JP2006240170A - 平版印刷用原版 - Google Patents

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Abstract

【課題】 露光後、現像処理を行うことなく印刷することが可能であって、感度に優れ、しかも地汚れが生じにくい平版印刷用原板を提供する。
【解決手段】 粒子と光熱変換剤とを含む親水性層および支持体を有する平版印刷用原版において、粒子として、疎水性化合物とポリマーとを含むコアおよびポリマーを含むシェルからなるコア/シェル構造を有し、シェルの割合が粒子全体の1乃至10質量%の範囲であるコア/シェル構造粒子を用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、コア/シェル構造を有する粒子と光熱変換剤とを含む親水性層および支持体を有する平版印刷用原版に関する。特に、本発明は、現像が不要であるネガ型の平版印刷用原版に関する。また、本発明は、デジタル信号に基づいた赤外線走査露光が可能な平版印刷用原版にも関する。
マイクロカプセルを分散した親水性層を有する感熱性平版印刷用原版が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。親水性層は、一般に架橋した親水性バインダーポリマーからなる。マイクロカプセルは、疎水性化合物(親油成分)を含む。感熱性平版印刷用原版を加熱して、疎水性(親油性)画像領域を形成する。これにより、疎水性画像領域と未加熱部の親水性非画像領域からなる印刷面が得られる。感熱性平版印刷用原版は、機上現像を必要としない完全無処理で、湿し水を使用する平版印刷を行うことができる。なお、光熱変換剤を感熱性平版印刷用原版に添加し、加熱ではなく、露光により疎水性画像領域を形成することが普通である。
マイクロカプセルを分散した親水性層を有する感熱性平版印刷用原版では、マイクロカプセルのシェルとして耐磨耗性と表面親水性との双方が優れている親水性三次元架橋ポリマーを使用できる。そのため、マイクロカプセルを用いることで、良好な画像を製版できる。しかしながら、保存条件によってはマイクロカプセル中から疎水性化合物が親水性層中に拡散し、非画像部の汚れを引き起こす場合がある。
マイクロカプセルから疎水性化合物が親水性層中に拡散することを防止するためには、マイクロカプセルのシェルに高い隔壁性を持たせること、具体的には、マイクロカプセル中のシェルの割合を多くする(マイクロカプセル壁を厚くする)ことが有効である。しかし、マイクロカプセル壁を厚くすると、平版印刷用原版の感度が低下する。
特開平7−1849号公報 特開平10−6468号公報 特開平11−70756号公報
平版印刷用原版は、感度と印刷物の品質との双方について、充分に満足できる状況には達していない。
本発明の目的は、露光後、現像処理を行うことなく印刷することが可能であって、感度に優れ、しかも地汚れが生じにくい平版印刷用原板を提供することである。
本発明は、下記(1)〜(7)の平版印刷用原版を提供する。
(1)粒子と光熱変換剤とを含む親水性層および支持体を有する平版印刷用原版であって、該粒子が疎水性化合物とポリマーとを含むコアおよびポリマーを含むシェルからなるコア/シェル構造を有し、該粒子のシェルの割合が粒子全体の1乃至10質量%の範囲であることを特徴とする平版印刷用原版。
(2)疎水性化合物が重合性基を有し、親水性層がさらに重合開始剤を含む(1)に記載の平版印刷用原版。
(3)コアに含まれるポリマーが、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ポリウレタン、ポリウレア、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルまたはシリコーンを主鎖として有するポリマーである(1)に記載の平版印刷用原版。
(4)コアに含まれるポリマーが、疎水性化合物の10乃至200質量%の量である(1)に記載の平版印刷用原版。
(5)シェルに含まれるポリマーが、ポリウレタンまたはポリウレアを主鎖として有するポリマーである(1)に記載の平版印刷用原版。
(6)光熱変換剤が粒子に含まれている(1)に記載の平版印刷用原版。
(7)粒子がマイクロカプセルである(1)に記載の平版印刷用原版。
マイクロカプセルを用いる従来の平版印刷用原版では、シェルの割合がマイクロカプセル全体の10質量%を越える値であった。
マイクロカプセル中のシェルの割合を低下させると、平版印刷用原版の感度が向上することは予想される。しかし、シェルの割合を低下させると、シェルの隔壁機能が低下し、保存中にマイクロカプセルのコアから疎水性化合物が親水性層中に拡散し、非画像部の汚れを引き起こす。
本発明者の研究の結果、疎水性化合物を含むコアに、さらにポリマーを添加すると、シェルの隔壁機能が低下しても、保存中にマイクロカプセルのコアから疎水性化合物が親水性層中に拡散しないことが判明した。そのため、コアにポリマーを添加すると、シェルの割合を従来よりも少ない値(1〜10質量%)に抑制でき、平版印刷用原版の感度を著しく向上させることができる。
以上の結果、本発明の平版印刷原版は、高感度であり、かつ地汚れが生じない鮮明な画像を製版することができる。
[コア/シェル構造を有する粒子]
コア/シェル構造を有する粒子は、コアが疎水性化合物とポリマーとを含み、シェルがポリマーを含む。本発明では、シェルが粒子全体の1乃至10質量%の範囲であることを特徴とする。
コア/シェル構造を有する粒子としては、マイクロカプセルが代表的である。マイクロカプセル以外の(一般には、マイクロカプセルに含まれないとされる)コア/シェル構造を有する粒子には、表面親水性の被覆コアシェル粒子と疎水性有機物内包コアシェル粒子とが含まれる。
コア/シェル構造を有する粒子は、熱または光の作用によってコアに含まれる疎水性化合物が粒子の近傍の親水性層を疎水性に変換することができる。
いずれの粒子においても、シェルの表面は親水性であることが好ましい。
(表面親水性の被覆コアシェル粒子)
表面親水性の被覆コアシェル粒子は、まず、疎水性化合物と、ポリマーとの混合分散物を乳化分散によって調製する。光熱変換剤は、乳化分散前または後にその系に添加することが可能である。添加する場合その量はコア全量に対して1乃至30質量%が適当であり、5乃至20%が好ましい。この混合分散物をコア粒子(シード)として、その分散液に親水性モノマーを添加して、コア粒子の表面に親水性モノマーを重合させて被覆とし表面親水性層とする。コア粒子を構成する疎水性化合物およびポリマーについては後述のマイクロカプセル粒子で使用可能な化合物として記載のあるものが使用可能である。親水性のシェル相を形成するモノマーは、水酸基やカルボキシ基、スルホン酸基、スルホンアミド基、アクリルアミド基など親水性置換基を有する親水性モノマーから選択することができる。また、親水性ポリマーを側鎖として有するマクロモノマーも使用することが可能である。これらの粒子においては、上記親水性モノマーが重合してなる親水性シェルがシェル部材として計上される。
(疎水性有機物内包コアシェル粒子)
疎水性有機物内包粒子は、内包されるコア物質(ここでは疎水性化合物とポリマーの混合物)が乳化分散されて水中油滴型(O/W型)の分散形態の親水性表面をもつ複合粒子となっている。ヒートモードの光照射による熱の作用によって乳化された粒子が粒子形状を維持できなくなり、疎水性化合物が親水層へ浸出・拡散・溶解することによって粒子の近傍を疎水性化する。これらの粒子の作成においては、後述の疎水性化合物及びポリマーを素材として使用可能である。疎水性有機物内包粒子には光熱変換剤を内部に含んでもよい。含む光熱変換剤の量はコア全量に対し1乃至30質量%が適当で、5乃至20質量%が好ましい。これらの粒子は、公知の製造方法、例えば日本化学会編、化学便覧応用編(II)、1212〜1213ページ及び1357〜1364ページの記載に準拠して製造することができる。
複合粒子の表面に親水性シェルを設けるには、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの保護コロイド性の親水性かつ表面吸着性の高分子皮膜を設ける方法、さらにそれに界面活性剤も介在させて粒子表面をより親水性且つ安定化させる分散方法、粒子の構成物質と反応する親水性基をもつ物質、例えばゾル−ゲル反応を応用し、シリカゾル−ゲル皮膜を形成させる、親水性ゾル粒子で被覆する、末端にシランカップリング基を有する親水性ポリマーで表面処理する、などの方法を用いることができる。この粒子においては、これら表面親水性化成分がシェル部材として計上される。
以上に述べた各表面親水性粒子中の疎水性化合物の量は、複合粒子の全量に対して、10乃至95質量%が適当であり、20乃至90質量%が好ましく、30乃至80質量%が最も好ましいが、混合するポリマーの量により適宜増減される。ポリマーは、疎水性化合物の全量に対し、10乃至200質量%が適当であり、30乃至150質量%が好ましく、50乃至100質量%が最も好ましい。一方、親水性表面層を形成する成分は、界面活性剤、保護コロイド、親水性重合樹脂、親水性ポリマー、親水性ゾル、ゾル−ゲル変換成分などと粒子により異なり、また親水性層の媒質中にも分布している場合もあるが、複合粒子の表面層を構成している量は、複合粒子の全量に対して、1乃至10質量%であり、2乃至9質量%であることが好ましく、3乃至8質量%の範囲であることが最も好ましい。また、分散物粒子のサイズは、体積平均で5μm以下0.01μm以上が好ましく、0.05乃至2μmがさらに好ましく、0.1乃至0.5μmが最も好ましい。
(マイクロカプセル粒子)
本発明におけるマイクロカプセル粒子は公知の方法によって作成されるマイクロカプセル一般が使用可能であるが、好ましくは、界面重合法、in situ重合法によって作成される。なかでも、界面重合法によって作成されるマイクロカプセルが、作成の簡便さおよび設備の簡便さの為、より好ましく適用される。
マイクロカプセル粒子のシェル部は、上記マイクロカプセル型粒子の壁と同意である。壁材として用いられる化合物としては、公知のマイクロカプセル作成方法において使用される、三次元架橋可能な壁材一般が使用可能である。具体例としては、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アミノアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリレート共重合樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、また、これらのうち2種類以上の壁材を併用してマイクロカプセル壁とすることも可能である。中でも、ポリウレタンポリウレア樹脂(ポリウレタンまたはポリウレアを主鎖として有するポリマー)が特に好ましく使用される。
シェル部材は、マイクロカプセル粒子全体に占めるシェル部材量の質量比が1乃至10質量%の範囲であることが適当であり、2乃至9質量%が好ましく、3乃至8質量%の範囲であることが最も好ましい。上限は所望の画像形成感度を得るのに必要な値であり、下限は、非画像部汚れを発生させないために必要な値である。シェル部材を加えない場合は、疎水性化合物と熱可塑性疎水性ポリマーとの組合せに関わらず地汚れを発生することは後述の比較例に示すとおりである。
上記界面重合法による、ポリウレタンポリウレア樹脂を壁材としたマイクロカプセル作成の具体例を以下に述べる。すなわち、多価イソシアネート等の壁材をカプセル化するべき芯物質を含む油相中に混合し、ポリビニルアルコール等の保護コロイド物質を溶解した水性媒体中に乳化分散し、液温を上昇させて油滴界面で高分子形成反応を起すことによって作成される。芯物質となる油相は、疎水性化合物と熱可塑性疎水性ポリマーを含む油相であっても、または疎水性化合物と熱可塑性ポリマーのみの混合物であってもよい。また、必要に応じて、後述の光熱変換剤を芯物質または壁材中に加えることが可能である。このようにして作成されたマイクロカプセルは、疎水性化合物を含む粒子として特に好ましく使用されるが、上述の方法は、本発明における疎水性化前駆体粒子の作成方法を限定しない。
