JP2006239609A - 中空糸膜モジュールの運転方法 - Google Patents

中空糸膜モジュールの運転方法 Download PDF

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Abstract

【課題】空気洗浄による膜表面の擦過を低減させながら、効率的な洗浄を可能とする中空糸膜モジュールの運転方法を提供すること。
【解決手段】固液混合の原水を中空糸膜モジュールに供給してろ過するろ過工程と、ろ過を停止した後中空糸膜の付着物を除去する洗浄工程とが各1つ含まれた単位工程が、1個または複数個の群として構成され、当該構成された群が繰り返し実行される中空糸膜の運転方法であって、1単位工程の洗浄工程中に中空糸膜に通じた空気の量を空気洗浄強度、前記1つの群の中で行われる各洗浄工程の空気洗浄強度の平均値の1.5倍以上の空気洗浄強度である洗浄工程を洗浄工程Aとしたとき、前記洗浄工程Aにおける空気洗浄強度の平均値は前記空気洗浄工程A以外の洗浄工程における空気洗浄強度の平均値の2〜50倍であり、当該1つの群に含まれる洗浄工程の総数に対する洗浄工程Aの割合が1〜50%であることを特徴とする中空糸膜モジュールの運転方法。
【選択図】図5

Description


本発明は、中空糸膜モジュールの運転方法に関するものである。
膜分離法は、省エネルギー、省スペース、省力化および製品の品質向上等の特徴を有するため、様々な分野での使用が拡大している。例えば精密ろ過膜や限外ろ過膜を河川水や地下水や下水処理水から工業用水や水道水を製造する浄水プロセスへの適用があげられる。
しかし、原水を膜ろ過すると、原水に含まれる濁質や有機物等の除去対象物が膜面に蓄積し、膜の閉塞現象が起こるため、膜のろ過抵抗が上昇し、やがてろ過を行うことができなくなる。そこで膜ろ過性能を維持するため、膜の洗浄を行う必要がある。膜の洗浄には膜ろ過水を膜の2次側から逆流させる逆流洗浄や、気体を供給して膜の汚れを取る空気洗浄がある。空気洗浄は中空糸膜に蓄積した濁質の排除に有効な手段であり、中空糸膜のろ過運転を安定に行うためには欠かせないものであるが、蓄積した濁質に無機成分等比較的堅い物質が含まれると、空気洗浄時濁質成分と中空糸膜表面が擦れて擦過し、膜表面の細孔が潰れることにより細孔が閉塞し、中空糸膜のろ過性能が著しく低下するという現象がみられる。このため長期間にわたり膜ろ過装置を安定に運転するためには、膜の擦過を抑えることが重要な因子となる。
この問題を解決するため、特許文献1には空気洗浄時の空気流量を最適な一定量にすることが開示されている。しかし、この最適値範囲で空気洗浄を行った場合でもその膜の擦過を抑えるのには十分では無く、長期間運転するうちに膜性能が低下してしまうという問題があった。さらに特許文献2には、洗浄工程時に短時間の空気洗浄を行い、一旦剥がれた濁質排水をモジュール系外に一部または全量排出し、その後続けて長時間の空気洗浄を行うことによって膜の擦過を抑える方法が開示されているが、このような運転方法では、濁質の排出を2回行うため排水の量が増えてしまい、かつ洗浄工程の時間が長くなるため、結果的にろ過を行う時間が短くなってしまい、装置のろ過時間が下がるといった問題があった。特許文献3には洗浄工程において空気洗浄を1日に1度から1週間に1度実施し、それ以外では逆流洗浄や濁質の排出のみ行う方法が記載されているが、この方法では空気洗浄を行わない期間が長く、高濁度の原水や膜への付着性の高い濁質を含む原水の場合、洗浄が不十分となり、膜の目詰まりが起こるといった問題があった。
特開平9−72993号公報 特開平4−110023号公報 特開平7−275671号公報
本発明の目的は、空気洗浄による膜表面の擦過を低減させながら、効率的な洗浄を可能とする中空糸膜モジュールの運転方法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、次の特徴とするものである。
