JP2006241207A - トリアゾール鉄錯体からなる機能性有機ゲル - Google Patents

トリアゾール鉄錯体からなる機能性有機ゲル Download PDF

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Abstract

【課題】 安定して可逆的にスピンクロスオーバー性を発現することができ、成形・加工が容易な新しい構造体を提供する。
【解決手段】 式(A)で表されるトリアゾール鉄錯体と、炭素数5〜16のアルカンとから形成される有機ゲル。式(A)中、Xは、式(B)で表されるトリアゾールリガンドを表し、そのトリアゾール環の1位および2位の窒素原子を介して2個の鉄(II)原子に配位しており、R1は炭素数1〜16のアルキル基を表す。式(B)中、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基もしくはアルコキシル基を表すが、R、RおよびRの少なくとも1つは炭素数8〜16のアルキル基もしくはアルコキシル基である。
【化1】
Figure 2006241207

【化2】
Figure 2006241207

【選択図】 なし

Description

本発明は、スピンクロスオーバー錯体から形成される新規な機能性有機ゲルに関する。
スピンクロスオーバー錯体は、温度や圧力などの外部刺激による「高スピン状態」と「低スピン状態」との間のスピン転移に伴い、磁性、光学特性および体積の変化が起こる。外部刺激により誘起されたそれらの変化をシグナルとして利用することが可能であり、分子スイッチング材料等の機能性材料として魅力的である。しかしながら、通常のスピンクロスオーバー錯体は溶剤に不溶の固体のため、溶液から直接成形・加工することが困難である。これまでに、固体をポリマーのマトリクスに混ぜて成膜した例が報告されているが(O. Kahnら、Science, 1998,
279, 44:非特許文献1)、相分離による試料の不均一化、高温によるスピンクロスオーバーの性質の劣化などの問題が残っている。結晶化溶媒を含む結晶から成るスピンクロスオーバー錯体も案出されているが、結晶では、加熱により含まれた結晶化溶媒が蒸発するため、スピン転移が非可逆的になる。また、結晶化前の溶媒中では、それらの錯体は分解しやすく、スピンクロスオーバーの性質が容易に失われてしまう等の問題があった。従って、スピンクロスオーバー錯体の応用開発には、いかに安定でかつスピン転移可能なソフトマテリアルを創成することができるかが重要なポイントとなっている。
近年、有機ゲルがソフトマテリアルとしての興味に加え、多用な応用性を持つため、基礎および応用の両面から注目されている。これまでに、様々な有機ゲル化剤が開発されているが、その多くは長鎖アルキル鎖を有する両親媒性化合物であり、ゲル化による流動性の制限や液体の蒸発を抑制する機能を利用して、例えば、化粧品をはじめとする医薬品、乾電池の電解質、インク、塗料、ゴム、繊維などの高分子加工助剤、様々な潤滑剤などに用いられている。しかしながら、これら従来の有機ゲルはゲル化する機能以外に他の機能を持たせることはきわめて難しく、これまでに機能性ゲルとしては、光捕集ユニットをゲル化剤に導入した例が知られているに過ぎない(A. AjayaghoshらAgnew Chem Int
Ed 2003, 42, 332:非特許文献2)。有機ゲルにはゲルという特殊環境下ならではの新しい機能発現の可能性が秘められているので、機能性有機ゲルの開拓はソフトマテリアルとしての新たな応用に繋がると考えられるが、スピンクロスオーバー現象を発現する有機ゲルは見当たらない。
O. Kahnら、Science, 1998, 279, 44 A. AjayaghoshらAgnew Chem Int Ed 2003, 42, 332
本発明の目的は、安定して可逆的にスピンクロスオーバーの性質を発現することができ、成形・加工が容易な新しい構造体を提供することにある。