多価イソシアネート化合物の具体例は、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロへキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロへキシレン−1,4−ジイソシアネート等のジイソシアネート類、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート等のトリイソシアネート類、4,4’−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等のテトライソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、2,4−トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、キシリレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物等のイソシアネートプレポリマーなどが挙げられる。また、二種類以上の多価イソシアネート化合物を併用してもよい。分子内にイソシアネート基を三個以上有するイソシアネート化合物が特に好ましい。
芯物質への多価イソシアネート化合物の溶解を補助するために、有機溶剤を加えることが可能である。好ましい有機溶剤の具体例としては、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられ、特に好ましくは酢酸エチルが使用されるが、上記化合物に限定されるものではない。
また、マイクロカプセル化の際に分散媒側に用いられる保護コロイドとしては、ゼラチン、ゼラチン誘導体、ポリビニルアルコール、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、カゼインなど、公知の各種保護コロイドを用いることができる。
さらに、多価イソシアネート類の壁膜形成反応促進や、形成されるポリウレタンポリウレア膜の物性を制御することを目的として、適当な助剤を添加することが可能である。具体的な例としては、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物、アミド化合物、スルホンアミド化合物などがあり、これらは、芯物質中に含有させてもよいし、分散媒中に含有させてもよい。
[疎水性化合物]
疎水性化合物は、疎水性を有する有機化合物一般が使用可能である。疎水性化合物は有機低分子化合物が好ましい。好ましい有機低分子化合物の特徴は、水に対する溶解度又は吸水率が100g当たり2g以下である有機化合物であることが好ましい。有機低分子化合物は、拡散浸透性が比較的高いので、熱によって移動性が与えられると、粒子近傍に拡散して直接あるいは間接的に親水層を疎水性化する。また、常温で固体であり、熱によって融解して疎水性領域を形成する化合物も含まれる。ここで、低分子化合物と呼んでいるのは沸点又は融点を有する化合物という意味で用いており、そのような化合物を通常分子量は15000以下、多くは2000以下である。また、上記の溶解度又は吸水率の条件は、有機高分子化合物が疎水性であることの指標として経験的に判った条件である。この条件であると、熱の作用によって引き起こされる、粒子のシェル部を構成する有機高分子の状態の変化によって粒子近傍の疎水性化を発現させることができる。
疎水性化の目的に適う好適な有機低分子化合物は、上記の化合物の移動性に関連する融点、沸点の観点とは別に、粒子近傍をそれ自体で疎水性とするのに十分な疎水性である必要があるという観点から、水への溶解性が極めて少ないか、有機性の程度が高いことが必要なことを経験している。その条件を具体化して示したのが、先述したように、有機低分子化合物が、25℃における水100gへの溶解度が2g以下であるか、もしくは、有機概念図における無機性/有機性の比が1.4以下であるかの少なくともいずれかであることが好ましい。
有機概念図は、化合物の有機性及び無機性の程度を示すのに実際的で簡便な実用尺度であり、その詳細については、田中善生著「有機概念図」(三共出版社、1983年初版刊行)の1〜31頁に詳記されている。有機概念図上の上記の範囲の有機化合物が疎水性化を促進する作用を持つ理由は不明であるが、この範囲の化合物は、有機性が比較的大きい化合物であり、粒子近傍を疎水性にする。有機概念図における有機性が100以上でその上限についての制約はとくにないが、通常100〜1200、好ましくは100〜800であり、その無機性/有機性の比が0(すなわち無機性が0)乃至1.4の範囲、好ましくは0.1乃至1.2の範囲に入る有機化合物である。
この特徴を有する有機低分子化合物は、具体的には脂肪族及び芳香族炭化水素、脂肪族及び芳香族カルボン酸、脂肪族及び芳香族アルコール、脂肪族及び芳香族エステル、脂肪族及び芳香族エーテル、有機アミン類、有機珪素化合物、また、効果は大きくはないが印刷用インキに添加できることが知られている各種溶剤や可塑剤類の中に見られる。
疎水性化合物の具体例としては、炭素数8以上のアルカン類およびアルキン類や、アリール類、炭素数が8以上のエステル類、および上述した化合物に、ハロゲン、アルキルオキシ基、アルキルメルカプト基を付与した化合物、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、安息香酸エステル等エステル類のうち高級アルキル基を有するもの、パラフィン、ワックス等のグリセリン類の高級脂肪酸エステル類が挙げられる。
上記の炭素数8以上のアルカン類および環状アルカン類の具体例としては、オクタン、シクロオクタン、シクロオクテン、1,2−ジメチルシクロヘキサン、1−オクテン、ノナン、イソプロピルシクロヘキサン、2,3−ジメチルヘプタン、デカン、ブチルシクロヘキサン、デカリン、ウンデカン、ドデカン、ビシクロヘキシル、トリデカン等が挙げられる。また、これらの構造異性体も使用可能である。
上記アリール類の例として、ベンゼン類(下記式(I))、ナフタレン類(下記式(II))、ビフェニル類(下記式(III))、ジフェニルメタン類(下記式(IV))、アントラセン類(下記式(V))、フェナンスレン(下記式(VI))が挙げられる。特にトルエン、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレン、メシチレン、スチレン、4−メチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、2,7−ジイソプロピルナフタレン、ジフェニルメタンが好ましく使用される。
Figure 2006240170
(R〜R10は、H、アルキル基、アリール基、ビニル基、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、アルキルオキシ基、ビニルオキシ基、アルキルメルカプト基のいずれかであることを表し、R11、R12はH、アルキル基、アリール基、ビニル基のいずれかであることを表す。)
疎水性化合物はさらに、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、エチレン性不飽和二重結合が特に好ましい。エチレン性不飽和二重結合を疎水性化合物中に少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が好ましく使用される。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつことが可能である。モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等の化合物群が使用可能である。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類、およびスチレン、ビニルエーテル類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはスチレン、ビニルエーテル類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはスチレン、ビニルエーテル類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルからなるモノマーは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステルまたはマレイン酸エステルが好ましい。
アクリル酸エステルの例は、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレートを含む。
メタクリル酸エステルの例は、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレートを含む。
イタコン酸エステルの例は、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネートを含む。
クロトン酸エステルの例は、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネートを含む。
イソクロトン酸エステルの例は、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネートを含む。
マレイン酸エステルの例は、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレートを含む。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(I)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH=C(R)COOCHCH(R)OH (I)
(ただし、R及びRは、H又はCHを示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号の各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類を挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらの付加重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な平版印刷版原版の性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、画像記録層中での拡散に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により拡散性を向上させうることがある。
疎水性化合物は、粒子の全重量に対して、好ましくは10〜95質量%、さらに好ましくは20〜90質量%、最も好ましくは30〜80質量%の範囲で使用されるが、後述のポリマーを粒子中に含めるために、その量は適宜増減される。また、これら疎水性化合物は単独で用いても2種以上併用してもよい。
[コアポリマー]
粒子のコアに含まれるポリマーは、疎水性化合物とのSP値の差の絶対値が0乃至5の範囲に含まれることが好ましい。0乃至4の範囲に含まれることがさらに好ましく、もっとも好ましくは0乃至3の範囲に含まれる。疎水性化合物が2種類以上の混合物である場合は、各々の疎水性化合物成分に対して同様の条件を満たすことが好ましい。また、複数のポリマーを混合して用いることが可能である。ポリマーを混合して用いる場合も、各々のポリマーが同様の条件を満たすことが好ましい。
ポリマーのSP値は、「ポリマーハンドブック」(インターサイエンス社編)および各種ポリマー物性ハンドブックに記載の数値が使用される。公知の文献に記載の無いポリマーを使用する際は、平衡膨潤度を利用した測定法(K.W. Suh, D. Hclarke, J. Appl. Polym. Sci., 2, (11), p.2311参照)によってその値を求める。また、疎水性化合物のSP値は、上記各種ポリマー物性ハンドブックに記載の値が用いられるが、記載の無い疎水性化合物については、スモールによって提唱された、原子団からモル引力定数を求め、計算によりSP値を算出する方法(P. A. Small, J. Appl. Chem. 3, p.71参照)によって計算される。上述の条件を満たしている限りにおいて、ポリマーは公知の各種熱ポリマーが使用可能である。また、ポリマーは以下<A>、<B>の特徴の少なくともいずれかを有することが好ましい。
