JP2006239215A - 消防システム - Google Patents

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泰典 太田
Naoki Mitsuyanagi
直毅 三柳
Keihan Ishii
啓範 石井
Katsumi Miyaki
克己 宮木
Yoshihiro Hoshino
吉弘 星野
Kazuo Fujishima
一雄 藤島
Nobuyuki Mori
信之 毛利
Hitoshi Kamishiro
斉 神代
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Abstract

【課題】 消防用の車両をより多機能化して、火災発生現場において、早期の消火、延焼の抑制を含めてより有効な消火及び救助活動を行うことができ、しかも消火等の活動を行う作業者の安全を図る。
【解決手段】 ホイール式の走行手段を備えたポンプ車1の台車部11にはポンプ装置12が設置されており、クローラ式の走行手段を有する下部走行体20を備え、上部旋回体22には多関節アーム23が装着され、第1アーム23aに放水口ユニット28と、作業アタッチメントとしてグラップル25を設けた作業・放水車両2が積載されており、この作業・放水車両2はポンプ車1の台車部11上に載置した状態で消火及び作業とを行う態様と、作業・放水車両2をポンプ車1から分離して、所望の場所で消火及び業を行う態様と、作業・放水車両2をポンプ車1から独立して作業のみを行う態様とが可能である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、火災等の災害発生時に出動して、消火活動や災害救助活動、その他の防災活動を行う車両を備えた消防システムに関するものである。
火災発生時には消防車が出動して消火活動を行うが、火災が発生している災害現場の状況や火災原因等は様々であり、災害現場に出動して活動する消防車は、主に消火作業や延焼防止作業を実行するものである。例えば、家屋の火災、ビル火災、工場におけるタンク等の火災、山林火災等様々な態様の火災があり、また地震等、他の災害と重複して発生する火災もある。火災の原因や火災現場の状況がどのようなものであろうと、消防車は基本的には放水により消火を行うものである。このために、消防車には、所定の長さを有する放水用のホースと、このホースの基端部に接続したポンプとが装備されており、また必要に応じて送水タンクを搭載したものもあり、さらには高所において消火作業を行うためのはしごを装備したものもある。
いずれにしろ、ホースは消防車に格納されており、消防士等の消火作業者が消火活動を行う際には、放水用のホースの先端に設けた放水口ユニットを手で把持して、火災が発生している箇所に向けて放水する操作を行うことになる。消火作業者は、基本的には地上から放水することになるが、高所への放水の場合には、はしごを引き出して、このはしごに登って放水作業を行う場合もある。
高所への消火活動を円滑に行うために、消防車にクレーンを装備させたものが、特許文献1に示されている。そして、クレーンの先端には、消火作業者や被災者等が搭乗できるバスケットを設けるようになし、このバスケットに放水用のホースの先端を取り付ける構成としている。また、このバスケットに代えて、掴持具をクレーンの先端に装着できるようにしている。また、消防車にクローラ式の走行手段を有するはしご車を積載可能な構成となし、火災現場において、このはしご車を消防車とは独立に走行することによって、任意の位置ではしごを延ばして、高所において人命救助を行ったり消火活動を行ったりできる構成としたものが、特許文献2に開示されている。さらに、工場火災等の現場で、有毒ガスが発生している場合においては、消火作業者が火災箇所に近づけないことから、遠隔操作により消火活動を行うことができるようになし、もって消火作業者を有毒ガスから防護する構成としたものは、特許文献3に示されている。
実開昭63−79951号公報 実開昭59−111145号公報 特開昭63−339075号公報
ところで、火災現場の状況は様々であって、消火活動の際に必要なポンプ装置を搭載した消防車が複数台出動するが、これら各消防車の配置如何によっては、消火作業の効率性に重大な影響を与えることになる。しかしながら、瓦礫や倒壊物等が散在していたり、消防車の走行を妨げる障害物が存在していたりする場合には、出動した消防車が途中で立ち往生して、消火活動等にとって最適な位置まで進行できない場合がある。従って、消防車を十分に稼動させるためには、障害物等を迅速に撤去する必要があるが、このような作業を人手により行うのは長い時間が必要になり、緊急を要する消火活動においては、より迅速な対応が望まれる。
