JP4116486B2 - 四塩化チタン製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スポンジチタンの製造原料等に使用される四塩化チタンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スポンジチタンの製造原料である四塩化チタンは、チタン、酸素及び鉄を含有するチタン鉱石を、炭素の存在下で塩素ガスと接触させることにより製造される。より具体的に説明すると、粒状のチタン鉱石と粒状のコークスを反応炉内に装入した状態で、炉下方から塩素ガスを吹き込み、800〜1200℃の温度範囲で流動層を形成し、反応を継続する。反応生成ガスは、反応炉の炉頂部から取り出され、移送配管を通って凝縮器に送られることにより、四塩化チタンが液状で回収される。
【0003】
このような流動反応を用いたによる四塩化チタンの製造方法は、例えば特許文献1及び特許文献2に示されている。また、四塩化チタンの生産性を改善するために、移送配管に設けた圧力制御弁により炉内圧力制御を行うことは特許文献3に記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭49−42518号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平1−188424号公報
【0006】
【特許文献3】
特開昭62−196471号公報
【0007】
ところで、流動反応炉で生じる生成ガスには、四塩化チタンの他に、塩化第一鉄、塩化第二鉄、その他の塩化物、一酸化炭素、二酸化炭素等が含まれている。生成ガス中の塩化第一鉄は融点、露点などの関係で移送配管の内面、特に入口部の内面に凝縮付着しやすく、配管閉塞を発生させる原因になる。ちなみに、塩化第一鉄の融点は672℃、生成ガスから塩化第一鉄が凝縮する温度範囲は650〜850℃である。そして、配管が閉塞した場合は、反応炉の稼働を停止して移送配管を閉塞部分で解体して、閉塞物を除去したり移送配管を交換したりする必要があった。
【0008】
しかしながら、移送配管の解体には手間がかかり、炉操業停止による生産性低下も問題になる。特に、生成ガス中の塩化第一鉄の凝集による移送配管の閉塞は、一箇所とは限らず、何箇所にも生じるので、この問題は非常に重大である。
【0009】
このような事情を背景として、生成ガスが反応炉から移送配管へ入る前に、液状の四塩化チタンを反応炉内に霧状に吹き込んで生成ガスと接触させることにより、その生成ガスの温度を塩化第一鉄の凝縮温度範囲(650〜850℃)より低い温度まで低下させる技術は、特許文献4に記載されている。この技術によると、移送配管に侵入する段階では、既に生成ガスの温度は塩化第一鉄の凝縮温度範囲より低い温度まで低下している。このため、移送配管においては、もはや内面に塩化第一鉄が凝集せず、これによる配管閉塞が防止されることになる。
【0010】
【特許文献4】
特開昭51−116198号公報
【0011】
また、移送配管内の閉塞物を機械的に取り除く装置は、例えば特許文献5に記載されている。特許文献5に記載された異物除去装置は、配管内の詰まりが顕著な部分へ挿入される掃除棒に、軸方向の打撃機能(ハンマー機能)及び回転機能(ドリル機能)を付与したものである。
【0012】
【特許文献5】
特開2003−73121号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような対策を採用しても、塩化第一鉄の凝縮による配管閉塞の問題を十分に解決することは困難である。
【0014】
反応炉内の温度は800〜1200℃に管理される。反応炉内の一部とはいえ、炉内の生成ガスを塩化第一鉄の凝縮温度範囲(650〜850℃)より低くすることは、実操業上は非常に困難である。このため、塩化第一鉄の凝縮温度範囲あるいはこれを超える高温の生成ガスが移送配管に流入し、移送配管途中で塩化第一鉄の凝縮温度範囲より低温となるため、塩化第一鉄の凝縮による移送配管の閉塞が避けられない。
