JP2006242753A - 分子膜、分子膜構造体、センサーチップ、及び、分子固定方法 - Google Patents

分子膜、分子膜構造体、センサーチップ、及び、分子固定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】1種類のリンカー分子を用意すればよく、工程が簡素であり、既存の分子を用いることができ、機能性分子の集積度を低下させることが無く、不要な分子が結合して汚染されてしまう虞の無い分子膜構造体を提供する。
【解決手段】分子膜構造体は、(A)一端にマレイミド基を有し、他端が基体10と結合する分子21から構成された第1分子膜領域22、及び、一端に重合したマレイミド基を有し、他端が該基体10と結合する該分子21から構成された第2分子膜領域23から成る分子膜20、並びに、(B)一端にチオール基を有し、第1分子膜領域22を構成する該分子21の一端が有するマレイミド基と該チオール基とが結合した受容体分子30、から成る。
【選択図】 図2

Description

本発明は、分子膜、分子膜構造体、センサーチップ、及び、分子固定方法に関する。
光学素子やバイオセンサーを構成するセンサーチップ等の集積度を向上させるために、ミクロン以下のサイズの微細な領域に様々な機能を有する分子あるいは分子組織体を配列する技術が要求されている。ここで、センサーチップは、例えば、診断化学及び分析化学の分野において、複雑な化学的あるいは生物学的試料をスクリーニングして試料中の成分が特定の成分に結合するといった能力に基づいて、試料中の成分を同定、単離、又は、定量するために使用される。
そして、このような配列技術の1つとして、フォトパターニングを用いる手法が知られている。具体的には、例えば、金属薄膜やガラス等から成る基体上にリンカー分子としての有機分子から成る自己組織化膜を形成することで、基体の表面を疎水性官能基で覆う(図4の(A)参照)。次いで、フォトマスクを介して自己組織化膜に紫外線を照射する(図4の(B)参照)。
その結果、リンカー分子に依るが、紫外線に照射された自己組織化膜の部分を構成するリンカー分子が基体から除去される(図5の(A)参照)。次に、露出した基体の表面に、新たに、末端が親水性官能基であるような別のリンカー分子を結合、固定する。その結果、新たに導入された親水性官能基にのみ選択的に反応する官能基を末端に有する分子(機能性分子)を、選択的に結合、固定することができる。尚、このような方法を、便宜上、第1の方法と呼ぶ。この第1の方法に関しては、例えば、J. M. Brockman et al., J. Am. Chem. Soc. 121 (1999) 8044 を参照のこと。
あるいは又、リンカー分子に依るが、紫外線に照射された自己組織化膜の部分を構成するリンカー分子の官能基(保護基)が除去される(図5の(B)参照)。その結果、官能基が除去された部分に反応する官能基を末端に有する分子(機能性分子)を、選択的に結合、固定することができる。尚、このような方法を、便宜上、第2の方法と呼ぶ。この第2の方法に関しては、例えば、J. Lahann et al., Science 299 (2003) 371. を参照のこと。
あるいは又、リンカー分子に依るが、紫外線に照射された自己組織化膜の部分を構成するリンカー分子の官能基が、例えば、還元される(図5の(C)参照)。その結果、還元された官能基にのみ選択的に反応する官能基を末端に有する分子を、選択的に結合、固定することができる。尚、このような方法を、便宜上、第3の方法と呼ぶ。この第3の方法に関しては、例えば、S. W. Han et al., Langmuir 18 (2002) 182. を参照のこと。
J. M. Brockman et al., J. Am. Chem. Soc. 121 (1999) 8044 J. Lahann et al., Science 299 (2003) 371. S. W. Han et al., Langmuir 18 (2002) 182.