火災現場では、基本的には消火作業者による放水により消火活動を行うが、早期の消火及び延焼を最小限に食い止めるためには、高所からの放水が必要な場合があり、また放水のためや、人命救助のため、延焼防止のため等、家屋や倉庫等の建物の窓ガラス,シャッタ,壁等を破壊する必要がある。しかしながら、一般的な消防システムにおいては、消火活動自体及びそれに関連する各種の作業を行う上で、部分的に有効なものはあるが、総合的な機能を発揮するようにはなっていない。
また、消火や災害救助等に当っては、二次災害の発生防止を図るということも極めて重要であって、消防活動に従事する作業者の安全に十分配慮しながら、消火活動や救助活動を進めなければならない。しかしながら、効率的な消火や人命救助等を行うには、ある程度の危険が伴うものであり、従って作業者の安全を図りながら、より効率的に消火及び救助活動を行うためには、消防車にその活動を支援する機械を装備することが望まれる。
前述した特許文献1のように、消防車にクレーンを設置して、掴持具または人命救助及び消防員搭乗用のバスケットを装着したり、放水したりすることができるように構成することにより消防車の多機能化が図られるが、クレーンを活動させるには、消防車が災害現場にまで進行しなければならず、またこのためには消防車には少なくともオペレータが搭乗していなければならないことから、このオペレータ等に危険が及ぶ可能性は否定できない。また、狭所や障害物が散在している等の理由で消防車が入り込めない場所には、クレーンを作動させて行う作業を行うことができないこともある。特許文献2では、はしご車を消防車から取り出して、自走させることによって高所における消火活動や人命救助活動を行えるが、高所作業を可能にしたに過ぎないものであり、構築物の破壊や解体等の作業を行うことはできない。さらに、特許文献3のように、無線で操縦できる消防車を用いれば、作業者の安全確保は図られるが、消火活動以外の活動ができないことから、消防システム全体を考えたときに、必ずしも満足できるものではない。
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、消防用の車両をより多機能化して、火災発生現場において、早期の消火、延焼の抑制を含めてより有効な消火活動や救助活動を行うことができ、しかも消火等の作業を行う作業者の安全を図ることができるようにすることにある。
前述した目的を達成するために、本発明は、送水用ホースと、この送水用ホースの基端部が接続されるポンプ装置とを備えたポンプ車と、このポンプ車の台車部に積載される作業・放水車両とを備え、前記作業・放水車両は、クローラ式の下部走行体と、この下部走行体に旋回可能に設置した上部旋回体と、この上部旋回体に設けた作業手段とを有するものであり、前記作業手段は、多関節アームと、この多関節アームの先端に、作業用アタッチメントを着脱可能に装着すると共に、放水口ユニットが固定的に装着されており、前記放水口ユニットには送水配管が接続されており、この送水配管は前記ポンプ車の前記送水用ホースの先端に着脱可能な接続部を有する構成としたことをその特徴とするものである。
作業・放水車両は、ポンプ車の台車部上に設置されたままで所定の作業を行うことができ、またポンプ車から離脱して、自走により所定の位置に移動して作業を行うこともできる。そしてその際、作業・放水車両は、ポンプ車との連携で、つまり送水用ホースを接続した状態で作業を実行することができる。この場合、作業・放水車両により実行可能な作業は、少なくとも放水である。放水できる範囲は、多関節アームの姿勢により高所から低所までカバーでき、上部旋回体を旋回させることによって360度いずれの方向に向けて放水することもできる。また、ポンプ車からは独立して、つまり送水用ホースを接続せずに作業用アタッチメントを用いた作業のみを実行することもできる。従って、作業・放水車両はポンプ車に制約を受けずに、広範な領域で自由に活動することができる。
放水以外の作業については、多関節アームの先端に装着される作業アタッチメントの種類により異なってくる。ここで、多関節アームに装着される作業アタッチメントの種類としては、バケット、圧砕機、ブレーカ、カッタ、グラップル等があり、これらは火災が発生している現場の状況に基づいて、適宜交換して用いることができる。作業アタッチメントを作動させる際において、同時に放水を行うことができる。例えば、圧砕機により対象物を圧砕しながら、放水することもできる。また、作業アタッチメントを作動させることによって、例えばバケットや破砕機等により消防車の進入路から瓦礫等の障害物を除去したり、移動させたりすることができる。このほか、ブレーカ,カッタ等の作業アタッチメントを作動させて、建物の窓ガラス,シャッタや壁を破壊することにより建物内に放水できるようにすることもできる。さらに、グラップルを作動させて、建物の窓ガラス等を破壊して、放水を行ったり、火災発生箇所からの退避路を確保したりする等といった作業を実行することができる。