本発明者は、研究を重ねた結果、アルカンをゲル化溶媒とする特定構造のトリアゾール鉄錯体から成るゲル構造体を見出し如上の目的を達成したものである。
かくして、本発明に従えば、下記の一般式(A)で表されるトリアゾール鉄錯体と、炭素数5〜16のアルカンとから形成されることを特徴とする有機ゲルが提供される。
Figure 2006241207
式(A)中、Xは、下記の式(B)で表されるトリアゾールリガンドを表し、そのトリアゾール環の1位および2位の窒素原子を介して2個の鉄(II)原子に配位しており、R1は炭素数1〜16のアルキル基を表す。
Figure 2006241207
式(B)中、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基もしくはアルコキシル基を表すが、R、RおよびRの少なくとも1つは炭素数8〜16のアルキル基もしくはアルコキシル基である。
本発明の有機ゲルは、安定であり、オープンエア(大気圧下)でスピン転移を可逆的に何度も繰り返してスピンクロスオーバー現象を発現することができる。本発明の有機ゲルは、常温より幾分高い比較的低温でゾル−ゲル転移するので、製膜したり様々の鋳型で成形することが容易であり、形状を自由自在に変えながら各種用途の素材として提供されることができる。
トリアゾール・鉄錯体は代表的なスピンクロスオーバー錯体である。既述の式(A)および(B)で定義されるように、本発明の有機ゲルを形成するトリアゾール鉄錯体では、配位子(トリアゾールリガンド)および対イオン(R−SO )にアルキル鎖を導入することにより、従来技術では不溶であったトリアゾール鉄錯体を可溶化することができる。また、本発明で用いられるトリアゾール鉄錯体は、分子の中心部に位置する鉄イオンが周囲のアルキル鎖(特に長鎖のアルキル鎖)に囲まれているため、溶液中でも物理的に安定化されて存在できるものと考えられる。そして、本発明に従えば、このようなトリアゾール鉄錯体に対して、高沸点のアルカンをゲル化溶媒として用いることにより、溶媒の蒸発によるゲルの破壊の防止された安定なゲルが得られる。
かくして、本発明の有機ゲルを形成するトリアゾール鉄錯体の対イオン(R−SO )において、Rは炭素数1〜16のアルキル基であるが、特に、安定なゲルを形成する点からはRは炭素数8〜16のアルキル基(直鎖状のアルキル基)である。
また、本発明の有機ゲルを形成するトリアゾール鉄錯体のトリアゾールリガンドを表す式(B)中、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基もしくはアルコキシル基を表し且つR、RおよびRの少なくとも1つは炭素数8〜16のアルキル基またはアルコキシル基であるが、安定なゲルを得るためには、R、RおよびRの少なくとも1つが炭素数8〜16のアルキル基またはアルコキシル基であり且つR、RおよびRの残りが水素原子であることが好ましく、特に好ましいのは、R、RおよびRの少なくとも1つが炭素数8〜16のアルコキシル基(直鎖状のアルコキシル基)である。
本発明の有機ゲルは、以上のようなトリアゾール鉄錯体を炭素数5〜16の液状のアルカンと混合することによって形成される。アルカンとしては、側鎖の短いもの(一般に炭素数1〜2)であれば分枝状のアルカンも使用可能であるが、直鎖状アルカンが好ましく、ゲルの安定性やゲル形成操作の容易性などの点から炭素数8〜16の直鎖状アルカンが特に好ましい。
本発明の有機ゲルは、60〜65℃の温度においてゾル−ゲル転移を起こし、しかも、このゾル−ゲル転移温度において色の変化を呈する。すなわち、本発明に従うトリアゾール鉄錯体/アルカン系においては、スピン転移、ゾル−ゲル転移、および色の変化の三つが同時に起こる。
本発明に従うトリアゾール鉄錯体/アルカンを用いれば、トリアゾール鉄錯体とアルカンの混合比の広い範囲にわたって(一般的にはアルカンに対するトリアゾール鉄錯体1〜50重量%)ゲルを調製することができ、既述のように、そのゾル−ゲル転移温度は、いずれの場合においても60〜65℃程度である。得られるゲルは、粘弾性や光学特性(色)変化の程度は異なるが、いずれも安定である。
