JP2006240936A - 塩化物製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 流動反応炉の排出口付近でその排出口から排出される排出ガスに液状の目的塩化物を吹き付けて配管付着物質を排出口近傍に凝集付着させる配管閉塞防止策において、下流側の移送配管での閉塞防止効果を高める。
【解決手段】 流動反応炉1の排出口付近でその排出口から排出される排出ガスに、液状の目的塩化物をスプレー手段4によりスプレーして、配管付着物質を前記排出口近傍に凝集付着させる。液状の目的塩化物のスプレー量を、流動反応炉1に投入される塩素ガス及びドライエアの投入量に応じて制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】 流動反応炉1の排出口付近でその排出口から排出される排出ガスに、液状の目的塩化物をスプレー手段4によりスプレーして、配管付着物質を前記排出口近傍に凝集付着させる。液状の目的塩化物のスプレー量を、流動反応炉1に投入される塩素ガス及びドライエアの投入量に応じて制御する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、四塩化チタンなどの塩化物の製造に使用される塩化物製造方法に関し、特に流動反応炉を用いる塩化物製造方法に関する。
スポンジチタンの製造原料である四塩化チタンは、チタン鉱石を炭素の存在下で塩素ガスと接触させることにより製造され、通常は流動反応炉内でチタン鉱石及びコークスを塩素ガスで流動させることにより製造される。流動反応炉を用いた四塩化チタンの製造方法を図3により説明する。
流動反応炉1内に所定量のチタン鉱石(TiO2 )及びコークス(C)を装入する。この状態で反応炉の下部から塩素ガスを炉内に吹き込む。反応炉1内で流動層が形成され、四塩化チタンが生成される。この反応は発熱反応であり、通常は800〜1200℃の温度範囲内で反応が進められる。生成したガス状の四塩化チタンはCOやCO2 、四塩化チタン以外の各種塩化物などの副生ガスと共に、炉頂部から反応炉1の外へ排出される。その排出ガスは、反応炉1の炉頂部に取付けられた立上がり管2から、これに接続された横向きの移送配管3などを経て凝縮器へ送られ、凝縮器で四塩化チタンが液体として抽出される。
このような流動反応炉を用いた四塩化チタンの製造方法で問題となる現象の一つは、移送配管での凝集付着物の大量発生及びこれによる閉塞である。主な凝集付着物は、排出ガスに含まれる副生塩化物、特に融点が672℃の塩化第一鉄である。流動反応炉を高温で出た排出ガスは移送配管内を移動する過程で冷却され、排出ガス中の塩化第一鉄などが移送配管の途中で凝集し移送配管の内面に付着することにより配管を閉塞させる。移送配管が途中で閉塞した場合は、操業を一時停止し、閉塞箇所を解体して付着物を除去するとか配管を交換するといった大がかりな対応が必要となり、経済的な損失が大きい。
このような事情から、移送配管の閉塞現象を防止する試みが以前より色々と行われており、その一つが特許文献1に記載された流動反応炉の出口付近での付着原因物質の集中的な事前除去である。
すなわち、特許文献1に記載された閉塞防止策は、流動反応炉の出口付近に予め付着箇所を設定しておき、ここに塩化第一鉄などの配管付着物質を強制的に付着させると共に、付着物の強制除去手段を設置しておき、付着箇所に強制的に付着させた物質を逐次その強制除去手段で除去することにより、付着箇所での閉塞を防止しながら下流側の移送配管への配管付着物質の流出を阻止し、移送配管の閉塞を防止するものである。
ここにおける付着箇所としては通常、立上がり管が選択される。配管付着物質を堆積させる方法としては、製造目的塩化物である四塩化チタンの液体をスプレーすることによる強制冷却、これによる配管付着物質の凝集が採用されている。すなわち、立上がり管を上昇する排出ガスに対して、四塩化チタンの液体をスプレーすることにより、そのガス温度を配管付着物質の凝集温度以下(例えば塩化第一鉄の融点より低い670℃以下)に低下させるのである。スプレーされた四塩化チタンは気化し製品ガスと共に下流側へ移送される。
これにより、製品品質に影響を与えることなく、排出ガス中の配管付着物質を立上がり管の内面に付着させ、事前に除去することが可能となる。付着物の強制除去手段としては、削岩機のようなマシンが立上がり管に取付けられており、立上がり管の内面に堆積した付着物を定期的に除去し、立上がり管自体の閉塞を防止する。
