.0重量部を噴霧し、所定時間攪拌の後に、減圧にしてアセトンを除去し、樹脂被覆粒子Bを得た。この樹脂被覆粒子Bを二軸ロール機で繰り返し圧力を加えることで、樹脂シートBを得た。
[樹脂シートC]
[樹脂シートA]と同組成、同量の黒鉛粉末を高速攪拌器で均一に混合の後、高速攪拌下に樹脂溶液c 45.8重量部を噴霧し、所定時間攪拌の後に、減圧にしてアセトンを除去し、樹脂被覆粒子Cを得た。この樹脂被覆粒子Cを二軸ロール機で繰り返し圧力を加えることで、樹脂シートCを得た。
[樹脂シートA]と同組成、同量の黒鉛粉末を高速攪拌器で均一に混合の後、高速攪拌下に樹脂溶液c 45.8重量部を噴霧し、所定時間攪拌の後に、減圧にしてアセトンを除去し、樹脂被覆粒子Cを得た。この樹脂被覆粒子Cを二軸ロール機で繰り返し圧力を加えることで、樹脂シートCを得た。
[樹脂シートD]
[樹脂シートA]と同組成、同量の黒鉛粉末を高速攪拌器で均一に混合の後、高速攪拌下に樹脂溶液d 39.0重量部を噴霧し、所定時間攪拌の後に、減圧にしてアセトンを除去し、樹脂被覆粒子Dを得た。この樹脂被覆粒子Dを二軸ロール機で繰り返し圧力を加えることで、樹脂シートDを得た。
[樹脂シートA]と同組成、同量の黒鉛粉末を高速攪拌器で均一に混合の後、高速攪拌下に樹脂溶液d 39.0重量部を噴霧し、所定時間攪拌の後に、減圧にしてアセトンを除去し、樹脂被覆粒子Dを得た。この樹脂被覆粒子Dを二軸ロール機で繰り返し圧力を加えることで、樹脂シートDを得た。
[樹脂シートE]
[樹脂シートA]と同組成、同量の黒鉛粉末を高速攪拌器で均一に混合の後、高速攪拌下に樹脂溶液e 43.0重量部を噴霧し、所定時間攪拌の後に、減圧にしてアセトンを除去し、樹脂被覆粒子Eを得た。この樹脂被覆粒子Eを二軸ロール機で繰り返し圧力を加えることで、樹脂シートEを得た。
[樹脂シートA]と同組成、同量の黒鉛粉末を高速攪拌器で均一に混合の後、高速攪拌下に樹脂溶液e 43.0重量部を噴霧し、所定時間攪拌の後に、減圧にしてアセトンを除去し、樹脂被覆粒子Eを得た。この樹脂被覆粒子Eを二軸ロール機で繰り返し圧力を加えることで、樹脂シートEを得た。
[樹脂シートF]
平均粒径80μmの人造黒鉛粉末100重量部、平均粒径10μmの人造黒鉛粉末25重量部を高速攪拌器で均一に混合の後、高速攪拌下に樹脂溶液a 39.5重量部を噴霧し、所定時間攪拌の後に、減圧にしてアセトンを除去し、樹脂被覆粒子Fを得た。この樹脂被覆粒子Fを二軸ロール機で繰り返し圧力を加えることで、樹脂シートFを得た。
平均粒径80μmの人造黒鉛粉末100重量部、平均粒径10μmの人造黒鉛粉末25重量部を高速攪拌器で均一に混合の後、高速攪拌下に樹脂溶液a 39.5重量部を噴霧し、所定時間攪拌の後に、減圧にしてアセトンを除去し、樹脂被覆粒子Fを得た。この樹脂被覆粒子Fを二軸ロール機で繰り返し圧力を加えることで、樹脂シートFを得た。
[樹脂シートG]
[樹脂シートA]と同組成、同量の黒鉛粉末を高速攪拌器で均一に混合の後、高速攪拌下に樹脂溶液a 30.0重量部を噴霧し、所定時間攪拌の後に、減圧にしてアセトンを除去し、樹脂被覆粒子Gを得た。この樹脂被覆粒子Gを二軸ロール機で繰り返し圧力を加えることで、樹脂シートGを得た。
[樹脂シートA]と同組成、同量の黒鉛粉末を高速攪拌器で均一に混合の後、高速攪拌下に樹脂溶液a 30.0重量部を噴霧し、所定時間攪拌の後に、減圧にしてアセトンを除去し、樹脂被覆粒子Gを得た。この樹脂被覆粒子Gを二軸ロール機で繰り返し圧力を加えることで、樹脂シートGを得た。
[樹脂シートH]
[樹脂シートA]と同組成、同量の黒鉛粉末を高速攪拌器で均一に混合の後、高速攪拌下に樹脂溶液a 60.3重量部を噴霧し、所定時間攪拌の後に、減圧にしてアセトンを除去し、樹脂被覆粒子Hを得た。この樹脂被覆粒子Hを二軸ロール機で繰り返し圧力を加えることで、樹脂シートHを得た。
[樹脂シートA]と同組成、同量の黒鉛粉末を高速攪拌器で均一に混合の後、高速攪拌下に樹脂溶液a 60.3重量部を噴霧し、所定時間攪拌の後に、減圧にしてアセトンを除去し、樹脂被覆粒子Hを得た。この樹脂被覆粒子Hを二軸ロール機で繰り返し圧力を加えることで、樹脂シートHを得た。