本発明で用いられる式(A)のトリアゾール鉄錯体を形成する式(B)のトリアゾールリガンドは、既知の反応を工夫することによって合成することができる。すなわち、一般的には、図1に示すように、DBOP〔ジフェニル(2,3−ジヒドロキシ−2−チオキシ−3−ベンゾキサゾール)ホスホネート〕、およびトリエチルアミンの存在下、THF(テトラヒドロフラン)のような溶媒中、アルキル(またはアルコキシル)鎖置換基を有するベンゾイックアシッド(安息香酸)(C)と4−アミノ−1,2,3−トリアゾール(D)とを還流条件下に脱水反応させればよい(後述の実施例1参照)。
本発明で用いられるトリアゾール鉄錯体は、以上のようにして得られるトリアゾールリガンドをアルキルスルホン酸鉄(R−SOFe)と反応させることによって生成する。式(B)のトリアゾールリガンドとアルキルスルホン酸鉄の反応は、一般に、メタノール/THFのような混合溶媒中でアスコルビン酸還流条件下に行なわせる。反応終了後、溶媒を蒸発除去すると紫色の固体として鉄錯体が得られる(後述の実施例2参照)。このようにして得られる式(A)でのトリアゾール鉄錯体において、Xは既述のように式(B)で表されるトリアゾールリガンドを表し、このトリアゾールリガンドは、そのトリアゾール環の1位および2位の窒素原子を介して2個の鉄(II)原子に配位している(配位結合している)。
以下に、本発明の特徴を実施例に沿ってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
なお、実施例において採用した試薬、測定装置および条件等は次のとおりである。
1.試薬等
・反応はすべて乾燥アルゴン下で行った。
・溶剤類は無水のものはそのまま使用した。
・メタノール、THF、アスコルビン酸は(株)東京化成工業から供給されるものをそのまま使用した。
2.測定装置と条件等
・IRスペクトル:日本分光社製FTIR−660 Plus型赤外分光光度計を使用した。
・紫外・可視吸収スペクトル:光路長1センチの四面透明石英セルを用い、日本分光社製Ubest V−560型分光光度計を使用して測定した。
・磁性測定:Quantum Design社製MPMS−5S型SQUID磁力計を使用した。
・粘弾性測定:TA社製ARES粘弾性計を使用した。
リガンドの合成
図1に示す反応式に従って式(B)のトリアゾールリガンド(配位子)を合成した。式(B)において、R=R=−OC1225、R=Hのトリアゾールリガンド(以下、C12Trzと略記する)について具体的な合成法および同定データを以下に示すが、他のリガンドについても同様に合成した。
<C12Trzの合成> 還流管とマグネット攪拌子を有する300mLの二口フラスコに、蒸留したTHF100mLを入れ、1,3−ジドデシロキシルベンゾイックアシッド3.0g、トリエチルアミン2.0mL、ジフェニル(2,3−ジヒドロキシ−2−チオキシ−3−ベンゾキサゾール)ホスホネート6.2g、4−アミノ−1,2,4−トリアゾール1.0gを入れ、攪拌しながら加熱し、30分還流した後、反応溶液を室温まで冷却した。濾過で過剰な未反応物を除き、得られたろ液を蒸発させて除去し、固体を得た。30mLのクロロホルムに溶かし、シリカゲルカラムで分離した。溶媒はクロロホルムから3%のメタノールを含有するクロロホルムの混合溶媒に少しずつ変え、第2のフラクションを集めた。蒸発により溶媒を除去し、95%の収率で白色固体C12Trzを得た。
<同定データ>
(1)プロトン核磁気共鳴分析1H NMR(500MHz,CDCl3):δ(ppm) 0.86(6H,t,J=7.0Hz,CH3)、1.24(32H,m,(CH2)8)、1.40(4H,m,J=7.0Hz,OCH2CH2CH2)、1.76(4H,m,J=7.0Hz, OCH2CH2)、3.92(4H,t,J=7.0Hz, OCH2)、6.66(1H, t,J=2.0Hz,ArH)、7.17(2H, d,J=2.0Hz,ArH)、8.20(2H,s,トリアゾール−H)。
(2)カーボン13核磁気共鳴分析13C
