JP2006240514A - 圧縮機のトルク推定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 圧縮機の起動時におけるトルク推定を精度よく行なうことが可能な圧
縮機のトルク推定装置を提供する。
【解決手段】 車両に搭載された駆動源により駆動される圧縮機によって冷媒が循環される冷凍サイクルを備えたシステムに利用可能な圧縮機のトルク推定装置であって、圧縮器が実際に稼動を開始したことを判定する起動判定手段と、この起動判定手段により圧縮機が稼動を開始したと判定されてからの経過時間に基づいて圧縮機のトルクを推定するトルク推定手段とを有する。起動判定手段は、冷凍サイクルの圧力変化に基づき圧縮機の起動を判定し、また、トルク推定手段は、前記経過時間に基づき算出された冷媒循環量を加味して圧縮機のトルクを推定する。
【選択図】 図3
縮機のトルク推定装置を提供する。
【解決手段】 車両に搭載された駆動源により駆動される圧縮機によって冷媒が循環される冷凍サイクルを備えたシステムに利用可能な圧縮機のトルク推定装置であって、圧縮器が実際に稼動を開始したことを判定する起動判定手段と、この起動判定手段により圧縮機が稼動を開始したと判定されてからの経過時間に基づいて圧縮機のトルクを推定するトルク推定手段とを有する。起動判定手段は、冷凍サイクルの圧力変化に基づき圧縮機の起動を判定し、また、トルク推定手段は、前記経過時間に基づき算出された冷媒循環量を加味して圧縮機のトルクを推定する。
【選択図】 図3
Description
この発明は、車両に搭載される冷凍サイクルに用いられる圧縮機のトルク推定技術に関するものである。
車両の燃料消費低減への要請が増加している昨今において、車載用補機で必要となるトルクをエンジンコントロールユニット(ECU)へレポートし、このECUによりエンジンと車載用補機とが最小限必要とするトルクに見合うように燃料噴射量を制御することは、燃料消費量を低減する上で有用な制御である。このため、車載用補機の内で最も消費動力が大きいエアコン用圧縮機のトルクを既存のセンサのみで適切に推定できるようにすることは重要な課題である。
従来、こうした背景から、下記する特許文献1及び2に示されるような圧縮機トルクの算出技術が検討されている。
このうち、特許文献1に示される圧縮機のトルク算出装置は、圧縮機からの冷媒の吐出圧を決定するとともに、凝縮器の空気側負荷条件の変化をこの凝縮器の熱容量の変化の遅れ時間だけ遅らせて、この遅れ時間の経過時に凝縮器の熱交換能力を決定し、これら決定
された吐出圧と熱交換能力とに応じて圧縮機のトルクを演算するようにしたものである。
また、特許文献2に示されるトルク推定方法は、冷凍サイクルの熱収支バランスに基づく冷媒循環量の関係式を用いて圧縮機の熱収支バランス後の冷媒循環量を算出し、これに基づき圧縮機のトルクを推定するようにしたものである。
このうち、特許文献1に示される圧縮機のトルク算出装置は、圧縮機からの冷媒の吐出圧を決定するとともに、凝縮器の空気側負荷条件の変化をこの凝縮器の熱容量の変化の遅れ時間だけ遅らせて、この遅れ時間の経過時に凝縮器の熱交換能力を決定し、これら決定
された吐出圧と熱交換能力とに応じて圧縮機のトルクを演算するようにしたものである。
また、特許文献2に示されるトルク推定方法は、冷凍サイクルの熱収支バランスに基づく冷媒循環量の関係式を用いて圧縮機の熱収支バランス後の冷媒循環量を算出し、これに基づき圧縮機のトルクを推定するようにしたものである。
ところで、圧縮機は、エアコン起動信号(クラッチ型圧縮機においてはクラッチON時、クラッチレス型圧縮機においてはディーティ信号ON時など)が圧縮機に入力された後に若干遅れて起動する。また、圧縮機が実際に稼動し始めても、コンデンサでの熱収支がバランスするまでに時間がかかるので(コンデンサ自身の熱容量のために、冷媒がコンデンサを通過して放熱してもコンデンサを通過する空気温度はすぐに変化せず、コンデンサでの空気側加熱と冷媒側放熱量とが等しくなるまでに時間がかかるので)、この熱収支のバランスを捉えてトルク演算に利用したのでは、実際に圧縮機が仕事をしているにも拘わらず、熱収支はまだバランスしていないので、圧縮機の起動時においては実際の起動トルクが反映されない不都合がある。