[樹脂シートI]
[樹脂シートA]と同組成、同量の黒鉛粉末を高速攪拌器で均一に混合の後、高速攪拌下に樹脂溶液a 45.8重量部を噴霧し、所定時間攪拌の後に、減圧にしてアセトンを除去し、樹脂被覆粒子Iを得た。この樹脂被覆粒子Iを圧縮プレス機で繰り返し圧力を加えることで、樹脂シートIを得た。
[樹脂シートA]と同組成、同量の黒鉛粉末を高速攪拌器で均一に混合の後、高速攪拌下に樹脂溶液a 45.8重量部を噴霧し、所定時間攪拌の後に、減圧にしてアセトンを除去し、樹脂被覆粒子Iを得た。この樹脂被覆粒子Iを圧縮プレス機で繰り返し圧力を加えることで、樹脂シートIを得た。
[樹脂シートJ]
平均粒径80μmの人造黒鉛粉末100重量部、カーボン短繊維20重量部、平均粒径10μmの人造黒鉛粉末20重量部を高速攪拌器で均一に混合の後、高速攪拌下に樹脂溶液f 45.8重量部を噴霧し、所定時間攪拌の後に、減圧にしてアセトンを除去し、樹脂被覆粒子Jを得た。この樹脂被覆粒子Jを二軸ロール機で繰り返し圧力を加えることで、樹脂シートJを得た。
平均粒径80μmの人造黒鉛粉末100重量部、カーボン短繊維20重量部、平均粒径10μmの人造黒鉛粉末20重量部を高速攪拌器で均一に混合の後、高速攪拌下に樹脂溶液f 45.8重量部を噴霧し、所定時間攪拌の後に、減圧にしてアセトンを除去し、樹脂被覆粒子Jを得た。この樹脂被覆粒子Jを二軸ロール機で繰り返し圧力を加えることで、樹脂シートJを得た。
[樹脂シートK]
平均粒径80μmの人造黒鉛粉末140重量部を高速攪拌器で均一に混合の後、高速攪拌下に樹脂溶液a 45.8重量部を噴霧し、所定時間攪拌の後に、減圧にしてアセトンを除去し、樹脂被覆粒子Kを得た。この樹脂被覆粒子Kを二軸ロール機で繰り返し圧力を加えることで、樹脂シートKを得た。
平均粒径80μmの人造黒鉛粉末140重量部を高速攪拌器で均一に混合の後、高速攪拌下に樹脂溶液a 45.8重量部を噴霧し、所定時間攪拌の後に、減圧にしてアセトンを除去し、樹脂被覆粒子Kを得た。この樹脂被覆粒子Kを二軸ロール機で繰り返し圧力を加えることで、樹脂シートKを得た。
(カーボンクロスの前処理)
カーボンクロスを、樹脂溶液aに含漬し、樹脂付着量8重量%のカーボンクロスを得た、このカーボンクロスを実施例10で使用した。
カーボンクロスを、樹脂溶液aに含漬し、樹脂付着量8重量%のカーボンクロスを得た、このカーボンクロスを実施例10で使用した。
次に、樹脂モールドセパレータとしての導電性樹脂板の作製について説明する。なお、以下では、導電性樹脂板の厚さが所定の厚さとなるように、樹脂シートの厚さを調整して用いた。
(実施例1)
樹脂シートAを100mm×100mmの形状に切断し、185℃×10分×200Kgf/cm2の条件で、圧縮成形を行った。その後、200℃で5時間の加熱後処理を行い導電性樹脂板の作製を行った。
樹脂シートAを100mm×100mmの形状に切断し、185℃×10分×200Kgf/cm2の条件で、圧縮成形を行った。その後、200℃で5時間の加熱後処理を行い導電性樹脂板の作製を行った。
(実施例2)
樹脂シートBを用いて、(実施例1)と同じく、導電性樹脂板の作製を行った。
樹脂シートBを用いて、(実施例1)と同じく、導電性樹脂板の作製を行った。
(実施例3)
樹脂シートCを用いて、(実施例1)と同じく、導電性樹脂板の作製を行った。
樹脂シートCを用いて、(実施例1)と同じく、導電性樹脂板の作製を行った。
(実施例4)
樹脂シートDを用いて、(実施例1)と同じく、導電性樹脂板の作製を行った。
樹脂シートDを用いて、(実施例1)と同じく、導電性樹脂板の作製を行った。
(実施例5)
樹脂シートEを用いて、(実施例1)と同じく、導電性樹脂板の作製を行った。
樹脂シートEを用いて、(実施例1)と同じく、導電性樹脂板の作製を行った。
(実施例6)
樹脂シートFを用いて、(実施例1)と同じく、導電性樹脂板の作製を行った。
樹脂シートFを用いて、(実施例1)と同じく、導電性樹脂板の作製を行った。
(実施例7)
樹脂シートGを用いて、(実施例1)と同じく、導電性樹脂板の作製を行った。