多関節アームには送水配管が設けられている。送水配管は、可撓性を有するホースで構成しても良いが、熱に対する耐久性等を考慮して、金属パイプで形成することもできる。送水配管は、関節部を跨ぐように配設することができる。そして、この場合に、関節部の動きを制約しないようにするために、送水配管はアームに固定して、関節部の位置でスイベルジョイントを介して連結することによって、金属パイプのように、剛性のある配管を使用しても、多関節アームを円滑に作動させることができる。送水配管の端部は接続部となっており、この接続部はポンプ車のポンプ手段からの送水用ホースと着脱可能に接続される。
送水配管の先端は放水口ユニットとなっており、この放水口ユニットには、開閉コックが設けられ、また放水ノズルの噴射水量の制御手段や、噴射方式の選択、即ち直噴方式とするか、シャワー方式とするかの選択や噴射角度等の制御機構を備えている。この放水口ユニットは、好ましくは最も先端の第1アームに固定される。そして、送水配管は、この第1アームから第2,第3アームの順に引き回される。接続部は放水口ユニットの固定部から上部旋回体のフレームまでのいずれかの位置に設ける。送水用ホースへの着脱の便宜という観点からは、上部旋回体のフレームまたは基端側に位置するアームに接続部を設けるのが好ましい。
作業・放水車両は、ポンプ車の台車部上に設置したままで、放水等の作業を行うことができる。また、ポンプ車の台車部から離脱して、自走することによって、所望の位置にまで移動して作業を行うこともできる。この場合、作業・放水車両はクローラ式走行手段を備えているので、ポンプ車が進入できない悪路を走行することができ、また作業アタッチメントを作動させることによって、障害物を除去しながら、所望の位置まで移動させることができる。また、作業・放水車両を小型でコンパクトな構成とすることによって、狭所等に進入することができる。
作業・放水車両には、運転スペースを設けて、オペレータがこの運転スペースに搭乗して、車両の操作を行えるようにする。このために、運転スペースの側部や前方部に操作レバー等の操作手段を設ける。操作は多関節アームの操作、上部旋回体の旋回、車両の走行等である。また、放水口ユニットは制御可能な構成となっているので、この放水口ユニットの操作も運転スペースで行えるようにする。このために、運転スペースに放水操作盤を設ける。消火等の作業における安全性を確保するために、作業・放水車両は遠隔操作できるようにするのが望ましい。このために遠隔操作手段を設け、この遠隔操作手段によりこの作業・放水車両の走行、姿勢制御及び送水の制御を行えるようにする。従って、作業・放水車両は、運転スペースに設けた操作手段か、遠隔操作用の操作手段かのいずれかにより作動制御される構成とする。
ポンプ車及びこのポンプ車に搭載される放水・作業用車両は、全体の消防システムの一部に組み入れられ、放水・作業用車両のみが単独で消火活動を行う訳ではなく、複数の作業者による放水等との協働作業で消火活動を行うのが一般的である。そこで、ポンプ車側で水の供給量等を制御するように構成するのが望ましい。このために、作業・放水車両とポンプ車とに信号伝達手段を設けて、少なくとも放水口ユニットからの放水状況、例えば放水量,水圧等に関する情報をこの信号伝達手段を介して作業・放水車両からポンプ車に送受信可能な構成とすることができる。
以上により、消防システムをより多機能化できることになり、火災発生現場において、早期の消火、延焼の抑制、さらには有効な救助活動を行うことができ、また消火等の活動を行う作業者の安全を図ることができる等の効果を奏する。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。まず、図1に消防システムの構成を示す。図中において、1はポンプ車、2は作業・放水車両であって、これらによって消防車ユニットが構成される。ポンプ車1はホイール式の走行手段を備えるものであって、運転室10と台車部11とを有し、台車部11にはポンプ装置12が設置されている。ポンプ装置12は、河川, 貯水池,消火栓等を水源として、消火用水を供給するものであって、このポンプ装置12には給水用配管13が巻回状態にして装架されている。そして、河川や貯水池等を給水源とする場合には、この給水用配管13が給水源に投入される。また、ポンプ装置12にはホース接続部14,15が設けられており、ホース接続部14にはポンプ装置12への給水を目的に、給水用配管13が接続され、またホース接続部15には、後述する送水用ホース16(図5参照)が着脱可能に接続されることになる。そして、ホース接続部15は複数箇所設けられる。なお、図1においては、送水用ホース16は畳み込まれて、台車部11の内部等の格納スペースに格納されている。