<A>好ましくはガラス転移点(以下Tgと略す)を有し、Tgが400℃以下、さらに好ましくは300℃以下、最も好ましくは0℃乃至200℃の範囲であること。Tg以上の温度において該ポリマーはガラス状態となり、先述のように、露光時において該ポリマー中を疎水性化合物が拡散・移動することを該ポリマー自身が阻害する働きを低減する。下限に特に制限は無いが、保存時の疎水性化合物の保持性を鑑みて0℃以上であることが特に好ましい。
<B>十分な疎水性を有すること。好ましくは、先述の経験的に得られた知見に基づき、25℃における水100gへの溶解度が2g以下であるか、もしくは、有機概念図における無機性値を有機性値で除した値(I/O値)が0乃至1.4の範囲であるかの少なくともいずれかの条件を満たすこと。この特徴は、先述の保存時の内包状態安定化効果をさらに高めるものである。有機性・無機性に関する先述の理論は、溶解性理論とは異なり明確に確立されてはおらず、混合時の安定化効果を定量的に評価することは困難であるが、「化合物は、自身と似た特徴の化合物とよく混和する」ことを我々は定性的に経験しており、この意味において、前述の疎水性化合物と同等の性質を有することを該ポリマーの好ましい特徴とすることは、十分に妥当である。
ポリマーは、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ポリウレタン、ポリウレア、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルまたはシリコーンを主鎖として有することが好ましい。
好ましいポリマーの種類としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセテート、ポリウレタン、ポリウレア、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、シリコーン樹脂、アクリル系共重合体およびこれらの二元、又は三元以上の共重合樹脂などが挙げられる。
これら好適なポリマーの具体例として以下(A)〜(H)に示すモノマーをその構成単位とする通常1万〜20万の分子量を持つ共重合体を挙げることができる。
(A)アクリルアミド類、メタクリルアミド類、例えばN−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、
(B)アクリル酸エステル類、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、N−ジメチルアミノエチルアクリレートなどの(置換)アクリル酸エステル、
(C)メタクリル酸エステル類、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、N−ジメチルアミノエチルメタクリレートなどの(置換)メタクリル酸エステル、
(D)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、
(E)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニルなどのビニルエステル類、
(F)スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン、4−ヒドロキシルスチレンなどのスチレン類、
(G)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトンなどのビニルケトン類、
(H)N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど。
これらのポリマーは、使用する疎水性化合物に合わせて、疎水性化合物とのSP値差の絶対値が0乃至3の範囲に含まれるよう適宜選択されるが、特に、(B)、(C)、(F)に示したモノマーをその構成単位とする共重合体が最も好適に用いられる。
さらに、露光時に疎水性化合物や画像形成層と反応活性を発現しうる官能基、例えば具体的には重合性エチレン二重結合基、エポキシ基、または、ブロックイソシアネート類ほか熱解離性保護基で保護された反応活性基類を含むことが可能である。
これらの官能基を含むポリマーとして好ましいものの具体例として、分子の側鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマー、すなわちアクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミドのポリマーであって、エステルまたはアミドの残基(−COORまたは−CONHRのR)がエチレン性不飽和結合を有するポリマーを挙げることができる。
エチレン性不飽和結合を有する残基(上記R)の例としては、−(CHCR=CR、−(CHO)CHCR=CR、−(CHCHO)CHCR=CR、−(CHNH−CO−O−CHCR=CR、−(CH−O−CO−CR=CR、および−(CHCHO)−X(式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基を表し、RとRまたはRとは互いに結合して環を形成してもよい。nは、1〜10の整数を表す。Xは、ジシクロペンタジエニル残基を表す。)を挙げることができる。
エステル残基の具体例としては、−CHCH=CH(特公平7−21633号公報に記載されている。)、−CHCHO−CHCH=CH、−CHC(CH)=CH、−CHCH=CH−C、−CHCHOCOCH=CH−C、−CHCHNHCOO−CHCH=CH、および−CHCHO−X(式中、Xはジシクロペンタジエニル残基を表す。)が挙げられる。アミド残基の具体例としては、−CHCH=CH、−CHCHO−Y(式中、Yはシクロヘキセン残基を表す。)、−CHCHOCO−CH=CHが挙げられる。下塗層用高分子樹脂の架橋性基を有するモノマーとしては、上記架橋性基を有するアクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミドが好適である。
ポリマーは、平均分子量が好ましくは5000乃至1000000、さらに好ましくは10000乃至500000の範囲であることが好ましい。これらポリマーを用いる際、該ポリマーの添加量は、粒子中に含有させる疎水性化合物に対して、10〜200質量%が適当であり、30〜150質量%が好ましく、特に50〜100質量%が最も好ましい。
[光熱変換剤]
光熱変換剤は、光を吸収し、光エネルギーを熱エネルギーに変換して、発熱する機能を有する物質である。光は赤外光であることが好ましい。言い換えると、光熱変換剤は、赤外線吸収剤であることが好ましい。
赤外光を吸収できる顔料、染料または金属微粒子を、光熱変換剤として好ましく用いることができる。粒子としてマイクロカプセルを使用する場合は、光熱変換剤として赤外線吸収染料を用いることが特に好ましい。
赤外線吸収染料については、「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊、「化学工業」1986年5月号P.45〜51の「近赤外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市場動向」第2章2.3項(1990)シーエムシーに記載がある。好ましい赤外線吸収染料は、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料(特開昭58−112793号、同58−224793号、同59−48187号、同59−73996号、同60−52940号、同60−63744号の各公報記載)、アントラキノン染料、フタロシアニン染料(特開平11−235883号公報記載)、スクアリリウム染料(特開昭58−112792号公報記載)、ピリリウム染料(米国特許3881924号、同4283475号の各明細書、特開昭57−142645号、同58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号、特公平5−13514号、同5−19702号の各公報記載)、カルボニウム染料、キノンイミン染料およびメチン染料(特開昭58−173696号、同58−181690号、同58−194595号の各公報記載)である。
赤外吸収染料については、米国特許4756993号、同5156938号の各明細書および特開平10−268512号、特開2004−306582号の各公報にも記載がある。市販の赤外吸収染料(例えば、エポライトIII−178、エポライトIII−130、エポライトIII−125、エポリン社製)を用いてもよい。赤外吸収染料は、メチン染料がさらに好ましく、シアニン染料(英国特許434875号、米国特許4973572号の各明細書、特開昭58−125246号、同59−84356号、同59−216146号、同60−78787号の各公報記載)、フタロシアニン(特開平11−235883号公報記載)が特に好ましい。
これらの光熱変換剤は、画像記録層の親水性バインダー中に含有させてもよいし、マイクロカプセルに内包させてもよい。添加量としては、画像記録層の全固形分に対し0.001〜50質量%、好ましくは0.005〜30質量%、特に好ましくは0.01〜10質量%の割合で添加することができる。この範囲内で、画像記録層の均一性や膜強度に好ましくない影響を与えることなく、高感度が得られる。
[親水性層]
親水性層は、粒子の外部に親水性ポリマーを含むことが好ましい。親水性ポリマーは、親水性バインダーとして機能する。親水性ポリマーは、架橋していることが好ましい。
親水性ポリマーは、金属水酸化物と金属酸化物との系からなるゾル−ゲル変換性材料であることが好ましく、その中でもポリシロキサンのゲル組織を形成する性質を有するゾル−ゲル変換系が最も好ましい。表面が親水性である粒子の表面の親水性層がバインダーとしての機能をも備えている場合には、バインダーを新たに用いなくてもよい。バインダーは親水性層の構成成分の分散媒として作用し、層の物理的強度の向上、層を構成する組成物相互の分散性の向上、塗布性の向上、印刷適性の向上、製版作業性の便宜上など、種々の目的に適う構成となっている。
ゾル−ゲル変換系は、特開2003−175683号公報に記載がある。
親水性ポリマーとして、画像記録層としての適度な強度と表面の親水性を付与する目的の、水酸基を有する有機高分子化合物を用いることができる。具体的には、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシ変性PVA等の変性PVA、澱粉およびその誘導体、カルボキシメチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズのようなセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸及びその塩、ポリアクリアミド、及びアクリル酸、アクリアミドなど水溶性のアクリル系モノマーを主な構成成分として含む水溶性アクリル系共重合体等の水溶性樹脂が挙げられる。
上記水酸基を有する有機高分子化合物を架橋し、硬化させる耐水化剤としては、グリオキザール、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等のアミノプラストの初期縮合物、メチロール化ポリアミド樹脂、ポリアミド・ポリアミン・エピクロロヒドリン付加物、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、変性ポリアミドポリイミド樹脂等が挙げられる。その他、更には、塩化アンモニウム、シランカップリング剤の架橋触媒等が併用できる。
ゾル−ゲル変換が可能な系は、多価元素から出ている結合基が酸素原子を介して網目状構造を形成し、同時に多価金属は未結合の水酸基やアルコキシ基も有していてこれらが混在した樹脂状構造となっている高分子体であって、塗布前のアルコキシ基や水酸基が多い段階ではゾル状態であり、塗布後、エステル結合化が進行するのに伴って網目状の樹脂状構造が強固となり、ゲル状態になる。また、樹脂組織の親水性度が変化する性質に加えて、水酸基の一部が固体微粒子に結合することによって固体微粒子の表面を修飾し、親水性度を変化させる働きをも併せ持っている。ゾル−ゲル変換を行う水酸基やアルコキシ基を有する化合物の多価結合元素は、アルミニウム、珪素、チタン及びジルコニウムなどであり、これらはいずれも本発明に用いることができるが、最も好ましく用いることができるのは、シロキサン結合によるゾル−ゲル変換系である。アルミニウム、チタン及びジルコニウムを用いるゾル−ゲル変換は、下記の説明の珪素をそれぞれの元素に置き換えて実施することができる。