樹脂シートGを用いて、(実施例1)と同じく、導電性樹脂板の作製を行った。
(実施例8)
樹脂シートHを用いて、(実施例1)と同じく、導電性樹脂板の作製を行った。
樹脂シートHを用いて、(実施例1)と同じく、導電性樹脂板の作製を行った。
(実施例9)
樹脂シートIを用いて、(実施例1)と同じく、導電性樹脂板の作製を行った。
樹脂シートIを用いて、(実施例1)と同じく、導電性樹脂板の作製を行った。
(実施例10)
導電性樹脂板の中央にカーボンクロスを組み込むべく、樹脂シートAを100mm×100mmの形状に切断したもの2枚と、前処理が行われたカーボンクロスとを用い、樹脂シートA、カーボンクロス、樹脂シートAの順に重ねて配置し、185℃×10分×200Kgf/cm2の条件で、圧縮成形を行った。その後、200℃で5時間の加熱後処理を行って、カーボンクロスが組み込まれた導電性樹脂板を得た。
導電性樹脂板の中央にカーボンクロスを組み込むべく、樹脂シートAを100mm×100mmの形状に切断したもの2枚と、前処理が行われたカーボンクロスとを用い、樹脂シートA、カーボンクロス、樹脂シートAの順に重ねて配置し、185℃×10分×200Kgf/cm2の条件で、圧縮成形を行った。その後、200℃で5時間の加熱後処理を行って、カーボンクロスが組み込まれた導電性樹脂板を得た。
(実施例11)
[樹脂シートA]の作製に用いた樹脂被覆粒子Aを樹脂シートとせずに、直接、185℃×10分×200Kgf/cm2の条件で圧縮成形を行い、その後、200℃で5時間の加熱後処理を行って、100mm×100mm×2mmの導電性樹脂板を得た。
[樹脂シートA]の作製に用いた樹脂被覆粒子Aを樹脂シートとせずに、直接、185℃×10分×200Kgf/cm2の条件で圧縮成形を行い、その後、200℃で5時間の加熱後処理を行って、100mm×100mm×2mmの導電性樹脂板を得た。
(実施例12)
樹脂シートJを用いて、220℃で10時間の加熱処理を行い、導電性樹脂板の作製を行った。
樹脂シートJを用いて、220℃で10時間の加熱処理を行い、導電性樹脂板の作製を行った。
(実施例13)
樹脂シートKを用いて、220℃で10時間の加熱処理を行い、導電性樹脂板の作製を行った。
樹脂シートKを用いて、220℃で10時間の加熱処理を行い、導電性樹脂板の作製を行った。
(実施例14)
200℃で5時間の加熱後処理を行わなかったこと以外は(実施例1)と同様にして、導電性樹脂板の作製を行った。
200℃で5時間の加熱後処理を行わなかったこと以外は(実施例1)と同様にして、導電性樹脂板の作製を行った。
(比較例1)
82℃の軟化点を有するオルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂200重量部、88℃の軟化点を有するフェノールノボラック樹脂120重量部、イミダゾール触媒1重量部、カルナバワックス1重量部をヘンシェルミキサーに投入攪拌し、樹脂粉末wを得た。
82℃の軟化点を有するオルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂200重量部、88℃の軟化点を有するフェノールノボラック樹脂120重量部、イミダゾール触媒1重量部、カルナバワックス1重量部をヘンシェルミキサーに投入攪拌し、樹脂粉末wを得た。
次に、平均粒径80μmの人造黒鉛1000重量部、平均粒径25μmの人造黒鉛300重量部、平均粒径10μmの人造黒鉛100重量部をヘンシェルミキサーで混合後、上記樹脂粉末w106.2重量部、エポキシシランカップリング剤5重量部を加えて、二軸加熱ロールで、90〜110℃のロール温度で溶融混練を試みたが、練り込みができなかった。
(比較例2)
比較例1と同組成、同量の黒鉛粉末に、比較例1で用いた樹脂粉末wを比較例1に対して増量した155.0重量部、エポキシシランカップリング剤5重量部を加えて、同様に溶融混練を行ったところ、練り込みが困難であったが樹脂シートを得ることができた。さらに、この樹脂シートに対して185℃×10分×200Kgf/cm2の条件で圧縮成形を行い、その後、200℃で5時間の加熱後処理を行って、導電性樹脂板を得た。