このような観点から従来技術を見ると、特許文献1に示される技術は、凝縮器の空気側負荷条件の変化をこの凝縮器の熱容量の変化の遅れ時間だけ遅らせ、この遅れ時間の経過時に熱交換能力を決定することで圧縮機のトルクを演算しているので、圧縮機の起動時における立ち上がり時のトルクをそもそも推定することを予定していない。
また、特許文献2に示される技術においても、冷凍サイクルの熱収支バランスに基づく冷媒循環量の関係式を用いて圧縮機の熱収支バランス後の冷媒循環量を算出し、これに基づき圧縮機のトルクを推定するようにしているので、熱収支がバランスした後の定常時においては精度よく圧縮機のトルク推定が可能となるが、圧縮機の起動時における立ち上がり時においては精度よくトルク推定ができないものであった。
また、特許文献2に示される技術においても、冷凍サイクルの熱収支バランスに基づく冷媒循環量の関係式を用いて圧縮機の熱収支バランス後の冷媒循環量を算出し、これに基づき圧縮機のトルクを推定するようにしているので、熱収支がバランスした後の定常時においては精度よく圧縮機のトルク推定が可能となるが、圧縮機の起動時における立ち上がり時においては精度よくトルク推定ができないものであった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、圧縮機の起動時におけるトルク推定を精度よく行なうことが可能な圧縮機のトルク推定装置を提供することを主たる課題としている。
本発明者らは、圧縮器の起動指令が出された後に圧縮機が実際に稼動を始めてトルクが発生する時点を的確に捉えることで、この時点から熱収支バランスに依存しないガス排除モデルを採用することで圧縮機の起動初期における過渡的段階でのトルクを精度よく推定できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、上記課題を達成するために、本発明に係る圧縮機のトルク推定装置は、車両に搭載された駆動源により駆動される圧縮機によって冷媒が循環される冷凍サイクルを備えたシステムに利用可能な圧縮機のトルク推定装置であって、前記圧縮器が実際に稼動を開始したことを判定する起動判定手段と、前記起動判定手段により前記圧縮機が稼動を開始したと判定されてからの経過時間に基づき、前記圧縮機のトルクを推定するトルク推定手段とを有することを特徴としている(請求項1)。
したがって、圧縮機の起動初期においては、エアコン起動信号が圧縮機に入力されても圧縮機が実際に稼動し始めるまで遅れが生じるが、圧縮機が起動すると、起動判定手段により実際に稼動を開始したことが判定され、その時点からの経過時間に基づき圧縮機のトルクが推定されるので、圧縮機が実際に稼動を始めてトルクが発生する時点からトルクを推定することが可能となる。
ここで、起動判定手段は、冷凍サイクルの圧力の変化に基づき、圧縮機の起動を判定するものであってもよく(請求項2)、具体的には、冷凍サイクルの高圧側冷媒の圧力の変化に基づき、圧縮機の起動を判定するようにしてもよい(請求項3)。
このような構成によれば、圧縮機の起動により冷媒が吐出されると、冷凍サイクルの圧力が変化するので、この変化を捉えて圧縮機が起動したことを適格に検知することが可能となる。
このような構成によれば、圧縮機の起動により冷媒が吐出されると、冷凍サイクルの圧力が変化するので、この変化を捉えて圧縮機が起動したことを適格に検知することが可能となる。
また、トルク推定手段は、前記経過時間に基づき、前記圧縮機の起動初期の冷媒循環量を算出する起動初期冷媒循環量推定手段を備え、起動初期冷媒循環量推定手段により算出された起動初期の冷媒循環量を加味して前記圧縮機のトルクを推定するようにしてもよい(請求項4)。
さらに、圧縮機の起動初期の過渡状態から熱収支がバランスする定常状態にかけてトルク推定を連続的に行なうために、上述した圧縮機の起動初期の冷媒循環量を算出する手段に加え、冷凍サイクルの熱収支のバランスに基づく冷媒循環量の関係式を用いて前記圧縮機の熱収支バランス後の冷媒循環量を算出する熱収支バランス冷媒循環量推定手段を設け、トルク推定手段を、熱収支バランス冷媒循環量推定手段で得られた熱収支バランス後の冷媒循環量に、起動初期冷媒循環量算出手段で算出された前記圧縮機の起動初期での冷媒循環量を加算した値に基づき圧縮機のトルクを推定するようにしてもよい(請求項5)。