NMR (125MHz, CDCl3):δ(ppm) 14.2、22.6、26.1, 29.2、29.4、29.5、29.7、29.7、32.0、68.5、106.0、106.7、131.8、143.4、160.5および166.0。
(3)赤外分光分析FT IR (KBr):ν(cm−1) 3115(NH)、2920(CH2anti)、2850(CH2anti)、および1670(C=O)。
(4)飛行時間質量分析MALDI-TOF-MS:C33H56N4O3
[M+H+]:m/z=557.8(計算値);557.6(実測値)。
鉄錯体の合成
実施例1に従って合成したトリアゾールリガンドとアルキルスルホン酸鉄を反応させることによりトリアゾール鉄錯体を合成した。トリアゾールリガンドとしてC12Trzを用い、アルキルスルホン酸鉄としてn−ドデシルスルホン酸鉄を用いた鉄錯体(以下、C12Trz鉄錯体と略記する)について具体的な合成法および同定データを以下に示すが、他の錯体についても同様に合成した。
<C12Trz鉄錯体の合成> 還流管とマグネット攪拌子を有する100mLの二口フラスコにC12Trz(3g)を入れ、アルゴンで置換した後、メタノール/THF(体積比で5/1)混合溶媒(50mL)を加えて溶かした。この溶液に少量のアスコルビン酸(0.01g)を共存させたドデシル硫酸鉄(0.2g)のメタノール/THF(体積比で5/1)混合溶液(20mL)を滴下し、5分間加熱還流した。室温まで冷却した後、反応溶液を蒸発除去し、99%の収率で紫色の固体としてC12Trz鉄錯体を得た。
<同定データ>
FT−IR(KBr; cm−1):ν(OH)3446、ν(NH) 3100、νasym(CH2)
2923、νsym(CH2) 2853、ν(C=O)1696、ν(C=C)1604、ν(N=C−N)1561、ν(CONH)1519、ν(CH2)1465、ν(C−O)1167、ν(O=S=O)1206、ν(O=S=O)1046、νasym (O=S=O)776、ν(CH2)721、ν(trz)622、νsym(O=S=O)554。
有機ゲルの作成と物性測定(1)
1Lのフラスコに、実施例2で合成したC12Trz鉄錯体(10g)と10〜1000mLのドデカンを入れ、室温下で3時間〜1日間静置し、濃度が0.6〜40重量%の均一な紫のゲルを得た。
<ゲル−ゾル転移>
得られたゲルをセルに移し、昇温した。いずれの場合も、63℃付近でゲルが溶けてゾルになると同時に、色が紫からオフ−ホワイトに変わった。降温すると、ゾルが速やかに再びゲルになり、同時に、色が紫に戻った。
図2にゾルゲル転移温度の濃度(鉄錯体の重量%)依存性を示す。すべてのゲルは、濃度に依らず実質的に同じ温度でゾル−ゲル転移を起こした。
また、図3に、1例として鉄錯体濃度40重量%のゲルについて測定した紫外・可視スペクトルの変化(A:加熱、B:冷却)を示す。温度変化によるゾル−ゲル転移に伴なう色の変化が可逆的に起こることがスペクトル測定によっても確認された。他の濃度のゲルについても、色の変化の程度(吸光度)は異なるが、同様のスペクトル変化が観察された。
図4は、1例として鉄錯体濃度20重量%のゲルについて行なった粘弾性測定の結果を示す。低温では弾性を示してゲルの状態を保っているが、63℃付近でG’(貯蔵弾性率)とG’’(損失弾性率)が交差し、その後、逆転しており、この温度において弾性域から粘性域への転移が生じて、ゲルが融解してゾルになることが粘弾性特性からも確認された。
<磁性変化測定>
1例として鉄錯体濃度20重量%のゲルについて測定した磁性の温度依存性を図5に示す。既述の目視観察、紫外・可視吸収スペクトル測定および粘弾性測定でゲルからゾルへの転移の認められる63℃付近で磁化率の急激の変化が起こっており、この温度において低スピン状態から高スピン状態へのスピン転移が生じていることが理解される。
有機ゲルの作成と物性測定(2)