ところで、上述の第1の方法では、複数のリンカー分子を用意しなければならず、しかも、所期の目的を達成するまでに複数の工程を実行する必要があるといった問題を有する。
また、第2の方法では、用意するリンカー分子は1種類でよいが、リンカー分子の適切な分子設計及び合成が困難であるし、保護基が嵩高い場合には、リンカー分子を稠密に配列する妨げとなり、機能性分子の集積度を低下させる虞がある。また、紫外線に照射された自己組織化膜の部分を構成するリンカー分子の官能基(保護基)が除去された後、自己組織化膜に段差が生じたり、リンカー分子の官能基(保護基)が除去された自己組織化膜の部分に不要な分子が結合して汚染されてしまう虞がある。
更には、第3の方法においても、還元された自己組織化膜の部分に不要な分子が結合して汚染されてしまう虞がある。
従って、本発明の目的は、1種類のリンカー分子を用意すればよく、工程が簡素であり、既存の分子を用いることができ、機能性分子の集積度を低下させることが無く、不要な分子が結合して汚染されてしまう虞の無い分子膜、係る分子膜から構成された分子膜構造体、係る分子膜構造体から構成されたセンサーチップ、及び、分子固定方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の分子膜は、
一端にマレイミド基を有し、他端が基体と結合する分子から構成された第1分子膜領域、及び、
一端に重合したマレイミド基を有し、他端が該基体と結合する該分子から構成された第2分子膜領域、
から成ることを特徴とする。
上記の目的を達成するための本発明の分子膜構造体は、
(A)一端にマレイミド基を有し、他端が基体と結合する分子から構成された第1分子膜領域、及び、一端に重合したマレイミド基を有し、他端が該基体と結合する該分子から構成された第2分子膜領域から成る分子膜、並びに、
(B)一端にチオール基を有し、第1分子膜領域を構成する該分子の一端が有するマレイミド基と該チオール基とが結合した結合分子、
から成ることを特徴とする。
上記の目的を達成するための本発明のセンサーチップは、
(A)基体、
(B)一端にマレイミド基を有し、他端が該基体と結合した分子から構成された第1分子膜領域、及び、一端に重合したマレイミド基を有し、他端が該基体と結合した該分子から構成された第2分子膜領域から成る分子膜、並びに、
(C)一端にチオール基を有し、第1分子膜領域を構成する該分子の一端が有するマレイミド基と該チオール基とが結合した結合分子、
から成ることを特徴とする。
上記の目的を達成するための本発明の分子固定方法は、
(a)一端にマレイミド基を有する分子から成る分子膜を基体上に形成した後、
(b)該分子膜に選択的にエネルギー線を照射することによって、エネルギー線が照射された分子膜の領域における分子間のマレイミド基を重合させ、次いで、
(c)エネルギー線が照射されなかった分子膜の領域における分子のマレイミド基と、結合分子が一端に有するチオール基とを反応させることで、該結合分子を、エネルギー線が照射されなかった分子膜の領域における分子と結合させることを特徴とする。
本発明の分子膜、本発明の分子膜構造体、本発明のセンサーチップ、あるいは、本発明の分子固定方法(以下、これらを総称して、単に、本発明と呼ぶ場合がある)にあっては、分子膜を構成する分子(リンカー分子と呼ぶ場合がある)はアルキル鎖骨格[−Cn(2n+1)−]を有している構成を挙げることができるが、これに限定されず、その他、芳香環(例えば、S. W. Han et al., Langmuir 18 (2002) 182 を参照)や、デキストランといった糖鎖(例えば、E. Gizelli et al., Sens. Actuat. B36 (1992) 131 を参照)を有している構成を挙げることができる。
また、上記の好ましい形態を含む本発明にあっては、限定するものではないが、基体は基板の表面に形成された金(Au)薄膜から成り、分子膜を構成する分子(リンカー分子)の他端(即ち、基体と結合する分子の他端)はチオール基(−SH)を有する構成とすることができる。
あるいは又、本発明において、基体として、表面に水酸基(−OH)が存在する基体を用いることが好ましく、ガラス基板;ITO薄膜が表面に形成されたガラス基板;シリコン基板;金属基板;雲母基板;ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムやポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド、ポリカーボネートに例示される高分子材料から構成されたプラスチック・フィルムやプラスチック・シート、プラスチック基板を挙げることができる。更には、基体として、これらの基板やフィルム、シートの表面(以下、基板等の表面と呼ぶ場合がある)に、金(Au)薄膜や銀(Ag)薄膜、白金(Pt)薄膜、銅(Cu)薄膜、SiOX系薄膜、TiO2薄膜、Al23薄膜が形成されたものを挙げることができる。ここで、これらの薄膜は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法に例示される物理的気相成長法(PVD法)、各種の化学的気相成長法(CVD法)に基づき形成することができる。尚、基板等の表面に金属薄膜を真空蒸着法にて形成する場合、基板等の表面と金属薄膜との密着性を向上させるために、基板等の表面と金属薄膜との間に密着層を形成してもよい。例えば、シリコン基板に金薄膜を真空蒸着する場合には、チタン(Ti)、クロム(Cr)あるいはタングステン(W)から成る厚さ数nm程度の密着層を真空蒸着法にてシリコン基板の表面に形成することが好ましい。