作業・放水車両2は、クローラ式の走行手段を有する下部走行体20と、この下部走行体20に対して旋回装置21を介して旋回可能に設けた上部旋回体22とから構成されている。上部旋回体22には、多関節アーム23が装着されると共に、この作業・放水車両2を操作するオペレータが搭乗する運転スペース24が設けられている。本実施の形態においては、多関節アーム23には、その先端に作業アタッチメントとして、一対からなる挟持用の爪を備えたグラップル25が設けられており、この多関節アーム23と作業アタッチメントとしてのグラップル25とによって作業手段が構成される。従って、この作業手段では、構築物の解体や障害物の排除等の作業を行うことができる。なお、作業アタッチメントは、このグラップル25以外にも、例えばバケット、圧砕機、ブレーカ、カッタ等を用いることができるようになっており、要求される作業に応じて作業アタッチメントを交換して用いることができる。このために、これら各種の作業アタッチメントは、多関節アーム23を構成する先端の第1アーム23aに着脱可能に連結,取り外しできるようになっている。
ここで、作業・放水車両2はポンプ車1に積載される関係から、しかも狭所にも進入できるようにするために、作業の有効性を損なわないようにして、できるだけ小型なものとしている。また、多関節アーム23は、ポンプ車1上に載置されている状態で、高さ寸法を抑制するために、コンパクトに折り畳めるようにする。
そこで、図示した多関節アーム23は、先端側から第1アーム23a,第2アーム23b及び第3アーム23cの3つのアームから構成され、最基端側の第3アーム23cは概略く字形状となっている。そして、第3アーム23cは上部旋回体22に俯仰動作可能に連結されており、この第3アーム23cは第2アーム23bの基端部に上下方向に回動可能に連結されており、また第2アーム23bは第1アーム23aの基端部に上下方向に回動可能に連結されている。そして、ポンプ車1に積載し、駐機時や輸送時等に全高を低く抑えたい時には、図1に示したように、第3アーム23cを運転スペース24側に倒し、第2アーム23bは真っ直ぐ前方(ポンプ車1の運転室10側)に延ばして、第1アーム23aを下方に折り畳むようにする。一方、作業時の高さが要求される時には、これら各アーム23a〜23cを一直線状態にして真上に伸ばして最大高さとすることができる。従って、各アーム23a〜23cを駆動するために、油圧シリンダ26a,26b及び26cが設けられており、さらに第1アーム23aと作業アタッチメントとしてのグラップル25との間にはアタッチメント駆動用の油圧シリンダ27が設けられている。さらに、図示は省略するが、旋回装置21による上部旋回体22の旋回及び下部走行体20による走行も油圧アクチュエータとしての油圧モータで駆動されるようになっている。
多関節アーム23には、また、送水配管が装着されている。送水配管は、第1アーム23aの側面に固定して設けた放水口ユニット28と、この放水口ユニット28に連結された送水配管29とから構成される。送水配管29は、第1アーム23aと第2アーム23bとの間に設けられ、放水口ユニット28に連結した第1の送水配管29aと、第2アーム13bの両基端部との間の位置に設けられ、第1の送水配管29aに接続した第2の送水配管29bとから構成される。これら第1,第2の送水配管29a,29bは可撓性を有するホースまたは金属パイプから構成される。そして、放水口ユニット28と第1の送水配管29aとの間及び第1の送水配管29aと第2の送水配管29bとの間は、それぞれスイベルジョイント30を介して連結されている。
スイベルジョイント30は、図2及び図3に示した構成となっている。これらの図において、相互に連結される一方の配管をA、他方の配管をBとする。例えば、放水口ユニット28を配管Aとしたときには、第1の送水配管29aが配管Bとなり、また第1の送水配管29aを配管Aとした場合には、第2の送水配管29bが配管Bとなる。スイベルジョイント30は、ジョイント部31と、このジョイント部31に回動自在に設けた第1の配管接続部32と、ジョイント部31に固定的に設けた第2の配管接続部33とから構成され、第1の配管接続部32はジョイント部31を貫通しており、このジョイント部31の外部では90°湾曲した湾曲管形状となっている。また、ジョイント部31には取付部材34が装着されており、この取付部材34は第1アーム23aや第2アーム23bの表面にボルト等の手段により固定される。従って、配管Aに対して配管Bは、図3に矢印で示した方向に回動可能となっており、第1アーム23aと第2アーム23bとの間や、第2アーム23bと第3アーム23cとの間の多関節部分が相対回動したときに、スイベルジョイント30により配管Aと配管Bとがこれに追従して屈曲することになる。