式(A)の鉄錯体におけるアルキルスルホン酸イオン(R−SO )のR、ならびに式(B)のトリアゾールリガンドのR、RおよびRの異なる種々のトリアゾール鉄錯体とドデカンとから有機ゲルを作成し、ゾル−ゲル転移を観察した。ゲル化溶媒ドデカンに対するトリアゾール鉄錯体の濃度は20重量%とした。ゲルの作成法およびその物性測定法は実施例1〜実施例3に準じた。
その結果を表1にまとめて示す。表1のRにおいて、C8、C12およびC16とは、それぞれ、Rが炭素数8、12および16のアルキル基であることを示す。また、表1のR、RおよびRにおいてC8、C12およびC16とは、それぞれ、炭素数8、12および16のアルコキシル基であることを示す。なお、Hは水素原子であることを示す。いずれの場合においても、低温から昇温すると、63℃付近でゲルが溶解してゾルになると同時に、色が紫からオフホワイトに変化した。降温するとゾルが速やかに再びゲルになると同時に色が紫に戻った。
Figure 2006241207
有機ゲルの作成と物性測定(3)
実施例1〜実施例3に示したC12Trz鉄錯体とドデカンとから成る有機ゲルにおいて、ゲル化溶媒としてドデカンの代わりに、オクタン、デカン、およびヘキサデカンを用いて有機ゲルを作成しゾル−ゲル転移を観察した。ゲル化溶媒に対するトリアゾール鉄錯体の濃度は2〜40%(重量)とした。ゲルの作成法およびその物性測定法は実施例1〜実施例3に準じた。その結果、いずれの場合においても、低温から昇温すると、63℃付近でゲルが溶解してゾルになるとともに紫からオフホワイトへの色の変化が認められ、降温すると再びゲルへ戻るとともに色も紫色に変わった。
トリアゾール鉄錯体とアルカンとから形成される本発明の有機ゲルは、温度変化という外部刺激により磁気的性質や色が可逆的に変化するので、この特性に基づき、センサー、スイッチング素子、表示素子などに利用、展開され得るものと期待される。その際、トリアゾール鉄錯体の幅広い濃度範囲にわたってゲルを調製することが可能であり、それに応じて、応答信号(磁化率および/または色の変化)の大きさや粘弾性の異なるゲルを提供することができる。
本発明のゲル形成に用いられる鉄錯体を構成するトリアゾールリガンドの合成スキームを示す。 本発明のゲルのゾル−ゲル転移温度の濃度依存性を例示する。 本発明のゲルの紫外・可視吸収スペクトルの測定結果を例示する。 本発明のゲルについて行なった粘弾性測定結果を例示する。 本発明のゲルについて測定した磁性の温度依存性の結果を例示する。

Claims (5)

  1. 下記の一般式(A)で表されるトリアゾール鉄錯体と、炭素数5〜16のアルカンとから形成されることを特徴とする有機ゲル。
    Figure 2006241207
    〔式(A)中、Xは、下記の式(B)で表されるトリアゾールリガンドを表し、そのトリアゾール環の1位および2位の窒素原子を介して2個の鉄(II)原子に配位しており、R1は炭素数1〜16のアルキル基を表す。〕
    Figure 2006241207
    〔式(B)中、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜16のアルキル基もしくはアルコキシル基を表すが、R、RおよびRの少なくとも1つは炭素数8〜16のアルキル基もしくはアルコキシル基である。〕
  2. が炭素数8〜16のアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の有機ゲル。
  3. 、RおよびRの少なくとも1つが炭素数8〜16のアルキル基またはアルコキシル基であり、R、RおよびRの残りが水素原子であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機ゲル。
  4. 、RおよびRの少なくとも1つが炭素数8〜16のアルコキシル基であることを特徴とする請求項3に記載の有機ゲル。
  5. アルカンが炭素数8〜16の直鎖状アルカンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機ゲル。
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