(1)固液混合の原水を中空糸膜モジュールに供給してろ過するろ過工程と、ろ過を停止した後中空糸膜の付着物を除去する洗浄工程とが各1つ含まれた単位工程が、1個または複数個の群として構成され、当該構成された群が繰り返し実行される中空糸膜の運転方法であって、1単位工程の洗浄工程中に中空糸膜に通じた空気の量を空気洗浄強度、前記1つの群の中で行われる各洗浄工程の空気洗浄強度の平均値の1.5倍以上の空気洗浄強度である洗浄工程を洗浄工程Aとしたとき、前記洗浄工程Aにおける空気洗浄強度の平均値は前記空気洗浄工程A以外の洗浄工程における空気洗浄強度の平均値の2〜50倍であり、当該1つの群に含まれる洗浄工程の総数に対する洗浄工程Aの割合が1〜50%であることを特徴とする中空糸膜モジュールの運転方法。
(2)原水に凝集剤を含むことを特徴とする(1)に記載の中空糸膜モジュールの運転方法。
(3)原水が下水処理水であることを特徴とする(1)に記載の中空糸膜モジュールの運転方法。
本発明によれば以下に説明するとおり、空気洗浄による膜表面の擦過を低減させながら、効率的な洗浄を可能とする。
固液混合の原水を中空糸膜に供給し、膜によって固液分離を行い膜ろ過水を得る操作を行うと、膜に濁質が蓄積し膜ろ過差圧が上昇するため、定期的な膜の洗浄を行う必要がある。膜の洗浄には、膜ろ過を停止し水中にある中空糸膜に気体を供給して中空糸膜を振動させることにより、膜表面に付着した汚れを剥ぎ取る空気洗浄や、中空糸膜のろ過方向とは逆方向からろ過水あるいは清澄水をポンプ等で逆流させる逆流洗浄や、空気洗浄や逆流洗浄によって剥がれた濁質を効率良くモジュール系外に排出するために、モジュール内の水を全量をモジュール系外に排出したり、一定量の原水を供給することによって濁質排液を系外に押し出す方法が行われている。前記原水を膜ろ過する工程をろ過工程と呼び、空気洗浄や逆流洗浄、濁質の排出等全ての洗浄操作を一連の工程を一括して洗浄工程と呼ぶ。ここでろ過工程と洗浄工程を1回ずつ行うことを1単位工程と呼び、通常中空糸膜モジュールの運転では、この単位工程を繰り返し、あるいはいくつかの条件等が異なった単位工程を組み合わせて1つの群とし、これを繰り返して実行する方法が一般的である。
この1単位工程の概念図を図1に示す。図1で1単位工程とはろ過工程1回と洗浄工程1回を組み合わせたものを言う。最も単純で一般的に行われている例としては、図1の洗浄工程において毎回同じ条件で洗浄を行い、洗浄工程の後再びろ過工程に戻る1単位工程を繰り返す態様が挙げられる。
次に、図2に様々な種類の洗浄工程を組み合わせた膜ろ過運転の群を示す。図2では洗浄工程として任意のN種類の洗浄条件が存在し、N回の単位工程を行う。ここでN種類の洗浄工程における洗浄条件は全て異なる必要は無く、ある数値で任意に決められたものや、任意の計算式によって求められる条件であってもかまわない。これらの洗浄条件は通常装置に内蔵されたPLC(プログラマブルコントローラー)にあらかじめ記録させ自動的に実行することが一般的であり、設計者により運転開始時に決められた値となるのが一般的である。
本発明に係る運転方法を、図3の中空糸膜ろ過装置フロー図により示す。図3は本発明に使用される膜ろ過装置フローの一例を示す。
従来から実施されていた運転方法は、1)原水入り口4から原水を導入し、中空糸膜モジュール1でろ過することで透過水出口2から透過水を取り出すろ過工程と、2)(1)原水の供給を停止し、中空糸膜モジュールの下部のエア供給口5からエアを導入することで中空糸膜面に付着した蓄積物を除去する空気洗浄や、(2)中空糸膜のろ過方向とは逆方向からろ過水をポンプで透過水出口2から逆流させる逆流洗浄や、(3)これら空気洗浄や逆流洗浄によって剥がれた濁質を効率良くモジュール系外に排出するために、モジュール内の全量または一部をモジュール系外にエア供給口5より排出する方法や、(4)一定量の原水を原水入り口4より供給することによって濁質をエア抜き口3より系外に押し出すフラッシングを行う方法等、これらを組み合わせた洗浄工程からなるものであった。