あるいは又、基体として、基板等の表面に、一端にチオール基を有し、他端にシラノール基を有する有機分子の自己組織化薄膜を形成したものを挙げることができる。このような自己組織化薄膜に関しては、例えば、J. B. McGee, U. S. Patent 4,315,970 (1982)、J. J. Ponjee et al., Eur. Pat. Appl. EP11 1,957 (1984)、D. L. Allara et al., J. Vac. Sci. Technol. A1 (1983) 376、D. L. Allara and R. G. Nuzzo, U. S. Patent 4,690,715 (1983)、S. R. Wasserman et al., J. Mater. Res. 3 (1989) 886, C. A. Goss et al., Anal. Chem. 63 (1991) 85 を参照のこと。
更には、以上に説明した好ましい形態を含む、本発明の分子膜、本発明の分子膜構造体、本発明のセンサーチップにあっては、限定するものではないが、分子膜を単分子膜とすることが好ましい。また、以上に説明した好ましい形態を含む本発明の分子固定方法にあっては、前記分子膜を、自己組織化法(基体表面と化学的に結合する官能基を末端に有する分子を含む溶液中に基体を浸漬することで、単分子膜を形成する方法)に基づき基体上に形成することが好ましいが、これに限定されるものでは無く、その他、LB膜成膜法、交互積層法、化学的気相成長法(CVD法)を挙げることができる。
自己組織化法にあっては、基体の表面に分子が化学吸着しているため、安定な膜を成膜することができる。また、特殊な装置を必要としない簡便な方法である。この自己組織化法において、一端にマレイミド基を有する分子の他端を構成する官能基として、チオール基(−SH)以外にも、ジスルフィド(−SS−)、スルフィド(−S−)を挙げることができ、これらの官能基は、金属(例えば、金、銀、白金、銅)や半導体(例えば、CdS、GaAs、In23)に結合する。あるいは又、一端にマレイミド基を有する分子(化合物)として、シラン系化合物(例えば、アミノアルキルシランや、n−オクタデシルトリエトキシシラン、[2−(ペルフルオロヘキシル)エチル]トリエトキシシラン及び(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジメトキシシランの3成分系)を挙げることができ、これらのシラン系化合物は、ガラスや酸化シリコン(SiOx)、酸化アルミニウム(Al23)に結合する。更には、一端にマレイミド基を有する分子の他端を構成する官能基として、カルボキシル基(−COOH)を挙げることができ、この官能基は酸化チタン(TiO2)に結合する。
LB膜成膜法とは、気体/液体界面、あるいは、液体/液体界面において自己組織的に形成された単分子膜構造を、基体の表面にそのまま転写する方法である。基体への物理吸着であるため、安定性は自己組織化法によって成膜された薄膜よりも弱く、また、特殊な成膜装置を要する。尚、LB膜成膜法に関しては、例えば、A. Ulman, "An Introduction to Ultrathin Organic Films from Langmuir-Blodgett to Self-Assembly", Academic Press, New York (1991) を参照のこと。
また、以上に説明した好ましい形態を含む、本発明の分子膜、本発明の分子膜構造体、本発明のセンサーチップにあっては、エネルギー線の照射によってマレイミド基が重合したことが望ましい。そして、この場合、あるいは又、以上に説明した好ましい形態を含む本発明の分子固定方法にあっては、エネルギー線として紫外線を挙げることができ、紫外線の照射にはフォトマスクを用いることが、照射工程の簡素化といった観点から好ましい。
本発明において、チオール基を一端に有する結合分子(受容体分子)として、DNAのオリゴマー、タンパク質を例示することができる。
本発明において、分子膜の表面に結合分子(例えば、生体分子)を結合、固定し、更に、結合分子と相互作用する機能性分子(例えば、別の生体分子)を添加することで、センサーに用いることができる。このような相互作用の例として、タンパク質−タンパク質、タンパク質−ペプチド、DNA−タンパク質、DNA−DNA、糖−タンパク質、脂質−タンパク質を挙げることができる(例えば、永田、半田『生体物質相互作用のリアルタイム解析実験法』 シュプリンガー・フェアラーク 東京、1998 参照)。
ここで、タンパク質−タンパク質相互作用の測定の具体例として、例えば、分子シャペロンとその基質との相互作用測定[N. Murai et al., J. Biol. Chem. 270 (1995) 19957]、分子シャペロン同士の相互作用測定[M. K. Hayer-Hartl et al., Science. 269 (1995) 836、L. Nieba et al., Anal. Biochem. 252 (1997) 217]、DNAポリメラーゼ複合体における複製因子と増殖細胞核抗原との相互作用測定[K. Fukuda et al., J. Biol. Chem. 270 (1995) 22527]、初期発生における細胞増殖阻害分子と細胞増殖因子との相互作用測定[S. Iemura et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95 (1998) 9337]が知られている。