このような構成においては、熱収支バランスに基づく冷媒循環量の関係式から冷媒循環量を推定したのでは捉えることができない圧縮機の起動初期でのトルクを起動初期の冷媒循環量を利用して推定することができるので、圧縮機の起動初期から定常時にかけて精度よくトルク推定が可能となる。即ち、圧縮機の起動初期においては、主として圧縮機の冷媒循環量の関係式に基づき冷媒循環量を推定することが可能となり、圧縮機の定常時においては、主として熱収支バランスに基づく冷媒循環量の関係式に基づき冷媒循環量を推定することが可能となる。
前記起動初期冷媒循環量推定手段は、前記圧縮機の最大吐出容量、及び、前記圧縮機が起動してから最大トルクに達するまでの時間と前記経過時間の比に基づいて算出される最大容積時の初期冷媒循環流量に、前記圧縮機が起動してから熱収支バランスに達するまでの時間に対応した値、及び、前記経過時間に基づいて算出される減衰項を乗じて前記圧縮機の起動初期の冷媒循環量を算出するようにしてもよい(請求項6)。
具体的な起動初期の冷媒循環量(Gr_start)を推定する手段としては、例えば、下記の数1で表される演算式を用いてもよい。
具体的な起動初期の冷媒循環量(Gr_start)を推定する手段としては、例えば、下記の数1で表される演算式を用いてもよい。
ここで、ηvは体積効率、tは圧縮機が実際に起動してからの経過時間、tmaxは圧縮機が実際に起動してから最大トルクに達するまでの時間、Dispは圧縮機の最大吐出容量、Ncは圧縮機の回転速度、 Rr134a は冷媒R134aのガス定数、Tsは圧縮機入口の吸込冷媒温度、T0は絶対温度(273.15℃)、Cgは体積効率を調整する圧縮機のポンピングの度合い、tbalは熱収支バランスに達するまでの時間に対応する値をそれぞれ示す。
以上述べたように、本発明によれば、圧縮機の実際に稼動を開始した時点を例えば冷凍サイクルの冷媒圧力の変化で捉え、この時点からの圧縮機のトルクを、熱収支のバランスに依存しない圧縮機の稼動開始からの経過時間に基づき推定するようにしたので、圧縮機の起動初期のトルクを精度よく推定することが可能となる。
以下、この発明の実施の形態を図面により説明する。
図1において、車両に搭載される空調装置の構成例が示され、この車両用空調装置は、冷媒を圧縮する圧縮機1と、この圧縮機1で圧縮された冷媒を凝縮液化する凝縮器(コンデンサ)2と、この凝縮器2によって凝縮液化された冷媒を溜めると共に気相冷媒と液相冷媒とに分離し、液相冷媒のみを下流側へ送る受液器3と、この受液器3から送られる液相冷媒を減圧して低温低圧の気液混合冷媒にする膨張装置4と、この膨張装置4から送られる低温低圧の気液混合冷媒を蒸発気化する蒸発器(エバポレータ)5とを、この順で配管接続して構成された冷凍サイクル6を有している。
図1において、車両に搭載される空調装置の構成例が示され、この車両用空調装置は、冷媒を圧縮する圧縮機1と、この圧縮機1で圧縮された冷媒を凝縮液化する凝縮器(コンデンサ)2と、この凝縮器2によって凝縮液化された冷媒を溜めると共に気相冷媒と液相冷媒とに分離し、液相冷媒のみを下流側へ送る受液器3と、この受液器3から送られる液相冷媒を減圧して低温低圧の気液混合冷媒にする膨張装置4と、この膨張装置4から送られる低温低圧の気液混合冷媒を蒸発気化する蒸発器(エバポレータ)5とを、この順で配管接続して構成された冷凍サイクル6を有している。
圧縮機1は、走行用エンジン10からの動力を受け、この走行用エンジン10と同期して回転するもので、クラッチ付きのものであれば、起動指令信号を受けて電磁クラッチをONすることにより起動し、クレッチレスタイプのものであれば、起動指令信号を受けて制御弁に印加するデューティ信号をONすることにより起動される。