従来は前記空気洗浄において、一定の空気流量でかつ一定の時間、気体を供給することにより洗浄を行っていた。このような空気洗浄を頻繁に行うと膜の擦過が進み、やがて膜性能の低下がおこる。このような問題を解決すべく、空気洗浄の方法について鋭意検討行った結果、洗浄工程時に実施する空気洗浄についての下記1)で表される空気洗浄強度について、下記2)で示される洗浄工程Aの空気洗浄強度の平均値が、前記洗浄工程A以外の洗浄工程Bの空気洗浄強度の平均値よりも2〜50倍強く、かつ、当該1つの群に含まれる洗浄工程の総数に対する洗浄工程Aの割合(以下、適宜「洗浄工程Aの実施頻度」と称する。)が1〜50%であることを特徴とする中空糸膜モジュールの運転方法を着想し、具体化に至った。
1)空気洗浄強度=1単位工程の洗浄工程中に中空糸膜に通じた空気の量。
2)洗浄工程A=1つの群の中で行われる各洗浄工程の空気洗浄強度の平均値の1.5倍以上の空気洗浄強度である洗浄工程。
ここで、本発明における1つの群の中で行われる各洗浄工程とは、図2に示すように当該単位工程を含む全ての単位工程の洗浄工程のことである。
空気洗浄強度とは1単位工程の洗浄工程中に中空糸膜に通じた空気の量のことであり、1単位工程中の空気洗浄時間×中空糸膜モジュールあたりの空気流量で計算できる。また、空気洗浄時間や空気流量を洗浄工程中に変化させる場合はそれぞれの積算により計算でき、一例を図4に示す。図4は洗浄工程中における空気洗浄流量の経時変化を示す。かかる場合、空気洗浄強度は斜線で示された図の面積を足し合わせた値、すなわち、
Figure 2006239609
となる。
本発明者らはモジュール内に蓄積した濁質の洗浄性および膜に与える擦過のダメージは1単位工程あたりの空気洗浄の時間およびモジュール1本あたりの空気流量と相関があり、前記空気洗浄強度が非常に重要であることを明らかにした。一方、空気洗浄強度は膜に蓄積した濁質の除去にも大きな影響を示すため、空気洗浄強度を弱くして長期間運転を行うと、膜モジュールに徐々に濁質が蓄積し、やがて膜ろ過運転が不可能となるため、空気洗浄強度を変化させ、空気洗浄強度に強弱をつけることによって膜の擦過を抑えながら良好な洗浄を行うことにより、膜ろ過運転を安定化させることができる。これは次のような理由からなる。
まず膜に蓄積する濁質の多くは膜との接着力が比較的弱く、弱い空気洗浄強度の洗浄工程(洗浄工程B)でも簡単に除去することが可能である。しかし、濁質の中には比較的強固に膜表面に接着する物質があり、さらにモジュール内部では空気洗浄時に、中空糸膜がよく揺れて濁質がすぐに剥がれる部分と、反対にほとんど中空糸膜が揺れないため、強い空気洗浄強度の洗浄工程(洗浄工程A)を行わないと汚れが取れない部分が見られる。このことより、通常時においては弱い空気洗浄強度の洗浄工程(洗浄工程B)を行い簡単に剥離する汚れを除去し、かつ膜面の擦過を抑え、さらに一定期間毎に強い空気洗浄強度の洗浄工程(洗浄工程A)行うことによって、取れにくい汚れを除去する方法が優れているのである。
本発明の空気洗浄強度を変化させる方法を示す概念図を図5に示す。図5で各グラフは各洗浄工程時の空気洗浄強度を示す。洗浄工程Aは1つの群の中で行われる各洗浄工程の空気洗浄強度の平均値よりも1.5倍以上強い空気洗浄強度の空気洗浄を含む洗浄工程であり、それ以外の洗浄工程が洗浄工程Bとなる。