シラン化合物の例は、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリエトキシシラン、トリブロモシラン、トリメトキシシラン、イソプロポキシシラン、トリ(t−ブトキシ)シランを含む。
画像記録層に用いるシラン化合物とともに、Ti、Zn、Sn、Zr、Al等のゾル−ゲル変換の際に樹脂に結合して成膜可能な金属化合物を併用することができる。用いられる金属化合物として、例えば、Ti(OR”)(R”はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、TiCl、Zn(OR”)、Zn(CHCOCHCOCH)2、Sn(OR”)、Sn(CHCOCHCOCH、Sn(OCOR”)、SnCl、Zr(OR”)、Zr(CHCOCHCOCH、Al(OR”)等が挙げられる。
また、このゲル構造のマトリックスの中には、膜強度、柔軟性などの物理的性能向上や、塗布性の向上、親水性の調節などの目的で、ポリマー主鎖末端にシランカップリング基を有する親水性ポリマーや、架橋剤を加えることが可能である。
ポリマー主鎖末端にシランカップリング基を有する親水性ポリマーとしては、下記式(1)で表されるポリマー(特開2003−175683号公報記載)が挙げられる。
Figure 2006240170
式(1)において、R、R、R及びRはそれぞれ水素原子または炭素数8以下の炭化水素基を表し、mは0、1又は2を表し、nは1〜8の整数を表し、pは30〜300の整数を表す。Yは−NHCOCH、−CONH、−CON(CH、−COCH、−OCH、−OH、−COM又は−CONHC(CHSOMを表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びオニウムからなる群から選択されるいずれかを表す。
Lは、単結合又は有機連結基を表すが、ここで有機連結基とは、非金属原子からなる多価の連結基を示し、具体的には1〜60個の炭素原子、0〜10個の窒素原子、0〜50個の酸素原子、1〜100個の水素原子、0〜20個の硫黄原子から成り立つ基である。
[固体微粒子]
本発明に係る印刷用原版上の親水層に含まれる親水性マトリックスは、さらに固体微粒子を含有していることが好ましく、上記のシランカップリング基を有する親水性ポリマーは、固体微粒子の表面に化学的に結合した形態で存在することが好ましい。また、上記以外の親水性ポリマーを表面に結合させた形態をも含んでいることも好ましい。本明細書では、固体粒子の表面に親水性ポリマーが化学的に結合することを、表面修飾とも言う。
親水性ポリマーが結合する固体粒子としては、金属酸化物微粒子が好ましく、例えば酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化鉄、ジルコニアなどの金属酸化物;無水ケイ酸、含水ケイ酸カルシウム及び含水ケイ酸アルミニウムなどの、それ自体は可視域に吸収を持たないケイ素含有酸化物(ホワイトカーボンとも呼ばれる)、クレー、タルク、カオリン、ふっ石などの粘土鉱物粒子等が使用できる。
無機粒子の平均粒径は10μm以下であることが好ましく、より好ましくは5nm〜5μm、更に好ましくは10nm〜5μmである。この範囲内において、以下に述べる光架橋性粒子の製造段階において、安定に製造することが可能であるとともに、支持体との良好な接着性が保て、また、表面付近の粒子も良好に保持される。
親水性と膜強度、更に親水性ポリマーによる表面修飾の容易性の観点から、上記無機粒子のうち特にケイ素含有酸化物が好ましい。具体的には、日産化学工業(株)製スノーテックスZL(粒径70〜100nmシリカの40%コロイド水溶液)、富士シリシア化学(株)製サイリシア350(粒径3.5μm)、日本アエロジル(株)製AEROSIL130(粒径160nmシリカ)、日本アエロジル(株)製AEROSIL200(粒径16nmシリカ)、水澤化学工業(株)製ミズカシルP−527U(粒径60nmシリカ)等が挙げられる。
本発明で用いる、表面修飾された、あるいは表面修飾されていなくても表面親水性のゾル状粒子(これらを総括して、単にシリカ粒子ということもある)の各々の粒径が、前記範囲内において、画像記録層の膜強度が充分に保持され、レーザー光等により露光して製版し、印刷版として印刷すると、非画像部への印刷インクの付着汚れを生じない極めて親水性に優れたものになるという効果を発現する。また、親水性ゾル状粒子を画像記録層に添加する場合、その添加量は、画像記録層の固定物成分の5〜80質量%であり、好ましくは20〜60質量%である。
[触媒]
ゾル−変換系のゾル液の調製において、加水分解及び重縮合反応を促進するために、硝酸、塩酸などの無機酸又はアンモニアなどの塩基を触媒として使用可能である。また、金属錯体触媒を使用してもよい。好ましい金属錯体触媒は、周期律表の2A、3B、4A及び5A族から選ばれる金属元素とβ―ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、エノール性活性水素化合物の中から選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物から構成される金属錯体である。
構成金属元素の中では、Mg、Ca、St、Baなどの2A族元素、Al、Gaなどの3B族元素、Ti、Zrなどの4A族元素及びV、Nb及びTaなどの5A族元素が好ましく、それぞれ効果の優れた錯体を形成する。その中でもZr、Al及びTiから得られる錯体が優れている。
以上で述べたゾル−ゲル法によって作製される画像記録層は、本発明の平版印刷版用原版にとくに好ましい。上記のゾル−ゲル法のさらに詳細は、作花済夫「ゾル−ゲル法の科学」(株)アグネ承風社(刊)(1988年)、平島碩「最新ゾル−ゲル法による機能性薄膜作製技術」総合技術センター(刊)(1992年)等の成書等に詳細に記述されている。
[重合開始剤]
重合開始剤は、光、熱、あるいはその両方のエネルギーによりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進させる化合物を指す。重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな総合を有する化合物などを選択して使用することができる。
ラジカルを発生する化合物は、好ましくは熱エネルギーによりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進させる化合物(熱ラジカル発生剤)である。熱ラジカル発生剤としては、公知の重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物から適宜、選択して用いることができる。
ラジカルを発生する化合物を2種類以上併用してもよい。
ラジカルを発生する化合物は、特開2004−306582号公報に記載がある。ラジカルを発生する化合物の例は、ハロゲン化有機化合物、カルボニル化合物、有機過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オキシムエステル化合物、オキシム塩化合物を含む。オニウム塩が最も好ましい。
本発明において、好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、特開2001−133696号の段落番号[0030]〜[0033]に記載されたものを挙げることができる。
本発明において用いられる重合開始剤は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましく、更に360nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、平版印刷用原版の取り扱いを白灯下で実施することができる。
これらの重合開始剤は、画像記録層全固形分に対し0.1〜50%、好ましくは0.5〜30%、特に好ましくは1〜20%の割合で画像形成層中に添加できる。この範囲内で、印刷時の非画像部汚れを発生させることなく、良好な感度が得られる。
これらの重合開始剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの重合開始剤は、疎水性化前駆体粒子中に含有してもよい。この場合、非水溶性の重合開始剤が好ましく、疎水性化前駆体粒子に含有しない場合は、水溶性の重合開始剤が使用できる。
[塗布]
本発明に関わる親水層は、通常上記各成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布することにより製造することができる。ここで使用する溶媒としては特に限定されるものではなく、例えば、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン、水等を挙げることができる。これらの溶媒は単独あるいは混合して使用される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
本発明において、画像記録層には塗布面状を向上させるために界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤は、2種以上を組み合わせて用いることができる。
界面活性剤の含有量は、画像記録層の全固形分に対して、0.001〜10質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であるのがより好ましい。
塗布、乾燥後に得られる支持体上の塗布量(固形分)は、一般的に0.5〜5.0g/mが好ましい。塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
塗布後の乾燥工程及び後加熱(状態調節)工程については、前記した。本発明の親水性層の膜厚は、好ましくは0.001g/m〜10g/m、より好ましくは0.01g/m〜8g/mである。塗布、乾燥後に得られる画像形成層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的な平版印刷版用原版についていえば、0.5〜5.0g/mが好ましく、0.5〜3.0g/mがより好ましい。この範囲内において、本発明の親水性の効果が良好に発揮し得るとともに、支持体との密着性も良好であり、十分な耐刷性が得られる。
[表面保護層]
本発明の平版印刷用原版の表面は、親水性であるので、使用前の取り扱い中に環境の雰囲気の影響によって疎水性化したり、温湿度の影響を受けたり、あるいは機械的な傷など又は汚れなどの影響を受けやすい。通常、製版工程で版面に整面液(ガム液ともいう)を塗布して保護作用を行うが、原版製作の際に、保護液を塗布しておくと製造直後からこのような保護作用が得られること、及び製版工程においてあらたに整面液を塗布する手間が省けて作業性が向上することなどの利点がある。
さらに本発明においては、通常、露光を大気中で行うため、保護層は、画像記録層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素、塩基性物質等の低分子化合物の画像記録層への混入を防止し、大気中での露光による画像形成反応の阻害を防止する機能を持たせることが可能である。この場合、保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、更に、露光に用いられる光の透過性が良好で、画像記録層との密着性に優れ、かつ、印刷機上で容易に除去することができるものであるのが好ましい。このような特性を有する保護層については、以前より種々検討がなされており、例えば、米国特許第3458311号明細書および特開昭55−49729号公報に詳細に記載されている。
保護層に用いられる材料としては、例えば、比較的、結晶性に優れる水溶性高分子化合物が挙げられる。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸等の水溶性ポリマーが挙げられる。中でも、ポリビニルアルコール(PVA)を主成分として用いると、酸素遮断性、現像除去性等の基本的な特性に対して最も良好な結果を与える。ポリビニルアルコールは、保護層に必要な酸素遮断性と水溶性を与えるための未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテルまたはアセタールで置換されていてもよく、一部が他の共重合成分を有していてもよい。