スイベルジョイント30には、配管A及び配管Bが着脱可能に連結されるようになっている。このために、第1の配管接続部32は雌カップリング部であり、この第1の配管接続部32に接続される配管Bの端部は雄カップリング部となっている。一方、第2の配管接続部33は雄カップリング部を構成し、これに接続される配管Aの端部は雌カップリング部となっている。そして、配管Aと配管Bとの間は、図4に示したように、スイベルジョイント30により分離可能に連結されるようになっている。
即ち、雄カップリング部は金属筒体35を有し、この金属筒体35の端部の外周面には円環状の係止突条36が設けられている。一方、雌カップリング部は金属筒からなる嵌合部37が設けられており、この嵌合部37の内周面には円環状の凹部38が形成されている。そして、嵌合部37には、雄カップリング部を構成する金属筒体35の端部が当接するストッパ壁37aが形成されており、凹部38内には係止駒39が装着されている。係止駒39は複数に分割した円弧形状のものからなり、ばね40により半径方向内向きに付勢されている。そして、ばね40の付勢力により係止駒39が全体として円形になり、このときに、係止こま39の内周面のうち、ストッパ壁37aに近い側では金属筒体35の外周面と係止突条36との中間の直径となり、開口部に近い側では係止突条36の外周面より大きい直径となったテーパ面形状を有する形状となっている。
従って、雄カップリング部と雌カップリング部とを連結するために、金属筒体35を嵌合部37内に押し込むと、係止駒39がばね40の付勢力に抗して半径方向外側に変位することによって、係止突条36が係止駒39の位置を通過するようになり、金属筒体35がストッパ壁37aに当接すると、係止駒39がばね40の付勢力によって縮径する結果、係止突条36と係合して、図2に示したように、連結状態に維持される。また、金属筒体35には、解除部材41が嵌合されており、この解除部材41は金属筒体35の外周面に沿ってその軸線方向に移動可能となっている。この解除部材41を係止駒39の内面に沿って雌カップリング部側に押動すると、係止駒39が拡径することになって、係止突条36との係合状態が解除される。これによって、図4に示したように、雄カップリング部を雌カップリング部から離脱させることができる。
第2の送水配管29bの基端部にスイベルジョイント30が連結されており、このスイベルジョイント30における第1の配管接続部32には、ポンプ車1側に設けた送水用ホース16が着脱可能に接続されるようになっている。そして、異なる種類の放水口ユニット28A,28Bがポンプ車1に収納されており、火災の状況等に応じて最適な放水口ユニットを交換して使用できるようになっている。また、送水用ホース16の先端に放水口ユニット28Aや28Bを直接的に接続できるようになっている。これによって、消火作業者による放水操作を行うこともできる。
消防システムは、以上のように、ポンプ車1と作業・放水車両2とで構成されるが、作業アタッチメントとしてグラップル25を用いた場合、この作業・放水車両2により構築物の解体,窓ガラスやシャッタ,壁の破壊、さらには瓦礫等の障害物を排除する工作作業を行うことができる。また、作業・放水車両2によって、消火のための放水も行えることになる。そして、作業・放水車両2による作動の態様としては、図5及び図6に示したように、作業・放水車両2をポンプ車1の台車部11上に載置した状態で消火や作業を行う態様と、図7に示したように、作業・放水車両2をポンプ車1から分離して、所望の場所で消火及び作業を行う態様と、図8に示したように、作業・放水車両2をポンプ車1から独立して作動し、作業のみを行う態様とが可能である。
まず、図5及び図6に示した態様での作動は、ポンプ車1上での消火及び作業を行う態様である。このために、作業・放水車両2はポンプ車1の台車部11上に配置しておき、第2の送水配管29bの基端部に設けたスイベルジョイント30に送水用ホース16の一端を接続し、この送水用ホース16の他端をポンプ装置12におけるホース接続部15に接続する。作業・放水車両2の上部旋回体22を所望の方向に向くように旋回させて、多関節アーム23を、図5に示したように、ポンプ車1の側方や、図6に示したように、ポンプ車1の後方等所望の方向に向けることができる。そして、多関節アーム23を駆動して、その先端に設けたグラップル25における挟持爪を開閉させるように作動させることによって、例えば閉鎖状態となっている建物の窓ガラスやシャッタを破壊することにより建物内を開放することができる。このようにして開放した部位に対して、送水用ホース16から送水配管29を経て放水口ユニット28から建物の内部に集中的に放水することにより消火活動を行う。