【0015】
塩化第一鉄の凝縮付着が顕著な移送配管の入口部分に、付着物を機械的に除去するドリル、ハンマーなどの異物除去装置を設置すれば、塩化第一鉄の凝縮付着が顕著な場所で移送配管を解体せずに付着物を除去することが可能になり、一定の効果が得られる。しかし、先にも述べたが、生成ガス中の塩化第一鉄の凝縮は、一箇所とは限らず、何箇所にも生じる。そして、移送配管は長く、曲がりも多いことから、異物除去装置を何箇所にも設置しなければ、根本解決には至らず、経済的な負担が甚大となる。
【0016】
移送配管における塩化第一鉄の凝縮付着による問題は、移送配管の閉塞、配管解体に伴う炉操業の停止、及びこれに伴う生産性の低下だけではない。四塩化チタンの生産速度を大きく変更できないことも大きな問題である。
【0017】
即ち、流動反応では、空塔線速度Vを一定範囲内に維持することが重要である(特許文献1参照)。空塔線速度Vは流動反応での重要ファクターの一つであり、流動反応炉が空と仮定した場合、炉内温度により膨脹したガスが、炉内の横断面を上昇する平均速度を表す。つまり、この空塔線速度Vは、流動反応炉内を1秒あたりに上昇するガスの体積E(m3 /sec)/流動反応炉の横断面積B(m2 )であり、流入ガス速度A(例えばmol/sec)、流動反応炉内の横断面積B、炉内温度C、炉内圧力Dの関数となる。即ち、EはA、C及びDで計算されることにより、Vは数式1のようにA、B、C、Dの関数として一義的に算出される。
【0018】
【数1】
V=f(E,B)=f〔g(A,C,D),B〕
【0019】
流動反応では、この空塔線速度Vを下げ過ぎると安定した流動状態の維持が困難になり、逆にこれを上げすぎると未反応の原料粒子が排気と共に流出し始め、何れの場合も反応効率が著しく低下する。このため、流動反応では、空塔線速度Vを一定範囲内に維持することが重要となる。そして、この制約のために、これまでは四塩化チタンの生産速度を大きく変更することができなかった。即ち、生産速度の調節のためには、投入原料ガス量(流入ガス速度Aに対応)の変更が必要である。ところが、前述した配管閉塞の原因となる塩化第一鉄等の凝集付着のため、配管に設けた圧力制御弁が早期に使用不能となり、圧力制御弁による炉内圧力Dの意図的な制御が困難となる。炉内圧力Dの意図的な制御が困難で、これを放置せざるを得ないとなると、空塔線速度一定の制約下では流入ガス速度Aの調節代は極めて限られたものになる(数式1参照)。
【0020】
なお、四塩化チタンの生産速度を大きく変えようとした場合は、空塔線速度を変更するしかなく、反応効率の低下が問題になる。炉内圧力Dが制御されないことによる不可避的な圧力変動に対しては、以前より空気を投入するなどして空塔線速度Vの維持を図っているが、コークスが燃焼することによる生産性の低下等が問題になっていた。
【0021】
本発明の目的は、移送配管における塩化第一鉄の凝縮による閉塞を確実に且つ経済的に防止できる四塩化チタン製造装置を使用して、流動反応炉での四塩化チタンの生産効率を低下させずに、その四塩化チタンの生産速度を大きく変更できる四塩化チタン製造方法を提供することにある。
【0022】
(削除)
【0023】
【課題を解決するための手段】
塩化第一鉄の凝縮付着による配管閉塞の問題を解決するために、本発明者は、異物除去装置の設置数を極力少なく(例えば1つに)しても、閉塞防止効果が十分に得られる方法について検討した。その結果、移送配管における塩化第一鉄の凝縮を意図的に一箇所で集中して発生させ、その一箇所に異物除去装置を設置すれば、配管全体の閉塞を防止でき、その結果、配管の解体に伴う炉操業の停止、及びこれに伴う生産性の低下を回避できることが判明した。また、凝縮発生箇所の下流側に設けた圧力制御弁により炉内圧力を長期にわたって精度よく安定的に制御できるようになり、その結果として投入原料ガス量を変更したときの空塔線速度の変動を抑制でき、これにより四塩化チタンの生産速度を大幅に変更できるようになることが明らかになった。