前記走行用エンジン10は、エンジン制御ユニット(ECU)20によって制御されている。このECU20は、アクセルペダルの踏み代をエンジン吸気管路に設けられたスロットル弁の開度として検出するアクセル開度センサ21や、車速(Vcar )を検出する車速センサ22、エンジン回転速度(Neng)を検出するエンジン回転速度センサ23、コンデンサ2を冷却するコンデンサファン7に印加される電圧(ファン電圧:Efan)を検出するファン電圧センサ24などからの信号を入力し、これらセンサの入力信号から得られた情報に基づき、また、後述する圧縮機のトルク推定値に基づき、必要トルクに見合う燃料噴射量や噴射タイミング、点火時期などを最適値に制御している。
また、圧縮機1を含む車両用空調装置は、エアコン制御ユニット(A/C CU)30によって制御されている。このエアコン制御ユニット(A/C CU)30は、凝縮器2の出口側での高圧冷媒圧力(Ph)を検出する高圧圧力センサ31、蒸発器2の表面温度又は蒸発器5を通過した空気温度などの蒸発器5の冷媒温度に関連する温度(以下、蒸発器温度Tevaという)を検出する蒸発器温度センサ32、圧縮機1の吸入圧(Ps)を検出する吸入圧センサ33、外気温(Tamb )を検出する外気温度センサ34などの各種センサからの信号が入力されると共に、エアコンスイッチ(A/Cスイッチ)35や車室の目標温度を設定する温度設定器などを備えた操作パネル36からの信号が入力され、空調装置の総合的な制御を行っている。
ここで、エンジン制御ユニット(ECU)20やエアコン制御ユニット(A/C CU)30は、中央演算装置(CPU)、読出専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、入出力ポート等を備えて構成されるそれ自体公知のもので、メモリに与えられた所定のプログラムにしたがって各種入力信号を処理し、例えば、エアコン制御ユニット(A/C CU)30において、以下に述べる手法によって圧縮機1のトルクを推定演算し、エンジン制御ユニット(ECU)20に対して、この演算されたトルク推定値を送信する等の処理を行なっている。
図2において、圧縮機1のトルク推定を行なう演算処理例がフローチャートとして示されており、以下、このフローチャートに基づいてトルク推定の演算処理例を説明する。
エアコン制御ユニット(A/C CU)30は、イグニッションスイッチが投入されて冷凍サイクル6の稼動が可能となった場合にこの制御処理を行うようにしているもので、ステップ50において、A/Cスイッチ35が投入される等により圧縮機1の稼動指令信号がエアコン制御ユニット30に入力(ON)されたか否かが判定される(ステップ50)。このステップで圧縮機1の稼動指令信号が入力(ON)されたと判定された場合には、各種信号(高圧圧力センサ31、蒸発器温度センサ32、吸入圧センサ33、外気温度センサ34などのエアコン側センサからの信号、及び、エンジン制御ユニット20を介して入力される車速センサ22、エンジン回転速度センサ23、ファン電圧センサ24などからの信号)を入力し(ステップ52)、ステップ54において、圧縮機1の稼動指令を受けてから実際に圧縮機1が稼動を開始する、すなわち起動する時点を検出する。
この圧縮機1の起動する時点の検出は、圧縮機1が起動すると、圧縮機1から吐出される冷媒によりコンデンサ2内の冷媒圧力が即座に上昇するので、この変化を捉えることによって行なわれる。
そして、この変化が検出された後に、タイマによる経時(t)を開始し(ステップ56)、冷凍サイクル6の冷媒循環流量の推定値を、圧縮機の吐出容量に基づく冷媒循環量の関係式を用いて演算された冷媒循環量と、冷凍サイクルの熱収支バランスに基づく冷媒循環量の関係式を用いて演算された熱収支バランス後の冷媒循環量との和として求め、これにより得られた冷媒循環量から圧縮機のトルクを推定する演算処理を行なう(ステップ58)。
このステップ58によるトルク推定演算処理は、具体的には、図3に示されるように行なわれるもので、先ず、車速(Vcar)とファン電圧(Efan)とに基づき、コンデンサ2に入る平均風速(Vair )を演算し(ステップ60)、この平均風速からコンデンサ2に流入する空気質量流量(Gair )を演算する(ステップ62)。