強い空気洗浄強度の洗浄工程(洗浄工程A)は1種類の洗浄方法であるとは限らない。例えば空気洗浄強度を変化させることも可能であるし、逆流洗浄と空気洗浄の順番を変更したり、濁質の排出方法を変えても差し支えはなく、同様に弱い空気洗浄強度の洗浄工程(洗浄工程B)も1種類の洗浄方法であるとは限らず、空気洗浄強度や洗浄方法を変えても差し支えはない。
強い空気洗浄強度の洗浄工程(洗浄工程A)の空気洗浄強度の平均値は、十分な洗浄性を有する必要があるという点から、洗浄工程Bの空気洗浄強度の平均値よりも2〜50倍強い空気洗浄強度で行うことが必要である。2倍以上としないと膜の洗浄性が十分で無いためであり、50倍より強くすると膜の擦過が進んだり、空気洗浄による膜の擦過や破損が起こるためである。かかる理由により、さらに、5〜25倍とする方が好ましい。
空気洗浄強度を変える場合、1単位工程あたりの空気洗浄の時間を変化させてもかまわないし、中空糸膜モジュールあたりの空気流量を変化させてもかまわないが、空気洗浄の時間と空気流量の両方を変化させるのがより好ましい。1単位工程あたりの空気洗浄時間は一般的に5秒〜300秒程度であるが、あまり空気洗浄時間を長くすると洗浄工程の時間が長くなり、結果的にろ過工程の時間が短くなり、装置あたりのろ過時間が低下するため好ましくない。また、弱い空気洗浄強度の洗浄工程(洗浄工程B)の空気洗浄時間を5秒〜30秒程度とし、強い空気洗浄強度の洗浄工程(洗浄工程A)の空気洗浄時間を45秒〜180秒程度とすると装置のろ過時間を長くできるという点からより好ましい。空気流量は膜モジュールの水平方向断面積の大きさや、垂直方向長さや、中空糸膜直径によっても異なるが、通常膜モジュール水平方向断面積あたり70〜400m/(m・h)とするのが好ましい。洗浄工程Aの空気流量は洗浄工程Bの空気流量より1.5倍以上とすることが好ましく、さらに2倍以上とする方がより好ましい。
また、前記に示された強い空気洗浄強度の洗浄工程(洗浄工程A)は、当該1つの群に含まれる洗浄工程の総数に対する割合を1〜50%とすることが必要である。これは50%より高い頻度で強い空気洗浄強度の洗浄工程(洗浄工程A)を行うと、膜の擦過を防止することができないためである。また1%より低い頻度で強い空気洗浄強度の洗浄工程(洗浄工程A)を行うと今度は膜に濁質の蓄積が進む可能性があるため好ましくない。かかる理由により、さらに、強い空気洗浄強度の洗浄工程(洗浄工程A)は、当該1つの群に含まれる洗浄工程の総数に対する割合を4〜20%とする方が好ましい。
洗浄工程において空気洗浄を行う頻度は50%以上とするとより好ましい。これは洗浄工程において逆流洗浄や濁質の排出といった方法のみでは取れない物質が数多く存在するためであり、空気洗浄を行わない洗浄工程を実施した場合には洗浄工程前後で膜ろ過性能の回復がほとんど見られない場合がある。このような場合膜ろ過差圧の上昇が顕著に起こるため、膜モジュール内に蓄積した濁質自身が圧密化し堅くなり、さらに他の濁質とくっついて大きくなり、次の単位工程の洗浄工程時に排除することが難しくなるためである。かかる理由から、洗浄工程において空気洗浄を行う頻度は90%以上とするほうがより好ましい。
本発明の固液混合の原水とは、河川水、湖沼水、地下水、下水二次処理水、工業排水、下水などである。
空気洗浄の洗浄効果が高いという点から、凝集剤を含んだ水を原水とした場合に本発明は絶大な効果を発揮する。凝集剤の種類としては、ポリ塩化アルミニウムやポリ硫酸アルミニウム、塩化第2鉄、ポリ鉄、硫酸第2鉄、ポリシリカ鉄、有機高分子凝集剤等が使用でき、さらに好ましくは凝集剤がポリ塩化アルミニウム等高分子凝集剤を含む凝集剤である場合より好ましい。これは凝集剤を含んだ濁質は比較的大きく、かつ高分子を含むと膜と凝集物の接着力が強くなるためであり、このような汚れ成分の除去には空気洗浄が必須であるからである。