【0024】
本発明の四塩化チタン製造方法は、かかる知見に基づいて開発されたものであり、流動層反応により四塩化チタンを製造する反応炉と、移送配管を通して反応炉から送られる生成ガスを液化させる凝縮器と、650℃以上の生成ガスが流通する配管途中に設けられ、その生成ガスを強制冷却する冷却手段と、冷却手段による強制ガス冷却によって配管内面に凝縮し付着した塩化第一鉄を機械的に除去するべく、冷却手段と共に配管途中に設けられた除去手段とを具備する四塩化チタン製造装置を用いて、四塩化チタンを製造する四塩化チタン製造方法において、反応炉へ投入する原料ガス量を変更すると共に、この投入原料ガス量の変更に伴う空塔線速度の変動を所定範囲内に収めるべく、反応炉内の圧力を制御することにより、四塩化チタンの生産速度を変更し、その際に前記移送配管途中の冷却手段及び除去手段より下流側に設けた圧力制御弁の操作により、炉内圧力を制御するものである。
【0025】
本発明の四塩化チタン製造方法で使用する四塩化チタン製造装置においては、移送配管途中の冷却手段により生成ガスが強制冷却されることにより、生成ガス中の塩化第一鉄が結露し、配管内面に付着堆積する。このため、冷却部の上流側にも下流側にも塩化第一鉄の凝縮による付着は実質的に生じず、冷却部にのみ凝縮付着が生じる。
【0026】
即ち、本発明の四塩化チタン製造方法で使用する四塩化チタン製造装置においては、移送配管途中の一箇所に意図的に凝縮を集中発生させる。これにより、一箇所の冷却部に除去手段を設けるだけで、配管全体における閉塞を確実に且つ経済的に防止できる。
【0027】
生成ガスの強制冷却については、生成ガスから塩化第一鉄が凝縮する温度範囲(650〜850℃)より高い850℃超の生成ガスが流通する箇所で、その生成ガスを上記の凝縮温度範囲より低い650℃未満に強制冷却するのが、上流及び下流での凝縮を完全防止できる点から特に好ましいが、冷却前が850℃以下で冷却後が650℃以上の冷却条件でも塩化第一鉄の積極的な凝縮が可能であり、その結果として上流及び下流での凝縮が抑制される。つまり、塩化第一鉄の凝縮温度範囲内でもガス温度が急激に下がる場所をつくれば積極的な凝縮が可能であり、その前後では凝縮が抑制されるということである。従って、基本的な冷却条件としては、650℃以上の生成ガスが流通する箇所で、その生成ガスを強制冷却するものとした。本発明の強制冷却手段と除去手段を共に設置する場所は、移送配管の入り口部が望ましい。なぜなら、除去された凝縮付着物が反応炉内に落下し、その処理が簡単になるからである。
【0028】
前記冷却手段は、移送配管内に液体四塩化チタンを噴霧する噴霧器が構造が簡単で好ましい。前記除去手段としては、軸回りの回転により結露付着物を除去するドリルや、軸方向の打撃により結露付着物を除去するハンマーなどを使用できるが、なかでもハンマーが除去効率、構造等の点から好ましい。
【0029】
本発明の四塩化チタン製造方法は、前記四塩化チタン製造装置を使用して流動層反応により四塩化チタンを製造する際に、反応炉へ投入する原料ガス量を変更すると共に、この投入原料ガス量の変更に伴う空塔線速度の変動を所定範囲内に収めるべく、反応炉内の圧力を制御することにより、四塩化チタンの生産速度を変更するものであり、より具体的には、投入原料ガス量を増加させたときに炉内圧力を上昇させ、投入原料ガス量を減少させたときに炉内圧力を低下させることにより、空塔線速度を所定の範囲内に維持するものである。
【0030】
炉内圧力を制御するためには、配管途中に設けた圧力制御弁を用いるのが一般的である。この圧力制御弁は、安定な動作のために、前記冷却手段及び除去手段より下流側に設けることが推奨される。
【0031】