また、高圧冷媒圧力(Ph)に基づき、コンデンサ2での冷媒の凝縮温度(Tcond)を算出し(ステップ64)、この凝縮温度(Tcond)と外気温(Tamb )との差、及び、前記空気質量流量(Gair )とに基づき、コンデンサ2での熱収支をバランスさせる冷媒循環量の関係式から定常時における冷媒循環量(Gr_steady)を推定する(ステップ66)。 ここで、熱収支がバランスするとは、冷媒がコンデンサ2を通過して放熱する冷媒側放熱量と、コンデンサ2を通過する空気が受ける熱量(空気側加熱量)とが等しくなることをいう。この熱収支をバランスさせる冷媒循環量の演算式のみに基づき圧縮機のトルクを推定すると、図4の一点鎖線で示されるような特性となり、圧縮機1の起動初期のトルクは反映されず、主として熱収支がバランスする定常時のトルクのみが反映されたものとなる。
前記高圧冷媒圧力(Ph)は、前述した如く圧縮機1の起動指令信号が入力された後に圧縮機1が起動する瞬間を検知するためにも利用される。即ち、圧縮機1の稼動指令信号が入力された後に、単位時間あたりの高圧冷媒圧力の上昇変化(ΔPh/Δt)を検知することで起動を検知し、その時点からタイマを作動させ、圧縮機が起動してからの経過時間(t)を求めるようにしている(前記ステップ54,56)。
圧縮機1の起動初期での冷媒循環量(Gr_start )の算出は、下記する数2で示される圧縮機の吐出容量に基づく冷媒循環量の関係式から求められる(ステップ70)。
ここで、ηvは体積効率、tは圧縮機が実際に起動してからの経過時間、tmaxは圧縮機が実際に起動してから最大トルクに達するまでの時間、Dispは圧縮機の最大吐出容量、Ncは圧縮機の回転速度、 Rr134a は冷媒R134aのガス定数、Tsは圧縮機入口の吸込冷媒温度、T0は絶対温度(273.15℃)、Cgは体積効率を調整する圧縮機のポンピングの度合い、tbalは熱収支バランスに達するまでの時間に対応する値をそれぞれ示す。
尚、体積効率ηvは、予め各回転数における効率を実験的に求めておくことにより決めても良い。圧縮機の回転速度Ncは、エンジン回転速度センサ23によって検出されたエンジン回転速度(Neng)から算出される(ステップ72)。また、tmax は、圧縮機のトルクが最大トルクに達する時間に対応しており、予め実験により求めておくことによって得られたものである。tbal は、冷凍サイクルの熱収支がバランスする時間に対応しており、予め実験により求めておくことにによって得られたものである。
この数2で示される関係式は、熱収支バランスに達するまでの圧縮機1の作動に伴う過渡的な冷媒循環流量を圧縮機のガス排除モデルによって推定しているもので、圧縮機1が起動してからの経過時間(t)が長くなるに伴い、算出される冷媒循環量を減衰させるようにしている。したがって、この関係式から得られた冷媒循環量のみに基づき圧縮機のトルクを演算すると、図4の波線で示されるような特性となり、主として圧縮機の起動初期でのトルクが反映されたものとなる。
そして、この圧縮機の吐出容量に基づく冷媒循環量の関係式で得られた起動初期の冷媒循環量(Gr_start)を、コンデンサ2での熱収支をバランスさせる冷媒循環量の関係式で得られた定常時の冷媒循環量(Gr_steady)に加算することで、この系における圧縮機1の起動初期から定常時にかけての冷媒循環量(Gr_est)の推定値としている(ステップ74)。
また、蒸発器温度Tevaに基づき冷媒飽和圧力Peva_satを演算し(ステップ76)、この冷媒飽和圧力Peva_satと前記蒸発器温度Teva及び前記高圧冷媒圧力(Ph)とに基づき単位循環冷媒あたりの圧縮エネルギー(Wp )を算出する(ステップ78)。そして、この単位循環冷媒あたりの圧縮エネルギー(Wp )と冷媒循環量(Gr_est )との積、及び圧縮機の回転速度(Nc)から圧縮機動力(Power)を推定し(ステップ80)、この圧縮機動力(Power)と圧縮機の回転速度(Nc)とから圧縮機のトルク(Trq)を推定するようにしている(ステップ82)。