また、タンパク質−ペプチド相互作用の測定の具体例として、例えば、膜グアニル酸キナーゼと神経シナプス結合の接着因子との相互作用測定[K. Sato et al., Genes. Cells. 2 (1997) 415]、主要組織適合性複合体(MHC)分子と抗原提示細胞(APC)表面に発現するペプチドとの相互作用測定[S. N. Khilko et al., J. Biol. Chem. 268 (1993) 15425、S. N. Khilko et al., J. Immunol. Methods. 183 (1995) 77、K. Al-Ramadi et al. J. Immunol. 155 (1995) 662、S. M. Alam et al., Nature. 381 (1993) 15425、K. Matsui et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91 (1994) 12862]が知られている。
更には、DNA−タンパク質相互作用の測定の具体例として、例えば、遺伝子特異的転写因子とDNAとの相互作用測定[F. Suzuki et al., J. Biol. Chem. 273 (1998) 29302]、紫外線損傷DNA認識抗体とDNAとの相互作用測定[H. Kobayashi et al., J. Biochem. 123 (1998) 182]が知られている。
また、DNA−DNA相互作用の測定の具体例として、例えば、オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション測定[F. Suzuki et al., J. Biol. Chem. 273 (1998) 29302]、三本鎖DNA形成の測定[P. J. Bates et al., Nucleic Acid Res. 23 (1995) 3627]が知られている。
更には、糖−タンパク質相互作用、脂質−タンパク質相互作用の測定の具体例として、例えば、N−アセチルラクトサミンとレクチンとの相互作用測定[Y. Shinohara et al., Glycobiology 7 (1997) 1201]、モノクローナル抗体とリポソーム上の糖脂質との相互作用測定[B. A. Harrison et al., J. Biol. Chem. 212 (1998) 29]、バクテリア毒素とリポソーム上の糖脂質との相互作用測定[D. R. Bundle et al., Biochemistry 33 (1994) 5172、G. M. Kuziemco et al., Biochemistry 35 (1996) 6375]が知られている。
マレイミド基とチオール基とは、温和な条件下(例えば、室温下)で効率良く結合し、安定な架橋を形成することが知られている[例えば、S. Yoshitake et al., Eur. J. Biochem. 101 (1979) 395、E. Ishikawa et al., J. Immunoassay 4 (1983) 209、石川榮治 他, 酵素免疫測定法 (第三版, 医学書院, 1987)、石川榮治, 超高感度酵素免疫測定法 (学会出版センター, 1993) を参照]。ここで、チオール基はマレイミド基のオレフィン部位に結合する。この反応は生体物質の標識に応用されており、チオール基を末端に有する生体物質に西洋ワサビペルオキシターゼ等の標識物質を結合させることが行われている。酵素、抗原、抗体といった代表的な生体物質は、いずれも、通常、チオール基を末端に有するため、このような反応に基づく分子固定方法は極めて汎用性が高い。一方、紫外線を照射すると、2つのマレイミド基が重合することが知られている[例えば、J. Put and F.C. de Schryver, J. Am. Chem. Soc. 95 (1973) 137、F.C. de Schryver et al., J. Am. Chem. Soc. 96 (1974) 6463、J. von Sonntag et al., Chem. Eur. J. 8 (2002) 4199、C. E. Hoyle et al., Photochem. Photobiol. Sci. 2 (2003) 1074 を参照]。この反応においては、2つのマレイミド基はオレフィン部位同士で互いに環化付加し、二量体を形成し、少なくとも一部はビスマレイミド化する。
従って、マレイミド基を一端に有するリンカー分子に基づき分子膜を形成した後、例えばフォトマスクを用いて分子膜にエネルギー線を照射することで、チオール基の結合すべき位置をパターニングすることが可能である。この方法は、複数のリンカー分子を用意する必要が無く、工程を簡素化することができ、既存の分子を用いることができ、機能性分子の集積度を低下させることが無く、分子膜に不要な分子が結合して汚染されてしまう虞が無く、保護基の関係する困難な分子設計を必要としない。そして、例えば、高機能で高集積化されたバイオセンサーの作製のために、極めて汎用性の高い分子膜、分子膜構造体、センサーチップ、及び、分子固定方法を提供することが可能となる。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
実施例1は、本発明の分子膜、分子膜構造体、センサーチップ、及び、分子固定方法に関する。
実施例1の分子膜20は、その概念図を図1の(C)及び図2に示すように、一端にマレイミド基を有し、他端が基体10と結合する分子(リンカー分子21)から構成された第1分子膜領域22、及び、一端に重合したマレイミド基を有し、他端が基体10と結合する分子(リンカー分子21)から構成された第2分子膜領域23から成る。
また、実施例1の分子膜構造体は、概念図を図2に示すように、
(A)一端にマレイミド基を有し、他端が基体10と結合する分子(リンカー分子21)から構成された第1分子膜領域22、及び、一端に重合したマレイミド基を有し、他端が基体10と結合する分子(リンカー分子21)から構成された第2分子膜領域23から成る分子膜20、並びに、