投入原料ガス量の変更に伴う空塔線速度の変動範囲は、好ましくは0.05〜0.4m/secであり、より好ましくは0.08〜0.3m/sec、特に好ましくは0.1〜0.2m/secである。即ち、酸化チタン粉末(粒状チタン鉱石)から四塩化チタンを製造する一般的な工程で用いる原料粒径の場合、この範囲より空塔線速度を下げると安定した流動状態の維持が困難になり、逆に空塔線速度を上げすぎると未反応の原料粒子が排気と共に流出し始める。
【0032】
望ましい炉内圧力範囲は0.05〜0.29MPaであり、より望ましくは0.13〜0.29MPaである。炉内圧力を広範囲に制御できるとはいえ、余りに低すぎると空塔線速度を所定範囲内に維持しても流動状態が安定しにくくなり、高すぎる場合は反応炉の安全が懸念される。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態で使用する四塩化チタン製造装置の主要部の構成図である。
【0034】
本実施形態で使用する四塩化チタン製造装置は、流動反応炉10を備えている。この反応炉10は、粒状のチタン鉱石と粒状のコークスを塩化炉内に装入した状態で、炉下方から塩素ガスを吹き込み、800〜1200℃の温度範囲で流動層を形成することにより、四塩化チタンを生成する。生成ガスには、四塩化チタンの他に、塩化第一鉄、塩化第二鉄、その他の塩化物、一酸化炭素、二酸化炭素等が含まれている。この生成ガスは、反応炉10の炉頂部から移送配管20を通して四塩化チタン回収部である凝縮器へ送られる。
【0035】
移送配管20は、反応炉10の炉頂部に設けられた導入部21と、導入部21から側方へ延出した配管本体22とからなり、反応炉10の真上で直角に湾曲している。
【0036】
移送配管20における閉塞防止装置30として、移送配管20の導入部21に冷却手段である噴霧器31と、除去手段である掃除棒32とが設けられている。噴霧器31は、導入部21内に液体四塩化チタンを霧状にして注入することにより、反応炉10から導入部21に流入する生成ガスを、導入部21内で塩化第一鉄の露点範囲より低温の650℃未満に冷却し、650℃以上の生成ガスが導入部21から流出するのを阻止する。
【0037】
掃除棒32は、反応炉10の出口の真上に鉛直に配置された回転機能を有するハンマーであり、使用されないときは、移送配管20の導入部21から上方へ鉛直に延出した管状の収納部33内に収容される。この掃除棒32は、ヘッド部32aとこれを支持する軸部32bとからなり、駆動部としての第1駆動部34及び第2駆動部35により駆動される。第1駆動部34は、掃除棒32に軸方向の衝撃のための振動と、軸回りの回転とを付与する。第2駆動部35は、掃除棒32を第1駆動部34と共に軸方向に進退駆動して、ヘッド部32aを収納部33内から少なくとも移送配管20の入口部を通過して反応炉10の出口まで下降させると共に、その出口から収納部33内へ上昇させる。
【0038】
収納部33の上部には、掃除棒32の軸部外面をシールするシール部36が設けられている。このシール部36により、収納部33内が炉外から気密に隔離される。一方、収納部33の下部には、開閉弁としてのボールバルブ37が取り付けられている。ボールバルブ37により、収納部33内が炉内に対して開放可能に閉止される。
【0039】
移送配管20の配管本体22には、反応炉10内の圧力を制御するために圧力制御弁40が設けられている。圧力制御弁40は、塩化第一鉄の凝集付着の影響を回避するために閉塞防止装置30の下流側に配置されており、反応炉10内の圧力を目標値に制御するために、反応炉10内に設けられた圧力計41aの出力信号に基づいて操作される。圧力計41aは、導入部21内の閉塞状況を監視するために、配管本体22の入口近傍(圧力制御弁40の上流側)に設けた圧力計41bと組み合わされている。
【0040】
また、生成ガスの冷却温度を管理するために、導入部21のガス出口近傍には、ガス温度計50が設けられている。
【0041】
次に、本実施形態で使用する四塩化チタン製造装置の機能、並びにこれを用いた本実施形態の四塩化チタン製造方法について説明する。