このような配管付着物質の事前除去、及びこれによる閉塞防止方法では、立上がり管での排出ガスの冷却温度が重要である。冷却温度が配管付着物質の凝集温度まで下がらないないと、配管付着物質が下流側の移送配管に流出していしまい、移送配管での付着、閉塞現象を防止できない。このため、特許文献1では、付着箇所である立上がり管で排出ガスの冷却温度が温度計によりモニターされている。
しかしながら、温度計が設置される立上がり管は、配管付着物質の付着箇所でもある。このため、その温度計にも配管付着物質が付着し、早期に使用不能に至らしめる。その結果、立上がり管での排出ガスの冷却温度管理が不正確となり、配管付着物質の下流側への流出が生じる。
この問題を解決するために、本発明者は次の2つの対策を講じた。一つは温度計の移設であり、その温度計を付着箇所より下流側の移送配管に設置した。しかし、移送配管に温度計を移設するとはいえ、立上がり管での温度管理を行う以上、立上がり管から遠く離れた場所に温度計を設置することはできない。その結果、温度計における配管付着物質の付着を阻止できず、やはり早期に使用不能となる問題が発生した。
今一つの対策は、四塩化チタンのスプレー量の増加である。すなわち、排出ガスの実際の冷却温度に関係なく、その冷却温度が目標冷却温度を上回らないように、四塩化チタン液のスプレー量を十分な余裕をもって増加するのである。そうすれば、排出ガス温度は常に目標冷却温度以下に管理され、排出ガス中の付着原因物質が立上がり管で全量凝集し捕捉されるはずである。しかし、そのような予測にもかかわらず、下流側の移送配管で配管付着物質の凝集付着による閉塞が発生した。その理由は、スプレーされた四塩化チタン液が多すぎ、一部が蒸発せずに液体のまま下流側の移送配管へ流入し、立上がり管をすり抜けた配管付着物質を冷却して移送配管に凝集付着させるためと考えられる。
本発明の目的は、流動反応炉の排出口付近でその排出口から排出される排出ガスに液状の目的塩化物を吹き付けて配管付着物質を排出口近傍に凝集付着させる配管閉塞防止策において、下流側の移送配管での配管付着物質の凝集付着による閉塞を効果的に防止できる塩化物製造方法を提供することにある。
先の2つの対策の実施結果から、本発明者は、過不足のない四塩化チタン液のスプレーが、上記目的の達成ためには不可欠であると考え、そのスプレー量の算定基準となる因子を、排出ガスの冷却温度以外に求め、鋭意調査検討を続けた。その結果、以下の興味深い事実が明らかになった。
流動反応炉に投入する原料ガスの量は、一応、四塩化チタンの生産量に対応しており、スプレー量の判断基準として有効と考えられるので、その原料ガスである塩素ガスの投入量に応じて四塩化チタン液のスプレー量を調整してみた。しかし、必ずしも十分な成果を挙げることができなかった。すなわち、下流側の移送配管での配管付着物質の凝集付着を防止できることもあれば、できないこともあったのである。そこで更に検討を加えた結果、必要に応じて反応炉に投入されるドライエアの量が、配管付着物質の事前除去に深く関与していることを突き止め、塩素ガス及びドライエアの両投入量に応じて四塩化チタン液のスプレー量を調整した。その結果、下流側の移送配管での配管付着物質の凝集付着による閉塞が効果的に防止され、本発明が完成した。
本発明の塩化物製造方法は、流動反応炉を用いた塩化物製造方法において、前記流動反応炉の排出口付近でその排出口から排出される排出ガスに液状の目的塩化物をスプレーして配管付着物質を前記排出口近傍に凝集付着させ、その凝集付着物を前記排出口付近に設けた除去手段で除去することによりガス配管での付着閉塞を防止する際に、前記流動反応炉に投入する投入ガスの投入量に応じて前記目的塩化物のスプレー量を制御することを構成上の特徴点としている。
そして、目的塩化物が四塩化チタンの場合は、投入ガスは塩素ガス及びドライエアの両方となる。
ドライエアとは、塩素ガスの投入量を減らすときに、その塩素ガスの代わりに、流動性及び反応温度の維持を目的として反応炉内に投入する物質である。すなわち、流動反応炉を用いた実際の操業では、例えば昼間と夜間とで、原料ガスである塩素ガスの投入量が変えられる。これは昼間と夜間の電力コストの違いに伴う操作であり、電力コストが安い夜間に塩素ガス量を多くして、生産効率を高めるのである。その結果、塩素ガス量が減少する昼間にあっては、反応炉内の流動性が低下し、反応温度も低下する。これを経済的に補うのがドライエアであり、その投入により流動性を改善すると共に、コークスの燃焼を促進して反応温度も上昇させる。