ポリビニルアルコールの具体例としては、71〜100%加水分解された重合度300〜2400の範囲のものが好適に挙げられる。具体的には、例えば、株式会社クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8が挙げられる。
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用等)、塗布量等は、酸素遮断性および印刷機上での除去性のほか、カブリ性、密着性、耐傷性、アブレーション抑制等を考慮して適宜選択される。一般には、PVAの加水分解率が高いほど(即ち、保護層中の未置換ビニルアルコール単位含有率が高いほど)、また、膜厚が厚いほど、酸素遮断性が高くなり、感度の点で好ましい。また、製造時および保存時に不要な重合反応が生じたり、画像露光時に不要なカブリ、画線の太り等を防止するためには、酸素透過性が高くなりすぎないことが好ましい。従って、25℃、1気圧下における酸素透過性Aが0.2〜20(cc/m・day)であることが好ましい。
保護層の他の組成物として、グリセリン、ジプロピレングリコール等を(共)重合体に対して数質量%相当量添加して可撓性を付与することができ、また、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤;アルキルアミノカルボン酸塩、アルキルアミノジカルボン酸塩等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤を(共)重合体に対して数質量%添加することができる。
保護層の膜厚は、0.05〜4μmが適当であり、特に0.1〜2.5μmが好適である。
[下塗り層]
本発明の平版印刷方法に用いられる本発明の平版印刷版原版においては、必要に応じて、画像記録層と支持体との間に下塗層を設けることができる。下塗層が断熱層として機能することにより、赤外線レーザーによる露光により発生した熱が支持体に拡散せず、効率よく利用されるようになるため、高感度化が図れるという利点がある。また、本発明においては画像記録層が画像部・非画像部の両方を兼ねることから、画像記録層は支持体との密着性が高いことが好ましく、下塗り層の設置により支持体と画像記録層の密着性の向上が図れるという利点がある。
支持体がプラスチックフィルムの場合は、アクリル系、ウレタン系、セルロース系、エポキシ系などの接着剤の支持体上への塗布、特開平6−316183号、同8−272088号及び同9−179311号、及び特開2001−199175号に記載の下塗り層塗布、すなわち、ポリビニルアルコール又はヒドロキシアルキルアクリレートもしくはメタクリレートの単独重合体又は共重合体、加水分解されたオルトケイ酸テトラエチルあるいはメチル、及び好適には、さらに二酸化ケイ素又は二酸化チタンの微粒子を含有する層を支持体表面に設けること等を挙げることができる。
また金属支持体の場合は、有機又は無機の樹脂を利用することが好ましい。かかる有機又は無機の樹脂としては、公知の疎水性高分子、親水性高分子、親水性高分子を架橋したもの、水酸基やアルコキシ基を有するアルミニウム、珪素、チタン、ジルコニウムなどのゾル−ゲル変換を行う化合物からの無機高分子等から広く選択することができる。本発明において特に好ましい下塗層は、シリカを含有する下塗層である。
前記下塗層中の好ましいシリカは、アニオン系の二酸化ケイ素である。コロイドシリカは好ましくは少なくとも100m/gの表面積、更に好ましくは少なくとも300m/gの表面積を有する。
コロイドシリカの表面積は、J. Amer. Chem. Soc. 60巻(1938年)の309〜312頁にS. Brunauer ,P. H. Emmett 及びE. Teller によって発表されたBET値法により測定する。
シリカ分散液は、他の物質例えばアルミニウム塩、安定剤、殺菌剤等も含有できる。
かかる種類のシリカは、KIESELSOL 100,KIESELSOL 300及びKIESELSOL500 (KIESELSOLはドイツ国レファークゼンの Farbenfabriken Bayer AGの登録商標であり、数字はm/gでの表面積を表す)の名で市販されている。
シリカを含有する下塗層には、必要に応じて親水性高分子結着材を加えることが可能である。かかる親水性高分子結着材としては、親水層における親水性バインダーとして用いることができる親水性高分子結着材として前記した物質を利用することが可能である。
下塗層中でのシリカに対する親水性高分子結着材の重量比は、1未満であるのが好ましい。下限はそれ程重要ではないが、少なくとも0.2であるのが好ましい。シリカに対する親水性高分子結着材の重量比は0.25〜0.5であるのが更に好ましい。
前記下塗層の被覆量は、10mg/mより大であることが好ましく、また5000mg/m未満であることが好ましい。更に好ましくは50mg/m〜3000mg/mである。
前述した下塗層組成物の被覆は、所望によって界面活性剤の存在下に、水性コロイド分散液から行うのが好ましい。
[その他の層]
支持体の裏面には、必要に応じてバックコートが設けられる。かかるバックコートとしては特開平5−45885号公報に記載の有機高分子化合物及び特開平6−35174号公報に記載の有機又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。これらの被覆層のうち、Si(OCH、Si(OC、Si(OC、Si(OC等のケイ素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから得られる金属酸化物の被覆層が親水性に優れており特に好ましい。
[支持体]
本発明に使用される支持体としては、特に制限はないが、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート若しくは蒸着された、紙若しくはプラスチックフィルム等が挙げられる。本発明の支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましい。
本発明に使用される好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.8mmである。
本発明では、以下に述べるように支持体表面が粗面化されていることが好ましい。
支持体表面に粗面を設けるためには、公知の様々な手段を採用することができる。例えば、支持体表面をサンドブラスト加工やブラシ加工などで機械的にこすり、表面を削って凹部を形成し、粗面を設けることができる。また、機械的エンボス加工でも凹凸を設けることができる。さらに、グラビア印刷などで表面に凸部を形成して粗面を設けてもよい。固体微粒子(マット剤)を含有する層を、塗布あるいは印刷のような手段で支持体表面に粗面を設けてもよい。固体微粒子は、高分子フィルムを作製する段階で高分子フィルム中に含有させ(内添し)、高分子フィルム表面に凹凸を形成することもできる。さらに、溶剤処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、X線照射処理等を用いて粗面を形成することもできる。以上の手段を組み合わせて実施してもよい。サンドブラスト加工もしくは樹脂の印刷により粗面を形成する手段もしくは固体微粒子を添加して凹凸を形成する手段が、特に好ましく実施できる。
支持体として特にアルミニウム板を利用する場合、粗面化処理、陽極酸化処理等の表面処理を施すのが好ましい。表面処理により画像記録層と支持体との密着性の確保が容易になる。アルミニウム板を粗面化処理するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための界面活性剤、有機溶剤、アルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理(電気化学的に表面を溶解させる粗面化処理)、化学的粗面化処理(化学的に表面を選択溶解させる粗面化処理)が挙げられる。
機械的粗面化処理の方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、アルミニウムの圧延段階において凹凸を設けたロールで凹凸形状を転写する転写法も用いてもかまわない。
電気化学的粗面化処理の方法としては、例えば、塩酸、硝酸等の酸を含有する電解液中で交流または直流により行う方法が挙げられる。また、特開昭54−63902号公報に記載されているような混合酸を用いる方法も挙げられる。
粗面化処理されたアルミニウム板は、必要に応じて、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液を用いてアルカリエッチング処理を施され、更に、中和処理された後、所望により、陽極酸化処理を施される。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成させる種々の電解質の使用が可能である。一般的には、硫酸、塩酸、シュウ酸、クロム酸またはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変わるので一概に特定することはできないが、一般的には、電解質濃度1〜80質量%溶液、液温5〜70℃、電流密度5〜60A/dm、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分であるのが好ましい。形成される陽極酸化皮膜の量は、1.0〜5.0g/mが好ましく、1.5〜4.0g/mがより好ましい。
[製版方法]
次に、この平版印刷版用原版の製版方法について説明する。この平版印刷版用原版は、例えば、熱記録ヘッド等により直接画像様に感熱記録を施すことができる。また、波長760〜1200nmの赤外線を放射する固体レーザー又は半導体レーザー、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ光や赤外線ランプ露光などの光熱変換型の露光も用いることができる。
画像の書き込みは、面露光方式、走査方式のいずれでもよい。前者の場合は、赤外線照射方式や、キセノン放電灯の高照度の短時間光を原版上に照射して光・熱変換によって熱を発生させる方式である。赤外線灯などの面露光光源を使用する場合には、その照度によっても好ましい露光量は変化するが、通常は、印刷用画像で変調する前の面露光強度が0.05〜10J/cmの範囲であることが好ましく、0.1〜1J/cmの範囲であることがより好ましい。支持体が透明である場合は、支持体の裏側から支持体を通して露光することもできる。その露光時間は、0.01〜1msec、好ましくは0.01〜0.1msecの照射で上記の露光強度が得られるように露光照度を選択するのが好ましい。照射時間が長い場合には、熱エネルギーの生成速度と生成した熱エネルギーの拡散速度の競争関係から露光強度を増加させる必要が生じる。
後者の場合には、赤外線成分を多く含むレーザー光源を使用して、レーザービームを画像で変調して原版上を走査する方式が行われる。レーザー光源の例として、半導体レーザー、ヘリウムネオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、YAGレーザーを挙げることができる。レーザー出力が0.1〜300Wのレーザーで照射をすることができる。また、パルスレーザーを用いる場合には、ピーク出力が1000W、好ましくは2000Wのレーザーを照射するのが好ましい。この場合の露光量は、印刷用画像で変調する前の面露光強度が0.05〜10J/cmの範囲であることが好ましく、0.05〜1J/cmの範囲であることがより好ましい。支持体が透明である場合は、支持体の裏側から支持体を通して露光することもできる。
平版印刷版を製版する際、画像露光したのち、更に必要であれば非画像部を保護するために、版面保護剤(いわゆる、ガム液)を含んだ整面液を塗布する「ガム引き」といわれる工程が行なわれることが多いが、本発明の方法で製造した平版印刷用原版は、機上で簡易に製版して印刷できるので、整面液の処理は必要がないが、湿し水処理に代えて整面液処理してもよい。整面液処理は、平版印刷版の親水性表面が空気中の微量混入成分の影響を受けて親水性が低下するのを防ぐため、非画像部の親水性を高めるため、製版後印刷するまでの期間又は印刷を中断してから再び開始するまでの間に平版印刷版が劣化するのを防止するため、印刷機に取りつける場合などのように平版印刷版を取り扱う時に指の油、インキなどが付着して非画像がインキ受容性となって、汚れるのを防止するため、更に、平版印刷版を取り扱う時に非画像部及び画像部に傷が発生することを防止するため、などの種々の目的をもって行われる。