【0042】
通常の操業では、掃除棒32は上昇し、そのヘッド部32aは収納部33内に収容される。また、ボールバルブ37が閉じられ、収納部33内が反応炉10内及び移送配管20内から隔絶される。反応炉10で生じる生成ガスは、炉内では800〜1200℃である。この生成ガスは、移送配管20の導入部21から配管本体22を経て四塩化チタン回収部である凝縮器へ送られるが、導入部21内で噴霧器31から噴出される霧状の液体四塩化チタンにより、生成ガス中の塩化第一鉄の凝縮温度範囲(650〜850℃)より低温(650℃未満)に強制的に冷却される。このため、生成ガス中の塩化第一鉄は、実質全量が導入部21の内面に凝縮し付着堆積する。
【0043】
これにより、移送配管20の配管本体22内に塩化第1鉄が侵入する事態が回避される。一方、移送配管20の導入部21内では、操業の継続に伴って付着物60が増えていく。付着物60が増えると、ここにおける圧力損失ΔPが増大する。この圧力損失ΔPは、圧力計41a,41bの計測値をPa,Pbとすると(Pa−Pb)にて求まる。圧力損失ΔPから導入部21内の付着物60による閉塞状況を監視し、問題となるレベルまで閉塞が進むと、付着物60の除去操作が行われる。
【0044】
付着物60の除去操作では、まずボールバルブ37が開放される。次いで、掃除棒32が衝撃付与のための振動、及び回転を行いながら下降する。これにより、付着物60が掃除棒32のヘッド部32aで簡単に破壊除去される。除去された付着物60は、反応炉10内に落下し、系外への排除を必要としない。付着物60の破壊除去が終わると、ヘッド部32aが収納部33内に侵入するまで、掃除棒32が上昇する。最後に、ボールバルブ37が閉じ、元の状態に戻る。
【0045】
かくして、移送配管20の途中一箇所(ここでは導入部21)に1つの閉塞防止装置30を設けるだけで、移送配管20の全体における塩化第一鉄の凝集付着による閉塞が防止される。また、閉塞防止装置30の下流側に設けられた圧力制御弁40では塩化第一鉄の凝集付着が防止されることにより、その安定な動作が保証される。これにより、高精度な炉内圧力管理が可能になり、その結果として四塩化チタンの広範囲の生産速度変更が可能になる。
【0046】
即ち、四塩化チタンの生産速度を上げる場合は、反応炉10に投入する原料ガス(塩素ガス)の投入量を増大させる。これを放置すると、数式1中の流入ガス速度Aが増大し、空塔線速度Vが増大する。そこで、空塔線速度Vの増大を阻止するべく、圧力制御弁40を操作して炉内圧力Dを高める。これにより、空塔線速度Vの変動範囲を微小に抑制しながら、四塩化チタンの生産速度を大きく増大させることができる。四塩化チタンの生産速度を下げる場合は、反応炉10に投入する原料ガス(塩素ガス)の投入量を低減させると共に、これに伴う空塔線速度Vの低下を阻止するべく、圧力制御弁40を操作して炉内圧力Dを低下させる。これにより、空塔線速度Vの変動範囲を微小に抑制しながら、四塩化チタンの生産速度を大きく低下させることができる。
【0047】
こうして四塩化チタン生産速度の大幅な変更が可能になり、同時に空塔線速度Vの変動抑制による生産効率の低下が防止される。また、空気の投入が不要になることからも生産効率の低下が防止される。
【0048】
空塔線速度Vの変動範囲を0.1〜0.2m/secに抑制する場合について、図1の四塩化チタン製造装置を用いて従来法と本発明法の比較を行う。従来法では炉内圧力放置で投入原料ガス量を変更するが、生産速度の変動幅は「最大生産速度/最小生産速度」の比率で表して約2であった。炉内圧力は絶対圧で0.24MPa(相対圧で1.4気圧)を中心に推移した。これに対し、本発明法では投入原料ガス量の変更に伴い炉内圧力を例えば絶対圧で0.13〜0.29MPa(相対圧で0.3〜1.9気圧)の範囲で制御することにより、生産速度の変動幅は前記比率で4.5となり、炉内圧力の制御幅が絶対圧で0.15〜0.25MPa(相対圧で0.5〜1.5気圧)の場合は、生産速度の変動幅は前記比率で4となり、いずれの場合も生産速度の大幅な変更が可能になる。