ここで、建物における高い位置での放水を必要とする場合があり、また高い位置にある窓ガラスやシャッタの破壊等といった作業を行うこともある。作業・放水車両2はポンプ車1の台車部11上に位置しているので、多関節アーム23の先端に設けた作業アタッチメントとしてのグラップル25は、その分だけ高い位置にまで届くことになる。そして、上部旋回体22を旋回させ、また多関節アーム23に所望の姿勢を取らせて、所望とする方向及び位置でグラップル25による作業を行うことができる。しかも、放水を行う箇所も自由に選択でき、出火箇所の直近位置からも放水することができるので、高い効率で消火活動を行うことができる。また、グラップル25は壁を破壊すること等も可能であるから、避難路を確保することもできる。さらに、延焼防止を図るための構築物の破壊等といった作業も行える。そして、グラップル25は多関節アーム23の先端に設けられているので、多関節アーム23を伸ばして作動させることによって、操作を行う者と破壊や消火の対象物との距離を保つことができて、操作を安全に実行することができる。なお、ポンプ車1上で作業・放水車両2を駆動することから、ポンプ車1の安定性を図るために、台車部11の下部位置にはジャッキ17を設けている。
次に、図7に示した態様での作動は、作業・放水車両2をポンプ車1から降ろして、自走させて、所望の位置で消火や作業を行う態様である。作業・放水車両2はポンプ車1より小型であるから、ポンプ車1より狭い場所に進行することができる。しかも、下部走行体20はクローラ式の走行手段で構成されているので、ホイール式の車両では走行できないような悪路でも走行することができる。従って、ポンプ車1が入り込めない場所まで進行して、所定の作業を行うことができる。この作業・放水車両2により消火活動を行うために、多関節アーム23に設けた第2の送水配管29bのスイベルジョイント30にポンプ車1のポンプ装置12におけるホース接続部15に接続されている送水用ホース16を接続する。
このように、消火や作業を行う作業・放水車両2をポンプ車1からの送水が可能な状態を保ちつつ、送水用ホース16の届く範囲という限定はあるものの、このポンプ車1に対して独立して自走させることにより、作業を行う上で最適な位置にまで進行させて作業を行うことができる。勿論、走行路において、障害物等が存在する場合には、それを排除しながら進行させることによって、最も都合の良い場所で消火作業や建物の一部を破壊する等の作業を行うことができる。また、火災場所に直接放水するのではなく、延焼防止を図るために、可燃物に放水して不燃化させたり、可燃物を移動させたりする作業も円滑に行うことができる。
さらに、図8に示した態様での作業は、作業・放水車両2では放水を行わず、作業のみを行うことになる。大規模火災や地震に伴って発生する火災等の場合、多数の消防車が出動するが、火災現場において、各方面に瓦礫や障害物が存在しているために、多数出動した消防車が消火のために最適な位置まで進行できない場合がある。作業・放水車両2はこれら各方面に存在する瓦礫,障害物等を排除して、消防車の進入経路を確保するために用いられる。この場合、作業・放水車両2は、それが積載されていたポンプ車1とは完全に独立に作業を行うことから、ポンプ車1からの送水用ホース16は接続されない。これによって、作業・放水車両2は自由に走行できることになる。なお、この場合、送水用ホース16の先端にポンプ車1に収納されている他の放水口ユニットを接続することによって、このポンプ車1では、消火作業者による放水作業は可能である。
ここで、作業・放水車両2の上部旋回体22には運転スペース24が設けられており、オペレータはこの運転スペース24に搭乗して、機械の操作及び放水口ユニット28による放水の制御を行うことができる。そして、効率的な作業のためには、作業・放水車両2を火災現場の直近位置で走行させる方が望ましい。火災現場に近づくと、その分だけ運転スペース24で操作するオペレータの危険度が高くなる。このような危険領域での作業を安全なものとするために、作業・放水車両2は遠隔操作できるように構成するのが望ましい。この場合、作業・放水車両2の作動制御は、運転スペース24の周囲に固定的に設けた操作手段(操作レバーやスイッチ等)により操作されると共に、遠隔操作装置によっても操作できるようになっている。また、ポンプ車1の操作は、基本的にはポンプ車1の運転室10内に設けた操作手段により行われることになる。