(B)一端にチオール基を有し、第1分子膜領域22を構成する分子(リンカー分子21)の一端が有するマレイミド基とチオール基とが結合した結合分子(受容体分子)30、
から成る。
更には、実施例1のセンサーチップは、概念図を図2に示すように、
(A)基体10、
(B)一端にマレイミド基を有し、他端が基体10と結合した分子(リンカー分子21)から構成された第1分子膜領域22、及び、一端に重合したマレイミド基を有し、他端が基体10と結合した分子(リンカー分子21)から構成された第2分子膜領域23から成る分子膜20、並びに、
(C)一端にチオール基を有し、第1分子膜領域22を構成する分子(リンカー分子21)の一端が有するマレイミド基とチオール基とが結合した結合分子(受容体分子)30、
から成る。
尚、実施例1にあっては、リンカー分子21は、一例として、アルキル鎖骨格[−Cn(2n+1)−,但し、n=10]を有している。また、基体10は、ガラス基板11の表面に形成された金(Au)薄膜12から成り、分子膜20を構成する分子(リンカー分子21)の他端はチオール基(−SH)を有する。ここで、より正確には、分子膜20を構成する分子(リンカー分子21)が金(Au)薄膜12から成る基体と結合(反応)した状態にあっては、リンカー分子21と金薄膜12とは、イオウ(S)原子を介して結合している。金薄膜12は、真空蒸着法に基づき、ガラス基板11の表面に形成されている。更には、分子膜20は、単分子膜である。第2分子膜領域23を構成する分子間(リンカー分子21間)にあっては、エネルギー線(具体的には、紫外線)の照射によってマレイミド基が重合している。結合分子30は、末端にチオール基を有するタンパク質(プロテインA、システイン(HSCH2CH(COOH)NH2)等)、あるいは、免疫グロブリン(IgG、IgA等)から成る。
以下、実施例1の分子固定方法を、基体等の模式的な一部断面図である図1の(A)〜(C)、及び、図2を参照して説明する。尚、実施例1にあっては、先ず、分子膜を構成する分子の他端が結合すべき基体に対して前処理を行い、アミノ基が露出している表面を有する基体を得る。このような前処理を施すことでアミノ基が露出している表面を有する状態となった基体に、コハク酸イミドとマレイミドを各々末端に有する二価性試薬を結合させることによって、マレイミド基が露出した表面を有する基体を得る。
即ち、例えば、以下の(1)〜(7)に例示するチオール系化合物の溶液中に基体10を適切な時間、浸漬する。より具体的には、数ミリモルのチオール系化合物を含むエタノール溶液に、基体10を、数時間から1日、浸漬した後、基体10を洗浄する。例えば、エタノールでの洗浄後、純水での洗浄を行い、次いで、基体10を乾燥させればよい。尚、必要に応じて、超音波洗浄を行い、物理的に吸着したチオール化合物を除去する。また、乾燥は、空気中あるいは窒素雰囲気中で行えばよい。
(1)他端にカルボキシル基を有するアルカンチオール(例えば、10−カルボキシ−1−デカンチオール)[R. D. Vaughan et al., J. Anal. Chem. 364 (1999) 54 参照]
(2)他端にアミノ基を有するアルカンチオール(例えば、11−アミノ−1−ウンデカンチオール)[J. M. Brockman et al., J. Am. Chem. Soc. 121 (1999) 8044 参照]
(3)両末端にカルボキシル基を有するジスルフィド(例えば、4−4’−ジチオジブチル酸)[N. Kanayama and H. Kitano, Langmuir 16 (2000) 577 参照]
(4)他端にメチル基を有するアルカンチオール(例えば、1−オクタデカンチオール)
(5)他端にフェロセニル基を有するアルカンチオール(例えば、11−フェロセニル−1−ウンデカンチオール)[K. Uosaki et al., Langmuir 7 (1991) 1510 参照]
(6)他端にヒドロキシル基を有するアルカンチオール(例えば、6−ヒドロキシ−1−ヘキサンチオール)[T. M. Herne et al., J. Am. Chem. Soc. 119 (1997) 8916 参照]
(7)両末端にNHS活性エステルを有するジスルフィド(Dithiobis (succinimidyl undecanoate))[P. Wagner et al., J. Vac. Sci. Technol. B14 (1996) 1466 参照]
[工程−100]
より具体的には、実施例1の分子固定方法にあっては、先ず、一端にマレイミド基を有する分子(リンカー分子21)から成る分子膜20を基体10上に形成する(図1の(A)参照)。実施例1にあっては、表面に金(Au)薄膜12が真空蒸着されたガラス基板11から成る基体10を準備する。この金(Au)薄膜12の表面においては、マレイミド基が露出している。このような、マレイミド基が露出している表面を有する金薄膜12は、以下に例示する方法で得ることができる。尚、以下に例示する方法にあっては、先ず、アミノ基が露出している表面を有する金薄膜12を準備し、アミノ基が露出している表面を有する金薄膜12に、コハク酸イミドとマレイミドを各々末端に有する二価性試薬を結合させることによって、マレイミド基が露出した表面を有する金薄膜12を得ることができる。