【0049】
同一反応炉で四塩化チタンの生産速度を大きく変更できることのメリットは以下のとおりである。従来は生産量を減少させたければ、現状の反応炉を停止して代わりに小型の反応炉を可動させなければならない。逆に生産量を増加させたければ、別の反応炉を追加操業させなければならない。このため、規模が異なる複数の反応炉を用意する必要があった。しかるに、同一反応炉で四塩化チタンの生産速度を大きく変更できれば、複数炉も炉の切り替えも不要になる。同一反応炉で四塩化チタンの生産速度を大きく変更できることの経済的メリットは多大である。
【0050】
なお、上記実施形態では、閉塞防止装置30は、移送配管20の入口部である導入部21に設けたが、その下流側でもよい。但し、移送配管20の入口部から離れると、閉塞防止装置30までの間に生成ガスが冷え、生成ガス中の塩化第一鉄が結露する危険性が生じる。移送配管20の入口部ではこの危険がなく、入口部から離れたとしても、生成ガス温度が塩化第一鉄の凝縮温度範囲(650〜850℃)の下限(650℃)より低温になるまでの間に閉塞防止装置30を設ける必要があり、望ましくは塩化第一鉄の凝縮温度範囲(650〜850℃)の上限(850℃)より高温の領域に設ける。
【0051】
【発明の効果】
以上に説明したとおり、本発明の四塩化チタン製造方法で使用する四塩化チタン製造装置は、反応炉から凝縮器へ生成ガスを移送する移送配管の途中で生成ガスを強制的に冷却して意図的かつ集中的に凝縮を発生させ、その凝縮付着物を機械的に除去することにより、移送配管における塩化第一鉄の凝縮による閉塞を経済性よく確実に防止できる。
【0052】
本発明の四塩化チタン製造方法は、この四塩化チタン製造装置を使用して四塩化チタンを製造する際に、反応炉へ投入する原料ガス量を変更すると共に、この投入原料ガス量の変更に伴う空塔線速度の変動を所定範囲内に収めるべく、反応炉内の圧力を制御することにより、反応炉での四塩化チタンの生産効率を低下させずに、その四塩化チタンの生産速度を大きく変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る四塩化チタン製造方法に使用する四塩化チタン製造装置の主要部の構成図である。
Claims (4)
- 流動層反応により四塩化チタンを製造する反応炉と、移送配管を通して反応炉から送られる生成ガスを液化させる凝縮器と、650℃以上の生成ガスが流通する配管途中に設けられ、その生成ガスを強制冷却する冷却手段と、冷却手段による強制ガス冷却によって配管内面に凝縮し付着した塩化第一鉄を機械的に除去するべく、冷却手段と共に配管途中に設けられた除去手段とを具備する四塩化チタン製造装置を用いて、四塩化チタンを製造する四塩化チタン製造方法において、反応炉へ投入する原料ガス量を変更すると共に、この投入原料ガス量の変更に伴う空塔線速度の変動を所定範囲内に収めるべく、反応炉内の圧力を制御することにより、四塩化チタンの生産速度を変更し、その際に前記移送配管途中の冷却手段及び除去手段より下流側に設けた圧力制御弁の操作により、炉内圧力を制御することを特徴とする四塩化チタン製造方法。
- 投入原料ガス量を増加させたときに炉内圧力を上昇させ、投入原料ガス量を減少させたときに炉内圧力を低下させることにより、空塔線速度を所定の範囲内に維持することを特徴とする請求項1に記載の四塩化チタン製造方法。
- 投入原料ガス量の変更に伴う空塔線速度の変動を0.05〜0.4m/secの範囲内に収めることを特徴とする請求項1に記載の四塩化チタン製造方法。
- 反応炉内の圧力を0.05〜0.29MPaの範囲内で制御することを特徴とする請求項1に記載の四塩化チタン製造方法。
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