このために、ポンプ車1,作業・放水車両2及び遠隔操作装置は、図9に示したように、それぞれ制御機構を備えている。図中において、50はポンプ車1の運転室10に設けたポンプ車制御機構、51は作業・放水車両2に設けた作業・放水制御機構、52は遠隔操作装置のリモコン制御機構である。そして、制御機構50〜52にはそれぞれ信号送受信装置53〜55が設けられており、これら各信号送受信装置53〜55には、それぞれ情報伝達用のアンテナ56〜58が設けられて、相互に情報の伝達を行うことができるようになっている。
ポンプ車制御機構50において、放水関係の制御手段としては、ポンプ装置12を駆動するエンジンのエンジンスロットル60と、ポンプ装置12の自動吐出コック61とを備え、エンジンスロットル60は電子ガバナ62により制御され、また自動吐出コック61は吐出コック用アクチュエータ63により制御される。これら電子ガバナ62及び吐出コック用アクチュエータ63の作動はポンプコントローラ64により制御されることになっている。そして、ポンプコントローラ64は信号送受信装置53が接続されており、作業・放水制御機構51から出力される制御信号が信号送受信装置53に伝送されることにより動作制御がなされる。
そして、作業・放水制御機構51は、運転スペース24の周囲に設けた複数の操作レバー65を有し、これらの操作レバー65は下部走行体20の走行駆動用,旋回装置21の旋回用及び多関節アーム23の駆動用の各油圧アクチュエータ66(油圧モータ,油圧シリンダ)を操作するためのものである。そして、いずれかの操作レバー65を操作すると、パイロット弁67から油圧パイロット信号がコントロールバルブ68を構成する複数のスプールに入力されて、操作レバーに対応するように、対象となるスプールが切り換わって、油圧アクチュエータ66が作動することになる。その結果、作業・放水車両2の走行、旋回、多関節アーム23及びグラップル25の動作を行わせることができる。
また、運転スペース24の周囲には、また、放水操作盤69が設けられており、この放水操作盤69には、開閉コックスイッチ70,放水ノズル調整器71が装着されている。これら開閉コックスイッチ70及び放水ノズル調整器71は、スイッチやボリューム等のマニュアル操作手段からなり、それらを操作することによって、その操作信号が作業・放水コントローラ72に入力されて、放水口ユニット28に設けた開閉コック用アクチュエータ73及び放水ノズル調整用アクチュエータ74の作動が制御される。ここで、開閉コックスイッチ70を操作することによって、放水及び放水の停止を行うことができる。また、放水ノズル調整用アクチュエータ74は、放水口ユニット28の噴射ノズルから放水を行う際に、直噴方式とするか、シャワー方式で噴出させるかの選択や、放水時の圧力や水量、さらには噴射角を制御するためのものである。
ここで、開閉コックスイッチ70及び放水ノズル調整器71の操作信号は、作業・放水制御機構51に設けた送受信装置54からポンプ車制御機構50の信号送受信装置53に入力されて、この入力信号に基づいてポンプコントローラ64から電子ガバナ62及び吐出コックアクチュエータ63の制御が行われるようになっている。また、消火活動は他の系統からの放水との連動関係が必要である。例えば、消火栓を給水源とし、かつ他の系統による放水と共用する場合には、相互に連携して、それぞれに必要な水圧及び水量を分配しなければならない。このために、作業・放水車両2による放水が適正になるように制御する必要がある。ポンプコントローラ64においては、他の放水系統との関連で、電子ガバナ62及び吐出コックアクチュエータ63の動作制御が行われるようにしている。
さらに、リモコン制御機構52は可搬式のものであって、その送受信装置55から制御信号が送信され、作業・放水制御機構51の送受信装置54でこの制御信号が取り込まれて、作業・放水コントローラ72に入力され、これによって作業・放水車両2の動作が制御されるようになっている。即ち、リモコン制御機構52は作業・放水車両2を遠隔操作するためのものであり、このために作業・放水車両2に設けた操作レバー65と同じ本数の操作レバー75が設けられている。そして、各操作レバー75のうちのいずれかが操作されると、リモートコントローラ76にその信号が取り込まれて、操作量に応じて電気信号に変換されて、作業・放水制御機構51における作業・放水コントローラ72に制御信号が入力されることになる。そして、操作レバー75の操作量に応じた制御信号が作業・放水コントローラ72に入力されると、作業・放水制御機構51の比例減圧弁77が作動して、パイロット弁67と同様の油圧パイロット信号が出力される。その結果、コントロールバルブ68において、操作レバー75に対応するスプールが切り換わって油圧アクチュエータが作動することになる。ここで、比例減圧弁77とパイロット弁67とはシャトル弁78に接続されており、従って操作レバー65または操作レバー75のいずれかが操作されたときに、油圧アクチュエータ66が作動することになる。また、リモートコントローラ76には開閉コックスイッチ79及び放水ノズル調整器80が接続されており、これらを操作することによって、作業・放水コントローラ72に操作信号が入力されて、開閉コックスイッチ70及び放水ノズル調整器71の作動が制御されることになる。