金薄膜12の表面を1段階でアミノ化する例(前処理例)の具体例は、以下のとおりである。即ち、金薄膜12を、アミノ基を末端に有するアルカンチオール(アミノアルカンチオール)の溶液(典型的には約1.0マイクロモル/ミリリットル)に、数時間乃至半日程度、浸漬する。溶液の具体例として、11−アミノ−1−ウンデカンチオールのエタノール溶液、8−アミノ−1−オクタンチオールのエタノール溶液、6−アミノ−1−ヘキサンチオールのエタノール溶液を挙げることができる。以上の結果として、アミノ基が露出した自己組織化膜を金薄膜12の表面に形成することができる。ここで、このアミノ基が露出した自己組織化膜は、チオール末端を介して金薄膜12と結合している。
また、金薄膜12の表面を2段階でアミノ化する具体例は、以下のとおりである。即ち、カルボキシル基が露出した表面を形成し、次いで、別の分子を結合してアミノ基を露出させる例として、先ず、金薄膜12の表面に、カルボキシル基が露出した自己組織化膜を形成する。具体的には、例えば、金薄膜12を、カルボキシル基を末端に有するアルカンチオールの溶液(典型的には約1.0マイクロモル/ミリリットル)に、数時間乃至半日程度、浸漬する。その結果、チオール末端が金と結合し、金薄膜12の表面に、カルボキシル基が露出した自己組織化膜を形成することができる。溶液の具体例として、10−カルボキシ−1−デカンチオールのエタノール溶液、7−カルボキシ−1−ヘプタンチオールのエタノール溶液、5−カルボキシ−1−ペンタンチオールのエタノール溶液を挙げることができる。あるいは又、金薄膜12を、両末端にカルボキシル基を有するジスルフィド化合物を含む溶液に浸漬する方法を採用することもできる。その結果、ジスルフィドの部位と金とが結合し、カルボキシル基が露出した自己組織化膜を形成することができる。溶液の具体例として、10−カルボキシデシルジスルフィドのエタノール溶液、7−カルボキシヘプチルジスルフィドのエタノール溶液、5−カルボキシペンチルジスルフィドのエタノール溶液を挙げることができる。そして、こうして得られたカルボキシル基が露出した表面を有する金薄膜12を、N−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)を含む溶液に浸漬し、カルボキシル基を、一旦、エステル活性化する。典型例として、金薄膜12を、100ミリモルのNHSと400ミリモルの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)との等量混合液に10分程度浸漬する。次に、こうして得られた金薄膜12を、アミノ基を両末端に有する分子を含む溶液に浸漬する。その結果、カルボキシル基と一方のアミノ基との間で結合が生じ、もう一方のアミノ基が露出した表面を形成することができる。係る分子の例として、エチレンジアミンに代表されるアルキル鎖を含む分子、1,8−ジアミノ−3,6−ジオクサオクタンに代表されるポリエチレングリコール(PEG)を含む分子を挙げることができる。前者を用いた方法の具体例として、カルボキシル基が露出した表面を有する金薄膜12を、0.1モルのエチレンジアミンを50ミリモルのホウ酸緩衝液(pH8.5)に溶解したものに10分程度浸漬して、アミノ基が露出した表面を形成する方法を挙げることができる。
あるいは又、保護基付きのアミノアルカンチオールの自己組織化膜を形成して、脱保護する例として、以下の方法を挙げることができる。即ち、金薄膜12を、アミノ基の部位に保護基を有するアルカンチオールの溶液(典型的には約1.0マイクロモル/ミリリットル)に、数時間乃至半日程度、浸漬する。その結果、金薄膜12上に保護基が露出した表面を有する自己組織化膜が形成される。溶液の具体例としては、フロオレン−9−イルメチル N−(8−メルカプトオクチル)カルバミン酸のエタノール溶液、フロオレン−9−イルメチル N−(6−メルカプトヘキシル)カルバミン酸のエタノール溶液を挙げることができる。その後、こうして得られた金薄膜12を2級アミンの溶液に浸漬すると、保護基が脱離し、アミノ基が露出した表面を有する金薄膜12を得ることができる。
そして、以上によって得られたアミノ基が露出した表面を有する金薄膜12をマレイミド化する。即ち、アミノ基が表面に露出している金薄膜12を、コハク酸イミドとマレイミドを各々末端に有する二価性試薬を含む溶液に浸漬することで、アミノ基とコハク酸エステルとの間で反応が起こり、結果として、表面にマレイミド基が露出した金薄膜12を得ることができる。ここで、脂肪族性であって水溶性の二価性試薬として、N−(4−マレイミドブチリルオキシ)スルホコハク酸イミド、N−(6−マレイミドカプロイルオキシ)スルホコハク酸イミドを挙げることができる。一方、脂肪族性であって非水溶性の二価性試薬として、N−(4−マレイミドブチリルオキシ)コハク酸イミド、N−(6−マレイミドカプロイルオキシ)コハク酸イミドを挙げることができる。また、芳香族性であって水溶性の二価性試薬として、N−スルホコハク酸イミド−4−(N−マレイミドメチル)ベンゾネート、N−スルホコハク酸イミド−3−マレイミドベンゾネートを挙げることができる。一方、芳香族性であって非水溶性の二価性試薬として、N−コハク酸イミド−4−(N−マレイミドメチル)ベンゾネート、N−コハク酸イミド−3−マレイミドベンゾネートを挙げることができる。こうして、一端にマレイミド基を有する分子(リンカー分子21)から成る分子膜20を基体10上に形成することができる(図1の(A)参照)。
[工程−110]
次に、固相状態の分子膜20に選択的にエネルギー線を照射することによって、エネルギー線が照射された分子膜20の領域における分子間でマレイミド基を重合させる。具体的には、分子膜20の上方にフォトマスク13を配置する。ここで、第1分子膜領域22を形成すべき分子膜の上方のフォトマスク13の領域は遮光領域であり、第2分子膜領域23を形成すべき分子膜の上方のフォトマスク13の領域は光透過領域である。そして、例えば、波長248nmの紫外線(KrFレーザ光)を、フォトマスク13を介して、分子膜20に照射する(図1の(B)参照)。尚、マレイミド基は、図3の(A)に示す反応式(1)に基づき、相互に重合する。