本発明の塩化物製造方法においては、配管付着物質を排出口近傍に凝集付着させるための液状の目的塩化物のスプレー量が原料ガスである塩素ガスの投入量と、その塩素ガスの不足分を補うドライエアの投入量の両方に基づいて制御される。具体的には、塩素ガスの投入量が増加するにしたがってスプレー量を増量すると共に、ドライエアの投入量が増加するにしたがってスプレー量を増量する。これにより、反応炉内の反応熱量に応じてスプレー量が制御されることになり、結果的に排出ガス温度の冷却温度を適正範囲内に管理することが可能となる。
すなわち、本発明の塩化物製造方法においては、換言すれば、排出ガス温度の冷却温度が適正範囲内に管理されるように、塩素ガスの投入量及びドライエアの投入量に応じてスプレー量が設定されるのである。より具体的には、反応炉内の反応熱量が増加したときにスプレー量が増加し、反応炉内の反応熱量が減少したときにスプレー量が減少する。ちなみに、排出ガス冷却温度の適正範囲は、主たる配管付着物質である塩化第一鉄の融点より低い670℃以下であり、かつ液状の目的塩化物のスプレーが過剰にならず余剰の目的塩化物液が生じない500℃以上である。
塩素ガスとドライエアとでは、反応熱に及ぼす影響度が異なる。このため、適正なスプレー量を求めるにあたっては、それぞれのガスに固有の係数A,Bが存在する。すなわち適正なスプレー量Sは数式1により表される。
本発明の塩化物製造方法は、配管付着物質を排出口近傍に凝集させるための液状の目的塩化物のスプレー量を投入ガス量、目的塩化物が四塩化チタンの場合は、原料ガスである塩素ガスの投入量と、その塩素ガスの不足分を補うドライエアの投入量の両方に基づいて制御することにより、排出ガス温度の冷却温度をモニターせずとも結果的にその冷却温度を適正範囲内に管理することができ、これにより下流側の移送配管での付着原因物質の凝集付着による配管閉塞を確実に防止することができる。
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態を説明するための流動反応炉の炉頂部の構成図、図2はガス投入量とスプレー量の関係を示すグラフである。
本実施形態では、図1に示すように、スポンジチタンの製造原料である四塩化チタンが流動反応炉1を用いて製造される。具体的には、前述したとおり、チタン鉱石及びコークスが流動反応炉1内に装入され、この状態で炉底部から炉内へ塩素ガスが投入されることにより、炉内で四塩化チタンが生成される。生成されたガス状の四塩化チタンは他の副生ガスと共に炉頂部から炉外へ排出され、炉頂部に取付けられた垂直な立上がり管2、及びこれに側方から直角に接続された水平な移送配管3などを介して図示されない凝集器へ送られる。凝集器では、排出ガスが冷却されてガス中の四塩化チタンが液化により分離される。塩素ガスと共にドライエアが適宜投入されることは前述したとおりである。
立上がり管2の下部にはスプレー手段4が設けられている。スプレー手段4は、立上がり管2を通過する排出ガスを冷却するために、四塩化チタンの液体を立上がり管2の中心部に向けて広い範囲に噴出する。これにより排出ガス中の配管付着物質が立上がり管2内で凝集し、その内面に付着する。一方、立上がり管2の上方には、ボールバルブ5を介して付着物除去手段6が連設されている。付着物除去手段6は一種の削岩機であり、下端部に破壊ヘッドを有する垂直な掃除棒7を装備している。掃除棒7は、立上がり管2の内面に堆積した付着物を破壊するために、図示されない駆動機構により軸方向に振動しながら周方向に回転し、且つ軸方向に昇降移動を行う。
本実施形態で重要な点は、スプレー手段4から噴出する四塩化チタン液の量的な制御である。具体的には、図2に示すように、操業中に塩素ガスの投入量C及びドライエアの投入量Dがモニターされ、塩素ガスの投入量Cから求めたスプレー量の適正条件を満足するスプレー量と、 ドライエアの投入量Dから求めたスプレー量の適正条件を満足するスプレー量との合計値に実際のスプレー量が制御される。それぞれの適正条件は、反応炉1からの排出ガスを適正温度以下に冷却し、かつスプレーされた四塩化チタンが立上がり管2内でガス化を完了する範囲内であり、過去の操業データやシミュレーションデータに基づいて事前に求めておく。スプレー量が不足する場合は多量の付着原因物質が下流側の移送配管3へ流出する。過剰の場合はガス化しなかった四塩化チタンが下流側の移送配管3に流出し、ここで排出ガスの強制冷却を行う。いずれの場合も下流側の移送配管3において付着物が堆積し、閉塞がおきる。