本発明に使用される皮膜形成性を有する水溶性樹脂の好ましい具体例としては、例えばアラビアガム、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルローズ、カルボキシエチルセルローズ、メチルセルローズ等)及びその変性体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド及びその共重合体、アクリル酸共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、焙焼デキストリン、酸素分解デキストリン、酵素分解エーテル化デキストリン等が挙げられる。
整面液中の保護剤中の上記水溶性樹脂の含有量は、3〜25質量%が適当であり、好ましい範囲は10〜25質量%である。なお、本発明においては上記水溶性樹脂を2種以上混合使用しても良い。
平版印刷版用版面保護剤には、そのほかに種々の界面活性剤を添加してもよい。使用できる界面活性剤としてはアニオン界面活性剤又はノニオン界面活性剤が挙げられる。アニオン界面活性剤としては脂肪族アルコール硫酸エステル塩類、脂酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レプリン酸、有機スルホン酸などがあり、鉱酸としては硝酸、硫酸、燐酸等が有用である。鉱酸、有機酸又は無機塩等の少なくとも1種もしくは2種以上併用してもよい。
上記成分の他必要により湿潤剤としてグリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール等の低級多価アルコールも使用することができる。これら湿潤剤の使用量は保護剤中に0.1〜5.0質量%が適当であり、好ましい範囲は0.5〜3.0質量%である。以上の他に本発明の平版印刷版用版面保護剤には、防腐剤などを添加することができる。例えば安息香酸及びその誘導体、フェノール、ホルマリン、デヒドロ酢酸ナトリウム等を0.005〜2.0質量%の範囲で添加できる。版面保護剤には消泡剤を添加することもできる。好ましい消泡剤には有機シリコーン化合物が含まれ、その添加量は0.0001〜0.1質量%の範囲が好ましい。
以下の実施例において、乾燥固形分比は、試料溶液約1gを秤量するとともに、120℃で、1時間乾燥後の試料を秤量し、その質量比により求めた。酸価は、所定量の試料溶液を秤量し、濃度既知の水酸化カリウムのメタノール溶液で滴定して求めた。粒径は、堀場製作所(株)レーザー粒度分布計LA−910で測定した。ポリマーのTgは、メトラー・トレド(株)製Starシステム示差走査熱量測定装置で測定した。
[実施例1]
(アルミニウム支持体の作成)
厚み0.24mmのアルミニウム板(材質1050)を、ナイロンブラシと400メッシュのパミストン水懸濁液を用いてその表面を砂目立てし、水でよく洗浄した。この板を15%水酸化ナトリウム水溶液に浸してエッチングをした後、水洗した。更に1%硝酸で中和し、次に0.7%硝酸水溶液中で矩形波交番波形電流を用い、160クーロン/dmの陽極時電気量で電界粗面化処理を行った。水洗後、10%水酸化ナトリウム水溶液中に浸してエッチングした後、水洗した。次に30%硫酸水溶液中に浸してデスマットした後、水洗した。更に、20%硫酸水溶液中で直流電流を用いて陽極酸化処理を行い、酸化皮膜量2.7g/mとした。更に、ケイ酸ナトリウム0.5重量%水溶液を用いて30℃で10秒間処理し、アルミニウム支持体を得た。
(下塗り層の形成)
下記組成の塗布液を調整し、上記のアルミニウム基板上に、0.5g/m厚の下塗り層を塗布して下塗り層を形成した。
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下塗り層組成
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メタノールシリカ(日産化学(株)製30wt%メタノール分散液) 4g
イソプロピルアルコール 21.1g
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(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレン5.3g、ポリメチルメタクリレート(平均分子量15000、Aldrich社製、Tg=112℃)5.3g、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアナートとの付加物(大日本インキ(株)製バーノックD−750)2g、下記赤外線吸収染料(1)1.5g、パイオニンA−41C(竹本油脂(株)界面活性剤)0.1gを、酢酸エチル18.4gに溶解した。水相成分としてPVA205(クラレ製ポリビニルアルコール)の4質量%水溶液37.5gを調製した。油相成分及び水相成分を、ホモジナイザーを用い12000rpmで10分間乳化した。その後精製水26gを添加し、65℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセルを精製水で、固形分濃度が15質量%となるよう希釈した。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.3μmであった。
Figure 2006240170
(末端にシランカップリング基を有する親水性ポリマーの合成)
三口フラスコにアクリルアミド25g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン3.5g、ジメチルホルムアミド51.3gを入れて窒素気流下、65℃まで加熱し、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.25g添加し、反応を開始した。6時間攪拌した後、室温まで戻して酢酸エチル1.5L中に投入したところ固体が析出した。その後、濾過を行い、十分酢酸エチルで洗浄し、乾燥を行った(収量21g)。GPC(ポリスチレン標準)により、5000の質量平均分子量を有するポリマーであることを確認した。
(ゾル−ゲル液の調製)
エチルアルコール19.2g、アセチルアセトン0.86g、オルトチタン酸テトラエチル0.98g、精製水8.82g中にテトラメトキシシラン(東京化成工業(株)製)1.04g、合成した末端にシランカップリング基を有する親水性ポリマー0.34gを60℃で2時間攪拌して混合した。その後、室温まで徐冷してゾル−ゲル液とした。
(親水性層の形成)
下記組成からなる水系塗布液を調製し、バーコーターにて、上記支持体上に乾燥膜質量が3.0g/mになるように塗布を行い、次いでオーブンにて80℃で10分乾燥を行い、親水性層を形成し、平版印刷版を得た。
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親水性層塗布液組成
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コロイダルシリカ(日産化学(株)製、スノーテックスC、20%H2O)
0.69g
上記ゾル−ゲル液 4.9g
アニオン系界面活性剤(日光ケミカルズ社製、ニッコールOTP−100Sの5%水溶液) 0.31g
下記の重合開始剤(1) 0.08g
15質量%マイクロカプセル水分散液 5.2g
精製水 4.2g
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Figure 2006240170
(印刷および評価)
印刷機にRYOBI3200MCDを用い、湿し水にEU−3(富士写真フイルム(株)製)の1容量%水溶液を用い、インキは、大日本インキ(株)製GEOS(N)墨を用いて印刷した。
皮膜の接触角、地汚れ性および感度を、以下のように評価した。
皮膜の接触角は、得られた印刷版に対し、協和界面科学(株)製contact analyzer CA-D接触角測定機を用い、空中水滴法で水滴に対する接触角を、水滴滴下後10秒後に測定した。測定は、未露光部と、露光部として200mJ/cmで露光したベタ部とを用いて行った。接触角が10°未満である場合は「拡張濡れ」として表記した。
地汚れ性は、通常のインキ/湿し水のバランス量よりも湿し水を絞り(水メモリ3以下)、そのときの非画像部におけるインキの印刷面への付着の程度を下記の3段階で官能評価した。
A:地汚れが全く認められなかった
B:微かに地汚れが認められた
C:激しく地汚れが認められた
印刷用原版を露光して印刷版を作成する際、16ミクロンの細線が再現される版面エネルギーを感度とした。ただし、版面エネルギー400mJ/cmで露光しても16ミクロン細線が再現されないものは「画像形成せず」とした。
以上の結果を第1表に示す。
[実施例2]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレンを用いる代わりにn−オクタンを用いる以外は、実施例1と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.4μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[実施例3]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレンを用いる代わりにグリシジルメタクリレートを用いる以外は、実施例1と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.3μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[実施例4]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレンを用いる代わりにトリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート(東亜合成(株)製、M−315)を用いる以外は、実施例1と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.4μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[実施例5]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレン7.4g、ポリメチルメタクリレート(平均分子量15000、Aldrich社製、Tg=112℃)3.2g、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアナートとの付加物(大日本インキ(株)製バーノックD−750)2g、赤外線吸収染料(1)1.5g、パイオニンA−41C(竹本油脂(株)界面活性剤)0.1gを、酢酸エチル18.4gに溶解した。水相成分としてPVA205(クラレ製ポリビニルアルコール)の4質量%水溶液37.5gを調製した。油相成分及び水相成分を、ホモジナイザーを用い12000rpmで10分間乳化した。その後精製水26gを添加し、65℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセルを精製水で、固形分濃度が15質量%となるよう希釈した。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.2μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[実施例6]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレンを用いる代わりにグリシジルメタクリレートを用いる以外は、実施例5と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.3μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[実施例7]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレン5.6g、ポリメチルメタクリレート(平均分子量15000、Aldrich社製、Tg=112℃)5.6g、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアナートとの付加物(大日本インキ(株)製バーノックD−750)1.5g、赤外線吸収染料(1)1g、パイオニンA−41C(竹本油脂(株)界面活性剤)0.1gを、酢酸エチル18.4gに溶解した。水相成分としてPVA205(クラレ製ポリビニルアルコール)の4質量%水溶液37.5gを調製した。油相成分及び水相成分を、ホモジナイザーを用い12000rpmで10分間乳化した。その後精製水26gを添加し、65℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセルを精製水で、固形分濃度が15質量%となるよう希釈した。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.2μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[実施例8]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレンを用いる代わりにn−オクタンを用いる以外は、実施例7と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.3μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[実施例9]