比較例1と同組成、同量の黒鉛粉末に、比較例1で用いた樹脂粉末wを比較例1に対して増量した155.0重量部、エポキシシランカップリング剤5重量部を加えて、同様に溶融混練を行ったところ、練り込みが困難であったが樹脂シートを得ることができた。さらに、この樹脂シートに対して185℃×10分×200Kgf/cm2の条件で圧縮成形を行い、その後、200℃で5時間の加熱後処理を行って、導電性樹脂板を得た。
(比較例3)
90℃の軟化点を有するフェノールノボラック樹脂300重量部、へキサメチレンテトラミン100重量部、ステアリン酸2重量部をヘンシェルミキサーに投入攪拌し樹脂粉末xを得た。
90℃の軟化点を有するフェノールノボラック樹脂300重量部、へキサメチレンテトラミン100重量部、ステアリン酸2重量部をヘンシェルミキサーに投入攪拌し樹脂粉末xを得た。
次に、比較例1と同組成、同量の黒鉛粉末に、上記樹脂粉末x138.0重量部、エポキシシランカップリング剤5重量部を加えて、同様に溶融混練を行ったところ、練り込みが困難であったが樹脂シートを得ることができた。さらに、この樹脂シートに対して比較例2と同様に圧縮成形、加熱後処理を行って、導電性樹脂板を得た。
(比較例4)
82℃の軟化点を有するオルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂200重量部、88℃の軟化点を有するフェノールノボラック樹脂80重量部、ビスマレイミド樹脂40重量部、イミダゾール触媒1重量部、カルナバワックス1重量部をヘンシェルミキサーに投入攪拌し樹脂粉末yを得た。
82℃の軟化点を有するオルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂200重量部、88℃の軟化点を有するフェノールノボラック樹脂80重量部、ビスマレイミド樹脂40重量部、イミダゾール触媒1重量部、カルナバワックス1重量部をヘンシェルミキサーに投入攪拌し樹脂粉末yを得た。
次に、比較例1と同組成、同量の黒鉛粉末に、上記樹脂粉末y138.0重量部、エポキシシランカップリング剤5重量部を加えて、同様に溶融混練を行ったところ、練り込みが困難であったが樹脂シートを得ることができた。さらに、この樹脂シートに対して比較例2と同様に圧縮成形、加熱後処理を行って、導電性樹脂板を得た。
(比較例5)
90℃の軟化点を有するメチロール基を含有するフェノールアラルキル樹脂300重量部、82℃の軟化点を有するオルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂100重量部、イミダゾール触媒1重量部、カルナバワックス1重量部をヘンシェルミキサーに投入攪拌し混合粉末zを得た。
90℃の軟化点を有するメチロール基を含有するフェノールアラルキル樹脂300重量部、82℃の軟化点を有するオルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂100重量部、イミダゾール触媒1重量部、カルナバワックス1重量部をヘンシェルミキサーに投入攪拌し混合粉末zを得た。
次に、比較例1と同様の組成の黒鉛粉末に、上記樹脂粉末z138.0重量部、エポキシシランカップリング剤5重量部を加えて、同様に溶融混練を行ったところ、練り込みが困難であったが樹脂シートを得ることができた。さらに、この樹脂シートに対して比較例2と同様に圧縮成形、加熱後処理を行って、導電性樹脂板を得た。
次に、実施例および比較例の導電性樹脂板について、以下に示すような各種特性の評価を行った。また、別途、実施例および比較例の導電性樹脂板を作製するために用いた樹脂シート等を用いて、燃料電池用に模擬溝を彫ったテスト金型によりモデル成形を行い成形性を評価した。結果を表4〜表9に示す。
(想定充填率)
配合組成より推計した値
配合組成より推計した値
(貫通抵抗率)
導電性樹脂板(10mmΦ×2mmt)に加圧下で直流電圧を印加し、貫通抵抗率を測定した。
導電性樹脂板(10mmΦ×2mmt)に加圧下で直流電圧を印加し、貫通抵抗率を測定した。