また空気洗浄の効果が高いという点から、原水が下水処理水である場合より好ましい。ここで下水処理水とは、生活排水や屎尿排水を原水として生物処理や沈殿処理を行った後に排出される水を示す。下水処理水は比較的有機物を多く含む、汚れた原水であり、有機物は比較的膜との接着力が強いため、空気洗浄を効率的に行うことが非常に重要となるためである。
ここで膜モジュールとしては、外圧式でも内圧式であっても差し支えはないが、前処理の簡便さの観点から外圧式である方が好ましい。また膜ろ過方式としては全量ろ過型モジュールでもクロスフローろ過型モジュールであっても差し支えはないが、エネルギー消費量が少ないという点から全量ろ過型モジュールである方が好ましい。さらに加圧型モジュールであっても漬浸型モジュールであっても差し支えはないが、高流束が可能であるという点から加圧型モジュールで有る方が好ましい。
ここで、中空糸膜モジュールに使用する中空糸膜としては、多孔質の中空糸膜であれば特に限定しないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、およびクロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、酢酸セルロース、ポリビニルアルコールおよびポリエーテルスルホンやセラミック等の無機素材がらなる群から選ばれる少なくとも1種類を含んでいると好ましく、さらに膜強度の点からはポリフッ化ビニリデンがより好ましく、親水性が高く耐汚れ性が強いという点からはポリアクリロニトリルがより好ましい。中空糸膜表面の細孔径については特に限定されないが、0.001μm〜1μmの範囲内で便宜選択することができる。また、中空糸膜の外径についても特に限定されないが、中空糸膜の振動性が高く、洗浄性に優れるため250μm〜2000μmの範囲内であると好ましい。
ここで中空糸膜モジュールのろ過流量制御方法としては、定流量ろ過であっても定圧ろ過であっても差し支えはないが、ろ過水の生産水量の制御のし易さの点から定流量ろ過である方が好ましい。
本発明の目的を損なわない限りにおいて、洗浄工程時の空気洗浄は洗浄工程中のどのタイミングで実施されても差し支えはなく、具体的には逆流洗浄の前後または同時であってもかまわないし、濁質排出時と同時であっても差し支えはないし、原水を導入して濁質を排出する操作と同時であっても差し支えはない。また、逆流洗浄の効果を高めるため次亜塩素酸ナトリウムを逆流水に加えても差し支えはない。
ろ過工程は一定の長さであることが一般的であり、通常10分〜24時間程度であるが、運転効率と長期安定運転性の点から15分〜120分とする方が好ましい。原水水質や膜ろ過差圧の上昇値に応じて変化させても差し支えはないし、任意の計算方法によって算出しろ過時間を変化させても差し支えはない。
(実施例1)
外径680μm、内径400μm、平均孔径0.01μmのポリアクリロニトリル多孔質中空糸膜3500本からなる中空糸膜束をU字状に束ね、内径104mmの硬質塩化ビニールパイプのハウジング内に挿入して、片側を接着剤で固定し、その接着固定部の一部を切断して中空糸膜内部を開口させることで、長さ1100mm、膜面積12mの中空糸膜モジュールを作成した。当該中空糸膜モジュールを1本使用して図3に示したフローにて以下の条件で実験を行った。
湖沼水にベントナイト10mg/L、フミン酸5mg/Lを加えたものを原水とし、ろ過流速1.0m/(m・d)、全量ろ過方式かつ定圧ろ過方式、ろ過工程時間30分の後、逆流洗浄30秒、空気洗浄、膜モジュール内の原水側の水を全量排出、膜モジュール内の原水側を原水で満水とする順序で洗浄工程を行い、再びろ過工程に戻る単位工程を繰り返して運転を行った。逆洗水量は1回の逆洗で8Lとし、逆洗水に次亜塩素酸ナトリウムを3mg/Lとなるように注入した。空気洗浄は15秒間、空気流量10L/分の条件で9単位工程実施し、次の1単位工程では60秒間、空気流量30L/分の条件(当該洗浄工程(洗浄工程A)の空気洗浄強度の平均値は、空気洗浄強度の平均値(=5.3L)の5.7倍、洗浄工程Bの空気洗浄強度の平均値の12倍であり、洗浄工程Aの実施頻度は10%)で実施する群を繰り返して運転した。運転初期、膜差圧は25℃温度補正差圧で20kPaであり、1ヶ月間運転を行った後の膜差圧は25℃温度補正差圧で40kPaであり、安定した運転が可能であった。