油相成分として、スチレンを用いる代わりにグリシジルメタクリレートを用いる以外は、実施例7と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.3μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[実施例10]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレンを用いる代わりにトリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート(東亜合成(株)製、M−315)を用いる以外は、実施例7と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.4μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[実施例11]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレン5.8g、ポリメチルメタクリレート(平均分子量15000、Aldrich社製、Tg=112℃)5.8g、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアナートとの付加物(大日本インキ(株)製バーノックD−750)0.9g、赤外線吸収染料(1)1g、パイオニンA−41C(竹本油脂(株)界面活性剤)0.1gを、酢酸エチル18.4gに溶解した。水相成分としてPVA205(クラレ製ポリビニルアルコール)の4質量%水溶液37.5gを調製した。油相成分及び水相成分を、ホモジナイザーを用い12000rpmで10分間乳化した。その後精製水26gを添加し、65℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセルを精製水で、固形分濃度が15質量%となるよう希釈した。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.2μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[実施例12]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレンを用いる代わりにトリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート(東亜合成(株)製、M−315)を用いる以外は、実施例11と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.3μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[実施例13]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレン6.0g、ポリメチルメタクリレート(平均分子量15000、Aldrich社製、Tg=112℃)6.0g、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアナートとの付加物(大日本インキ(株)製バーノックD−750)0.3g、赤外線吸収染料(1)1g、パイオニンA−41C(竹本油脂(株)界面活性剤)0.1gを、酢酸エチル18.4gに溶解した。水相成分としてPVA205(クラレ製ポリビニルアルコール)の4質量%水溶液37.5gを調製した。油相成分及び水相成分を、ホモジナイザーを用い12000rpmで10分間乳化した。その後精製水26gを添加し、65℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセルを精製水で、固形分濃度が15質量%となるよう希釈した。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.3μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[実施例14]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレンを用いる代わりにトリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート(東亜合成(株)製、M−315)を用いる以外は、実施例13と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.2μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[実施例15]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、ポリメチルメタクリレート(平均分子量15000、Aldrich社製、Tg=112℃)を用いる代わりにポリビニルフェノール(平均分子量8000、Aldrich社製、Tg=130〜185℃)を用いる以外は、実施例1と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.3μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[実施例16]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、ポリメチルメタクリレートを用いる代わりにエピコート1001(ジャパンエポキシレジン(株)製)を用いる以外は、実施例1と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.3μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[実施例17]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、ポリメチルメタクリレートを用いる代わりにポリスチレン(平均分子量13000、Aldrich社製、Tg=100℃)を用いる以外は、実施例1と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.1μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[実施例18]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、ポリメチルメタクリレートを用いる代わりにポリビニルアセテート(平均分子量12800、Aldrich社製、Tg=30℃)を用いる以外は、実施例1と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.3μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[実施例19]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレンを用いる代わりにn−オクタンを用いる以外は、実施例15と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.3μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[実施例20]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレンを用いる代わりにジ(アクリロイルオキシエチル)(2−ヒドロキシルエチル)イソシアヌレート(東亞合成(株)製、M−215)を用いる以外は、実施例15と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.2μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[実施例21]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、ポリメチルメタクリレート(平均分子量15000、Aldrich社製、Tg=112℃)を用いる代わりにポリビニルフェノール(平均分子量8000、Aldrich社製、Tg=130〜185℃)を用いる以外は、実施例7と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.3μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[実施例22]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレンを用いる代わりにn−オクタンを用いる以外は、実施例21と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.1μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[実施例23]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレンを用いる代わりにジ(アクリロイルオキシエチル)(2−ヒドロキシルエチル)イソシアヌレート(東亞合成(株)製、M−215)を用いる以外は、実施例21と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.3μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[比較例1]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレン3g、ポリメチルメタクリレート(平均分子量15000、Aldrich社製、Tg=112℃)3g、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアナートとの付加物(大日本インキ(株)製バーノックD−750)8g、赤外線吸収染料(1)1.5g、パイオニンA−41C(竹本油脂(株)界面活性剤)0.1gを、酢酸エチル18.4gに溶解した。水相成分としてPVA205(クラレ製ポリビニルアルコール)の4質量%水溶液37.5gを調製した。油相成分及び水相成分を、ホモジナイザーを用い12000rpmで10分間乳化した。その後精製水26gを添加し、65℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセルを精製水で、固形分濃度が15質量%となるよう希釈した。