(曲げ強度)
JIS.6911に基づき、導電性樹脂板の曲げ強度を測定した。
JIS.6911に基づき、導電性樹脂板の曲げ強度を測定した。
(温水浸漬試験)
導電性樹脂板(5mmΦ×3mmt)を24時間常温の純水に浸漬後、増加重量から吸水量を測定した。重量プラスマイナス1%を合格とした。
導電性樹脂板(5mmΦ×3mmt)を24時間常温の純水に浸漬後、増加重量から吸水量を測定した。重量プラスマイナス1%を合格とした。
(抽出水電導度)
導電性樹脂板(5mmΦ×3mmt)を一定条件で微粉砕後、純水に5重量%を加えて121℃で24時間抽出後に、電導度を測定した。150μS/cm以下を合格とした。
導電性樹脂板(5mmΦ×3mmt)を一定条件で微粉砕後、純水に5重量%を加えて121℃で24時間抽出後に、電導度を測定した。150μS/cm以下を合格とした。
(耐薬品性)
導電性樹脂板(5mmΦ×3mmt)を50℃のNaOH水溶液(5%)並びにHCl(5%)水溶液に24時間浸漬し、外観の変化を顕微鏡で観察した。
導電性樹脂板(5mmΦ×3mmt)を50℃のNaOH水溶液(5%)並びにHCl(5%)水溶液に24時間浸漬し、外観の変化を顕微鏡で観察した。
(モデル成形)
100mm×50mm×2mmの外形で0.5mm×0.5mmの櫛型の溝を掘ったテスト成形品の成形を実施し、成形が可能かどうかを評価した。
100mm×50mm×2mmの外形で0.5mm×0.5mmの櫛型の溝を掘ったテスト成形品の成形を実施し、成形が可能かどうかを評価した。
表4〜表9に示す結果から明らかなように、予め導電性基材の表面を樹脂組成物により均一に被覆して樹脂被覆基材とすることで、成形等が容易となり、また、導電性、強度、耐熱水性、耐薬品性に優れ、吸水量も少ない導電性樹脂板(樹脂モールドセパレータ)を得られることが認められた。
Claims (8)
- 粒子状のまたは短繊維状の導電性基材の表面を樹脂組成物により均一に被覆して樹脂被覆導電性基材を得る被覆工程と、前記樹脂被覆導電性基材を圧縮成形法により成形、加熱して樹脂モールドセパレータとする圧縮成形工程とを有することを特徴とする樹脂モールドセパレータの製造方法。
- 前記圧縮成形工程の後、前記樹脂モールドセパレータを加熱後処理する加熱後処理工程を有することを特徴とする請求項1記載の樹脂モールドセパレータの製造方法。
- 前記被覆工程の後、前記樹脂被覆導電性基材に圧力を加えることにより結着させてシート状の予備成形体とする予備成形工程を行い、次いで前記シート状の予備成形体を用いて前記圧縮成形工程を行うことを特徴とする請求項1または2記載の樹脂モールドセパレータの製造方法。
- 粒子状のまたは短繊維状の導電性基材の表面を樹脂組成物により均一に被覆して樹脂被覆導電性基材を得る被覆工程と、前記樹脂被覆導電性基材に圧力を加えることにより結着させてセパレータ形状の成形体とする成形工程と、前記セパレータ形状の成形体を加熱して樹脂モールドセパレータとする加熱工程とを有することを特徴とする樹脂モールドセパレータの製造方法。
- 前記導電性基材が黒鉛粉末であり、かつ、前記樹脂組成物が主として熱硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の樹脂モールドセパレータの製造方法。
- 前記黒鉛粉末は少なくとも平均粒子径の異なる二種類の黒鉛粉末からなることを特徴とする請求項5記載の樹脂モールドセパレータの製造方法。
- 前記導電性基材が黒鉛粉末とカーボン繊維とからなり、前記黒鉛粉末100重量部に対し、前記カーボン繊維が20重量部を超えないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の樹脂モールドセパレータの製造方法。
- 前記樹脂組成物が主としてエポキシ系樹脂またはフェノール系樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の樹脂モールドセパレータの製造方法。
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