以上のように構成することによって、作業・放水車両2は、格別危険が及ばない場所で活動する際には、その運転スペース24に搭乗して操作を行うことができるが、遠隔操作を行うことによって、火災が発生している場所の直近位置にまで車両を進行させて、放水や構築物の破壊等の作業を行うことができる。また、遠隔操作を可能にしていることにより、工場におけるタンク火災等のように、有毒ガスが発生している状況となっている際に、作業・放水車両2を積載したポンプ車1を出動させることにより、消火活動や構築物の解体作業を安全かつ効率的に行うことができる。即ち、作業・放水車両2の送水配管29にポンプ車1のポンプ装置12からの送水用ホース16を接続し、ポンプ車1を有毒ガスが発生している領域から離れた位置に配置し、作業・放水車両2を遠隔操作によって、火災発生箇所にまで進行させて、消火や解体等の作業を行わせることができる。
本発明の実施の一形態を示すものであって、作業・放水車両を、その多関節アームを折り畳んだ状態で、ポンプ車に積載している状態を示す正面図である。 スイベルジョイントの構成を示す断面図である。 配管接続部を断面にして示す図2の右側面図である。 スイベルジョイントと配管とを分離した状態を示す図2と同様の断面図である。 作業・放水車両をポンプ車の台車部上に配置した状態での動作説明図である。 図5とは異なる作動状態を示す動作説明図である。 作業・放水車両をポンプ車から分離して行う作動状態の説明図である。 作業・放水車両が単独で作動している状態を示す動作説明図である。 消防システムの制御機構の構成を示すブロック図である。
符号の説明
1 ポンプ車 2 作業・放水車両
10 運転室 11 台車部
12 ポンプ装置 16 送水用ホース
20 下部走行体 21 旋回装置
22 上部旋回体 23 多関節アーム
24 運転スペース 25 グラップル
28 放水口ユニット 29 送水配管
30 スイベルジョイント 50 ポンプ車制御機構
51 作業・放水制御機構 52 リモコン制御機構
64 ポンプコントローラ 72 作業・放水コントローラ
76 リモートコントローラ

Claims (5)

  1. 送水用ホースと、この送水用ホースの基端部が接続されるポンプ装置とを備えたポンプ車と、
    このポンプ車の台車部に積載される作業・放水車両とを備え、
    前記作業・放水車両は、クローラ式の下部走行体と、この下部走行体に旋回可能に設置した上部旋回体と、この上部旋回体に設けた作業手段とを有するものであり、
    前記作業手段は、多関節アームと、この多関節アームの先端に、作業用アタッチメントを着脱可能に装着すると共に、放水口ユニットが固定的に装着されており、
    前記放水口ユニットには送水配管が接続されており、
    この送水配管は前記ポンプ車の前記送水用ホースの先端に着脱可能な接続部を有する
    構成としたことを特徴とする消防システム。
  2. 前記作業用アタッチメントはバケット、圧砕機、ブレーカ、カッタ、グラップルのいずれかであることを特徴とする請求項1記載の消防システム。
  3. 前記送水用配管は前記多関節アームを構成する1または複数の関節部間でスイベルジョイントを介して接続されたホースまたはパイプから構成され、前記接続部は前記放水口ユニットの固定部から前記上部旋回体のフレームまでのいずれかの位置に設けられることを特徴とする請求項1記載の消防システム。
  4. 前記作業・放水車両には遠隔操作手段を設け、この遠隔操作手段によりこの作業・放水車両の走行、姿勢制御及び送水の制御を行える構成としたことを特徴とする請求項1記載の消防システム。
  5. 前記作業・放水車両と前記ポンプ車とに信号伝達手段が設けられ、少なくとも前記放水口ユニットからの放水状況に関する情報がこの信号伝達手段を介して前記作業・放水車両から前記ポンプ車に送受信可能な構成としたことを特徴とする請求項1記載の消防システム。
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