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.3μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[比較例2]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレンを用いる代わりにn−オクタンを用いる以外は、比較例1と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.3μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[比較例3]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレンを用いる代わりにグリシジルメタクリレートを用いる以外は、比較例1と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.3μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[比較例4]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレンを用いる代わりにトリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート(東亜合成(株)製、M−315)を用いる以外は、比較例1と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.4μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[比較例5]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、ポリメチルメタクリレート(平均分子量15000、Aldrich社製、Tg=112℃)を用いる代わりにポリビニルフェノール(平均分子量8000、Aldrich社製、Tg=130〜185℃)を用いる以外は、比較例1と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.3μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[比較例6]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレンを用いる代わりにジ(アクリロイルオキシエチル)(2−ヒドロキシルエチル)イソシアヌレート(東亞合成(株)製、M−215)を用いる以外は、比較例5と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.2μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[比較例7]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレン11.3g、赤外線吸収染料(1)1.5g、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアナートとの付加物(大日本インキ(株)製バーノックD−750)1g、パイオニンA−41C(竹本油脂(株)界面活性剤)0.1gを、酢酸エチル18.4gに溶解した。水相成分としてPVA205(クラレ製ポリビニルアルコール)の4質量%水溶液37.5gを調製した。油相成分及び水相成分を、ホモジナイザーを用い12000rpmで10分間乳化した。その後精製水26gを添加し、65℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセルを精製水で、固形分濃度が15質量%となるよう希釈した。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.2μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[比較例8]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレンを用いる代わりにn−オクタンを用いる以外は、比較例7と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.4μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[比較例9]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレンを用いる代わりにグリシジルメタクリレートを用いる以外は、比較例7と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.2μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[比較例10]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレンを用いる代わりにトリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート(東亜合成(株)製、M−315)を用いる以外は、比較例7と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.3μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
[比較例11]
(マイクロカプセル液の調製)
油相成分として、スチレンを用いる代わりにジ(アクリロイルオキシエチル)(2−ヒドロキシルエチル)イソシアヌレート(東亞合成(株)製、M−215)を用いる以外は、比較例7と同様にしてマイクロカプセル分散液を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.3μmであった。
調製したマイクロカプセル分散液を用いた以外は、実施例1と同様に平版印刷用原版を作成して、評価した。結果を第1表に示す。
第1表(その1)
────────────────────────────────────────
印刷 疎水性化合物 コアポリマー シェ 接触角 地汚 感度
原版 種類 量 種類 量 ΔSP ル% 未露光部 露光部 れ性 *1
────────────────────────────────────────
実1 1 35 a 35 0.2 10 拡張濡れ 91 A 150
実2 2 35 a 35 1.8 10 拡張濡れ 89 A 150
実3 3 35 a 35 2.1 10 拡張濡れ 86 A 150
実4 4 35 a 35 4.0 10 拡張濡れ 87 A 200
実5 1 46.7 a 23.3 0.2 10 拡張濡れ 101 A 150
実6 3 46.7 a 23.3 2.1 10 拡張濡れ 88 A 200
実7 1 32.5 a 32.5 0.2 5 拡張濡れ 90 A 150
実8 2 32.5 a 32.5 1.8 5 拡張濡れ 92 A 150
実9 3 32.5 a 32.5 2.1 5 13 85 A 150
実10 4 32.5 a 32.5 4.0 5 12 84 A 200
実11 1 38.5 a 38.5 0.2 3 拡張濡れ 91 A 150
実12 4 38.5 a 38.5 4.0 3 12 88 A 150
実13 1 39.5 a 39.5 0.2 1 11 92 A 150
実14 4 39.5 a 39.5 4.0 1 14 90 A 150
実15 1 35 b 35 2.7 10 拡張濡れ 98 A 150
実16 1 35 c 35 3.6 10 拡張濡れ 96 A 150
実17 1 35 d 35 0.2 10 拡張濡れ 101 A 150
実18 1 35 e 35 0.1 10 拡張濡れ 91 A 150
実19 2 35 b 35 4.7 10 拡張濡れ 79 A 200
実20 5 35 b 35 2.8 10 11 84 A 200
実21 1 32.5 b 32.5 2.7 5 14 100 A 150
実22 2 32.5 b 32.5 4.7 5 13 95 A 200
実23 5 32.5 b 32.5 2.8 5 14 96 A 200
────────────────────────────────────────
第1表(その2)
────────────────────────────────────────
印刷 疎水性化合物 コアポリマー シェ 接触角 地汚 感度
原版 種類 量 種類 量 ΔSP ル% 未露光部 露光部 れ性 *1
────────────────────────────────────────
比1 1 20 a 20 0.2 40 拡張濡れ 65 A 350
比2 2 20 a 20 1.8 40 拡張濡れ 58 A 350
比3 3 20 a 20 2.1 40 拡張濡れ 41 A 400
比4 4 20 a 20 4.0 40 拡張濡れ 36 A *2
比5 1 20 b 20 2.7 40 11 48 A 350
比6 5 20 b 20 2.8 40 拡張濡れ 21 A *2
比7 1 75 なし − − 5 44 100 B *3
比8 2 75 なし − − 5 31 110 B *3
比9 3 75 なし − − 5 40 89 B *3
比10 4 75 なし − − 5 39 88 C *3
比11 5 75 なし − − 5 21 95 C *3
────────────────────────────────────────
(註)
△SP: 疎水性化合物のSP値と熱可塑性疎水性ポリマーのSP値との差の絶対値
コアポリマーa:ポリメチルメタクリレート(平均分子量15000、Aldrich社製、SP値:9.1)
コアポリマーb:ポリビニルフェノール(平均分子量8000、Aldrich社製、SP値:12.0)
コアポリマーc:エピコート1001(ジャパンエポキシレジン(株)製、SP値:12.9)
コアポリマーd:ポリスチレン(平均分子量13000、Aldrich社製、SP値:9.1)
コアポリマーe:ポリビニルアセテート(平均分子量12800、Aldrich社製、SP値:9.4)
疎水性化合物1:スチレン(SP値:9.3)
疎水性化合物2:n−オクタン(SP値:7.3)
疎水性化合物3:グリシジルメタクリレート(SP値:11.2)
疎水性化合物4:トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート(SP値:13.1)
疎水性化合物5:ジ(アクリロイルオキシエチル)(2−ヒドロキシルエチル)イソシアヌレート(SP値:14.8)
*1: mJ/cm
*2: 画像形成せず
*3: 地汚れのため判別不可

Claims (7)

  1. 粒子と光熱変換剤とを含む親水性層および支持体を有する平版印刷用原版であって、該粒子が疎水性化合物とポリマーとを含むコアおよびポリマーを含むシェルからなるコア/シェル構造を有し、該粒子のシェルの割合が粒子全体の1乃至10質量%の範囲であることを特徴とする平版印刷用原版。
  2. 疎水性化合物が重合性基を有し、親水性層がさらに重合開始剤を含む請求項1に記載の平版印刷用原版。
  3. コアに含まれるポリマーが、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ポリウレタン、ポリウレア、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルまたはシリコーンを主鎖として有するポリマーである請求項1に記載の平版印刷用原版。
  4. コアに含まれるポリマーが、疎水性化合物の10乃至200質量%の量である請求項1に記載の平版印刷用原版。
  5. シェルに含まれるポリマーが、ポリウレタンまたはポリウレアを主鎖として有するポリマーである請求項1に記載の平版印刷用原版。
  6. 光熱変換剤が粒子に含まれている請求項1に記載の平版印刷用原版。
  7. 粒子がマイクロカプセルである請求項1に記載の平版印刷用原版。
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