こうして、図1の(C)に模式的に示すように、一端にマレイミド基を有し、他端が基体10と結合した(具体的には、他端にチオール基を有し、この他端のチオール基が基体の表面に露出したマレイミド基と結合した)分子(リンカー分子21)から構成された第1分子膜領域22、及び、一端に重合したマレイミド基を有し、他端が基体10と結合した(具体的には、他端にチオール基を有し、この他端のチオール基が基体の表面に露出したマレイミド基と結合した)分子(リンカー分子21)から構成された第2分子膜領域23から成る分子膜20を得ることができる。
[工程−120]
その後、エネルギー線が照射されなかった分子膜の領域(第1分子膜領域22)における分子のマレイミド基と、結合分子30が一端に有するチオール基とを反応させることで、結合分子30を、エネルギー線が照射されなかった分子膜の領域(第1分子膜領域22)における分子(リンカー分子21)と結合させる(図2参照)。尚、マレイミド基とチオール基とは、図3の(B)に示す反応式(2)に基づき反応する。
こうして、
(A)一端にマレイミド基を有し、他端が基体10と結合する分子(リンカー分子21)から構成された第1分子膜領域22、及び、一端に重合したマレイミド基を有し、他端が基体10と結合する分子(リンカー分子21)から構成された第2分子膜領域23から成る分子膜20、並びに、
(B)一端にチオール基を有し、第1分子膜領域22を構成する分子(リンカー分子21)の一端が有するマレイミド基とチオール基とが結合した結合分子30、
から成る分子膜構造体を得ることができる。あるいは又、
(A)基体10、
(B)一端にマレイミド基を有し、他端が基体10と結合した分子(リンカー分子21)から構成された第1分子膜領域22、及び、一端に重合したマレイミド基を有し、他端が基体10と結合した分子(リンカー分子21)から構成された第2分子膜領域23から成る分子膜20、並びに、
(C)一端にチオール基を有し、第1分子膜領域22を構成する分子(リンカー分子21)の一端が有するマレイミド基とチオール基とが結合した結合分子30、
から成るセンサーチップを得ることができる。
[工程−130]
その後、結合分子30と相互作用する別の生体分子(例えば、プロテインA等のタンパク質に対しては免疫グロブリン(IgG、IgA等)、あるいは免疫グロブリンに対してはタンパク質)を結合分子30に結合、固定することで、生物(特に人間)の体液に含有される、健康状態の指標物質の量をモニタするヘルスケア用のセンサーとして用いることができる。
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこの実施例に限定するものではない。実施例にて説明した各種の材料や分子膜等の具体的な形成方法、条件等は例示であり、適宜、変更することができる。
実施例1の[工程−100]において、アミノ基が表面に露出している金薄膜12を、コハク酸イミドとマレイミドを各々末端に有する二価性試薬を含む溶液に浸漬することで、アミノ基とコハク酸エステルとの間で反応を生じさせ、一端にマレイミド基を有する分子(リンカー分子21)から成る分子膜20を基体10上に形成したが、代替的に、アミノ基が表面に露出している金薄膜12を、カルボキシル基とマレイミド基を各々末端に有する試薬を含む溶液に浸漬することで、アミノ基とカルボキシル基との間で反応を生じさせ、一端にマレイミド基を有する分子(リンカー分子21)から成る分子膜20を基体10上に形成することができる。具体的には、例えば、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロライド(EDC)及びN−ヒドロキシスクシンイミドによってリンカー分子21におけるカルボキシル基をエステル活性化した後、適切なpHの緩衝液(例えば酢酸)で希釈した溶液中に、アミノ基が表面に露出している金薄膜12を浸漬する方法を挙げることができる。最初から上記のエステルが存在する場合には、上記の工程中でカルボキシル基をエステル活性化する必要はない。あるいは又、エポキシドとアミノ基を結合する方法、キレートを用いて結合する方法、ビオチン−アビジンの相互作用を利用する方法等に基づき、一端にマレイミド基を有する分子(リンカー分子)から成る分子膜を基体上に形成することもできる。
あるいは又、実施例1の[工程−100]において、代替的に、カルボキシル基が表面に露出している金薄膜12を、チオール基とマレイミド基を各々末端に有する試薬を含む溶液に浸漬することで、カルボキシル基とチオール基との間で反応を生じさせ、一端にマレイミド基を有する分子(リンカー分子21)から成る分子膜20を基体10上に形成することもできる。具体的には、例えば、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロライド(EDC)及びN−ヒドロキシスクシンイミドによって金薄膜12の表面に露出しているカルボキシル基をエステル活性化した後、適切なpHの緩衝液(例えばホウ酸)で希釈した2−(2−ピリジニルジチオ)エタンアミンヒドロクロライド(PDEA)溶液を添加してPDEA活性化し、最後に適切なpHの緩衝液(例えば酢酸)で希釈したリンカー分子を添加する方法を挙げることができる。尚、最初からリンカー分子表面に上記のエステルが存在する場合には、上記の工程中でリンカー分子表面のカルボキシル基をエステル活性化する必要はない。