したがって、熱収支バランスに基づく冷媒循環量の関係式から推定された冷媒循環量では捉えることができない圧縮機の起動初期の冷媒循環量を、圧縮機が稼動を開始したと判定されてからの経過時間(t)に依存する圧縮機の吐出容量に基づく冷媒循環量の関係式から推定することで圧縮機1の起動初期でのトルクを推定することが可能となり、熱収支がバランスするにつれて後者の冷媒循環量を減衰させることで、熱収支がバランスした後は、熱収支バランスに基づく冷媒循環量の関係式からのみ冷媒循環量が推定されて圧縮機のトルクが算出されるので、演算されたトルクは、図4の実線で示されるようになり、圧縮機の稼動初期から定常時の全範囲に亘ってトルク推定が可能となり、圧縮機の起動時でのトルク推定も精度よく行なうことが可能となる。
1 圧縮機
6 冷凍サイクル
20 エンジン制御ユニット(ECU)
30 エアコン制御ユニット(A/C CU)
6 冷凍サイクル
20 エンジン制御ユニット(ECU)
30 エアコン制御ユニット(A/C CU)
Claims (6)
- 車両に搭載された駆動源により駆動される圧縮機によって冷媒が循環される冷凍サイクルを備えたシステムに利用可能な圧縮機のトルク推定装置であって、
前記圧縮器が実際に稼動を開始したことを判定する起動判定手段と、
前記起動判定手段により前記圧縮機が稼動を開始したと判定されてからの経過時間に基づき、前記圧縮機のトルクを推定するトルク推定手段と
を有することを特徴とする圧縮機のトルク推定装置。 - 前記起動判定手段は、
前記冷凍サイクルの圧力の変化に基づき、前記圧縮機の起動を判定することを特徴とする請求項1に記載の圧縮機のトルク推定装置。 - 前記冷凍サイクルの圧力の変化は、
高圧側冷媒の圧力の変化である事を特徴とする請求項2に記載の圧縮機のトルク推定装置。 - 前記トルク推定手段は、
前記経過時間に基づき、前記圧縮機の起動初期の冷媒循環量を算出する起動初期冷媒循環量推定手段を備え、
前記起動初期冷媒循環量推定手段により算出された起動初期の冷媒循環量を加味して前
記圧縮機のトルクを推定する事を特徴とする
請求項1乃至3のいずれかに記載のトルク推定装置。 - 前記冷凍サイクルの熱収支バランスに基づく冷媒循環量の関係式を用いて前記圧縮機の定常時の冷媒循環量を算出する熱収支バランス冷媒循環量推定手段を設け、
前記トルク推定手段は、前記熱収支バランス冷媒循環量推定手段で得られた定常時の冷媒循環量に、前記起動初期冷媒循環量算出手段で算出された前記圧縮機の起動初期の冷媒循環量を加算した値に基づき前記圧縮機のトルクを推定するものであることを特徴とする請求項4記載の圧縮機のトルク推定装置。 - 前記起動初期冷媒循環量推定手段は、
前記圧縮機の最大吐出容量及び
前記圧縮機が起動してから最大トルクに達するまでの時間と前記経過時間の比
に基づいて算出される最大容積時の初期冷媒循環流量に、
前記圧縮機が起動してから熱収支バランスに達するまでの時間に対応した値及び
前記経過時間
に基づいて算出される減衰項を乗じて前記圧縮機の起動初期の冷媒循環量を算出するものである請求項4又は5記載の圧縮機のトルク推定装置。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005059992A JP2006240514A (ja) | 2005-03-04 | 2005-03-04 | 圧縮機のトルク推定装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016186407A (ja) * | 2015-03-27 | 2016-10-27 | 三菱重工業株式会社 | 制御値算出装置、制御値算出方法及びプログラム |
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2005
- 2005-03-04 JP JP2005059992A patent/JP2006240514A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016186407A (ja) * | 2015-03-27 | 2016-10-27 | 三菱重工業株式会社 | 制御値算出装置、制御値算出方法及びプログラム |
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