運転終了後この中空糸膜モジュールを塩酸0.1Nにて2時間浸漬洗浄を行い、さらに次亜塩素酸ナトリウム700mg/Lにて2時間薬品洗浄を行ったところ、純水透水性能は初期値の98%まで回復した。この中空糸膜モジュールの解体を行い、膜面を電子顕微鏡にて観察したところ、膜表面の擦過はほとんど見られなかった。
(実施例2)
実施例1と空気洗浄方法以外の操作を同様の条件として実験を行った。空気洗浄は15秒間、空気流量10L/分の条件で23単位工程実施し、次の1単位工程では90秒間、空気流量40L/分の条件(当該洗浄工程(洗浄工程A)の空気洗浄強度の平均値は、空気洗浄強度の平均値(=4.9L)の12.3倍、洗浄工程Bの空気洗浄強度の平均値の24倍であり、洗浄工程Aの実施頻度は4.2%)で実施する群を繰り返して運転した。運転初期、膜差圧は25℃温度補正差圧で20kPaであり、1ヶ月間運転を行った後の膜差圧は25℃温度補正差圧で50kPaで運転が可能であった。
運転終了後この中空糸膜モジュールを実施例1と同様の方法で薬品洗浄を行ったところ、純水透水性能は初期値の96%まで回復した。この中空糸膜モジュールの解体を行い、膜面を電子顕微鏡にて観察したところ、膜表面の擦過はほとんど見られなかった。
(実施例3)
実施例1と空気洗浄方法以外の操作を同様の条件として実験を行った。空気洗浄は15秒間、空気流量10L/分の条件で4単位工程実施し、次の1単位工程では40秒間、空気流量20L/分の条件(当該洗浄工程(洗浄工程A)の空気洗浄強度の平均値は、空気洗浄強度の平均値(=4.7L)の2.9倍、洗浄工程Bの空気洗浄強度の平均値の約5.3倍であり、洗浄工程Aの実施頻度は20%)で実施する群を繰り返して運転した。運転初期、膜差圧は25℃温度補正差圧で20kPaであり、1ヶ月間運転を行った後の膜差圧は25℃温度補正差圧で50kPaで運転が可能であった。
運転終了後この中空糸膜モジュールを実施例1と同様の方法で薬品洗浄を行ったところ、純水透水性能は初期値の98%まで回復した。この中空糸膜モジュールの解体を行い、膜面を電子顕微鏡にて観察したところ、膜表面の擦過はほとんど見られなかった。
(比較例1)
実施例1と空気洗浄方法以外の操作を同様の条件として実験を行った。空気洗浄は洗浄工程において、毎回60秒間実施し、空気流量は30L/分とした(空気洗浄強度=30Lと一定)。3週間運転後、膜差圧は25℃温度補正差圧で40kPaであり、安定した運転が可能であったが、その後1週間で膜差圧が上昇し、25℃温度補正差圧で140kPaに達した。この中空糸膜モジュールを塩酸0.1Nにて2時間浸漬洗浄を行い、さらに次亜塩素酸ナトリウム700mg/Lにて2時間薬品洗浄を行ったが、純水透水性能は初期値の70%までしか回復しなかった。膜モジュールの解体を行い、膜面を電子顕微鏡にて観察したところ、膜表面の擦過が多くの箇所で見られた。
(比較例2)
実施例1と空気洗浄方法以外の操作を同様の条件として実験を行った。空気洗浄は洗浄工程において、毎回30秒間実施し、空気流量は10L/分(空気洗浄強度=5Lと一定)とした。運転開始から緩やかに膜ろ過差圧が上昇し、3週間後には膜差圧は25℃温度補正差圧で150kPaに達した。
(比較例3)