図1の(A)〜(C)は、実施例1の分子固定方法を説明するための基体等の模式的な一部断面図である。 図2は、図1の(C)に引き続き、実施例1の分子固定方法を説明するための基体等の模式的な一部断面図であり、且つ、実施例1の分子膜、分子膜構造体、及び、センサーチップの模式的な一部断面図である。 図3の(A)は、マレイミド基の重合に関する反応式(1)を示し、図3の(B)は、マレイミド基とチオール基の反応に関する反応式(2)を示す。 図4の(A)及び(B)は、従来の技術を説明するための基体等の模式的な一部断面図である。 図5の(A)は、従来の技術(第1の方法)を説明するための基体等の模式的な一部断面図であり、図5の(B)は、従来の技術(第2の方法)を説明するための基体等の模式的な一部断面図であり、図5の(C)は、従来の技術(第3の方法)を説明するための基体等の模式的な一部断面図である。
符号の説明
10・・・基体、11・・・ガラス基板、12・・・金(Au)薄膜、13・・・フォトマスク、20・・・分子膜、21・・・リンカー分子、22・・・第1分子膜領域、23・・・第2分子膜領域、30・・・結合分子

Claims (20)

  1. 一端にマレイミド基を有し、他端が基体と結合する分子から構成された第1分子膜領域、及び、
    一端に重合したマレイミド基を有し、他端が該基体と結合する該分子から構成された第2分子膜領域、
    から成ることを特徴とする分子膜。
  2. 分子膜を構成する分子はアルキル鎖骨格を有することを特徴とする請求項1に記載の分子膜。
  3. 基体は、基板の表面に形成された金薄膜から成り、
    分子膜を構成する分子の他端はチオール基を有することを特徴とする請求項1に記載の分子膜。
  4. 分子膜は単分子膜であることを特徴とする請求項1に記載の分子膜。
  5. エネルギー線の照射によってマレイミド基が重合したことを特徴とする請求項1に記載の分子膜。
  6. (A)一端にマレイミド基を有し、他端が基体と結合する分子から構成された第1分子膜領域、及び、一端に重合したマレイミド基を有し、他端が該基体と結合する該分子から構成された第2分子膜領域から成る分子膜、並びに、
    (B)一端にチオール基を有し、第1分子膜領域を構成する該分子の一端が有するマレイミド基と該チオール基とが結合した結合分子、
    から成ることを特徴とする分子膜構造体。
  7. 分子膜を構成する分子はアルキル鎖骨格を有することを特徴とする請求項6に記載の分子膜構造体。
  8. 基体は、基板の表面に形成された金薄膜から成り、
    分子膜を構成する分子の他端はチオール基を有することを特徴とする請求項6に記載の分子膜構造体。
  9. 分子膜は単分子膜であることを特徴とする請求項6に記載の分子膜構造体。
  10. エネルギー線の照射によってマレイミド基が重合したことを特徴とする請求項6に記載の分子膜構造体。
  11. (A)基体、
    (B)一端にマレイミド基を有し、他端が該基体と結合した分子から構成された第1分子膜領域、及び、一端に重合したマレイミド基を有し、他端が該基体と結合した該分子から構成された第2分子膜領域から成る分子膜、並びに、
    (C)一端にチオール基を有し、第1分子膜領域を構成する該分子の一端が有するマレイミド基と該チオール基とが結合した結合分子、
    から成ることを特徴とするセンサーチップ。
  12. 分子膜を構成する分子はアルキル鎖骨格を有することを特徴とする請求項11に記載のセンサーチップ。
  13. 基体は、基板の表面に形成された金薄膜から成り、
    分子膜を構成する分子の他端はチオール基を有することを特徴とする請求項11に記載のセンサーチップ。
  14. 分子膜は単分子膜であることを特徴とする請求項11に記載のセンサーチップ。
  15. エネルギー線の照射によってマレイミド基が重合したことを特徴とする請求項11に記載のセンサーチップ。
  16. (a)一端にマレイミド基を有する分子から成る分子膜を基体上に形成した後、
    (b)該分子膜に選択的にエネルギー線を照射することによって、エネルギー線が照射された分子膜の領域における分子間のマレイミド基を重合させ、次いで、
    (c)エネルギー線が照射されなかった分子膜の領域における分子のマレイミド基と、結合分子が一端に有するチオール基とを反応させることで、該結合分子を、エネルギー線が照射されなかった分子膜の領域における分子と結合させることを特徴とする分子固定方法。
  17. 分子膜を構成する分子はアルキル鎖骨格を有することを特徴とする請求項16に記載の分子固定方法。
  18. 基体は、基板の表面に形成された金薄膜から成り、
    分子膜を構成する分子の他端はチオール基を有することを特徴とする請求項16に記載の分子固定方法。
  19. 前記分子膜を、自己組織化法に基づき基体上に形成することを特徴とする請求項16に記載の分子固定方法。
  20. エネルギー線は紫外線であることを特徴とする請求項16に記載の分子固定方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009133703A (ja) * 2007-11-30 2009-06-18 Fujifilm Corp バイオセンサー用チップおよびその製造方法並びに表面プラズモン共鳴分析用センサー
JP2009139112A (ja) * 2007-12-03 2009-06-25 Kyushu Univ ハイパーブランチポリマーを用いたバイオ支持体及びバイオチップ
JP2011523452A (ja) * 2008-04-16 2011-08-11 スマート ホログラムズ リミテッド 光重合性組成物

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