本実施形態では、立上がり管2での四塩化チタン液のスプレーにより、排出ガス中の配管付着物質が立上がり管2の内面に付着堆積し捕捉される。その結果として、下流側の移送配管3へ流出する排出ガス中から配管付着物質が除去される。これにより、移送配管3での閉塞は効果的に防止されるが、立上がり管2では、配管付着物質の付着堆積が急速に進み、これを放置すると閉塞が生じる。そこで、立上がり管2が閉塞に至る前に定期的に付着堆積物を除去する。具体的には、ボールバルブ5を開き、付着物除去手段6の掃除棒7を軸方向に振動しさせながら周方向に回転させ、この状態で軸方向に下降させる。これにより、立上がり管2の内面に堆積する付着物が除去され、必要なガス通路が確保される。
かくして、本実施形態では、排出ガス中の付着原因物質による移送配管3の閉塞が防止される。特に四塩化チタン液のスプレー量が塩素ガス量及びドライエア量の両方に基づいて制御されていることにより、立上がり管2での排出ガスの冷却温度をモニターせずとも、その冷却温度が適正範囲内に管理され、付着原因物質の除去もれや余剰の四塩化チタン液が下流側の移送配管3へ流出する事態が回避される。その結果、移送配管3での閉塞が特に効果的に防止される。
本発明の効果を確認するために、四塩化チタン液を一定量(50L/ 分)スプレーしていた特定の操業を例にとり、そのスプレー形態を種々変更した。ちなみに、四塩化チタン液を50L/ 分(一定)スプレーしていた場合は、10日間の操業で移送配管に付着物の堆積による閉塞が発生していた。
スプレーを行った場合の閉塞の傾向を調査したところ、原料ガスの投入量が多い時期に付着が進む傾向が見られたので、その四塩化チタン液のスプレー量を50L/ 分(一定)から80L/ 分(一定)へ増量した。スプレー量が不足しているとは考えられないにもかかわらず、移送配管に閉塞が発生するまでの期間は、増量前と変わらない10日間であった。
次に、四塩化チタン液のスプレー量を、塩素ガスの投入量に基づいて制御した。その結果、移送配管に閉塞が発生するまでの期間は25日にのびた。最後に、四塩化チタン液のスプレー量を塩素ガスの投入量及びドライエアの投入量の両方に基づいて調整した。その結果、移送配管に閉塞が発生するまでの期間は30日と飛躍的に長くなり、本発明の有効性を確認できた。
ここおける四塩化チタン液のスプレー量は次のようにして設定した。前記数式1における(Amin 〜Amax )は(0.1〜7)が好ましく、(1〜3)が特に好ましい。また(Bmin 〜Bmax )は(0.1〜7)が好ましく、(0.3〜0.9)が特に好ましい。ここで使用したスプレー量算出のためのテーブルを表1に示す。Aとしては1.62〜1.64を採用し、Bとしては0.73〜0.74を採用した。
1 流動反応炉
2 立上がり管
3 移送配管
4 スプレー手段
5 ボールバルブ
6 付着物除去手段
7 掃除棒
2 立上がり管
3 移送配管
4 スプレー手段
5 ボールバルブ
6 付着物除去手段
7 掃除棒
Claims (2)
- 流動反応炉を用いた塩化物製造方法において、前記流動反応炉の排出口付近でその排出口から排出される排出ガスに液状の目的塩化物をスプレーして配管付着物質を前記排出口近傍に凝集付着させ、その凝集付着物を前記排出口付近に設けた除去手段で除去することによりガス配管での付着閉塞を防止する際に、前記流動反応炉に投入する投入ガスの投入量に応じて前記目的塩化物のスプレー量を制御することを特徴とする塩化物製造方法。
- 前記目的塩化物は四塩化チタンであり、前記投入ガスは塩素ガス及びドライエアである請求項1に記載の塩化物製造方法。
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JP2010001207A (ja) * | 2008-05-19 | 2010-01-07 | Toho Titanium Co Ltd | 金属塩化物の製造装置および製造方法 |
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JP2004002168A (ja) * | 2002-03-29 | 2004-01-08 | Sumitomo Titanium Corp | 四塩化チタン製造装置及び製造方法 |
JP2004075419A (ja) * | 2002-08-12 | 2004-03-11 | Toho Titanium Co Ltd | 四塩化チタンの製造装置 |
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- 2005-03-04 JP JP2005060884A patent/JP2006240936A/ja active Pending
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