実施例1と空気洗浄方法以外の操作を同様の条件として実験を行った。空気洗浄は15秒間、空気流量10L/分の条件で199単位工程実施し、次の1単位工程では300秒間、空気流量50L/分の条件(当該洗浄工程(洗浄工程A)の空気洗浄強度の平均値は、空気洗浄強度の平均値(=3.7L)の66.9倍、洗浄工程Bの空気洗浄強度の平均値の100倍、洗浄工程Aの実施頻度は0.5%)で実施する群で運転した。2週間運転を行った後の膜差圧は25℃温度補正差圧で50kPaであり、運転は可能であったが、その後膜ろ過差圧が急激に上昇し、25℃温度補正差圧で150kPaに達した。運転終了後この中空糸膜モジュールの解体を行い観察したところ、膜モジュール内に多量の泥が付着していた。
(比較例4)
実施例1と原水条件と空気洗浄条件以外は同様の条件として実験を行った。原水は実施例1で使用した原水に急速攪拌中でポリ塩化アルミニウム10mg/Lを添加し、空気洗浄は2回の単位工程に1度の頻度で60秒間実施し、空気流量は20L/分(当該洗浄工程(洗浄工程A)の空気洗浄強度の平均値は、空気洗浄強度の平均値(=10L)の2倍、洗浄工程Bの空気洗浄強度の平均値は0、洗浄工程Aの実施頻度は50%)とした。運転開始から、膜ろ過差圧が上昇し、2週間後には25℃温度補正差圧で150kPaに達した。運転中、空気洗浄が行われない洗浄工程で、膜ろ過差圧の回復がほとんど見られなかった。
Figure 2006239609
Figure 2006239609
本発明は浄水プロセス用ろ過膜モジュールを用いた水処理方法に関するものである。さらに詳しくは、工業用水や水道水の浄水処理や下水処理や産業排水処理などに使用されるろ過膜モジュールを用いた水処理方法に関するものであるが、本発明はこれらに限られるものではない。
一般的な中空糸膜モジュールの運転方法を示す概念図である。 一般的な中空糸膜モジュールの運転方法を示す概念図である。 本発明に使用される中空糸膜モジュール装置の一例を示すフロー図である。 洗浄工程時の空気洗浄流量を変化させた一例を示す図である。 本発明の空気洗浄強度を変化させる方法を示す概念図である。
符号の説明
1 中空糸膜モジュール
2 透過水出口
3 エア抜き口
4 原水入り口
5 エア供給口
6 原水ポンプ
7 逆洗ポンプ
8 逆洗タンク
9 固液混合の原水
10 エア、排水
11 エア
12 排水
13 ろ過水
14 次亜塩素酸ナトリウム

Claims (3)

  1. 固液混合の原水を中空糸膜モジュールに供給してろ過するろ過工程と、ろ過を停止した後中空糸膜の付着物を除去する洗浄工程とが各1つ含まれた単位工程が、1個または複数個の群として構成され、当該構成された群が繰り返し実行される中空糸膜の運転方法であって、1単位工程の洗浄工程中に中空糸膜に通じた空気の量を空気洗浄強度、前記1つの群の中で行われる各洗浄工程の空気洗浄強度の平均値の1.5倍以上の空気洗浄強度である洗浄工程を洗浄工程Aとしたとき、前記洗浄工程Aにおける空気洗浄強度の平均値は前記空気洗浄工程A以外の洗浄工程における空気洗浄強度の平均値の2〜50倍であり、当該1つの群に含まれる洗浄工程の総数に対する洗浄工程Aの割合が1〜50%であることを特徴とする中空糸膜モジュールの運転方法。
  2. 原水に凝集剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の中空糸膜モジュールの運転方法。
  3. 原水が下水処理水であることを特徴とする請求項に1記載の中空糸膜モジュールの運転方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009113521A1 (ja) * 2008-03-12 2009-09-17 株式会社クレハ 多孔質ろ過膜の前処理方法および前処理された多孔質ろ過膜を用いるろ水処理方法
KR20150093409A (ko) * 2014-02-07 2015-08-18 삼성에스디아이 주식회사 멤브레인 세정방법

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